以下、本発明の一実施形態に係るラベル作成装置(点字情報処理装置)について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1および図2に示すように、このラベル作成装置1は、装置ケース2により外郭が形成され、装置ケース2の前部上面には各種入力キーを備えたキーボード3が配置されると共に、後部上面には開閉蓋21が取り付けられ、開閉蓋21の表側には長方形のディスプレイ4が配設されている。
また、開閉蓋21の内側には、テープカートリッジCから繰り出されるテープTに対して墨字印刷(文字や記号等のキャラクタの印刷)を行う墨字印刷部120が組み込まれ、テープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部6が窪入形成されており、テープカートリッジCは、蓋体開放ボタン14の押下により開閉蓋21が開放された状態でカートリッジ装着部6に着脱自在に装着される。また、開閉蓋21には、これを閉止した状態でテープカートリッジCの装着/非装着を視認するための覗き窓21aが形成されている。
また、開閉蓋21の右側(装置ケース2の後半右部)には、その内部に点字打刻を行うアッセンブリ(点字打刻部150:図2右上に図示)が組み込まれ、その上面にはこれを覆うように打刻部カバー30が取り付けられている。また、この打刻部カバー30の手前側には、ユーザによりテープ(処理シート)Tが手差し挿入される打刻テープ挿入口31が、また奥側には、打刻後のテープTが排出される打刻テープ排出口32が、テープ走行路(送り経路)70に沿って下り傾斜となるように、それぞれ窪入形成されている。さらに、打刻テープ挿入口31付近には、テープ幅方向に幅調整可能な手差しガイド31aが設けられている。
点字打刻部150は、3個の打刻ピン(打刻ヘッド)41(図5(b)参照)により点字打刻を行う打刻ユニット80と、打刻テープ挿入口31に挿入されたテープTを打刻テープ排出口32に向けて送るテープ送りユニット(テープ送り機構)60と、テープTが搬送されるテープ走行路70とを有し、テープ走行路70を構成する装置フレーム片65にこれらのユニットが組み込まれて打刻アッセンブリが構成され、装置ケース2に一体として装着されるようになっている。また、テープ走行路70に沿ってテープ送りユニット60の駆動により送られていくテープTに対し、打刻ユニット80により3個の打刻ピン41を選択的に駆動することで点字Bが形成される。
装置ケース2の右側部中央には、電源供給のための電源供給口11が形成されるとともに、前半右側部には、パソコン等の図外の外部装置と接続するための接続口(インタフェース)12が形成され、接続することにより、外部装置からの文字情報に基づいて墨字印刷や点字打刻を行い得るようになっている。また、装置ケース2の左側部には、カートリッジ装着部6と外部とを連通する印刷テープ排出口22が形成され、この印刷テープ排出口22には、墨字印刷部120から送り出したテープTを切断するための切断部140が臨んでいる。そして、切断部140によりテープTの後端部が切断されることにより、印刷テープ排出口22から墨字印刷後のテープTが排出される。
また、ラベル作成装置1は、図3に示すように、制御系から見た基本的な構成として、キーボード3およびディスプレイ4を有して、文字情報の入力や各種情報の表示などマンマシンインタフェースを司る操作部110と、テープカートリッジC、印刷ヘッド7および印刷送りモータ121を有して、テープTおよびインクリボンRを搬送しながらテープT上に墨字印刷を行う墨字印刷部120と、フルカッタ142およびハーフカッタ144並びにこれらをそれぞれ駆動するフルカッタモータ141およびハーフカッタモータ143を有して、印刷済みテープTを切断する切断部140と、を備えている。
また、ソレノイド47、打刻ピン41および打刻送りモータ151を有して、テープTを搬送しながらテープTに点字打刻を行う点字打刻部150と、テープT(テープカートリッジC)の種別を検出するテープ識別センサ171、点字打刻部150においてテープTの先端を検出する例えば透過型の先端検出センサ172、同じく点字打刻部150において周囲温度(環境温度)を検出する温度検出センサ173、印刷送りモータ121の回転速度を検出する印刷部回転速度センサ174、および打刻送りモータ151の回転速度を検出する打刻部回転速度センサ175を有して、各種検出を行う検出部170と、をさらに備えている。
また、ディスプレイドライバ181、ヘッドドライバ182、印刷送りモータドライバ183、カッタモータドライバ184、打刻ドライバ185および打刻送りモータドライバ186を有し、各部を駆動する駆動部180と、電源供給口11と接続され、各部に電力を供給する電源部190と、各部と接続され、ラベル作成装置1全体を制御する制御部200と、をさらに備えている。
制御部200は、CPU210、ROM220、RAM230および入出力制御装置(以下、「IOC:Input Output Controller」という)250を備え、互いに内部バス260により接続されている。ROM220は、墨字印刷処理や点字打刻処理等の各種処理をCPU210で制御するための制御プログラムを記憶する制御プログラムブロック221と、墨字印刷を行うための文字フォントデータや点字打刻を行うための点字フォントデータの他、点字データの打刻制御のための制御データ等を記憶する制御データブロック222とを有している。
RAM230は、汎用フラグやレジスタ等として使用されるフラグエリアブロック231の他、墨字情報(墨字文字列(墨字列)用のテキストデータや墨字画像データを含む)を記憶する墨字データブロック232と、点字情報(点訳文字列用のテキストデータ、マスイメージ画像データ、点字画像データ、それを180°回転させた状態の反転点字画像データB´(図9参照)等を含む)を記憶する点字データブロック233と、ディスプレイ4に表示するための表示画像データを記憶する表示データブロック234と、設定された墨字印刷領域(印刷配置部)Epと点字打刻領域(打刻配置部)Ebのレイアウトを記憶するレイアウトブロック235と、その他の汎用のワークエリアとなる各種ワークエリアブロック236と、を有し、制御処理のための作業領域として使用される。また、RAM230は電源が切断されても記憶したデータを保持しておくように常にバックアップされている。
IOC250には、CPU210の機能を補うと共に各種周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。例えば基本クロックの分周信号をカウントして種々の計時を行うタイマ251なども組み込まれている。これにより、IOC250は、キーボード3からの入力データや制御データあるいは検出部170の各種センサ値を、そのまま或いは加工して内部バス260に取り込むと共に、CPU210と連動して、CPU210から内部バス260に出力されたデータや制御信号を、そのまま或いは加工して駆動部180に出力する。
そして、CPU210は、上述の構成により、ROM220内の制御プログラムに従って、IOC250を介してラベル作成装置1内の各部から各種信号・データを入力するとともに、入力した各種信号・データに基づいてRAM230内の各種データを処理し、IOC250を介してラベル作成装置1内の各部に各種信号・データを出力することにより、墨字印刷処理や点字打刻処理の制御などを行う。
例えば、CPU210は、キーボード3より文字情報(墨字列テキストデータ等)が入力されると、これに基づいて墨字(画像データ)Pおよび点字(画像データ)Bを生成し、必要に応じて両画像データ間での長さ等の調整を行うとともに、反転点字(画像データ)B’を用意する(図9参照)。また、調整前または調整後の墨字(画像データ:余白データを含む)Pを墨字データブロック232に記憶すると共に、同じく調整前または調整後の点字(画像データ:余白データを含む)Bおよび反転点字(画像データ)B’を点字データブロック233に記憶する。
また、キーボード3から墨字印刷および点字打刻の指示を取得すると、印刷送りモータ121の駆動を開始し、印刷部回転速度センサ172の検出結果に応じて印刷ヘッド7を駆動することにより、墨字Pの墨字印刷を行う。その後、必要に応じて調整済みの所定長さのテープ送りを行い、フルカッタ142によりテープ後端部を切断して、印刷テープ排出口22からテープTを排出する。
また、図1〜図3を参照して、引き続き(リセット操作や電源オフ操作が無い状態で)、ユーザによる手差し挿入により、短冊状に切断されたテープTが打刻テープ挿入口31に挿入されると、打刻ユニット80およびテープ送りユニット60を駆動することにより、点字B(または反転点字B′)の点字打刻を行う。そして、打刻終了後、打刻送りモータ151の駆動により、必要に応じて調整済みの所定長さのテープ送りを行って、打刻テープ排出口32からテープTを排出する。
ここで、図4を参照し、テープT上に形成される点字B(6点点字B)について説明する。
点字器や点字タイプライタ等で慣用されている1文字(1マス)や文字間(マス間)の仕様(以下「民間仕様」)によれば、同図に示すように、6点点字Bは、縦3個×横2個の6個の点(打刻ポイント:いわゆる「1の点」〜「6の点」と呼ばれる6個の点:図右上に注記)で1マス201が構成され、6個の点のうちの打刻点および非打刻点のパターンにより、この1マス201で、1文字や濁点その他の属性を表現するものである。例えば図4(a)は、1の点、2の点、5の点、6の点を打刻点とし、3の点、4の点を非打刻点とすることにより、文字情報「し」を表現する点字Bを示す図である。
6点点字Bは、1マス201が縦3個×横2個の配置パターンで6個の打刻ポイント201a〜201fに分割されており、縦方向のピッチが略2.4mm、マス内の横方向のピッチが略2.1mm、マス間のピッチは略3.3mmとなっている。同図では、6個の打刻ポイント201a〜201fのうち「し」を表現すべく4個の打刻ポイント201a、201b、201e、201fが選択的に打刻されて、テープT上に例えば角の丸まった円筒形、半球形、円錐形、四角錐形等の断面形状(図4(b)参照)を有する4個の打刻凸部202a、202b、202e、202fが形成されている。なお、6点点字Bを打刻するためには、1マス201の大きさ(テープ幅方向長さ)から換算して、最低限テープ幅12mm(テープT3)が必要となっている。
また、ラベル作成装置1では、打刻ユニット80として相互に交換可能な2種類のユニットが用意されており、一方は直径が略1.4mmの小形の小打刻凸部203を形成し、他方は直径が略1.8mmの大形の大打刻凸部204を形成する。大小2種類の打刻凸部203、204は、その用途によって使い分けられるものであり、例えば、小打刻凸部203が点字Bの読み取りに慣れた者(先天盲者)向けであって、大打刻凸部204が初心者(中途失明者)向けである。また、同一直径においても、用途や好みによって、打刻高さHbを調整(可変)可能になっている。
なお、点字Bには、上述のような仮名文字や数字等を表す6点点字Bの他、漢字を表す8点点字(1マスが縦4個×横2個の点で構成される点字)も使用されている。本実施形態では、6点点字Bを形成する場合を例に挙げて説明するが、8点点字を形成するラベル作成装置においても本発明は適用可能である。また、実際の点字の打刻結果としては、打刻点が凸部となるだけであり、非打刻点は平坦なので見えないが、本実施形態で参照する図面の点字の表記では、説明の便宜上、図4で上述のように、打刻点および非打刻点を、「○」の実線(+斜線網掛け)および点線で明記する。
図1〜図3を参照して、さらに詳述する。キーボード3には、文字キー群3a、および各種動作モード等を指定するための機能キー群3bが配列されている。文字キー群3aは、墨字印刷や点字打刻を行うための文字情報を入力するためのものであり、JIS配列に基づいたフルキー構成となっている。また、機能キー群3bには、一般のワープロ等と同様に、漢字変換等のための変換キー、処理の取り消し等のための取消キー、カーソル移動用のカーソルキー、各種選択画面における選択肢の決定やテキスト入力時の改行のための確定(エンター)キー、簡易図形や記号等を読み出すための記号キーなどが含まれる。
また、さらに機能キー群3bには、墨字印刷や点字打刻を実行させるための印刷・実行キー(印刷キー)、点字打刻部150におけるテープTの送り開始を指示する送り開始キー、手動により点字打刻を行わせる打刻開始キーの他、墨字印刷や点字打刻を行う処理モードを選択するためのモードキー、墨字印刷領域(印刷配置部)Epと点字打刻領域(打刻配置部)Ebの配置を設定するためのレイアウトキー、その配置結果を印刷等の実行前にプレビュー表示させるためのプレビューキー、それをスクロール表示させるためのスクロールキー、点字情報を入力・編集するための点字入力キー、墨字その他の通常文字列を点字に変換(点訳)する際や点字のマスを読み取った際の仲介の文字列(点訳文字列)を生成するための点訳キー、印刷・表示濃度や打刻高さ等の処理環境設定のための環境キーなどが含まれる。
モードキーによって選択される処理モードとしては、入力された文字情報に基づいて墨字印刷および点字打刻を行う第1処理モード(図8(a)参照)、入力された文字情報に基づいて墨字印刷のみを行う第2処理モード(同図(b)参照)、入力された文字情報に基づいて点字打刻のみを行う第3処理モード(同図(c)参照)があり、いずれか1つの処理モードが選択される。
ディスプレイ4は、横方向(X方向)約12cm×縦方向(Y方向)5cmの長方形の形状の内側に、192ドット×80ドットの表示画像を表示可能であり、ユーザがキーボード3から墨字や点字の情報を入力・作成・編集したりする際に用いられる。また、各種エラーやメッセージ(指示内容)を表示し、ユーザに報知する。
墨字印刷部120において、カートリッジ装着部6には、ヘッドカバー20a内にサーマルヘッドから成る印刷ヘッド7が内蔵されたヘッドユニット20と、印刷ヘッド7に対峙するプラテン駆動軸25と、インクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸23と、テープリール17の位置決め突起24と、を備えている。また、カートリッジ装着部6の下側には、プラテン駆動軸25および巻き取り駆動軸23を回転させる印刷送りモータ121が内蔵されている。
テープカートリッジCは、カートリッジケース51内部にテープリール17とリボンリール19とを収容して構成されており、テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。また、ヘッドカバー20aに差し込むための貫通孔55が形成されており、テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応して、プラテン駆動軸25に嵌合されて回転駆動するプラテンローラ53が配置されている。また、リボンリール19から繰り出されたインクリボンRは、ヘッドカバー20aを周回して、リボンリール19に近接配置されたリボン巻き取りリール54に巻き取られるようになっている。
テープカートリッジCがカートリッジ装着部6に装着されると、ヘッドカバー20aに貫通孔55が、位置決め突起24にテープリール17の中心孔17aが、プラテン駆動軸25にプラテンローラ53が、巻き取り駆動軸23にリボン巻き取りリール54の中心孔がそれぞれ差し込まれ、テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド7がプラテンローラ53に当接して墨字印刷が可能になる。そして、墨字印刷後のテープTは、印刷テープ排出口22に送られる。
テープTは、裏面に粘着剤層(粘着層)が設けられた基材テープ(基材シート:情報形成層)Tbと、この粘着剤層を覆うように基材テープTbに貼付された剥離テープ(剥離シート:剥離層)Teとから構成されている。基材テープTbは、表側から、インクリボンRから感熱転写されるインクの定着性を高めた受像層と、基材テープTbの主体を為すポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムで構成された基材層と、粘着剤で構成された粘着剤層と、を積層して構成されている。剥離テープTeは、基材テープTbをラベルとして使用する時まで粘着剤層に埃などが付着しないようにするためのものであって、表面にシリコン処理がなされた上質紙(実施形態のものはPET製)などで構成されている。
また、テープTは、テープ種別(テープ幅、テープ色、墨字インク色、テープ材質など)が異なる複数種のものが用意されており、この種別を指標する複数の孔(図示省略)がカートリッジケース51の裏面に設けられている。また、複数の孔に対応してカートリッジ装着部6には、これらを検出するテープ識別センサ(マイクロスイッチ)171が複数設けられており、このテープ識別センサ171の状態を検出することで、テープ種別を判別できるようになっている。なお、本実施形態では、テープ幅24mm(テープT1)、テープ幅18mm(テープT2)、テープ幅12mm(テープT3)の3種を例に挙げて説明する(図6参照)。
次に、切断部140において、フルカッタ142は、詳細は図示しないが、上下方向にスライドカット可能な斜刃のカッタ刃を有するスライド形式のもので、フルカッタモータ141を駆動源とするクランク機構を介して、カッタ刃(カッタホルダ)を、テープTの幅方向にスライド動作させるようになっている。カッタ刃がスライド動作すると、これに臨むテープTの基材テープTbおよび剥離テープTeの両方を切断、すなわちテープTをフルカットするようになっている。
また、同様に、ハーフカッタ144は、フルカッタ142と概ね同形状のスライドカット可能な斜刃のカッタ刃を有するスライド形式のもので、テープ送り上流側(テープカートリッジCに近い側)に配設され、ハーフカッタモータ143を駆動源とするクランク機構を介して、テープTの幅方向にスライド動作可能に構成されている。この場合、カッタ刃の突出量は、フルカッタ142の場合と異なり、基材テープTbのみをカットする突出量に調整され、カッタ刃がスライド動作すると、これに臨むテープTの基材テープTbのみを切断、すなわちテープTをハーフカットするようになっている。
次に、点字打刻部150において、打刻ユニット80は、図5に示すように、テープTの裏面側に配設されると共に上記3個の打刻ピン41が組み込まれた打刻部材(打刻ヘッド)81と、テープTを挟んで打刻部材81と対向する位置で打刻ピン41の突き上げ(打刻)を受ける打刻受け部材82とを備え、テープ走行路70の下側(図(b)における図示下側部)に固定配置されている。
打刻部材81は、テープ幅方向(図示左右方向)に沿って、2.4mmの間隔で配列された3個の打刻ピン41を備えており、6個のうち縦3個の打刻ポイント201a〜201c(または201d〜201f)に対応していると共に、ソレノイド47を駆動源とした直線運動をガイドするガイド部材45によって、テープTに対し垂直に保持されている。打刻ピン41の頭部41aは、打刻した打刻凸部202の形状が角の丸まった円筒形、半球形、円錐形、四角錐形等の断面形状(図4(b)参照)となるような形状に形成されている。
ここで、ソレノイド47によりプランジャー48が直線運動を行うと、アーム部材46が支持部材49を支点として回動し、打刻ピン41がテープTに対し垂直方向に直線運動を行う。そして、3個のアーム部材46にそれぞれ接続された3個のソレノイド47は、三角形状の角部に位置するようにそれぞれ配設されている。一方、打刻受け部材82は、3個の打刻ピン41と対向する面42aに、3個の打刻ピン41に対応する3個の打刻受け凹部43が形成されている。そして、この打刻ピン41と打刻受け部材82とにより、テープTに打刻凸部202を形成する。なお、3個の打刻ピン41と対向する面42aは、打刻受け凹部43を形成する代わりに、合成ゴム等の弾性材で構成した平坦な面としてもよい。
また、図6に示すように、テープ送りユニット60は、送りローラ61と、それを装置フレーム片65に支持する支持部材62と、送りローラ61を回転させるための正逆回転可能な打刻送りモータ151(図3参照)とを有している。送りローラ61は、駆動ローラ(図示省略)および従動ローラ61aから成るグリップローラであり、従動ローラ61aには、形成された点字Bを押し潰すことがないよう、干渉を逃げるように、環状溝63が形成されている。
また、打刻テープ挿入口31には、テープ幅の大きいものからテープT1、T2、T3(テープ幅24、18、12mm)が挿入可能であり、最大テープ幅のテープT1については上下ガイド71、72によってガイドされ、それ以外のテープT2、T3については、下ガイド部材71のみによってガイドされ、ユーザによりその先端がテープ送りユニット60(送りローラ61)に到達するまで(挿入可能な位置まで)手差し挿入される。そして、キーボード3上のテープ送り開始キーの押下によりテープ送りユニット60によるテープ送りが開始される。
そして、先端検出センサ172によるテープ先端の検出をトリガとして、点字打刻処理を開始する(入力された点字データに基づくテープ送りおよび点字打刻を行う)。このとき、テープ先端から打刻開始位置までの長さが、打刻ピン41と先端検出センサ172との間の長さよりも短く設定されている場合は、送りローラ61を逆回転させることでテープTを送り戻し、適当な位置まで送ったところで打刻および正方向へのテープ送りを開始する。なお、打刻ユニット80による打刻開始は、先端検出センサ172によるテープ先端の検出をトリガとするばかりでなく、ユーザがキーボード3上の打刻開始キーを押下することにより手動開始させることも可能である。
次に、図7〜図9を参照し、ラベル作成装置1の全体処理について説明する。図7に示すように、電源キーの押下(電源オン)により処理が開始すると、まず、前回の電源オフ時の状態に戻すために、退避していた各制御フラグを復旧するなどの初期設定を行い(S10)、テープ識別センサ171(図3参照)によりテープ種別を検出し(S11)、続いて、ユーザによるキーボード3からの(またはパソコン等の外部装置からの)データ入力により文字情報が入力され、編集画面等として各種の情報が表示される(S12)。
ここで、キーボード3からのモード選択指示(モードキー入力)により(または外部装置からの指示入力により)、モード選択割込が発生すると(INTM)、処理モード選択の処理が起動され、第1処理モード(墨点併記)、第2処理モード(墨字のみ)および第3処理モード(点字のみ)のいずれかが選択される(S13)。
また、レイアウト設定指示(レイアウトキー入力)により(または外部装置からの指示入力により)、レイアウト設定割込が発生すると(INTL)、レイアウト設定の処理が起動され(S30)、プレビュー表示指示(プレビューキー入力)により(または外部装置からの指示入力により)、プレビュー表示割込が発生すると(INTR)、プレビュー表示の処理が起動され(S31)、点字入力指示(点字入力キー入力)により(または外部装置からの指示入力により)、点字入力指示割込が発生すると(INTB)、点字入力の処理が起動され(S32)、記号入力指示(記号キー入力)により(または外部装置からの指示入力により)、記号入力指示割込が発生すると(INTS)、記号入力の処理が起動され(S33)、印刷/実行指示(印刷キー入力)により(または外部装置からの指示入力により)、印刷割込が発生すると(INTG)、実行前設定の処理が起動される(S14)。
ここで、実行前設定(S14)では、実際の墨字印刷や点字打刻に際してその時点で必要とされる割付配置等の設定や各設定の最終確認等が行われる。なお、モード選択割込、レイアウト設定割込、プレビュー表示割込、点字入力指示割込、記号入力指示割込などがないまま、印刷割込が発生したときには(INTG)、デフォルトとして前回の設定のモード(初期設定では、第1処理モード、点字下段、墨点並行、墨字入力)が選択される。そして、実行前設定(S14)が終了すると、実際の墨字印刷や点字打刻の処理を開始する。
すなわち、図7および図8(a)に示すように、第1処理モードの場合(S13:(a))、墨字印刷部120による墨字Pの印刷(墨字印刷)を行った後(S15)、テープカットと印刷テープ排出口22からのテープTの排出を行い(S16)、ディスプレイ4上に打刻テープ挿入口31へのテープ挿入指示を表示する(S17)。なお、この指示表示は、インジケータやLEDによって行っても良い。
テープ挿入指示に従って、ユーザによりテープTが打刻テープ挿入口31に挿入(手差し挿入)されると、点字打刻部150により点字Bの打刻(点字打刻)を行った後(S18)、打刻テープ排出口32から打刻済みテープTを排出し(S19)、処理を終了する(S27)。
また、第2処理モードの場合(S13:(b))、墨字印刷部120による墨字印刷の後(S20)、テープカット・排出を行い(S21)、処理を終了する(S27)。すなわち、第2処理モードでは、図8(b)に示すように、装着されたテープカートリッジCから繰り出されたテープTが墨字印刷部120へ送られることによって墨字Pを印刷する。
また、第3処理モードの場合(S13:(c))、ディスプレイ4上に打刻テープ挿入口31へのテープ挿入指示を表示し(S24)、ユーザによるテープ挿入により点字打刻を行った後(S25)、打刻テープ排出口32から打刻済みテープTを排出し(S26)、処理を終了する(S27)。すなわち、第3処理モードでは、図8(c)に示すように、短冊状のテープ(任意の長さにカットされたテープ)Tが手差し挿入により点字打刻部150に送られて、点字Bを打刻する。
なお、手差し挿入のための短冊状のテープTを入手するために、テープ挿入指示(S24)の前に、図7および図8(c)に点線で図示のように、第1処理モードの墨字印刷の代わりの空印刷(何も印刷しないでテープ送りのみ)を行った後(S22)、テープカット・排出を行い(S23)、排出されたテープカット後のテープTを、手差し挿入用の短冊状のテープTとして利用しても良い。また、図示はしないが、点字打刻部150の上流側にテープカートリッジCを装着できる仕様とし、テープカートリッジCから繰り出された長尺状のテープに点字打刻を行わせることも可能である。また、墨字印刷と点字打刻は、同じ文字情報に基づいて印刷/打刻するのではなく、異なる文字情報に基づいて実行することも可能である。
次に、レイアウト設定(S30)では、テープ幅検出結果(S11)および処理モード選択結果(S13)に基づいて、主な設定として、テープT上における墨字印刷領域(印刷配置部)Epや点字打刻領域(打刻配置部)Ebの相対位置や(図9等参照)、各配置部の長さ(図外の印刷配置部長さ、打刻配置部長さ、共通配置部長さ等)が設定され、その他、墨字印刷の文字サイズなど、一般的なテープ印刷装置やワープロ等と同様の設定が行われる。
そして、特に第1処理モード(墨点併記)の場合、図9に示すように、テープ幅の検出結果が24mm(テープT1)のときには(同図(a)参照)、印刷配置部Epが上段,打刻配置部Ebが下段(a―1:以下「点字下段」)、または印刷配置部Epが下段,打刻配置部Ebが上段(a―2:以下「点字上段」)のいずれかのレイアウトが選択される。
また、テープ幅18mm(テープT2)のときにも(図9(b)参照)、点字下段(b―1)、点字上段(b―2)のいずれかが選択されることとなるが、この場合、テープ幅に合わせて印刷配置部Epのテープ幅方向長さが短くなる。なお、これらのテープT1やテープT2の場合、墨字と点字とを並行に配置するレイアウト(以下「墨点並行」)以外に、自由に(例えば大きく)印刷した墨字の一部に点字を重ねるレイアウト(以下「墨点重ね」)を選択して、設定できるようになっている。
なお、テープ幅12mm(テープT3)のときには(図9(c)参照)、テープ幅が点字1マス201の大きさ(テープ幅方向長さ)を打刻可能な最低の長さであるため(図4(a)参照)、点字上段・下段の選択、墨点並行/重ねの選択・設定に拘わらず、印刷配置部Epと打刻配置部Ebが重なり合ったレイアウトのみとなる。
次に、ラベル作成装置1では、ディスプレイ4内に、テキスト編集画面等の通常の表示画面の他に、対応するプレビュー表示画面(プレビュー画面、モニタ画面)を表示することができる。このため、上述のプレビュー表示(図7のS31)では、その時点で実際の墨字印刷や点字打刻が行われた場合の、その墨字印刷や点字打刻のイメージ(画像)を、ディスプレイ4内のモニタ画面に表示(プレビュー表示)する。
次に、記号入力(S32)について、特に記号入力指示(記号キーの押下)に応じて、点字情報を入力・作成する例について、具体的に詳述する。
まず、ラベル作成装置1では、絵文字、外字記号、簡易図形等と呼ばれるものを含むいわゆる記号(以下適宜「マーク」)を、前述の文字情報入力(S12)の一部として、墨字用の文字列(墨字列)の一部に組み入れて(挿入して)、他の墨字列とともに印刷できる。そして、これらの墨字列中の印刷用のマークは、いわば晴眼者用のマークであるが、その晴眼者用のマークを入力(選択)することにより、そのマークを点字変換(点訳)して、対応する点字列の点字情報(点字データ:点訳文字列や点字列のマスイメージ等)を作成(以下、「記号点訳」)することができる。
また、ラベル作成装置1において、利用可能に登録されている記号(マーク)は、その記号の使用箇所や使用状況など(以下「用途」)の違いにより、複数のカテゴリーに分類されて登録されている。すなわち、各マークは、主にビットマップフォントデータとして、出荷当時のものは、ROM220の制御データブロック222内に、後に追加したものでROM書換(またはROM交換)によるものは、同じく制御データブロック222内に、それ以外は追加分として、RAM230の各種ワークエリアブロック236内に、各カテゴリーと対応づけられて登録(記憶)されている。
この分類(カテゴリー)としては、図10の「分類」欄に示す「エレベータ」「自販機」「公共表示」の他にも、「記述」「省略」「かっこ」「矢印」「○△□☆」「単位」「算数」「数字」「2桁数字」「環境」「荷物」「警告用」「仕事」「スポーツ」「遊び」「ビデオ」「音楽」「生き物」「乗り物」「食べ物」「予定」「暮らし」「シーズン」「家族」「干支」「星座」「ギリシャ」「欧州」「編集」等々、種々のものがあり、また、図10の分類下にも図示以外のマークが種々存在するが、図10には、本実施形態の「記号点訳」で使用する分類と各分類下のマークの一部の例のみを図示する。
そして、ラベル作成装置1では、「記号点訳」で使用する分類(カテゴリー)下のマークに対応する読みを示し且つ長文変換等の点字仕様が適用済みの仮名文字列、すなわち点字列と直接対応する仮名文字列(点訳文字列)を、上述の制御データブロック222内または各種ワークエリアブロック236内に、各カテゴリーおよび各マークに対応づけた状態で、登録(記憶)する。
なお、ここでの対応付けは、例えば各マークの付随情報として点訳文字列の情報を記憶しても良いし、それぞれ独立に記憶しておいて、対応付けのための対応テーブル等を用意しても良い。前者では、マークと点訳文字列とをセットで読み出せる利点が有るし、後者では、別々に記憶できるので記憶領域を確保し易い等の利点がある。
また、本実施形態では、墨字列を入力し(図7のS12)、それに分かち書きや長文変換や助詞変換等の点字仕様に基づく点訳を施して、対応する点訳文字列を作成し、それを点字のマスイメージに変換(点字変換)して、点字列の点字画像データを作成できるので、ここでの「記号点訳」についても、途中の点訳文字列のデータ(テキストデータ等でよい)で登録しておいて、必要時に点字変換するものとするが、図10に図示のように、対応するマスイメージや打刻時のイメージまで展開した打刻イメージのデータ(画像データ)で登録することもできる。これらの場合、点訳文字列としてテキストデータ等で登録するよりも、メモリ容量を要するが、マークを選択後にマスイメージを表示したり点字打刻等を行う際の制御は容易になり且つ高速化できる。
また、本実施形態では、異なる複数のカテゴリー下で使用される同様のマークは、例えば図示の電話マーク(「エレベータ」下の電話マークMsと「公共表示」下の電話マークMs2)のように、説明や図示の便宜と理解の容易さを考慮して、別のマークとするが、仮にマークが全く同一のものであっても、使用される複数のカテゴリー下のそれぞれに分類して登録(記録)しておく。
これにより、同じまたは同様の「電話」マークが、「公共表示」等に対しては文字通り「電話」の意味で慣用表現するのに対して、「エレベータ」下では、電話の意味より緊急連絡手段の意味も持つことが優先されて、「緊急」の意味で慣用表現されることが理解(把握)できる。
以下、晴眼者用のマークに対応して用途に応じて(各カテゴリー下で)慣用表現された点字列の点字情報を、「記号点訳」により把握する操作について、さらに具体的に詳述する。
例えば図11に示すように、まず、テキスト編集開始前の初期状態では、編集を開始する1行目の行番号(墨字マークMkp)を表示するとともに、1行目の1文字目の入力を促すカーソルKを表示する(テキスト編集画面:画面D00:以下、ディスプレイ4の表示画面の状態を画面Dxxとし、Dxxのみで説明および図示する。)。
この状態から(D10)、ユーザの操作として、記号キーが押されると(図7の記号入力指示割込(INTS))、記号入力の処理が起動され(S33)、記号入力のため、その第1階層の選択画面(記号入力選択画面)に遷移する(D11)。なお、ラベル作成装置1では、ユーザは、キー入力による各種指示等や入力データを、削除キーの押下(1回に1文字ずつの削除)や取消キーの押下によって取り消して、元の状態に戻すことができるが、これらについて、以下では説明は省略する。
上述の状態では(D11)、選択肢として、墨字用の記号を入力するための「墨字用」および点字用(すなわち点字変換対象の)記号を入力するための「点字用」のいずれかを、カーソル操作によって選択・指定できる(画面遷移直後は前回指定の選択肢をデフォルトとしてカーソル指定して表示:初期設定は「墨字用」)。なお、以下の各種画面においても、基本的に画面遷移直後は、前回指定の位置をデフォルトとしてカーソル指定して表示するものとし、説明は省略する。
ここでは、点字用の記号入力がしたいので、上述の状態から(D11)、カーソル(↓)操作により「点字用」がカーソル指定されて(D12)エンターキーの押下により選択(以下単に「選択確定」という)されたとすると、記号入力方法(記号入力モード)として「点字用」を設定して、次に、点字記号分類選択画面に遷移する(D13:図11と図12で共通)。
この状態では、選択肢として、分類(カテゴリー)となる「エレベータ」「自販機」「公共表示」のいずれかを、カーソル(↓または↑)操作によって選択・指定できるので(D13〜D15)、ここでは、図12に示すように、「エレベータ」が選択確定されたとすると(D13)、分類として「エレベータ」を設定して、次に、その「エレベータ」のカテゴリー下の点字記号選択画面に遷移する(D20)。
この状態では、選択肢として、図10で前述の(指定カテゴリー)「エレベータ」下の記号(マーク)のいずれかを、カーソル(→または←による循環表示)操作によって選択・指定できるので(D20〜D24:D21が図13と共通)、ここでは、図13に示すように、「電話」(意味では「緊急」)マークMs(が選択確定されたとすると(D21)、電話マークMsを選択マークとして設定して、次に、そのマークに対応する点字情報による処理の選択指示画面(点字変換指示画面)、すなわち、点字ラベルを作成するか否かの選択画面に遷移する(D30)。
この状態では、選択肢として、「エレベータ」下で選択された電話マークMsに対応する慣用表現(ここでは「緊急」:点訳は「キンキュー」)の点字列の点字打刻を行うための「する」、点字打刻と共にマークの印刷を行う「する・記号付き」、これらを行わない「しない」のいずれかを、カーソル(↓または↑による循環表示)操作によって選択・指定できる(D30〜D32:D30が図14と共通)。
ここでは、図14に示すように、「する」が選択確定されたとすると(D30)、電話マークMsに対応する慣用表現(「キンキュー」)の点字列の点字打刻を行うことを設定して、この場合、図7および図8(c)で前述の第3処理モード(点字のみ)の処理を行うことになるので、まず、「テープ準備中」のメッセージ表示と共に、空印刷およびテープカット・排出を行い(D40、図7のS22〜S23)、続いて、テープ挿入指示を表示する(D41、S24)。
ここで、テープTが打刻テープ挿入口31に手差し挿入されると、「点字打刻中」のメッセージ表示と共に、電話マークMsに対応する慣用表現の「キンキュー」の点字列の点字情報(ここでは打刻イメージの点字画像(データ)Gb0)に従って点字打刻を行った後、テープTを排出し(D42、S25〜S26)、処理を終了して(S27)、元の選択画面に戻る(D43:D30と同じ)。これにより、例えばテープ幅12mmの場合、図15(a)に示すように、点字打刻のみのラベルL00を作成できる。
なお、この場合、テープTは、図2で前述のように、裏面に粘着剤層(粘着層)が設けられた基材テープ(基材シート)Tbと、この粘着剤層を覆うように基材テープTbに貼付された剥離テープ(剥離シート)Teとから構成されているので、ラベルL00を見て、カテゴリー「エレベータ」下の電話マークMsに対応する点字列(マスイメージ、打刻イメージ)を確認(把握)した上で、所望の場所に(すなわちカテゴリーに合致するように、例えば「エレベータ」の電話口に)貼り付けることができる。
そして、上述のようにラベルを作成してから、点字変換指示画面に戻った後((D43:D30と同じ)、あるいは、図13で上述の点字変換指示画面において(D30〜D32)、「しない」が選択確定されたとすると(D32)、テキスト編集画面に戻るが、ここでは選択されたカテゴリー[エレベータ]とマーク(電話マークMs)とそれに対応する慣用表現の点字情報(点訳文字列)「キンキュー」を表示すると共に、そのまま墨字列として入力もできるように、「キンキュー」を墨字列の一部として表示し、カーソルKにより、その次の文字の入力を促す(D33)。
上述のように、本実施形態のラベル作成装置1では、用途を示す各分類(各カテゴリー)の下に、晴眼者が日常生活で目にする各種のマークが分類されていて、点字の慣用表現等を知りたい所望のマーク(例えば上述の例の電話マークMs)を選択できる。
また、これにより、上述の例ではカテゴリー「エレベータ」下の電話マークMsに対応する慣用表現「キンキュー」の点字列(すなわち各カテゴリー下での各マークに対応する慣用表現の点字列)の打刻イメージの点字画像(点字情報)Gb0が、電話マークMsの選択により読み出されてテープT上に点字打刻される(すなわちマークの選択により読み出されて報知される)。
このため、上述の例ではラベルL00を見ることにより、点字仕様や点字の慣用表現の知識のない晴眼者であっても、晴眼者用のマークに対応して用途に応じて慣用表現された(すなわち各カテゴリー下のマークに対応する)点字列の点字情報を把握できる。
すなわち、ラベル作成装置1は、あたかも、晴眼者用のマークによって慣用表現の点字列の点字情報を検索するための「マーク引きの慣用表現点字辞書」のような役割を果たすことができる。
また、上述の例では、テープ(処理シート)Tに対して打刻された結果の点字列(すなわち点字打刻による報知)により、すなわち点字打刻された結果のラベルL00を見ることで、「エレベータ」下の電話マークMsに対応する慣用表現「キンキュー」の点字列の打刻イメージ(すなわち、各カテゴリー下のマークに対応する慣用表現の点字列のマスイメージ)を把握できる。
なお、上述の例を第1例とすると、上述の第1例では、慣用表現「キンキュー」の点字列の打刻のみを行ったが、点字打刻と共に、テープ(処理シート)T上に「電話」マーク(マーク)Msの印刷を行っても良い。この例を第2例として、以下に説明する。
この第2例では、図13で前述の点字変換指示画面において、「する・記号付き」が選択確定されたとすると(D31)、カテゴリー「エレベータ」下の電話マークMsに対応する慣用表現「キンキュー」の点字列の点字打刻を行うことに加えて、電話マークMsの印刷を行うことを設定して、この場合、図7および図8(a)で前述の第1処理モード(墨点併記)の処理を行う。
このため、まず、図14で前述の「テープ準備中」の代わりに「マーク印刷中」のメッセージを表示すると共に、電話マークMsの墨字画像(イメージデータ、画像データ)Gp0に従って印刷(墨字印刷)を行った後、テープカット・排出を行い(図7のS15〜S16)、続いて、テープ挿入指示を表示する(D41と同様、S17)。
そして、テープTが打刻用に手差し挿入されると、「点字打刻中」のメッセージ表示と共に、慣用表現「キンキュー」の点字画像Gb0に従って点字打刻を行った後、テープTを排出し(D42と同様、S18〜S19)、処理を終了して(S27)、元の選択画面に戻る(D31と同様)。これにより、例えばテープ幅12mmの場合、図15(b)に示すように、電話マークMsの墨字印刷と「キンキュー」の点字打刻とを並べた外観(画像)G01のようなラベルL01を作成できる。
この場合、テープTにより作成されたラベルL01を見るだけで、電話マークMsとそれに対応するカテゴリー「エレベータ」下での慣用表現「キンキュー」の点字列とを(すなわち、処理シート上のマークとそれに対応する点字列とを)、対応づけて、一目で把握できる。
また、この場合も、テープTは、基材テープ(基材シート)Tbと、その粘着剤層(粘着層)を覆う剥離テープ(剥離テープ)Teとから構成されているので(図2参照)、テープ(処理シート)T上の電話マーク(マーク)Msと慣用表現「キンキュー」の点字列との対応を把握した後、基材テープTbを剥離テープTeから剥がして、マークと点字を含むラベル(混在ラベル等)L01として、任意の場所(すなわちカテゴリーに合致するように、例えば「エレベータ」の電話口)に貼り付けることができる。
なお、ラベル作成装置1では、墨字印刷時に、ハーフカッタ144(図3参照)により基材テープTbのみをカット(ハーフカット)できるので、図15(c)に示すように、電話マークMsの墨字印刷の際に、「キンキュー」の点字打刻との間と成る部分をハーフカット(ハーフカットラインhc)しておいて、その後、図15(b)と同様の点字打刻を行うことにより、同図(c)に示すように、外観画像G02のようなラベルL02を作成できる。
この場合、上述のラベルL01と同様に、テープ(処理シート)T上の電話マーク(マーク)Msと慣用表現「キンキュー」の点字列との対応を把握した後、基材テープTbの電話マーク(マーク)Msの墨字画像Gp0の部分のみを、または「キンキュー」の点字列の点字画像Gb0の部分のみを、または両方一緒に、剥離テープTeから剥がして、マークラベル、点字ラベルまたは混在ラベル等として、例えば「エレベータ」の電話口等の所望の場所に、貼り付けることができる。
なお、上述したラベルの例は、装着したテープTが全てテープ幅12mm(テープT3)の場合に対するものであったが、テープ幅24mm(テープT1)やテープ幅18mm(テープT2)の場合にも、同様にして、ラベルを作成できる。そして、例えば図15(b)と同様に、電話マークMsの墨字画像Gp0の墨字印刷と「キンキュー」の点字画像Gb0の点字打刻とを並べる場合、同図のようにテープ長手方向に並べるばかりでなく、同図(d)に示すように、テープ幅方向に並べた外観画像G10のようなラベルL10を作成することもできる。
また、上述の第1例、第2例では、記号入力指示(記号キー押下)により「記号点訳」して、点字情報を入力・作成したが、点字入力指示(点字入力キー押下)を利用しても同様のことができるので、この例を第3例として、以下に説明する。
この第3例では、図16に示すように、テキスト編集画面の状態から(D10:図11と共通)、点字入力キーが押されると(図7の点字入力指示割込(INTB))、点字入力の処理が起動され(S32)、点字入力のため、その第1階層の選択画面(点字入力選択画面)に遷移する(D50)。
上述の状態では(D50)、選択肢として、文字入力(墨字列入力)に基づいてそれを点訳して点字を入力する「文字入力」、打刻点を指定して点単位で点字(マス)を入力する「6点入力」、および、記号入力(記号選択)に基づいて点字を入力する「記号入力」のいずれかを、カーソル操作によって選択・指定できる(D50〜D52)。
ここでは、記号入力がしたいので、上述の状態から、カーソル(↑または↓)操作により「記号入力」が選択確定されたとすると(D52)、図11で前述の点字記号分類選択画面に遷移する(D53:図11のD13と同じ)。
このため、この状態からは(D53)、図11〜図14で前述と同様の操作(D13〜D15、D20〜D24、D30〜D33)を行うことにより、第1例や第2例と同様の図15で前述のラベルL00、L01、L02、L10等が作成できる。
したがって、これらのラベルを見るだけで、点字仕様や点字の慣用表現の知識のない晴眼者であっても、晴眼者用のマーク(例えば電話マークMs)に対応して用途に応じて(各カテゴリー下での)慣用表現された(「キンキュー」の)点字列の点字情報を把握でき、これにより、ラベル作成装置1は、晴眼者用のマークによって慣用表現の点字列の点字情報を検索するための「マーク引きの慣用表現点字辞書」のような役割を果たすことができる。
ところで、上述の第1〜第3例における点字情報は点字のマスイメージ(以下「打刻イメージ」の意味も含む)であり、点字打刻の結果による(すなわち点字ラベルによる)報知であったが、ユーザに点字情報を伝える(報知する)のであれば、打刻でなく、印刷でも良い。
この例を第4例とすれば、この第4例では、印刷による報知なので、例えば図15で上述の各ラベルを墨字印刷のみの各ラベルとすることが考えられる。すなわち、図15は、点字の打刻点や非打刻点のイメージから成る点字のマスイメージを図示したものであるが、この第4例では、まさしく図示のように墨字画像(データ)として用意して、図7および図8(b)で前述の第2処理モード(墨字のみ)を行うことにより、各ラベルを作成できる。
また、これにより、墨字印刷された各ラベルを見るだけで、すなわちテープ(処理シート)Tに印刷された点字情報を見ることで、点字仕様や点字の慣用表現の知識のない晴眼者であっても、晴眼者用のマーク(電話マークMs)に対応して各カテゴリー下で慣用表現された(「キンキュー」の)点字列の点字情報を把握でき、「マーク引きの慣用表現点字辞書」の役割を果たすことができる。
なお、この場合、報知が印刷なので、点字情報としてはマスイメージ(打刻イメージ)でなくても良く、例えば点訳文字列でも良い。すなわち、上述の各ラベルで言えば、打刻イメージ(点字画像Gb0)の代わりに、「キンキュー」の文字列でも良い。
これによれば、点字情報(ここでは点訳文字列)の報知により、各カテゴリー下のマークに対応する点字列の読みを把握できる。また、ラベル作成装置1では、墨字列に基づいて点字ラベルを作成できるので、見て把握したその点訳文字列を改めて墨字列として入力することにより、各カテゴリー下のマークに対応する点字ラベル(点字シート等)を作成できる。
さらに、点字情報の報知という意味では、打刻や印刷でなく、表示でも良い。これを第5例とすれば、この第5例においても、点字情報としてはマスイメージと点訳文字列の双方が可能である。
例えば図13で前述の点字変換指示画面において(D30〜D32)、「しない」が選択確定されたときには(D32)、テキスト編集画面に戻るが(D33)、この状態では、選択されたカテゴリー[エレベータ]とマーク(電話マークMs)とそれに対応する慣用表現の点字情報(点訳文字列)「キンキュー」を表示しているので、あえてラベルを作成しなくても、この表示(報知)により、点字情報の点字文字列を把握でき、「マーク引きの慣用表現点字辞書」の役割を果たすことができる。
もちろん、この表示から読み取った点訳文字列「キンキュー」を改めて墨字列として入力することにより、図15で前述の各ラベルと同様のラベルを作成することもできる。ただし、ラベル作成装置1では、前述のように、このテキスト編集画面に戻った時点で、上記表示と共に、そのまま墨字列として入力もできるように、「キンキュー」を墨字列の一部として表示し、カーソルKにより、その次の文字の入力を促すので(D33)、さらに利便性の高いものとなっている。
すなわち、通常の場合、墨字列入力後に、点訳キーが押されると、墨字列→点訳文字列の点訳と、点訳文字列→点字(マスイメージ)の点字変換を行うが、ここでは、点訳のための長文変換等の点字仕様が既に適用済みの点訳文字列を墨字列として入力しているので、墨字列=点訳文字列=「キンキュー」となり、そのまま点字変換され、図15で前述と同様の点字画像を作成し、それにより同様の各ラベルを作成できる。
また、この場合、テキスト編集状態(図7のS12の状態)なので、モード設定によって、第1処理モード(墨点併記)、第2処理モード(墨字のみ)、第3処理モード(点字のみ)を自在に選択できるので、図15の各ラベルも自由に作成できる。
なお、このため、図13で前述の点字変換指示画面を省略して、図17(a)に示すように、直接、点字情報表示付のテキスト編集画面に遷移させることもできる(D60:図13のD33と同じ)。
また、同図(b)に示すように、点訳文字列「キンキュー」は墨字列の入力行にのみ表示し、その上部には、点訳文字列の表示でなく、そのまま印刷実行指示(印刷キー押下:図7のINTG)により作成可能なラベル(例えば図15(c)のラベルL02)のプレビュー画面を縮小表示(R02)するようにしても良い(D61)。
また、これらのテキスト編集画面の状態から(D60、D61)、プレビュー表示指示(プレビューキー押下:図7のINTR)により、対応するプレビュー画面を表示させることもできる(D62)。
これら第5例の各種によれば、表示画面に表示された点字情報(マスイメージや点訳文字列)を見ることで、点字仕様や点字の慣用表現の知識のない晴眼者であっても、晴眼者用のマーク(電話マークMs)に対応する各カテゴリー(エレベータ)下での慣用表現(キンキュー)の点字列の点字情報(マスイメージや点訳文字列)を把握でき、「マーク引きの慣用表現点字辞書」の役割を果たすことができる。
なお、上述の第1例〜第5例の他にも、種々のバリエーションが考えられるので、これらをまとめて第6例をして、以下に説明する。
例えば図15(a)で前述のラベルL00は、第3処理モード(点字のみ)の処理を利用したものであるが、第1処理モード(墨点併記)を利用して、図18(a)に示すように、点訳文字列「キンキュー」の墨字画像Gp1による墨字印刷と、対応する点字画像Gb0による点字打刻とを施した、外観画像G20のラベルL20を作成できる。そして、このラベルL20を見れば、慣用表現の点字列の点字情報の点訳文字列「キンキュー」とそのマスイメージとを、一目で同時に把握できる。
また、図15(b)のラベルL01は、電話マークMsの墨字画像Gp0による墨字印刷と、「キンキュー」の点字画像Gb0による点字打刻とを、位置がずれるように施したが、点字は実際には図示よりも目立たないので、図18(b)に示すように、双方が重なるようにして、ラベルL21を作成できる。この場合も、ラベルL21を見れば、電話マークMsとそれに対応する慣用表現「キンキュー」の点字列の点字情報(マスイメージ)とを、一目で同時に把握できる。
同様に、図18(c)のラベルL22は、図15(c)のラベルL02の点字打刻と重なるように、慣用表現の点訳文字列「キンキュー」の墨字印刷を行ったものであり、電話マークMsと点訳文字列「キンキュー」とを併せて墨字印刷後に点字打刻を行う第1処理モード(墨点併記)の処理を行うことで作成できる。
また、図18(d)のラベルL30は、同様に、図15(d)のラベルL10の墨字印刷側に、点訳文字列「キンキュー」の墨字印刷を加えたものであり、同じく第1処理モード(墨点併記)の処理を行うことで作成できる。
これらによれば、ラベルL22あるいはラベルL30を見ることにより、電話マークMsとそれに対応する慣用表現「キンキュー」の点字列の点字情報(点訳文字列とマスイメージの双方)とを、一目で同時に把握できる。
なお、図18で上述の各ラベルは、点字画像Gb0により点字打刻を行ったが、点字画像Gb0を墨字印刷の画像として合成し、第2処理モード(墨字のみ)の処理を行うことにより、図18に図示のイメージのままの墨字印刷ができ、この場合も、上記の点字打刻を行う場合と同様に、作成された墨字のみのラベルを見ることによって、電話マークMsとそれに対応する慣用表現「キンキュー」の点字列の点字情報(点訳文字列とマスイメージの双方)とを、一目で同時に把握できる。
また、図17(d)に示すように、前述のテキスト編集画面(D60、D61)の代わりに、例えば上記の図18(c)等のプレビュー縮小画面表示(R22)を付したテキスト編集画面を表示すれば(D63)、この表示による報知により、電話マークMsとそれに対応する慣用表現「キンキュー」の点字列の点字情報(点訳文字列とマスイメージの双方)とを、一目で同時に把握できる。
また、この場合、図示のように、墨字列として、電話マークMsと点訳文字列「キンキュー」を並べておくことにより、そのまま墨字列を入力するのに便利であると共に、プレビュー縮小表示が多少見にくくても、墨字列の表示で明確に把握できる。
なお、上述した実施形態において、電話マークMsが「エレベータの電話口」を示すとしたが、この場合の「電話口」には、インターホンタイプの(受話器を把持しないタイプの)電話口も含まれることは言うまでもない。
また、実際には、エレベータのメーカの違い等によって、電話マークMsに対応する慣用表現として、上述した「キンキュー」以外に、「イジョー」や「ヒジョー」等々のように表現されている場合もあり、統一されていない。このため、各種マークに対応する点字ラベルの作成の利便性の点ばかりでなく、それ以前に、視覚障害者が異なる複数の慣用表現に惑わされることを防止するためにも、早期の表現統一の規格化が望ましく、規格化された場合には、ラベル作成装置1等においても、その規格に従うことになる。
そして、逆に言えば、本件のラベル作成装置1のように「マーク引きの慣用表現点字辞書」の役割を果たす点字情報処理装置が一般に流通され、そのことが点字の慣用表現の統一化・規格化を推進する一役を為すとともに、ひいては、視覚障害者の日常生活の一助となることが期待される。
なお、上述した実施形態において採用された点字情報処理装置としての機能あるいは各種処理方法(点字情報処理方法など)は、上述のラベル作成装置1ばかりでなく、プログラム処理可能な各種の装置によって処理されるプログラムとして適用でき、その種のプログラムを記憶するための記憶媒体にも適用でき、この種のプログラムを記憶しておいて、あるいは記憶媒体等から読み出して、実行することにより、点字仕様や点字の慣用表現の知識のない晴眼者であっても、晴眼者用のマークに対応して用途に応じて慣用表現された点字列の点字情報を把握できる。
また、上記の記憶媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。もちろん、その他、要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
1…ラベル作成装置(点字情報処理装置) 2…装置ケース 3…キーボード 4…ディスプレイ 7…印刷ヘッド 110…操作部 120…墨字印刷部 140…切断部 150…点字打刻部 170…検出部 180…駆動部 190…電源部 200…制御部 B…点字 C…テープカートリッジ Dxx…表示画面 Eb…点字打刻領域(打刻配置部) Ep…墨字印刷領域(印刷配置部) Gxx…画像 Lxx…ラベル P…墨字 T、T1、T2、T3……テープ