JP4267285B2 - 基体上に金属層を堆積させるためのメッキ浴および方法 - Google Patents

基体上に金属層を堆積させるためのメッキ浴および方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、基体上の金属の堆積を向上させるメッキ浴および方法に関する。より詳細には、本発明はメッキ浴添加剤の分解を防止するアルデヒドをメッキ浴中に組み入れることにより基体上の金属の堆積を向上させるメッキ浴および方法に関する。
【0002】
基体上へ金属を堆積させることは、さまざまな工業用途、たとえば、電鋳、電解精錬、銅粉の製造、電気メッキ、無電解メッキなどにおいて用いられる。基体を金属でメッキするプロセスは、衛生用品、自動車部品、宝石および家具の装飾品、多くの電気装置および回路、たとえば、プリント配線板および回路板、電解ホイル、シリコンウェハメッキなどの製造において用いられる。基体上にメッキすることができる金属の例としては、銅、金、銀、パラジウム、白金、亜鉛、スズ、ニッケル、鉛、コバルトおよびその合金が挙げられる。装飾品および電気装置の製造におけるメッキにおいて多くの金属を用いることができるが、銅がメッキされる金属のうち、最も一般的なもののひとつである。電子産業では、プリント配線板および回路板、ならびに他の電子製品の製造における金属として銅が広く用いられている。
【0003】
電子産業では、プリント配線板上の銅堆積物について多くの必要条件がある。たとえば、銅層は熱ショック(288℃の液体スズ/鉛はんだ中少なくとも1回10秒間浸漬)を受けた場合に亀裂を生じてはならない。加えて、銅層はなめらかでなければならず、コートされた表面のすべての位置で均一の厚さでなければならない。さらに、堆積法は操作が簡単で、経済的でなければならない。
【0004】
電気メッキ中に分解する陽極、たとえば、銅陽極が、銅の電気メッキにおいて用いられることが多い。このような陽極は、可溶性陽極として該産業において公知である。可溶性陽極は、プレート、バーまたは球状の形態であってもよい。プレートおよびバーは適当な固定手段により電源に連結される。球体は多くの場合チタンでできているバスケット中に入れる。球は適当な固定手段で電源に連結される。このような陽極は堆積中に銅が堆積浴から析出するのとほぼ同じ速度で分解し、堆積溶液中の銅の量はほぼ一定である。したがって、銅の補充は必要でない。
【0005】
もう一つのタイプの陽極は、不溶性陽極である。不溶性陽極の外寸は、金属堆積プロセス中に変化しない。このような陽極は、高い陽極の過電圧を防止するために、白金などの触媒金属でコートされることのできるチタンまたは鉛などの不活性物質からなる。不溶性陽極はプリント配線板および回路板の製造において可溶性陽極よりも好ましい。不溶性陽極を用いる電気メッキプロセスは、消耗電極を用いたものよりも融通が利き、より高いメッキ速度が可能になり、必要とする装置サイズがより小さくてすみ、メンテナンスが容易であり、溶液流れおよび撹拌が向上され、陽極を陰極の近くに設置することが可能になる。特に有利なのは、不溶性陽極のサイズが変わらないことである(すなわち、セルの構造が一定のままである)。したがって、より均一なメッキが得られる。加えて、銅の供給源を提供するために使用される銅塩は、多くの場合銅メッキされた装置の製造に関連したエッチング法の産物として利用可能である。たとえば、回路板の製造において、銅層を絶縁基体の全表面上に置き、銅の一部をエッチングで除去して、目的とする回路板を製造する。、
【0006】
基体上のメッキ金属、たとえば銅を用いた電気メッキはさまざまな製造工程において広範囲に使用される。銅メッキは、さらなる金属層の結合層としてさまざまな表面(すなわち、鉄表面)上の腐食を防止し、導電性および熱伝導性を増大させ、多くの電気的用途における導電路を提供するために用いられる。銅を用いる電気メッキは、電気装置、たとえば、回路板、集積回路、電気接触面などの製造において使用される。
【0007】
金属のメッキは、メッキ浴中に複数の成分を含む複雑なプロセスである。金属源を提供する金属塩、pH調節剤および界面活性剤または湿潤剤に加えて、多くのメッキ浴、たとえば電気メッキ浴は、メッキプロセスのさまざまな態様を向上させる化合物を含む。このような化合物または添加剤は、金属メッキの光沢、特に延性およびミクロ均一電着性(micro−throwing power)に関するメッキされた金属の物理的特性ならびに電気メッキ浴のマクロ均一電着性を向上するために使用される補助的な浴成分である。主な関心事は、光沢のある仕上がり、表面上の金属堆積の水平化および均一性に影響を与える添加剤である。許容差内でこのような添加剤の浴濃度を維持することは高品質の金属堆積物を得るために重要である。このような添加剤は金属メッキ中に分解する。添加剤の分解は、陽極での酸化、陰極での還元および化学的分解による。添加剤がメッキ中に分解する場合、分解生成物の結果、金属層堆積物特性が工業的基準に満たないものになる場合がある。産業界における作業員により確立された添加剤の最適濃度を試行し、維持するための経験則に基づいた添加剤の標準的添加が採用されてきた。しかしながら、添加剤がメッキ浴中非常に低い濃度、すなわち溶液のppm濃度で存在するので、金属メッキを向上させる添加剤の濃度をモニターすることは非常に困難である。また、添加剤およびメッキ中に添加剤から形成される分解生成物の複雑な混合物も補充プロセスを複雑にする。さらに、特定の添加剤の消耗は時間または使用される浴に関して必ずしも一定であるとは限らない。不溶性陽極が使用される場合、可溶性陽極に比較して添加剤の消費は増大する。したがって、特定の添加剤の濃度は正確にはわからず、浴中の添加剤の量は、最終的に許容範囲から逸脱する範囲まで減少または増大する。添加剤含量が許容範囲をはるかに逸脱するならば、金属堆積物の品質は悪化し、堆積物は外観が鈍くなる、および/または構造が脆いかまたは粉末状になる。他の結果としては、低い均一電着性および/または不良なレベリングを伴うメッキフォールドが挙げられる。多層プリント回路板の製造におけるスルーホール連結の電気メッキは、高品質のメッキが必要とされる例である。
【0008】
メッキ浴の安定性および寿命は非常に重要である。添加剤の安定性の増大は金属メッキを向上させ、メッキ浴の寿命の延長につながる。寿命の長いメッキ浴は経済的に非常に重要である。前記のようにメッキ浴を頻繁に取り替えること、ならびに劣化した添加剤を含む浴を廃棄することにより金属メッキ操作が中断される。このような中断は生成物収率を低下させる。したがって、添加剤の分解が防止または低減されている安定なメッキ浴が非常に望ましい。
【0009】
米国特許第4469564号は、電気メッキ浴寿命を延長すると思われる銅電気メッキプロセスを開示する。該特許は、可溶性または不溶性陽極を用いて該プロセスを使用することができることを記載している。有機添加物が陽極と接触し、陽極により酸化されることを防止するために、カチオン透過膜で陽極を包み込む。かかるプロセスの欠点は、カチオン透過膜が腐食性化学物質に長時間暴露され、これにより膜の分解が起こることである。たとえば、浴のpHは1.0未満から11.0以上までの範囲である。また、浴pH範囲は、浴成分が消費されるかまたは分解するので時間によって上下する。したがって、当該分野の作業員は、電気メッキ中のpHの変動により分解しない化学組成を有する膜を選択しなければならない。加えて、前記のように、電気メッキ浴はさまざまな成分を含む。成分、たとえば有機添加剤またはその分解生成物はカチオン透過膜の孔をふさぎ、浴へのカチオンの通路を妨害する。したがって、作業員は電気メッキプロセスを停止し、膜を取り替えなければならない。孔の閉塞およびプロセスの停止により金属メッキが不十分になる。
【0010】
日本国特開昭63−014886A2は、塩化物イオンを有し、さらに0.01−100g/lの量において遷移金属イオンを含む酸銅電気メッキ浴を開示している。電気メッキ浴は有機添加剤消費の欠点はないようである。かかる有機添加剤としては、光沢剤、レベリング剤、硬化剤、展性および延性改良剤、および堆積改良剤が挙げられる。
【0011】
EP0402896は、酸銅電気メッキ浴における有機添加剤、たとえば光沢剤を安定化させる方法を開示する。該プロセスは、チタンバスケット中の銅チップの可溶性陽極を使用する。マンガン、鉄、クロム、およびチタンの遷移金属塩を5g/l以下の濃度において電気メッキ溶液に添加する。遷移金属は少なくとも2つの陽性酸化状態において存在するが、実質的にその最低の一般的な陽性酸化状態において溶液中に存在する。遷移金属イオンの陽性酸化状態の溶液中の存在は有機添加剤を安定化させるようである。
【0012】
米国特許第6099711号は、可逆性レドックス系の形態の金属イオンジェネレーターを使用することにより電気メッキ浴において金属イオン、たとえば、銅イオンが補給される不溶性陽極を使用した電気メッキプロセスを開示している。可溶性陽極のかわりに不溶性陽極が使用されるので、金属イオンは陽極の溶解により浴中に補給されない。したがって、可逆性レドックス系が金属イオンを補給する。鉄(II)および鉄(III)化合物が電気化学的可逆性レドックス系として使用される。該特許において開示されている他のレドックス系としては、チタン、セリウム、バナジウム、マンガンおよびクロムの金属があげられる。かかる金属は、硫酸鉄(II)五水和物、硫酸鉄(II)九水和物、チタニル−硫酸、硫酸セリウム(IV)、メタバナジウム酸ナトリウム、硫酸マンガン(II)またはクロム酸ナトリウムの形態において銅堆積溶液に添加される。該特許は、レドックス系は組み合わせることができることを記載している。
【0013】
電気メッキ浴における金属イオンの補給に加えて、該特許は、該プロセスが有機添加剤の劣化を相当な程度まで防止することを記載している。浴中の大量の有機添加剤の劣化は、陽極電位のために陽極で電解により起こる。当該分野における作業員は、鉄(II)の鉄(III)へのレドックス反応の電位(SCEに対して約0.530V)により、陽極での光沢剤酸化を防止できるほど低い陽極電位が得られると考えている。したがって、光沢剤消費が低減される。そのような有機添加剤としては、光沢剤、レベラー、および湿潤剤があげられる。使用される光沢剤としては、水溶性硫黄化合物および酸素含有高分子量化合物が挙げられる。他の添加剤化合物としては、窒素含有硫黄化合物、ポリマー窒素化合物および/またはポリマーフェナゾニウム化合物が挙げられる。
【0014】
該特許は金属イオンを補給し、光沢剤消費を低減することを主張しているが、米国特許第6099711号において開示されているプロセスは欠点を有する。可逆性レドックス反応において、銅が銅(II)に酸化される代わりに、鉄(III)が鉄(II)に還元される。加えて、鉄が経時的に系中に蓄積し、操作の停止およびクリーニングを必要とする。かかる操作は、プロセスの効率を減少させ、プロセスのコストを増大させる。該プロセスについてのもうひとつの欠点は、レドックス系における化合物の濃度を、一定の金属イオンの濃度が堆積溶液中で維持されるようにレドックス系を調整しなければならないことである。したがって、プロセスを操作するためには堆積溶液中レドックス化合物の濃度における誤差の範囲は狭いかまたはほとんどない。したがって、レドックス化合物の濃度におけるわずかな変化がプロセスの操作を妨害する可能性がある。
【0015】
日本国特開平08−199385号は、フッ化物系界面活性剤および有機添加剤、たとえば光沢剤を含む電気メッキ法および液を開示している。
【0016】
金属メッキ浴における添加剤の劣化を防止する方法が存在するが、浴添加剤の劣化を防止するさらなる方法が依然として必要とされている。
【0017】
本発明は、メッキ浴における添加剤の消費を防止するアルデヒドを含有するメッキ浴、およびメッキ浴を用いて基体上に金属をメッキする方法に関する。かかるアルデヒドとしては、メッキ浴の添加剤の消費を防止する任意の適当なアルデヒドがあげられる。本発明の範囲に含まれるアルデヒドは芳香族および非芳香族アルデヒドがあげられる。
【0018】
前記の化合物は、金属メッキ浴において、銅、金、銀、パラジウム、白金、コバルト、カドミウム、クロム、ビスマス、インジウム、ロジウム、イリジウム、およびルテニウムをメッキするために金属メッキ浴において用いることができる。
【0019】
有利には、添加剤消費を抑制するアルデヒドをメッキ浴に添加することにより、添加剤の劣化が防止される。すなわち、添加剤消費抑制アルデヒドは、長い寿命を有するメッキ浴を提供し、非常に効率の良い金属メッキ方法を提供する。本発明のアルデヒドは添加剤の劣化を防止するので、本発明のメッキ浴は、基体上に良好な物理−機械的特性を有する均一で光沢性の高い金属層を提供する。
【0020】
本発明の金属メッキ浴は、金属メッキすることができる任意の基体上に金属層をメッキするために使用することができる。本発明の金属メッキ法は、溶解させたメッキ金属、浴添加剤および1またはそれ以上の本発明の添加剤消費抑制アルデヒドを含む浴中に浸漬させた2つの電極間に電流を通すことを含む。基体が所望の厚さの金属でメッキされるまで電流を浴に通す。
【0021】
本発明の添加剤消費を抑制するアルデヒドおよび方法は、金属メッキが使用される産業において用いることができる。たとえば、金属メッキ浴は、電子装置、たとえばプリント回路板および配線板、集積回路、電気接触面およびコネクター、電解ホイル、マイクロチップ用途のシリコンウェハ、半導体および半導体パッケージング、リードフレーム、オプトエレクトロニクス製品およびオプトエレクトロニクスパッケージング、たとえばウェハ上のソルダーバンプなどの製造において用いることができる。さらに、金属メッキ浴は、宝石類、家具類、自動車部品、衛生器具などの装飾品を金属メッキするために使用することができる。さらに、本発明のアルデヒドは、廃棄物処理法において使用することができる。
【0022】
本発明の第一の目的は、金属メッキ浴における添加剤の劣化を抑制するアルデヒドを提供することである。
【0023】
本発明のもうひとつ目的は、寿命の長い金属メッキ浴を提供することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、基体上に金属をメッキする有効な方法を提供することである。
【0025】
本発明のさらなる目的は、基体上に、良好な物理−機械的特性を有する均一で光沢度の高い金属層をメッキする方法を提供することである。
【0026】
当業者は本発明の詳細な説明および添付の請求の範囲を読むと本発明のさらなる目的を確認することができるであろう。
【0027】
図1は、本発明にしたがった垂直法による製品の処理を示す図である。
図2は、本発明にしたがった水平法による製品を処理する装置を表す図である。
【0028】
本発明の金属メッキ浴は、基体上の金属堆積を向上させるために金属メッキ浴に添加される添加剤の劣化を抑制するアルデヒドを含む。金属メッキ浴は基体上に金属をメッキする任意の好適なプロセスにおいて使用することができる。そのようなアルデヒドとしては、浴添加剤の消費を防止する任意の好適なアルデヒドが含まれる。本発明のアルデヒドは芳香族アルデヒドおよび非芳香族アルデヒドを含む。好適なアルデヒドとしては、
−CHO
(式中、Rは、(C−C20)直鎖、分岐、または環状アルキル;(C−C20)直鎖、、分岐または環状アルケニル;(C−C20)直鎖、または分岐アルキニル;(C−C20)アルキル−O−(C−CO);(C−C12)アルキルフェニル−O(C−CO);またはフェニル−O(C−CO);Xは1−500の整数、Rは水素、(C−C)アルキルまたはフェニルであり;前記(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニル、および(C−C20)アルキニルは非置換または置換であることができる)
を有する化合物があげられる。
【0029】
(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニル、および(C−C20)アルキニルの置換基としては、これらに限定されるものではないが、ハロゲン、アリール、−SH、−CN、−SCN、−C=NS、シリル、シラン、−Si(OH)、−NO、−SOM、−POM、−P(R)、−OH、−COOH、−CHO、COO(C−C12)アルキル、−CO(C−C12)アルキルまたはNR、(式中、RおよびRは独立して水素、アリールまたは(C−C12)アルキルであり;Mは水素またはアルカリ金属Li、Na,K,RbまたはCsの対イオンであり、Rは水素またはF,Cl,BrもしくはIのハロゲンである。
環状アルケニルおよびアリール基としては、これらに限定されるものではないが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナンスリル、フラニル、ピリジニル、およびピリミジニルなどが挙げられる.
【0030】
好ましいアルデヒドは脂環式アルデヒドおよび芳香族アルデヒド、たとえば、(C−C20)環状アルキル、および(C−C20)環状アルケニル、またはアリール置換基を有するアルデヒドである。好ましい芳香族基としては、これらに限定されるものではないが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、およびフラニルがあげられる。構造中に1以上の三重結合、たとえば、(C−C20)直鎖または分岐アルキニルを有するアルデヒドも好ましい。そのような好ましいアルデヒドとしては、置換または非置換アルデヒド両者があげられる。置換基は上記の通りである。
【0031】
脂肪族アルデヒドも本発明において使用できるが、あまり好ましくはない。そのような脂肪族アルデヒドとしては、Rが(C−C20)直鎖または分岐アルケニルであるものがあげられる。
好ましい直鎖または分岐非環式炭素基としては、Rが(C−C20)アルケニルおよび(C−C20)アルキニルであって、非置換または置換のものがあげられる。好ましくはそのような炭素基は上記の1以上の置換基で置換されている。
【0032】
上記の式に包含される好ましい化合物の例としては、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−メトキシシンナムアルデヒド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド モノハイドレート、シリンジアルデヒド、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、2−クロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−フランアルデヒドおよびベンズアルデヒドがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
その他の好ましいアルデヒドの例としては、ビリジン、カルボキシアルデヒド、ベンズアルデヒド、ナフタアルデヒド、ビフェニルアルデヒド、アントラセンアルデヒド、フェナントラセンアルデヒド、2−ホルミルフェノキシ酢酸などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
特に好ましい化合物としては、芳香族アルデヒド、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−メトキシシンナムアルデヒド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド モノハイドレート、またはシリンジアルデヒド(syringe aldehyde)があげられる。
【0035】
本発明のアルデヒドは、銅、金、銀、パラジウム、白金、コバルト、クロム、カドミウム、ビスマス、インジウム、ロジウム、イリジウム、およびルテニウムのメッキのために金属メッキ浴において使用することができる。好ましくは、本発明のアルデヒドは、銅、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、およびコバルトからなる群から選択される金属メッキ浴において用いることができる。さらに好ましくは、アルデヒド化合物は、銅、ルテニウムまたはイリジウムをメッキするための金属メッキ浴において使用される。最も好ましくは、本発明のアルデヒドは、銅メッキ浴において使用される。
【0036】
本発明の1またはそれ以上のアルデヒドを金属メッキ浴に添加することにより、金属メッキ浴における添加剤の劣化が防止または軽減される。好ましくは、金属メッキ浴は電気メッキ浴である。アルデヒド化合物は、一般に浴1Lあたり約0.001g〜約100gの量において添加される。好ましくは、化合物は一般にメッキ浴において約0.01g/L〜約20.0g/Lで使用される。
【0037】
添加剤保存アルデヒドは、浴に成分を添加するために使用される任意の適当な方法によりメッキ浴に添加することができる。一方法は、上記式の化合物をメッキ浴中に他の浴成分および添加剤とともに混合することである。
【0038】
アルデヒドがその分解を抑制するか、または実質的に分解量を低減する添加剤としては、これに限定されないが、光沢剤、レベラー、硬化剤、湿潤剤、展性、延性および堆積改良剤、抑制物質などが挙げられる。このような添加剤は主に有機化合物である。添加剤保存化合物は、光沢剤およびレベラーの分解の抑制に特に有効である。本発明の範囲内に含まれる添加剤としては、金属メッキ浴成分の消費を防止する本発明のアルデヒド以外の、金属メッキ浴成分を言う。
【0039】
理論に限定されないが、本発明の添加剤消費抑制化合物は以下のメカニズムの1つまたは組合せにより添加剤消費を抑制すると考えられる。多くの添加剤が陽極で分解して、酸化生成物になる。本発明のアルデヒドは添加剤よりも競合的に陽極上に吸着し、添加剤の代わりに酸化される。多くの金属メッキ浴は塩化物を含む。塩化物はしばしばHClの形態で金属メッキ浴に添加される。塩化物は陽極で酸化されて塩素になる。塩素は次に浴添加剤を酸化し、金属メッキ浴中の添加剤の有効性を低下させる。1またはそれ以上のアルデヒドを金属メッキ浴に添加することにより、塩素は添加剤よりも1またはそれ以上のアルデヒドを酸化する。言い換えれば、アルデヒドは犠牲種として役割を果たす。もう一つの考えられるメカニズムにおいては、アルデヒドは陽極表面で、塩化物と競合するか、または塩化物および添加剤のどちらとも競合する。このように、アルデヒドは陽極で塩化物よりも、あるいは塩化物と添加剤の両方よりも酸化される。
【0040】
本発明のメッキ浴において使用される適当な光沢剤の例としては、これに限定されないが、構造式:HOS−R11−SH、HOS−R11−S−S−R11−SOH(式中、R11はC−Cまたはアリール基である)、およびHOS−Ar−S−S−Ar−SOH(式中、Arはフェニルまたはナフチルである)を含む化合物が挙げられる。アルキルおよびアリール基の置換基は、たとえば、アルキル、ハロおよびアルコキシである。このような光沢剤の例としては、3−メルカプト−プロピルスルホン酸(ナトリウム塩)、2−メルカプト−エタンスルホン酸(ナトリウム塩)、およびビススルホプロピルジスルフィド(BSDS)があげられる。このような化合物は、米国特許第3770598号、第4374709号、第4376685号、第4555315号および第4673469号に記載され、これらはすべて本発明の一部として参照される。このようなポリスルフィドも、堆積した金属の延性を増大させるために使用することができる。他の光沢剤、特に銅メッキ用の例としては、N,N−ジメチルジチオカルバミン酸(3−スルホプロピル)エステル、ナトリウム塩(DPS)、(O−エチルジチオカルボナート)−S−(3−スルホプロピル)−エステル、カリウム塩(OPX)、3−[(アミノ−イミノメチル)−チオ]−1−プロパンスルホン酸(UPS)、3−(2−ベンズチアゾリルチオ)−1−プロパンスルホン酸、ナトリウム塩(ZPS)、ビススルホプロピルジスルフィドのチオール(MPS)があげられる。
【0041】
メッキ浴において使用することができるレベラーの例としては、これに限定されないが、アルキル化ポリアルキレンイミンおよび有機スルホスルホネートが挙げられる。これらの化合物の例としては、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジンチオン(HIT)、4−メルカプトピリジン、2−メルカプトチアゾリン、エチレンチオ尿素、チオ尿素およびアルキル化ポリアルキレンイミンが挙げられる。このような化合物は、米国特許第4376685号、第4555315号および第3770598号に開示され、その開示は全体として本発明の一部として参照される。
【0042】
本発明の範囲内のメッキ浴において光沢剤として機能することができる他の添加剤の例としては、これに限定されないが、硫黄化合物、たとえば、3−(ベンズチアゾリル−2−チオ)−プロピルスルホン酸ナトリウム塩、3−メルカプトプロパン−1−スルホン酸ナトリウム塩、エチレンジチオジプロピルスルホン酸ナトリウム塩、ビス−(p−スルホフェニル)ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス−(ω−スルホブチル)−ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス−(ω−スルホヒドロキシプロピル)−ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス−(ω−スルホプロピル)−ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス−(ω−スルホプロピル)−スルフィドジナトリウム塩、メチル−(ω−スルホプロピル)−ジスルフィドナトリウム塩、メチル−(ω−スルホプロピル)−トリスルフィド二ナトリウム塩、O−エチル−ジチオカルボン酸−S−(ω−スルホプロピル)−エステル、カリウム塩チオグリコール酸、チオリン酸−O−エチル−ビス−(ω−スルホプロピル)エステル二ナトリウム塩、チオリン酸−トリス(ω−スルホプロピル)−エステル三ナトリウム塩などが挙げられる。
【0043】
抑制物質として使用することができる酸素含有高分子量化合物の例としては、カルボキシメチルセルロール、ノニルフェノールポリグリコールエーテル、オクタジオールビス−(ポリアルキレングリコールエーテル)、オクタノールポリアルキレングリコールエーテル、オレイン酸ポリグリコールエステル、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ステアリン酸ポリグリコールエステル、ステアリルアルコールポリグリコールエーテルなどが挙げられる。
【0044】
堆積物の光沢度を向上させるために芳香族および脂肪族第四アミンもメッキ浴に添加することができる。フェナジンクラス(サフラニンタイプ)の染料およびフェナジンアゾ染料(Janus Green Bタイプ)をレベラーとして使用することができる。金属メッキの厚さおよび均一性を向上させるためにポリエーテルが使用される。
【0045】
光沢剤およびレベラーは、メッキ浴に、約1ppbから約1g/Lの量において添加される。光沢剤およびレベラーは、約10ppbから約500ppmの範囲であることが多い。浴成分の範囲は、各浴の組成によって異なる。したがって、有機添加物についての前記範囲は一般的な範囲である。
【0046】
本発明のメッキ浴に用いられる適当な湿潤剤または界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤、たとえば、フェノキシポリエトキシエタノールが挙げられる。複数のオキシエチレン基を含む他の適当な湿潤剤も使用できる。このような湿潤剤としては、20から150個の繰り返し単位を有するポリオキシエチレンポリマーの化合物が挙げられる。このような化合物も抑制物質として機能する。さらに、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのブロックコポリマーもこのポリマーのクラスに含まれる。界面活性剤および湿潤剤は公知量において添加される。
【0047】
添加剤に加えて、金属イオン供給源として、pH調節剤、たとえば無機酸、ならびにハライドイオンの供給源などの他のメッキ浴成分もメッキ浴中に含まれる。一般に、メッキ浴は水性である。浴のpHは0〜約14の範囲であり、好ましくは、0〜約8である。メッキ浴において用いられる湿潤剤およびかかる浴において用いられる量は、当該分野においては周知である。使用される無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などが挙げられるが、これに限定されない。硫酸が好ましい酸である。ハロゲンイオンは任意である。メッキ浴において用いられるハロゲンイオンとしては、好ましくはクロリド、フルオリド、およびブロミドが挙げられる。このようなハライドは、水溶性塩として浴中に添加される。クロリドが好ましく、浴中に、好ましくはHClとして添加される。金属の水溶性塩は、基体上にメッキされる金属の供給源を提供する。このような水溶性塩としては、銅、クロム、金、銀、カドミウム、白金、パラジウム、コバルト、ビスマス、インジウム、ロジウム、ルテニウム、およびイリジウムの金属塩が挙げられる。
【0048】
銅は本発明の浴でメッキされる好ましい金属である。好ましくは、銅は電気メッキされる。有用な銅は、任意の溶液可溶性銅化合物の形態であってよい。好適な銅化合物としては、ハロゲン化銅、硫酸銅、アルカンスルホン酸銅、アルカノールスルホン酸銅などが挙げられるが、これに限定されない。ハロゲン化銅が使用される場合、クロリドが好ましいハライドである。好ましい銅化合物は、硫酸銅、アルカンスルホン酸銅、またはその混合物である。より好ましいのは、硫酸銅、メタンスルホン酸銅またはその混合物である。本発明において有用な銅化合物は、一般に商業的に入手可能であるか、または文献において公知の方法により調製することができる。銅が基体上でメッキされる場合、浴のpHは0〜約14.0の範囲である。好ましくは、浴のpHは0〜約8.0の範囲である。
【0049】
金属イオンは、メッキ浴中の濃度が約0.010g/L〜約200/Lの範囲であり、好ましくは、約0.5g/L〜約100.0g/Lである。銅が使用される場合、銅の量は約0.01g/L〜約100g/Lの範囲である。好ましくは、銅は、約0.10g/L〜約50g/Lの範囲である。本発明の浴が非高速メッキプロセスにおいて使用される場合、浴中に存在する銅の量は、約0.02g/L〜約25g/Lの範囲である。本発明の浴が、高速メッキプロセスにおいて使用される場合、浴中に存在する銅の量は、約1.0g/L〜約100g/Lの範囲であり、好ましくは約2.0g/L〜約50g/Lの範囲である。
【0050】
ハライドイオンは、0mg/L〜約1g/L、好ましくは約1.0mg/L〜約150mg/Lの濃度範囲である。pHを約0〜約8.0にするために酸をメッキ浴に添加する。したがって、酸は約10g/L〜約600g/L、好ましくは約15g/L〜約500g/Lの量において添加される。
【0051】
本発明を実施するための酸銅電気メッキ浴の例は、次のような組成を有する:銅イオン(硫酸銅として) 0.01〜50g/L
(濃)硫酸 15から500g/L
クロリドイオン(塩化ナトリウムとして)1ppmから150ppm
添加剤 適宜
添加剤保存化合物 0.1〜10g/L
水 1リットルにする量
【0052】
基体が金属メッキされる適当なメッキ浴において添加剤の分解を防止するためにアルデヒドを使用することができるが、好ましくは添加剤保存化合物を電気メッキ浴において使用する。このような電気メッキ浴は、プリント配線板およびマイクロチップ用途において使用されるシリコンウェハの製造、ならびに電気装置の他の部品の製造においてなど、基体上への金属の電着において使用することができる。電着プロセスは、基体を所望の厚さまで金属メッキするために十分な時間、陽極、電気メッキ液、および陰極に電流を流すことを含む。陽極は、可溶性陽極(メッキが起こると溶解して、電気メッキ浴を補充する銅などの金属からなる)であってもよい。別法として、不溶性陽極(不活性物質、たとえば、白金、白金化チタン、鉛などからなる)を使用することもできる。好ましくは、本発明は、可溶性陽極を使用したプロセスよりも、電気メッキ速度が大きく、添加剤消費に関連する問題(陽極での酸化であることが多い)が大きい不溶性陽極を使用するメッキプロセスにおいて使用される。
【0053】
有用な不溶性陽極の例は、イリジウムおよびタンタルの酸化物を有する表面を有する陽極である。このような陽極は、約20から約90モル%のイリジウムを有し、残りはタンタルである。約60から約90モル%のイリジウムと残りがタンタルであるのが好ましい。陽極は、イリジウムおよびタンタルを導電性基体、たとえば、チタン基体上にコーティングすることにより製造される。
【0054】
他の適当な陽極としては、少なくとも約10モル%のVIII族金属、少なくとも約10モル%のバルブ金属および少なくとも約5モル%のバインダー金属からなる陽極が挙げられる。VIII族金属としては、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムおよび白金が挙げられる。バルブ金属としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブおよびタンタルが挙げられる。バインダー金属としては、ベリリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタンおよび原子番号58から71の希土類が挙げられる。特に有用なのは、約5〜約20モル%のバリウムの酸化組成物であり、イリジウムとタンタルの比は約1/4〜約4である。このような組成は、約5モル%のバリウム、約30から約40モル%のイリジウムと残りがタンタルである。加えて、オスミウム、銀および金または他の酸化物を不溶性陽極において用いることができる。
【0055】
前記のように、本発明のメッキ浴は、金属が基体上にメッキされる任意の適当なメッキプロセスにおいて用いることができる。本発明のメッキ浴は、プリント配線板産業などの電子装置の製造およびマイクロプロセッシングにおけるシリコンウェハの製造において基体をメッキするのに特に好適である。
【0056】
電気メッキプロセスにおいて、メッキされる基体が陰極として使用される。可溶性または好ましくは不溶性陽極は、前記のように、第二の電極として使用される。パルスメッキ、またはDC(直流)メッキ、あるいはパルスメッキとDCメッキの組合せが用いられる。このようなメッキ法は当該分野においては一般的である。電流密度および電極表面電位は、メッキされる具体的基体によって変わる。一般に、陽極および陰極電流密度は約1〜約1000アンペア/ft(ASF)まで変化しうる。メッキ浴は約20℃〜約110℃の範囲の温度に維持される。具体的金属についての温度範囲はさまざまである。銅浴は、約20℃〜約80℃の温度範囲に維持され、酸銅浴は約20℃〜約50℃の温度に維持される。メッキは所望の厚さの堆積物が形成されるために十分な時間継続される。一般に、回路板についてのメッキ時間は約45分〜約8時間である。回路板製造に関しては、所望の厚さは約0.5〜約3.0milである。層の厚さは約1.0〜約1.5milであることが多い。
【0057】
垂直および水平メッキプロセスのどちらも用いることができる。垂直プロセスにおいて、基体、たとえば、プリント回路または配線板を本発明のメッキ浴液を入れた容器中に垂直な位置において沈める。陰極として機能する基体は、少なくとも一つの陽極、好ましくは不溶性陽極と反対の垂直な位置に設置される。基体および陽極は電源に連結されている。電源で電流を調節する代わりに、基体と陽極間の電圧が調節されるような電圧調節も可能である。ポンプなどの輸送装置によりメッキ液を連続して容器に向かわせる。
【0058】
垂直法により基体または製品を処理するのに適した配置および装置の例を図1に示す。装置10は、添加剤消費抑制アルデヒドを含む金属メッキ浴14を有する容器12を有する。該金属メッキ浴14は、たとえば銅メッキに用いることができ、すでに記載した成分および添加剤を含む。
【0059】
製品16(陰極)、たとえば回路板、および陽極18、たとえば二酸化イリジウムでコートされた不溶性チタン陽極は金属メッキ浴14中に浸漬されている。製品16および陽極18は電源20に電気的に連結されている。電源で電流を調節する代わりに、製品16と陽極18間の電圧を調節するために電圧配列(voltage arrangement)(図示せず)を用いることができる。金属メッキ浴14はポンプなどの輸送手段(図示せず)により連続して第二の容器または貯蔵槽22に向けられる。金属メッキ浴14が流れる貯蔵槽22は、銅塩、光沢剤、レベラー、添加剤消費抑制アルデヒドなどの金属メッキ浴14中の金属浴成分および添加剤を補充する。
【0060】
水平メッキプロセスにおいて、基体は水平方向に移動してコンベヤーユニットを通して水平な位置において輸送される。メッキ液を連続して基体の下および/または上からスプラッシュノズルまたはフラッドパイプにより注入する。陽極は基体に関して間隔をおいて配列され、適当な装置によりメッキ浴と接触させられる。基体はローラーまたはプレートにより輸送される。
【0061】
本発明を実施するために用いることができる水平法および装置の一例を図2に示す。装置46のスプレーチャンバー24は、金属メッキされる回路板パネルなどのパネル28が連続して輸送されてチャンバー24に入り、出ていくために両末端にスロット26を有するように形成されている。回路板パネルを図示したが、水平装置によりメッキすることができる任意の適当な表面が本発明の範囲内に含まれる。パネル28はアイドラーローラー30により矢印の方向に移動される。一連のローラーブラシ32はパネル28の上面および下面と接触する位置にあり、一連の陽極34はパネル28から離れてアイドラーローラー30の側のローラーブラシ32と接触する位置にある。陽極34は任意の適当な金属、たとえば、二酸化イリジウムでコートされたチタンで形成されている。任意の好適な陽極を使用できるが、不溶性陽極、たとえば、二酸化イリジウムでコートされたチタンが好ましい。陽極34は、陽極が上側からアイドラーローラー34の上側の組に接触し、下側からアイドラーローラー30の下側の組と接触する位置にある。陽極34は電源36の正端子と並列に電気的に接続されている。電極36の負端子はメッキされるパネル28(陰極)と連結されている。ライン44により金属メッキ液40を含む貯蔵槽42と連結されているスプレージェット38は、下方向に陽極34とローラーブラシ32ならびにパネル28上に金属メッキ液40をスプレーするためにローラーブラシ32間に配列されている。矢印は金属浴がライン44を通って流れる方向を示す。金属メッキ液40は、貯蔵槽42への機械的連結においてポンピング手段(図示せず)により貯蔵槽42からライン44を通ってポンプ輸送される。パネル28の輸送機械手段(図示せず)は、電源36の負極とパネル28間の電気的接触を維持しながら、チャンバー24を通ってパネル28を連続して移動させるコンベアタイプの機械である。
【0062】
添加剤分解の量を防止するかまたは実質的に減少させることにより、添加剤消費抑制化合物はメッキされた金属の光沢を向上させ、メッキされた金属の物理的性質を向上させる。本発明の浴でメッキされた金属層は構造が脆かったり、粉末状ではない。さらに、本発明の浴でメッキされた金属層は良好な均一電着性を有し、メッキ皺がない。金属層のこのような性質はプリント回路および配線板におけるスルーホールに特に望ましい。加えて、添加剤消費抑制化合物は金属メッキ中における有機添加剤の分解を防止するかまたは実質的にその量を減少させるので、有機添加剤の補充は必要であってもまれである。さらに、有機添加剤の分解を防止することにより浴を交換せずに金属メッキ操作の長期間継続が許容される。さらに、添加剤消費抑制化合物は有機添加剤の分解を防止するので、メッキ中の装置からコストのかかる半透過性膜を除去することができる。このように、添加剤消費抑制化合物を含むメッキ浴は、添加剤消費抑制化合物を含まない浴よりも有効で経済的な金属メッキ法を提供する。したがって、本発明の金属メッキ浴は、向上された金属メッキプロセスを提供する。本発明におけるすべての数の範囲は両端を含み、組合せ可能である。
【0063】
本発明をプリント配線板産業におけるメッキプロセスに重点をおいて記載したが、本発明は任意の適当なメッキプロセスにおいて用いることができる。化合物はプリント回路および配線板、集積回路、電気接触面およびコネクター、電解ホイル、マイクロチップ用途のシリコンウェハ、半導体および半導体パッケージング、リードフレーム、オプトエレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスパッケージング、ウェハ上などのソルダーバンプなどの電気装置の製造における金属メッキ浴において用いることができる。加えて、金属メッキ浴を、宝石、家具類、自動車部品、衛生用品などの装飾品の金属メッキに用いることができる。さらに、本発明のアルデヒドは、廃棄物処理法において用いることができる。
【0064】
以下の実施例は本発明にをよりよく説明するために提供し、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0065】
実施例1
本発明の範囲内の化合物を、銅メッキ浴における光沢剤消費を抑制する能力について試験した。光沢剤消費を防止する化合物の能力を測定するために流体力学的に制御されたハルセルを使用した。光沢剤を補充しないで約5−90ASF電流密度範囲において製造される、完全に光沢のある陰極の数を記録することにより化合物の光沢剤消費を抑制する能力を測定した。
【0066】
試験において使用した銅メッキ浴は以下のとおりである:
浴成分 量
硫酸銅五水和物 80g/L
(濃)硫酸 225g/L
塩化物(塩化ナトリウムとして) 50ppm
ポリエチレンオキシド(抑制物質) 1g/L
ビススルホプロピルジスルフィド(光沢剤) 1ppm
水 1Lになる量
【0067】
試験した化合物を結果と共に以下の表に記載する。各化合物を約0.1g/Lの量においてメッキ浴に添加した。アルデヒド光沢剤保護添加剤を含まない対照浴も試験した。各ハルセル実験は、陰極として機能する銅クラッドFR4/ガラス−エポキシパネル、および陽極として機能する二酸化イリジウムコートチタンメッシュに関して行った。パネルを約3アンペアで約10分間DC整流器を用い、空気撹拌しながら銅金属で電気メッキした。約10分後、パネル上の堆積物が約5−90ASF電流密度範囲において光沢があるならば、新しい銅張りパネルを浸漬し、銅金属で電気メッキした。約7gの硫酸銅7水和物が約30分ごとに加えられ、銅イオンを補充した。パネル上の銅堆積物が約5−90ASF電流密度範囲においてマット(鈍いまたは非反射性)になるまで、各パネルについてプロセスを繰り返した。マットな堆積物が記録されたら、光沢剤は有意に浴から枯渇したことになる。
【0068】
光沢剤の消費を防止するためのアルデヒドを含まないメッキ浴対照例は、光沢剤の補充なしには1つの光沢のあるHull Cellも生成しなかった。それぞれの光沢剤保護アルデヒドが生成した光沢のあるHull Cellの数を次の表に記載する:
化合物 光沢のあるハルセルの数
3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド 4
2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド 4
2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド 3
シリンジアルデヒド <3
3−ヒドロキシベンズアルデヒド <3
対照(化合物を添加しない) 1未満
試験されたすべての化合物は銅浴成分のみから構成された対照と比較して、光沢剤の保存を示した。すなわち、上記に列記されたアルデヒドは、光沢剤の消費を防止するために銅メッキ浴に加えることができる。
【0069】
実施例2
本発明の範囲内の化合物を銅メッキ浴における光沢剤消費を抑制するその能力に関して試験した。化合物の光沢剤消費を抑制する能力を測定するために流体力学的に制御されたハルセルを使用した。光沢剤消費を抑制する化合物の能力は、光沢剤を補充しないで約5−90ASF電流密度範囲において生じる完全に光沢のある陰極の数を記録することにより測定した。
【0070】
試験において使用した銅メッキ浴は次の通りであった:
浴成分 量
硫酸銅五水和物 80g/L
(濃)硫酸 225g/L
塩化物(塩化ナトリウムとして) 50ppm
ポリエチレンオキシド(抑制物質) 1g/L
ビススルホプロピルジスルフィド(光沢剤) 1ppm
水 1Lにする量
【0071】
試験した化合物を以下の表に結果とともに記載する。各化合物を約1g/Lの量においてメッキ浴に添加した。光沢剤保護アルデヒドを含まない対照浴も試験した。各ハルセル実験を、陰極として機能する銅クラッドFR4/ガラス−エポキシパネル、および陽極として機能する二酸化イリジウムコートチタンメッシュに関して行った。パネルを約3アンペアで約10分間DC整流器を用いて、空気撹拌しながら銅金属で電気メッキをした。約10分後、パネル上の堆積物が5−90ASF電流密度範囲において光沢があるならば、新しい銅張りパネルを浸漬し、銅金属で電気メッキした。合計メッキ時間約30分まで、すなわち3つの連続した光沢のあるハルセルパネルで、陰極堆積物が約5−90ASF電流密度範囲においてマットになるまで、プロセスを繰り返した。マットな堆積物が記録されたとき、光沢剤が有意に浴から消耗したことを示す。
【0072】
光沢剤の消費を防止するためのアルデヒドを含まないメッキ浴対照例は、光沢剤の補充なしには1つの光沢のあるHull Cellも生成しなかった。それぞれの光沢剤保護アルデヒドが生成した光沢のあるHull Cellの数を次の表に記載する:
Figure 0004267285
試験したすべての化合物は、銅浴成分のみからなる対照と比較して光沢剤保持能を示した。したがって、光沢剤消費を抑制するために前記のアルデヒドを銅メッキ浴に添加することができる。
【0073】
実施例3
以下の比較試験は、本発明のアルデヒド光沢剤消費抑制化合物は光沢剤消費を抑制するための鉄レドックス法よりも改良されていることを示す。
【0074】
4つの金属メッキ浴を調製し、すべて、約80g/Lの硫酸銅五水和物、約225g/Lの硫酸、約1g/Lのポリエチレンオキシドおよび約1ppmのビススルホプロピルジスルフィド(光沢剤)を含んでいた。硫酸鉄(II)七水和物を異なる量において4つの浴のうちの3つの添加した。1つの浴は約1g/Lの硫酸鉄(II)七水和物を含み、第二の浴は、約10g/Lの硫酸鉄(II)七水和物を含み、第三の浴は約200g/Lの硫酸鉄(II)七水和物を含んでいた。標準的ハルセルにおいて銅クラッドFR4/ガラス−エポキシパネル上に銅をメッキする間の光沢剤消費を防止する硫酸鉄(II)七水和物の能力を試験するために、硫酸鉄(II)七水和物を各浴に添加した。第四の浴は鉄を含まない対照である。ハルセルは二酸化イリジウム(IrO)メッシュタイプ不溶性陽極を含んでいた。銅クラッドFR4/ガラス−エポキシパネルは陰極として機能した。各ハルセルを約3アンペアで約10分間操作した。
【0075】
さまざまな量の硫酸鉄(II)の存在下で約10分電気メッキした後、完全に光沢のあるパネルは約5−90ASFの電流密度で生じなかった。したがって、相当量の光沢剤がメッキ中に消費された。しかしながら、電流密度が約0−12ASFの範囲にある場合、光沢剤の保護において若干の改善が見られた。半光沢パネルが生じた。電流密度が約0−6ASF範囲まで減少した場合、鉄を含まない対照パネルは半光沢性表面を有していた。
【0076】
前記実施例1の添加剤消費を抑制するアルデヒドは、約5−90ASFの電流密度で鉄塩と比較して改善された光沢剤保護を示した。鉄塩を含むメッキ浴中および対照浴中の光沢剤は、約10分後に実質的に消費され、アルデヒドをメッキ浴に添加すると多くの光沢のあるパネルが生じた実施例1および2のメッキ浴と対照的に、完全に光沢のあるパネルは得られなかった。
【0077】
実施例4
鉄に加えて他の遷移金属を、酸銅メッキ浴における光沢剤消費を防止する能力について試験した。
【0078】
80g/Lの硫酸銅五水和物、約225g/Lの硫酸、約1g/Lのポリエチレンオキシドおよび約1ppmのビススルホプロピルジスルフィド(光沢剤)を用いて5つの浴を調製した。1つの浴は約10g/LのNaMoOを含み、第二の浴は約10g/LのMnSOを含み、第三の浴は約1g/LのMnSOを含み、第四の浴は約1g/LのTeOを含んでいた。第五の浴は対照として機能し、遷移金属化合物を含んでいなかった。光沢剤消費を陰極として銅クラッドFR4/ガラス−エポキシパネルおよびIrOコートチタン陽極を用いてハルセルにおいて試験した。電気メッキを約10分間約3アンペアでDC整流器を用い、空気撹拌をしながら行った。電流密度は約5−90ASFの範囲であった。
【0079】
遷移元素を含む浴は対照パネルと対照的に半光沢のパネルを生じたが、どの浴も約5−90ASF電流密度範囲において完全に光沢のある陰極を生じなかった。実施例3の硫酸鉄(II)と同様に、遷移金属塩を含む浴は対照よりも若干光沢のある銅堆積物を提供した。
【0080】
前記実施例1および2に示すように、本発明の添加剤消費抑制化合物は、本実施例の遷移金属塩と対照的に改良された光沢剤保存活性を有していた。遷移元素を含む浴ではなかったのに対し、実施例1および2の添加剤消費抑制化合物を含むメッキ浴を用いていくつかの完全に光沢のあるパネルが生じた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にしたがった垂直法による製品の処理を示す図である。
【図2】 本発明にしたがった水平法による製品を処理する装置を表す図である。
【符号の説明】
10:装置
12:容器
14:金属メッキ浴
16:製品
18:陽極
20:電源
22:貯蔵槽
24:スプレーチャンバー
26:スロット
28:パネル
30:アイドラーローラー
32:ローラーブラシ
34:陽極
36:電極
38:スプレージェット
40:金属メッキ液
42:貯蔵槽
44:ライン
46:装置

Claims (7)

  1. 2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−メトキシシンナムアルデヒド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒドモノハイドレート、シリンジアルデヒド、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、またはこれらの混合物から選択される添加剤消費を抑制する化合物、および式:HO S−R 11 −SH;HO S−R 11 −S−S−R 11 −SO H(式中、R 11 はC −C アルキルまたはアリール基である);あるいはHO S−Ar−S−S−Ar−SO H(式中、Arはフェニルまたはナフチルである)を有し、該アルキルおよびアリール基がアルキル基、ハロまたはアルコキシ基で置換されていてもよいし、あるいは置換されていなくてもよい化合物から選択される光沢剤を含む、メッキ浴。
  2. 3−メルカプト−プロピルスルホン酸ナトリウム塩、2−メルカプト−エタンスルホン酸ナトリウム塩、ビススルホプロピルジスルフィド、またはこれらの混合物から選択される化合物をさらに含む、請求項1記載の銅メッキ浴。
  3. アルキル化ポリアルキレンイミン、オルガノスルホスルホン、フェナジンクラスの染料、フェナジンアゾ染料、またはこれらの混合物から選択されるレベラーをさらに含む、請求項1記載の銅メッキ浴。
  4. 3−(ベンズチアゾリル−2−チオ)−プロピルスルホン酸ナトリウム塩、3−メルカプトプロパン−1−スルホン酸ナトリウム塩、エチレンジチオジプロピルスルホン酸ナトリウム塩、ビス−(p−スルホフェニル)−ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス−(ω−スルホブチル)−ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス−(ω−スルホヒドロキシプロピル)−ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス−(ω−スルホプロピル)−ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス−(ω−スルホプロピル)−スルフィド二ナトリウム塩、メチル−(ω−スルホプロピル)ナトリウム塩、メチル−(ω−スルホプロピル)−トリスルフィド二ナトリウム塩、O−エチル−ジチオカルボン酸−S−(ω−スルホプロピル)−エステル、カリウム塩チオグリコール酸、チオリン酸−O−エチル−ビス−(ω−スルホプロピル)−エステル二ナトリウム塩、チオリン酸−トリ(ω−スルホプロピル)−エステル三ナトリウム塩、N,N−ジメチルジチオカルバミン酸(3−スルホプロピル)エステルナトリウム塩、(O−エチルジチオカルボナト)−S−(3−スルホプロピル)エステルカリウム塩、3−[(アミノ−イミノメチル)−チオ]−1−プロパンスルホン酸、3−(2−ベンズチアゾリルチオ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム塩、またはこれらの混合物から選択される添加剤をさらに含む、請求項1記載の銅メッキ浴。
  5. カルボキシメチルセルロース、ノニルフェノールポリグリコールエーテル、オクタンジオールビス−(ポリアルキレングリコールエーテル)、オクタノールポリアルキレングリコールエーテル、オレイン酸ポリグリコールエステル、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ステアリン酸ポリグリコールエステル、ステアリルアルコールポリグリコールエーテル、またはこれらの混合物から選択される添加剤をさらに含む、請求項1記載の銅メッキ浴。
  6. 浴のpHが0〜8.0の範囲である、請求項1記載の銅メッキ浴。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の銅メッキ浴と基体を接触させ;十分な電流密度を該メッキ浴にかけて、銅を基体上に堆積させることを含む、基体上に銅をメッキする方法。
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