JP4270354B2 - レゾネータ付きダクト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消音装置たるレゾネータを一体化させたレゾネータ付きダクトに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車は、車外騒音低減要求が高まっており、エンジンの吸気音もその対象になっている。そのため、空気取入れ口の吸気ダクト(以下、単に「ダクト」という。」)〜エアクリーナ〜スロットルボディまでの吸気系部品には、レゾネータと呼ばれる共鳴型消音器が多く取付けられている。
レゾネータは、図10に示したような(イ)ヘルムホルツ型,(ロ)サイドブランチ型,(ハ)拡張室型,(ニ)挿入管付きの拡張室型等がある。
【0002】
ここで、上述の拡張室型レゾネータに関しては、従来、インジェクション成形などで予め成形されたレゾネータにホース等を組付け、バンドクランプ等で締め付けていた(図9)。部品点数が多く、また組立工数も増大しコストが嵩んでいた。斯る対策として、▲1▼予めブロー成形されたダクトをレゾネータと一体でインサートブロー成形する(例えば実用新案登録第2521134号)、▲2▼拡張室の箇所だけをブロー成形時に膨張させて形成する、▲3▼拡張室のところをブロー成形又はインジェクション成形で造っておき、該拡張室とダクト,ダクトと拡張室をそれぞれ溶着する方法等が採られてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、前記▲1▼の方法は、ダクトとレゾネータの間の気密性が十分に確保できないため、2次側(クリーンサイド)に使用できなかった。また、ダクトとレゾネータを保持している部分が少ないため、車両振動等によりダクトとレゾネータの接合部に応力が集中し変形が生じ気密性が低下するといった問題があった。
▲2▼の方法は拡張比(拡張部の断面積/ダクトの断面積)に限界があり、消音特性が優れなかった。
▲3▼の方法はダクトとレゾネータを保持している部分が少ないため、車両振動等により気密性が低下する問題があった。また、溶着設備コストが高く製品コストは安くならなかった。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するもので、車両振動等があっても気密性が確保され、且つコスト的にも安くできるレゾネータ付きダクトを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の発明の要旨は、上面開口の碗形状にして、その碗部底面から上面開口部の中央に向けてダクト挿着用の筒状体を形成した一対の半割り部を、接合固着してなる中空ボックス状のレゾネータの両側に、該レゾネータがつくる空洞内へ向う筒状体が導入環部からテーパ部を形成して縮小しさらにその縮小径のままの短管部が空洞内へと向い、また、前記両テーパ部からスリットが筒状体の軸方向で空洞内へ進み、且つその先で互いに周方向逆向きにしてL字状に曲がる切欠部を設ける一方、二つのダクトの先端部に、前記筒状体の短管部,テーパ部,導入環部にそれぞれ密着するよう、これらより一回り小さな径の筒部,テーパ部,拡径部を設け、且つ二つのダクトの先端部外周面に小突起を設け、該小突起を前記スリットに嵌入させて導入環部,テーパ部,短管部に拡径部,テーパ部,筒部を当接,密着させて、該小突起を該切欠部に嵌合させることにより両ダクトをレゾネータのそれぞれの筒状体に挿着可能としたことを特徴とするレゾネータ付きダクトにある。
ここで、「スリット」には凹みを含む。
【0006】
請求項2に記載の発明たるレゾネータ付きダクトは、請求項1で、一対の前記半割り部が外周縁に鍔を設けた上面開口の碗形状で、この鍔同士を合わせ接合固着して挿入管付き拡張室型レゾネータとし、さらにダクト先端寄りの筒部にダクト先端に向けて下降傾斜する傾斜面をもつ前記小突起を設けることを特徴とする。
請求項3に記載の発明たるレゾネータ付きダクトは、請求項1又は2で、一対の前記半割り部が同形状品で、且つ筒部がレゾネータの短管部より長く設定されることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るレゾネータ付きダクトについて詳述する。
(1)実施形態1
図1〜図5は、本発明のレゾネータ付きダクトの一形態で、図1はその分解斜視図、図2はダクトの先端部分の断面図、図3はレゾネータの半割り部の断面図、図4はレゾネータ付きダクトの断面図、図5はレゾネータ付きダクトの筒状体周りの断面図を示す。
本レゾネータ付きダクトは、レゾネータ3の部分とダクト1,2の部分が別個に造られ、レゾネータ3にダクト1,2を挿着一体化したものである。
【0008】
レゾネータ3は一対の半割り部4,5を接合固着したもので、両半割り部4,5は図3のような同形状品になっている。本実施形態のレゾネータ3を構成する半割り部4,5はポリプロピレン,ポリエチレン,ABS樹脂などの材料を用いて射出成形等によって造られる合成樹脂成形品である。半割り部4,5は、外周縁に鍔49,59を設けた上面開口の碗形状である。この鍔同士を合わせ溶着接合や接着剤等で接合固着して空洞Sをもつボックス状の挿入管付き拡張室型レゾネータ3が出来る(図1)。
半割り部4,5にはその碗部底面から上面開口部の中央に向けてダクト挿着用の筒状体42,52を形成する。該筒状体の先端は碗部41,51内に収められる。尚、本レゾネータ3は2分割構成品の半割り部4,5で組みつけたが、2以上の構成部品で溶着等により一体化を図ることもできる。
【0009】
導孔48(58)をもつ円筒状短管からなる上記筒状体42(52)は、大径の導入環部42a(52a)からテーパ部42b(52b)を形成してコーン状に縮小しさらにその縮小径を維持した短管部42c(52c)が空洞S内へと向かう。該筒状体にはスリット43(53)が形成される。スリット43(53)は細長の切り口431(531)がまずコーン状テーパ部42b(52b)から筒状体42(52)の軸方向で空洞S内へと直進する。そして、細長口たる直進部431(531)の先にL字状に曲がる切欠部432(532)を設ける。ここでは、直進部431(531)が短管部42c(52c)の端面まで突き抜けており、空洞Sに面する短管部42c(52c)の端面側からスリット43(53)たる直進部431(531)および切欠部432(532)をL字状に切欠いた格好とする。切欠部432(532)は、短管部42c(52c)に係る円周方向の周縁432c(532c)と、この周縁の奥まった所で短管部軸方向に起立する立壁432a(532a)とで形成される。直進部431(531)から切欠部432(532)に移る傾斜カット部432e(532e)は、後述の小突起15(25)を直進部431(531)から切欠部432(532)へ導き易くするために在る。こうした図3に見られる直進部および切欠部からなるスリット43(53)は、小突起15(25)の個数に対応して2箇所形成され、図示のものと同じスリット43(53)が筒状体42(52)の180゜回転した対向面位置にも形成される(図6参照)。筒状体42,52に設けられる該スリット43,53はレゾネータ3の空洞S内に配される。
【0010】
ダクト1,2は、ここでは吸気ダクトを意味し、ブロー成形により造られ導通孔Oをもつ合成樹脂製のパイプ状体になっている。該ダクト1,2は、先端部がレゾネータ3の両サイドにある筒状体42,52にそれぞれ挿着できる形になっており、2つ用意される。本ダクト1,2のレゾネータ3への挿着時に、ダクト1,2が半割り部4,5(レゾネータ3)に係る筒状体42,52の短管部42c,52c,テーパ部42b,52b,導入環部42a,52aにそれぞれ密着するよう、これらより一回り小さな径の筒部11,21,テーパ部12,22,拡径部13,23がダクト先端部に設けられる(図2)。
ダクト先端に位置する筒部11(21)はダクト本体14(24)とほぼ同径の短管である。該筒部の基端から中空円錐台状に広がるテーパ面12a(22a)をもつテーパ部12(22)を形成し、さらに該テーパ部からダクト本体14(24)の径より大きな径を有するビード部たる拡径部13(23)を設けて、再び径が小さくなってダクト本体14(24)へとつながる。ここでは、筒部11(21)がレゾネータ3の短管部42c(52c)より長く設定されており、レゾネータ付きダクトにしたとき、図4のように筒部先端が空洞S内に少し突き出す。
【0011】
そして、両ダクト1,2の先端部外周面に小突起15,25を設ける。詳しくは、ダクト先端寄りの筒部11(21)にダクト先端に向けて下降傾斜する傾斜面151(251)をもつ小突起15(25)を設ける。小突起上面151(251)を下降傾斜面にするのは、該小突起をスリット43(53)に挿入し易くすると同時に小突起垂直面152(252)を切欠部432(532)の円周方向の周縁432c(532c)に確実に係止させるためである。該小突起15(25)の周方向の幅は前記スリット43(53)の幅に入る寸法である。また、該小突起15(25)をスリット43(53)に嵌入させて筒状体42(52)内へダクト1(2)の筒部11(21)を侵入できるよう、小突起15(25)の高さに合わせて筒状体42(52)のテーパ部42b(52b)に前記スリット43(53)の導入口431a(531a)が切り欠かれる。ここで、小突起15(25)からテーパ部12(22)までの距離Lは、テーパ部42b(52b)から切欠部432(532)までの距離l(図5参照)にほぼ等しい。ダクト1,2をレゾネータ3に挿着した後、ダクト1,2を円周方向に回すことによって小突起15,25を切欠部432,532に嵌合できるようにするためである。
小突起15(25)は前記スリット43(53)の個数に対応して2箇所設けられ、図1に見えるものと同じ小突起15(25)がダクト1(2)の180゜回転した対向面位置にも形成される。該小突起とテーパ部12(22)との距離をLとして所定長さが確保される。小突起15(25)については2箇所以上設け、該小突起の個数に応じて前記スリット43(53)を対応箇所に同じ個数形成してもよい。ダクト1,2については、熱可塑性樹脂を用いレゾネータ3と同じ材料で成形すると、リサクル性が良くなりより好ましくなるが、勿論異種材料で成形することもできる。
【0012】
本発明に係るレゾネータ付きダクトは、前記半割り部4,5、ダクト1,2を構成要素にしてこれらを組付けることによって出来上がるものである。
既述のごとく、まず、半割り部4,5の鍔49,59同士を接合一体化して拡張室の空洞S内へ向う筒状体42,52を形成したレゾネータ3を組み立てる。そうして、筒状体42,52のスリット43,53にダクト1,2の小突起15,25を嵌入させて、レゾネータ3の両サイドからダクト1,2を挿着していく(図1)。小突起15(25)をスリット43(53)に合わせて筒状体42(52)の軸方向で空洞S内へと直進させ、ダクト1(2)を筒状体42(52)内へ突っ込んでいく。そうすると、筒状体42(52)の導入環部42a(52a),テーパ部42b(52b),短管部42c(52c)にダクト1(2)の拡径部13(23),テーパ部12(22),筒部11(21)が当接,密着し、それ以上ダクト1,2を奥へ挿入できなくなるところに到達する。このようになったら、次に、図4の細黒矢印のごとく両ダクト1,2を互いに周方向逆向きにしてL字状に曲がる切欠部方向へ回転させ、回転止めになる切欠部432(532)の立壁432a(532a)すなわち切欠部432,532の一番奥まった所の起立壁に小突起15,25が当たるところまで回して小突起15(25)を切欠部432(532)に嵌合させる。かくして、図4ごとく、中空ボックス状のレゾネータ3の両側レゾネータ3の空洞Sの内方へ向かう筒状体42,52にダクト先端部が挿着一体化された所望のレゾネータ付きダクトが完成する。必要に応じ、ダクト1,2とレゾネータ3との嵌合部は熱板,振動,超音波等の溶着或いは接着剤等で接着することによりレゾネータ付きダクトを完成させてもよい。
【0013】
このように構成したレゾネータ付きダクトは、小突起15,25をスリット43,53に嵌入させて両ダクト1,2をレゾネータ3のそれぞれの筒状体42,52に挿着,一体化させることができる。ダクト1,2の筒部11,21、テーパ部12,22、拡径部13,23がレゾネータ3の筒状体42,52に係る短管部42c,52c、テーパ部42b,52b、導入環部42a,52aにその接触面積を広げて接合し互いに保持されているので、車両振動等によりダクト1,2とレゾネータ3との接合部で局所的な応力集中は発生しない。ダクト1,2とレゾネータ3の接合部が密着し且つその面積が大であるので、変形が生じたり気密性が低下したりする不具合も起らない。スリット43,53は空洞S内に配されるので、気密性を保つのに影響はない。
そして、スリット直進部431,531の先に切欠部432,532を設け、該切欠部の立壁432a,532aに小突起15,25が当るように嵌合させてレゾネータ付きダクトとすると、これがそのまま車両に組み付けられたときには、振動,回転等の外力が加えられてもダクト1,2とレゾネータ3との挿着部に弛みが生じない。即ち、図1で、ダクト1,2をレゾネータ3に挿着後、レゾネータ上にある中黒矢印(図4の中黒矢印)方向の外力がレゾネータ3に加わったとすると、切欠部432の立壁432aに小突起15が当接しておりこの外力の働きを阻止できる。一方、図1で、ダクト1,2をレゾネータ3に挿着後、レゾネータ上にある白抜き矢印(図4の白抜き矢印)方向の外力がレゾネータ3に加わったとすると、切欠部532の立壁532aに小突起25が当接しておりこの外力の働きを阻止できる。単にダクト1,2をレゾネータ3に挿着した状態のレゾネータ付きダクトにあっても、この状態で車両に組みつけてしまえば振動,回転等によって弛みは生じ難い構成にあり、気密性が要求されるレゾネータ付きダクトにおいて優れたものとなる。
また、レゾネータ3とダクト1,2は別個に成形することから、拡張比(空洞拡張部の断面積/ダクトの断面積)も自在に選定でき、所望の消音特性を得ることができる。
【0014】
さらに、本実施形態のレゾネータ付きダクトは気密性確保するうえで特に優れた構造になっている。従来の挿着方式で一体化が図られるレゾネータ付きダクトは気密性保持が難しく、特に温度変化によるレゾネータ3やダクト1,2の伸縮下では接合部のシール低下を招いていた。しかるに、本実施形態のレゾネータ付きダクトはこの問題を一挙に解決する。
すなわち、図5のAで、ダクト1,2とレゾネータ3の線膨張係数に関し、異種材料形成等によりダクト1,2の方の線膨張係数が大きい場合(ダクト>レゾネータ)にあって温度が上昇し伸びる場合を考えてみる。レゾネータ短管部42c,52cでテーパ部42b(52b)から切欠部432(532)までの長さlの伸び量が小に対し、ダクト1(2)の筒部11(21)でテーパ部12(22)から小突起15(25)までの長さLの伸び量は大になるものの、導入環部42a(52a),拡径部13(23)の所でシール性がアップする。レゾネータ3の導入環部内径dよりダクト1,2の拡径部外径Dが大になり、この部分での密着度が高まりシール性がアップし、気密性が確保されることになる。また、図5Aで、ダクト1,2とレゾネータ3の線膨張係数に関しダクト1,2の方が大きい場合にあって温度が下降し縮む場合を考える。前述のレゾネータ短管部42c(52c)でテーパ部42b(52b)から切欠部432(532)までの長さlの縮み量が小に対し、ダクト1(2)の筒部11(21)でテーパ部12(22)から小突起15(25)までの長さLの縮み量は大になる。その結果、ダクト1,2がレゾネータ内側へ相対的に引き込まれ、テーパ部12(22)のテーパ面12a(22a)での密着度が上がりシール性がアップし気密性が担保される。
一方、図5のBで、ダクト1,2とレゾネータ3の線膨張係数に関しレゾネータの方が大きい場合(ダクト<レゾネータ)にあって温度が上昇し伸びる場合を考える。レゾネータ短管部42c(52c)でテーパ部42b(52b)から切欠部432(532)までの長さlの伸び量が大になるのに対し、ダクト1(2)の筒部11(21)でテーパ部12(22)から小突起15(25)までの長さLの伸び量は小になる。その結果、ダクト1(2)がレゾネータ内側へ引き込まれ、テーパ部12(22)のテーパ面12a(22a)での密着度が上がりシール性がアップする。また、図5Bで、ダクト1,2とレゾネータ3の線膨張係数に関しレゾネータ3の方が大きい場合にあって温度が下降し縮む場合を考える。ダクト1(2)の拡径部外径Dよりレゾネータ3の導入環部内径dの縮み量が大になり、この部分でダクト拡径部13(23)をレゾネータ3の導入環部42a(52a)が締め付けることになり密着度が高まりシール性がアップする。
【0015】
かくのごとく、実施形態のレゾネータ付きダクトは、ダクト1,2とレゾネータとの接合面を広くとり、車両振動等からの応力が分散するため、変形が生じ難いばかりか、上述のごとく温度変化等に対しても長期に亘って気密性を確保できるなど優れた構造になっている。このダクト1,2とレゾネータ間の気密性が十分確保できることから、2次側のクリーンサイドのレゾネータ付きダクトにおいても使用可能となり、その適用範囲を広めることができる。加えて、既述のごとく本レゾネータ付きダクトの組付け等の後加工は容易で低コストの提供が可能になり、一層有益なものとなる。
【0016】
(2)実施形態2
本実施形態は、実施形態1のレゾネータ付きダクトに更に加工を加え、図6〜図8のごとく切欠部432,532にノコギリ状の起伏部分44,54を設ける一方、小突起15,25に該起伏部分44,54に嵌合する凹凸部153,253を形成するものである。
切欠部432(532)を形成する筒状体42(52)の円周方向の周縁432c(532c)にノコギリ状の起伏部分44(54)を設ける。短管部42c(52c)のスリット直進部431(531)から切欠部432(532)に入る導入口には傾斜カット部432e(532e)が形成される。そして、該傾斜カット部に続いて、立壁432a(532a)に向けて所定距離上昇する傾斜面44a(54a)とその後に短管部軸方向に切り立つ垂直壁44b(54b)とを繰り返したノコギリ状の起伏部分44(54)が設けられる。一方、小突起15(25)の底面側には上記起伏部分44(54)に対応する凹凸部153(253)が形成され、ダクト1,2をレゾネータ3の筒状体42,52に挿入後、切欠部方向へ回転させたとき、小突起15,25の凹凸部153,253をノコギリ状起伏部分44,54に嵌合させ得る構成とする。ダクト1,2を切欠部方向へ回転させるにあたっては、起伏部分44,54のノコギリ状傾斜面44a(54a)と合成樹脂のもつ弾性や可撓性が作用して少し無理に押し込めば小突起15,25がノコギリ状起伏部分44,54を乗り越えていくことができ、両者(小突起15,25と筒状体42,52)をうまく嵌合させることができる。本実施形態では、切欠部432,532について、実施形態1のごとくスリットの先で互いに周方向逆向きにしてL字状に曲がる必要はなく、周方向同じ向きであっても構わない。ノコギリ状起伏部分44,54に凹凸部153,253が嵌合してしまえば両者(小突起と筒状体)が一体化し動きがとれなくなるからである。勿論、切欠部432(532)に関し周方向逆向きにすれば両者の一体化をより完璧なものとすることができる。半割り品5,ダクト2に関しては図示を省略するが、半割り品4,ダクト1と同形となる。他の構成は実施形態1と同じで、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0017】
このように構成したレゾネータ付きダクトは、切欠部432,532のノコギリ状の起伏部分44,54に小突起15,25の凹凸部153,253を一度嵌合させてしまえば、ロックがかかり車両の振動,回転作用が働いても動かず、実施形態1より更なる気密性が担保される。小突起15,25が外れようとしても起伏部分44,54の垂直壁44b,54bがストッパになってこれを制止するので、ダクト1,2が弛むことはない(図8)。
他の作用,効果は実施形態1と同様でその説明を省略する。
【0018】
尚、本発明においては、前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。ダクト1,2,レゾネータ3、半割り部4,5の形状,大きさ,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。例えば、スリット43の直進部431は螺旋状にして筒状体42の軸方向で空洞内へ進むようにしてもよい。同様の作用,効果が期待できるからである。
【0019】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明のレゾネータ付きダクトは、車両振動等があっても気密性が確保され、さらにコスト的にも安くできるなど優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1で、レゾネータ付きダクトの分解斜視図である。
【図2】 ダクトの先端部分の断面図である。
【図3】 レゾネータの半割り部の断面図である。
【図4】 レゾネータ付きダクトの断面図である。
【図5】 レゾネータ付きダクトの筒状体周りの断面図である。
【図6】 実施形態2で、筒状体のスリット周りの斜視図である。
【図7】 筒部の小突起周りの斜視図である。
【図8】 筒状体に筒部を挿着一体化させた部分拡大斜視図である。
【図9】 従来技術の説明斜視図である。
【図10】 従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1,2 ダクト
11,21 筒部
12,22 テーパ部
13,23 拡径部
15,25 小突起
151,251 傾斜面
153,253 凹凸部
3 レゾネータ
42,52 筒状体
42a,52a 導入環部
42b,52b テーパ部
42c,52c 短管部
43,53 スリット
432,532 切欠部
432c,532c 周縁
44,54 起伏部分

Claims (3)

  1. 上面開口の碗形状にして、その碗部底面から上面開口部の中央に向けてダクト挿着用の筒状体を形成した一対の半割り部を、接合固着してなる中空ボックス状のレゾネータの両側に、該レゾネータがつくる空洞内へ向う筒状体が導入環部からテーパ部を形成して縮小しさらにその縮小径のままの短管部が空洞内へと向い、また、前記両テーパ部からスリットが筒状体の軸方向で空洞内へ進み、且つその先で互いに周方向逆向きにしてL字状に曲がる切欠部を設ける一方、二つのダクトの先端部に、前記筒状体の短管部,テーパ部,導入環部にそれぞれ密着するよう、これらより一回り小さな径の筒部,テーパ部,拡径部を設け、且つ二つのダクトの先端部外周面に小突起を設け、該小突起を前記スリットに嵌入させて導入環部,テーパ部,短管部に拡径部,テーパ部,筒部を当接,密着させて、該小突起を該切欠部に嵌合させることにより両ダクトをレゾネータのそれぞれの筒状体に挿着可能としたことを特徴とするレゾネータ付きダクト。
  2. 一対の前記半割り部が外周縁に鍔を設けた上面開口の碗形状で、この鍔同士を合わせ接合固着して挿入管付き拡張室型レゾネータとし、さらにダクト先端寄りの筒部にダクト先端に向けて下降傾斜する傾斜面をもつ前記小突起を設ける請求項1記載のレゾネータ付きダクト。
  3. 一対の前記半割り部が同形状品で、且つ前記筒部がレゾネータの短管部より長く設定される請求項1又は2に記載のレゾネータ付きダクト。
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