JP4268732B2 - ガスセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被測定ガスとは区分された小室内に被測定ガスを導入し、被測定ガスから酸素をポンピングすることで、被測定ガス中の酸素、含酸素ガス濃度あるいは還元性ガス濃度を測定するガスセンサに関する。
【0002】
従来、被測定ガス中の酸素濃度を測定するための酸素センサとしては、例えば、特願平8−217815号公報に記載されたものが知られている。あるいは、被測定ガス中の窒素酸化物濃度を測定する為のNOxセンサとして、例えば、特開平8−271476号公報に記載されたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の酸素センサやNOxセンサにおいては、酸素分圧基準セルからの出力電圧によって第1室内の酸素濃度を検出して、第1の酸素ポンピング手段を制御しているにも関わらず、第1室内の酸素濃度が正確に目標値にならないことがあった。
【0004】
そして、それによって正確に酸素濃度が測定できなくなったり、NOxセンサにおいては第2酸素ポンプセルに流れる電流値が、理論値よりも大きな値になってしまい、その為、正確にNOxの測定が出来ないと言う問題が有った。
本発明は、上記問題を解決するために為されたものであり、その目的は、酸素濃度や窒素酸化物濃度を従来よりも正確に測定できるガスセンサを供給することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段、および発明の効果】
上記目的を達成するため、発明者は、第1室内で正確に酸素濃度が制御できない原因について検討した。そして、その原因が第1酸素ポンプセルが第1室の壁面に形成されているため、室内の酸素を十分にポンピングするだけの能力がないことにある事を見出した。第1酸素ポンプセルでポンピングされない酸素は、例えば酸素センサにおいては第1拡散律速部を介して外部に逃げてしまったり、NOxセンサにおいては第2拡散律速部を介して第2室に流れ込んで、正確な測定を不可能にする。
【0006】
そこで、発明者は第1室内の酸素をより確実に第1室外へ汲み出す手段について種々検討を重ねた。その結果上記請求項1に記載の構成を備えたガスセンサに想到し、所期の目的を達した。
この発明の多孔質体はガスを通過させる多孔質のものであれば何でも良いが、白金又はロジウムあるいはそれらの合金の多孔質体とすることが出来る。白金又はロジウムは酸素をイオン化する触媒能力及び電気伝導性に優れているのはもちろんのこと、その他の物理的耐久性、化学的耐久性にも優れているので望ましい。また、機械的強度などを向上させるために合金化することも出来る。
【0007】
この様に構成されたガスセンサにおいては、多孔質体はポンピング手段の一部として機能する。即ち、第1の酸素ポンピング手段に外部から電圧が印加された場合には、多孔質体全体において、酸素をポンピングするように機能する。具体的には、第1の拡散律速部を介して第1室の空間部に向かって被測定ガスが流れると、被測定ガス中の酸素は必ず多孔質体と接触することになり、それによって被測定ガス中の酸素がイオン化する。そして、イオン化した酸素は第1の酸素ポンピング手段によって第1室の外にポンプアウトされる。
【0008】
特に、第1室内へ流入する被測定ガスが、大きな内部表面積を有する導電性多孔質体内を通過するように構成されているので、第1酸素ポンプセルの電極表面付近を被測定ガスが通過するように構成された従来品に比べ、酸素のイオン化に関与する表面積が著しく増大する。そのため、その分だけイオン化することなく通過してしまう酸素の量が減少する。
【0009】
その結果、第1室の空間部へ流入する被測定ガス中の酸素濃度は非常に精度良く酸素分圧が制御される。その為、酸素センサにおいては被測定ガス中の酸素濃度を測定することが出来、NOxセンサにおいては、第2室に流入する酸素を低減できるので、正確にNOxを測定できるようになる。また、還元性ガスセンサなどの堤合にも第2室において正確に酸素濃度をコントロールできるので、精度良くHCなどの還元性ガスを測定することが出来る。
【0010】
なお、多孔質体としては白金又はロジウム著しくはそれら合金と酸素イオン伝導性を有する固体電解質体を用いて構成しても良い。固体電解質体としては酸素ポンピング能力を有する酸化ジルコニウムなどを用いることが出来る。この様に固体電解質体を混合することによって、多孔質体の部分における酸素イオンの移動が多孔質体表面の移動だけでなく多孔質体を構成する固体電解質体の内部を経由することも出来るので、更にポンピング能力を向上させることが出来る。また、固体電解質体を多孔質体の骨材にすることによって、白金やロジウムは触媒として担持させることもできる。
【0011】
また、触媒中に金を含有させることもできる。NOxセンサの場合、NOの解離は酸素と同じくらい起きやすいので、第1室で酸素だけをポンピングしようとしてもNOも同時に解離してしまうため、第2室でのNOの測定に影響を与えてしまうことが多かった。しかし、上述の様に金を含有させることでNOに対する触媒能力だけを落とした触媒とすることができるので、NOxの測定精度を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
図1に示すように、NOxセンサ1は、第1酸素ポンプセル11、酸素分圧基準セル13、および第2酸素ポンプセル15を積層した構造になっている。また、第1酸素ポンプセル11と酸素分圧基準セル13との間には、第1室17が形成され、酸素分圧基準セル13と第2酸素ポンプセル15との間には、第2室19が形成されている。そして、第1室17は、第1拡散孔21を介して被測定ガス側に連通し、第2拡散孔23を介して第2室19に連通している。また、上記各部を加熱するために一対のヒータ25,27を備えている。さらに、このNOxセンサ1における特徴的な構成として、第1拡散孔21から第1室17にかけての流路内には、導電性多孔質層29が設けられている。
【0013】
これらの内、第1酸素ポンプセル11は、酸素イオン伝導性のある固体電解質層11aの表裏各面に一対の多孔質電極11b,11cを形成したものである。酸素分圧基準セル13は、酸素イオン伝導性のある固体電解質層13aの表裏各面に一対の多孔質電極13b,13cを形成したものである。第2酸素ポンプセル15は、酸素イオン伝導性のある固体電解質層15aの一方の面に一対の多孔質電極15b,15cを形成したものである。
【0014】
第1室17は、第1室17となる穴が打ち抜かれた絶縁層31を、第1酸素ポンプセル11と酸素分圧基準セル13との間に挟み込んで形成されている。第2室19は、第2室19となる穴が打ち抜かれた絶縁層33を、酸素分圧基準セル13と第2酸素ポンプセル15との間に挟み込んで形成されている。
【0015】
第1拡散孔21は、絶縁層31の一部に、ガスの流入を制限する拡散律速層として機能する多孔質体を埋め込んで形成されたものである。第2拡散孔23は、固体電解質層13aの一部に、同じく拡散律速層として機能する多孔質体を埋め込んで形成されたものである。
【0016】
ヒータ25は、図示しないスペーサを介在させて第1酸素ポンプセル11に直接接触しない状態に配置され、ヒータ27も図示しないスペーサを介在させて第1酸素ポンプセル11に直接接触しない状態に配置されている。
導電性多孔質層29は、白金と酸化ジルコニウム粉末を混合して多孔質化したサーメット多孔質体であり、白金には重量比にして0.5外重量%の金が添加されている。この導電性多孔質層29は、酸素のイオン化を促す触媒能力及び電気伝導性を有し、第1室17内にある第1酸素ポンプセル11の多孔質電極11cに電気的に接続されている。そして、第1拡散孔21を介して流入する被測定ガスは、もれなく導電性多孔質層29の内部を通過して第1室17内へ到達するようになっている。
【0017】
このように構成されたNOxセンサ1によって窒素酸化物濃度を測定する際には、NOxセンサ1が目標温度を維持するようにヒータ25,27に与える電力が制御される。また、NO(一酸化窒素)を分解させる程度の電圧が第1酸素ポンプセル11に印加される。この時、酸素分圧基準セル13からの出力電圧が一定値となるように第1酸素ポンプセル11に印加する電圧がフィードバック制御され、第1酸素ポンプセル11の電極間には第1ポンプ電流Ip1が流れる。また、窒素酸化物を分解させる程度の電圧が第2酸素ポンプセル15に印加され、第2酸素ポンプセル15の電極間には第2ポンプ電流Ip2が流れる。
【0018】
この状態において、被測定ガスは、外部から第1拡散孔21を介してNOxセンサ1の内部へと流入し、導電性多孔質層29の内部を通過して第1室17内へ到達する。その際、導電性多孔質層29は、多孔質電極11cに電気的に接続されているため、第1酸素ポンプセル11の負極の一部として機能することになる。そのため、被測定ガス中の酸素は、導電性多孔質層29の内部表面に接触することによってイオン化し、その酸素イオンが導電性多孔質層29の細孔を伝って固体電解質層11aに至り、第1酸素ポンプセル11の作用で第1室17外へと汲み出される。
【0019】
その結果、被測定ガス中の酸素は、導電性多孔質層29を通過する間に大部分が汲み出されてしまうことになり、第2室19へ流入する被測定ガス中には、酸素がほとんど存在しなくなる。すなわち、第1酸素ポンプセル11のポンピング能力が、第1室17の壁面に多孔質電極11cのみを備えているものに比べて格段に高くなる。
【0020】
したがって、第2酸素ポンプセル15の電極間に流れる第2ポンプ電流Ip2の電流値は、第2室19へ流入した窒素酸化物濃度をより正確に反映した電流値となり、従来以上に窒素酸化物濃度の測定精度が高くなる。
このように、上記NOxセンサ1によれば、導電性多孔質層29が、第1拡散孔21から第1室17にかけての流路内に設けられて、第1室17内にある第1酸素ポンプセル11の多孔質電極11cに電気的に接続され、第1室17内へ流入するガスが導電性多孔質層29内を通過するように構成されている。そのため、第1酸素ポンプセル11のポンピング能力が高くなって、第2室19へ到達する酸素がほとんど存在しなくなる。その結果、第2酸素ポンプセル15の電極間に流れる第2ポンプ電流Ip2の電流値は、第2室19へ流入した窒素酸化物濃度をより正確に反映した値となり、従来以上に窒素酸化物濃度の測定精度が高くなる。
【0021】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態については上記のもの以外にも種々の具体的形態が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態として説明したNOxセンサの概略構成を表わす従断面図である。
【符号の説明】
1・・・NOxセンサ、11・・・第1酸素ポンプセル、13・・・酸素分圧基準セル、15・・・第2酸素ポンプセル、17・・・第1室、19・・・第2室、21・・・第1拡散孔、23・・・第2拡散孔、25,27・・・ヒータ、29・・・導電性多孔質層。
Claims (5)
- 第1の拡散律速部を介して被測定ガスに連通する第1室を有し、
前記第1室には、該第1室内の酸素を汲み出しあるいは汲み入れる第1の酸素ポンピング手段が設けられたガスセンサであって、
前記第1の酸素ポンピング手段は、酸素イオン伝導性のある固体電解質層の表裏各面に一対の多孔質電極が形成されるとともに、前記一対の多孔質電極の内、一方の多孔質電極が前記第1室に面する位置に配設された構造になっており、
前記第1室内には多孔質体などで充填されていない空間部と、多孔質体によって充填された多孔質部が存在し、
前記多孔質部は前記第1の拡散律速部から前記空間部を繋ぐ経路の少なくとも一部を充填する様に設けられた多孔質体からなり、
該多孔質体は電気伝導性を有し、且つ酸素のイオン化を促す触媒を有し、前記第1室に面する多孔質電極は前記多孔質体と電気的に導通しており、さらに、
前記第1室に対して、第2の拡散律速部を介して連通する第2室を有し、
該第2室には、被測定ガス中の検出ガスを検出する検出手段が設けられている
ことを特徴とするガスセンサ。 - 前記触媒は、少なくとも白金又はロジウムを含むことを特徴とする請求項1記載のガスセンサ。
- 前記触媒は、金を含有していることを特徴とする請求項1記載のガスセンサ。
- 前記多孔質体は、白金又はロジウム若しくはそれらの合金の多孔質体からなることを特徴とする請求項1記載のガスセンサ。
- 前記多孔質体は、白金又はロジウム若しくはそれらの合金と酸素イオン伝導性を有する固体電解質体を含むことを特徴とする請求項1記載のガスセンサ。
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