JP4267346B2 - 配線又は配管の保護カバー及びその製造方法 - Google Patents

配線又は配管の保護カバー及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば配線又は配管を保護するために用いられる配線又は配管の保護カバー及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建物の屋内又は屋外に配置された光ファイバーケーブル、エアコン冷媒管及びドレン管等の配線及び配管を風雨等から保護したり、外部に露出することによる外観の悪化を防止したりするために、これらを内部に収容する保護カバーが使用されている。この種の保護カバーとしては、以下に示すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、合成樹脂により長尺状に形成され、配線又は配管が載置されるベースとしての長尺状をなす基体と、前記基体に形成された開口を塞ぐカバーとしての長尺状の蓋体とより形成され、これらの基体と蓋体とが一層壁で構成されているタイプのものである。
【0003】
基体の外周面には周方向に沿って一定ピッチをおいて連続して延びるベース凸部が形成されている。また、ベース凸部の内側には相対的にベース凹部が設けられ、このベース凹部には基体の横断面形状に対応したベース側補強具が挿入保持されている。一方、蓋体の外周面には周方向に沿って一定ピッチをおいて連続して延びるカバー凸部が形成されている。また、隣接するカバー凸部との間に設けられたカバー凹部には、カバー側補強具が挿入保持されている。
【0004】
そして、前記保護カバーを土中等に埋設して使用する際には、ベース側補強具及びカバー側補強具により保護カバーの強度が向上し、土圧等による基体の収縮変形及び蓋体の拡開変形が防止される。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−286193号公報(第3頁〜第4頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の保護カバーは、そのベース凹部及びカバー凹部に所定間隔で複数のベース側補強具及びカバー側補強具を装着する必要があるため、長距離に亘って配設される際には、その作業に多くの手間がかかり、作業効率が低下するという問題があった。また、両補強具を装着した部分に比べて補強具を装着しない部分の強度が低下するため、その部分が土圧等によって変形する場合があるという問題があった。
【0007】
この発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、配設時の作業効率を向上させることができるとともに、強度を向上させることができる配線又は配管の保護カバー及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の配線又は配管の保護カバーは、配線又は配管を内部に収容して保護する合成樹脂製の配線又は配管の保護カバーであって、前記配線又は配管の長さ方向に沿って延びる開口を有するベースと、当該ベースの開口を閉鎖すべくベースに組付けられるカバーとから形成され、ベース及びカバーによって配線又は配管が収容され、ベース及びカバーの周方向に沿って延びる凸部が前記長さ方向に沿って所定ピッチで設けられることにより凹凸状をなす第1壁と平坦状をなす第2壁との少なくとも二重壁により構成されるとともに、第2壁が第1壁の凹凸による内方又は外方への各開口を塞ぐように一体形成され、第1壁と第2壁との間にはベース及びカバーの周方向に延びる空間部が形成され、前記ベース及びカバーの長さ方向に沿って延びる開口側には、カバーをベースに組付けた状態で、同ベースに対するカバーの位置ずれを規制する嵌合部が形成され、前記ベース及びカバーの少なくとも一方の嵌合部には第1壁と第2壁とで形成され、ベース及びカバーの長さ方向に延びる中空部が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載の発明の配線又は配管の保護カバーは、配線又は配管を内部に収容して保護する合成樹脂製の配線又は配管の保護カバーであって、前記配線又は配管の長さ方向に沿って延びる開口を有するベースと、当該ベースの開口を閉鎖すべくベースに組付けられるカバーとから形成され、ベース及びカバーによって配線又は配管が収容され、ベース及びカバーの周方向に沿って延びる凸部が前記長さ方向に沿って所定ピッチで設けられることにより凹凸状をなす第1壁と平坦状をなす第2壁との少なくとも二重壁により構成されるとともに、第2壁が第1壁の凹凸による内方又は外方への各開口を塞ぐように一体形成され、第1壁と第2壁との間にはベース及びカバーの周方向に延びる空間部が形成され、前記ベースの周方向の一部には、第1壁と第2壁とで形成され、長さ方向に隣り合う空間部が連通される連通孔が設けられ、ベースを水平に配設した状態で連通孔を通じて各空間部には充填剤が充填されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載の発明の配線又は配管の保護カバーは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記ベース及びカバーに形成された空間部は同ベース及びカバーの開口端部において閉塞されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項に記載の発明の配線又は配管の保護カバーは、請求項に記載の発明において、前記連通孔はベースの長さ方向に沿って延びる開口側に設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項に記載の発明の配線又は配管の保護カバーは、請求項又は請求項に記載の発明において、前記連通孔はベースの嵌合部内に設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項に記載の発明の配線又は配管の保護カバーは、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の発明において、前記ベースの周方向の一部には、第1壁と第2壁とにより同ベースの長さ方向に延びる貫通孔が形成され、該貫通孔には複数のベース同士の接続を案内する位置ずれ防止部材が挿入されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項に記載の発明の配線又は配管の保護カバーは、請求項に記載の発明において、前記貫通孔はベースの嵌合部内に形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項に記載の発明の配線又は配管の保護カバーの製造方法は、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の配線又は配管の保護カバーの製造方法であって、ベースとカバーとが切除予定部を挟んで一体成形された筒状中間成形品を成形し、該筒状中間成形品から前記切除予定部を切除して筒状中間成形品を分割することにより、ベースとカバーとを成形することを特徴とするものである。
【0018】
請求項に記載の発明の配線又は配管の保護カバーの製造方法は、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の配線又は配管の保護カバーの製造方法であって、一対のベースが切除予定部を挟んで一体成形された筒状中間成形品を成形し、該筒状中間成形品から前記切除予定部を切除して筒状中間成形品を分割することにより、一対のベースを成形することを特徴とするものである。
【0019】
請求項10に記載の発明の配線又は配管の保護カバーの製造方法は、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の配線又は配管の保護カバーの製造方法であって、一対のカバーが切除予定部を挟んで一体成形された筒状中間成形品を成形し、該筒状中間成形品から前記切除予定部を切除して筒状中間成形品を分割することにより、一対のカバーを成形することを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、合成樹脂製の配線の保護カバー11(以下、単に保護カバーという)は長尺状に形成され、土中等に配置される配線としての光ファイバーケーブル12を内部に収容して保護するために使用される。保護カバー11は、その長さ方向に沿って延びる開口を有し、光ファイバーケーブル12を載置するベース13と、該ベース13の開口を閉鎖すべく同ベース13に組付けられるカバー24とから形成されている。
【0021】
まず、ベース13について説明する。図1及び図3に示すように、ベース13は、その長さ方向に沿って延びる底壁14と、同底壁14の長さ方向に沿った両側から上方へ延びて相対向する一対のベース側壁15とにより正断面視略U字状に形成されている。図6(a)に示すように、相対向するベース側壁15の内幅はpに設定されている。
【0022】
図1及び図2に示すように、ベース13の外周壁、つまり第1壁16には同ベース13の周方向に沿って連続して延びるベース凸部13aがベース13の長さ方向に沿って所定のピッチで形成され、隣接するベース凸部13aの間にはベース凹部13bが形成されている。そして、ベース凸部13aとベース凹部13bとが交互にベース13の長さ方向に沿って連続して形成されることにより、ベース13の第1壁16は側面視凹凸状に形成されている。
【0023】
図2に示すように、ベース13の第1壁16の凹凸による内方への各開口を塞ぐように平坦状の第2壁17が一体形成されている。そして、ベース凸部13aの内面と第2壁17の外面との間には保護カバー11の周方向に延びる空間部を構成する第1空間部18が形成されている。
【0024】
図3(a)及び(b)に示すように、ベース13の長さ方向に延びる開口側の端縁、つまり両ベース側壁15の上端部には、カバー24の開口側端部に嵌合可能な嵌合部を構成する断面矛先状の第1嵌合部19が形成されている。図3(c)に示すように、該第1嵌合部19の上部は、第1壁16がベース13の外方へ向かうに連れて下降傾斜する第1傾斜壁19aとなっている。第1傾斜壁19aの下部には、ベース側壁15を形成する第1壁16がベース13の内側へ凹むことによって、嵌合突起19bが形成されている。また、図3(a)に示すように、第1嵌合部19とベース凸部13aとが連続する部分には各々のベース凸部13aとほぼ直交する当接面20が形成されている。上記の第1傾斜壁19aと嵌合突起19bとにより第1嵌合部19が構成され、同第1傾斜壁19aにより第1空間部18が閉塞されている。
【0025】
図3(c)に示すように、第1嵌合部19を構成する第1壁16と第2壁17との間には中空部21が設けられるとともに、同中空部21より上端側には中空部21に連なる貫通孔22がベース13の長さ方向に沿って形成されている。図3(a)及び図4に示すように、ベース側壁15の第1空間部18の上端と前記中空部21とは連通孔23によって連通している。
【0026】
次に、カバー24について説明する。図1及び図3(a)に示すように、カバー24はその長さ方向に沿って延びる上壁25と、同上壁25の長さ方向に沿った両側から下方へ延びて相対向する一対のカバー側壁26とにより正断面視略逆U字状に形成されている。図6(a)に示すように、相対向するカバー側壁26の内幅はqに設定され、この内幅qは前記ベース側壁15の内幅pよりも大きくなるように形成されている。
【0027】
図1及び図2に示すように、カバー24の外周壁、つまり第1壁16には同カバー24の周方向に沿って連続して延びるカバー凸部24aがカバー24の長さ方向に沿って前記ベース凸部13aと同ピッチで形成され、隣接するカバー凸部24aの間にはカバー凹部24bが形成されている。そして、同カバー凸部24aとカバー凹部24bとが交互にカバー24の長さ方向に沿って連続して形成されることにより、カバー24の第1壁16は側面視凹凸状に形成されている。また、図3(b)に示すように、ベース13のベース凸部13aとカバー24のカバー凸部24aとは、それぞれ略同一の幅方向の寸法を有している。
【0028】
図2に示すように、カバー24の第1壁16の凹凸による内方への各開口を塞ぐように平坦状の第2壁17が一体形成されている。このため、カバー凸部24aの内面と第2壁17の外面との間には、保護カバー11の周方向に延びる空間部を構成する第2空間部27が形成されている。
【0029】
図3(a)及び(b)に示すように、カバー24の長さ方向に延びる開口側、つまり両カバー側壁26の下端部には、ベース13の開口側端部に嵌合可能な嵌合部を構成する第2嵌合部28が形成されている。図3(c)に示すように、該第2嵌合部28の上部は、第2壁17がカバー24の下方へ向かうに連れて拡幅する第2傾斜壁28aとなっている。両第2傾斜壁28aの下端には、カバー側壁26を形成する第2壁17がカバー24の内側へ凹むことにより、内方へ向く被嵌合突起28bが突設されている。上記の第2傾斜壁28aと被嵌合突起28bとにより第2嵌合部28が構成され、同第2傾斜壁28aにより第2空間部27が閉塞されている。
【0030】
そして、カバー24をベース13に組付けた際には、カバー24の第2嵌合部28がベース13の第1嵌合部19を外側から包み込み、第2傾斜壁28aと第1傾斜壁19aとが当接するとともに、嵌合突起19bが被嵌合突起28bに嵌合して、カバー24がベース13から外れるのを規制するようになっている。
【0031】
次に、保護カバー11の成形工程の中間品である合成樹脂製の筒状中間成形品及びその製造方法について説明する。図6(a)に示すように、筒状中間成形品30は正断面視において略均一な肉厚を有するとともに、図1に示すように、長尺な筒形状に形成され、前記カバー24とベース13とが中央部の切除予定部31により連結されて一体形成されたものである。すなわち、筒状中間成形品30は両ベース側壁15と両カバー側壁26とのそれぞれ長さ方向に沿った側縁同士が、切除予定部31により連結されて形成されている。そして、カバー24の第2空間部27とベース13の第1空間部18とが切除予定部31を挟んで独立して形成されている。
【0032】
この切除予定部31は、高さ方向に一定の切除高さrを有し、しかも幅方向に段差を有している。そして、図6(b)及び図7に示すように、この筒状中間成形品30の切除予定部31を切除し、上下方向に分割することによって、カバー24及びベース13が得られるようになっている。
【0033】
図8に示すように、筒状中間成形品30は、単体金型32をキャタピラー状(米国キャタピラー社の登録商標)に連結した連結金型33及び押出機34等を用いた連続押出成形方法によって成形される。連結金型33は互いに対向して密着した一対の単体金型32から構成されている。また、多数の単体金型32をキャタピラー状に連結した各一対の連結金型33は、水平面内で循環走行するように相対向させて配置され、循環走行する前後の連結金型33が成形部35において密着するようになっている。そして、前記連結金型33が成形部35を過ぎると、単体金型32が左右に離型されるようになっている。
【0034】
図9及び図10に示すように、一対の単体金型32の内面には筒状中間成形品30のカバー凸部24a、ベース凸部13a、第1嵌合部19及び第2嵌合部28と、それらに隣接するカバー凹部24b及びベース凹部13bとの外形形状に対応する凹凸部43が形成されている。
【0035】
前記押出機34には断面略円柱状の第1型36が成形部35の途中まで延設され、この第1型36の中心には第1ランナー37から各単体金型32の内壁面方向へ第1ゲート37aが分岐されている。また、第1ランナー37より外周位置には空気供給孔39が設けられ、該空気供給孔39より外周位置には略円筒状をなす第2ランナー40から各単体金型32の内壁面方向へ向かって第2ゲート40aが開口されている。第1型36の先端部外面と一対の単体金型32の内壁面との間には筒状中間成形品30が成形されるキャビティ41が設けられている。
【0036】
また、各単体金型32には、第1ゲート37a及び第2ゲート40aからキャビティ41に注入された溶融樹脂38が各単体金型32の内壁面に沿って一定の厚みで層を形成させるべく真空吸引用の吸引孔42が透設されている。
【0037】
さて、筒状中間成形品30を成形するには、図9に示すように、連結金型33を循環走行させた状態で、まず第2ゲート40aから注入された溶融樹脂38が空気供給孔39からの空気圧によってキャビティ41を形成する各単体金型32の内壁面側に押し広げられる。それと同時に、吸引孔42を介して真空吸引され、溶融樹脂38による層が各単体金型32の内壁面に沿って形成される。すなわち、均一な肉厚を有するカバー凸部24a、ベース凸部13a、第1嵌合部19及び第2嵌合部28と、それらに隣接するカバー凹部24b及びベース凹部13bとからなる筒状中間成形品30の第1壁16が成形される。
【0038】
次いで、連結金型33が成形部35を所定量だけ循環走行したとき、第1ゲート37aから注入された溶融樹脂38が両単体金型32の内壁面の凹凸による内方への開口を塞ぐように熱融着され、第2壁17が成形される。このとき、第2壁17と第1壁16との間には空間部18、27が形成される。
【0039】
そして、図8に示すように、一対の単体金型32が成形部35を循環走行するに従い、筒状中間成形品30の第1壁16及び第2壁17を構成する溶融樹脂38が冷却される。各単体金型32が成形部35を通過し、離型されると、ベース13、カバー24及び切除予定部31の各部分が一体となった筒状中間成形品30が連続して押出成形される。次いで、得られた筒状中間成形品30を使用長に切断し、図6(b)及び図7に示すように、切除予定部31を切除して筒状中間成形品30が二分割されることにより、前記カバー24及びベース13が得られる。
【0040】
次に、ベース13にカバー24を組付けて保護カバー11を製作する方法及び保護カバー11の作用について説明する。
まず、ベース13をその長さ方向に沿って延びる開口が上方に開口するように土中に配設する。光ファイバーケーブル12の長さに応じて複数のベース13同士を接続する場合には、図5に示すように、手前側のベース13の開口端に形成された両貫通孔22に合成樹脂製の位置ずれ防止部材44を嵌入する。この位置ずれ防止部材44は略三角筒状をなし、底部に開口部45を有し、外形形状が貫通孔22に嵌合されるようになっている。
【0041】
次いで、別のベース13を、その両貫通孔22に前記位置ずれ防止部材44が嵌入されるように手前側のベース13に接続する。このとき、各貫通孔22はベース側壁15の上端部に設けられているため、両位置ずれ防止部材44の位置に合わせて貫通孔22の位置が容易に変位され、貫通孔22に位置ずれ防止部材44が容易に嵌入される。そして、これらの操作を繰り返し、所定の長さまでベース13を延長する。
【0042】
次に、ベース13の貫通孔22に位置ずれ防止部材44が嵌入された状態で、同貫通孔22を介してベース13内部の各第1空間部18に充填剤としての水を注入する。このとき、ベース13の各第1空間部18は前記連通孔23を介して相互に連通されているため、位置ずれ防止部材44の底部の開口部45からベース13の各第1空間部18に水が容易に充填される。この水によりベース13の自重が増大し、その移動及びずれが規制される。
【0043】
続いて、ベース13の開口側から内部に光ファイバーケーブル12を置く。このとき、ベース13はその移動及びずれが規制されているため、同ベース13が安定に保持される。そして、カバー24の第2嵌合部28とベースの第1嵌合部19とがほぼ合致するようにベース13に対してカバー24を長さ方向に位置合わせして、ベース13の上方からカバー24を押圧する。
【0044】
カバー24が押圧されると、その被嵌合突起28bが嵌合突起19bにより外方へ押圧され、両カバー側壁26は外方へ弾性変形する。さらに、カバー24が押圧されて被嵌合突起28bが嵌合突起19bを通過すると、図3(a)及び(c)に示すように、両カバー側壁26は元の形状に復帰する。このとき、カバー24の第2傾斜壁28aがベース13の第1傾斜壁19aに当接するとともに、第2嵌合部28の端面が当接面20に当接し、被嵌合突起28bが嵌合突起19bに嵌合される。嵌合突起19bに被嵌合突起28bが嵌合されることにより、カバー24がベース13の長さ方向に対して直交する方向、つまり上方向へ抜け出にくい構造になる。
【0045】
図1に示すように、カバー24がベース13に組付けられた状態で、第2嵌合部28の端面が当接面20に当接することにより、ベース13に対するカバー24の組付状態が安定する。また、ベース13のベース凸部13aとカバー24のカバー凸部24aとは略同一の寸法を有している。このため、配線又は配管の保護カバー11の全体幅は高さ方向に沿ってほぼ同一であり、外方へ突出する部位が存在しないので、運搬や配設作業時の保護カバー11の取扱いが容易となる。
【0046】
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態の保護カバー11の第1壁16には、その長さ方向に沿ってカバー凸部24a及びカバー凹部24bが所定ピッチで形成されている。そして、第1壁16の凹凸による内方への各開口を塞ぐように第2壁17が一体形成されている。すなわち、第1壁16と第2壁17との二重壁により保護カバー11が構成されている。このため、第2壁17により第1壁16が補強され、保護カバー11に土圧等の外力が作用した際にもカバー24及びベース13の変形が全部分に亘って一様に防止される。従って、従来の様にベース側補強具及びカバー側補強具により保護カバー11を補強する必要がなく、配設時の作業効率を向上させることができるとともに、保護カバー11の強度を向上させることができる。
【0047】
・ また、ベース13及びカバー24の第1壁16と第2壁17との間にはそれぞれ空間部18、27が形成され、各空間部18、27はベース13及びカバー24の開口端部において閉塞されている。このため、ベース13及びカバー24の開口端部に土圧等の外力が作用した際にも、各空間部18、27の閉塞部分によってベース13及びカバー24の開口端部が補強され、それらの開口端部の強度を向上させることができる。
【0048】
・ さらに、ベース13及びカバー24の開口端部にはそれぞれ第1嵌合部19及び第2嵌合部28が形成され、ベース13にカバー24を組付けた際には、第1嵌合部19の嵌合突起19bに第2嵌合部28の被嵌合突起28bが嵌合するようになっている。そして、カバー24に対して上方向への外力が作用しても、被嵌合突起28bが嵌合突起19bに嵌合して、カバー24の抜け出しを効果的に規制することができる。
【0049】
・ 加えて、ベース13の第1嵌合部19はベース側壁15を構成する第1壁16と第2壁17との二重壁により構成され、第1壁16と第2壁17との間には中空部21が設けられている。このため、カバー24に対して上方向への外力が作用し、被嵌合突起28bが嵌合突起19bを下方から押し上げる際にも、中空部21により嵌合突起19bが安定に保持され、嵌合突起19bに被嵌合突起28bが嵌合した状態での嵌合突起19bのがたつきを抑制することができる。
【0050】
・ ベース13には複数の第1空間部18を相互に連通させる連通孔23が形成されているため、各第1空間部18には前記連通孔23を介して水が充填されるようになっている。従って、ベース13内に充填された水により、同ベース13の自重が増大し、その移動及びずれを効果的に規制することができる。
【0051】
・ 前記連通孔23はベース13の開口側に設けられているため、連通孔23を介してベース13内に水を充填させる際には、その作業が行い易くなっている。従って、各第1空間部18に容易に水を充填させることができる。
【0052】
・ 上記の製造方法を用いて筒状中間成形品30を製造する際には、各第1空間部18を相互に連通させる連通孔23が、筒状中間成形品30の成形に伴って第1空間部18の上端、すなわち第1嵌合部19内に形成されるようになっている。このため、筒状中間成形品30の成形後の後加工によりベース13の周方向の一部に連通孔23を設ける必要がなく、作業の手間を省くことができる。
【0053】
・ 前記ベース13にはその長さ方向に沿って一対の貫通孔22が形成され、複数のベース13同士を接続する場合には、貫通孔22に位置ずれ防止部材44を挿入し、この位置ずれ防止部材44に案内されてベース13が延長されるため、複数のベース13同士を容易に接続することができる。
【0054】
・ 上記の製造方法を用いて筒状中間成形品30を製造する際には、ベース13の長さ方向に沿って延びる貫通孔22が、筒状中間成形品30の成形に伴って中空部21と一体で第1嵌合部19内に形成されるようになっている。このため、筒状中間成形品30の成形後の後加工によりベース13の周方向の一部に貫通孔22を設ける必要がなく、作業の手間を省くことができる。また、複数のベース13同士を接続する場合には、位置ずれ防止部材44の位置に合わせて第1嵌合部19の位置も容易に変位され、貫通孔22に位置ずれ防止部材44が容易に挿入される。従って、複数のベース13同士をさらに容易に接続することができる。
【0055】
・ ベース13とカバー24とは、両ベース側壁15と両カバー側壁26との側縁同士が連結して成形された筒状中間成形品30を切断して形成される。このため、ベース13とカバー24とを別々に成形する必要がなく、ベース13とカバー24とを一体成形でき、その製造効率を向上させることができる。
【0056】
・ 筒状中間成形品30において、ベース13の第1空間部18及びカバー24の第2空間部27はそれぞれ独立して形成されるとともに、第1空間部18及び第2空間部27は閉塞して構成されている。そして、それぞれの閉塞部分に第1嵌合部19及び第2嵌合部28が一体形成されている。すなわち、上記の製造方法を用いて筒状中間成形品30を製造する際には、その成形と同時に第1嵌合部19及び第2嵌合部28が形成されるようになっている。このため、同第1嵌合部19及び第2嵌合部28を容易に形成することができる。
【0057】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 図11に示す単体金型32を用いてベース13のみを製造する方法を採用してもよい。ここで得られた筒状中間成形品は一対のベース13がその開口端部で連結されて一体成形されており、それらの連結部分、つまり切除予定部で切除されることにより一対のベース13が得られる。また、図12に示す単体金型32を用いてカバー24のみを製造する方法を採用してもよい。ここで得られた筒状中間成形品は一対のカバー24がその開口端部で連結されて一体成形されており、それらの連結部分、つまり切除予定部で切除されることにより一対のカバー24が得られる。
【0058】
すなわち、ベース13のみを製造する連結金型装置とカバー24のみを製造する連結金型装置との2つの装置を要する。このように構成した場合、用途に応じてカバー24のみ又はベース13のみを必要とする際には、それらを効率良く製造することができる。
【0059】
・ ベース13の第1嵌合部19の内側にカバー24の第2嵌合部28が嵌合するような構成を採用してもよい。すなわち、相対向するカバー側壁26の内幅qはベース側壁15の内幅pよりも小さくなるように形成される。
【0060】
・ 図13に示すように、本実施形態の第1壁16の凹凸による外方への各開口を塞ぐようにさらに第2壁17を一体形成してもよい。このように構成した場合、保護カバー11が三重壁により構成され、その強度をより向上させることができる。
【0061】
・ 図14に示すように、第1壁16の凹凸による外方への各開口を塞ぐように第2壁17を一体形成してもよい。すなわち、平坦状の第2壁17により保護カバー11の外周壁が形成されるとともに、その内側に凹凸状の第1壁16が取り付けられ、同保護カバー11が二重壁により構成される。
【0062】
・ 4つ以上の壁により保護カバー11を構成してもよい。すなわち、第2壁17と第1壁16とが交互に複数層形成される。このように構成した場合、配線又は配管の保護カバー11の強度をさらに向上させることができる。
【0063】
・ 複数のベース13同士を接続する際に位置ずれ防止部材44を使用しなくてもよい。すなわち、まず1つのベース13を土中に配設し、次いで同ベース13の貫通孔22を介して各第1空間部18に水を注入する。続いて、別のベース13を手前側のベース13にその貫通孔22同士が連通するように位置合わせする。上記と同様に、この別のベース13に関してもその貫通孔22を介して各第1空間部18に水を注入する。そして、これらの操作を繰り返し、所定の長さまでベース13を延長し、ベース13の移動及びずれを規制する。
【0064】
・ 一対の切除予定部31のうち、一方を切除するとともに、他方を切除しない構成を採用してもよい。すなわち、一方のベース側壁15及びカバー側壁26にはそれぞれ上記と同様に、第1嵌合部19及び第2嵌合部28が設けられる。また、他方のベース側壁15とカバー側壁26とは第1壁16で連結され、その連結部分がヒンジとなり、ベース13に対するカバー24の開閉が行われる。
【0065】
・ 充填剤として砂等の粉体を使用してもよい。また充填剤を使用しなくてもよい。
・ カバー24の第2嵌合部28をカバー側壁26を構成する第1壁16と第2壁17との二重壁により構成してもよい。すなわち、第2嵌合部28を構成する第1壁16と第2壁17との間には、本実施形態の第1嵌合部19と同様に中空部が設けられる。このように構成した場合、カバー24に対して上方向への外力が作用し、被嵌合突起28bが嵌合突起19bを下方から押し上げる際にも、中空部により被嵌合突起28bが安定に保持され、嵌合突起19bに加えて被嵌合突起28bのがたつきも抑制することができる。
【0066】
・ 前記保護カバー11を屋内に配置される電気ケーブル及び電気通信用コード等の配線を保護するために使用してもよい。
・ また、同保護カバー11を屋内の天井等に沿うように配置される空調機の冷媒管及びドレン管等の配管を保護するために使用してもよく、屋外に配置される水道管等の配管を保護するために使用してもよい。
【0067】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記カバーをベースに組付けた状態で、同ベースの凸部とカバーの凸部とがそれぞれ略同一の幅方向の寸法を有している請求項1から請求項のいずれか一項に記載の配線又は配管の保護カバー。このように構成した場合、配線又は配管の保護カバーの全体幅が高さ方向に沿ってほぼ同一となり、運搬及び配設作業時には同保護カバーを容易に取扱うことができる。
【0068】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の配線又は配管の保護カバーによれば、配設時の作業効率を向上させることができるとともに、強度を向上させることができる。加えて、ベースに対するカバーの抜け出しを効果的に規制することができるとともに、嵌合部のがたつきを抑制することができる。
【0069】
請求項2に記載の発明の配線又は配管の保護カバーによれば、配設時の作業効率を向上させることができるとともに、強度を向上させることができる。加えて、ベースの位置ずれを効果的に規制することができる。
【0070】
請求項3に記載の発明の配線又は配管の保護カバーによれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、ベース及びカバーの開口端部の強度を向上させることができる。
【0072】
請求項に記載の発明の配線又は配管の保護カバーによれば、請求項に記載の発明の効果に加えて、各空間部に容易に充填剤を充填させることができる。
請求項に記載の発明の配線又は配管の保護カバーによれば、請求項又は請求項に記載の発明の効果に加えて、作業の手間を省くことができる。
【0073】
請求項に記載の発明の配線又は配管の保護カバーによれば、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、複数のベース同士を容易に接続することができる。
【0074】
請求項に記載の発明の配線又は配管の保護カバーによれば、作業の手間を省くことができるとともに、複数のベース同士をさらに容易に接続することができる。
【0075】
請求項に記載の発明の配線又は配管の保護カバーの製造方法によれば、ベースとカバーとを一体成形でき、製造効率を向上させることができる。
請求項に記載の発明の配線又は配管の保護カバーの製造方法によれば、用途に応じてベースのみを効率良く製造することができる。
【0076】
請求項10に記載の発明の配線又は配管の保護カバーの製造方法によれば、用途に応じてカバーのみを効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の配線又は配管の保護カバーを示す斜視図。
【図2】 図1の2−2線における断面図。
【図3】 (a)は図2の3a−3a線における断面図、(b)は図2の3b−3b線における断面図、(c)は嵌合部を示す部分拡大断面図。
【図4】 図3(a)の4−4線における断面図。
【図5】 ベース同士を接続させる際の作用を示す斜視図。
【図6】 (a)は筒状中間成形品を示す正断面図、(b)は切除予定部を切除した際のベースとカバーとを示す正断面図。
【図7】 切除予定部を切除してベースとカバーとを成形した状態の斜視図。
【図8】 筒状中間成形品を押出成形する連結金型装置の平面図。
【図9】 連結金型装置を示す部分拡大断面図。
【図10】 図9の10−10線における断面図。
【図11】 一対のベースを製造する際の単体金型を示す断面図。
【図12】 一対のカバーを製造する際の単体金型を示す断面図。
【図13】 別例の配線又は配管の保護カバーを示す側断面図。
【図14】 別例の配線又は配管の保護カバーを示す側断面図。
【符号の説明】
11…配線又は配管の保護カバー、12…配線としての光ファイバーケーブル、13…ベース、13a…凸部としてのベース凸部、16…第1壁、17…第2壁、18…空間部を構成する第1空間部、19…嵌合部を構成する第1嵌合部、21…中空部、22…貫通孔、23…連通孔、24…カバー、24a…凸部としてのカバー凸部、27…空間部を構成する第2空間部、28…嵌合部を構成する第2嵌合部、30…筒状中間成形品、31…切除予定部、44…位置ずれ防止部材。

Claims (10)

  1. 配線又は配管を内部に収容して保護する合成樹脂製の配線又は配管の保護カバーであって、
    前記配線又は配管の長さ方向に沿って延びる開口を有するベースと、当該ベースの開口を閉鎖すべくベースに組付けられるカバーとから形成され、ベース及びカバーによって配線又は配管が収容され、ベース及びカバーの周方向に沿って延びる凸部が前記長さ方向に沿って所定ピッチで設けられることにより凹凸状をなす第1壁と平坦状をなす第2壁との少なくとも二重壁により構成されるとともに、第2壁が第1壁の凹凸による内方又は外方への各開口を塞ぐように一体形成され、第1壁と第2壁との間にはベース及びカバーの周方向に延びる空間部が形成され
    前記ベース及びカバーの長さ方向に沿って延びる開口側には、カバーをベースに組付けた状態で、同ベースに対するカバーの位置ずれを規制する嵌合部が形成され、
    前記ベース及びカバーの少なくとも一方の嵌合部には第1壁と第2壁とで形成され、ベース及びカバーの長さ方向に延びる中空部が設けられていることを特徴とする配線又は配管の保護カバー。
  2. 配線又は配管を内部に収容して保護する合成樹脂製の配線又は配管の保護カバーであって、
    前記配線又は配管の長さ方向に沿って延びる開口を有するベースと、当該ベースの開口を閉鎖すべくベースに組付けられるカバーとから形成され、ベース及びカバーによって配線又は配管が収容され、ベース及びカバーの周方向に沿って延びる凸部が前記長さ方向に沿って所定ピッチで設けられることにより凹凸状をなす第1壁と平坦状をなす第2壁との少なくとも二重壁により構成されるとともに、第2壁が第1壁の凹凸による内方又は外方への各開口を塞ぐように一体形成され、第1壁と第2壁との間にはベース及びカバーの周方向に延びる空間部が形成され、
    前記ベースの周方向の一部には、第1壁と第2壁とで形成され、長さ方向に隣り合う空間部が連通される連通孔が設けられ、ベースを水平に配設した状態で連通孔を通じて各空間部には充填剤が充填されるように構成されていることを特徴とする配線又は配管の保護カバー。
  3. 前記ベース及びカバーに形成された空間部は同ベース及びカバーの開口端部において閉塞されている請求項1又は請求項2に記載の配線又は配管の保護カバー。
  4. 前記連通孔はベースの長さ方向に沿って延びる開口側に設けられている請求項に記載の配線又は配管の保護カバー。
  5. 前記連通孔はベースの嵌合部内に設けられている請求項2又は請求項4に記載の配線又は配管の保護カバー。
  6. 前記ベースの周方向の一部には、第1壁と第2壁とにより同ベースの長さ方向に延びる貫通孔が形成され、該貫通孔には複数のベース同士の接続を案内する位置ずれ防止部材が挿入されるように構成されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の配線又は配管の保護カバー。
  7. 前記貫通孔はベースの嵌合部内に形成されている請求項6に記載の配線又は配管の保護カバー。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の配線又は配管の保護カバーの製造方法であって、
    ベースとカバーとが切除予定部を挟んで一体成形された筒状中間成形品を成形し、該筒状中間成形品から前記切除予定部を切除して筒状中間成形品を分割することにより、ベースとカバーとを成形することを特徴とする配線又は配管の保護カバーの製造方法。
  9. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の配線又は配管の保護カバーの製造方法であって、
    一対のベースが切除予定部を挟んで一体成形された筒状中間成形品を成形し、該筒状中間成形品から前記切除予定部を切除して筒状中間成形品を分割することにより、一対のベースを成形することを特徴とする配線又は配管の保護カバーの製造方法。
  10. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の配線又は配管の保護カバーの製造方法であって、
    一対のカバーが切除予定部を挟んで一体成形された筒状中間成形品を成形し、該筒状中間成形品から前記切除予定部を切除して筒状中間成形品を分割することにより、一対のカバーを成形することを特徴とする配線又は配管の保護カバーの製造方法。
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