JP4317606B2 - 固体粒子形成用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は固体粒子形成用組成物に関する。さらに本発明は歯周病の治療方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より生体内における薬効剤等の長期徐放化及び滞留化に向け、製剤学的検討が種々行われている。例えば、マイクロスフェア、ナノスフェア及びマイクロカプセル等の固体粒子の利用もそれら検討の一形態として捉えることが出来る。しかしながら、マイクロスフェア等の製造に伴う問題として、1)高分子を溶解させるために使用する有機溶媒の残留性、2)製造には特殊な装置が必要になるといったこと等が指摘されている。したがって、安全かつ容易にマイクロスフェア等を調製できる方法についての要望があった。
【0003】
一方歯周病の治療についてもデリバリーシステムを中心に製剤学的検討がなされている。固形製剤における代表的な例に、米国特許第4764377号公報がある。しかしながら、本公報に開示された技術は投与の時にかかる時間やそのために必要な技術、また一定期間後にそれらを除去しなければならない等、医師、患者共に大きな負担がかかるものである。一方半固形製剤では米国特許第5143934号公報出開示されている組成物がある。しかしながら、組成物投与後の歯周ポケット内での薬剤の滞留性という観点からはとても十分とは言えないものである。従って、簡便でかつ投与部位での薬剤の有効濃度の維持を図ることが望まれている。
歯周病治療における歯周ポケットへの薬剤のデリバリーに関して、製剤上重要と考えられる要素として、1)歯周ポケット内への投与が簡便であること、2)歯周ポケット内での長期滞留が可能であること、3)担体として機能する部材が生分解性を有すること等が挙げられる。このような中例えば米国特許第5236355号公報で開示されるものは薬効剤を含有したマイクロスフェア製剤に関するものである。ここで開示されている技術においては相分離等の方法によりマイクロスフェアの調製を実施しているため、コストが高く、現在の歯周病治療の場から考えればその使用は困難と考えられる。
さらに、WO92/00718号公報には歯周ポケット内へのデリバリーシステムについて開示され、これとほぼ同様の製剤的特徴のもとに、米国特許第5242910号公報には歯周病治療のための徐放性組成物に係る発明が開示されている。これらの公報に開示された歯周病治療用組成物は、いずれも徐放性担体として機能する高分子(生分解性ポリマー)を可溶化剤に溶解し、そこに薬効剤を溶解又は分散した状態で得られるものである。かかる組成物を投与した場合、可溶化剤が水分中に溶出するのに伴って高分子の固化、薬効剤の放出が起こる。しかし、かかる高分子が一旦固化すると、ほぼその形態を保持したままであるため、深い歯周ポケットの底部や、根分岐部に疾患がある様な歯周ポケットの隅々にまでは薬効剤が行き渡らない可能性もあった。従って、投与の困難な部位に効果的に薬剤をデリバリーする技術が求められている。
【0004】
また、米国特許第4780320号公報で述べられている様に、ポケット内に滞留する製剤については、過剰な時間にわたって存在しないように調節することは重要な因子と考えられる。そのため、製剤の設計においては、担体として用いられる部材の生分解性を高めるべく、固化した高分子化合物の表面積を拡大する等の工夫も必要と考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、投与操作が簡便で、投与部位での薬剤の有効濃度の維持を図ることができ、投与の困難な箇所に効果的に薬剤を投与することの出来る固体粒子形成用組成物を提供することにある。さらに本発明の第二の目的は、安全かつ容易に固体粒子を製造する方法を提供することにある。さらに本発明の第三の目的は、かかる組成物からなる歯周病等の治療剤・予防剤を提供することにある。さらに本発明の第四の目的は、かかる組成物を用いての、歯周病等の効果的な治療方法・予防方法を提供することにある。さらに、第五の目的は、形成された固体粒子への薬効剤の取込みを向上させる方法の提供を行うことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、生分解性ポリマー、可溶化剤、多価アルコール、薬効剤、及び2価の金属塩を含有し、さらに2価の金属塩を生分解性ポリマーに対して1/10量以上となるように配合した固体粒子形成用組成物を得た。
【0007】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 生分解性ポリマー、可溶化剤、多価アルコール、薬効剤、及び2価の金属塩を含有してなる固体粒子形成用組成物、
水分と接触した際に、生分解性ポリマーに富む構成成分からなる固体粒子を形成する前記
〔1〕記載の固体粒子形成用組成物、
〔3〕 固体粒子形成時に生分解性ポリマーへの薬効剤の取込みに関して、その向上のため生分解性ポリマーに対してある一定の配合比で2価の金属塩を含有する前記〔1〕又は〔2〕記載の固体粒子形成用組成物、
〔4〕 前記〔1〕記載の組成物からなる歯周病又は歯肉炎の治療剤又は予防剤、
〔5〕 歯周病又は歯肉炎の治療剤又は予防剤を製造するための、前記〔1〕記載の組成物の使用、に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の固体粒子形成用組成物は、生分解性ポリマー、可溶化剤、多価アルコール、薬効剤、そして2価の金属塩を含有し、多価アルコール及び2価の金属塩に富む連続相中に生分解性ポリマー及び可溶化剤に富む構成成分からなる液体粒子が存在してなるエマルションから構成されてなり、水分と接触した時に生分解性ポリマーを中心とした固体粒子を形成するとともに、固体粒子への薬効剤の取込について向上を行ったものである。
【0009】
固体粒子形成用組成物に用いられる生分解性ポリマーとしては、非酵素的あるいは酵素的に加水分解されるという性質を有する物であれば特に限定されない。具体的には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸/グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアンヒドライド、ポリエステルアミド、ポリリンゴ酸、キチン、及びキトサン等が挙げられるが、本発明の2価の金属塩との関係から見た場合、特にポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸/グリコール酸共重合体が好適なものとして選択される。これら生分解性ポリマーは単独成分のみで構成されていても良く、二種以上の成分の混合物として構成されていても良い。
【0010】
また、歯周ポケット内で形成される、生分解性ポリマーに富む構成成分からなる固体粒子の滞留性の観点から、本発明に用いられる生分解性ポリマーは適度の粘性を示すものが好ましい。具体的には、生分解性ポリマーの固有粘度が0.075〜0.21dl/gの範囲のものが好ましく、0.1〜0.15dl/gの範囲のものがより好ましい。また、生分解性ポリマーの分子量は特に限定されないが重量平均分子量が2000〜50000の範囲が好ましく、5000〜20000の範囲がより好ましい。
【0011】
本発明の固体粒子形成用組成物に用いられる可溶化剤としては、生分解性ポリマーを容易に溶解し、その分解性に影響を及ぼすものでなければ特に限定されない。具体的にはクエン酸トリエチル、炭酸プロピレン、N−メチル−2−ピロリドン及びグリセリルトリアセテート等が挙げられ、クエン酸トリエチル、グリセリルトリアセテートが好ましい。可溶化剤は単独成分のみで構成されていても良く、二種以上の成分の混合物として構成されていても良い。
【0012】
本発明の固体粒子形成用組成物に用いられる多価アルコールとしては、生分解性ポリマーの分解性に影響を及ぼさないものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,5−ペンタンジオール、及び1,3−ブチレングリコール等が挙げられ、グリセリン、プロピレングリコールが好ましい。多価アルコールは単独成分のみで構成されていても良く、二種以上の成分の混合物として構成されていても良い。
【0013】
本発明の固体粒子形成用組成物に用いられる2価の金属塩としては製剤の安定性等に影響を及ぼすものでなければ特に限定されない。具体的にはマグネシウム塩、カルシウム塩及びバリウム塩が考えられる。これらは単独成分のみで構成されていても良く、二種以上の成分の混合物として構成されていても良い。
【0014】
本発明の固体粒子形成用組成物に用いられる薬効剤としては、使用の対象となる疾患により異なるため一概には規定されないが、本発明の組成物を例えば歯科領域において使用する場合、歯周組織での感染を防ぐもの、炎症の程度を軽減するもの、又は歯周組織の再生に対して有効に作用するもの等の性質を有し医学的に許容されるものであれば特に限定されない。例えば、抗生物質、抗菌剤、抗真菌剤、抗炎症剤及び成長因子、抗腫瘍剤、鎮痛剤、麻酔剤、ワクチン、中枢神経剤、ホルモン、抗ヒスタミン剤及び抗潰瘍剤等が挙げられる。より具体的には抗生物質としては、テトラサイクリン抗生物質やマクロライド系抗生物質とうが挙げられ、例えば塩酸ミノサイクリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン等が挙げられる。抗菌剤としては塩化セチルピリジニウム等の四級アンモニウム塩、クロルヘキシジン等のビスグアニド類、スパルフロキサシン、オフロキサシン等のニューキノロン系抗菌剤、トリクロサン等が挙げらる。また抗真菌剤としては硝酸ミコナゾール、トリコマイシン、アザロマイシン等が挙げられる。抗炎症剤としてはイブプロフェン、フルルビプロフェン、アスピリン、インドメタシン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン等があげられ、成長因子としては血小板由来成長因子、上皮増殖因子、フィブロブラスト成長因子、インシュリン様成長因子等が挙げられる。特に本発明の中で好適に用いられる薬効剤としてはテトラサイクリン系抗生物質、マクロライド系抗生物質及びニューキノロン系抗菌剤が挙げられる。薬効剤は単独成分のみで構成されていても良く、二種以上の成分の混合物として構成されていても良い。
【0015】
上記の各成分の配合量は、連続相と液体粒子とから構成されるエマルションが安定して存在し得る範囲であれば、特に限定されるものではない。配合量のより好ましい範囲は次の通りである。
生分解性ポリマーは、本発明の固体粒子形成用組成物の1.0〜30重量%が好ましく、より好ましくは2.0〜10重量%である。有効な薬効剤量を配合する観点から1.0重量%以上が好ましく、放出される薬効剤の量が充分量に達する観点から30重量%以下が好ましい。
2価の金属塩の配合量は生分解性ポリマーに対して1/10量以上が好ましく、さらに、1/2量以上、2培量以下がより好ましい。薬効剤取込み効果の点から1/10以上が好ましい。
【0016】
可溶化剤は、本発明の固体粒子形成用組成物の5.0〜40重量%が好ましく、より好ましくは10〜25重量%である。可溶化剤の減少に伴い、溶解可能なポリマー量が減少するが、十分な薬効剤を保持する観点から、可溶化剤の配合量としては5.0重量%以上が好ましく、エマルションの安定性の観点から40重量%以下が好ましい。
【0017】
多価アルコールは、本発明の固体粒子形成用組成物の30〜90重量%が好ましく、40〜90重量%がより好ましく、更に好ましくは50〜90重量%、特に好ましくは55〜75重量%である。エマルションの安定性の観点から30重量%以上が好ましく、薬効剤の保持性及びエマルションの安定性の観点から90重量%以下が好ましい。
【0018】
薬効剤の配合量は、所望の効果が発揮できる程度であれば特に限定されないが、本発明の固体粒子形成用組成物の0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%である。但し、成長因子は共にそれらの量の1/10程度が好ましい。いずれの場合も、有効性の観点から下限値以上の配合が好ましく、また、上限値以上配合しても有効性は上昇しない。
本発明の固体粒子形成用組成物は、上記成分に加えてさらに、組成物の形態に応じた以下のような適当な成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0019】
例えば、増粘剤としては、多価アルコールに加熱的あるいは非加熱的に溶解し、生体適合性が高く、製剤的に安定したものから選択される。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、コラーゲン、プロテイン、ポリアルブミン、カラギーナン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、及びトラガントガム等が挙げられ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。増粘剤は単独成分のみで構成されていても良く、二種以上の成分の混合物として構成されていても良い。増粘剤に配合量は、本発明の固体粒子形成用組成物の0.05〜10重量%が好ましい。エマルションの安定化のために連続相に粘度を付与する観点から0.05重量%以上が好ましく、連続相の粘度上昇がエマルションに与える影響を抑制する観点から10重量%以下が好ましい。
【0020】
本発明の固体粒子形成用組成物は、二相の親水性の違いから、多価アルコール及び増粘剤に富む相中に生分解性ポリマー及び可溶化剤に富む構成成分からなる液体粒子が分散して存在してなるエマルションから構成されてなるものである。
かかる液体粒子の平均粒径としては、位相差顕微鏡による観察で1〜300μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、5〜40μmが特に好ましく、5〜25μmが最も好ましい。一つの微粒子に保持される薬効剤の量を確保するという観点から1μm以上が好ましく、歯周ポケット内での分散性の観点から300μm以下が好ましい。
【0021】
本発明の固体粒子形成用組成物としては、水分(例えば口腔内の水分)と接触した際に、外相を形成している連続相が速やかに流出し、水に対して溶解度の低い生分解性ポリマーに富む構成成分からなる微少な固体粒子を形成するものが好ましい。かかる固体粒子は、その形成時(液体粒子形成時も含む)に薬効剤等の周囲の構成成分を取り込むため、該固体粒子は薬効剤を含有する。かかる固体粒子は粒子が小さく、流動性が高いことから、歯周ポケットの隅々にまで薬効剤を含有する生分解性ポリマーが行き渡り、その場で滞留することが期待できる。形成される固体粒子の平均粒径としては特に限定されないが位相差顕微鏡による測定で1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、5〜50μmが特に好ましい。
また、本発明の固体粒子形成用組成物の流動性は、シリンジ注入が可能な程度であることが好ましい。
【0022】
また、本発明の固体粒子形成用組成物においては、通常、薬効剤は、連続相及び液体粒子のいずれにも含有され、それらの間での薬効剤の含有の程度は、連続相や液体粒子を構成する成分との親和性に依存する。したがって、薬効剤の種類・組み合わせ、各構成成分の種類・組み合わせ等を適宜選択することにより、連続相及び液体粒子における薬効剤の有効量を調整することができる。薬効剤は、液体粒子から生分解性ポリマーに富む構成成分からなる固体粒子が形成されるのに伴い、その固体粒子内に取り込まれる。
【0023】
本発明の組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、各構成成分が上記の様なエマルションを形成するように調製することが好ましい。例えば、多価アルコール、増粘剤及び2価の金属塩を含む混合物と、可溶化剤で溶解させた生分解性ポリマーとを混合する事により得ることが出来る。連続相を構成する成分と分散相を構成する成分とを混合する場合には、両者を50〜60℃程度に維持して適当な攪拌力を与えることが好ましい。
【0024】
薬効剤はその特性に応じて、これらの成分を混合する前にいずれかの相の構成成分として添加すればよい。例えば、多価アルコール、増粘剤、2価の金属塩及び薬効剤の混合物と可溶化剤で溶解させた生分解性ポリマーとを混合する態様、多価アルコール、増粘剤及び2価の金属塩の混合物と可溶化剤で溶解させた生分解性ポリマーと薬効剤との混合物とを混合する態様、両者のいずれにも薬効剤を添加し、そして両者を混合する態様等が例示出来る。また、薬効剤を連続相を構成する成分に添加する場合、その薬効剤の特性により、加温中に添加しても良く、冷却後に添加してもよい。
【0025】
本発明の固体粒子形成用組成物は、薬効剤を含有する固体粒子を得ることが出来るため、医療分野での利用が可能である。したがって、本発明の組成物を用いて種々の疾病に対する治療剤、予防剤及び治療方法、予防方法を提供することが出来る。とりわけ本発明の組成物は、歯科分野において、例えば、歯周病治療、歯肉炎治療、歯周病予防、歯肉炎予防に好適に用いることが出来る。
本発明の組成物を治療方法及び予防方法に用いる場合、本発明の組成物をそのまま用いても良く、該組成物に水等を添加して予め固体粒子を形成させ、固体粒子が懸濁した懸濁溶液としても良い。かかる懸濁溶液は経口投与、皮下注射、静脈注射等の様々な投与方法により投与することが出来る。本発明の組成物をそのまま使用する場合、例えば歯周ポケットに注入した場合、唾液中又は歯肉溝滲出液中の水分により固体粒子が形成される。
【0026】
本発明の治療方法及び予防方法としては、例えば、歯科分野においては、以下の態様が例示できる。
歯周病又は歯肉炎の治療に十分な量の本発明の組成物を歯周ポケットに注入する歯周病又は歯肉炎の治療方法
歯周病又は歯肉炎の予防に十分な量の本発明の組成物を歯周ポケットに注入する歯周病又は歯肉炎の予防方法
これらの歯科分野における治療方法及び予防方法において、本発明の組成物の使用量は、例えば、薬効剤として抗菌剤等を用いる場合、病原性菌の消失に十分な量である。使用頻度は、1〜2週に1回投与で、投与回数は1回或は2回が好ましい。歯周ポケットへの固体粒子形成用組成物の注入量は、歯周ポケットを充満させる量(約50mg)である事が好ましい。
【0027】
このように、本発明の組成物を歯周病又は歯肉炎の治療方法及び予防方法に用いることが出来ることから、本発明の組成物を、歯周病又は歯肉炎の治療剤として、及び歯周病又は歯肉炎の予防剤として用いることが出来る。かかる本発明の治療剤及び予防剤において、その原因として考えられる歯周病原性菌の殺菌及び静菌の観点から、薬効剤としては塩酸ミノサイクリンが好ましい。さらに、本発明は、歯周病又は歯肉炎の治療剤又は予防剤を製造するための、本発明の固体粒子形成用組成物の使用を提供する。
【0028】
【実施例】
以下、実施例および試験例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【0029】
実施例1
以下の組成の各成分を用いて固体粒子形成用組成物を調製した。
塩酸ミノサイクリン 5.0重量%(力価)
乳酸/グリコール酸共重合体 10.0重量%
(75/25(重量比)、固有粘度0.132dl/g、重量平均分子量10000)
クエン酸トリエチル 10.0重量%
ヒドロキシエチルセルロース 1.5重量%
塩化マグネシウム 10.0重量%
濃グリセリン 残部
【0030】
濃グリセリンに塩化マグネシウム及びヒドロキシエチルセルロースを分散させ、加熱して溶解させた。冷却後、塩酸ミノサイクリンを分散させた。一方、乳酸/グリコール酸共重合体をクエン酸トリエチルに溶解させた。この両液を50〜60℃に維持しながら、濃グリセリン溶液中にクエン酸トリエチル溶液を加え、均一に混合して所望の組成物を得た。この組成物を位相差顕微鏡で観察したところ、約5〜15μmの粒径の液体粒子が確認できた。
【0031】
実施例2
以下の組成の各成分を用いて固体粒子形成用組成物を調製した。
塩酸ミノサイクリン 5.0重量%(力価)
乳酸/グリコール酸共重合体 10.0重量%
(75/25(重量比)、固有粘度0.132dl/g、重量平均分子量10000)
クエン酸トリエチル 10.0重量%
ヒドロキシエチルセルロース 1.5重量%
塩化マグネシウム 10.0重量%
濃グリセリン 残部
濃グリセリンに塩化マグネシウム及びヒドロキシエチルセルロースを分散させ、加熱して溶解させた。冷却後、塩酸ミノサイクリンを分散させた。一方、乳酸/グリコール酸共重合体をクエン酸トリエチルに溶解させた。この両液を50〜60℃に維持しながら、濃グリセリン溶液中にクエン酸トリエチル溶液を加え、均一に混合して所望の組成物を得た。この組成物を位相差顕微鏡で観察したところ、約5〜15μmの粒径の液体粒子が確認できた。
【0032】
実施例3
以下の組成の各成分を用いて固体粒子形成用組成物を調製した。
塩酸ミノサイクリン 5.0重量%(力価)
ポリ乳酸 10.0重量%
(固有粘度0.122 、重量平均分子量10000 )
トリアセチン 10.0重量%
ヒドロキシエチルセルロース 1.5重量%
塩化カルシウム 10.0重量%
濃グリセリン 残部
実施例1と同様の方法にて調製を行い、所望の組成物を得た。この組成物を位相差顕微鏡で観察したところ、約10〜20μmの粒径の液体粒子が確認できた。
【0033】
実施例4
以下の組成の各成分を用いて固体粒子形成用組成物を調製した。
塩酸ミノサイクリン 5.0重量%(力価)
乳酸/グリコール酸共重合体 10.0重量%
(75/25(重量比)、固有粘度0.132dl/g、重量平均分子量10000)
トリアセチン 10.0重量%
ヒドロキシエチルセルロース 1.5重量%
塩化バリウム 5.0重量%
濃グリセリン 残部
実施例1と同様の方法にて調製を行い、所望の組成物を得た。この組成物を位相差顕微鏡で観察したところ、約10〜20μmの粒径の液体粒子が確認できた。
【0034】
実施例5
以下の組成の各成分を用いて固体粒子形成用組成物を調製した。
エリスロマイシン 5.0重量%
乳酸/グリコール酸共重合体 10.0重量%
(50/50(重量比)、固有粘度 0.13 、重量平均分子量10000)
クエン酸トリエチル 10.0重量%
ヒドロキシエチルセルロース 2.0重量%
塩化マグネシウム 5.0重量%
濃グリセリン 残部
実施例1と同様の方法にて調製を行い、所望の組成物を得た。この組成物を位相差顕微鏡で観察したところ、約5〜20μmの粒径の液体粒子が確認できた。
【0035】
実施例6
以下の組成の各成分を用いて固体粒子形成用組成物を調製した。
オフロキサシン 5.0重量%
乳酸/グリコール酸共重合体 10.0重量%
(75/25(重量比)、固有粘度 0.132dl/g、重量平均分子量10000)
クエン酸トリエチル 10.0重量%
ヒドロキシエチルセルロース 2.0重量%
塩化マグネシウム 5.0重量%
濃グリセリン 残部
実施例1と同様の方法にて調製を行い、所望の組成物を得た。この組成物を位相差顕微鏡で観察したところ、約10〜20μmの粒径の液体粒子が確認できた。
【0036】
実施例7
表1に示す薬効剤 5.0重量%(力価)
乳酸/グリコール酸共重合体 10.0重量%
(75/25(重量比)、固有粘度0.132dl/g、重量平均分子量10000)
クエン酸トリエチル 10.0重量%
ヒドロキシエチルセルロース 1.5重量%
表1に示す2価の金属塩 表1に示す
濃グリセリン 残部
実施例1と同様の方法にて調製を行い、所望の組成物を得た。
【0037】
試験例
実施例7に従って表1に相当する被験物質を調製し、下記の試験を実施した。
試験方法:
(1)100μlの蒸留水を予め1.5ml容遠心チュ−ブに入れておき、そこに約100mgの製剤を投入する。
(2)37℃の中において1時間静置する。
(3)静置後、遠心を行い、上清を捨てる。
(4)沈殿部分をジメチルホルムアミド(DMF)にて完全に溶解する。
(5)DMFにて適当に希釈を行い、吸着した薬剤の吸光度を測定する。
【0038】
結果を表1にまとめた。いずれも2価の金属イオンを添加しなかった時の吸着量を100としそれに対する比較で数値を表した。いずれの項目においてもその添加量が増加するにつれて吸着量は増加しており顕著な効果が認められる。
【0039】
【表1】
【発明の効果】
固体粒子形成時に生分解性ポリマーに保持される薬効剤の量を増加させることにより、長期間に渡る
薬効剤の放出を維持することができ、歯周病治療の効果を高める事が出来る。
Claims (5)
- 生分解性ポリマー、可溶化剤、多価アルコール、薬効剤、及び2価の金属塩を含有してなる固体粒子形成用組成物。
- 生分解性ポリマーの含有量が1.0〜30重量%、可溶化剤の含有量が5.0〜40重量%、多価アルコールの含有量が30〜90重量%、薬効剤の含有量が0.1〜20重量%、であり、2価の金属塩を生分解性ポリマーに対して1/10量以上となるように配合した、請求項1に記載の固体粒子形成用組成物。
- 2価の金属塩が薬理学的に供されるマグネシウム塩、カルシウム塩及びバリウム塩から選択される1種以上のものである請求項1又は2に記載の固体粒子形成用組成物。
- 生分解性ポリマーがポリ乳酸、ポリグリコール酸及び乳酸/グリコール酸共重合体から選択される1種以上のものである請求項1〜3いずれか記載の固体粒子形成用組成物。
- 薬効剤がテトラサイクリン系抗生物質、マクロライド系抗生物質及びニューキノロン系抗菌剤から選択される1種以上のものである請求項1〜4いずれか記載の固体粒子形成用組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28346498A JP4317606B2 (ja) | 1998-09-18 | 1998-09-18 | 固体粒子形成用組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28346498A JP4317606B2 (ja) | 1998-09-18 | 1998-09-18 | 固体粒子形成用組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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