JPWO2007043704A1 - 発光素子及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
平行に対向する第1及び第2電極の間に成膜された発光層と、発光層及び第1電極の間に成膜された有機半導体層と、第1電極における第2電極と対向している面の反対側に絶縁層を介して配置された補助電極と、を有する発光素子であって、有機半導体層内部に配置された第3電極を有する。
Description
本発明は、キャリア輸送性(正孔又は電子の移動性)を有する化合物を利用し、かかる化合物からなる半導体層を備えた発光素子及び表示装置に関する。
現在、電界を印加して発光させる例えば物質におけるキャリア(正孔又は電子)の再結合によるエレクトロルミネセンス(以下、単にELという)を利用している発光素子が着目されている。例えば、有機化合物材料を用いた注入型の有機EL素子による表示パネルを搭載したEL表示装置が開発されている。有機EL素子には、赤色で発光する構造を有する赤色EL素子、緑色で発光する構造を有する緑色EL素子、及び青色で発光する構造を有する青色EL素子がある。これら赤、青、緑RGBで発光する3つの有機EL素子を1画素発光ユニットとして、複数画素をパネル部上にマトリクス状に配列すればカラー表示装置を実現することができる。かかるカラー表示装置による表示パネルの駆動方式として、パッシブマトリクス駆動型と、アクティブマトリクス駆動型が知られている。アクティブマトリクス駆動型のEL表示装置は、パッシブマトリクス型のものに比べて、低消費電力であり、また画素間のクロストークが少ないなどの利点を有し、特に大画面表示装置や高精細度表示装置に適している。
アクティブマトリクス駆動型のEL表示装置の表示パネルには、陽極電源供給線、陰極電源供給線、水平走査を担う走査線及び各走査線に交叉して配列された信号線が格子状に形成されている。走査線及び信号線の各RGB交差部にRGBサブピクセルが形成されている。サブピクセル毎に、走査線選択用の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)のゲートには走査線が接続され、そのドレインには信号線が接続されて、そのソースには発光駆動用のFETのゲートが接続されている。発光駆動FETのソースには陽極電源供給線を介して駆動電圧が印加され、そのドレインにはEL素子の陽極端が接続されている。発光駆動FETのゲート及びソース間にはキャパシタが接続されている。更に、EL素子の陰極端には、陰極電源供給線を介して接地電位が印加される。
例えば、先行発明(特開2002−343578公報、参照)では、図1に示すように、基体上に、陽極と、発光材料層を介して少なくともその一部が対向して設置されている陰極とからなる発光体において、陽極の発光材料層を介して陰極と対向している面と反対側の面に、絶縁層を介して補助電極が形成されている構造において、陽極と陰極との間に印加する電圧方向と同方向になるように、補助電極と陰極との間に電圧を印加する。これを用いて多色の有機ELディスプレイとする場合、輝度を変化させるためには発光層に用いる材料を変更することとそれぞれの発光材料特性に応じた電圧制御が必要である。
アクティブマトリクス駆動型のEL表示装置の表示パネルには、陽極電源供給線、陰極電源供給線、水平走査を担う走査線及び各走査線に交叉して配列された信号線が格子状に形成されている。走査線及び信号線の各RGB交差部にRGBサブピクセルが形成されている。サブピクセル毎に、走査線選択用の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)のゲートには走査線が接続され、そのドレインには信号線が接続されて、そのソースには発光駆動用のFETのゲートが接続されている。発光駆動FETのソースには陽極電源供給線を介して駆動電圧が印加され、そのドレインにはEL素子の陽極端が接続されている。発光駆動FETのゲート及びソース間にはキャパシタが接続されている。更に、EL素子の陰極端には、陰極電源供給線を介して接地電位が印加される。
例えば、先行発明(特開2002−343578公報、参照)では、図1に示すように、基体上に、陽極と、発光材料層を介して少なくともその一部が対向して設置されている陰極とからなる発光体において、陽極の発光材料層を介して陰極と対向している面と反対側の面に、絶縁層を介して補助電極が形成されている構造において、陽極と陰極との間に印加する電圧方向と同方向になるように、補助電極と陰極との間に電圧を印加する。これを用いて多色の有機ELディスプレイとする場合、輝度を変化させるためには発光層に用いる材料を変更することとそれぞれの発光材料特性に応じた電圧制御が必要である。
有機EL素子に代表される従来の有機発光素子は基本的にダイオード特性を示す素子であり、製品化されているものはほとんどパッシブマトリックス駆動によるものである。パッシブマトリックス駆動法では、線順次駆動を行うため瞬間的に高い輝度を必要とし、走査線数の限界数が限られてしまうため高精細な表示装置を得ることが難しかった。近年ではポリシリコンなどを用いたTFTを用いた有機ELディスプレイが検討されているが、プロセス温度が高い、単位面積あたりの製造コストが高く大画面化に向かない。また有機ELをTFTを用いてアクティブ駆動させる際には1画素内に2つ以上のトランジスタと1つ以上のコンデンサを配置しなければならない為に開口率が下がる一方で、有機EL素子をそれぞれの発光材料特性に応じた電圧制御を行いつつ高輝度で発光させなければならない、などの問題があった。
本発明の解決しようとする課題には、有機EL素子をそれぞれの発光材料特性に応じた電圧制御を行いつつ発光効率を向上できる発光素子及び表示装置を提供することが一例として挙げられる。
本発明の発光素子は、平行に対向する第1及び第2電極の間に成膜された発光層と、
前記発光層及び前記第1電極の間に成膜された有機半導体層と、
前記第1電極における前記第2電極と対向している面の反対側に絶縁層を介して配置された補助電極と、を有する発光素子であって、
前記有機半導体層内部に配置された第3電極を有することを特徴とする。
本発明の表示装置は、複数の発光部をマトリクス状に配置した表示装置であって、
前記発光部の各々は、平行に対向する第1及び第2電極の間に成膜された発光層と、
前記発光層及び前記第1電極の間に成膜された有機半導体層と、
前記第1電極における前記第2電極と対向している面の反対側に絶縁層を介して配置された補助電極と、を有する発光素子であって、
前記有機半導体層内部に配置された第3電極を有することを特徴とする。
従来素子は陽極及び陰極間に加える電圧を固定しつつ、補助電極に電圧を印加することにより、発光強度の変化を得て表示装置の輝度階調の制御を行っていた。上記構成の発光素子によれば、第1及び第2電極に加え、電気的な接続先の異なる第3電極を備え、たとえば第1及び第3電極を陽極として2本において異なる電位を与えることにより電流値、および発光強度が変化することを利用し、さらに細かい階調制御を行うことができる。
本発明の解決しようとする課題には、有機EL素子をそれぞれの発光材料特性に応じた電圧制御を行いつつ発光効率を向上できる発光素子及び表示装置を提供することが一例として挙げられる。
本発明の発光素子は、平行に対向する第1及び第2電極の間に成膜された発光層と、
前記発光層及び前記第1電極の間に成膜された有機半導体層と、
前記第1電極における前記第2電極と対向している面の反対側に絶縁層を介して配置された補助電極と、を有する発光素子であって、
前記有機半導体層内部に配置された第3電極を有することを特徴とする。
本発明の表示装置は、複数の発光部をマトリクス状に配置した表示装置であって、
前記発光部の各々は、平行に対向する第1及び第2電極の間に成膜された発光層と、
前記発光層及び前記第1電極の間に成膜された有機半導体層と、
前記第1電極における前記第2電極と対向している面の反対側に絶縁層を介して配置された補助電極と、を有する発光素子であって、
前記有機半導体層内部に配置された第3電極を有することを特徴とする。
従来素子は陽極及び陰極間に加える電圧を固定しつつ、補助電極に電圧を印加することにより、発光強度の変化を得て表示装置の輝度階調の制御を行っていた。上記構成の発光素子によれば、第1及び第2電極に加え、電気的な接続先の異なる第3電極を備え、たとえば第1及び第3電極を陽極として2本において異なる電位を与えることにより電流値、および発光強度が変化することを利用し、さらに細かい階調制御を行うことができる。
図1は、従来の有機EL素子を示す部分断面図である。
図2は、本発明による実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
図3は、本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
図4は、本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
図5は、本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
図6は、本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
図7は、本発明による他の実施形態の有機EL表示装置のサブピクセル発光部を示す等価回路図である。
図8は、図7の発光部の複数をマトリクス配置して画素に用いた有機EL表示パネルを示す構成図である。
図9は、本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分平面図である。
発明の詳細な説明
以下に本発明の実施形態の発光素子の一例として有機EL表示パネルを図面を参照しつつ説明する。
図2は、本発明の実施形態における、対向する1対の第1及び第2電極(陽極4及び陰極7)の間に成膜された発光層6を備えた基板1上に形成された発光素子の有機EL素子114を示す。
有機EL素子114は、基板1上に、補助電極2、絶縁層3、陽極4(第1電極)及び第2陽極4b(第3電極)、正孔注入層5、発光層6、陰極7(第2電極)、を順に形成してなる。ここで、正孔注入層5はキャリア輸送性の有機半導体層に属する。キャリア輸送性の有機半導体層としては、正孔注入層のほか、例えば正孔輸送層又はこれらの積層や、ブロック層などであってもよい。さらに、キャリア輸送性の有機半導体層としては、図示していないが、陰極7と発光層6との間に挿入して配置される、例えば電子注入層、電子輸送層又はこれらの積層や、ブロック層などであってもよい。
陽極4及び第2陽極4bは格子状、櫛状又は簾状の形状のパターンで成膜される。このようにすれば、有機半導体層を通過するキャリアのためには都合がよい。すなわち、正孔注入層、正孔輸送層などの有機半導体層5側の陽極4は、有機半導体層を通過するキャリアのためのパターンを画定するように、形成されている。
また、第1陽極4と第2陽極4bは、それぞれ独立した別回路の第1及び第2電源へ接続される。
このように、先行技術の素子構造では陽極及び陰極間に加える電圧を固定しつつ、補助電極に電圧を印加することにより発光強度の変化を得て表示装置の輝度階調の制御を行うものであったが、本実施形態によれば、電気的な接続先の異なる陽極(又は陰極)を2本以上備えており、その陽極(又は陰極)に異なる電位を与えることにより、電流値および発光強度を変化せしめる結果、補助電極に印加する電圧による輝度階調制御と併せることによって、さらに細かい階調制御を行うことができる有機EL素子が得られる。
本実施形態は、真空蒸着法などを用いガラス基板上にパターン化された補助電極2を形成し、その上に絶縁層3、正孔注入層5を真空蒸着法、スピンコート法などを用いて形成する。正孔注入層を形成した後に陽極を形成することで、塗布型の正孔注入材料の成膜性を向上させるとともに、塗布型正孔注入材料に留まらず真空蒸着法により形成した正孔注入材料でも、陽極に電圧を印加していない時(OFF時)の陰極7に流れる電流、発光強度を低減化できる。その結果、陽極に電圧を印加した時(ON時)の電流、発光強度とOFF時の電流、発光強度のそれぞれの比が向上する。
基板1の材料としては、ガラス、石英、ポリスチレンなどのプラスチック材料といった半透明材料に限らず、シリコンやAlなどの不透明な材料、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂などを用いることができるがこれに限らない。
補助電極2、陽極4、第2陽極4b及び陰極7の電極材料としては、Ti、Al、Li:Al、Cu、Ni、Ag、Mg:Ag、Au、Pt、Pd、Ir、Cr、Mo、W、Taなどの金属あるいはこれらの合金が挙げられる。あるいは、ポリアニリンやPEDT:PSSなどの導電性高分子を用いることができる。あるいは、酸化物透明導電薄膜、例えば錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)のいずれかを主組成としたものを用いることができるが、これに限定されない。また、各電極の厚さは10〜500nm程度が好ましい。陰極7材料と補助電極2には特に50〜300nmの範囲が適している。陰極7材料には特に10〜200nm程度の範囲が適している。これらの電極材料は真空蒸着法、スパッタ法で作製されたものが好ましい。
陽極材料(4、4b)の仕事関数の値と有機半導体層5のイオン化ポテンシャルの値との差が0.5eV以内であることが好ましい。陽極及び陰極の間に印加する電圧方向と逆一方向になるように、補助電極と有機半導体層側の電極との間に電圧が印加されるときに、発光層が発光する。陽極の材料は、その仕事関数の値は有機半導体層5のイオン化ポテンシャルの値より小であるものから、選択される。
絶縁層3には、SiO2、Si3N4に代表される種々の絶縁材料を用いることができるが、特に比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの無機窒化物も好適に用いることができる。また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びアノエチルプルラン、ポリマー体、エラストマー体を含むホスファゼン化合物、などを用いることもできる。
正孔注入層5は、陽極4からの正孔の注入を容易にする機能、正孔を安定に輸送する機能を有し、その材料には銅フタロシアニン(CuPc)に代表されるポルフィリン誘導体、ペタセンに代表されるポリアセン、m−TDATAに代表されるスターバーストアミンと呼ばれる高分子アリールアミンが低分子系ではよく用いられる。また、ポルフィリン誘導体やトリフェニルアミン誘導体などにルイス酸や四フッ化テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)などを混合し導電性を高くした層を用いることもできる。この時、混合比率は重量比率で5〜95%の割合で混合されていることが好ましい。また、高分子系ではポリアニリン(PANI)、ポリチオフェン誘導体(PEDOT)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)などの高分子材料を用いることができる。また、正孔注入層5はこれらの材料の混合層、もしくは積層したものでもよい。
発光層6には、発光機能を有する化合物である蛍光物質もしくは燐光物質を含有させる。このような蛍光性物質としては、例えば特開63−264692号公報に開示されているような化合物、例えばキナクリドン、ルブレン、スチリル系色素などの化合物から選択される少なくとも1種が挙げられる。燐光性物質としてはAppl.Phys.Lett.,75巻、4項、1999年にあるような有機イリジウム錯体、有機プラチナ錯体などが挙げられる。
また、図3に示すように、他の実施形態として、正孔注入層5と発光層6の間に有機半導体層として正孔輸送層13Aを挿入した以外、図2に示す有機EL素子114と同一の素子がある。正孔輸送層13Aの材料としては、トリフェニルジアミン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を有するアミン誘導体、カルバゾール誘導体、高分子材料としてはポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリチオフェンなどが挙げられる。これらの化合物は2種以上を併用してもよい。さらに、一般的に、正孔輸送層は正孔注入層よりもイオン化ポテンシャルIpが大きい有機半導体材料を用いた方が好ましい。
さらに、図4に示すように、他の実施形態として、発光層6と陰極7の間に有機半導体層として電子注入層13Bを挿入した以外、図2に示す有機EL素子114と同一の素子がある。図示しないが、この実施形態に更に電子注入層及び発光層間に電子輸送層を設けることもできる。電子注入層及び又は電子輸送層には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)などの8−キノリノール又はその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体などを用いることができる。電子注入層及び又は電子輸送層は発光層6をかねたものであってもよく、このような場合にはトリス(8−キノリノラト)アルミニウムなどを使用することが好ましい。電子注入層と電子輸送層を積層して作成するときには陰極7側から電子親和力の値の大きい化合物の順に積層することが好ましい。
またさらに、図5に示すように、他の実施形態として、第1及び第2陽極4、4bと正孔注入層5との間に接触して挿入されたキャリア抑止層BFを挿入した以外、図2に示す有機EL素子114と同一の素子がある。キャリア抑止層BF(例えば絶縁膜)により、各陽極が正孔注入層5に接触するキャリア供給部CPPを画定する。この場合、キャリア抑止層BFの仕事関数の値は各陽極の仕事関数の値より小である。この場合、キャリア抑止層BFの材料は、その仕事関数の値が正孔注入層5のイオン化ポテンシャルの値より大であるものから、選択される。本実施形態では、各陽極の金属材料と異なる金属材料からなるキャリア抑止層BFを各陽極に積層して、キャリア抑止層BFにより、正孔注入層5に注入されるキャリアの経路を規定する。
有機半導体中のキャリア移動のために、キャリア抑止層BFは、そのイオン化ポテンシャルの条件すなわち、接触電極の仕事関数と有機半導体層のイオン化ポテンシャルとの間の仕事関数(又はイオン化ポテンシャル)の値に基づいて選択される。キャリアの移動を阻害するにはエネルギー障壁が大であるほうがよいからである。
本実施形態で使用するキャリア抑止層BFの材料としては、具体的には、イオン化ポテンシャルIp1(eV)を有する正孔注入材料(正孔注入層5)と仕事関数Wf1(eV)を有する各陽極と、仕事関数Wf2(eV)を有するキャリア抑止層BFとを積層したとき、Ip1とWf2はIp1>Wf2という関係を有することが好ましい。かかるキャリア抑止層BFの挿入によって、各陽極からキャリア抑止層BFを介した有機半導体層へと障壁になり、電流が流れ難くなる。
また、この時、Ip1とWf1はIp1<Wf1であることが望ましいが、Ip1≧Wf1としてもよく、Ip1とWf1の差は0.5eV以内であればよい。正孔注入層5と各陽極が接触する面での正孔注入は妨げられないが、正孔注入層とキャリア抑止層BFが接触する面ではその仕事関数の差から正孔が注入されることがなく、補助電極2にかかる電圧によらない電流成分を抑えることにより、OFF電流を低減させ輝度のON/OFF比を向上することができる。
上記実施形態では、特定のキャリア抑止層を設けたが、キャリア抑止層として絶縁膜を陽極上に陽極とほぼ同一形状に形成して、陽極及び陰極間の漏れ電流をさらに減少させる構造としてもよい。
またさらに、他の実施形態として、陽極から陰極までの積層順序を上記とは逆に構成することもできる。図6に示すように、有機EL素子114は、基板1上に、補助電極2、絶縁層3、陰極7(第1電極)及び第2陰極7b(第3電極)、電子注入層13B、発光層6、正孔輸送層13A、正孔注入層5、陽極4(第2電極)、を順に形成してなる。
注意すべきことは、上記実施形態では第3電極として陽極又は陰極を1つ追加した例を挙げているが、他の実施形態では別個の或る制御回路に接続された2以上の陽極又は陰極を第3電極として利用することもできる。
また、上記実施形態では発光素子を示したが、発光素子の複数を表示装置の画素に用いることもできる。具体的には、少なくとも有機トランジスタを1つ、コンデンサなど必要な素子、画素電極などを共通の基板上に作製すれば、本発明によるアクティブ駆動型の表示装置を実現できる。例として、以下に表示装置に適用した場合の構造を説明する。
図7は、図2に示す有機EL素子114において第1及び第2陽極4、4bが電気的に別個の回路に接続されているものを用いた有機EL表示パネルのサブピクセルの発光部を示す等価回路図を示す。
基板上に形成された発光部の各々は、選択用トランジスタのスイッチング有機TFT素子111と、データ電圧の保持用のキャパシタ113、113bと、有機EL素子114と、階調制御用スイッチング有機TFT素子115と、から構成されている。この構成を走査線SL及び第1及び第2電源供給線VccL、VccLb、並びに第1及び第2信号線DL、DLbの各交点近傍に配置することで画素の発光部を実現することができる。
第1及び第2スイッチング有機TFT素子111、111bのゲート電極は、アドレス信号が供給される走査線SLに接続され、第1及び第2スイッチング有機TFT素子111、111bのソース電極はそれぞれ第1及び第2信号線DL、DLbに接続されている。第1スイッチング有機TFT素子111のドレイン電極は有機EL素子114の第1補助電極2とキャパシタ113の一方の端子に接続されている。
第2スイッチング有機TFT素子111bのドレイン電極は階調制御用スイッチング有機TFT素子115のゲート電極とキャパシタ113bの一方の端子に接続されている。キャパシタ113、113bの他方は接地されている。
階調制御用スイッチング有機TFT素子115のソース電極は第2電源供給線VccLbに接続されている。階調制御用スイッチング有機TFT素子115のドレイン電極は有機EL素子114の第2陽極4bに接続されている。
有機EL素子114の陰極7は第1及び第2電源供給線VccL、VccLbに接続されており、有機EL素子114の第1及び第2陽極4、4bは接地されている。
図8は、図7の発光部(有機EL素子114)の複数をマトリクス配置して画素に用いた有機EL表示パネルを示す構成図を示す。走査線SL各々は走査線用ドライバSLDに接続され、第1及び第2信号線DL、DLbはそれぞれ第1及び第2データ線用ドライバDLD、DLDbに接続され、第1及び第2電源供給線VccL、VccLbは第1及び第2電源に接続される。
有機TFT素子111は、有機EL表示パネルの基板上に有機EL素子114とともに作り込まれた、対向するソース電極S及びドレイン電極Dと、ソース電極及びドレイン電極の間にチャネルを形成できるように積層された有機半導体からなる有機半導体膜と、ソース電極S及びドレイン電極Dの間の有機半導体膜に電界を印加せしめるゲート電極Gと、を含み、さらに、ゲート電極Gを覆いソース電極S及びドレイン電極Dから絶縁するゲート絶縁膜を有している。
図2は、本発明による実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
図3は、本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
図4は、本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
図5は、本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
図6は、本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
図7は、本発明による他の実施形態の有機EL表示装置のサブピクセル発光部を示す等価回路図である。
図8は、図7の発光部の複数をマトリクス配置して画素に用いた有機EL表示パネルを示す構成図である。
図9は、本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分平面図である。
発明の詳細な説明
以下に本発明の実施形態の発光素子の一例として有機EL表示パネルを図面を参照しつつ説明する。
図2は、本発明の実施形態における、対向する1対の第1及び第2電極(陽極4及び陰極7)の間に成膜された発光層6を備えた基板1上に形成された発光素子の有機EL素子114を示す。
有機EL素子114は、基板1上に、補助電極2、絶縁層3、陽極4(第1電極)及び第2陽極4b(第3電極)、正孔注入層5、発光層6、陰極7(第2電極)、を順に形成してなる。ここで、正孔注入層5はキャリア輸送性の有機半導体層に属する。キャリア輸送性の有機半導体層としては、正孔注入層のほか、例えば正孔輸送層又はこれらの積層や、ブロック層などであってもよい。さらに、キャリア輸送性の有機半導体層としては、図示していないが、陰極7と発光層6との間に挿入して配置される、例えば電子注入層、電子輸送層又はこれらの積層や、ブロック層などであってもよい。
陽極4及び第2陽極4bは格子状、櫛状又は簾状の形状のパターンで成膜される。このようにすれば、有機半導体層を通過するキャリアのためには都合がよい。すなわち、正孔注入層、正孔輸送層などの有機半導体層5側の陽極4は、有機半導体層を通過するキャリアのためのパターンを画定するように、形成されている。
また、第1陽極4と第2陽極4bは、それぞれ独立した別回路の第1及び第2電源へ接続される。
このように、先行技術の素子構造では陽極及び陰極間に加える電圧を固定しつつ、補助電極に電圧を印加することにより発光強度の変化を得て表示装置の輝度階調の制御を行うものであったが、本実施形態によれば、電気的な接続先の異なる陽極(又は陰極)を2本以上備えており、その陽極(又は陰極)に異なる電位を与えることにより、電流値および発光強度を変化せしめる結果、補助電極に印加する電圧による輝度階調制御と併せることによって、さらに細かい階調制御を行うことができる有機EL素子が得られる。
本実施形態は、真空蒸着法などを用いガラス基板上にパターン化された補助電極2を形成し、その上に絶縁層3、正孔注入層5を真空蒸着法、スピンコート法などを用いて形成する。正孔注入層を形成した後に陽極を形成することで、塗布型の正孔注入材料の成膜性を向上させるとともに、塗布型正孔注入材料に留まらず真空蒸着法により形成した正孔注入材料でも、陽極に電圧を印加していない時(OFF時)の陰極7に流れる電流、発光強度を低減化できる。その結果、陽極に電圧を印加した時(ON時)の電流、発光強度とOFF時の電流、発光強度のそれぞれの比が向上する。
基板1の材料としては、ガラス、石英、ポリスチレンなどのプラスチック材料といった半透明材料に限らず、シリコンやAlなどの不透明な材料、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂などを用いることができるがこれに限らない。
補助電極2、陽極4、第2陽極4b及び陰極7の電極材料としては、Ti、Al、Li:Al、Cu、Ni、Ag、Mg:Ag、Au、Pt、Pd、Ir、Cr、Mo、W、Taなどの金属あるいはこれらの合金が挙げられる。あるいは、ポリアニリンやPEDT:PSSなどの導電性高分子を用いることができる。あるいは、酸化物透明導電薄膜、例えば錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)のいずれかを主組成としたものを用いることができるが、これに限定されない。また、各電極の厚さは10〜500nm程度が好ましい。陰極7材料と補助電極2には特に50〜300nmの範囲が適している。陰極7材料には特に10〜200nm程度の範囲が適している。これらの電極材料は真空蒸着法、スパッタ法で作製されたものが好ましい。
陽極材料(4、4b)の仕事関数の値と有機半導体層5のイオン化ポテンシャルの値との差が0.5eV以内であることが好ましい。陽極及び陰極の間に印加する電圧方向と逆一方向になるように、補助電極と有機半導体層側の電極との間に電圧が印加されるときに、発光層が発光する。陽極の材料は、その仕事関数の値は有機半導体層5のイオン化ポテンシャルの値より小であるものから、選択される。
絶縁層3には、SiO2、Si3N4に代表される種々の絶縁材料を用いることができるが、特に比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの無機窒化物も好適に用いることができる。また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びアノエチルプルラン、ポリマー体、エラストマー体を含むホスファゼン化合物、などを用いることもできる。
正孔注入層5は、陽極4からの正孔の注入を容易にする機能、正孔を安定に輸送する機能を有し、その材料には銅フタロシアニン(CuPc)に代表されるポルフィリン誘導体、ペタセンに代表されるポリアセン、m−TDATAに代表されるスターバーストアミンと呼ばれる高分子アリールアミンが低分子系ではよく用いられる。また、ポルフィリン誘導体やトリフェニルアミン誘導体などにルイス酸や四フッ化テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)などを混合し導電性を高くした層を用いることもできる。この時、混合比率は重量比率で5〜95%の割合で混合されていることが好ましい。また、高分子系ではポリアニリン(PANI)、ポリチオフェン誘導体(PEDOT)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)などの高分子材料を用いることができる。また、正孔注入層5はこれらの材料の混合層、もしくは積層したものでもよい。
発光層6には、発光機能を有する化合物である蛍光物質もしくは燐光物質を含有させる。このような蛍光性物質としては、例えば特開63−264692号公報に開示されているような化合物、例えばキナクリドン、ルブレン、スチリル系色素などの化合物から選択される少なくとも1種が挙げられる。燐光性物質としてはAppl.Phys.Lett.,75巻、4項、1999年にあるような有機イリジウム錯体、有機プラチナ錯体などが挙げられる。
また、図3に示すように、他の実施形態として、正孔注入層5と発光層6の間に有機半導体層として正孔輸送層13Aを挿入した以外、図2に示す有機EL素子114と同一の素子がある。正孔輸送層13Aの材料としては、トリフェニルジアミン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を有するアミン誘導体、カルバゾール誘導体、高分子材料としてはポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリチオフェンなどが挙げられる。これらの化合物は2種以上を併用してもよい。さらに、一般的に、正孔輸送層は正孔注入層よりもイオン化ポテンシャルIpが大きい有機半導体材料を用いた方が好ましい。
さらに、図4に示すように、他の実施形態として、発光層6と陰極7の間に有機半導体層として電子注入層13Bを挿入した以外、図2に示す有機EL素子114と同一の素子がある。図示しないが、この実施形態に更に電子注入層及び発光層間に電子輸送層を設けることもできる。電子注入層及び又は電子輸送層には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)などの8−キノリノール又はその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体などを用いることができる。電子注入層及び又は電子輸送層は発光層6をかねたものであってもよく、このような場合にはトリス(8−キノリノラト)アルミニウムなどを使用することが好ましい。電子注入層と電子輸送層を積層して作成するときには陰極7側から電子親和力の値の大きい化合物の順に積層することが好ましい。
またさらに、図5に示すように、他の実施形態として、第1及び第2陽極4、4bと正孔注入層5との間に接触して挿入されたキャリア抑止層BFを挿入した以外、図2に示す有機EL素子114と同一の素子がある。キャリア抑止層BF(例えば絶縁膜)により、各陽極が正孔注入層5に接触するキャリア供給部CPPを画定する。この場合、キャリア抑止層BFの仕事関数の値は各陽極の仕事関数の値より小である。この場合、キャリア抑止層BFの材料は、その仕事関数の値が正孔注入層5のイオン化ポテンシャルの値より大であるものから、選択される。本実施形態では、各陽極の金属材料と異なる金属材料からなるキャリア抑止層BFを各陽極に積層して、キャリア抑止層BFにより、正孔注入層5に注入されるキャリアの経路を規定する。
有機半導体中のキャリア移動のために、キャリア抑止層BFは、そのイオン化ポテンシャルの条件すなわち、接触電極の仕事関数と有機半導体層のイオン化ポテンシャルとの間の仕事関数(又はイオン化ポテンシャル)の値に基づいて選択される。キャリアの移動を阻害するにはエネルギー障壁が大であるほうがよいからである。
本実施形態で使用するキャリア抑止層BFの材料としては、具体的には、イオン化ポテンシャルIp1(eV)を有する正孔注入材料(正孔注入層5)と仕事関数Wf1(eV)を有する各陽極と、仕事関数Wf2(eV)を有するキャリア抑止層BFとを積層したとき、Ip1とWf2はIp1>Wf2という関係を有することが好ましい。かかるキャリア抑止層BFの挿入によって、各陽極からキャリア抑止層BFを介した有機半導体層へと障壁になり、電流が流れ難くなる。
また、この時、Ip1とWf1はIp1<Wf1であることが望ましいが、Ip1≧Wf1としてもよく、Ip1とWf1の差は0.5eV以内であればよい。正孔注入層5と各陽極が接触する面での正孔注入は妨げられないが、正孔注入層とキャリア抑止層BFが接触する面ではその仕事関数の差から正孔が注入されることがなく、補助電極2にかかる電圧によらない電流成分を抑えることにより、OFF電流を低減させ輝度のON/OFF比を向上することができる。
上記実施形態では、特定のキャリア抑止層を設けたが、キャリア抑止層として絶縁膜を陽極上に陽極とほぼ同一形状に形成して、陽極及び陰極間の漏れ電流をさらに減少させる構造としてもよい。
またさらに、他の実施形態として、陽極から陰極までの積層順序を上記とは逆に構成することもできる。図6に示すように、有機EL素子114は、基板1上に、補助電極2、絶縁層3、陰極7(第1電極)及び第2陰極7b(第3電極)、電子注入層13B、発光層6、正孔輸送層13A、正孔注入層5、陽極4(第2電極)、を順に形成してなる。
注意すべきことは、上記実施形態では第3電極として陽極又は陰極を1つ追加した例を挙げているが、他の実施形態では別個の或る制御回路に接続された2以上の陽極又は陰極を第3電極として利用することもできる。
また、上記実施形態では発光素子を示したが、発光素子の複数を表示装置の画素に用いることもできる。具体的には、少なくとも有機トランジスタを1つ、コンデンサなど必要な素子、画素電極などを共通の基板上に作製すれば、本発明によるアクティブ駆動型の表示装置を実現できる。例として、以下に表示装置に適用した場合の構造を説明する。
図7は、図2に示す有機EL素子114において第1及び第2陽極4、4bが電気的に別個の回路に接続されているものを用いた有機EL表示パネルのサブピクセルの発光部を示す等価回路図を示す。
基板上に形成された発光部の各々は、選択用トランジスタのスイッチング有機TFT素子111と、データ電圧の保持用のキャパシタ113、113bと、有機EL素子114と、階調制御用スイッチング有機TFT素子115と、から構成されている。この構成を走査線SL及び第1及び第2電源供給線VccL、VccLb、並びに第1及び第2信号線DL、DLbの各交点近傍に配置することで画素の発光部を実現することができる。
第1及び第2スイッチング有機TFT素子111、111bのゲート電極は、アドレス信号が供給される走査線SLに接続され、第1及び第2スイッチング有機TFT素子111、111bのソース電極はそれぞれ第1及び第2信号線DL、DLbに接続されている。第1スイッチング有機TFT素子111のドレイン電極は有機EL素子114の第1補助電極2とキャパシタ113の一方の端子に接続されている。
第2スイッチング有機TFT素子111bのドレイン電極は階調制御用スイッチング有機TFT素子115のゲート電極とキャパシタ113bの一方の端子に接続されている。キャパシタ113、113bの他方は接地されている。
階調制御用スイッチング有機TFT素子115のソース電極は第2電源供給線VccLbに接続されている。階調制御用スイッチング有機TFT素子115のドレイン電極は有機EL素子114の第2陽極4bに接続されている。
有機EL素子114の陰極7は第1及び第2電源供給線VccL、VccLbに接続されており、有機EL素子114の第1及び第2陽極4、4bは接地されている。
図8は、図7の発光部(有機EL素子114)の複数をマトリクス配置して画素に用いた有機EL表示パネルを示す構成図を示す。走査線SL各々は走査線用ドライバSLDに接続され、第1及び第2信号線DL、DLbはそれぞれ第1及び第2データ線用ドライバDLD、DLDbに接続され、第1及び第2電源供給線VccL、VccLbは第1及び第2電源に接続される。
有機TFT素子111は、有機EL表示パネルの基板上に有機EL素子114とともに作り込まれた、対向するソース電極S及びドレイン電極Dと、ソース電極及びドレイン電極の間にチャネルを形成できるように積層された有機半導体からなる有機半導体膜と、ソース電極S及びドレイン電極Dの間の有機半導体膜に電界を印加せしめるゲート電極Gと、を含み、さらに、ゲート電極Gを覆いソース電極S及びドレイン電極Dから絶縁するゲート絶縁膜を有している。
図3に示すようなキャリア抑止層として絶縁膜を用いた発光素子を作製した。図9は図2の発光素子の基板側から見た平面図である。図14に示すように、第1及び第2陽極4、4bは櫛状又は簾状の形状として形成しているが、格子状でもよく、さらに陽極を格子状、櫛状又は簾状の形状とすれば、有機半導体層を通過するキャリアのためのパターンを画定することができる。
かかる発光素子は以下の(1)〜(7)の工程で作製した。
(1) 補助電極の形成…無アルカリガラス基板上にITOをスパッタリング法により100nm形成したのち、フォトレジストをスピンコートにより塗布する。光学マスクを用いた露光と現像により先のフォトレジストをパターン化し、その上からミリングによりフォトレジストパターンの無い部分のITO膜を取り除く、最後に剥離液を用いてフォトレジストを溶解させた。
(2) 絶縁層の形成…絶縁層としてポリビニルフェノール系高分子8wt%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いてスピンコート法により300nm成膜した。その後、補助電極上の端部に成膜された高分子膜を、PGMEAを含ませたコットンにより拭き取り、ホットプレートを用いて200℃で180分間ベーキングを行った。
(3) 第1及び第2陽極の形成…陽極として、メタルマスクを用いた真空蒸着法により金を50nm成膜した。金の成膜速度は0.1m/sとした。続いて同じマスクを用いて電子ビームを用いた真空蒸着法によりキャリア抑止層(絶縁膜)としてSiO2を100nm成膜した。この時のSiO2の成膜速度は0.2nm/sとした。
(4) 正孔注入層の形成…正孔注入層として、ペンタセンを50nm成膜した。この時ペンタセンの成膜速度は0.1nm/sとした。
(5) 正孔輸送層の形成…正孔輸送層として、α−NPDを50nm成膜した。
(6) 発光層の形成…発光層材料として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを真空蒸着法により60nm成膜した。
(7) 陰極の形成…陰極としてアルミニウムを真空蒸着法により100nm蒸着した。この時、銀の成膜速度は0.3nm/sとした。
かかる発光素子は以下の(1)〜(7)の工程で作製した。
(1) 補助電極の形成…無アルカリガラス基板上にITOをスパッタリング法により100nm形成したのち、フォトレジストをスピンコートにより塗布する。光学マスクを用いた露光と現像により先のフォトレジストをパターン化し、その上からミリングによりフォトレジストパターンの無い部分のITO膜を取り除く、最後に剥離液を用いてフォトレジストを溶解させた。
(2) 絶縁層の形成…絶縁層としてポリビニルフェノール系高分子8wt%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いてスピンコート法により300nm成膜した。その後、補助電極上の端部に成膜された高分子膜を、PGMEAを含ませたコットンにより拭き取り、ホットプレートを用いて200℃で180分間ベーキングを行った。
(3) 第1及び第2陽極の形成…陽極として、メタルマスクを用いた真空蒸着法により金を50nm成膜した。金の成膜速度は0.1m/sとした。続いて同じマスクを用いて電子ビームを用いた真空蒸着法によりキャリア抑止層(絶縁膜)としてSiO2を100nm成膜した。この時のSiO2の成膜速度は0.2nm/sとした。
(4) 正孔注入層の形成…正孔注入層として、ペンタセンを50nm成膜した。この時ペンタセンの成膜速度は0.1nm/sとした。
(5) 正孔輸送層の形成…正孔輸送層として、α−NPDを50nm成膜した。
(6) 発光層の形成…発光層材料として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを真空蒸着法により60nm成膜した。
(7) 陰極の形成…陰極としてアルミニウムを真空蒸着法により100nm蒸着した。この時、銀の成膜速度は0.3nm/sとした。
次の工程(1)〜(8)の工程で図6に示すような発光素子を作製した。
(1) 補助電極の形成…無アルカリガラス基板上にITOをスパッタリング法により100nm形成したのち、実施例1と同様にITOをパターニングした。
(2) 絶縁層の形成…絶縁層としてスパッタリング法によりSiO2を300nm成膜した。この時、補助電極の一部に絶縁層が成膜されないようにメタルマスクを用いて成膜範囲を限定した。
(3) 第1及び第2陰極の作製…陰極としてマグネシウムと銀を真空蒸着法により10:1の比で20nm共蒸着した。この時、マグネシウムの成膜速度は1nm/sとし、銀の成膜速度は0.1nm/sとした。その後、同一のマスクを用いてプラチナを20nm蒸着した。
(4) 電子注入層の形成…電子注入層として、フラーレンC60の炭素膜を真空蒸着法により成膜した。
(5) 発光層の形成…発光層材料として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)とクマリン(C545T)を真空蒸着法により共蒸着し40nm成膜した。この時クマリン(C545T)の濃度は3wt%であった。Alq3の成膜速度は0.3nm/sであった。
(6) 正孔輸送層の形成…正孔輸送層としてα−NPDを50nmメタルマスクを用いて真空蒸着法により成膜した。
(7) 正孔注入層の形成…正孔注入層としてCuPcを30nmメタルマスクを用いて真空蒸着法により成膜した。
(8) 陽極の形成…陽極としてIZOを真空蒸着法により30nm蒸着した。
(1) 補助電極の形成…無アルカリガラス基板上にITOをスパッタリング法により100nm形成したのち、実施例1と同様にITOをパターニングした。
(2) 絶縁層の形成…絶縁層としてスパッタリング法によりSiO2を300nm成膜した。この時、補助電極の一部に絶縁層が成膜されないようにメタルマスクを用いて成膜範囲を限定した。
(3) 第1及び第2陰極の作製…陰極としてマグネシウムと銀を真空蒸着法により10:1の比で20nm共蒸着した。この時、マグネシウムの成膜速度は1nm/sとし、銀の成膜速度は0.1nm/sとした。その後、同一のマスクを用いてプラチナを20nm蒸着した。
(4) 電子注入層の形成…電子注入層として、フラーレンC60の炭素膜を真空蒸着法により成膜した。
(5) 発光層の形成…発光層材料として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)とクマリン(C545T)を真空蒸着法により共蒸着し40nm成膜した。この時クマリン(C545T)の濃度は3wt%であった。Alq3の成膜速度は0.3nm/sであった。
(6) 正孔輸送層の形成…正孔輸送層としてα−NPDを50nmメタルマスクを用いて真空蒸着法により成膜した。
(7) 正孔注入層の形成…正孔注入層としてCuPcを30nmメタルマスクを用いて真空蒸着法により成膜した。
(8) 陽極の形成…陽極としてIZOを真空蒸着法により30nm蒸着した。
Claims (22)
- 平行に対向する第1及び第2電極の間に成膜された発光層と、
前記発光層及び前記第1電極の間に成膜された有機半導体層と、
前記第1電極における前記第2電極と対向している面の反対側に絶縁層を介して配置された補助電極と、を有する発光素子であって、
前記有機半導体層内部に配置された第3電極を有することを特徴とする発光素子。 - 前記第1電極及び前記第2電極は陽極及び陰極であり、前記有機半導体層は正孔注入層、正孔輸送層又はこれらの積層であることを特徴とする請求項1記載の発光素子。
- 前記発光層及び前記第2電極の間に成膜された補助有機半導体層を有し、前記補助有機半導体層は電子注入層、電子輸送層又はこれらの積層であることを特徴とする請求項2記載の発光素子。
- 前記第1電極及び前記第2電極は陰極及び陽極であり、前記有機半導体層は電子注入層、電子輸送層又はこれらの積層であることを特徴とする請求項1記載の発光素子。
- 前記発光層及び前記第2電極の間に成膜された補助有機半導体層を有し、前記補助有機半導体層は正孔注入層、正孔輸送層又はこれらの積層であることを特徴とする請求項4記載の発光素子。
- 前記第1及び第3電極は、格子状、櫛状又は簾状の形状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発光素子。
- 前記第2電極及び第3電極は、透明材料又は半透明材料からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発光素子。
- 前記第1及び第3電極と前記有機半導体層との間に接触して挿入されたキャリア抑止層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の発光素子。
- 前記第1及び第3電極は互いに異なる電源に接続されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の発光素子。
- 複数の発光部をマトリクス状に配置した表示装置であって、
前記発光部の各々は、平行に対向する第1及び第2電極の間に成膜された発光層と、
前記発光層及び前記第1電極の間に成膜された有機半導体層と、
前記第1電極における前記第2電極と対向している面の反対側に絶縁層を介して配置された補助電極と、を有する発光素子であって、
前記有機半導体層内部に配置された第3電極を有することを特徴とする表示装置。 - 前記発光部ごとに前記補助電極に電気的に接続されたスイッチング素子を備え、前記1対の電極に電力を供給する配線と、前記スイッチング素子にオンオフの電圧情報を印加する配線と、を有することを特徴とする請求項10記載の表示装置。
- 平行に対向する第1及び第2電極の間に成膜された発光層と、
前記第1電極における前記第2電極と対向している面の反対側に有機半導体層、および絶縁層を介して配置された補助電極と、を有する発光素子であって、
前記有機半導体層内部に配置された第3電極を有することを特徴とする発光素子。 - 前記第1電極及び前記第2電極は陽極及び陰極であり、前記有機半導体層は正孔注入層であることを特徴とする請求項12記載の発光素子。
- 前記発光層及び前記第2電極の間に成膜された補助有機半導体層を有し、前記補助有機半導体層は電子注入層、電子輸送層又はこれらの積層であることを特徴とする請求項13記載の発光素子。
- 前記第1電極及び前記第2電極は陰極及び陽極であり、前記有機半導体層は電子注入層、であることを特徴とする請求項12記載の発光素子。
- 前記発光層及び前記第2電極の間に成膜された補助有機半導体層を有し、前記補助有機半導体層は正孔注入層、正孔輸送層又はこれらの積層であることを特徴とする請求項15記載の発光素子。
- 前記第1及び第3電極は、格子状、櫛状又は簾状の形状を有することを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載の発光素子。
- 前記第2電極及び第3電極は、透明材料又は半透明材料からなることを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載の発光素子。
- 前記第1及び第3電極と前記有機半導体層との間に接触して挿入されたキャリア抑止層を有することを特徴とする請求項12〜18のいずれかに記載の発光素子。
- 前記第1及び第3電極は互いに異なる電源に接続されていることを特徴とする請求項12〜19のいずれかに記載の発光素子。
- 複数の発光部をマトリクス状に配置した表示装置であって、
前記発光部の各々は、平行に対向する第1及び第2電極の間に成膜された発光層と、
前記第1電極における前記第2電極と対向している面の反対側に有機半導体層および絶縁層を介して配置された補助電極と、を有する発光素子であって、
前記有機半導体層内部に配置された第3電極を有することを特徴とする表示装置。 - 前記発光部ごとに前記補助電極に電気的に接続されたスイッチング素子を備え、前記1対の電極に電力を供給する配線と、前記スイッチング素子にオンオフの電圧情報を印加する配線と、を有することを特徴とする請求項21記載の表示装置。
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