JP4268227B2 - 固体粒子形成用組成物 - Google Patents
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Description
本発明は固体粒子形成用組成物に関する。さらに本発明はかかる組成物からなる歯周病等の治療剤、予防剤等に関する。
背景技術
従来より生体内における薬効剤等の長期徐放化及び滞留化に向け、製剤学的検討が種々行われている。例えば、マイクロスフェア、ナノスフェア及びマイクロカプセル等の固体粒子の利用もそれら検討の一形態として捉える事が出来る。しかしながら、マイクロスフェア等の製造に伴う問題として、1)高分子を溶解させるために使用する有機溶媒が残留する、2)製造には特殊な装置が必要になるといったこと等が指摘されている。したがって、安全かつ容易にマイクロスフェア等を調製出来る方法についての要望があった。
また、歯周病の治療のためのデリバリーシステムについても、様々な製剤学的検討が行われている。固形製剤における代表的な例に、米国特許第4764377号公報がある。しかしながら、本公報に開示された技術は投与の時にかかる時間やそれに必要な技術、また一定期間後にファイバーを除去しなければならない等、医師、患者共に大きな負担がかかるものである。一方半固形製剤では米国特許第5143934号公報で開示されている組成物がある。しかしながら、組成物投与後の歯周ポケット内での薬剤の滞留性という観点からはとても十分とは言えないものである。したがって、簡便で、かつ投与部位での薬剤の有効濃度の維持を図ることができる技術が求められている。
歯周病治療における歯周ポケットへの薬剤のデリバリーに関して、最近、製剤上重要と思われる要素としては、1)歯周ポケット内への投与が簡便であること、2)歯周ポケット内での長期滞留が可能であること、3)担体として機能する部材が生分解性を有すること等が挙げられる。このような中、例えば米国特許第5236355号公報で開示されているものは、薬効剤を含有したマイクロスフェア製剤に関するものである。ここで開示されている技術においては、相分離という複雑な方法によりマイクロスフェアの調製を実施しているため、コストが高くなり、現在の歯周病治療のコストから考えれば臨床の場での使用は困難と考えられる。さらに、この製剤はマイクロスフェアそのものを投与する形態のものである。
更に、WO92/00718号公報には、歯周ポケット内へのデリバリーシステムについて開示され、これとほぼ同様の製剤的特徴のもとに、米国特許第5242910号公報には、歯周病治療のための徐放性組成物に係る発明が開示されている。これらの公報に開示された歯周病治療用組成物は、いずれも、徐放性担体として機能する高分子(生分解生ポリマー)を可溶化剤に溶解し、そこに薬効剤を溶解又は分散した状態で得られるものである。かかる組成物を投与した場合、可溶化剤が水分中に溶出するのに伴って高分子の固化、薬効剤の放出が起こる。しかし、かかる高分子が一旦固化すると、ほぼその形態を保持したままであるため、深い歯周ポケットの底部や、根分岐部に疾患がある様な歯周ポケットの隅々にまでは薬効剤が行き渡らない可能性もあった。したがって、投与の困難な箇所に効果的に薬剤を投与する技術が求められている。
また、米国特許第4780320号公報で述べられているように、ポケット内に滞留する製剤については、過剰な時間にわたって存在しないように調節することは重要な因子と考えられる。そのため、製剤の設計においては、担体として用いられる部材の生分解性を高めるべく、固化した高分子化合物の表面積を拡大する等の工夫も必要と考えられる。
本発明の第一の目的は、投与操作が簡便で、投与部位での薬剤の有効濃度の維持を図ることができ、投与の困難な箇所に効果的に薬剤を投与することのできる固体粒子形成用組成物を提供することにある。さらに本発明の第二の目的は、安全かつ容易に固体粒子を製造する方法を提供することにある。さらに本発明の第三の目的は、かかる組成物からなる歯周病等の治療剤・予防剤を提供することにある。さらに本発明の第四の目的は、かかる組成物を用いての、歯周病等の効果的な治療方法・予防方法を提供することにある。本発明のこれらの目的及び他の目的は、以下の記載から明らかになるであろう。
発明の開示
本発明の要旨は、
〔1〕生分解性ポリマー、可溶化剤、多価アルコール、増粘剤、及び薬効剤を含有してなり、多価アルコール及び増粘剤に富む連続相中に生分解性ポリマー及び可溶化剤に富む構成成分からなる液体粒子が分散相として存在してなるエマルションから構成されてなる固体粒子形成用組成物、
〔2〕薬効剤を多価アルコール及び増粘剤を含有する混合物に、及び/又は可溶化剤で溶解させた生分解性ポリマーに添加し、前記多価アルコール及び増粘剤を含有する混合物と前記可溶化剤で溶解させた生分解性ポリマーを混合することを特徴とする固体粒子形成用組成物の製造方法、
〔3〕前記〔1〕記載の組成物からなる歯周病又は歯肉炎の治療剤又は予防剤、
〔4〕歯周病又は歯肉炎の治療又は予防に充分な量の、前記〔1〕記載の組成物を歯周ポケットに注入する歯周病又は歯肉炎の治療方法又は予防方法、
〔5)歯周病又は歯肉炎の治療剤又は予防剤を製造するための、前記〔1〕記載の組成物の使用、に関するものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、ポリ乳酸/グリコール酸共重合体に富む固体粒子を示す図である。この像(走査型電子顕微鏡)の倍率は3000倍である。
図2は、ポリ乳酸/グリコール酸共重合体に富む固体粒子を示す図である。この像(走査型電子顕微鏡)の倍率は900倍である。
図3は、試験例2で用いた、裂溝部の形状を示す図である。ここで、裂溝部の幅Pは6mmであり、裂溝部の深さQは30mmであった。
図4は、試験例4で用いた、透析チューブで作製した容器の模式図である。図中、aは透析チューブの結束部を示す。
図5は、試験例5におけるスライドガラスe上の、定位置の中心b、定位置c、固体粒子の「広がり」部分d、及び「広がり」の距離Lの位置関係を示す模式図である。
発明を実施するための最良の形態
1.本発明の固体粒子形成用組成物について
本発明の固体粒子形成用組成物は、生分解性ポリマー、可溶化剤、多価アルコール、増粘剤、及び薬効剤を含有してなり、多価アルコール及び増粘剤に富む連続相中に生分解性ポリマー及び可溶化剤に富む構成成分からなる液体粒子が分散相として存在してなるエマルションから構成されてなる。
本発明の固体粒子形成用組成物に用いられる生分解性ポリマーとしては、非酵素的あるいは酵素的に加水分解されるという性質を有する物であれば特に限定されない。具体的には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアンヒドライド、ポリエステルアミド、ポリリンゴ酸、キチン、及びキトサン等が挙げられ、特にポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/グリコール酸共重合体が歯周ポケット内での適合性という観点から好適なものである。生分解性ポリマーは単独成分のみで構成されていても良く、二種以上の成分の混合物として構成されていても良い。
また、歯周ポケット内で形成される固体粒子の形成性や、歯周ポケット内での固体粒子の分散性の観点から、本発明に用いられる生分解性ポリマーは適度の粘性を示すものが好ましい。具体的には、生分解性ポリマーの固有粘度が0.075〜0.210dl/gの範囲のものが好ましく、0.100〜0.150dl/gの範囲のものがより好ましい。また、生分解性ポリマーの分子量は特に限定されないが重量平均分子量が2000〜50000の範囲が好ましく、5000〜20000の範囲がより好ましい。
本発明の組成物に用いられる可溶化剤としては、生分解性ポリマーを容易に溶解するものであって、その分解性に影響を及ぼすものでなければ特に限定されない。具体的にはクエン酸トリエチル、炭酸プロピレン、N−メチル−2−ピロリドン及びグリセリルトリアセテート等が挙げられ、クエン酸トリエチル、グリセリルトリアセテートが好ましい。可溶化剤は単独成分のみで構成されていても良く、二種以上の成分の混合物として構成されていても良い。
本発明の組成物に用いられる多価アルコールとしては、生分解性ポリマーの分解性に影響を及ぼさないものであって、使用する増粘剤との溶解性が良好なものから選択される。好ましくは、2〜3価のアルコールが挙げられる。具体的には、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,5−ペンタンジオール、及び1,3−ブチレングリコール等が挙げられ、グリセリン、プロピレングリコールが好ましい。多価アルコールは単独成分のみで構成されていても良く、二種以上の成分の混合物として構成されていても良い。
本発明の組成物に用いられる増粘剤としては、多価アルコールに加熱的あるいは非加熱的に溶解し、生体適合性が高く、製剤的に安定したものから選択される。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、コラーゲン、プロテイン、ポリアルブミン、カラギーナン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、及びトラガントガム等が挙げられ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。増粘剤は単独成分のみで構成されていても良く、二種以上の成分の混合物として構成されていても良い。
本発明の固体粒子形成用組成物に用いられる薬効剤としては、使用の対象となる疾患により異なるため一概には規定されないが、本発明の組成物を例えば歯科領域において使用する場合、歯周組織での感染を防ぐもの、炎症の程度を軽減するもの、又は歯周組織の再生に対して有効に作用するもの等の性質を有し、医学的に許容されるものであれば特に限定されない。例えば、抗生物質、抗菌剤、抗真菌剤、抗炎症剤、成長因子、抗腫瘍剤、鎮痛剤、麻酔剤、ワクチン、中枢神経剤、ホルモン、抗ヒスタミン剤、及び抗潰瘍剤等が挙げられる。より具体的には抗生物質としては、テトラサイクリン系抗生物質やマクロライド系抗生物質等が挙げられ、例えば、塩酸ミノサイクリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン等が挙げられる。さらに、メトロニダゾール等の抗生物質も使用できる。抗菌剤としては塩化セチルピリジニウム等の四級アンモニウム塩、クロルヘキシジン等のビスグアニド類、スパルフロキサシン、オフロキサシン等のニューキノロン系抗菌剤、トリクロサン等が挙げられる。また抗真菌剤としては硝酸ミコナゾール、トリコマイシン、アザロマイシン等が挙げられる。抗炎症剤としてはイブプロフェン、フルルビプロフェン、アスピリン、インドメタシン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン等があげられ、成長因子としては血小板由来成長因子、上皮増殖因子、フィブロブラスト成長因子、インシュリン様成長因子等が挙げられる。薬効剤は単独成分のみで構成されていても良く、二種以上の成分の混合物として構成されていても良い。
上記の各成分の含有量は、連続相と分散相とからなるエマルションが安定して存在し得る範囲であれば、特に限定されるものではない。含有量のより好ましい範囲は次の通りである。
生分解性ポリマーは、本発明の組成物の1.0〜30重量%が好ましく、より好ましくは2.0〜10重量%である。有効な薬効剤量を保持する観点から1.0重量%以上が好ましく、放出される薬効剤の量が十分量に達する観点から30重量%以下が好ましい。
可溶化剤は、本発明の組成物の5.0〜40重量%が好ましく、より好ましくは10〜25重量%である。可溶化剤の減少に伴い、溶解可能なポリマー量が減少するが、十分な薬効剤を保持する観点から、可溶化剤の含有量としては5.0重量%以上が好ましく、エマルションの安定性の観点から40重量%以下が好ましい。
多価アルコールは、本発明の組成物の30〜90重量%が好ましく、40〜90重量%がより好ましく、更に好ましくは50〜90重量%、特に好ましくは55〜75重量%である。エマルションの安定性の観点から30重量%以上が好ましく、薬効剤の保持性及びエマルションの安定性の観点から90重量%以下が好ましい。
増粘剤は、本発明の組成物の0.05〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5.0重量%であり、特に好ましくは1.0〜5.0重量%である。エマルションの安定化のために連続相に粘度を付与する観点から0.05重量%以上が好ましく、連続相の粘度上昇がエマルションに与える影響を抑制する観点から10重量%以下が好ましい。
薬効剤の含有量は、所望の効果が発揮できる程度であれば特に限定されないが、本発明の組成物の0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%であり、特に好ましくは0.5〜5重量%である。但し、成長因子は共にそれらの量の1/10程度がより好ましい。いずれの場合も、有効性の観点から下限値以上含有されることが好ましく、また、上限値以上含有しても有効性は上昇しない。
また、多価アルコールと増粘剤の合計量は、本発明の組成物の40〜95重量%であることが好ましく、45〜80重量%であることがより好ましく、65〜80重量%であることが特に好ましい。エマルションの安定性の観点から40重量%以上であることが好ましく、エマルションの安定性及び薬効剤の保持量の観点から95重量%以下が好ましい。
また、本発明の組成物には、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム等の薬理学的に許容される添加剤を添加することもできる。これらの添加剤の含有量は、本発明の組成物の1.0〜30重量%が好ましく、1.0〜25重量%がより好ましく、1.0〜10重量%が特に好ましい。
本発明の組成物は、多価アルコール及び増粘剤に富む連続相中に生分解性ポリマー及び可溶化剤に富む構成成分からなる液体粒子が分散相として存在してなるエマルションから構成されてなるものである。
かかる液体粒子の平均粒径としては、位相差顕微鏡による観察で1〜300μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、5〜40μmが特に好ましく、5〜25μmが最も好ましい。一つの固体粒子に保持される薬効剤の量を確保するという観点から1μm以上が好ましく、歯周ポケット内での分散性の観点から300μm以下が好ましい。
本発明の組成物としては、水分(例えば口腔内の水分)と接触した際に、連続相を構成している多価アルコール及び増結剤の成分が速やかに溶解し、水に対して溶解度の低い生分解性ポリマーに富む構成成分からなる固体粒子を形成するものが好ましい。かかる固体粒子はその形成時(液体粒子形成時も含む)に薬効剤等の周囲の構成成分を取り込むため、該固体粒子は薬効剤を含有する。かかる固体粒子は粒子が小さく、流動性が高いことから、歯周ポケットでの挙動を考えた場合、歯周ポケットの隅々にまで薬効剤を含有する固体粒子が行き渡ることが期待できる。形成される固体粒子の平均粒径としては特に限定されないが、走査型電子顕微鏡による測定で1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、5〜50μmが特に好ましい。
また、歯周ポケット内等に本発明の組成物を投与する場合、該組成物の流動性はシリンジ注入が可能な程度であることが好ましい。
さらに、アクリル酸系重合体やデンプン誘導体等の粘着剤を連続相中に含有させても良い。この場合、形成される固体粒子の付着性がより高いものとなる。かかる組成物は投与部位における滞留性の高い固体粒子を得たい場合に好適に用いられる。アクリル酸系重合体やデンプン誘導体等の粘着剤の具体例としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、デキストリン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン等が挙げられる。かかる粘着剤が含有されてなる組成物における粘着剤の含有量は特に限定されないが、固体粒子形成用組成物の0.005〜1.0重量%が好ましく、0.01〜0.5重量%がより好ましい。粘着剤は単独成分のみで構成されていても良く、二種以上の成分の混合物として構成されていても良い。
また、本発明の組成物においては、通常、薬効剤は連続相及び液体粒子である分散相のいずれにも含有され、それらの間での薬効剤の含有の程度は、連続相や分散相を構成する成分との親和性に依存する。したがって、薬効剤の種類・組み合わせ、各構成成分の種類・組み合わせ等を適宜選択することにより、連続相及び分散相における薬効剤の有効量を調整することができる。液体粒子から生分解性ポリマーに富む構成成分からなる固体粒子が形成されるのに伴い、薬効剤は、その固体粒子内に取り込まれる。
本発明の組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、各構成成分が上記のようなエマルションを形成するように調製することが好ましい。例えば、多価アルコール、増粘剤を含む混合物と、可溶化剤で溶解させた生分解性ポリマーとを混合することにより得ることができる。連続相を構成する成分と分散相を構成する成分とを混合する場合には、両者を50〜60℃前後に維持して適当な攪拌力を与えることが好ましい。このような温度に維持することにより、見かけの粘度を下げて混合しやすい状態が作られる。また、多価アルコールと増粘剤とを混合する場合、多価アルコールを80〜140℃に加熱しても良い。
薬効剤はその特性に応じて、これらの成分を混合する前にいずれかの相の構成成分に添加すれば良い。例えば、多価アルコール、増粘剤及び薬効剤の混合物と、可溶化剤で溶解させた生分解性ポリマーとを混合する態様、多価アルコール及び増粘剤の混合物と、可溶化剤で溶解させた生分解性ポリマーと薬効剤との混合物とを混合する態様、両者のいずれにも薬効剤を添加し、そして両者を混合する態様等が例示できる。また、薬効剤を連続相を構成する成分に添加する場合は、その薬効剤の特性により、加温中に添加しても良く、冷却後に添加しても良い。また、粘着剤を用いる場合、これらの成分は連続相を構成する成分に添加され、溶解させる時には、例えば50〜140℃に加熱しても良い。
2.本発明の治療剤、予防剤及び治療方法、予防方法について
本発明の固体粒子形成用組成物は、薬効剤を含有する固体粒子を得ることができるため、医療分野での利用が可能である。従って、本発明の組成物を用いて種々の疾病に対する治療剤、予防剤及び治療方法、予防方法を提供することができる。取り分け本発明の組成物は、歯科分野において、例えば、歯周病治療、歯肉炎治療、歯周病予防、歯肉炎予防に好適に用いることができる。
本発明の組成物を治療方法及び予防方法に用いる場合、本発明の組成物をそのまま用いても良く、該組成物に水等を添加して予め固体粒子を形成させ、固体粒子が懸濁した懸濁溶液として用いても良い。かかる懸濁溶液は、経口投与、皮下注射、静脈注射等の様々な投与方法により投与することができる。本発明の組成物をそのまま使用する場合、例えば歯周ポケットに注入した場合、唾液中又は歯肉溝浸出液中の水分により固体粒子が形成される。
本発明の治療方法及び予防方法としては、例えば、歯科分野においては、以下の態様が例示できる。
(1)歯周病又は歯肉炎の治療に充分な量の本発明の組成物を歯周ポケットに注入する歯周病又は歯肉炎の治療方法。
(2)歯周病又は歯肉炎の予防に充分な量の本発明の組成物を歯周ポケットに注入する歯周病又は歯肉炎の予防方法。
これらの歯科分野における治療方法及び予防方法において、本発明の組成物の使用量は、例えば、薬効剤として抗菌剤等を用いる場合、病原性菌の消失に充分な量である。使用頻度は、1〜2週に1回投与で、投与回数は1回あるいは2回が好ましい。歯周ポケットへの固体粒子形成用組成物の注入量は、歯周ポケットを充満させる量(約50mg)であることが好ましい。
このように、本発明の組成物を歯周病又は歯肉炎の治療方法及び予防方法に用いることができることから、本発明の組成物を、歯周病又は歯肉炎の治療剤として、及び歯周病又は歯肉炎の予防剤として用いることができる。かかる本発明の治療剤及び予防剤において、その原因として考えられる歯周病原性菌の殺菌及び静菌の観点から、薬効剤としては塩酸ミノサイクリンが好ましい。
さらに、本発明は、歯周病又は歯肉炎の治療剤又は予防剤を製造するための、本発明の固体粒子形成用組成物の使用を提供する。
以下、実施例、比較例及び試験例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
実施例1
以下の組成の各成分を用いて固体粒子形成用組成物を調製した。
塩酸ミノサイクリン 10重量%(力価)
ポリ乳酸/グリコール酸共重合体 10重量%
(50/50(重量比)、固有粘度0.130dl/g、重量平均分子量10000)
クエン酸トリエチル 10重量%
ゼラチン 0.1重量%
デキストリン 0.05重量%
塩化マグネシウム 20重量%
濃グリセリン 残部
濃グリセリンに塩化マグネシウム、ゼラチン、デキストリンを分散させ、加熱して溶解させた。冷却後、塩酸ミノサイクリンを分散・溶解させた。一方、ポリ乳酸/グリコール酸共重合体をクエン酸トリエチルに溶解させた。この両液を50〜60℃に維持しながら、濃グリセリン溶液中にクエン酸トリエチル溶液を加え、均一に混合して所望の組成物を得た。この組成物を光学顕微鏡で観察したところ、約5〜15μmの粒径の液体粒子が確認できた。
このようにして得られた固体粒子形成用組成物を蒸留水中に懸濁させ、ポリ乳酸/グリコール酸共重合体に富む固体粒子を形成させた。この懸濁液を遠心分離処理に付して、形成された固体粒子を分離した。分離された粒子を蒸留水で2回洗浄した。ついで、少量の蒸留水に該粒子を懸濁させ、この懸濁液を凍結乾燥した。この凍結乾燥されたポリ乳酸/グリコール酸共重合体に富む固体粒子を走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、該粒子は約5〜25μmの粒径(平均粒径は12.5μm)の固体粒子であることが分かった。図1に、ポリ乳酸/グリコール酸共重合体に富む固体粒子の走査型電子顕微鏡による写真を示す。
実施例2
以下の組成の各成分を用いて、実施例1と同様の方法で固体粒子形成用組成物を調製した。
塩酸ミノサイクリン 10重量%(力価)
ポリ乳酸/グリコール酸共重合体 10重量%
(50/50(重量比)、固有粘度0.130dl/g、重量平均分子量10000)
クエン酸トリエチル 10重量%
ゼラチン 0.5重量%
塩化マグネシウム 20重量%
濃グリセリン 残部
この組成物を光学顕微鏡で観察したところ、約5〜15μmの粒径の液体粒子が確認できた。また、この組成物を実施例1と同様の方法で処理して得られた固体粒子を観察した結果、該粒子は約10〜30μmの粒径(平均粒径は20μm)の固体粒子であった。
実施例3
以下の組成の各成分を用いて、実施例1と同様の方法で固体粒子形成用組成物を調製した。
塩酸ミノサイクリン 2.0重量%(力価)
ポリ乳酸/グリコール酸共重合体 3.5重量%
(75/25(重量比)、固有粘度0.132dl/g、重量平均分子量10000)
クエン酸トリエチル 13.5重量%
ゼラチン 1.5重量%
塩化マグネシウム 5.0重量%
濃グリセリン 残部
この組成物を光学顕微鏡で観察したところ、約5〜15μmの粒径の液体粒子が確認できた。
また、この組成物を実施例1と同様の方法で処理して得られた固体粒子を観察した結果、該粒子は約10〜30μmの粒径(平均粒径は20μm)の固体粒子であることがわかった。図2に、ポリ乳酸/グリコール酸共重合体に富む固体粒子の走査型電子顕微鏡による写真を示す。
実施例4〜12
(1)生分解性ポリマー及び可溶化剤
ポリ乳酸/グリコール酸共重合体(50/50(重量比)、固有粘度0.130dl/g、重量平均分子量10000)が50重量%のクエン酸トリエチル溶液を調製した。
(2)多価アルコール、増粘剤及び薬効剤
約100℃に加熱した濃グリセリンにゼラチンを加えて溶解させた後、冷却した。ゼラチンの濃度は3.0重量%とした。冷却後、最終濃度が2重量%(力価)となるように、塩酸ミノサイクリンを配合した。
次いで、(1)のクエン酸トリエチル溶液と(2)のグリセリン溶液を混合して固体粒子形成用組成物を調製した。
(1)及び(2)の混合は、それぞれ5:95、10:90、20:80、30:70、40:60、50:50、60:40、70:30及び80:20の重量比で行った。
実施例13〜18
(1)生分解性ポリマー及び可溶化剤
ポリ乳酸/グリコール酸共重合体(50/50(重量比)、固有粘度0.130dl/g、重量平均分子量10000)が50重量%のクエン酸トリエチル溶液を調製した。
(2)多価アルコール、増粘剤及び薬効剤
約100℃に加熱した濃グリセリンに塩化マグネシウム及びゼラチンを添加した。さらに、デキストリン(実施例13)、カルボキシビニルポリマー(実施例14)、キサンタンガム(実施例15)、グアーガム(実施例16)、ペクチン(実施例17)のいずれかを添加し、溶解させた。ゼラチンの濃度を3.0重量%、デキストリン等の濃度を0.1重量%とした。また、デキストリン等を添加しない例を実施例18とした。冷却後、最終濃度が2重量%(力価)となるように塩酸ミノサイクリンを配合した。
ついで(1)のクエン酸トリエチル溶液と(2)のグリセリン溶液とを20:80の重量比で混合して、固体粒子形成用組成物を調製した。
実施例19
以下に示す組成の各成分を用いて、実施例1と同様の方法により固体粒子形成用組成物を調製した。
塩化セチルピリジニウム 5.0重量%
炭酸プロピレン 20重量%
ポリカプロラクトン 5.0重量%
(固有粘度0.100dl/g、重量平均分子量7500)
ヒドロキシエチルセルロース 2.0重量%
プロピレングリコール 残部
得られた組成物を光学顕微鏡で観察したところ、約10〜20μmの液体粒子が確認できた。また、実施例1と同様の方法で処理して得られた固体粒子を観察した結果、粒径が約30〜40μm(平均粒径は35μm)の固体粒子であった。
実施例20
以下に示す組成の各成分を用いて、実施例1と同様の方法により固体粒子形成用組成物を調製した。
フルルビプロフェン 1.0重量%
ポリ乳酸 10重量%
(固有粘度0.087dl/g、重量平均分子量5000)
グリセリルトリアセテート 25重量%
ゼラチン 2.5重量%
濃グリセリン 残部
得られた組成物を光学顕微鏡で観察したところ、約10〜20μmの液体粒子が確認できた。また、実施例1と同様の方法で処理して得られた固体粒子を観察した結果、粒径が約25〜40μm(平均粒径は30μm)の固体粒子であった。
比較例1
以下に示す組成の各成分を用いて、組成物を調製した。
塩酸ミノサイクリン 2重量%(力価)
ポリ乳酸/グリコール酸共重合体 48重量%
(50/50(重量比)、固有粘度0.130dl/g、重量平均分子量10000)
グリセリルトリアセテート 残部
グリセリルトリアセテートにポリ乳酸/グリコール酸共重合体を溶解させ、次いで塩酸ミノサイクリンを分散させ、組成物を得た。この組成物は均一なゲル状であり、この組成物を光学顕微鏡で観察したところ、液体粒子は確認できなかった。
比較例2
以下に示す組成の各成分を用いて、組成物を調製した。
塩酸ミノサイクリン 2重量%(力価)
ポリ乳酸 70重量%
(固有粘度0.122dl/g、重量平均分子量10000)
N−メチル−2−ピロリドン 残部
N−メチル−2−ピロリドンにポリ乳酸を溶解させ、次いで塩酸ミノサイクリンを分散させ、組成物を得た。この組成物は均一なゲル状であり、この組成物を光学顕微鏡で観察したところ、液体粒子は確認できなかった。
試験例1
6〜10mmの歯周ポケットを持つ被験者30名に対して、実施例1、実施例3及び比較例1の固体粒子形成用組成物を、ルートキャナルシリンジを用いてそれぞれ10名ずつ投与し、歯周ポケット内の塩酸ミノサイクリンの滞留性を検討した。投与前に、被験者にはスケーリング、ルートプレーニングを行った。投与7日後、10日後にペーパーストリップスを用いて歯肉溝浸出液(GCF)の回収を行い、そこに含まれる塩酸ミノサイクリンを測定した。GCF1mL中、塩酸ミノサイクリンが0.1μg以上の濃度で存在する被験者を検出例とした。結果を表1に示す。
この結果から実施例1及び実施例3の製剤では、10日後でも80%の被験者から有効量の薬効剤が検出されており、比較例と比べても非常に高い数値である。これは、本発明の剤形では投与後、微少な固体粒子が形成され、該固体粒子がポケット底部にまで確実に到達し保持されるためと考えられる。実施例3の組成物を用いた場合では7日後で約240μg/ml、10日後で約80μg/ml程度の歯周病原性菌に対して十分殺菌あるいは静菌できる塩酸ミノサイクリンの濃度が確認された。また、実施例1の組成物を用いた場合では、それぞれ420μg/ml、190μg/mlの濃度の塩酸ミノサイクリンの濃度が確認された。このことから、粘着剤が配合された組成物を用いた場合、残留する薬剤の濃度が大きく向上することが分かった。これは、粘着剤の配合により、形成される固体粒子の付着力を向上させ、その結果歯周ポケット内での固体粒子の滞留性が高められたことによるものと考えられる。
試験例2
固体粒子形成用組成物から遊離する固体粒子の、歯周ポケット底部等の狭い間隙への到達性を検討するために、in vitroでの試験を実施した。寒天により、図3に示すような裂溝のあるモデルを作成した。裂溝部及び寒天の周りはリン酸緩衝液で満たしておき、上部よりルートキャナルシリンジを用い、実施例1、実施例3、比較例1及び比較例2の組成物を注入した。組成物の底部への到達は目視及び底部の塩酸ミノサイクリンを検出することで行った。結果を表2に示す。
表2より、本発明の固体粒子形成用組成物は、狭い間隙であっても、該組成物から遊離した固体粒子を隅々にまで行き渡らせるものであることが分かった。
試験例3
生分解性ポリマー及び可溶化剤と、多価アルコール及び増粘剤との配合比の検討を行った。実施例4〜12で得られた固体粒子形成用組成物について、エマルションの安定性、及び固体粒子中の薬効剤の滞留性について確認を行った。
エマルションの安定性は、本組成物を40℃で1ヶ月間放置し、その組成物の性状を目視及び顕微鏡により観察することで評価した。本組成物の性状は、二相に分離しているかどうか、エマルションの状態を保持しているかどうかを主眼として観察した。
◎:二相分離は見られず、エマルションも安定して存在した。
○:二相分離の傾向又はエマルションの減少のいずれかが見られた。
×:二相分離の傾向及びエマルションの減少のいずれもが見られた。
薬効剤の滞留性は、次のようにして評価した。
約0.1gの固体粒子形成用組成物を透析チューブ(三光純薬(株)製、分画分子量12000〜14000)に入れ、100mLのリン酸緩衝液に対して、37℃、48時間透析し、透析外液中の塩酸ミノサイクリン量を測定した。透析前の固体粒子形成用組成物に含まれる塩酸ミノサイクリン量と透析外液中の塩酸ミノサイクリン量から、透析チューブ内に滞留する塩酸ミノサイクリンの割合、即ち、固体粒子に封入されている塩酸ミノサイクリンの割合を算出した。
表3に結果を示す。
表3から、連続相と分散相との割合が極端な場合、エマルションの安定性が低下する傾向が見られた。特に連続相が少ない場合、エマルションの形成自体が起こらなかった。また、分散相の割合を大きくすることにより、固体粒子に取り込まれる薬効剤の量を多くすることができる傾向が確認された。
試験例4
実施例13〜18で調製した固体粒子形成用組成物について、形成される固体粒子の滞留性の試験を実施した。滞留性の評価は次のように実施した。透析チューブ(三光純薬(株)製、商品No.UC−16−32−100)を用いて、図4に示すような容器を作製した。図4に示されるように、透析チューブの一端は閉じられている。
その中に約100mgの組成物を入れ、直ちに約50μLの蒸留水を滴下した。次いで、容器内に水が入らないように、蒸留水が満たされた水槽の水面にこの容器を浮かべた。5分後又は10分後に、容器内に水槽の蒸留水が入るように水中で容器を逆さまに向けた。30分間、透析チューブの閉じられていない一端を下にした状態を維持した。次いで、容器を乾燥させ、重量変化により固体粒子の滞留性を評価した。結果を表4に示す。
滞留率は次のように求めた。即ち、透析チューブの重量の増加量を容器内に滞留した固体粒子の量とし、この量を容器内に添加した組成物の量で割った。得られた値を百分率で示し、滞留率とした。結果から明確なように、デキストリン又はカルボキシビニルポリマーを添加した場合、5分後および15分後のいずれの滞留性も高いことがわかった。
試験例5
実施例13〜18で調製した固体粒子形成用組成物を用い、下記のようなin vitroの試験を実施した。図5に示されるように、スライドガラス上の定位置に固体粒子形成用組成物を、それぞれ約100mgのせ、約20度の角度をもたせて水中に静置した。10分後、スライドガラスを軽く水中で左右に振り、付着していない成分を除去した。次いで、このスライドガラスを乾燥させた。試験前後のスライドガラスの重量変化及び付着した固体粒子の広がり(定位置の中心bから下端に向けての距離:L)から、固体粒子の流動性と滞留性を評価した。
結果を表5に示す。
結果から明確なように、デキストリン又はカルボキシビニルポリマーを配合した組成物の場合、スライドガラス表面への付着性が高く、また、広がりの距離が長いものであった。このことから、粘着剤を配合してなる固体粒子形成用組成物は、形成される固体粒子の流動性及び滞留性がともに高いものであり、歯科分野における治療用、予防用の組成物として極めて好ましい性質を有するものであった。
均等物
当業者であれば、単なる日常的な実験手法によって、本明細書に記載された発明の具体的態様に対する多くの均等物を認識し、あるいは確認することができるであろう。そのような均等物は、下記請求の範囲に記載されるような本発明の範疇に含まれるものである。
産業上の利用可能性
本発明の固体粒子形成用組成物は、薬効剤を含有する担体を狭隘な歯周ポケットの隅々にまで行き渡らせるものである。薬効剤を含有する担体は歯周ポケット中での滞留性が高く、そのために長期にわたって薬効剤を高濃度で維持することが可能である。したがって、かかる組成物を用いることにより、より効果的な歯周病等の治療方法・予防方法を提供することができる。また、本発明の製造方法は固体粒子を簡便かつ安全に製造する方法である。
Claims (20)
- 生分解性ポリマー、可溶化剤、多価アルコール、増粘剤、及び薬効剤を含有してなり、多価アルコール及び増粘剤に富む連続相中に生分解性ポリマー及び可溶化剤に富む構成成分からなる平均粒径が1〜300μmの液体粒子が分散相として存在してなるエマルションから構成されてなる固体粒子形成用組成物。
- 生分解性ポリマーの含有量が1.0〜30重量%、可溶化剤の含有量が5.0〜40重量%、多価アルコールの含有量が30〜90重量%、増粘剤の含有量が0.05〜10重量%、そして薬効剤の含有量が0.1〜20重量%である請求項1記載の組成物。
- 薬効剤を多価アルコール及び増粘剤を含有する混合物に、及び/又は可溶化剤で溶解させた生分解性ポリマーに添加し、前記多価アルコール及び増粘剤を含有する混合物と前記可溶化剤で溶解させた生分解性ポリマーとを混合して得られる請求項1又は2記載の組成物。
- 水分と接触した際に、生分解性ポリマーに富む構成成分からなる固体粒子を形成する請求項1〜3いずれか記載の組成物。
- さらに粘着剤が連続相中に含有されてなる請求項1〜4いずれか記載の組成物。
- 粘着剤の含有量が0.005〜1.0重量%である請求項5記載の組成物。
- 多価アルコールと増粘剤の合計量が40〜95重量%である請求項1〜6いずれか記載の組成物。
- 多価アルコールがグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,5−ペンタンジオール、及び1,3−ブチレングリコールからなる群より選ばれる一種以上のものである請求項1〜7いずれか記載の組成物。
- 生分解性ポリマーがポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアンヒドライド、ポリエステルアミド、ポリリンゴ酸、キチン、及びキトサンからなる群より選ばれる一種以上のものである請求項1〜8いずれか記載の組成物。
- 可溶化剤がクエン酸トリエチル、炭酸プロピレン、N−メチル−2−ピロリドン及びグリセリルトリアセテートからなる群より選ばれる一種以上のものである請求項1〜9いずれか記載の組成物。
- 増粘剤がポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、コラーゲン、プロテイン、ポリアルブミン、カラギーナン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、及びトラガントガムからなる群より選ばれる一種以上のものである請求項1〜10いずれか記載の組成物。
- 薬効剤が抗生物質、抗菌剤、抗真菌剤、抗炎症剤、成長因子、抗腫瘍剤、鎮痛剤、麻酔剤、ワクチン、中枢神経剤、ホルモン、抗ヒスタミン剤、及び抗潰瘍剤からなる群より選ばれる一種以上のものである請求項1〜11いずれか記載の組成物。
- 薬効剤がテトラサイクリン系抗生物質、ニューキノロン系抗菌剤及びマクロライド系抗生物質からなる群より選ばれる一種以上のものである請求項1〜12いずれか記載の組成物。
- 粘着剤がカルボキシビニルポリマー及び/又はデキストリンである請求項5〜13いずれか記載の組成物。
- 薬効剤を多価アルコール及び増粘剤を含有する混合物に、及び/又は可溶化剤で溶解させた生分解性ポリマーに添加し、前記多価アルコール及び増粘剤を含有する混合物と前記可溶化剤で溶解させた生分解性ポリマーを混合することを特徴とする、請求項1〜14いずれか記載の固体粒子形成用組成物の製造方法。
- 請求項1〜14いずれか記載の組成物からなる歯周病又は歯肉炎の治療剤。
- 薬効剤として塩酸ミノサイクリンを含む請求項16記載の治療剤。
- 請求項1〜14いずれか記載の組成物からなる歯周病又は歯肉炎の予防剤。
- 薬効剤として塩酸ミノサイクリンを含む請求項18記載の予防剤。
- 歯周病又は歯肉炎の治療剤又は予防剤を製造するための、請求項1〜14いずれか記載の組成物の使用。
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