JP4268302B2 - 押出しヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム製品を押出し成形する際のロット替えにおいて、押出しヘッド内に残存するゴム量を大巾に減じうる押出しヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
一定断面形状のゴム製品を押出し成形するものとして、図6示すように、ゴム押出機aの前端に、ダイプレートbを有する押出しヘッドcを連結した押出し成形装置が広く知られており、該押出しヘッドcには、前記ゴム押出機a前端の押出し口a1と前記ダイプレートbの成形口b1との間を滑らかに継ぐゴム流過用の案内流路d1が形成されている。
【0003】
この案内流路d1には、
▲1▼ ゴム押出機aからのゴムを、成形口b1から滞留させずに連続的に押し出す:
▲2▼ 成形口b1から押出されたゴムの断面形状を安定化させる:
という目的があり、そのために案内流路d1の押出し方向の長さL0をある程度確保することが要求される。すなわち、前記長さL0が短いと、ゴムに内部応力が残留してしまい、成形口b1から押出された後もこの内部応力によって断面形状が変化するなど、高精度の品質を安定してうることができなくなってしまう。
【0004】
他方、押出し成形では、異なる材質や断面形状のゴム製品を製造する所謂ロット替えが頻繁に行われるが、このとき、投入するゴムの材質を違えたり或いはダイプレートbを取替えたりするために、ロット替え前のゴムを押出し成形装置から出し切ってしまうことが必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、押出し成形装置では、ゴム押出し機aのスクリュー軸a2によって押出し力が付与されるため、ゴムの後端がスクリュー軸の先端を通り過ぎた時点で押出し力は喪失してしまう。その結果、案内流路d1には、その容積相当のゴムが残存することとなる。この残存ゴムは、処分用ゴムとして取出され、廃棄する以外に、例えば他のゴムと混ぜ合わせて再使用したりもするが、不純物となってゴム成分を変化させるなど品質低下の原因となる。
【0006】
従って、この処分用ゴムの発生をできるだけ抑えるために、前記案内流路d1の流路容積を減じることが望まれているが、この案内流路d1は、前記押出し口a1の直径と、成形口b1の形状(サイズを含む)と、前記長さL0とで略決定されるため、その流路容積を減じることは極めて困難であった。
【0007】
そこで本発明は、案内流路の内壁面に点接触して着座する所定形状の中子を、案内流路内に着脱自在に配することを基本として、案内流路における前記▲1▼、▲2▼の目的を達成しながらその流路容積を低減でき、ロット替えに際して発生する処分用ゴムを大巾に削減しうる押出しヘッドの提供を目的としている。
【0008】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、スクリュー軸により押出し口からゴムを押出すゴム押出し機に後端が連結されるヘッド本体と、このヘッド本体の前端に取付き前記押出し口からのゴムを成形して吐出する成形口を有するダイプレートとを具えた押出しヘッドであって、前記押出し口と成形口とを結びかつ成形口に向かって断面積を漸減する案内流路内に中子を配するとともに、この中子は、前記案内流路の内壁面に着座する接触部分を有する中央部と、その前後に設けられ幅が前後に向かって漸減する前後の先細状部とを具え、かつ前記中子は前記接触部分での前記案内流路の内壁面との点接触と、中子後端の前記スクリュー軸の前端部での接触による保持とにより、該中子は着脱時在に前記案内流路に配置されたことを特徴としている。
【0009】
また請求項2の発明では、前記中子は、その前端から前記成形口までの距離Laを、前記成形口から前記スクリュー軸の前端までの距離L0の1/5倍〜1/3倍であることを特徴としている。
【0010】
また請求項3の発明では、前記中子は、後の先細状部の中子中心線に対する角度αを15〜30゜としたことを特徴としている。
【0011】
また請求項4の発明では、前記中子は、その前の先細状部の前端から中央部までの距離Lcを中子の全長Lbの1/4〜1/3倍としたことを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。
図1において、押出しヘッド1は、スクリュー軸2により押出し口3からゴムを押出すゴム押出し機4に後端が連結されるヘッド本体5と、このヘッド本体5の前端に取付き前記押出し口3からのゴムを成形して吐出する成形口6を有するダイプレート7とを具えている。
【0014】
なお前記ゴム押出し機4は、前記スクリュー軸2を収納しかつゴム投入口9が形成されたシリンダ10を具え、電動機Mにより前記スクリュー軸2を駆動させることによって、投入されるゴムを混練しながらシリンダ10前端で開口する押出し口3から押出す周知の構造を有している。
【0015】
又前記ヘッド本体5は、前記シリンダ10前端に後端が連結されるブロック状をなし、その内部には、前記押出し口3と成形口6との間を滑らかに継ぐ案内流路11を形成している。
【0016】
このとき、前記成形口6は、図2(A)〜(C)に示すように、生産されるゴム製品の断面形状に実質的に一致する断面形状をなし、又ゴム押出し機4としては、その押出し口3の断面積3Sが、前記成形口6の断面積6Sよりも大きいサイズのものが使用される。従って、前記案内流路11は、成形口6に向かって断面積SAが、本例では、略一定の割合で漸減し、ゴムを絞るように前方(押出し方向)に向かって押進させる。
【0017】
なお図2(A)〜(C)には、成形口6の縦幅(高さに相当)Hが押出し口3の直径Dよりも小、かつ成形口6の横幅Wが前記直径Dよりも大とした横拡幅タイプの案内流路11の場合の正面図、側部断面図、および上部断面図を夫々示している。しかし案内流路11としては、図3(A)〜(C)に示すように、縦幅Hが直径Dよりも小、かつ横幅Wが直径Dと略同一とした横同幅タイプ、或いは図4に示すように、縦幅Hが直径Dよりも小、かつ横幅Wが直径Dよりも小とした縮幅タイプであってもよい。
【0018】
次に、本願の押出しヘッド1では、前記案内流路11内に、その流路容積を減少させる中子12を着脱自在に配置することに特徴の一つを有している。
【0019】
該中子12は、図2(B)、(C)に代表して示すように、前記案内流路11の内壁面11Sに着座する接触部分13を有する中央部12Mと、その前後に設けられ幅が前後に向かって、本例では、略一定の割合で漸減する前後の先細状部12F、12Rとを具え、スクリュー軸2と略同心に配されている。なお前記「幅」とは縦幅と横幅とを含み、従って、前記中央部12Mは、中子12のうち断面積が実質的に最大の部位として形成される。
【0020】
なおこの中子12では、本例の如く、各部位における断面形状を互いに略相似形とすることが、ゴム流れの安定化のために好ましい。しかし、その断面形状は、例えば図5(A)〜(C)に示すように、例えば真円形や楕円形等の円形状、長方形や正方形等の四角形状、および三角形状など、種々のものが採用できる。
【0021】
又前記中子12の着座は、前記接触部分13が前記内壁面11Sと点接触することによって行われ、従って、接触部分13以外の場所では、中子12は内壁面11Sから離間した浮いた状態に保たれる。なお安定な着座のために、前記接触部分13を3箇所以上設けることが必要であり、この接触部分13は、前記中子12の断面形状が三角形状、四角形状などの場合には、その頂部16(図5(B)、(C)に示す)によって形成することができる。また円形状の場合には、前記中央部12Mの周囲に部分的に設ける突起部17(図5(A)に示す)によって形成することができる。
【0022】
又前記中子12は、その後端が前記スクリュー軸2の前端部2Eに接触して保持され、後方への移動が阻止される。従って、中子12は、その後端への保持と前記着座とによって、着脱自在にかつ位置ズレすることなく案内流路11内に安定して配置される。
【0023】
このように、前記中子12は、案内流路11内に介在することにより、その流路容積を大幅に低減でき、ロット替えに際して発生する処分用ゴムを大巾に削減しうる。
【0024】
さらに中子12は、中央部12Mの前後に先細状部12F、12Rを設けた形状をなし、かつ内壁面11Sから実質的に浮いた状態で保持されるため、ゴム流れに与える影響が極めて小さく、安定したゴム流れを保証する。しかも、案内流路11の長さL0、すなわち成形口6からスクリュー軸2の前端2Eまでの距離L0が充分確保されるため、ゴムを成形口6から滞留させずに連続的に押出しうるとともに、成形口6から押出されたゴムの断面形状を安定化させることができる。
【0025】
ここで、前記ゴムの滞留防止と断面形状の安定化とのために、前記中子12は、その前端から成形口6までの距離Laを、前記距離L0の1/5倍〜1/3倍、又前端から中央部12Mまでの距離Lcを中子12の全長Lbの1/4〜1/3倍とすることが好ましい。なお前記距離LcがLb×1/4未満の時、および前記距離LaがL0×1/5未満の時、内部応力が残留しやすく成形後に変形を招くなど、断面形状の不安定化傾向となる。逆に前記距離LcがLb×1/3より大、および前記距離LaがL0×1/3より大の時、中子12の体積を充分に確保できなくなるか、或いはゴム流れの円滑性が損なわれるなどゴムが滞留を起こしやすくなってしまう。
【0026】
又前記ゴムの滞留防止のためには、前記中子12における、後の先細状部12Rの中子中心線に対する角度αを15〜30゜の範囲とするのも好ましく、30゜を越えると滞留傾向となり、又15゜未満では中子12の体積が過小となる。
【0027】
又案内流路11内でのゴム流れをより円滑に行うために、案内流路11の断面積SAから該中子の断面積SBを減じた実流路断面積Sが、押出し口3から成形口6まで漸減する断面変化形状を有することもまた好ましい。
【0028】
以上、本発明の特に望ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0029】
【発明の効果】
本発明は叙上の如く構成しているため、ゴムを成形口から滞留させずに連続的に押出しでき、かつ成形口から押出されたゴムの断面形状を安定化させうるとともに、案内流路の流路容積を構成簡易に低減でき、ロット替えに際して発生する処分用ゴムを大巾に削減しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の押出しヘッドをゴム押出機とともに示す断面図である。
【図2】(A)〜(C)は案内流路の一例を概念的に示す正面図、側部断面図、および上部断面図である。
【図3】(A)〜(C)は案内流路の他の例を概念的に示す正面図、側部断面図、および上部断面図である。
【図4】(A)〜(C)は案内流路のさらに他の例を概念的に示す正面図、側部断面図、および上部断面図である。
【図5】(A)〜(C)は、中子の中央部における断面形状を例示する、図2〜4のI−I線断面図である。
【図6】従来技術の問題点を説明する押出し成形装置の断面図である。
【符号の説明】
1 押出しヘッド
2 スクリュー軸
3 押出し口
4 ゴム押出し機
5 ヘッド本体
6 成形口
7 ダイプレート
11 案内流路
11S 内壁面
12 中子
12M 中央部
12F、12R 前後の先細状部
13 接触部分
Claims (4)
- スクリュー軸により押出し口からゴムを押出すゴム押出し機に後端が連結されるヘッド本体と、このヘッド本体の前端に取付き前記押出し口からのゴムを成形して吐出する成形口を有するダイプレートとを具えた押出しヘッドであって、前記押出し口と成形口とを結びかつ成形口に向かって断面積を漸減する案内流路内に中子を配するとともに、この中子は、前記案内流路の内壁面に着座する接触部分を有する中央部と、その前後に設けられ幅が前後に向かって漸減する前後の先細状部とを具え、かつ前記中子は前記接触部分での前記案内流路の内壁面との点接触と、中子後端の前記スクリュー軸の前端部での接触による保持とにより、該中子は着脱自在に前記案内流路に配置されたことを特徴とする押出しヘッド。
- 前記中子は、その前端から前記成形口までの距離Laを、前記成形口から前記スクリュー軸の前端までの距離L0の1/5倍〜1/3倍であることを特徴とする請求項1記載の押出しヘッド。
- 前記中子は、後の先細状部の中子中心線に対する角度αを15〜30゜としたことを特徴とする請求項1、2記載の押出しヘッド。
- 前記中子は、その前の先細状部の前端から中央部までの距離Lcを中子の全長Lbの1/4〜1/3倍としたことを特徴とする請求項1〜3記載の押出しヘッド。
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