JP4265161B2 - 組成物とその製造方法、有機el素子の製造方法、電気光学装置、及び電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL素子の発光層形成材料などとして用いられる組成物とその製造方法、さらにこれを用いた有機EL素子の製造方法、電気光学装置、及び電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自発発光型ディスプレイとして、発光層に有機物を用いた有機エレクトロルミネセンス素子(以下、有機EL素子と称する)の開発が進められている。このような有機EL素子の製造において、発光層形成材料などの機能性材料は特に重要な要素のうちの一つである。
有機EL素子における有機物からなる発光層の形成材料としては、Appl.Phys.Lett.51(12)、21 September 1987の913ページに示されているような低分子材料と、Appl.Phys.Lett.71(1)、7 July 1997の34ページから示されているような高分子材料とがある。
【0003】
ところで、インクジェット法と称される液状材料吐出法は容易に微細なパターニングを行うことができることから、近年注目されている。
また、前記の発光層形成材料として例えば高分子材料は、通常溶媒に溶解させられて液状組成物とされ、これが液状材料吐出法で吐出されることによって塗布され、さらに乾燥されることによって有機EL素子の発光層となる。また、このようにして発光層を形成した後、この上に真空蒸着法等で電極材料を製膜することにより対向電極(陰極)を形成し、さらに封止することにより、有機EL素子を作製している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の発光層形成材料からなる液状組成物では、発光層形成材料中に、例えば合成の際用いられたホウ素(B)等の触媒成分としての半金属が微量ながら残留していることがある。このように発光層形成材料中に不純物半金属が含まれていると、これから形成された発光層は、不純物半金属が発光層の発光時に電荷をトラップするように作用してしまい、結果として効率のよい発光が得られなくなってしまう。
なお、本発明において半金属とは、ホウ素をはじめてして、セレン(Se)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)などの例えば半導体分野で使われる金属をいう。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、材料中に含まれる微量半金属を十分に除去することによって有機EL素子の発光効率を高めた、組成物とその製造方法、さらにこれを用いた有機EL素子の製造方法、電気光学装置、及び電子機器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の組成物では、有機半導体材料を媒体に溶解または分散させてなる組成物であって、前記組成物中に、半金属を捕捉するための半金属捕捉剤が含有されてなることを特徴としている。
この組成物によれば、組成物中に半金属捕捉剤が含有されてなることにより、該組成物に存在している半金属が十分に捕捉除去されたものとなる。
【0007】
本発明の別の組成物では、有機半導体材料を媒体に溶解または分散させてなる組成物であって、前記組成物が、半金属捕捉剤に接触処理されて半金属が捕捉除去された後、該半金属捕捉剤が除去されてなるものであることを特徴としている。
この組成物によれば、組成物が半金属捕捉剤に接触処理されているので、該組成物に含まれる半金属が十分に捕捉除去されたものとなる。また、半金属捕捉除去後に該半金属捕捉剤が除去されているので、該半金属捕捉剤が不純物となって組成物から形成される層に悪影響を及ぼすことが防止される。
【0008】
また、これら組成物においては、前記半金属捕捉剤はキレート材であるのが好ましく、その場合にこのキレート材が、粉末状素材の分子中にキレート官能基が導入されたものであるのが好ましい。
このようにすれば、半金属を効率よく捕捉除去することが可能になる。
【0009】
また、前記組成物においては、前記有機半導体材料が有機EL発光層の形成材料であるのが好ましい。
このようにすれば、これから形成される有機EL発光層には残存する半金属が十分に少なくなっていることから、この残存する半金属に起因する発光効率の低下が防止される。
【0010】
なお、この組成物においては、その有機半導体材料がフルオレン骨格を有するものであってもよく、その場合に、前記不純物としての半金属がホウ素であってもよい。
フルオレン骨格を有するポリフルオレン系化合物からなる有機半導体材料(有機EL発光層の形成材料)を合成によって形成した場合、通常はパラジウム等を触媒として用いるが、その場合に、反応によってホウ素を含む副生成物が生じることが多い。したがって、このようにして合成された有機半導体材料中には微量ながらホウ素が残留してしまうことがあるが、前記のようにすれば、この半金属であるホウ素を半金属捕捉剤によって効率よく捕捉除去することが可能になる。
【0011】
本発明の組成物の製造方法では、有機半導体材料を媒体に溶解または分散させてなる組成物の製造方法であって、前記組成物中に半金属捕捉剤を接触させ、該組成物中に不純物として存在する半金属を捕捉することを特徴としている。
この組成物の製造方法によれば、半金属捕捉剤によって組成物中に存在する半金属を十分に除去するので、該組成物を半金属が極めて少ないものにすることができる。
【0012】
本発明の別の組成物の製造方法では、有機半導体材料を媒体に溶解または分散させてなる組成物の製造方法であって、前記組成物中に半金属捕捉剤を接触させて該組成物中に存在する半金属を捕捉した後、該組成物中から半金属捕捉剤を除去することを特徴としている。
この組成物の製造方法によれば、組成物を半金属捕捉剤で接触処理しているので、該組成物に存在する半金属を十分に除去することができる。また、半金属除去後に該半金属捕捉剤を除去するので、該半金属捕捉剤が不純物となって組成物から形成される層に悪影響が及ぶことを防止することができる。
【0013】
また、これら組成物の製造方法においては、前記半金属捕捉剤はキレート材であるのが好ましく、その場合にこのキレート材は、粉末状素材の分子中にキレート官能基が導入されたものであるのが好ましい。
このようにすれば、半金属を効率よく捕捉除去することが可能になる。
【0014】
また、前記組成物の製造方法においては、前記有機半導体材料が有機EL発光層の形成材料であるのが好ましい。
このようにすれば、これから形成される有機EL発光層には残存する半金属が十分に少なくなっていることから、この残存する半金属に起因する発光効率の低下を防止することができる。
【0015】
なお、この組成物の製造方法においては、その有機半導体材料がフルオレン骨格を有するものであってもよく、その場合に、前記不純物としての半金属がホウ素であってもよい。
このようにすれば、前述したように副生成物としてのホウ素またはこれを含む化合物を半金属捕捉剤によって効率よく捕捉除去することが可能になる。
また、本発明の有機EL素子の製造方法は、前記組成物によって発光層を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の電気光学装置では、前記の組成物によって発光層が形成された有機EL素子を備えたことを特徴としている。
この電気光学装置によれば、有機EL発光層には不純物としての半金属が十分に少なくなっていることから、この半金属に起因する発光効率の低下が防止されたものとなっており、したがってこの発光層を有した有機EL素子を例えば表示部とすることにより、表示部の発光特性を改善することができる。
【0017】
本発明の電子機器では、前記電気光学装置を備えたことを特徴としている。
この電子機器によれば、前記電気光学装置を例えば表示部とすることにより、表示部の発光特性が改善されたものとなり、したがって良好な表示性能を有するものとなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の組成物は、有機半導体材料を媒体、すなわち有機溶媒や有機分散媒、あるいは無機溶媒や無機分散媒に溶解または分散させてなる組成物である。有機半導体材料として具体的には、有機EL素子における発光層の形成材料や、有機半導体素子における有機半導体層の形成材料などが挙げられるが、これら以外のものにも適用可能であるのはもちろんである。
【0019】
発光層の形成材料としては、高分子材料が用いられる。具体的には、以下の[化1]〜[化5]に示すようなポリフルオレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、またはこれらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、例えばルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープしたものが用いられる。
【0020】
【化1】
【0021】
【化2】
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】
【化5】
【0025】
なお、このような高分子材料としては、二重結合のπ電子がポリマー鎖上で非極在化しているπ共役系高分子材料が、導電性高分子でもあることから発光性能に優れるため、好適に用いられる。特に、その分子内にフルオレン骨格を有する化合物、すなわちポリフルオレン系化合物がより好適に用いられる。このようなフルオレン骨格を有する化合物は、一般に触媒としてパラジウムを用いた合成法によって形成される。ところが、このような合成法を経て形成された化合物には、前述したように副生成物としてのホウ素が微量ながら残留してしまう。そこで、後述するように本発明では、このような微量半金属を半金属捕捉剤によって捕捉除去するようにしている。
【0026】
また、このような材料以外にも、例えば特開平11−40358号公報に示される有機EL素子用組成物、すなわち共役系高分子有機化合物の前駆体と、発光特性を変化させるための少なくとも1種の蛍光色素とを含んでなる有機EL素子用組成物も、発光層形成材料として使用可能である。
【0027】
このような発光層形成材料を溶解する溶媒としては、非極性溶媒が好適とされ、特に発光層が正孔注入層の上に形成されることから、この正孔注入層に対して不溶なものが用いられる。具体的には、キシレン、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等が好適に用いられる。なお、発光層形成材料の種類によっては、二流化炭素などの無機溶媒も使用可能である。
【0028】
また、有機半導体層の形成材料としては、ポリマ半導体またはオリゴマー半導体が用いられ、具体的には、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、およびその誘導体や、ポリアセチレンのうちの1種以上が用いられる。また、2〜5個の炭素原子を介して結合された、オリゴ重合度が4以上8以下のチオフェンのオリゴマー;2〜5個の炭素原子を介して結合された、3〜6個のチオフェン環と末端基としてチオフェンを有するビニレンと、チエニレンとの交互共オリゴマー;ベンゾ[1,2−b:4,5’]ジチオフェンの線状ダイマー及びトリマー;末端のチオフェンの4個又は5個の炭素原子上に置換基(例えば、炭素原子を1〜20個有するアルキル置換基)を有する前記オリゴマー;ポリマーマトリックス中のp、p’−ジアミノビフェニル複合体なども使用可能であり、特にα−ヘキサチエニレン(α−6T)が好適に用いられる。さらに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシルジアンヒドライド(NTCDA:naphthalene tetracarboxylic dianhydride )、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシルジイミド(NTCDI:naphthalene tetracarboxylic diimide )、11,11,12,12−テトラシアノナフト−2,6−キノジメタン(TCNNQD:tetracyanonaphtho-2,6-quinodimethane)なども用いられる。
このような有機半導体層の形成材料を溶解する溶媒としても、前記の非極性溶媒などが好適に用いられる。
【0029】
このような有機半導体材料を媒体に溶解させてなる組成物に対し、本発明ではこれに半金属捕捉剤を入れて接触させることにより、該組成物中に存在する不純物としての金属、例えばホウ素を除去する。半金属捕捉剤としては、特に限定されることなく種々のものが使用可能であり、例えばキレート材が好適に用いられる。また、キレート材としては、例えば特開2000−169828公報に開示された粉末状キレート捕捉剤のような、粉末状素材の分子中にキレート官能基が導入されたものが好適に用いられ、具体的には、キレスト株式会社製の「キレストファイバー(登録商標)GCP」などが好適に用いられる。このキレート材は、ホウ素(B)をはじめとして、セレン(Se)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)などの半金属を捕捉することができる。
【0030】
このようなキレート材は、粉末状素材の分子中に、下記一般式[1]〜[4]よりなる群から選ばれる少なくとも1種のキレート官能基が導入されてなるものである。
【0031】
【化6】
【0032】
[式中、R1 、R2 、R3 は低級アルキレン基、nは1〜4の整数を表わす。]
【0033】
【化7】
【0034】
[式中、Gは糖アルコール残基または多価アルコール残基、Rは水素原子、(低級)アルキル基または−G(Gは前記と同じ意味を表わし、前記Gと同一もしくは異なる残基であってもよい)を表わす]
【0035】
【化8】
【0036】
[式中、Xはモノカルボン酸またはジカルボン酸から1つのカルボキシル基を除いた残基、Vは水素またはカルボキシル基、Mは水素または
【0037】
【化9】
【0038】
[R4 はアルキレン基における炭素鎖から1つの水素を除いた残基、R5 は直接結合もしくはアルキレン基、Y1 、Y2 は同一もしくは異なって水素、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、ホスホン基またはチオール基、nは1〜4の整数、M' は水素または
【0039】
【化10】
【0040】
(R6 はアルキレン基における炭素鎖から1つの水素を除いた残基、R7 は直接結合もしくはアルキレン基、Y3 、Y4 は同一もしくは異なって水素、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基またはチオール基)、Zは水素または前記Mと同じ意味を表わし、ただし前記Mと同一であってもよいし、異なってもよい]
【0041】
【化11】
【0042】
[式中、V、X、Z、M' は前記と同じ意味を表わす]
【0043】
また、キレート形成能が付与される粉末状素材としては、特にその種類が制限されることなく、例えば綿、麻などを始めとする種々の植物繊維;絹、羊毛などを始めとする種々の動物性繊維;ビスコースレーヨン、アセテートなどを始めとする種々の再生繊維;ポリアミド、アクリル、ポリエステルなどを始めとする様々の合成繊維が挙げられ、これらの繊維が粉状に切断または破砕されたものが使用される。
【0044】
このような粉末状素材としては、特に短繊維状の有機質高分子粉末が好ましく、これら粉末状素材の中でも特に好ましいのは、素材分子中にヒドロキシル基やアミノ基等の反応性官能基を有する植物性繊維や動物性繊維、再生繊維を加工した単繊維状の粉末状素材である。これらの粉末状素材であれば、該粉末状素材を構成する分子中の反応性官能基を利用して前記の金属キレート官能基を容易に導入することができる。なお、原料となる粉末状素材自体が反応性官能基を有していない場合であっても、これを酸化などの処理で変性し、あるいは架橋剤を介することによって反応性の高い官能基を導入し、この官能基を利用して前述のような基を導入することも可能である。
用いられる粉末状素材の好ましい形状としては、長さ0.01〜5mm、好ましくは0.03〜3mmで、単繊維径が1〜50μm程度、好ましくは5〜30μmであり、アスペクト比としては1〜600程度、好ましくは1〜100程度の単繊維状のものである。
【0045】
粉末状素材にキレート官能基を導入する方法としては、前記粉末状素材を構成する分子中の反応性官能基(水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基など)に、これらの基との反応性官能基を有するキレート形成性化合物を直接反応させる方法の他、前述したようにより反応性の高い架橋剤を介してキレート形成性化合物を反応させることによって、キレート形成性を有する基の導入効率を高めることも有効である。
【0046】
前記有機半導体材料を溶解するための有機溶媒については、予め精製処理して不純物半金属を除去しておくのが好ましい。なお、このような前処理としては、蒸留操作等による精製処理が採用されるが、例えば前記の半金属捕捉剤を用いてこれで接触処理を行い、その後この半金属捕捉剤を濾過等によって除去するようにしてもよい。また、その水分濃度についても、例えば0.05wt%以下としておくのが好ましい。
また、有機溶媒、あるいは有機半導体材料を分散させるための有機分散媒の選択にあたっては、半金属捕捉剤として前記のキレート材、すなわち天然繊維に化学結合でキレート官能基を固定化させてキレート材を用いる場合、当然ながらこのキレート材を溶解しないものを用いる必要がある。
【0047】
組成物に入れられる半金属捕捉剤、または前処理に用いられる半金属捕捉剤の使用形態としては、粉末状のもの、あるいは粒径3mm以下の小削状のものが、組成物や有機溶媒中に含まれる微量の金属との反応性を高めるうえで好ましい。
このような半金属捕捉剤を組成物に入れて金属除去処理を行う場合、その量については、組成物の総重量に対しその1/100以上、1/3以下とするのが好ましい。1/100未満であると、組成物中の金属を短時間で十分に除去するのが難しく、金属除去について十分な効果が得られなくなるおそれがあるからである。また、1/3を越えると、組成物中での半金属捕捉剤の割合が多くなりすぎ、これを分離除去する場合にその処理に手間がかかりすぎてしまい、また、分離除去することなくそのまま組成物中に含有させた場合、これが不純物となって例えば液滴吐出ヘッドから吐出されてしまう可能性が高くなるからである。
【0048】
また、このような半金属捕捉剤による組成物の半金属除去処理については、組成物中に半金属捕捉剤を添加した後、1時間以上撹拌処理することにより、組成物と半金属捕捉剤との接触効率を高めるのが好ましい。
また、このようにして接触処理を行ったら、そのまま静置することにより、本発明の組成物とする。この場合、使用に際しては、その上澄みのみを使用してこれを吐出するようにする。また、濾過材を経路中に置き、上澄み液中に分散している固形分(半金属捕捉剤)を分離除去するのが好ましい。
また、接触処理後、組成物から半金属捕捉剤を濾過等によって分離除去し、この半金属捕捉剤を分離除去した組成物を、本発明の組成物としてもよい。
【0049】
なお、このようにして半金属捕捉剤により半金属が分離除去された組成物については、これを貯蔵する場合、容器からの半金属の溶出を避けるため、金属やガラス製の容器などでなく、フッ素樹脂などの樹脂製の容器を用いるのが好ましい。
【0050】
次に、このような水分除去処理を行った組成物を用いてなる、電気光学装置の製造方法の一例を説明する。この例では、有機半導体材料を、前記の有機EL発光層形成材料とし、また半金属捕捉剤としては、前記の、粉末状素材の分子中にキレート官能基が導入されたキレート材を用いものとする。そして、前記有機EL発光層形成材料を溶媒に溶解し、さらに前記半金属捕捉剤によって半金属除去処理したものを組成物としている。また、製造する電気光学装置は、有機EL素子を表示部としたものとする。
【0051】
図1、図2は、このようなこの電気光学装置の表示部となるELディスプレイの概略構成を説明するための図であり、これらの図において符号70はELディスプレイである。
このELディスプレイ70は、回路図である図1に示すように透明の表示基板上に、複数の走査線131と、これら走査線131に対して交差する方向に延びる複数の信号線132と、これら信号線132に並列に延びる複数の共通給電線133とがそれぞれ配線されたもので、走査線131及び信号線132の各交点毎に、画素(画素領域素)71が設けられて構成されたものである。
【0052】
信号線132に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ側駆動回路72が設けられている。
一方、走査線131に対しては、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路73が設けられている。また、画素領域71の各々には、走査線131を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング薄膜トランジスタ142と、このスイッチング薄膜トランジスタ142を介して信号線132から供給される画像信号を保持する保持容量capと、保持容量capによって保持された画像信号がゲート電極に供給されるカレント薄膜トランジスタ143と、このカレント薄膜トランジスタ143を介して共通給電線133に電気的に接続したときに共通給電線133から駆動電流が流れ込む画素電極141と、この画素電極141と対向電極154との間に挟み込まれる発光部140と、が設けられている。
【0053】
このような構成のもとに、走査線131が駆動されてスイッチング薄膜トランジスタ142がオンとなると、そのときの信号線132の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、カレント薄膜トランジスタ143のオン・オフ状態が決まる。そして、カレント薄膜トランジスタ143のチャネルを介して共通給電線133から画素電極141に電流が流れ、さらに発光部140を通じて対向電極154に電流が流れることにより、発光部140は、これを流れる電流量に応じて発光するようになる。
ここで、各画素71の平面構造は、対向電極や有機EL素子を取り除いた状態での拡大平面図である図2に示すように、平面形状が長方形の画素電極141の四辺が、信号線132、共通給電線133、走査線131及び図示しない他の画素電極用の走査線によって囲まれた配置となっている。
【0054】
次に、このようなELディスプレイ70に備えられる有機EL素子の製造方法について、図3〜図5を用いて説明する。なお、図3〜図5では、説明を簡略化するべく、単一の画素71についてのみ図示する。
まず、基板を用意する。ここで、有機EL素子では後述する発光層による発光光を基板側から取り出すことも可能であり、また基板と反対側から取り出す構成とすることも可能である。発光光を基板側から取り出す構成とする場合、基板材料としてはガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明なものが用いられるが、特にガラスが好適に用いられる。
【0055】
また、基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を配置して、発光色を制御するようにしてもよい。
また、基板と反対側から発光光を取り出す構成の場合、基板は不透明であってもよく、その場合、アルミナ等のセラミックス、ステンレス等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
本例では、基板として図3(a)に示すようにガラスからなる透明基板121を用意する。そして、これに対し、必要に応じてTEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約200〜500nmのシリコン酸化膜からなる下地保護膜(図示せず)を形成する。
【0056】
次に、透明基板121の温度を約350℃に設定して、下地保護膜の表面にプラズマCVD法により厚さ約30〜70nmのアモルファスシリコン膜からなる半導体膜200を形成する。次いで、この半導体膜200に対してレーザアニールまたは固相成長法などの結晶化工程を行い、半導体膜200をポリシリコン膜に結晶化する。レーザアニール法では、例えばエキシマレーザでビームの長寸が400mmのラインビームを用い、その出力強度は例えば200mJ/cm2 とする。ラインビームについては、その短寸方向におけるレーザ強度のピーク値の90%に相当する部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査する。
【0057】
次いで、図3(b)に示すように、半導体膜(ポリシリコン膜)200をパターニングして島状の半導体膜210とし、その表面に対して、TEOSや酸素ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約60〜150nmのシリコン酸化膜または窒化膜からなるゲート絶縁膜220を形成する。なお、半導体膜210は、図2に示したカレント薄膜トランジスタ143のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となるものであるが、異なる断面位置においてはスイッチング薄膜トランジスタ142のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となる半導体膜も形成されている。つまり、図3〜図5に示す製造工程では二種類のトランジスタ142、143が同時に作られるのであるが、同じ手順で作られるため、以下の説明ではトランジスタに関しては、カレント薄膜トランジスタ143についてのみ説明し、スイッチング薄膜トランジスタ142についてはその説明を省略する。
【0058】
次いで、図3(c)に示すように、アルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステンなどの金属膜からなる導電膜をスパッタ法により形成した後、これをパターニングし、ゲート電極143Aを形成する。
次いで、この状態で高濃度のリンイオンを打ち込み、半導体膜210に、ゲート電極143Aに対して自己整合的にソース・ドレイン領域143a、143bを形成する。なお、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域143cとなる。
【0059】
次いで、図3(d)に示すように、層間絶縁膜230を形成した後、コンタクトホール232、234を形成し、これらコンタクトホール232、234内に中継電極236、238を埋め込む。
次いで、図3(e)に示すように、層間絶縁膜230上に、信号線132、共通給電線133及び走査線(図3に示さず)を形成する。ここで、中継電極238と各配線とは、同一工程で形成されていてもよい。このとき、中継電極236は、後述するITO膜により形成されることになる。
【0060】
そして、各配線の上面をも覆うように層間絶縁膜240を形成し、中継電極236に対応する位置にコンタクトホール(図示せず)を形成し、そのコンタクトホール内にも埋め込まれるようにITO膜を形成し、さらにそのITO膜をパターニングして、信号線132、共通給電線133及び走査線(図示せず)に囲まれた所定位置に、ソース・ドレイン領域143aに電気的に接続する画素電極141を形成する。ここで、信号線132及び共通給電線133、さらには走査線(図示せず)に挟まれた部分が、後述するように正孔注入層や発光層の形成場所となっている。
【0061】
次いで、図4(a)に示すように、前記の形成場所を囲むように隔壁150を形成する。この隔壁150は仕切部材として機能するものであり、例えばポリイミド等の絶縁性有機材料で形成するのが好ましい。隔壁150の膜厚については、例えば1〜2μmの高さとなるように形成する。また、隔壁150は、液滴吐出ヘッド34から吐出される液体に対して撥液性を示すものが好ましい。隔壁150に撥液性を発現させるためには、例えば隔壁150の表面をフッ素系化合物などで表面処理するといった方法が採用される。フッ素化合物としては、例えばCF4 、SF5 、CHF3 などがあり、表面処理としては、例えばプラズマ処理、UV照射処理などが挙げられる。
そして、このような構成のもとに、正孔注入層や発光層の形成場所、すなわちこれらの形成材料の塗布位置とその周囲の隔壁150との間には、十分な高さの段差111が形成されているのである。
【0062】
次いで、図4(b)に示すように、透明基板121の上面を上に向けた状態で、正孔注入層の形成材料を前記の液滴吐出ヘッド34より、前記隔壁150に囲まれた塗布位置、すなわち隔壁150内に選択的に塗布する。
ここで、液滴吐出ヘッド34は、図6(a)に示すように例えばステンレス製のノズルプレート12と振動板13とを備え、両者を仕切部材(リザーバプレート)14を介して接合したものである。ノズルプレート12と振動板13との間には、仕切部材14によって複数の空間15と液溜まり16とが形成されている。各空間15と液溜まり16の内部は液状材料で満たされており、各空間15と液溜まり16とは供給口17を介して連通したものとなっている。また、ノズルプレート12には、空間15から液状材料を噴射するためのノズル孔18が縦横に整列させられた状態で複数形成されている。一方、振動板13には、液溜まり16に液状材料を供給するための孔19が形成されている。
【0063】
また、振動板13の空間15に対向する面と反対側の面上には、図6(b)に示すように圧電素子(ピエゾ素子)20が接合されている。この圧電素子20は、一対の電極21の間に位置し、通電するとこれが外側に突出するようにして撓曲するよう構成されたものである。そして、このような構成のもとに圧電素子20が接合されている振動板13は、圧電素子20と一体になって同時に外側へ撓曲するようになっており、これによって空間15の容積が増大するようになっている。したがって、空間15内に増大した容積分に相当する液状材料が、液溜まり16から供給口17を介して流入する。また、このような状態から圧電素子20への通電を解除すると、圧電素子20と振動板13はともに元の形状に戻る。したがって、空間15も元の容積に戻ることから、空間15内部の液状材料の圧力が上昇し、ノズル孔18から基板に向けて液状材料の液滴22が吐出される。
【0064】
前記正孔注入層の形成材料としては、ポリマー前駆体がポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム等が挙げられるが、特に3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液が好適に用いられる。
このとき、液状の形成材料114Aは、流動性が高いため水平方向に広がろうとするが、塗布された位置を囲んで隔壁150が形成されているので、形成材料114Aは隔壁150を越えてその外側に広がることが防止されている。
【0065】
次いで、図4(c)に示すように加熱あるいは光照射により液状の前駆体114Aの溶媒を蒸発させて、画素電極141上に、固形の正孔注入層140Aを形成する。
次いで、図5(a)に示すように、透明基板121の上面を上に向けた状態で、液滴吐出ヘッド34より液状材料として前記組成物114Bを、前記隔壁150内の正孔注入層140A上に選択的に塗布する。この組成物114Bは、前述したように有機EL発光層の形成材料を溶媒に溶解し、その後前記キレート材からなる半金属捕捉剤によって半金属除去処理し、さらにこの半金属捕捉剤を分離除去したものである。
【0066】
このような組成物114Bを液滴吐出ヘッド34のノズル孔18から吐出すると、この組成物114Bは隔壁150内の正孔注入層140A上に塗布される。なお、このような組成物114Bの吐出は、特にこの組成物114Bに水分が混入するのを防ぐため、G−BOXと呼ばれるチャンバー内で行うのが好ましい。このチャンバーは、内部の雰囲気が酸素濃度、水分濃度共に1ppm以下となるように調整できるものであり、このようなチャンバー内で組成物114Bの吐出を行うことにより、吐出した組成物114Bに酸素や水分が混入してしまうのを防止することができる。このようなチャンバーには、予め真空ポンプを接続しておき、内部を例えば1Torr以下の真空雰囲気に調整可能にしておくのが好ましい。
【0067】
また、組成物114Bの吐出による発光層の形成は、赤色の発色光を発光する発光層の形成材料、緑色の発色光を発光する発光層の形成材料、青色の発色光を発光する発光層の形成材料を、それぞれ対応する画素71に吐出し塗布することによって行う。また、各色に対応する画素71は、これらが規則的な配置となるように予め決められている。
【0068】
このようにして各色の発光層形成材料を吐出し塗布したら、組成物114B中の溶媒を蒸発させることにより、図5(b)に示すように正孔層注入層140A上に固形の発光層140Bを形成し、これにより正孔層注入層140Aと発光層140Bとからなる発光部140を得る。ここで、組成物114B中の溶媒の蒸発については、必要に応じて加熱あるいは減圧等の処理を行うが、特に1Torr以下の真空中にて、組成物114B中の有機半導体材料(有機EL発光層の形成材料)の分解温度以下で加熱し、乾燥するのが好ましい。このような条件で乾燥すれば、組成物114B中の溶媒をより確実に蒸発させることができ、したがって得られる発光層140B中に溶媒が残留してしまうことによる、発光層140Bの初期性能や寿命の低下等を防止することができる。
【0069】
次いで、図5(c)に示すように透明基板121の表面全体に、あるいはストライプ状に、LiF/Al(LiFとAlとの積層膜)やMgAg、あるいはLiF/Ca/Al(LiFとCaとAlとの積層膜)を蒸着法等によって製膜し、対向電極154を形成する。その後、封止を行うことにより、有機EL素子を得る。そして、さらに配線等の各種要素を形成することにより、前記有機EL素子を備えてなるELディスプレイ70、すなわち本発明の電気光学装置の一例を得る。
【0070】
このようにして得られたELディスプレイ70(電気光学装置)にあっては、特に発光層140Bが、半金属捕捉剤によってホウ素等の半金属が十分に除去処理されてなる組成物114Bで形成されていることから、該発光層140Bに残留する半金属がほとんどなく、したがって残存する半金属に起因する発光効率の低下が防止されたものとなる。
【0071】
次に、本発明の電子機器について説明する。本発明の電子機器は、これに備えられる表示部が、前記の有機EL素子によって形成されたものである。すなわち、本発明の電子機器は、前記の有機EL素子を備えたELディスプレイ70などを表示部として備えてなるものである。
図7(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図7(a)において、500は携帯電話本体を示し、501は前記のELディスプレイなどからなる表示部を示している。
図7(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図7(b)において、600は情報処理装置、601はキーボードなどの入力部、603は情報処理本体、602は前記のELディスプレイなどからなる表示部を示している。
図7(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図7(c)において、700は時計本体を示し、701は前記のELディスプレイなどからなる表示部を示している。
図7(a)〜(c)に示す電子機器は、前記のELディスプレイなどからなる表示部が備えられたものであるので、この表示部の発光効率の低下が防止されたものとなり、したがって良好な表示性能を有するものとなる。
【0072】
(実験例)
発光層形成材料としてポリフルオレン系のものを用い、これをキシレンに溶解した組成物を用意した。この組成物中のホウ素量を原子吸光装置で測定したところ、600ppmであった。
この組成物に、半金属捕捉剤として粒径3mm以下の小削状の前記のキレート材「キレストファイバー(登録商標)GCP[キレスト株式会社製]」を、該組成物の重量の1/3添加し、1時間撹拌して金属除去処理を行った。その後、この組成物を濾過して前記キレート材を分離除去した。得られた濾液中のホウ素量を原子吸光装置で測定したところ、200ppmであった。この結果から、半金属捕捉剤(キレート材)による半金属(ホウ素)除去効果が確認された。
【0073】
前記の、半金属除去処理を行わなかった組成物と、半金属捕捉剤(キレート材)による半金属除去処理を行った組成物とをそれぞれ用い、図3〜図5に示した製造方法に基づき、有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の輝度特性をそれぞれ測定したところ、半金属除去処理を行った組成物による有機EL素子は、半金属除去処理を行わなかった組成物による有機EL素子に比べ約1.6倍の初期輝度があり、したがって半金属除去処理による効果が確認された。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の組成物によれば、組成物中に半金属捕捉剤が含有されてなることにより、該組成物に存在している不純物としての半金属が十分に捕捉除去されたものとなる。
また、本発明の別の組成物によれば、組成物が半金属捕捉剤に接触処理されているので、該組成物に含まれる不純物としての半金属が十分に捕捉除去されたものとなり、さらに、半金属捕捉除去後に該半金属捕捉剤が除去されているので、該半金属捕捉剤が不純物となって組成物から形成される層に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0075】
したがって、この組成物を例えば有機EL発光層の形成材料に適用すれば、これから形成される有機EL発光層には残留するホウ素などの半金属がほとんどなく、したがって残存する半金属に起因する発光効率の低下を防止し、初期輝度などの発光特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 有機EL素子を備えたELディスプレイの一例の回路図である。
【図2】 図1に示したELディスプレイにおける画素部の平面構造を示す拡大平面図である。
【図3】 (a)〜(e)は有機EL素子の製造方法を工程順に説明するための要部側断面図である。
【図4】 (a)〜(c)は図3に続く工程を順に説明するための要部側断面図である。
【図5】 (a)〜(c)は図4に続く工程を順に説明するための要部側断面図である。
【図6】 液滴吐出ヘッドの概略構成を説明するための図であり、(a)は要部斜視図、(b)は要部側断面図である。
【図7】 本発明の電子機器の具体例を示す図であり、(a)は携帯電話に適用した場合の一例を示す斜視図、(b)は情報処理装置に適用した場合の一例を示す斜視図、(c)は腕時計型電子機器に適用した場合の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
34…液滴吐出ヘッド、114B…組成物、140B…発光層
Claims (11)
- 液滴吐出ヘッドから吐出するための液滴吐出用の組成物であり、かつ、有機半導体材料を媒体に溶解または分散させてなる組成物であって、
前記組成物中に、半金属としてのホウ素を捕捉するための半金属捕捉剤が含有されてなり、
前記半金属捕捉剤が、粉末状素材の分子中にキレート官能基が導入されたキレート材であることを特徴とする組成物。 - 液滴吐出ヘッドから吐出するための液滴吐出用の組成物であり、かつ、有機半導体材料を媒体に溶解または分散させてなる組成物であって、
前記組成物が、粉末状素材の分子中にキレート官能基が導入されたキレート材からなる半金属捕捉剤に接触処理されて半金属としてのホウ素が捕捉除去された後、該半金属捕捉剤が除去されてなるものであることを特徴とする組成物。 - 前記有機半導体材料は有機EL発光層の形成材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
- 前記有機半導体材料がフルオレン骨格を有することを特徴とする請求項3記載の組成物。
- 液滴吐出ヘッドから吐出するための液滴吐出用の組成物であり、かつ、有機半導体材料を媒体に溶解または分散させてなる組成物の製造方法であって、
前記組成物中に、粉末状素材の分子中にキレート官能基が導入されたキレート材からなる半金属捕捉剤を接触させ、該組成物中に存在する半金属としてのホウ素を捕捉することを特徴とする組成物の製造方法。 - 液滴吐出ヘッドから吐出するための液滴吐出用の組成物であり、かつ、有機半導体材料を媒体に溶解または分散させてなる組成物の製造方法であって、
前記組成物中に、粉末状素材の分子中にキレート官能基が導入されたキレート材からなる半金属捕捉剤を接触させて該組成物中に存在する半金属としてのホウ素を捕捉した後、該組成物中から半金属捕捉剤を除去することを特徴とする組成物の製造方法。 - 前記有機半導体材料は有機EL発光層の形成材料であることを特徴とする請求項5又は6に記載の組成物の製造方法。
- 前記有機半導体材料がフルオレン骨格を有することを特徴とする請求項7記載の組成物の製造方法。
- 請求項3又は4に記載の組成物によって発光層が形成された有機EL素子を備えた電気光学装置。
- 請求項9記載の電気光学装置を備えた電子機器。
- 請求項3又は4に記載の組成物によって発光層を形成する工程を含むことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
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