少なくとも部分的に透明なディスプレーウィンドーアセンブリを含む、現在入手可能な多くの種類の携帯用電子機器がある。これらは、例えば、メディアプレーヤー、携帯電話、携帯情報端末(PDAs)、ポケットベルのようなコンパクトな電子機器、ラップトップコンピュータ、及びノートパソコンを包含する。ディスプレースクリーンアセンブリは、例えば、液晶ディスプレー(LCD)のような画像表示層、ユーザー入力用のタッチセンサー層、及び画像表示層を保護するために用いられる少なくとも1つの外部カバー層などの、複数の部品の層を含むことができる。これらの各層は、通常、互いに圧縮成形されるか又は結合されている。
現在用いられている携帯用電子機器の多くは、過度な機械的及び/又は化学的損傷、特に、不注意な取り扱い及び/又は落下によって、使用者のポケットやハンドバッグの中にある鍵などと画面との接触によって、或いは頻繁なタッチスクリーンの使用によって、損傷を受けている。例えば、スマートフォンやPDAsのタッチスクリーン表面及びインターフェースは、物質的なユーザーインターフェースを引っかいたりへこませたりという摩耗によって損傷を受けるかもしれず、そして、これらの傷は、機械的又はその他の衝撃を受けた場合にスクリーン及び/又は下層の部品をより破壊させ易くする圧力の集中部位として作用するかもしれない。また、使用者の皮膚の油又はその他の汚れが表面を覆うこともあり、機器の劣化をさらに促進するかもしれない。このような摩耗及び化学的な作用は下層の電子表示部品の画像の鮮明さを減少する原因になるかもしれず、機器の使用やその性能を享受することを潜在的に妨げ、機器の寿命を制限する。
携帯用電子機器のディスプレーウィンドーの耐久性を増大するために、種々の方法及び材料が用いられてきた。例えば、高分子コーティング又は高分子層を、劣化からの保護を与えるためにタッチスクリーン表面に適用し得る。しかしながら、このような層は、タッチスクリーンの感度を低下させるだけでなく、下層の電子表示の画像の鮮明さも妨げる可能性がある。さらに、コーティング物質もまた多くの場合へこみやすい材質であるので、コーティング物質それ自体が容易に損傷を受ける可能性があり、定期的な交換を必要とするか、或いは機器の寿命を制限する。
別の一般的なアプローチは、より高度に化学的にそして引っかきにも耐性な物質をディスプレーウィンドーの外部表面として使用することである。例えば、いくつかの携帯用機器のタッチセンサースクリーンは、Corning 社から入手可能な「ゴリラガラス(gorilla glass)」と呼ばれる物質のような、強度を増大するためにナトリウムイオンをカリウムイオンで置換した、化学的に強化されたアルカリアルミノケイ酸塩ガラスの層を含むようである。しかしながら、この種のガラスであっても多くのより硬い物質によって引っかき傷を付けられることもあり、さらに、ガラスであるが故に、脆性破壊する傾向があり粉砕することもある。サファイアも、ディスプレーアセンブリの外層用の物質として又はディスプレーウィンドーの表面に適用される別個の防護シートとして提案され使用されてきた。しかしながら、サファイアは、現在入手できる厚さでは他と比較して特に高価であり、また極薄層としては容易に入手できない。
本発明は、少なくとも1つの薄いサファイア層を有するカバープレートを含有してなる電子機器、該カバープレート、該サファイア層、及びこれらを製造する方法に関する。
本発明の電子機器は、少なくとも1つの透明ディスプレー領域を有するカバープレートを含有してなり、例えばカバープレートが上に置かれたディスプレー要素からの画像を、該透明ディスプレー領域を通して表示できる。非透明領域が存在してもよく、特に、境界線のような装飾的要素として、或いはディスプレーの各種機能部分を表現する要素として、存在してもよい。電子機器は、ディスプレー又はディスプレー要素を含有してなる当該技術分野で公知の如何なるものでもよく、例えば、これらに限定されないが、mp3プレーヤーのような音楽及び/又はビデオのための電子メディアプレーヤー、携帯電話、携帯情報端末(PDAs)、ポケットベル、ラップトップコンピュータ、又は電子ノートブックを含む、動かせる又は持ち運べる電子機器などが挙げられる。それらの機器のディスプレー要素は、複数の部品の層を含有してもよく、例えば、LCDのような画像表示層、及びタッチスクリーンアプリケーションの一部としてのタッチセンサー層を含む。ディスプレー要素の表面は、例えば電子機器のデザインに応じて変化してもよい。例えば、ディスプレー要素の表面は、平らな表面、又は(定義された断面曲率半径を有している)曲がった表面であってよい。さらに表面は、硬くても柔らかくてもよい。カバープレートは、機器のディスプレー要素のディスプレー表面に貼り付けることができ、好ましくは表面全体に貼り付けられ、如何なる曲率にも適合し曲げられた時にも貼り付いたままとなる。或は、カバープレートは別個の保護層であってもよく、保護層はディスプレー要素の上部、好ましくは表面全体を覆うように取り付けるか又はその上に配置することができ、所望により後に取り外すことができる。
本発明の電子機器のカバープレートは、例えば、30ミクロン未満、25ミクロン未満、20ミクロン未満、又はさらに15ミクロン未満を含む、50ミクロン未満の厚さを有する、1つ又はそれ以上のサファイア層、すなわち薄層を含有してなる。より厚いサファイア層はより固いと予想されるのに対して、より薄い層は比較的しなやかで曲げることができると予想される。したがって、カバープレートは、単一の独立した極薄のサファイア層であってもよく、又は少なくとも1つの層が50ミクロン未満の厚さを有する極薄のサファイア層である、複数の層を含有していてもよい。カバープレートは、2〜5層のような2〜10層を含む、2層以上の50ミクロン未満の厚さを有するサファイア層すなわち薄層を含むこともできる。例えば、カバープレートは単一の独立したサファイア多層複合材であってよく、それぞれの層は50ミクロン未満の厚さを有している。典型的には約0.001ミクロン〜約1.5ミクロンの厚さを有する反射防止コーティング及び/又は油分をはじくコーティングが適用されることもあるが、サファイア層はカバープレート及び電子機器の外部層であることが好ましい。本発明の電子機器のカバープレートの全体の厚みは、例えば、層の数、透明なディスプレー領域の所望の大きさ、及び機器のディスプレー表面の大きさや形状を含む、様々な因子によって変化し得る。一般に、カバープレートは、多層カバープレートについては、約3mm未満のような5mm未満の厚さを有する。
極薄であり50ミクロン未満の厚さを有するサファイアは、典型的な厚さを有するサファイアより1桁ほど安価であり費用の観点から望ましいが、物質の引っかきに対する耐性、硬度及び耐久性を全体的に維持しつつ製造することが極めて困難である。本発明の電子機器で用いられるカバープレートのサファイア層は、より厚いサファイア層と同様の機械的及び物理的特性を有することが好ましい。例えば室温で、極薄サファイア層は、好ましくは、約800〜1000MPaを含む少なくとも約700MPAの曲げ強度、約2〜5MPaを含む1MPaより大きい破壊靱性(すなわち、亀裂や引っかきを含む物質の破砕に抵抗する能力)、約17〜約20GPaを含む約15GPaより大きいヌープ硬度、及び/又は約2000〜3000kg/mを含む約1000kg/mより大きいビッカース硬度を有する。ヤング率のような係数は、典型的には約300〜400GPaであるサファイアの係数に類似するが、カバープレートの所望の特性(例えば、タッチ感度)に応じて変えることもできる。
一実施態様では、カバープレートは、カバープレートにさらなる望ましい特性をもたらす1つ又はそれ以上の常設又は一時的な担体となる基板又は層と組み合わせたサファイア層を含有してなる。例えば、カバープレートは、表面下の透明な層をさらに含有してもよく、表面下層はサファイア層が付着するための前又は外に向いた表面を有しており、付着によって多層複合材を形成する。この表面下の層は、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、若しくは(例えば、Corning 社から入手可能な「ゴリラガラス」と呼ばれる物質のような)化学的に強化されたアルカリアルミノケイ酸塩ガラスを含むアルミノケイ酸塩ガラスからなる層、又はポリカーボネート若しくはポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなポリメタクリレートなどの高分子物質からなる層を含む、当該技術分野で公知の任意の透明物質であってもよい。この表面下の層は、サファイア層よりかなり厚くてもよく、約0.2mm〜約1.0mmのように、0.4mmより大きい厚さを含む、0.2mmより大きい厚さを有する。本発明の電子機器のカバープレートに関して、より厚い表面下層を極薄サファイア層と組み合わせることによって、複合材は、優れた破砕耐性及び低コストなどの表面下層の物質の望ましい多くの特性を利用しつつも、硬度、引っかき及び汚れへの耐性などのサファイアの望ましい表面特性も有するだろう。例えば、サファイア−ガラス複合材の構造においては、サファイアがガラスの破砕及び引っかきへの耐性を増強するだろうし、サファイア−高分子物質複合材に関しては、それらの組み合わせは、特に曲がった表面に適合させるために複合材が曲げられたり曲がったりする場合に、亀裂などの機械的損傷に対してより強い抵抗性を示すようになるだろう。このような複合材は、カバープレートの透明性を損なわないだろう。これら以外の極薄サファイア層と透明な基板との有益な組み合わせも可能であり、本開示の利益を考慮して当業者が決定できるだろう。
具体例として、本発明の電子機器で使われる、サファイア多層複合材を含有してなるカバープレートの実施態様を、図1に示す。図示したように、サファイア複合材(100)はサファイア薄層(110)を含有してなり、サファイア薄層は50ミクロン未満の厚さを有し、ガラス又はプラスチック基板のような表面下層(120)に付着され、接触面(130)を形成し、接触面はサファイア薄層(110)の下表面と表面下層(120)の前(上)表面とで形成される。
サファイア層と表面下層は、当該技術分野で公知の任意の技術を用いて結合でき、その間に接触面を形成する。当該技術分野で公知の技術は、2010年12月10日に出願され現在米国特許第8,173,452である「A Method to Form a Device by Constructing a Support Element on a Thin Semiconductor Lamina」と題する米国特許出願第12/980,424に記載されている方法を含み、この文献全体は参照により本明細書に取り込まれる。例えば、接触面は接着層で結合することによって形成することができ、これによりサファイア層を透明な表面下層の前面に貼り付ける。適切な接着剤は、これに限定されないが、ポリ(プロピレンカーボネート)(PC)、ポリ(エチレンカーボネート)(PEC)、又はポリ(ブチレンカーボネート)(PBC)等のポリマー又はポリマーの組み合わせを包含する。静電接着も用いることができる。さらに、接触面は、サファイア薄膜を表面下層に熱で結合することによって形成することもでき、例えば、40psiを含む約5〜100psiの圧力及び400℃を含む約300〜500℃の温度で熱圧着すること等ができる。具体的な結合条件は、用いられる表面下層の具体的な種類によって変化するだろう。さらに、透明な表面下層をサファイア層に融合又は融解させて接触面を形成することができ、その温度は表面下層として用いられる物質の種類によって決まるだろう。例えば、ガラス基板を溶融してサファイアに結合するための温度は、650〜1050℃のオーダーであるのに対して、基板がプラスチックである場合は、より低い温度、例えば110〜150℃が適切であろう。
カバープレートはさらに、少なくとも1つの透明な導電酸化物層を含有してもよい。導電酸化物層の含有は、タッチスクリーン電気部品がカバープレートと一体化しているディスプレー要素中に容量性のタッチスクリーン含んでいる電子機器について特に好ましい。極薄サファイア薄膜を含有してなるカバープレートの使用は、容量性タッチスクリーンのディスプレーへのより単純な一体化を容易なものにし得る。例えば、容量性のタッチスクリーン構造は、一般に透明な導電酸化物(TCO)の2つの層から成り、多くの場合誘電体の層によって隔てられている。2つのTCO層は典型的には線状にパターン化されており、第一層上のこれらの線は第二層上の線に垂直に走っているが、他の線状パターンも同様に可能である。パターン化されたこれらの列の間隔の幅は0.1〜10mm(例えば6mm)であってよく、パターン化されたこれらの列の幅は0.2〜6mm(例えば5.9mm又は1mm)であってもよい。誘電体層はガラスの層であってよく、或いは、スパッタ薄膜であってもよく、これは全体としてより薄い構造を有する形状をもたらす。
本発明の電子機器のカバープレートは、TCO層からなるこれらの形状の何れかを含んでいてもよい。具体的な例は、図2及び図3に示されている。例えば、図2に示すように、30ミクロン未満のような50ミクロン未満の厚さを有するサファイア薄膜を用いて、TCO/薄い誘電体/TCO構造(140)を、上にあるサファイア層(110)と共に、表面下層(120)の前面に移動させることができる。従って、図示したように、TCO層はサファイア層と透明な表面下層の間に位置付けられる。これは、使用者の指とTCOの上側の層との間の電気容量を有利に増大することができ、標準的なタッチスクリーン部品と比べてタッチスクリーンセンサーのシグナル強度を増加させ、タッチセンサーの感受性、精度の改善、及び/又は消費電力の減少を可能にする。
或は、極薄サファイア層を含有してなるカバープレートはタッチスクリーンの誘電体としても作用することができる。この実施態様は図3に示されており、ここではTCO層(150)及び(160)が、ガラス又はプラスチックシートであってよい表面下層(120)の両側に置かれ、それぞれが上記のようにパターン化される。サファイア薄膜(110)は、表面下層(120)の一方の表面に貼り付けられ、パターン化されたTCOのうちの一層(160)が表面下層(120)とサファイア薄膜(110)の間に配置される。この構造もやはりタッチセンサーに対するシグナル強度の増大をもたらし、さらに誘電層を積層する必要がないのでより簡単な製造工程をもたらす。
カバーシートのサファイア層は、種々の異なる方法で製造することができる。例えば、サファイア層は、サファイア供与材から層を切断又はスライスし、得られた材料を所望の厚さまで機械的に研磨することによって製造できる。望まない表面欠陥を取り除くために必要に応じて任意で磨く工程を行ってもよい。このような方法は、約25〜約50ミクロンより大きい厚さのサファイア層について特に有用であるが、より薄いサファイア層もこの方法で製造することができる。また、サファイア層は、供与材から薄層を取り出すことで知られる各種の層転写方法を用いて製造することもできる。この方法は、例えば、制御された剥離、又はイオン注入/剥離方法等のイオン注入及び剥離方法を含み、イオン注入/剥離方法は、半導体材料を積層せずに形成された薄い半導体層を含有してなる光電池の製造に関する、2008年2月5日に出願され米国特許出願公開第2009/0194162号として公開された「Method to Form a Photovoltaic Cell Comprising a Thin Lamina」と題する米国特許出願第12/026,530号、及び、2011年12月20日に出願された「Method and Apparatus for Forming a Thin Lamina」と題する米国特許出願第13/331,909号に一般的に記載されており、これらの文献はいずれもその全体が参照により本明細書に取り込まれる。このイオン注入/剥離方法は、今までサファイアについて検討されてこなかったが、サファイアに関して望ましいと考えらるその特性(硬度及び強度)が、切断することを非常に困難に、時間がかかるように、そして費用がかかるようにするので、切り出し又は切断等によって薄いウエハーを製造する現在の方法に比べて、イオン注入/剥離方法は特に好ましいことが見出された。さらに、切り出し又は切断方法は、切り口の損失が顕著であり高価な材料の浪費を生じ、また、薄いサファイア膜、特に50ミクロン未満の厚さを有する極薄膜を製造するために信頼して用いることができない。従って、本発明はさらに、極薄サファイア層又は薄膜を製造する方法、及び該サファイア層、特に30ミクロン未満、25ミクロン未満、及び15ミクロン未満を含む、50ミクロン未満の厚さを有する独立した薄膜又はシートに関する。
従って、本発明はさらに、サファイア層又は薄膜を製造する方法、及び該サファイア層、特に上記の厚さ範囲の何れかを含む50ミクロン未満の厚さを有する独立した薄膜又はシートに関する。一実施態様では、サファイア層は、初期の厚さを有するサファイアの層を供給する工程、初期の厚さから50ミクロン未満の厚さまでサファイアの層を減少させる工程、及び任意で該サファイア層を磨く工程を含む方法によって製造される。サファイア層は、上記の切り出し方法を含む当該技術分野で公知の任意の方法で供給することができ、サファイア層の厚さは、例えば、機械的な研磨を含む、種々の異なった方法を用いて減少させることができる。別の実施態様では、サファイア層は、上表面を有するサファイアの供与体を供給する工程、及び続いて該供与体の上表面を介してある用量のイオンを注入する工程を含む方法で製造される。この注入方法を用いると、供与体の上表面の直下に劈開面が形成され、次いで供与体から該劈開面に沿ってサファイア層を剥離することができる。イオンは、例えば、水素、ヘリウム、又はこれらの組み合わせを含むことができる。注入条件は、厚さ及び強度などの目的とする特性を有するサファイア薄膜を製造するために、必要に応じて変えることができる。例えば、イオンの用量は、0.5〜3.0×1017H/cm2のような約1.0×1014〜1.0×1018H/cm2の任意の注入量であってよい。用量エネルギーも、約500keV〜約3MeVのように、変えることができる。ある実施態様では、イオンの注入温度を、300〜800℃又は550〜750℃のように約200〜950℃に保持することができる。ある実施態様では、注入温度を材料の具体的な種類及びサファイア供与体の方向によって調節できる。調節できるその他の注入条件は、注入用量及び(H/Heイオン比のような)注入されるイオンの比率などの初期の処理パラメータを挙げることができる。別の実施態様では、注入条件を、剥離温度、剥離サセプタの真空レベル、加熱速度及び/又は剥離圧力などの剥離条件と組み合わせて最適化できる。例えば、剥離温度を約400℃〜1200℃の間で変化させてもよい。注入及び剥離の条件を調節することによって、結果として得られる薄膜において実質的に物理的な欠陥がない面積を最大化できる。得られたサファイア層は、滑らかな最終表面を製造するために、必要に応じてさらに処理してもよい。
サファイア供与体は、当該技術分野で公知の任意の方法を用いて製造することができる。例えば、該サファイア供与体は結晶成長装置内で製造できるが、この装置は、アルミナのような固体原料を通常約1000℃を超える温度の坩堝内で加熱溶融し、次いで、サファイアブールのような結晶性物質を形成するために、得られた原料物質の溶融物の再凝固を促進できる、高温の炉である。好ましくは、該サファイア供与体は、熱交換法結晶成長炉の中で製造される。炉内では、アルミナ原料及び少なくとも1つの単一結晶サファイア種を含む坩堝が、サファイア種を実質的に溶融させることなくアルミナ原料を溶融するようにアルミナの融点以上に加熱される。その後、熱は、サファイア種の下に置かれ炉の底面で熱的に連通して提供されるヘリウム冷却熱交換器等の熱交換器を用いて、炉から除去される。この方法は、大きくて高品質のサファイアブールを製造できることが示されており、該ブールからイオン注入/剥離工程のために現在使用できる方法を用いてサファイア供与体を容易に取り出すことができる。例えば、供与体を、約1mm〜約5mmのように、約0.5mmを超える厚さを有するウエハー形態にすることができる。このように、1つのサファイア供与体が、多数のサファイア層を製造するために用いられて、さらにコストを削減し、残りの部分は剥離された後、他のサファイアブールを製造するための原料物質などの何か他の応用のために転売又は再利用される。
本発明はさらに、電子機器のカバープレートの製造方法に関する。該方法は、50ミクロン未満の厚さを有する少なくとも1つのサファイア層を製造する工程、及び続いて1つ又はそれ以上のこれらの層をカバープレートに組み込む工程を含んでなる。該サファイア層は、上記のように、イオン注入/剥離方法を用いて製造することが好ましく、これらの層は、例えば、前表面を有する透明な表面下層を提供する工程、及び該サファイア層を透明な表面下層の前表面に貼り付ける工程を含む、上記でより詳細に検討された方法の何れかを用いてカバープレート内に組み込まれる。
本発明の好ましい実施態様に関する上記の記載は、例示と説明の目的で提示されている。上記の記載は、包括的であること、又は本発明を開示されたとおりの形に限定することを意図されていない。修正及び変更は、上記の教示を考慮すると可能であり、又は発明の実施によりなされるかもしれない。上記の実施態様は、当業者が種々の実施態様で、さらに予定される特定の使用法に適合させるための種々の修正を伴って発明を利用できるようにするために、本発明の本質及び実際の適用を説明する目的で選択され記載された。本発明の範囲は、本明細書に添付されている特許請求の範囲及びその均等物によって定義されることが、意図されている。