JP4267435B2 - 送信増幅器 - Google Patents
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Description
一例として、屋外用の基地局装置の送信部で使用される送信増幅器では、通信相手となる移動局装置などに対して送信する対象となる信号を増幅することが行われている。
送信増幅器の正常な性能が補償される温度範囲(性能補償温度範囲)の一例としては−10℃〜+50℃となっており、性能補償温度範囲と比べて低い温度であるときには、特に寒冷地の場合には、仕様を満足させることが難しい。例えば、寒冷地における最低温度としては−30℃程度まで考慮することが必要であり、誤動作を起こす可能性がある。
従来では、バッテリ駆動の携帯型電子機器において、温度センサにより得られる温度情報に基づいてヒーターの電源をオン/オフ制御し、当該ヒーターにより液晶表示素子を暖めて液晶表示可能とすることが行われていた(例えば、特許文献1参照。)。
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、効率的に増幅部を暖めることができる送信増幅器を提供することを目的とする。また、本発明は、例えば、コストの低減や、装置の小型化や、ウォーミングアップの効率化を図る。
すなわち、温度検出手段が温度を検出する。そして、増幅部自己発熱促進制御手段が、温度検出手段により検出される温度が所定の閾値未満又は所定の閾値以下である場合に、増幅部による自己発熱を促進させる制御を行う。
また、送信対象となる信号としては、種々な信号が用いられてもよい。
また、増幅部としては、種々な構成のものが用いられてもよく、例えば、1個の増幅素子から構成されるものが用いられてもよく、或いは、複数個の増幅素子から構成されるものが用いられてもよい。
また、温度検出手段が備えられる場所としては、種々な場所が用いられてもよく、例えば、増幅部の近傍や、増幅部と接触する位置や、増幅部の内部などに備えられるのが好ましい。
また、増幅部による自己発熱を促進させる制御としては、種々な制御が用いられてもよい。
また、増幅部の温度調整を行う時期としては、種々な時期が用いられてもよく、例えば、増幅部により送信対象となる信号が増幅されていない時期や、増幅部により増幅される送信対象となる信号の量が少ない時期や、或いは、他の時期を用いることができる。
従って、増幅部のバイアス制御といった簡易な制御により、増幅部の温度を調整することができる。
一例として、増幅部が電界効果トランジスタ(FET:Field Effect
Transistor)から構成される場合に、当該電界効果トランジスタのゲートソース間電圧を大きくすることにより、当該電界効果トランジスタによる自己発熱を促進するような態様を用いることができる。
すなわち、温度に関して、所定の第1の閾値を設けるとともに、当該第1の閾値と比べて低い所定の第2の閾値を設けた。
そして、増幅部自己発熱促進制御手段は、温度検出手段により検出される温度が第2の閾値未満又は第2の閾値以下である場合に、増幅部による自己発熱を促進させる制御を行い、また、温度検出手段により検出される温度が第1の閾値を超えた場合又は第1の閾値以上となった場合に、増幅部による自己発熱を促進させる制御を停止する。
従って、複数の増幅素子のバイアス制御を行うことにより、増幅部の温度調整を実現することができる。
また、増幅素子としては、例えば電界効果トランジスタなど、種々なものが用いられてもよい。
また、複数の増幅素子のバイアス制御を行う態様としては、例えば、それぞれの増幅素子のバイアス制御を別個に行うような態様が用いられてもよく、或いは、2以上の増幅素子のバイアス制御をまとめて行うような態様が用いられてもよい。
従って、例えば継続的に増幅部自己発熱促進制御手段により増幅部による自己発熱を促進させる制御が行われている期間に、不要な信号が出力されてしまうことを防止することができる。
また、増幅部により増幅する対象となる信号を減衰させる程度としては、例えば実用上で有効な程度であれば、種々な程度が用いられてもよい。
本発明に係る送信増幅器では、一構成例として、送信対象となる信号を増幅する構成において、前記信号を増幅する増幅部と、前記信号のレベルを検出する信号レベル検出手段と、前記増幅部に近い位置の温度を第1の温度として検出するとともに前記増幅部から遠い位置の温度を第2の温度として検出する温度検出手段と、前記増幅部に対するウォームアップ処理が行われるに際して前記温度検出手段により検出される第1の温度と第2の温度との差の大きさが前記信号レベル検出手段により検出される信号レベルに対応した閾値以上となった場合或いは閾値を超えた場合に当該ウォームアップ処理を停止させる増幅部ウォームアップ処理制御手段と、を備えた。
すなわち、信号レベル検出手段が、増幅部による増幅対象となる信号のレベルを検出する。また、温度検出手段が、増幅部に近い位置の温度を第1の温度として検出するとともに、増幅部から遠い位置の温度を第2の温度として検出する。そして、増幅部ウォームアップ処理制御手段が、増幅部に対するウォームアップ処理が行われるに際して、温度検出手段により検出される第1の温度と第2の温度との差の大きさが信号レベル検出手段により検出される信号レベルに対応した閾値以上となった場合或いは閾値を超えた場合に、当該ウォームアップ処理を停止させる。
また、増幅部に近い位置の温度(第1の温度)としては、種々な位置の温度が用いられてもよく、例えば、増幅部の温度変化が反映されるような温度が用いられ、また、増幅部自体の温度が用いられてもよく、或いは、増幅部から多少離隔した位置の温度が用いられてもよい。
また、増幅部から遠い位置の温度(第2の温度)としては、種々な位置の温度が用いられてもよく、例えば、増幅部の温度変化が反映されないような温度が用いられる。
なお、他の構成例として、増幅部からの離隔距離にかかわらず、増幅部の温度変化が反映される位置或いは増幅部の温度変化による影響が大きいような位置の温度を第1の温度として検出するとともに、増幅部の温度変化が反映されない位置或いは増幅部の温度変化による影響が小さいような位置の温度を第2の温度として検出するような構成を用いることも可能である。
また、信号レベル検出手段により検出される信号レベルに対応した閾値としては、種々な値が用いられてもよく、例えば、信号レベル検出手段により検出される信号レベルであるときにおいて、増幅部が暖まって送信増幅器或いは増幅部などが安定な状態となった場合における第1の温度と第2の温度との差の大きさの値又はそれに近いような値が用いられる。
また、一構成例として、増幅部ウォームアップ処理制御手段は、増幅部に対するウォームアップ処理が行われるに際して、所定の期間毎に、温度検出手段により検出される第1の温度と第2の温度との差の大きさを検出する。そして、増幅部ウォームアップ処理制御手段は、当該検出した差の大きさが信号レベル検出手段により検出される信号レベルに対応した閾値以上となった場合或いは閾値を超えた場合には、当該ウォームアップ処理を停止させる。
ここで、所定の期間としては、種々な期間が用いられてもよく、例えば、一定の期間が用いられてもよく、或いは、可変な期間が用いられてもよい。
本発明に係る送信増幅器は、例えば、無線又は有線の通信装置の送信部や、無線又は有線の送信機に設けられる。
ここで、通信装置や、送信部や、送信機としては、それぞれ種々なものが用いられてもよい。
また、本発明に係る送信増幅器は、例えば、移動無線システムのフィードフォワード制御増幅器などのような歪補償増幅器に設けられる。
ここで、移動無線通信システムとしては、例えば携帯電話システムや簡易型携帯電話システム(PHS:Personal Handy phone System)など、種々なものが用いられてもよい。
また、固定無線通信システムとしては、例えば加入者無線アクセスシステム(FWA:Fixed Wireless Access)など、種々なものが用いられてもよい。
本発明に係る技術思想は、例えば、歪補償送信増幅装置に適用することが可能である。
一例として、歪補償送信増幅装置では、複数の温度に対応した複数の歪補償テーブルを温度に応じて切り替えて、歪補償テーブルに設定された歪補償に関する制御情報に基づいて増幅部で発生する歪を補償するに際して、増幅部による自己発熱を促進させる制御を行うことにより、増幅部の温度を調整する。
一例として、信号を増幅する増幅器において、信号を増幅する増幅部と、温度を検出する温度検出手段と、温度検出手段により検出される温度が所定の閾値未満又は所定の閾値以下である場合に増幅部による自己発熱を促進させる制御を行う増幅部自己発熱促進制御手段と、を備える。
一例として、処理を行う機器において、処理を行う処理部と、温度を検出する温度検出手段と、温度検出手段により検出される温度が所定の閾値未満又は所定の閾値以下である場合に処理部による自己発熱を促進させる制御を行う処理部自己発熱促進制御手段と、を備える。
本実施例では、移動体通信システムにおいて屋外に設置される基地局装置で使用されるウォームアップ機能付きの送信増幅器に、本発明を適用した場合を示す。
図1には、本例の送信増幅器の構成例を示してある。
本例の送信増幅器には、増幅部1と、バイアス回路2と、アイソレータ3と、温度検知部4と、制御部5と、入力端子11と、出力端子12が備えられている。
本例の送信増幅器では、入力端子11から入力される送信対象となる信号を増幅して、当該増幅信号を出力端子12から出力する。当該出力信号は、例えば後段に備えられたアンテナ(図示せず)により無線送信される。
バイアス回路2は、制御部5により制御される態様で、増幅部1を構成する各増幅素子のバイアスを制御する。
温度検知部4は、例えば増幅部1の近傍に設けられており、増幅部1の温度或いは増幅部1の近傍の温度を検出して、当該検出結果を制御部5へ出力する。
制御部5は、各種の制御を行う機能を有しており、本例では、温度検知部4から入力される温度の検出結果に基づいてバイアス回路2を制御し、これにより、バイアス回路2により各増幅素子のバイアスを制御する態様を制御する。
本例では、電界効果トランジスタT1のゲート(G)にコンデンサC1及びマイクロストリップ線路L1の一端が並列に接続されており、マイクロストリップ線路L1の他端には抵抗R1を介してバイアス回路2が接続されている。
また、電界効果トランジスタT1のドレイン(D)には、マイクロストリップ線路L2の一端及びマイクロストリップ線路L3の一端が並列に接続されており、マイクロストリップ線路L2の他端には電源及びコンデンサC3が接続されており、マイクロストリップ線路L3の他端にはコンデンサC2が接続されている。
同図に示されるように、ゲートソース間電圧Vgsが或る程度大きくなると、ゲートソース間電圧Vgsが大きくなるに従ってドレイン電流Idqが大きくなる。
また、本例では、電源投入時などの初期において、温度検知部4により検出される温度TがTth2未満である場合には、制御部5は、バイアス回路2を介して、ゲートソース間電圧VgsをVgs2に制御する。
また、具体的な他の例として、温度に関する第1の閾値TtH1及び第2の閾値Tth2としては、第2の閾値Tth2を送信増幅器の性能補償温度範囲の下限値である−10℃に設定し、第1の閾値Tth1を当該第2の閾値Tth2と比べて高い値に設定するような態様を用いることができる。
送信増幅器では、まず、電源が投入されると(ステップS1)、温度検知部4により温度を検出する(ステップS2)。そして、制御部5は、当該検出された温度(検出温度)と第2の閾値Tth2との大小を比較し(ステップS3)、当該検出温度が第2の閾値Tth2以上であった場合には、本処理を終了して、増幅部1のゲートソース間電圧Vgsとして通常のバイアス電圧Vgs1が印加されるようにする。
図6には、本例の送信増幅器の構成例を示してあり、また、本例の送信増幅器の前段に設けられた変調部22を示してある。また、同図では、上記第1実施例の図1に示した送信増幅器と同様な構成部分1〜5、11、12については、同一の符号を付してある。
従って、本例の送信増幅器では、低温時であって増幅素子のバイアス制御中においては、変調部22からの入力信号が可変減衰器21により減衰させられるため、不要波を出力しないようにすることができる。
図7には、本例の送信増幅器の構成例を示してある。なお、同図では、上記第1実施例の図1に示した送信増幅器と同様な構成部分1〜4、11、12については、同一の符号を付してある。
また、A/D変換器31は、温度検知部4からアナログ信号として出力される温度検出結果をデジタル信号へ変換して制御部33へ出力する。
そして、制御部33は、A/D変換器31から入力されるデジタル値の温度検出結果Tと、メモリ32に記憶されている第1の閾値Tth1や第2の閾値Tth2とを比較して、当該比較結果に応じて、各増幅素子のバイアス制御を行う。
また、本例のような送信増幅器の構成においても、例えば上記第2実施例の図6に示したのと同様に、入力信号を減衰させる可変減衰器を備える構成を用いることが可能である。
例えば、移動無線システムで使用されるフィードフォワード制御増幅器では、一般に、入力レベルに対する出力レベルの利得低下を避けるために、装置のウォームアップが必要であり、近年、立ち上がり時間短縮の要求から、ウォームアップ短縮方法が検討等されている。しかしながら、入力レベルに応じて熱平衡状態となる温度差が異なるため、温度差の判定基準を効果的に設定することが必要である。
本例の送信増幅器には、方向性結合器41と、増幅部42と、検波回路43と、温度センサから構成された第1の温度検出部(温度検出部1)44と、温度センサから構成された第2の温度検出部(温度検出部2)45と、制御部46と、入力端子51と、出力端子52が備えられている。
本例では、増幅部42の間近に第1の温度検出部44を配置して増幅部42と熱的に結合させておく。一方、増幅器装置内で増幅部42から離れた位置に第2の温度検出部45を配置して増幅部42と熱的には疎結合状態としておく。
温度を検出する機能としては、例えば、温度に応じた電圧を出力する温度IC(Integrated Circuit)を使用する構成が一般的であるが、他の機能として、サーミスタなどを使用する構成を用いることも可能である。
同図に示されるように、第1の温度T1は、入力レベルPiが増加すると増幅部42自体の発熱が増加するため、上昇する。一方、第2の温度T2は、増幅部42と熱的に疎結合な状態にあるため、入力レベルPiとは無関係となる。
本例では、増幅部42への入力レベルPi=Pi0である場合に、熱平衡状態となるときにおける第1の温度T1と第2の温度T2との温度差ΔT=ΔT0とする。同様に、増幅部42への入力レベルPi=Pi1である場合に、熱平衡状態となるときにおける第1の温度T1と第2の温度T2との温度差ΔT=ΔT1とする。同様に、増幅部42への入力レベルPi=Pi2である場合に、熱平衡状態となるときにおける第1の温度T1と第2の温度T2との温度差ΔT=ΔT2とする。
同図に示されるように、電源投入時においては温度差ΔT(=T1−T2)の大きさはゼロ或いは非常に小さいが、時間が経過するに従って温度差ΔTが大きくなり、十分な時間が経過すると所定の値ΔT0となる。
図11には、制御部46内のメモリに記憶される判定基準テーブルの一例を示してある。本例の判定基準テーブルでは、“Pi0<入力レベルPi<Pi1”であるときと温度差“ΔT0”とが対応付けられており、“Pi1<入力レベルPi<Pi2”であるときと温度差“ΔT1”とが対応付けられており、“Pi2<入力レベルPi”であるときと温度差“ΔT2”とが対応付けられている。
なお、このような入力レベルに応じた判定基準としては、例えば、増幅器の種類により区分けされることが望ましい。本例では、Pi0、Pi1、Pi2を用いて3段階の区分を設けたが、例えば、増幅器の動作クラスにより適時区分を考慮するのが望ましい。一例として、ABクラスの増幅器では、入力レベルによる消費電力の変化が大きいため、入力レベルの区分を多くするのが望ましい。
本例の送信増幅器では、ウォームアップ制御が開始されると(ステップS11)、第1の温度検出部44により第1の温度T1を読み取るとともに(ステップS12)、第2の温度検出部45により第2の温度T2を読み取り(ステップS13)、また、検波回路43により増幅部42への入力レベルPiを検出する(ステップS14)。そして、制御部46により、第1の温度T1と第2の温度T2との温度差ΔTが入力レベルPiに対応した閾値(本例では、上記図11に示した入力レベルPiに対応する温度差ΔTi)以上であるか否かを判定し(ステップS15)、そうである場合(つまり、ΔT≧ΔTiである場合)には、ウォームアップ処理を停止させて終了し(ステップS20)、装置の運用を開始させる(ステップS21)。
図13には、本比較例に係る送信増幅器の構成例を示してある。
本比較例に係る送信増幅器には、増幅部61と、バイアス回路62と、アイソレータ63と、温度検知部64と、ヒーター65と、制御部66と、入力端子71と、出力端子72が備えられている。そして、温度検知部64による温度検出結果に基づいて、制御部66による制御により、ヒーター65により増幅部61を暖める。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。例えば、本発明に係る技術思想は、必ずしも送信増幅器に限られず、屋外に設置されるような種々な機器に適用することも可能である。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
Claims (3)
- 送信対象となる信号を増幅する送信増幅器において、
前記信号を増幅する増幅部と、
前記信号のレベルを検出する信号レベル検出手段と、
前記増幅部に熱的に結合した位置の温度を第1の温度として検出するとともに前記増幅部から熱的に疎結合状態である位置の温度を第2の温度として検出する温度検出手段と、
前記増幅部に対するウォームアップ処理が行われるに際して前記温度検出手段により検出される第1の温度と第2の温度との差の大きさが前記信号レベル検出手段により検出される信号レベルに対応した閾値以上となった場合或いは閾値を超えた場合に当該ウォームアップ処理を停止させる増幅部ウォームアップ処理制御手段と、
を備えたことを特徴とする送信増幅器。 - 請求項1に記載の送信増幅器において、
信号レベルと温度差に関する閾値との対応を記憶する信号レベル温度差閾値対応記憶手段を備え、
前記増幅部ウォームアップ処理制御手段は、前記信号レベル温度差閾値対応記憶手段により記憶される対応の内容に基づいて、前記増幅部に対するウォームアップ処理を制御する、
ことを特徴とする送信増幅器。 - 請求項1に記載の送信増幅器において、
前記増幅部ウォームアップ処理制御手段は、所定の期間毎に、前記温度検出手段により検出される第1の温度と第2の温度との差の大きさを検出する、
ことを特徴とする送信増幅器。
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