JP4266355B2 - 連結鋼管矢板及び連結鋼管矢板の連結構造 - Google Patents
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Description
従来、このような鋼管矢板の継手としては、P−P型(パイプ型)(例えば、特許文献1参照)、ボックス形とT字形、パイプ形とT字形などが一般的に使用されている。また、継手としてH型鋼を使用する場合もあり、具体的には、並列させる鋼管矢板の相互を各鋼管矢板の周面に端縁が結合するH型鋼で一体的に連結している(例えば、特許文献2参照)。このH型鋼は鋼管矢板の間の継手が上記P−P型等に比べて剛であるため、変形に対する剛性が大きく、鋼管矢板自体の剛性も大きくなる。そのため、鋼管の径が小さくて済み、井筒の平面形状を小さくすることができるとして有効とされている。
このようなH型鋼が連結された連結鋼管矢板は複数並列させて、水中に建て込んだ後、バイブロハンマーなどで所定深度まで打設する。地盤が軟弱な場合には深い地層まで鋼管矢板を届かせる必要があることから、鋼管矢板の全長が長くなり、何本かに分けて打ち込む必要がある。そのような場合には、下側に打ち込まれた連結鋼管矢板の上に、複数の連結鋼管矢板を並列させて打ち込み、下側の連結鋼管矢板と上側の連結鋼管矢板とを溶接等で接続して再度バイブロハンマーで所定深度まで打設している(例えば、特許文献2参照)。
そこで、従来、フランジ部だけを溶接することによって上下の連結鋼管矢板を連結したり、予め工場等でH型鋼を全長に渡り溶接してから使用している。そのため、現場でフランジ部だけを溶接する場合には、接続箇所の剛性が他の箇所よりも低下することとなっていた。また、工場で予め溶接する場合には、その全長が長くなるので、工事現場への搬送や打設時における杭打ち機リーダー等の高さに限界があり、施工時において多数の問題点を抱えていた。
上下に連結されるH型鋼の連結部分において、一方のH型鋼のウェブ部5の端部に、内部が開口し、該内部に充填材(例えば、モルタル)が充填される充填部6が設けられ、他方のH型鋼のウェブ部の端部に前記充填部の開口を塞ぐ蓋部7が設けられており、
前記蓋部には、前記充填部の内部に挿入されて、充填部に充填された充填材が固着する固着部14が形成され、
前記固着部は、2つの平板部材が前記H型鋼の前記ウェブ部及びフランジ部に沿ってT字状に組み付けられてなり、
前記充填部と前記H型鋼のフランジ部との間には、前記充填部及び前記フランジ部を貫通し、充填材が注入される注入管13が設けられていることを特徴とする。
このように、従来ではフランジ部のみの溶接により連結していたのに対して、閉鎖空間により溶接が困難とされていたウェブ部や、2つの鋼管矢板の一部の連結を行うことができることから、上下に隣接する連結鋼管矢板間の強度を向上させることができる。また、予め工場等でH型鋼を全長に渡り溶接しておく必要もないため、全長の長い連結鋼管矢板を工事現場に搬送したり、打設時における杭打ち機リーダーの高さの制限等の問題も生じることがない。
しかも、連結鋼管矢板を上下に何本も連結することができるので、連結鋼管矢板の適用長さを長くすることができる。
上下に連結されるH型鋼の連結部分において、一方のH型鋼の端部に設けられた充填部に、他方のH型鋼の端部に設けられた蓋部が、前記充填部の開口を塞ぐようにして設けられており、前記充填部の内部に充填材が充填され、前記固着部に前記充填材が固着していることを特徴とする。
しかも、連結鋼管矢板を上下に何本も連結することができるので、連結鋼管矢板の適用長さを長くすることができる。
また、予め溶接しておく必要もないため、全長の長い連結鋼管矢板を工事現場に搬送したり、打設時における杭打ち機リーダーの高さの制限等の問題も生じることがない。
しかも、連結鋼管矢板を上下に何本も連結することができるので、連結鋼管矢板の適用長さを長くすることができる。
図1は、本発明に係る連結鋼管矢板が打設されてなる鋼管矢板基礎の概略斜視図、図2は、連結鋼管矢板の概略平面図(上端部もしくは下端部を除いた箇所における平断面図)であり、図3は、下側連結鋼管矢板のH型鋼と、上側連結鋼管矢板のH型鋼とが連結される状態を示した要部斜視図である。
図1〜図3に示すように、本発明に係る連結鋼管矢板1は、並列された2つの鋼管矢板2、2間がH型鋼3により連結されてなるものであり、このような連結鋼管矢板1を複数並列して、例えば小判状となるように地盤G内に打ち込んだ後に、これら連結鋼管矢板1の上にさらに連結鋼管矢板1を複数並列して小判状となるように打ち込むことによって、鋼管矢板基礎8を構築する矢板井筒工法に好適に使用される。なお、図1では、H型鋼3は図面の関係上省略した。
充填部6は、下側連結鋼管矢板1Aのウェブ部5上端部において、該ウェブ部5の片側の面に沿って取り付けられている。この充填部6は、内部が略四角柱状をなした略箱状部材であって、その上端面がウェブ部5及びフランジ部4と略面一となっている。
また、充填部6には、該充填部6を形成する壁部6a及びH型鋼3のフランジ部4を貫通し、モルタルが注入される注入管13が設けられている。すなわち、壁部6a及びフランジ部4にはそれぞれ注入管13を貫通させる貫通孔6A、4Aが形成されている。
まず、隣接する複数の下側連結鋼管矢板1Aを、各継手9同士を互いに接続した状態で同時に吊り下げて、バイブロハンマー(図示略)等を使用して振動を与えながら打設し、小判形となるように順次打設していく。ここで、複数の下側連結鋼管矢板1Aをその継手9同士を互いに接続した状態で複数本同時に打設したが、下側連結鋼管矢板1Aを1本毎に打設しても構わない。
続いて、下側連結鋼管矢板1Aのウェブ部5上端部における充填部6の内部に、上側連結鋼管矢板1Bのウェブ部5下端部の固着部14を挿入するとともに、その開口を蓋部7で塞ぐようにして、下側連結鋼管矢板1Aの上にそれぞれ上側連結鋼管矢板1Bを建て込む。
次いで、注入管13からモルタルを注入していき充填部6にモルタルを充填する。これによって、固着部14にモルタルが固着することで蓋部7と充填部6とが連結され、下側連結鋼管矢板1Aと上側連結鋼管矢板1Bとのウェブ部5、5同士が連結される。なお、モルタルを充填した後、注入管13を切断し、フランジ部4に設けられた貫通孔4Aを、フランジ部4に鋼板15を溶接することによって塞ぐ。
さらに、下側連結鋼管矢板1Aと上側連結鋼管矢板1Bとのフランジ部4、4同士を溶接することによって、下側連結鋼管矢板1Aと上側連結鋼管矢板1Bとを連結したら、バイブロハンマー等を使用して振動を与えながら上側連結鋼管矢板1Bを打設していく。
なお、下側連結鋼管矢板1Aと上側連結鋼管矢板1Bとの連結は、連結鋼管矢板1A、1Bの1本毎に行っても良いし、複数本を同時に行っても構わない。したがって、隣接する上側連結鋼管矢板1B、1B同士の継手9相互の接続はそれに応じて適宜行うこととする。
また、予め工場等でH型鋼3を全長に渡り溶接しておく必要もないため、全長の長い連結鋼管矢板1を工事現場に搬送したり、打設時における杭打ち機の高さの制限等の問題も生じることがない。さらに、連結鋼管矢板1を上下に何本も連結することができるので、連結鋼管矢板1の適用長さを長くすることができる。
充填部6には充填部6及びフランジ部4を貫通する注入管13が設けられているので、充填部6にモルタルを簡単に充填することができる。
例えば、上記実施の形態では下側連結鋼管矢板1Aのウェブ部5及び上側連結鋼管矢板1Bのウェブ部5にそれぞれ充填部6及び蓋部7を設けたが、さらに、各連結鋼管矢板1A、1Bのフランジ部4、4にも充填部6及び蓋部7を設けるようにしても構わない。フランジ部4、4に設けた場合は、フランジ部4、4の溶接工程を省略することができる。さらに、上記実施の形態と反対に、上側連結鋼管矢板1Bのウェブ部5下端部に同様の充填部6を設けて、下側連結鋼管矢板1Aのウェブ部5上端部に蓋部7を設けた構成としても構わない。
また、この構造を、鋼管矢板2のうち、互いに対向して設けられた2つのフランジ部4、4によって挟まれた部分S(図2参照)における上下端部にも設けても良い。さらに、鋼管矢板2の上下端部に、その全周にわたって設けても良い。
また、充填部6及び蓋部7はそれぞれ1つずつ設けたが、少なくとも1つあれば良く、この数も適宜変更しても良い。
さらに、充填部6への充填材の注入に関して、充填材の空気抜きとして、例えば、蓋部7に上部に抜ける穴を設けたり、その他、注入管13と同様に充填部6に、充填部6及びフランジ部4を貫通する配管を設けることが好ましい。
また、固着部14の2つの平板部材の表面に細かな凹凸や縞状等を形成しても良く、充填材が食い込み易いように多くの突起を有するもの程好ましい。充填部6の形状は、固着部14を内部に挿入できる形状であれば適宜変更可能である。
2 鋼管矢板
3 H型鋼
6 充填部
7 蓋部
13 注入管
14 固着部
Claims (2)
- 並列された鋼管矢板相互をH型鋼により連結してなる連結鋼管矢板であって、
上下に連結されるH型鋼の連結部分において、一方のH型鋼のウェブ部の端部に、内部が開口し、該内部に充填材が充填される充填部が設けられ、他方のH型鋼のウェブ部の端部に前記充填部の開口を塞ぐ蓋部が設けられており、
前記蓋部には、前記充填部の内部に挿入されて、充填部に充填された充填材が固着する固着部が形成され、
前記固着部は、2つの平板部材が前記H型鋼の前記ウェブ部及びフランジ部に沿ってT字状に組み付けられてなり、
前記充填部と前記H型鋼のフランジ部との間には、前記充填部及び前記フランジ部を貫通し、充填材が注入される注入管が設けられていることを特徴とする連結鋼管矢板。 - 請求項1に記載の連結鋼管矢板を上下に連結してなる連結鋼管矢板の連結構造であって、
上下に連結されるH型鋼の連結部分において、一方のH型鋼の端部に設けられた充填部に、他方のH型鋼の端部に設けられた蓋部が、前記充填部の開口を塞ぐようにして設けられており、前記充填部の内部に充填材が充填され、前記固着部に前記充填材が固着していることを特徴とする連結鋼管矢板の連結構造。
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