JP4267155B2 - ボリュームの誤動作防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャタリングの影響による誤動作を防止するボリュームの誤動作防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、回転操作に応じて位相の異なる一対のパルスを出力するボリューム(以下、ロータリーエンコーダという。)が知られている。このロータリーエンコーダが、例えば車載用音響機器に搭載されている場合、ユーザーが道路条件の悪い場所や振動の発生しやすい条件下にある場所を運転中に、このロータリエンコーダを操作した時、振動により長い間チャタリングの発生する可能性がある。
【0003】
このチャタリングの影響により、例えば音量を変化させようとした時に、ユーザーの思惑と違う変化が発生する可能性がある。そこで、このチャタリングの影響を除去するため、従来では、以下の対策が講じられている。
【0004】
図6は、従来のボリューム変更検知図である。
【0005】
図6aを参照して、ロータリーエンコーダの一対のパルス出力である「E」「F」の信号レベルを1ms毎に確認して、2回連続で同じレベルが確認された時、そのレベルを確定する。例えば、「E」の信号レベルでは、最初に2回連続でHレベルが確認されたために、このHレベルを確定し、ついで2回連続でLレベルが確認されたために、このLレベルを確定し、さらに2回連続でLレベルが確認されたために、このLレベルを確定し、さらに2回連続でHレベルが確認されたために、このHレベルを確定し、最後に2回連続でHレベルが確認されたために、このHレベルを確定する。「F」の信号レベルでは、同様に、Hレベル、Hレベル、Lレベル、Lレベル、Hレベルの順に確定する。
【0006】
そして、これらの確定した信号レベルが予め設定されている図6b、或いは図6cのパターンの時(ボリュームの右回転時)、ボリュームを1STEP・UPすると共に、図6d、或いは図6eのパターンの時(ボリュームの左回転時)、ボリュームを1STEP・DOWNする。
【0007】
要するに、従来では、ロータリーエンコーダの出力レベルが2回連続で同じレベル(L、L或いはH、H)で確認された時に、そのレベルを確定することによって、チャタリングによるノイズの影響を極力除去するように対策が講じられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ロータリエンコーダは、当該ロータリエンコーダを回転操作することにより内部のスイッチをON、OFFして、「E」「F」の信号を出力するが、同時にチャタリングによるノイズが発生する。
【0009】
特に、車載用の場合には、振動などによりさらに長いチャタリングによるノイズが発生する可能性がある。そのチャタリングによるノイズを除去せずにチャタリングが発生している最中に、1ms毎に「E」「F」の信号レベルを検知すると正確な信号レベルを検知することができないという問題があった。
【0010】
また、振動などによりチャタリングが発生している最中に信号レベルが2回同じレベルで検知されることも起こり得る。よってユーザーがボリュームを1STEP・UPしようとするが、実際には1STEP・DOWNするなど誤動作を起こす可能性があるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、ロータリエンコーダの内部スイッチをON、OFFすることによる発生するチャタリングや振動による発生するチャタリングを除去することによりボリュームの誤動作を防止する、ボリュームの誤動作防止装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、回転操作に応じて出力される、互いに位相の異なる一対のパルスの出力パターンを検出し、このパターンに基づいて前記操作の回転方向を検出するボリュームの誤動作防止装置において、一対のパルスをシフトレジスタに入力し、シフトレジスタの各段の出力を組み合わせてチャタリングによるノイズを除去するエッジ検出部と、このエッジ検出部からの出力のうち、一方のパルスのHレベル及びLレベルのエッジ信号を生成するエッジ信号のトリガ生成部と、このトリガ生成部で生成された各エッジ信号及び前記チャタリングによるノイズを除去した他方のパルスを入力し、各エッジ信号及び他方のパルスの出力パターンに基づいて回転方向を検出するボリュームUP・DOWN検出部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のものにおいて、前記エッジ信号のトリガ生成部は、一方のパルスのHレベル及びLレベルのエッジ信号を生成するため、各レベルに対応して二つのDフリップフロップを直列に備え、一つのDフリップフロップでラッチした信号と、この信号を直列配置の別のDフリップフロップでラッチした反転信号とを、ANDゲートに入力することによって各レベルのエッジ信号を生成する、ことを特徴とするものである。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載のものにおいて、チャタリングの発生の時間に対応するクロックパルスを生成するクロック生成部を備えた、ことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1において、この実施形態によるボリュームの誤動作防止装置1はクロック生成部10と、エッジ信号検出部20と、エッジ信号のトリガ生成部30と、ボリュームUP・DOWN検出部40とにより構成されている。
【0019】
エッジ信号検出部20には、ロータリーエンコーダ(図示せず)の一対のパルス出力である「E」「F」の信号が入力されるが、この入力信号には、一般的にチャタリングによるノイズが含まれている。
【0020】
このロータリエンコーダには種々の形式のものが使用されるが、使用するロータリエンコーダによっては、チャタリングの発生の時間が異なってくる。そのため、その仕様に合わせたクロックパルスを生成する必要がある。このクロックパルスは、クロック生成部10で生成され、カウンタ11を使用して何種類かのクロックを生成し、これらを選択部12で選択して、このクロック生成部10はクロック信号「D」を出力する。
【0021】
エッジ信号検出部20は、「E」「F」の信号が入力される一対の直列式シフトレジスタ21a,21bを備えている。
【0022】
シフトレジスタ21aは「E」の信号を6段シフトして、2段目からシフトした各信号(「E2」〜「E6」)を出力する。各信号(「E2」〜「E6」)は、図2及び図3のタイムチャートに示すように、それぞれ時間的にシフトして出力され、各信号(「E2」〜「E6」)は、図1に示すANDゲート22、ORゲート23、NANDゲート24、NORゲート25に挿入される。
【0023】
そして、2〜6段目までの各々の信号が、5回同じレベルが生成されているか否かが判定され、生成されている場合、図2及び図3のタイムチャートに示すように、ANDゲート22、ORゲート23、NANDゲート24、及びNORゲート25が、「G」「H」「J」「I」として各信号を出力する。
【0024】
シフトレジスタ21bは「F」の信号を6段シフトして、2段目からシフトした各信号(「F2」〜「F6」)を出力する。
【0025】
各信号(「F2」〜「F6」)は、図4のタイムチャートに示すように、それぞれ時間的にシフトして出力され、各信号(「F2」〜「F6」)は、図1のANDゲート26、ORゲート27に挿入される。そして、2〜6段目までの各々の信号が、5回同じレベルが生成されているか否かが判定され、生成されている場合、図4のタイムチャートに示すように、ANDゲート26、ORゲート27が、「S」「T」として信号を出力する。
【0026】
図2〜図4では、クロックを556us、チャタリングの長さを最大2msに設定して示している。仮に、上記のようにチャタリングが生成されると「E」「F」の信号が、本来Hレベルの所をLレベルに認識されたり、反対にLレベルの所をHレベルに認識されたりする。これを防止するために、本実施形態では、チャタリングが発生している期間の2msも、チャタリングが発生していない期間も556us毎に「E」「F」の信号レベルを確認して、5回同じレベルが生成された場合、各ゲートの出力を確定しているので、チャタリングによるノイズを確実に除去することができる。
【0027】
ANDゲート22の出力である「G」信号は、「E」信号のチャタリングによるノイズを除いたHレベルの信号を認識した信号である。
【0028】
しかしながら、この「G」信号では、「E」信号のチャタリングを除いた信号のレベルを認識することはできるが、この「E」信号は、図2に示すように、それぞれHレベル、Lレベルの期間の途中でもチャタリングを発生させるので、「G」信号からの認識では、2回Hレベルを認識する可能性がある。
【0029】
すなわち、図2に示すように、2回LレベルからHレベルへの立ち上がりエッジ信号Geが生成される。
【0030】
これを防止するために、ORゲート23の出力である「H」信号を生成し、この「H」信号と、ANDゲート22の出力である「G」信号とをレベル検出器28aに入力する。このレベル検出器28aは、図2に示すように、「G」信号がHレベルになったら、それをそのまま「H」信号がLレベルになるまで保持し、「H」信号がLレベルになったら、Lレベルに設定して「G」信号がHレベルになるまで、これをそのまま保持して「L」信号を生成する。
【0031】
この「L」信号は、トリガ生成部30におけるDフリップフロップ31に入力されてラッチされ、このDフリップフロップ31から出力された「P」信号は、これに直列に配置されたつぎのDフリップフロップ32に入力されてラッチされ、このDフリップフロップ31から出力された「Q」信号と、上記の「P」信号とがANDゲート33に入力され、「R」信号が出力される。すなわち、「L」信号は「E」信号のチャタリングによるノイズを除去した信号となり、「E」信号のチャタリングを除いたLレベルからHレベルに変化する所のエッジ信号Heを有した「R」信号が生成される。
【0032】
つぎに、図1に示すように、NANDゲート24の出力である「J」信号を生成し、この「J」信号と、NORゲート25の出力である「I」信号とをレベル検出器28bに入力する。このレベル検出器28bは、図3に示すように、「J」信号がLレベルになったら、それをそのまま「I」信号がHレベルになるまで保持し、「I」信号がHレベルになったら、Hレベルに設定して「J」信号がLレベルになるまで、これをそのまま保持して「K」信号を生成する。
【0033】
この「K」信号は、トリガ生成部30のDフリップフロップ34に入力され、このDフリップフロップ34から出力された「M」信号は、つぎのDフリップフロップ35に入力され、このDフリップフロップ35から出力された「N」信号と、上記の「M」信号とがANDゲート36に入力され、「O」信号が出力される。すなわち、「K」信号は「E」信号のチャタリングによるノイズを除去した信号となり、「E」信号のチャタリングを除いたHレベルからLレベルに変化する所のエッジ信号Leを有した「O」信号が生成される。
【0034】
一方、シフトレジスタ21bに入力される「F」信号はチャタリングを除去するだけで、エッジ信号のトリガは生成しない。
【0035】
ANDゲート26の出力の「S」信号と、ORゲート27の出力の「T」信号とをレベル検出器28cに入力する。このレベル検出器28cは、図4に示すように、「S」信号と「T」信号とが、Hレベルの時(「F」信号が5クロック以上、Hレベルが生成されている時)に「U」信号をHレベルに設定し、「S」信号と「T」信号とが、Lレベルの時(「F」信号が5クロック以上、Lレベルが生成されている時)に「U」信号をLレベルにする。これによって、「F」信号のチャタリングを除去した「U」信号が生成される。
【0036】
上記「R」「O」「U」の各信号は、ボリュームUP・DOWN検出部40に入力され、このボリュームUP・DOWN検出部40は、図5に示すように、上記「R」「O」「U」の各信号に基づいて、ボリュームが右回転或いは左回転のいずれに回転されたかを検出する。
【0037】
例えば、図5aにおいて、ラインL1上では「R」信号がHレベルで「U」信号がLレベルのため、図5bのパターンに該当し、ボリュームUP・DOWN検出部40は、ボリュームが右回転されたと判定して、ボリュームを1STEP・UPする。同様に、図5aにおいて、ラインL2上では「O」信号がHレベルで「U」信号がHレベルのため、図5cのパターンに該当し、ボリュームUP・DOWN検出部40は、ボリュームが同じく右回転されたと判定して、ボリュームを1STEP・UPする。
【0038】
図5aにおいて、ラインL3上では「R」信号がHレベルで「U」信号がHレベルのため、図5dのパターンに該当し、ボリュームUP・DOWN検出部40は、ボリュームが左回転されたと判定して、ボリュームを1STEP・DOWNする。同様に、図5aにおいて、ラインL4上では「O」信号がHレベルで「U」信号がLレベルのため、図5eのパターンに該当し、ボリュームUP・DOWN検出部40は、ボリュームが同じく左回転されたと判定して、ボリュームを1STEP・DOWNする。
【0039】
以上の説明から明らかなように、ロータリーエンコーダからの一対のパルス信号のうち、「E」信号のチャタリングは、「E」信号に基づいて「L」信号、「K」信号を生成する過程で除去され、「F」信号のチャタリングは、「F」信号に基づいて「U」信号を生成する過程で除去される。
【0040】
そして、本実施形態では、「R」信号を生成する過程で、「E」信号のチャタリングを除いた信号から、LレベルからHレベルに変化する所のエッジ信号Heを生成し、「O」信号を生成する過程で、同じく「E」信号のチャタリングを除いた信号から、HレベルからLレベルに変化する所のエッジ信号Leを生成し、各エッジ信号に基づいて、ボリュームの変更が実行されるので、ユーザの思惑通りにボリュームを確実に変更することができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明では、スイッチのばたつきや振動などによりどのタイミングでチャタリングが発生しても、最初にチャタリングを除去しHレベル及びLレベルの変化するエッジ信号を作成し、各エッジ信号に基づいてボリュームの変更を実行するので、ユーザの思惑通りにボリュームを確実に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるチャタリング除去とエッジ信号のトリガ生成ブロック図である。
【図2】「E」信号のHレベル検出タイムチャートである。
【図3】「E」信号のLレベル検出タイムチャートである。
【図4】「F」信号のチャタリング除去タイムチャートである。
【図5】本発明のボリューム変更検知図であり、aはタイムチャート、b、cは右回転時のパターン、d、eは左回転時のパターンを示す図である。
【図6】従来のボリューム変更検知図であり、aはタイムチャート、b、cは右回転時のパターン、d、eは左回転時のパターンを示す図である。
【符号の説明】
1 誤動作防止装置
10 クロック生成部
11 カウンタ
12 選択部
20 エッジ信号検出部
21a,21b シフトレジスタ
22 ANDゲート
23 ORゲート
24 NANDゲート
25 NORゲート
26 ANDゲート
27 ORゲート
30 トリガ生成部
40 ボリュームUP・DOWN検出部
Claims (3)
- 回転操作に応じて出力される、互いに位相の異なる一対のパルスの出力パターンを検出し、このパターンに基づいて前記操作の回転方向を検出するボリュームの誤動作防止装置において、
一対のパルスをシフトレジスタに入力し、
シフトレジスタの各段の出力を組み合わせてチャタリングによるノイズを除去するエッジ検出部と、
このエッジ検出部からの出力のうち、一方のパルスのHレベル及びLレベルのエッジ信号を生成するエッジ信号のトリガ生成部と、
このトリガ生成部で生成された各エッジ信号及び前記チャタリングによるノイズを除去した他方のパルスを入力し、
各エッジ信号及び他方のパルスの出力パターンに基づいて回転方向を検出するボリュームUP・DOWN検出部と、
を備えたことを特徴とするボリュームの誤動作防止装置。 - 前記エッジ信号のトリガ生成部は、一方のパルスのHレベル及びLレベルのエッジ信号を生成するため、各レベルに対応して二つのDフリップフロップを直列に備え、
一つのDフリップフロップでラッチした信号と、この信号を直列配置の別のDフリップフロップでラッチした反転信号とを、ANDゲートに入力することによって各レベルのエッジ信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1記載のボリュームの誤動作防止装置。 - チャタリングの発生の時間に対応するクロックパルスを生成するクロック生成部を備えた、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のボリュームの誤動作防止装置。
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