JP4268119B2 - 透明導電性積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明では、まず、図1に示すように、透明なフィルム基材1の一方の面に透明な導電性薄膜2を形成し、他方の面に透明な粘着剤層3を介して、透明基体4を貼り合わせることにより、加熱処理工程に供する前の透明導電性積層体Aを作製する。
例えば、透明なフィルム基材1には、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等が好ましく用いられ、透明基体4には、エポキシ系樹脂フィルムやポリエーテルサルフォンフィルム等が好ましく用いられ、これらの材料の中から、両者の線膨張係数の差が上記範囲となるように適宜選択する。
この貼り合わせは、透明基体4の方に透明な粘着剤層3を設けておき、これに透明な導電性薄膜2が形成されたフィルム基材1を貼り合わせるようにしてもよいし、逆に上記のフィルム基材1の方に透明な粘着剤層3を設けておき、これに透明基体4を貼り合わせるようにしてもよい。後者の方法は、粘着剤層3の形成をフィルム基材1をロール状にして連続的に行うことができるので、生産性の面でより有利である。
具体的な粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等、光学用途に用いられている公知の粘着剤が挙げられる。この粘着剤層3は、透明基体4の貼り合わせ後、そのクッション効果によりフィルム基材1の一方の面に設けられた導電性薄膜2の耐擦傷性および打点特性を向上させる機能を有する。
また、透明な粘着剤層3の厚さが5μm未満となると、そのクッション効果をやはり期待できなくなり、耐擦傷性および打点特性の向上を望めなくなる。また、透明な粘着剤層3の厚さが50μmを超えると、透明性を損なったり、粘着剤層3の形成や透明基体4の貼り合わせ作業性さらにコストの面で好結果を得にくい。
本発明では、この加熱処理工程として、図2に示すように、透明導電性積層体Aを透明なフィルム基材1側を上にして、凹状の型枠5中に透明基体4側が凹状面5aに沿うように屈曲して設置し、つまり透明基体4側を下方に凸状に屈曲して設置し、この状態で加熱処理工程に供し、さらにこの状態のまま冷却する。
そこで、本発明では、上記の加熱処理後も、型枠5中に屈曲設置した状態のまま、冷却することにより、上記変形を防止する。すなわち、透明基体4側を凹状面5aに沿うように屈曲設置した状態(つまり、透明基体4側を凸状に屈曲設置した状態)で冷却すると、透明基体4の冷却収縮が起こってもこれが上記凹状面5aで食い止められて、透明基体4側の上記凸状の屈曲状態が維持され、あるいは変形が生じても凹状変形にまでは至らず、結局、反対側の透明な導電性薄膜2が凸状に変形するのが防がれる。
図3は、このように加熱処理工程に供されたのちの透明導電性積層体Bを用いて、上部稼動電極P1を構成し、この上部稼動電極P1と、基板11上に導電性薄膜12を形成した下部稼動電極P2とを、導電性薄膜同志2,12が対向するように、スペーサ6を介して対向配設して作製したタッチパネルの一例を示している。
つぎに、本発明の実施例を記載して、さらに具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
つぎに、上記透明なフィルム基材の他方の面に、弾性係数が2×106 dyn/cm2 、厚さが25μmの透明なアクリル系粘着剤層を介して、厚さが150μmのエポキシ系樹脂フィルム〔線膨張係数:70ppm/℃、150℃の加熱収縮率(MD0.1%、TD0.1%)〕からなる透明基体を貼り合わせることにより、図1に示すような加熱処理工程に供する前の透明導電性積層体を作製した。
この透明導電性積層体を、図2に示すように、曲率半径Rが600mmの円弧状の凹状面を有する凹状の型枠中に、透明なフィルム基材側を上にし透明基体側が上記凹状面に沿うように屈曲して設置した。この状態で熱風循環式オーブンにて150℃で1時間加熱したのちオーブンから取り出し、30分間、室温環境に放置して冷却した。その後、型枠から取り出したところ、透明基体側が凸状面であり、反対側の透明なフィルム基材上のITO薄膜側が厚さ方向に凹状面である透明導電性積層体を得た。
このタッチパネルについて、テスターにより上下部両稼動電極の接近によるニュートンリングの発生や上下部両稼動電極の接触の有無を観察した。ニュートンリングの発生や上記接触はみられず、タッチパネルとして良好に機能させることができた。
つぎに、上記透明なフィルム基材の他方の面に、実施例1と同様の透明なアクリル系粘着剤層を介して、厚さが100μmのポリエーテルサルフォンフィルム〔線膨張係数:55ppm/℃、150℃の加熱収縮率(MD0.2%、TD0.2%)〕からなる透明基体を貼り合わせることにより、図1に示すような加熱処理工程に供する前の透明導電性積層体を作製した。
この透明導電性積層体を、実施例1と同様にして、凹状の型枠中に屈曲設置した状態で加熱処理および冷却を行い、その後、型枠から取り出したところ、ITO薄膜側が厚さ方向に凹状面である、実施例1と同様の透明導電性積層体を得た。
この加熱処理工程に供した透明導電性積層体を上部稼動電極として、実施例1と同様にして、タッチパネルを作製した。このタッチパネルについて、実施例1と同様にテスターにより観察したところ、ニュートンリングの発生や上下部両稼動電極の接触はみられず、タッチパネルとして良好に機能させることができた。
実施例1で作製した加熱処理工程に供する前の透明導電性積層体を、凹状の型枠を使用しないで、熱風循環式オーブンにて加熱処理したのち取り出し、室温環境に放置して冷却した。この加熱処理工程後の透明導電性積層体は、透明基体側が凹状に変形し、反対側の透明なフィルム基材上のITO薄膜側が厚さ方向に凸状に変形していた。
この透明導電性積層体を上部稼動電極として、実施例1と同様にタッチパネルを作製した。実施例1と同様にテスターにより観察したところ、ニュートンリングが発生し、また上下部両稼動電極の接触がみられ、タッチパネルとして機能しなかった。
透明基体として、厚さが150μmのエポキシ系樹脂フィルムに代えて、厚さが100μmのポリメチルメタアクリレートフィルム〔線膨張係数:70ppm/℃、150℃の加熱収縮率(MD10.0%、TD9.0%)〕を使用した以外は、実施例1と同様にして、図1に示すような加熱処理工程に供する前の透明導電性積層体を作製した。
この透明導電性積層体は、透明基体の線膨張係数Y1と透明なフィルム基材の線膨張係数Y2との差(Y1−Y2)が42ppm/℃であり、また150℃加熱収縮率の差が、MD方向で9.4%、TD方向で9.0%であった。
この透明導電性積層体を上部稼動電極として、実施例1と同様にタッチパネルを作製した。実施例1と同様にテスターにより観察したところ、ニュートンリングが発生し、また上下部両稼動電極の接触がみられ、タッチパネルとして機能しなかった。
2 透明な導電性薄膜
3 透明な粘着剤層
4 透明基体
5 型枠
5a 凹状面
R 曲率半径
A 加熱処理工程に供する前の透明導電性積層体
B 加熱処理工程に供したのちの透明導電性積層体
P1 上部稼動電極
P2 下部稼動電極
Claims (1)
- 厚さが10〜100μmの透明なフィルム基材の一方の面に厚さが5nm以上の透明な導電性薄膜を形成し、他方の面に弾性係数が1×105 〜1×107 dyn/cm2 、厚さが5〜50μmの透明な粘着剤層を介して、厚さが50〜200μmの透明基体を貼り合わせてなり、透明基体の線膨張係数Y1が透明なフィルム基材の線膨張係数Y2よりも大きく,その差(Y1−Y2)が10〜50ppm/℃であり、かつ透明基体と透明なフィルム基材との同一方向の150℃加熱収縮率の差が1.0%以下である透明導電性積層体を作製し、この積層体を透明なフィルム基材側を上にして曲率半径が800mm以下の凹状の型枠中に透明基体側が上記凹状面に沿うように屈曲して設置し、この状態で加熱処理工程に供し、さらにこの状態のまま冷却し、その後に型枠から取り出して、透明な導電性薄膜側の表面形状が平坦面であるか、あるいは厚さ方向に凹状面である透明導電性積層体を得ることを特徴とする透明導電性積層体の製造方法。
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