JP4268122B2 - 顎歯模型用の歯牙組成 - Google Patents

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本発明は、歯科医師を目指す学生が、口腔内作業を体験し、治療の練習をする顎歯模型用に用いる歯牙である。具体的には支台歯形成、窩洞形成等の形体付与を体験する為に用いる歯牙組成に関する。
口腔内治療練習用の顎歯模型用の歯牙は、エポキシ樹脂、メラニン樹脂で製造されることが多く、一般に普及している。
しかし、エポキシ樹脂、メラニン樹脂では切削感が異なることから支台歯形成や窩洞形成の練習をしても実際の口腔内での作業をした場合では異なる切削感、作業性から当惑する事が多かった。具体的には、エポキシ樹脂、メラニン樹脂は軟らかく切削を多くしてしまう傾向にあり、天然歯は硬いために思った様に切削できない傾向にあった。その結果、強く削ってしまい、上手く形体を作れないことも発生する可能性がある。
もう少し、硬い材料を求められた結果、コンポジットタイプのものが市販されている。コンポジットタイプの歯牙であっても、天然歯と切削感が異なることから支台歯形成や窩洞形成の練習をしても実際の口腔内での作業をした場合では異なる切削感、作業性から当惑する事が多かった。分かりやすい表現では滑る感覚があり、天然歯とは大きく違う切削感である。
特開平5−224591には、天然歯と極めて類似した切削性を有し、歯科教育切削実習用として好適な歯牙模型を提供することが示されている。主要構成成分として、無機物粉体と架橋型樹脂とを、重量比で20%対80%乃至70%対30%の割合で含有している。
本発明の歯牙模型を構成する無機物粉体としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、等々が紹介され、上記化合物に限定されるものではなく、各種の無機物粉体を用いることができる。
しかし、天然歯と切削感が異なることから支台歯形成や窩洞形成の練習をしても実際の口腔内での作業をした場合では異なる切削感、作業性から当惑する事が多かった。また、無機物粉末体の開示のみである。
特開平5−216395には、天然歯と極めて類似した切削性を有し、歯科教育切削実習用として好適な歯牙模型及びその製造方法を提供することが紹介されている。歯牙模型の主要構成成分として、気孔率が40〜80%のヒドロキシアパタイト粉末と、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂とを、重量比で20%対80%乃至50%対50%の割合で含有しているものである。
従来の歯牙模型は、切削性において満足できる状況にない。従って、天然歯と切削性において類似する歯牙模型の開発が望まれていることが示されているものの、十分な切削感を示すものではなかった。
特開平5−224591には、歯科医学生の歯周疾患治療実習に最適に用いることができる歯牙模型を提供する。構成として歯牙模型は、歯冠部の少なくとも表面がヌープ硬度70以上を有し、歯根部の少なくとも表面がヌープ硬度10〜40を有するものである。
本文中に「歯牙模型の作製法及び経済的な観点から如何なる硬度の素材、例えば金属、セラミクス、樹脂で形成されていてもよく、更には空洞であってもよい。」との記載があるが、切削感の観点から解決されていない。
特開平5−241498、特開平5−241499、特開平5−241500には、無機充填材の記載やハイドロキシアパタイト充填材の記載があるがいずれも樹脂を母材とするものであり、切削感の解決には至っていない。
特開2004−94049には、レーザー光線を利用した正確な形状計測を可能とする歯科実習用模型歯を提供する発明が記載している。
明細書中には、「本発明の模型歯の歯冠部表面を構成する材料としては、一般的に公知のものを用いることが可能であり、例えば、セラミックス等の磁器あるいはアクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体(ABS)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂材料や、メラミン、ユリア、不飽和ポリエステル、フェノール、エポキシ等の熱硬化性樹脂材料、さらには、これらの主原料にガラス繊維、カーボン繊維、パルプ、合成樹脂繊維等の有機、無機の各種強化繊維、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ等の各種充填材、顔料や染料等の着色剤、あるいは耐候剤や帯電防止剤等の各種添加剤を添加したものを用いることが出来る。」との記載があるが、好ましい材質の記載がなく、切削感を解決するものでは無かった。
具体的な組成としての開示がなく、切削感について歯冠部と歯根部との関係を示しているのみである。
顎歯模型はこれらの課題を抱えているにも関わらず、研究報告されているものは殆ど見当たらない。
特開2004−94049 特開平5−241498 特開平5−241499 特開平5−241500 特開平5−224591 特開平5−216395 特開平5−224591
従来の顎歯模型は、天然歯と切削感が異なることから支台歯形成や窩洞形成の練習をしても実際の口腔内での作業をした場合では異なる切削感、作業性から当惑する事が多かった。分かりやすい表現では滑る感覚や容易に削れる感覚などが異なり、天然歯とは大きく違う切削感である。
天然歯と同じような切削感を得られる顎歯模型様の歯牙が求められている。
本発明は、口腔内治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、歯牙の組成がアルミナ系から作製されることを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
本発明は、口腔内治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、歯牙の組成がアルミナシリケートガラスであることを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
本発明は、口腔内治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、歯牙の組成がAlが5〜40%、SiOが60〜95%であることを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
本発明は、CIM技術を用いて作製することが好ましい。
本発明の歯牙を用いて支台歯形成、窩洞形成をすることによって、一早く天然歯牙と同様な切削感を体験でき、形成体験が容易に行える。また、これらの形成技術を早く取得することができる。
本顎歯模型は人体の中で最も硬い天然歯牙の代用物質で、通常の材料では切削時に軟らかく感じてしまうのに対し、天然歯牙と同様な切削感を得ることができる。切削体は400000回転/分という高速回転するダイヤモンド研削材(エアータービン使用)を用いた切削である人口腔内と同様な環境で同じような体験ができる。
成形において高速回転する切削体と接触する為、顎との適合性が重要であり、精密に成形できるCIMが好ましい。他の流し込み成形などでは十分な成形性が得られなかった。
更に、歯牙模型の歯冠の形状も重要であり、支台歯形成や窩洞形成の目標となり隆起部分や窩、咬頭などが正確に表現されていることが重要であり、CIMでの成形が適している。
本発明の歯牙は歯質と同じように白色、アイボリー色、乳白色、半透明色とすることができるため、よりリアルな切削体験をすることができる。
本発明は口腔内治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、顎分野やマネキン部分は適宜選択することができる。但し、選択にあたって適合性を確認する為の処置を施すことは重要である。例えば、歯牙挿入口の大きさに適宜合わせることは重要である。
好ましくは歯牙の組成がAl2O3が5〜40%、SiO2が40〜90%であり、また更に好ましくはAl2O3が20〜35%、SiO2が45〜70%であり、また更にAl2O3が25〜33%、SiO2が55〜65%であることが好ましい。
酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化リチウムの内1つ以上を1〜15%、更には3〜10%含有することが好ましい。
他の配合成分としては、ホウ酸、りん酸、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化リチウム、石灰、マグネシヤ、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化鉛、チタニア、酸化亜鉛、ジルコニアと適宜加えることは好ましい。更に、融点を下げる為にソーダ、酸化カリウム、酸化リチウムを加えることは更に好ましい。
副原料として、弁柄、三酸化コバルト、酸化ニッケル、重クロム酸カリ、酸化クロム、二酸化マンガン、過マンガン酸カリ、五酸化バナジウム、金属セレン亜セレン酸ソーダ、酸化第二銅、硫酸銅、酸化第一銅、塩化金、硝酸銀、硫黄華、硫化ソーダ、蛍石、ケイフッ化ソーダ、アパタイトを加えることは好ましく、更に、蛍石、ケイフッ化ソーダ、アパタイトを加えることは好ましい。
本発明の組成が歯冠部分に用いられていれば十分であるが、歯牙の大部分が本発明の組成で作成されていることが好ましい。
本発明をCIM技術で作成することが好ましい。
CIMとは、次の工程で製造される成型技術である。
▲1▼無機粉末を熱可塑性樹脂やワックスなどの樹脂(1000℃ぐらいまでに熱で分解するもの)で練和し、ペレットを作製する。
▲2▼一定の形状の射出成形用の金型を作製し、▲1▼で作製したペレットを射出成型する。
▲3▼成型後、樹脂を脱脂(温度を上げて、樹脂成分を分解すること)する。
▲4▼次に、残った無機粉末体を焼成し、形体付与ができるまで焼き上げ成形する。
本技術を用いて、歯牙を作製することは、成形性などを鑑み、最も適した方法である。
アルミナ歯牙の場合:
(鋳込成型の場合)
液状原料用のセラミックス原料としてのアルミノシリケート粉体(Alが19%、SiOが74%、平均粒径0.15μm)100gを溶媒として水を用いポットミル中において混合・粉砕・分散し、スラリーを作製した。得られたスラリーをあらかじめ歯牙形体の陰型石膏型に鋳込成形し、1500〜1750℃で焼成して歯牙形状のアルミノシリケート焼成体を得た。
得られた歯牙形状アルミノシリケート焼成体の特性を実施例No.1〜4として表1に示す。
(CIMの場合)
原料としてのCIM用アルミノシリケートペレット(Alが14%、SiOが50%、バインダー30%、平均粒径0.15μm)100gを用いて、歯牙形体の陰型金型に、射出成形し、600℃3時間にて脱脂し、1300℃で焼結して歯牙形体を作製した。
得られた歯牙形状の特性を実施例No.5〜8として表1に示す。

Claims (4)

  1. 口腔内治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、
    アルミノシリケート粉体を顎歯模型用の歯牙形体に成型し、アルミノシリケート焼成体とすることを特徴とする顎歯模型用歯牙。
  2. 請求項1記載の口腔内治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、
    アルミノシリケート粉体を樹脂で練和し、型にて成型し、脱脂し、焼成することを特徴とする顎歯模型用歯牙。
  3. 請求項1または2記載の口腔内治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、
    顎歯模型用歯牙の組成がAl:5〜40%、SiO:60〜95%であることを特徴とする顎歯模型用歯牙。
  4. 口腔内治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、
    CIM技術を用いて作製された請求項1〜3いずれかに記載の顎歯模型用歯牙。
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