JP2013168307A - 第2ゲート電極を有する有機発光トランジスタ - Google Patents

第2ゲート電極を有する有機発光トランジスタ Download PDF

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Abstract

【課題】有機半導体材料を含む発光効率が向上された発光トランジスタ及びそれを含む発光デバイスを提供する。
【解決手段】ゲート絶縁層と有機半導体層の間に、追加の電極を更に有する有機発光トランジスタは、発光効率が向上する。追加の電極の導電性は、シート抵抗が10kΩ/sq.以下であると、更に、発光効率が向上する。本発明の発光デバイスは、追加の電極を更に有する上記有機発光トランジスタを含むので、発光効率が向上する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機半導体材料を含む新規な発光トランジスタ及びそれを含む発光デバイスに関する。
有機半導体材料を用いる素子として、有機電界効果トランジスタ(Organic Field-Effect Transistor:OFET)が知られている。OFETを構成する有機半導体材料が、キャリアとしての正孔と電子を輸送可能であり、この正孔と電子の再結合により、多少の発光を生ずることも知られている。
有機電界効果トランジスタとしての性能を改良するために、種々の検討がなされている。
例えば、特許文献1は、キャリアの移動性能が高い特定のチオフェン誘導体を電荷移動層として用いること、及びこの特定のチオフェン誘導体を用いたOFETが多少の発光を生ずることを開示する。
また、非特許文献1は、特定の方法で製造された有機半導体材料の厚さの薄い結晶は、電界効果移動度を向上させることを開示する。しかし、発光効率に関しては、何ら報告されていない。
非特許文献2は、クインケチオフェンとN,N’−ジペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミドの共蒸着膜を用いてソース電極とドレイン電極間に印加する電圧に応じて発光特性が変化することを開示する。しかし、その他の発光効率の向上の方法については、何ら開示していない。
非特許文献3は、p型有機半導体としてポリ(3−ヘキシルチオフェン)を用い、またn型有機半導体として[6,6]−フェニル−C61−ブチリックメチルエステル(PCBM)を用いて、これらからなるスピンキャスト膜をゲート絶縁膜上に順次積層したトランジスタを例示する。ポリ(3−ヘキシルチオフェン)のキャリア移動度は、約0.0001cm/V・sであり、PCBMのキャリア移動度は、それよりも1桁小さいことも開示する。しかし、このトランジスタの発光の有無については、何ら開示していない。
OFETの発光効率を向上させる方法は、学術的にも実用的にも興味深いが、ほとんど報告されておらず、また、従来のOFETの発光効率は、必ずしも十分ではなかった。
特開2006−182730号公報
T. Yamao, S. Ota, T. Miki, S. Hotta, and R. Azumi, Thin Solid Films, 516 (2008) 2527-2531. M. A. Loi, M. Murgia, and M. Muccini, Appl. Phys. Lett., 85 (2004) 1613-1615. K. Kaneto, M. Yano, M. Shibao, T. Morita, and W. Takashima, Jpn. J. Appl. Phys., 46 (2007) 1736-1738.
本発明はかかる背景により行われたものであり、その課題は、有機半導体材料を含む発光効率が向上された発光トランジスタ、及びそれを含む発光素子、照明デバイス、ディスプレイなどに応用可能な発光デバイスを提供することである。
本発明者らは、上記課題を克服するために鋭意検討を行った結果、有機半導体層とゲート絶縁層との間に追加の電極(以下、「第2ゲート電極」ともいう)を設けることで、驚くべきことに発光効率が向上することを見出して本発明を完成するに到ったものである。
即ち、本発明は一の要旨において、新たな発光トランジスタを提供し、それは、有機半導体層、上記有機半導体層上に形成されたソース電極とドレイン電極、上記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層、及び上記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極を有する有機発光トランジスタであって、ゲート絶縁層と有機半導体層の間に、追加の電極を更に有する有機発光トランジスタである。
更に、本発明は一の態様において、追加の電極の導電性は、シート抵抗が10kΩ/sq.以下である上記有機発光トランジスタを提供する。
また、本発明は好ましい態様において、ソース電極とドレイン電極間の有機半導体層の全面から面発光する上記発光トランジスタを提供する。
本発明は、他の要旨において、上記トランジスタを含む発光デバイスを提供する。
本発明の発光トランジスタは、ゲート絶縁層と有機半導体層の間に、追加の電極を更に有するので、発光効率が向上される。
追加の電極の導電性は、シート抵抗が10kΩ/sq.以下である場合、更に、発光効率が向上される。
ソース電極とドレイン電極間の有機半導体層の全面から面発光するので、発光部位の視認性に優れる。
本発明の発光デバイスは、上記トランジスタを含むので、発光効率が向上される。
本発明のデバイスを照明やディスプレイ等のデバイスに応用した場合、デバイスの基板面に垂直方向に強い発光強度を有するので、デバイスの視認性に優れる。本発明のデバイスは、チャネル面の全面が発光する本発明に係る発光トランジスタを有するので、視認性に優れる。
図1は、本発明に係る一の要旨のトランジスタの断面図である。 図2は、比較のための従来のトランジスタの断面図である。 図3は、各電極と有機半導体材料のエネルギー準位とキャリアの移動、およびキャリアの再結合に伴う発光の概念図を示す。 図4は、実施例1のトランジスタの断面模式図である。 図5は、実施例1のトランジスタの電流−電圧特性を示す。 図6は、実施例1のトランジスタからの発光スペクトルを示す。 図7は、実施例1のトランジスタからの表1記号Aの電圧印加条件での発光の様子を示す写真である。 図8は、図7の写真の明るさを強調した写真である。 図9は、実施例1のトランジスタからの表1記号Cの電圧印加条件での発光の様子を示す発光場所の拡大写真、および発光の幅を示す図である。 図10は、実施例1のトランジスタからの表1記号Bの電圧印加条件での発光の様子を示す発光場所の拡大写真、および発光の幅を示す図である。 図11は、実施例1のトランジスタからの表1記号Aの電圧印加条件での発光の様子を示す発光場所の拡大写真、および発光の幅を示す図である。 図12は、実施例1のトランジスタで、電極15に−20V,電極16に+20V、第1ゲート電極14を接地したときの発光の様子を示す写真である。 図13は、図12の写真の明るさを強調した写真である。 図14は、比較例1のトランジスタの断面模式図である。 図15は、比較例1のトランジスタの電流−電圧特性を示す。 図16は、実施例2のトランジスタからの発光スペクトルを示す。 図17は、実施例3のトランジスタからの発光スペクトルを示す。 図18は、実施例4のトランジスタの電流−電圧特性を示す。 図19は、実施例4のトランジスタからの発光スペクトルを示す。 図20は、実施例5のトランジスタの電流−電圧特性を示す。 図21は、実施例5のトランジスタからの発光スペクトルを示す。 図22は、本発明に係るトランジスタの断面図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明を説明する。
本発明に係る発光トランジスタとして、例えば、図1に記載したような、層状の有機半導体材料11を含むトランジスタ10の断面図を模式的に示すことができる。この発光トランジスタ10は、電界効果トランジスタ(FET)の基本的な構造を有する。尚、有機半導体材料は、必要に応じて、二種類以上の有機半導体材料が積層された、積層体であってもよく、また二種類以上の有機半導体材料が混合された、混合体であってもよい。
本発明に係るこの発光トランジスタ10は、有機半導体層11に相互に離間した電極15及び電極16が配置されている。電極15に直流で負電圧を印加すると、電子を注入する電子注入電極になり、電極16に直流で正電圧を印加すると、正孔を注入する正孔注入電極になると考えられる。尚、逆に電極16が電子注入電極であり、電極15が正孔注入電極であってよい。注入された電子と正孔が有機半導体層11内で再結合して発光すると考えられる。電極15と電極16の間に設けられた間隔が電極間隔17である。更に有機半導体層11に、電極15と電極16から離間し、ゲート絶縁膜13を介してゲート電極14(以下、「第1ゲート電極」ともいう)が設けられている。更に、ゲート絶縁膜13と有機半導体層11との間に電極15及び16とゲート電極14から電気的に絶縁された追加の電極12が設けられている。ゲート電極14に電界を印加することで、適宜、有機半導体層11内の電子および正孔であるキャリアの分布を制御するとともに、追加の電極12近傍にキャリアが蓄積され、電極15から注入された電子もしくは電極16から注入された正孔が追加の電極12によって効果的に輸送され、それらを有機半導体層11へ供給することができる。
具体的には、図1に示すように、ゲート電極14の上に酸化シリコン等からなるゲート絶縁膜13が設けられ、ゲート絶縁膜13の上に追加の電極12が設けられ、更に、有機半導体層11が配置され、その両側に電極15及び電極16が間隔17を開けて設けられる。有機半導体層11と電極15及び16を設ける順番は、追加の電極12と電極15及び16が電気的に接触しない限り、逆であってもよいし、交互に設けてもよい。電極15及び16は、追加の電極12、ゲート絶縁膜13及びゲート電極14が配置される有機半導体層11の面と、異なる面に配置されることが好ましい。
追加の電極12は、ゲート絶縁膜13と有機半導体層11によって完全に覆われていることが好ましいが、完全に覆われていなくともよい。また、追加の電極12は、有機半導体層11を介して、電極15と16が離間する電極間隔17と、対向する位置に配置されることが好ましい。追加の電極12の一端が、電極15又は16と、ゲート電極14の間に存する場合、効果は大きくなる。更に、追加の電極12の両端が、電極15及び16とゲート電極14の間に存する場合、より大きな効果が得られるので好ましい。
本発明に係る発光トランジスタの製造方法は、目的とするトランジスタを得ることができる限り、特に制限されるものではないが、追加の電極を設ける工程を含むことが好ましい。
尚、念のため従来の発光トランジスタの典型的な断面図を模式的に図2に示す。図2中の符号は、図1の符号と対応する。図2は、図1と比較すると、追加の電極がない点で異なることが理解される。
本発明に係る有機半導体層に含まれる有機半導体材料には、例えば、平板状結晶、薄膜状アモルファス固体、薄膜状結晶、平板状アモルファス固体、及び自己組織化単分子膜等の層状の形態の材料が含まれる。一般的に、「平板状」とは、自立性を有することを意味し、「薄膜状」とは、自立性を有さず、その形成に基板を必要とすることを意味する。更に、「結晶」とは、X線回折測定や偏光顕微鏡観察、熱的特性測定により材料が結晶であることを確認できる層状の形態を有することを意味し、「アモルファス固体」とは、結晶ではない層状の形態を有することを意味し、「平板状アモルファス固体」とは、自立性を有する結晶ではない形態を有することを意味する。更に「自己組織化単分子膜」とは、基板表面に吸着した単分子の厚さの層を形成してできる分子の膜のことを意味する。
有機半導体層に含まれる有機半導体材料は、半導体としての性質を有する有機材料であって、通常有機半導体材料とされるものを、公知の方法で、例えば、上述の平板状結晶、薄膜状アモルファス固体、薄膜状結晶、平板状アモルファス固体、及び自己組織化単分子膜等の層状の有機半導体材料に形成して使用することができ、本発明が目的とするトランジスタを得ることができる限り、原料となる有機半導体材料及び有機半導体材料を得るための製造方法は、特に制限されるものではない。
例えば、有機半導体材料の平板状結晶は、非特許文献1に開示されるような方法を用いて製造することができ、厚さの薄い結晶を得ることができる。有機半導体材料の平板状結晶は、良好なキャリア移動度を有するので、好ましい。
例えば、有機半導体材料の薄膜状アモルファス固体は、有機半導体材料を、蒸着(複数種あるときは、共蒸着や順に蒸着、もしくはこれらの組合せ)することにより得ることができる。更に、塗布法によって、製膜してもよい。
有機半導体層の厚さは、5〜10000nmであることが好ましく、20〜5000nmであることがより好ましく、50〜1000nmであることが特に好ましい。有機半導体材料は、p型有機半導体材料であっても、n型有機半導体材料であってもよく、電子と正孔の両方をキャリアとして伝導できる両極性有機半導体であってもよい。
有機半導体材料のキャリア移動度は、大きいほど半導体性が高まり、発光強度が高まり、好ましい。有機半導体材料のキャリア移動度は、p型であってもn型であっても両極性であっても、具体的には、0.000001cm/V・s以上であることが好ましく、0.0001cm/V・s以上であることがより好ましく、0.1cm/V・s以上であることが特に好ましい。なお、キャリア移動度の上限は、特に限定されず、一般的には、100cm/V・s程度であり得る。
本発明に係る「有機半導体材料」とは、一般的に有機半導体材料と呼ばれるものであって、本発明が目的とする発光トランジスタを得られる材料であれば特に制限されるものではない。
有機半導体層を得るための有機半導体材料には、低分子化合物、オリゴマー及びポリマーが含まれるが、例えば、より具体的には下記の化1〜化6に示す有機半導体材料(a)〜(z)が含まれる。例えば、複数のベンゼン環が直線状に結合したフェニレン類(例えば、(c))、複数のベンゼン環が直線状に縮環したアセン類(例えば、(d)〜(e)及び(g))、ルブレン類(例えば、(f))、複数のチオフェンが直線状に結合したチオフェン類(例えば、(a)、(b)、(j))、ペリレン類(例えば、(h))、複数のチアゾールが直線状に結合したチアゾール類(例えば、(i))、チオフェンとフェニレンのオリゴマーである(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー類(例えば(k)〜(z))を、好ましく例示することができる。
有機半導体材料は、通常、p型かn型に分類される。例えば、化1及び化3〜化5の(a)〜(f)及び(k)〜(v)は、p型有機半導体材料に分類され、例えば、化2及び化6の(g)〜(j)及び(w)〜(z)は、n型有機半導体材料に分類される。
有機半導体材料として、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー類(置換基を有しても、有さなくてもよい(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー、例えば(k)〜(z))がより好ましく、p型有機半導体材料として、p型(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー類(置換基を有さない、又はアルキル基及びアルコキシ基等の電子供与性置換基を有する(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー、より具体的には、(k)〜(v))がより好ましく、n型有機半導体として、n型(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー類(フッ素、トリフルオロメチル基及びシアノ基等の電子吸引性置換基を有する(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー、より具体的には、(w)〜(z))がより好ましい。p型有機半導体材料として(n)、(p)、(u)及び(v)が特に好ましく、n型有機半導体として、(x)が特に好ましい。
二種類以上の有機半導体材料で積層体や混合体を得る場合、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料は、p型(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー類とn型(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー類であることが好ましく、p型(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー類と(x)であることがより好ましい。
有機半導体材料は、必要に応じて適宜、いわゆるドーパント等の副構成成分を含むことができる。その添加によって、有機半導体材料の各機能をより向上させることができる。
二種類以上の有機半導体材料で積層体や混合体を得る場合、例えば、有機半導体材料の平板状結晶の積層は、ピンセットやスタンプ等を用いて、物理的に容易に配置することができる。例えば、有機半導体材料の薄膜状アモルファス固体の積層は、蒸着や塗布等を用いて行うことができる。
上記電極15及び電極16は、有機半導体材料に電圧を印加する電極であって、電子又は正孔を上記有機半導体層に注入するための電極であり、十分な導電性をもち、本発明が目的とする発光トランジスタを得ることができる限り、特に制限されるものではない。
そのような電極は、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム−金合金(MgAu)、マグネシウム−銀合金(MgAg)、アルミニウム−リチウム合金(AlLi)、カルシウム(Ca)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、シリコン(Si)、窒化ガリウム(GaN)、インジウム酸化物(In)、スズ酸化物(SnO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム−スズ酸化物(ITO)、アルミニウムやガリウム、インジウムをドープした亜鉛酸化物(AZO、GZO、IZO)等で形成される。
電極15及び電極16は、所定の間隔17を開けて対向するように配置される。間隔17は、本発明に係るトランジスタが得られる限り特に制限されるものではないが、例えば、1〜1000μmであることが好ましく、5〜200μmであることがより好ましく、20〜100μmであることが特に好ましい。
電極15及び電極16は、同種の材料を用いても良いし、よりキャリア注入が容易なように、キャリア注入に有利な異なる材料をそれぞれ用いても良い。即ち、有機半導体がn型かp型かのいずれであるかと、電極の材料の仕事関数やエネルギー準位等を考慮して選択する。
本発明においてゲート絶縁膜13とは、ゲート電極14と有機半導体層11及び追加の電極12を絶縁するために設けられる絶縁膜であり、本発明が目的とする発光トランジスタを得ることができる限り、特に限定されるものではない。一般にゲート絶縁膜13は、誘電体材料で作ることができる。そのような誘電体材料とは、一般に誘電体と呼ばれるものであって、本発明が目的とする発光トランジスタを得ることができるものであれば特に制限されるものではない。誘電体材料は、発光する光に対して透明であり、誘電体材料の屈折率は、有機半導体材料の屈折率より小さいことが好ましく、有機半導体材料と誘電体材料の屈折率の差は、0.01〜10であることがより好ましく、1〜10であることが特に好ましい。
そのような誘電体材料として、例えば、酸化ケイ素、石英、ソーダガラス、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、パリレン、絶縁性のフォトレジスト等を例示することができるが、ポリメタクリル酸メチル、パリレン、酸化ケイ素、石英、ソーダガラス、絶縁性のフォトレジスト等が好ましい。
本明細書においてゲート電極14とは、有機半導体層内の電界を制御する電圧を印加する電極であって、十分な導電性をもち、本発明が目的とする発光トランジスタを得ることができる限り、特に制限されるものではない。
例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム−金合金(MgAu)、マグネシウム−銀合金(MgAg)、アルミニウム−リチウム合金(AlLi)、カルシウム(Ca)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、シリコン(Si)、窒化ガリウム(GaN)、インジウム酸化物(In)、スズ酸化物(SnO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム−スズ酸化物(ITO)、アルミニウムやガリウム、インジウムをドープした亜鉛酸化物(AZO、GZO、IZO)等で形成される。
ゲート絶縁体がシリコン上に形成された酸化ケイ素である場合には、ゲート電極はシリコンで形成されてもよい。
ゲート電極は、ソース電極及びドレイン電極(電極15及び電極16)と、対向するように配置され、それらの間に、ゲート絶縁体及び追加の電極、又はゲート絶縁体、追加の電極と有機半導体層が配置される。
上記「追加の電極」12とは、電極15から注入された電子もしくは電極16から注入された正孔が効果的に蓄積・輸送され、それらを有機半導体層11へ供給するという機能を有するものであり、本発明が目的とする発光トランジスタを得られる限り限定されるものではないが、十分な導電性をもち、電極として機能し得る材料で形成されればよい。従って追加の電極は、導体でできている。
そのような材料として、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム−金合金(MgAu)、マグネシウム−銀合金(MgAg)、アルミニウム−リチウム合金(AlLi)、カルシウム(Ca)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、シリコン(Si)、窒化ガリウム(GaN)、インジウム酸化物(In)、スズ酸化物(SnO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム−スズ酸化物(ITO)、アルミニウムやガリウム、インジウムをドープした亜鉛酸化物(AZO、GZO、IZO)等を例示することができる。
追加の電極を形成することができる材料の導電性は、シート抵抗が500kΩ/sq.以下であることが好ましく、100kΩ/sq.以下であることがより好ましく、10kΩ/sq.以下であることが特に好ましい。なお、シート抵抗の下限は、特に限定されることはないが、一般的には、0.001Ω/sq.程度であり得、0.01Ω/sq.程度であり得、0.1Ω/sq.程度であり得る。
また、追加の電極の厚さは、10〜2000nmであることが好ましく、20〜1000nmであることがより好ましく、50〜500nmであることが特に好ましい。
上記トランジスタ10は、上記電極15及び電極16に電圧を印加することにより、その内部に電子および正孔の両方を注入し、その内部で電子及び正孔の両方を移動させ、有機半導体層内で、両者を再結合させる。このとき、有機半導体を通って両電極間を移動する電子及び正孔の量は、電極15と電極16およびゲート電極14に印加される電圧に依存する。このため、ゲート電極14にかける電圧及びその変化を制御することにより、上記電極15及び電極16の間の導通状態を制御することが可能となる。
具体的には、電極15に直流で−の電位を印加して、有機半導体層に電子を注入し、電極16に直流で+の電位を印加して、有機半導体層に正孔を注入する。ゲート電極14の電位を、必要に応じて適宜制御することで追加の電極12の効果により有機半導体層内において、電子及び正孔の移動および再結合が生じて、発光する。
本発明の発光トランジスタは、種々の発光デバイスに利用することができる。本発明の発光トランジスタを含む発光デバイスとして、例えば、通信用デバイス、ディスプレイパネル、ライト、各種照明等を例示することができる。
本発明は、上述のような優れた効果を奏するものであるが、それは、以下のような理由によるものと考えられる。
OFETでは、有機半導体層内で、キャリアである正孔と電子が再結合して発光する。しかし、通常の有機半導体層は電気抵抗が高く、キャリア密度も低い。そのため十分な量の正孔および電子(キャリア)を有機半導体層へ注入・蓄積し、有機半導体層内を輸送し、有機半導体層内で両キャリアを再結合させて発光させるのが困難であるという問題が考えられる。
そこで、キャリアを蓄積するとともに、より効率的に有機半導体層にキャリアを注入し、有機半導体層にあるキャリアの通り道であるチャネルでのキャリア輸送を促進し、チャネル内でキャリアを再結合させるために、有機半導体層に接するように追加の電極を設けることが有効であると考えられる。
第2ゲート電極の効果は次のように考えられる。図1において第2ゲート電極12はゲート絶縁膜13によって第1ゲート電極14から隔てられ、有機半導体層11によって電子注入電極15および正孔注入電極16から隔てられている。このため、これらの電極から直接キャリアが注入されることはない。ところが、有機半導体層11には電子注入電極15および正孔注入電極16から、それぞれ電子および正孔のキャリアが共に注入される。これら両キャリアが第2ゲート電極12に注入されるので、第2ゲート電極12は両キャリアを溜めるプールのような役割を果たすことが出来る。これと関連して、第2ゲート電極12、有機半導体層11および電子注入電極15、正孔注入電極16のエネルギー準位とキャリアの移動と再結合による発光の概念図を図3に示す。
図3は、電子注入電極15より注入された電子18が、左側の有機半導体層11を介し、また正孔注入電極16より注入された正孔19が、右側の有機半導体層11を介して、それぞれ第2ゲート電極12へ注入される様子を示す。第2ゲート電極から、電子18は右側の有機半導体層11へ注入されて正孔19と再結合し、正孔19は左側の有機半導体層11へ注入されて電子18と再結合し、それぞれ効率的な発光30を生み出す。
後述する図8は、発光が電子注入電極15を通して認められると共に、電子注入電極15および正孔注入電極16の下辺部においても認められることを明瞭に示す。このように、チャネルから大きく隔たった場所からも強い発光が認められることは従来の発光デバイスに見られない現象であり、本発明の優位性を裏付ける。要約すると、第2ゲート電極12の作用は電子および正孔の通り道とこれらのキャリアの有機半導体層11への注入を兼ねており、従来のデバイスにおいて電極がどちらか一方のキャリアのみの通り道および注入の役割を果たすに過ぎないことと顕著な相違点がある。
このように追加の電極があることで、有機半導体層内に設けられたチャネルの両キャリアの密度が増大し、両キャリアに対するキャリア輸送性能が向上し、その結果、有機半導体層内での両キャリアの再結合確率が増大して、発光強度が向上すると考えられる。キャリアの動作のより詳細な解析は今後の課題であるが、追加の電極があることで著しく発光効率が向上することは諸実験で確認されている。
また本発明の発光トランジスタは、発光の際、チャネルから面発光が観測される。すなわち、図1の電極間隔17全面から発光が観測される。図2に示すような追加の電極を有さない従来の有機発光トランジスタでは、通常、電極間隔17のうち、正孔と電子が再結合する線状の一部の領域から、線状の発光が観測されることを考慮すると、本発明の発光トランジスタは、従来の有機発光トランジスタとは異なるメカニズムで動作していることを意味している。本発明の発光トランジスタは、面発光するので、表示デバイス等に応用した際、視認性に優れる。
本発明は、このような理由により、優れた効果を奏すると考えられるが、このような理由は、何ら本発明を制限するものではない。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
実施例1の有機発光トランジスタ
実施例1の有機発光トランジスタの断面模式図である図4を参照しながら、実施例1の有機発光トランジスタ及びその製造方法を説明する。
実施例1の有機発光トランジスタ10は、表面にシリコン酸化膜層13を設けたシリコン基板14、シリコン酸化膜層13表面の一部を覆うように設置されたアルミニウムをドープした酸化亜鉛(以下AZO)層12、AZO層12を覆いシリコン酸化膜層13の一部を覆う有機半導体層11、有機半導体層11上に間隔17を設けて配置された一対の電極15、16で構成されている。
このとき、シリコン基板14は第1ゲート電極として、シリコン酸化膜層13はゲート絶縁膜として、AZO層12は第2ゲート電極として機能する。間隔17は電界効果トランジスタのチャネル長に相当する。
図4に示す実施例1の有機発光トランジスタは、以下のようにして製造した。
AZO層のエッチング
厚さ300nmのシリコン酸化膜層の付いた4インチのシリコンウェハーのシリコン酸化膜層の表面を覆うように、スパッタリングで厚さ約160nmのAZO層を製膜した。このAZO層のシート抵抗は約2kΩ/sq.である。
このウェハーを10mm×10mmの大きさに切断したものを基板として準備した。面積約2mm×2mmのマスクを、基板のAZO層表面に密着し、覆うように配置した。マスクを施したAZO層面の反対側が接着面となるように蓋付きシャーレの蓋に基板を設置した。
濃度35−37%の塩酸を蓋付きシャーレの本体に20−30mL入れ、基板が塩酸蒸気に暴露されるように上記シャーレの蓋をシャーレ本体に被せ、約10−40秒後、シャーレの蓋を本体から外し、基板を蒸留水で濯いだ。マスクを取り除くことにより、シリコン酸化膜層13の表面に、面積約2mm×2mmのAZO層12が残る。
以上のAZO層のエッチングはすべて大気中で行った。
基板の洗浄
AZO膜層12の付いた基板を順番にアセトン、2−プロパノール、エタノール、蒸留水で各10分間ずつ大気中にて超音波洗浄した後、基板に残った蒸留水を窒素ブローで除去した。その後、紫外線ランプによるオゾン洗浄を10分間施し、基板の表面を清浄にした。
有機膜の蒸着
5mm×8mmの長方形の穴の開いた蒸着用のマスクを、基板表面のAZO層12が穴の中心になるように基板に被せた後、基板を真空蒸着装置に設置した。真空度約1×10−3Paで、マスクの上から化4(p)で示されるBP3Tを厚さ約150−200nm蒸着した後、基板を大気暴露して取り出した。
BP3T蒸着膜11は、AZO層12を完全に覆っていた。
金属電極の蒸着
このBP3T蒸着膜11の上に、タングステンワイヤー(幅約50μm)を、図4の紙面と垂直方向に配置した後、基板を真空蒸着装置に設置した。マグネシウムと銀の質量比が約1:1となるように、図4の基板の左上側よりマグネシウムを、基板の真上から銀を、BP3T蒸着膜11およびシリコン酸化膜層13の上に真空蒸着し、厚さ15nmのマグネシウム銀層15a及び16aを形成した。続けて、図4の基板の真上から銀を真空蒸着し、厚さ35−37nmの銀層15bおよび16bを形成した。
さらに、図4の基板の右上方向から金を真空蒸着し、厚さ50nmの金層15cおよび16cを形成し、有機発光トランジスタを完成させた後、これを大気暴露して取り出した。
電極15a、15b及び15cが一体となって電子注入電極15となり、電極16a、16b及び16cが一体となって正孔注入電極16となる。
尚、図4で、Lは電子注入電極15のうち、マグネシウム銀電極15aと銀電極15bが表に見える範囲の幅(長さ)であって、具体的には18μmであり、Lは電極間隔17(チャネル)の長さで、具体的には33μmであり、Lは正孔注入電極16のうち、金電極16cが1層だけの範囲の幅(長さ)であって、具体的には15μmである。
このようにして得られた有機発光トランジスタの電流−電圧特性を真空中(約10−3Pa)で測定した。電流−電圧特性を図5に示す。
図5は、接地した電極16に対し電極15に+10から−10Vまでの直流電圧(ドレイン−ソース間電圧:横軸)を印加したときの電極15と電極16の間を流れる電流(ドレイン電流:縦軸)を、第1ゲート電極14の電圧を接地電位に対し+10から−10Vまで−2V毎に変化させながら測定したものである。
ドレイン電流のドレイン−ソース間電圧に対する変化は、ゲート電極の電圧を変えても変わらず、全ての曲線が重なった。正および負のドレイン電流は、おのおの正および負のドレイン−ソース間電圧の約3乗に比例した。
このようにして得られたトランジスタの発光を測定した。(発光測定法は、T. Yamao, Y. Shimizu, K. Terasaki, and S. Hotta, Adv. Mater. 20 (2008) 4109-4112. 参照)
発光は、トランジスタの基板面と垂直方向、すなわち図4において紙面上部方向に主に生じている。図6は、電極15に負の直流電圧、電極16に正の直流電圧、第1ゲート電極14に正弦波の交流電圧を各々印加したときの上述のトランジスタからの発光スペクトルである。電極15、16に印加した電圧、および電極14に印加した交流電圧振幅と周波数の具体的な数値を表1に示した。
縦軸の発光強度は1秒当たりの強度を示している。実線で示された記号Aのスペクトルの発光は、約616nmの波長で最大となり、その強度は約6668カウントであった。
図7は図6Aのスペクトルを観測したときに同時にデバイスの基板面に垂直方向から撮影した発光の様子を示す写真である。電極間隔17およびAZO層12の上にある電極16の下端の領域からの発光が認められる。図8は図7の写真の明るさを調整し、明暗の差を強調した写真である。上述の場所に加え、AZO層12の上にある電極15の上端の領域からの発光、およびAZO層12と重なった電極15全体からの発光が認められる。
発光強度が弱い場合(図6C)、トランジスタからの発光は電極16と電極間隔17の境界近傍の領域から主に観測された。図9は表1記号Cの電圧印加条件での発光スペクトル(図6C)を観察したときに同時に撮影した発光場所の拡大写真、および発光の幅を示す図である。正孔注入電極16の長さL全部と電極間隔17の長さLの一部を含むLの幅(30μm)が発光している。
印加電圧の大きさを大きくし、発光強度が強くなると(図6B)徐々に電極間隔17での発光領域が増え始める。図10は表1記号Bの電圧印加条件での発光スペクトル(図6B)を観察したときに同時に撮影した発光場所の拡大写真、および発光の幅を示す図である。正孔注入電極16の長さLの全部と電極間隔17の長さLの一部を含むLの幅(22μm)から強い発光(S)が観測され、その周りにそれぞれ幅L(9μm)と幅L(9μm)の弱い発光(W)が観測される。
印加電圧が最も大きい場合(図6A)、電極間隔17全体、すなわちチャネル全体からの面発光が観測された。図11は表1記号Aの電圧印加条件での発光スペクトル(図6A)を観察したときに同時に撮影した発光場所の拡大写真、および発光の幅を示す図である。正孔注入電極16の長さL全部と電極間隔17の長さLの一部を含むL11の幅(32μm)から強い発光(S)が観測され、その周りにそれぞれ幅L10(15μm)と幅L12(17μm)の弱い発光(W)が観測される。さらに電子注入電極15の長さLを含む幅L(25μm)からさらに弱い発光(WW)が観測される。
尚、このトランジスタでは、電極15に負の直流電圧、電極16に正の直流電圧を印加した場合、第1ゲート電極14に交流電圧を印加しても、第1ゲート電極14を接地しても、同様な強度の発光が観測された。図12は、電極15に−20Vの直流電圧、電極16に+20Vの直流電圧を印加し、第1ゲート電極14を接地したときの発光の様子をデバイスの基板面に垂直方向から撮影した写真である。図13は図12の写真の明るさを調整し、明暗の差を強調した写真である。電極間隔17全体およびAZO層12の上にある電極15および16の端部からの発光、およびAZO層12と重なった電極15全体からの発光が認められる。
比較例1
比較例1の有機発光トランジスタ
比較例1の有機発光トランジスタの断面模式図である図14を参照しながら、比較例1の有機発光トランジスタ及びその製造方法を説明する。
比較例1の有機発光トランジスタ20は、表面にシリコン酸化膜層13を設けたシリコン基板14、シリコン酸化膜層13表面の一部を覆う有機半導体層11、有機半導体層11上に間隔17を設けて配置された一対の電極15、16で構成されている。このとき、シリコン基板14は第1ゲート電極として、シリコン酸化膜層13はゲート絶縁膜として機能する。間隔17は電界効果トランジスタのチャネル長に相当する。
図14に示す比較例1の有機発光トランジスタは、シリコン酸化膜層13上に配置されたAZO層12が塩酸で完全に除去されていることを除いて、上述した実施例1の有機発光トランジスタと同様の方法を用いて製造した。
このようにして得られた有機発光トランジスタの電流−電圧特性を真空中(約10−3Pa)で測定した。電流−電圧特性を図15に示す。図15は、接地した電極16に対し電極15に+10から−100Vまでの直流電圧(ドレイン−ソース間電圧:横軸)を印加したときの電極15と電極16の間を流れる電流(ドレイン電流:縦軸)を、第1ゲート電極14の電圧を接地電位に対し+10から−100Vまで−10V毎に変化させながら測定したものである。通常のp型有機半導体における電界効果トランジスタの出力特性が観測された。この特性から求められる正孔移動度は、4.7×10−2cm/V・sであった。
このようにして得られた比較例1のトランジスタの発光を、実施例1のトランジスタと同様の方法を用いて測定した。電極15に直流電圧−80Vを、電極16に直流電圧+80Vを印加し、第1ゲート電極14に振幅85V、周波数20kHzの正弦波の交流電圧を印加した。これらの電圧の大きさは、実施例1で使用したものに比べて大きい。このときの発光スペクトルを、上述の図6で、点線(記号:D)で示す。
比較例1のトランジスタで発光は観測されなかった。
実施例2
実施例2の有機発光トランジスタ
実施例2の有機発光トランジスタは、有機半導体層11として、化4(p)で示されるBP3Tの代わりに、化4(n)で示されるBP1Tを用いたことを除いて、上述した実施例1の有機発光トランジスタと同様の方法を用いて製造した。
このようにして得られたトランジスタの発光を、実施例1の有機発光トランジスタと同様の方法を用いて測定した。図16は、電極15に負の直流電圧、電極16に正の直流電圧、第1ゲート電極14に正弦波の交流電圧を各々印加したときの上述のトランジスタからの発光スペクトルである。電極15、16に印加した電圧、および電極14に印加した交流電圧振幅と周波数の具体的な数値を表2に示した。
縦軸の発光強度は1秒当たりの強度を示している。見やすさのため、実線で示された記号Aのスペクトルは縦軸方向に20カウント分、破線で示された記号Bのスペクトルは縦軸方向に10カウント分、原点に対し上方向にずらして示している。実線で示された記号Aのスペクトルの発光は、約463nmの波長で最大となり、その強度は約63カウントであった。次に大きなピークは、約494nmの波長で、約61カウントであった。
実施例3
実施例3の有機発光トランジスタ
実施例3の有機発光トランジスタは、有機半導体層11として、化4(p)で示されるBP3Tの代わりに、化5(u)で示されるP6T(厚さ約500nm)を用いたこと、マグネシウム銀電極の厚さが25nmであること、銀電極の厚さが50nmであること、金電極の厚さが80nmであることを除いて、上述した実施例1の有機発光トランジスタと同様の方法を用いて製造した。
このようにして得られたトランジスタの発光を、実施例1の有機発光トランジスタと同様の方法を用いて測定した。図17は、電極15に負の直流電圧、電極16に正の直流電圧、第1ゲート電極14に正弦波の交流電圧を各々印加したときの上述のトランジスタからの発光スペクトルである。電極15、16に印加した電圧、および電極14に印加した交流電圧振幅と周波数の具体的な数値を表3に示した。
縦軸の発光強度は1秒当たりの強度を示している。実線で示された記号Aのスペクトルの発光は、約625nmの波長で最大となり、その強度は約1737カウントであった。
発光強度が弱い場合トランジスタからの発光は、電極15と電極間隔17の境界近傍の領域から主に観測された。発光強度が強くなると電極間隔17全体、すなわちチャネル全体からの面発光が観測された。
なお、このトランジスタでは、電極15に負の直流電圧、電極16に正の直流電圧を印加した場合、第1ゲート電極14に60Hzから200kHzの交流電圧を印加しても、第1ゲート電極14を接地しても、同様な強度の発光が観測された。
比較例2
比較例2の有機発光トランジスタ
比較例2の有機発光トランジスタは、有機半導体層11として、化4(p)で示されるBP3Tの代わりに、化5(u)で示されるP6T(厚さ約500nm)を用いたこと、マグネシウム銀電極の厚さが25nmであること、銀電極の厚さが50nmであること、金電極の厚さが80nmであることを除いて、上述した比較例1の有機発光トランジスタと同様の方法を用いて製造した。
すなわち、シリコン酸化膜層13上に配置されたAZO膜層12が塩酸で完全に除去されていることを除いて、上述した実施例3の有機発光トランジスタと同様の方法を用いて製造した。
このようにして得られた比較例2のトランジスタの発光を、実施例1のトランジスタと同様の方法を用いて測定した。電極15に直流電圧−95Vを、電極16に直流電圧+95Vを印加し、第1ゲート電極14に振幅100V、周波数200kHzの正弦波の交流電圧を印加した。これらの電圧の大きさは、実施例3で使用したものに比べて大きい。このときの発光スペクトルを、上述の図17で、点線(記号:C)で示す。比較例2のトランジスタの発光スペクトル強度は、約625nmの波長で約48カウントが最大であった。
実施例4
実施例4の有機発光トランジスタ
実施例4の有機発光トランジスタは、有機半導体層11として、化4(p)で示されるBP3Tの代わりに、化5(v)で示されるAC´7を用いたことを除いて、上述した実施例1の有機発光トランジスタと同様の方法を用いて製造した。
このようにして得られた有機発光トランジスタの電流−電圧特性を真空中(約10−3Pa)で測定した。電流−電圧特性を図18に示す。図18は、接地した電極16に対し電極15に+9から−9Vまでの直流電圧(ドレイン−ソース間電圧:横軸)を印加したときの電極15と電極16の間を流れる電流(ドレイン電流:縦軸)を、第1ゲート電極14の電圧を接地電位に対し+10から−10Vまで−2V毎に変化させながら測定したものである。
ドレイン電流のドレイン−ソース間電圧に対する変化は、ゲート電極の電圧を変えてもあまり変化せず、全ての曲線がほとんど重なった。正および負のドレイン電流は、おのおの正および負のドレイン−ソース間電圧の約2.3から2.7乗に比例した。
このようにして得られたトランジスタの発光を、実施例1の有機発光トランジスタと同様の方法を用いて測定した。
図19は、電極15に負の直流電圧、電極16に正の直流電圧、第1ゲート電極14を接地したときの上述のトランジスタからの発光スペクトルである。
電極15、16に印加した電圧の具体的な数値を表4に示した。
縦軸の発光強度は1秒当たりの強度を示している。
実線で示された記号Aのスペクトルの発光は、約522nmの波長で最大となり、その強度は約3770カウントであった。
トランジスタからの発光は、電極15と電極間隔17の境界近傍の領域から主に観測された。
実施例5
実施例5の有機発光トランジスタ
実施例5の有機発光トランジスタは、AZO層12を設ける代わりに、実施例1のAZO層付基板と同様に洗浄したシリコン酸化膜層13を設けたシリコン14の基板の表面に、面積約2mm×2mmの穴の開いた蒸着用のマスクを被せ、マグネシウムと銀の質量比が約1:1となるようにマグネシウム銀電極12を真空蒸着したことを除いて、上述した実施例1の有機発光トランジスタと同様の方法を用いて製造した。
このようにして得られた有機発光トランジスタの電流−電圧特性を真空中(約10−3Pa)で測定した。電流−電圧特性を図20に示す。
図20は、接地した電極16に対し電極15に+20から−20Vまでの直流電圧(ドレイン−ソース間電圧:横軸)を印加したときの電極15と電極16の間を流れる電流(ドレイン電流:縦軸)を、第1ゲート電極14の電圧を接地電位に対し+20から−20Vまで−4V毎に変化させながら測定したものである。ドレイン電流のドレイン−ソース間電圧に対する変化は、ゲート電極の電圧を変えてもあまり変化せず、全ての曲線がほとんど重なった。
このようにして得られたトランジスタの発光を、実施例1の有機発光トランジスタと同様の方法を用いて測定した。
図21は、電極15に負の直流電圧、電極16に正の直流電圧、第1ゲート電極14に正弦波の交流電圧を各々印加したときの上述のトランジスタからの発光スペクトルである。電極15、16に印加した電圧、および電極14に印加した交流電圧振幅と周波数の具体的な数値を表5に示した。
縦軸の発光強度は1秒当たりの強度を示している。
実線で示された記号Aのスペクトルの発光は、約565nmの波長で最大となり、その強度は約344カウントであった。
このトランジスタは、第1ゲート電極に印加する交流電圧の周波数を増加するに従い、増加する発光強度を示した。
実施例6
実施例6の有機発光トランジスタ
図22は本発明の有機発光トランジスタの電極構造例を示す断面図である。図中の番号は図1に示したものと同様であり、有機半導体層11に、電極15、電極16が配置されている。電極15と電極16の間に設けられた間隔が電極間隔17である。電極15と電極16から離間しゲート絶縁膜13を介してゲート電極14が設けられている。更に、ゲート絶縁膜13と有機半導体層11との間に電気的に絶縁された追加の電極12が設けられている。
電極15と16が離間する電極間隔17との関係において、追加の電極12が配置される位置は、図22(a)〜(c)のように、三つの場合がある。
図22(a)は、追加の電極12の幅が、電極間隔17に足りず、追加の電極12が、電極15又は16と、ゲート電極14との間に存在しない(これを、以下「重複しない」ともいう)場合である。この場合でも、発光効率を向上する効果はある。しかし、図22(b)のように、追加の電極12の一端が、電極15又は16と、ゲート電極14との間に存在する(これを、「一部重複する」ともいう)場合、発光効率を向上する効果はより大きくなる。更に、図22(c)のように、追加の電極12の両端が、電極15及び16と、ゲート電極14との間に存在する(これを、「完全に重複する」ともいう)場合、より大きな発光効率向上効果が得られることを確認した。
尚、追加の電極12は、ゲート絶縁膜13と有機半導体層11によって完全に覆われていることが好ましいが、完全に覆われていなくともよいことも確認した。
本発明に係る有機発光トランジスタは、追加のゲート電極を有することで発光効率が向上されるので、発光素子として有用である。更に、本発明に係る有機発光トランジスタを含む発光デバイスも有用である。
10 本発明に係る有機発光トランジスタ
11 有機半導体層
12 第2ゲート電極
13 ゲート絶縁膜
14 第1ゲート電極
15 電子注入電極
15a マグネシウム銀電極
15b 銀電極
15c 金電極
16 正孔注入電極
16a マグネシウム銀電極
16b 銀電極
16c 金電極
17 チャンネル(電極間隔)
18 電子
19 正孔
20 比較例の有機発光トランジスタ
30 電子と正孔の再結合による発光
S 有機発光トランジスタの強い発光が認められた範囲
W 有機発光トランジスタの弱い発光が認められた範囲
WW 有機発光トランジスタのさらに弱い発光が認められた範囲
実施例1のトランジスタの電子注入電極15のうち、マグネシウム銀電極15aと銀電極15bが表に見える範囲の幅(長さ)であって、具体的には18μm
実施例1のトランジスタのチャンネル(電極間隔)17の長さで、具体的には33μm
実施例1のトランジスタの正孔注入電極16のうち、金電極16cが1層だけの範囲の幅(長さ)であって、具体的には15μm
実施例1のトランジスタの表1記号Cの電圧印加条件のときの発光領域の幅であって、具体的には30μm
実施例1のトランジスタの表1記号Bの電圧印加条件のときのWの幅であって、具体的には9μm
実施例1のトランジスタの表1記号Bの電圧印加条件のときのSの幅であって、具体的には22μm
実施例1のトランジスタの表1記号Bの電圧印加条件のときのWの幅であって、具体的には9μm
実施例1のトランジスタで、LとLの間の距離であって、具体的には17μm
実施例1のトランジスタの表1記号Aの電圧印加条件のときのWWの幅であって、具体的には25μm
10 実施例1のトランジスタの表1記号Aの電圧印加条件のときのWの幅であって、具体的には15μm
11 実施例1のトランジスタの表1記号Aの電圧印加条件のときのSの幅であって、具体的には32μm
12 実施例1のトランジスタの表1記号Aの電圧印加条件のときのWの幅であって、具体的には17μm
13 実施例1のトランジスタで、Lがチャネルの反対側にLからはみ出している距離であって、具体的には3μm
14 実施例1のトランジスタで、LとL12の間の距離であって、具体的には3μm

Claims (3)

  1. 有機半導体層、上記有機半導体層上に形成されたソース電極とドレイン電極、上記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層、及び上記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極を有する有機発光トランジスタであって、
    上記ゲート絶縁層と上記有機半導体層の間に、追加の電極を更に有する有機発光トランジスタ。
  2. 追加の電極の導電性は、シート抵抗が10kΩ/sq.以下である請求項1記載の発光トランジスタ。
  3. 請求項1又は2に記載の発光トランジスタを含む発光デバイス。
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