JP4267252B2 - 熱および水熱安定性の高い多孔性シリカおよびその作製法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔性シリカに関し、特に、熱および水熱安定性の高い多孔性シリカを製造するための新しい技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
界面活性物質(界面活性剤)の集合構造(例えば、棒状ミセル)を鋳型として、その周囲(表面)で適当なシリカ源を原料としてゾルゲル反応を行わせてシリカを合成し、その後に鋳型を除くと、ナノメートルサイズの直径を持つ細孔が規則的に並んだ多孔性シリカ、所謂、メソポーラスシリカを作製できることが知られている。このような多孔性シリカの構造は方向性が規制された異方性の非常に高い場を形成しているので、特異的物理現象や化学反応を行うための新規な環境としてナノサイエンスやナノテクノロジーの分野から注目を浴び、学究面および実用面における各種の用途が期待されている。特に、この構造が極めて精密な構造精度(例えば孔径)を持つことを利用した様々な応用が展開されている。従来より多孔性シリカの孔径を制御する手法としては下記のものが知られているが、特に孔径の熱安定性の点で問題点も多い。
【0003】
a)界面活性剤の分子サイズを利用する方法:
多孔性シリカの合成は、界面活性剤の作るミセル構造を鋳型とするので、界面活性剤の分子サイズ(分子の長さなど)が異なるものを用いれば、ミセルの大きさが変化し、結果として形成される多孔性シリカの孔径が制御されることになる。しかしながら、焼成過程で鋳型を除く際にシリカの骨格の収縮が避けられないので、その処理方法に依存して孔径が変化してしまう。また、このような欠点は焼成操作以外の様々な加熱処理においても現れる。つまり、通常の手法で、界面活性剤の大きさを変えるだけでは、その熱安定性の低さから孔径は精密には制御されることにはならない。さらに、界面活性剤自体の構造を変えると、ミセル形成能力や臨界ミセル濃度などが変化し、多孔性シリカ作製に悪影響を与える場合もあることも知られている。
【0004】
b)反応条件を変える手法:
多孔性シリカの作製時に用いる界面活性剤とシリカ源の比や、触媒の濃度、温度などを変化させることによって孔径を変えることができる可能性がある。しかしながら、この条件を大きく変えると、シリカの相の種類(ヘキサゴナル相、キュービック相、ラメラ相)が変化してしまい、所望の構造が得られなくなってしまうことがある。また、この手法でも、焼成時のシリカの構造の安定性、所謂、熱安定性を向上させない限り、孔径を精密に制御することにはならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、如上の状況に鑑み、多孔性シリカの細孔径を精密に制御するために、様々な加熱処理によっても孔径などの構造変化率の小さい熱および水熱安定性の高い多孔性シリカを作製できる新しい技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、シリカ形成過程に界面活性剤のカウンターイオンや共存イオンが重要な役割を果たしていることに着目し、鋳型のカウンターイオンを従来よく用いられているハロゲンイオンから疎水的なイオンに変更したり、系にこのようなイオンを共存させたりすることにより、上記の目的を達成したものである。かくして、本発明は、下記の一般式(1)で表わされる界面活性物質、シリカ源、ゾルゲル反応触媒、水および必要に応じて有機溶媒を含有する反応溶液を調製してゾルゲル反応を行い、生じた固体をろ過した後、乾燥して粉末にする工程を含むことを特徴とする多孔性シリカの製造方法を提供するものである。
【0007】
【化2】
【0008】
式(1)中、Xは親水性の官能基または原子団を表わし、Yは脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素から成る疎水性の官能基または原子団を表わし、Zはハロゲンイオン以外の疎水性イオンを表わし、ここで、Zは、カウンターイオンとしてゾルゲル反応前から界面活性物質に含まれているか、または、ゾルゲル反応時にZを含む塩として添加される。
本発明に従えば、さらに、上記の方法によって製造され、熱および水熱安定性の高い多孔性シリカが提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に従う多孔性シリカの製造方法は、既述の式(1)で表わされるように、界面活性物質(界面活性剤)のカウンターイオンとして通常用いない疎水性のイオンを用いたり、そのようなイオンを共存させたりすることによって実施される。本発明に従えば高い熱安定性を持つ多孔性シリカが得られるのは、界面活性剤のカウンターイオンや共存するイオンのイオン種を変えることにより、界面活性剤の形成するミセル表面でのシリカの生成が最適に制御されるためと考えられる。
【0010】
式(1)において、Xは、親水性官能基または原子団を表わす。図1に、式(1)で表わされる本発明で用いられる界面活性物質の親水部を構成するのに好ましい官能基または原子団の例を示しているが、これらに限定されるものではない。さらに、本発明で用いられる式(1)の界面活性物質において、Yは、界面活性物質の構成成分として従来より知られた各種の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基から成る疎水部を表わす。図2に、本発明で使用される界面活性物質の疎水部を構成するのに好ましい官能基または原子団の例を示しているが、これらに限定されるものではない。さらに、式(1)において、Zは、従来のハロゲンイオンに代わる疎水性のイオンを表す。図3に、本発明で使用される疎水性のイオンとして好ましい官能基または原子団の例を示しているが、これらに限定されるものではない。
【0011】
本発明で用いられる如上の界面活性物質は、既知の合成反応を工夫することにより得られる。すなわち、概説すれば、式(1)の界面活性物質は、一般に、次のように合成される。つまり、所望の疎水部を持つブロマイド、例えば、ヘキサデシルブロマイドと、所望の親水部構造を持つアミン、例えばメチルイミダゾールとの間で四級化反応を行い、ブロマイドイオンを所望のカウンターイオン、例えばテトラフルオロホウ酸イオン(BF4 ―)とイオン交換することにより合成することができる。このようにしてゾルゲル反応前から式(1)のZで表わされる疎水性イオンがカウンターイオンとして当初から含まれている界面活性剤が得られる。ただし、界面活性物質の合成法はこれに限定されるものではなく、組み合わせに応じた手法がとられる。特に、式(1)のZで表わされる疎水性イオンの添加は上記のように界面活性剤合成時に行われる(すなわち、ゾルゲル反応前から疎水性イオンが界面活性剤に含まれている)必要は必ずしもなく、多孔性シリカを作製する段階(ゾルゲル反応時)においてテトラフルオロホウ酸ナトリウムなどの適当な塩として加えることによってもなされる。図4には、本発明において用いられる界面活性物質として好ましい例を式(1)の表現形式に沿って示しているが、界面活性物質はこれらに限定されるものではない。
【0012】
本発明に従い表面修飾された多孔性シリカを製造するには、界面活性物質、シリカ源、ゾルゲル反応触媒および水を含む反応溶液を調製してゾルゲル反応を行わせる。既述のように、疎水性イオンは、後から塩の形で加えてもいいが、あらかじめイオン交換によって、界面活性剤のカウンターイオンを通常のハロゲンイオンから疎水的なイオンに変えてもよい。疎水的なイオンが存在することにより、シリカの形成過程が変化し、熱および水熱安定性の高い多孔性シリカが得られることになる。用いられる疎水的なイオンとしては、複数の原子からなるイオンが望ましく、特にIIIB (13) 族、IVB (14) 族、VB (15) 族および水素から選ばれる1〜3種の元素とVB (15) 族、VIB (16) 族およびVIIB (17) 族から選ばれる1〜2種の元素より構成されるアニオンがよい。中でも、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 −)やヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 −)が特に効果的である。
【0013】
界面活性剤としては、イオン性であることが好ましいが、その構造は特に規定されない。効果的な疎水性イオンであるテトラフルオロホウ酸イオン(BF4 −)やヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 −)がアニオン性であるから、カチオン性の界面活性剤の使用が一般的である。例えば、第4級アンモニウム(例えばトリメチルアンモニウム)イオンやイミダゾリウムイオンを含むカチオン性官能基または原子団から成る親水頭部を持つものが、よく用いられる。また、これらの効果的な疎水性イオンを既述したようにゾルゲル反応時に塩として添加する場合には、必ずしもイオン性の界面活性剤を用いる必要はない。
【0014】
シリカ源としては、アルコキシド、水溶性珪酸塩、コロイダルシリカなどの種々のものが使用可能であるが、好ましいのは、テトラエトキシシラン(オルト珪酸テトラエチル:TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、メチルトリエトキシシランなどのアルコキシドである。ゾルゲル反応触媒とは、アルコキシド等のシリカ源を加水分解し、重縮合させる反応の触媒であり、塩酸のような酸、水酸化ナトリウムのようなアルカリ、アミン等を使用することができるが、好ましい例は塩酸である。かくして、本発明の多孔性シリカの製造方法の好ましい1つの態様に従えば、界面活性物質として式(1)のXが第4級アンモニウムイオンまたはイミダゾリウムイオンを含むカチオン性官能基または原子団であり、Yが炭素数12〜18のアルキル鎖であり、Zがテトラフルオロホウ酸イオンまたはヘキサフルオロリン酸イオンであるものを用い、シリカ源としてアルコキシドを用い、ゾルゲル反応触媒として塩酸を用いる。
【0015】
ゾルゲル反応溶液には、必要に応じて混合を円滑にするため有機溶媒を添加してもよい。また、ゾルゲル反応は、軽く加熱した後、冷却してゲル生成を促進するように行ってもよいが、一般的には、20〜30℃の常温下に実施することができる。反応時間は、一般に、2〜72時間程度である。
【0016】
以上のようにして本発明に従えば、ナノメートルのオーダーから数十ナノメートルのオーダー(一般に2〜50nm)の直径の細孔を有し、熱及び水熱安定性に優れた多孔性シリカ(メソポーラスシリカ)が得られる。その構造の安定性は、適当な熱処理および水熱処理を施した後、X線回折分析(XRD)、電子顕微鏡、NMRなどの手段を用いて解析することにより確認することができる(後述の実施例参照)。
【0017】
かくして、得られた熱および水熱安定性の高い多孔性シリカは、様々な温度条件下および熱処理過程によっても孔径サイズが保持される特性を持ち、耐熱性の要求される用途に応用される。その孔径サイズによって厳密に規定される薬物の取り込みなどが、周囲の温度条件の影響を受けずに起こることになり、例えば、それらの物質を検出するセンサー、またはそれらの物質を分離する分離剤等として温度特性が極めて良好なものが開発されると期待される。また、触媒を担持した多孔性シリカのから構造特異性の高い高分子素材を得るリアクターの開発が広くなされているが、本発明で得られた熱および水熱安定性の高い多孔性シリカは、高温条件下においてもその構造特性を保持することにより熱的信頼度の高いリアクターの開発に有用であると期待される。
【0018】
【実施例】
以下に、本発明の特徴をさらに具体的に明らかにするため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
なお、本明細書および図面中の化学構造式においては、慣用的な表現法に従い、炭素原子や水素原子を省略して示していることもある。
実施例1:熱安定性の高い多孔性シリカの製造1(有機溶媒を加えない場合)
界面活性物質(界面活性剤)として図4の(1)においてm=1、n=16、Z=BF4に相当する界面活性剤(以下、CMI−BF4と称する)を用いた。界面活性剤 0.051 g、水 1.9 g、12 N HCl 0.85 gを混合し5分間50℃で加熱し、界面活性剤を完全に溶解させた。そこに、テトラエトキシシラン(TEOS)0.2 gを加えて、室温下で4時間撹拌・反応させた。このときのモル比は、界面活性剤/水/TEOS/HCl=0.14/144/1.0/8.5)である。生じた固体をろ過によって分離した。この固体は、100℃で12時間乾燥した後、下記に示す条件下で焼成した。
【0019】
次に、得られた多孔性シリカの熱安定性を評価するため、従来用いられている界面活性剤(図4の(2)においてR=CH3、n=16、Z=Brに相当する界面活性剤、以下CTABと称する)から得られた多孔性シリカとの比較を行った。図5、6には550℃と800℃において焼成した後のXRDパターンを焼成前のもの(100℃で乾燥後のもの)と比較してある。構造の評価は、下記の二つのパラメータによった。
【0020】
【数1】
【0021】
【数2】
【0022】
界面活性剤として従来用いられているCTABを鋳型として用いた多孔性シリカの場合には(図5)、細孔減少率は550℃と800℃において、それぞれ12.5%および26.1%と比較的大きな値を示した。これは、熱処理によってシリカ骨格が収縮し細孔径が小さくなっていることを示す。一方、CMI−BF4を界面活性剤として用いた場合には(図6)、細孔減少率は550℃と800℃において、それぞれ3.7%および10.8%と明らかに小さな値となり、この場合には熱処理によっても孔径の変化が小さい熱安定性の高い多孔性シリカが得られていることがわかった。また、XRD強度変化率<800>は、CTABの場合が18%になるのに対し、CMI−BF4の場合は52%となった。前者の小さな値は、シリカの構造が熱処理によって崩壊していることを示し。後者の大きな値は熱処理後も構造が維持されていることを示す。以上のことから、界面活性剤としてCMI−BF4を用いた多孔性シリカは、従来のものに比べて熱安定性に優れたものとなっていることが証明された。
【0023】
実施例2:熱安定性の高い多孔性シリカの製造2(有機溶媒を加えた場合)
界面活性物質(界面活性剤)としてCMI−BF4を用い、溶媒としてEtOHを加えて、界面活性剤の分散性を高めた条件で多孔性シリカの作製を行った。疎水性のカウンターイオンを用いた場合には、EtOHなどの有機溶媒を加えることにより、ミセル構造が安定化し、より均一なシリカ形成が進むと期待される。界面活性剤 0.051 g、水 1.9 g、12 N HCl 0.85 g、EtOH 0.16 gを混合し室温下で混合して界面活性剤を完全に溶解させた。そこに、テトラエトキシシラン(TEOS)0.2 gを加えて、室温下で24時間撹拌・反応させた。このときのモル比は、界面活性剤/水/TEOS/HCl/EtOH=0.14/144/1.0/8.5/3.6)である。生じた固体をろ過によって分離した。この固体は、100℃で12時間乾燥した後、焼成した。
【0024】
500℃および800℃で焼成して得た多孔性シリカのXRDパターンを焼成前のもの(100℃で乾燥後のもの)と比較した(図7)。細孔減少率は550℃と800℃において、それぞれ1.8%および7.2%と極めて小さな値となり、XRD強度変化率<800>は127%と大きな値となった。これは、本条件下で作製した多孔性シリカの熱安定性が極めて高いことを示している。
【0025】
実施例3:カウンターイオンの効果の検証
実施例1,2で得られた熱安定性が、界面活性剤の構造とカウンターイオン種のどちらに主に由来するものなのかを検証するため、図4の(2)においてR=CH3、n=16、Z=BF4に相当する界面活性剤(以下、CTA−BF4と称する)と図4の(1)においてm=1、n=16、Z=Clに相当する界面活性剤(以下、CMI−Clと称する)を用いて、実施例1同様の実験を行った。550℃における細孔減少率は、CTA−BF4とCMI−Clの場合で、それぞれ2.0%と9.1%であった。つまり、細孔減少率の小さい熱安定性の高い多孔性シリカの形成は、界面活性剤自身の構造ではなく、カウンターイオンの種類に由来していることが明らかとされた。
【0026】
実施例4:イオンの添加の方法の検証
界面活性剤としてCMI−Clを用い、等モル量のテトラフルオロホウ酸ナトリウムを加えて、実施例1同様の実験を行った。550℃における細孔減少率は、2.2%であった。つまり、細孔減少率の小さい熱安定性の高い多孔性シリカの形成は、テトラフルオロホウ酸イオンを界面活性剤のカウンターイオンとして付随させた場合だけではなく、後から相当する塩として加えても得られることが明らかとされた。
【0027】
実施例5:多孔性シリカの水熱安定性の評価1
一般に多孔性シリカを水存在下で熱処理(水熱処理)すると、シロキサン結合の加水分解と再結合がおこり、構造が崩壊する場合と逆に構造が強化される場合の二つの効果が現れる。CTABを鋳型として得られた多孔性シリカとCMI−BF4を鋳型として得られた多孔性シリカ(それぞれ、550℃にて焼成したもの)を70℃の水中で1日水熱処理した後、XRDパターンを測定し構造変化を検討した(図8、9)。この場合の安定性は下記のパラメータにより評価した。
【0028】
【数3】
【0029】
CTABを鋳型として得られた多孔性シリカとCMI−BF4を鋳型として得られた多孔性シリカのXRD強度変化率<水熱>の値は、44%と90%であった。すなわち後者は、水熱処理によって構造が崩壊しない安定な多孔性シリカであることが明らかとなった。また、同様な実験をCMI−Clを鋳型として得られた多孔性シリカを用いて行い、水熱処理に対する構造安定性をXRD測定によって検討した(図10)。XRD強度変化率<水熱>の値は、25%であり、界面活性剤の構造がイミダゾリウム型であっても、カウンターイオンがハロゲンイオンであれば、水熱安定性の向上はないことが示された。
【0030】
実施例6:多孔性シリカの水熱安定性の評価2
CTABを鋳型として得られた多孔性シリカとCMI−BF4を鋳型として得られた多孔性シリカ(それぞれ、550℃にて焼成したもの)の水熱安定性をより高い温度条件にて検討した。これらの多孔性シリカを100℃の水中で5時間水熱処理したものと100℃の水蒸気下で12時間水熱処理したものをXRD測定によって評価した(図11、12)。CTABを鋳型として得られた多孔性シリカを100℃の水あるいは水蒸気で水熱処理した場合のXRD強度変化率<水熱>の値は、それぞれ20%と74%であった。この多孔性シリカの場合には、水熱処理によって構造が一部崩壊してしまっていることを示している。一方、CMI−BF4を鋳型として得られた多孔性シリカを100℃の水あるいは水蒸気で水熱処理した場合のXRD強度変化率<水熱>の値は、それぞれ155%と128%であり、構造が水熱処理によって強化されていることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる界面活性物質の親水部を構成するのに好ましい官能基または原子団の例の化学構造式を示す。
【図2】本発明で使用される界面活性物質の疎水部を構成するのに好ましい官能基または原子団の例の化学構造式を示す。
【図3】本発明で使用される界面活性物質のカウンターイオンとして好ましい官能基または原子団の例の化学構造式を示す。
【図4】本発明で使用される界面活性物質として好適な例の化学構造式を示す。
【図5】本発明に対する比較のために、CTABを鋳型として用いて作製した多孔性シリカ(メソポーラスシリカ)の熱安定性を評価するために測定したX線回折パターンを示す。
【図6】本発明に従い、CMI−BF4を鋳型として用いて作製した多孔性シリカ(メソポーラスシリカ)の熱安定性を評価するために測定したX線回折パターンを示す。
【図7】本発明に従い、CMI−BF4を鋳型として用いて作製した多孔性シリカ(メソポーラスシリカ)の熱安定性を評価するために測定したX線回折パターンを示す。ただし、この場合には、多孔性シリカ作製時にEtOHを加えている。
【図8】本発明に対する比較のために、CTABを鋳型として用いて作製した多孔性シリカ(メソポーラスシリカ)の70℃における水熱安定性を評価するために測定したX線回折パターンを示す。
【図9】本発明に従い、CMI−BF4を鋳型として用いて作製した多孔性シリカ(メソポーラスシリカ)の70℃における水熱安定性を評価するために測定したX線回折パターンを示す。
【図10】本発明に対する比較のために、CMI−Clを鋳型として用いて作製した多孔性シリカ(メソポーラスシリカ)の70℃における水熱安定性を評価するために測定したX線回折パターンを示す。
【図11】本発明に対する比較のために、CTABを鋳型として用いて作製した多孔性シリカ(メソポーラスシリカ)の100℃における水熱安定性を評価するために測定したX線回折パターンを示す。
【図12】本発明に従い、CMI−BF4を鋳型として用いて作製した多孔性シリカ(メソポーラスシリカ)の100℃における水熱安定性を評価するために測定したX線回折パターンを示す。
Claims (3)
- 界面活性物質として式(1)のXが第4級アンモニウムイオンまたはイミダゾリウムイオンを含むカチオン性官能基または原子団であり、Yが炭素数12〜18のアルキル鎖であり、Zがテトラフルオロホウ酸イオンまたはヘキサフルオロリン酸イオンであるものを用い、シリカ源としてアルコキシドを用い、ゾルゲル反応触媒として塩酸を用いることを特徴とする請求項1に記載の多孔性シリカの製造方法。
- 請求項1または2のいずれかに記載の方法によって製造される多孔性シリカであって、 100 ℃で 12 時間乾燥して得た粉末を 550 ℃で焼成した場合に (1) 式で定義される細孔減少率が 1.8 %〜 3.7 %であることを特徴とする、熱および水熱安定性の高い、多孔性シリカ。
細孔減少率 (%) = { 〔 ( 焼成前の d(100) の値 ) − ( 焼成後の d(100) の値 ) 〕
/ ( 焼成前の d(100) の値 )} × 100 (1)
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