JP5403518B2 - 発光デバイスの駆動方法及び駆動装置 - Google Patents

発光デバイスの駆動方法及び駆動装置 Download PDF

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Description

本発明は、半導体材料(例えば、有機半導体材料)からなる発光層と、発光層に電気的に接続された2つの電極と、発光層に絶縁体層を介して接続された電極とを備えた発光デバイスを駆動する方法及び装置に関する。
発光層に有機半導体材料を用いた有機発光デバイスとして、有機電界発光素子や有機電界効果トランジスタが研究されている。例えば、有機電界効果トランジスタについて、特許文献1に、絶縁性支持基板上にゲート電極が設けられ、その上に絶縁体層と有機発光層が設けられ、更にその上にソース電極とドレイン電極が設けられた有機電界効果トランジスタが開示されている(図28参照)。このような有機発光デバイスを発光させるためには、発光層に電子とホールとを効率的に注入し、再結合させる必要がある。
効率的な再結合を実現するため、有機電界発光素子は、一般に、仕事関数の大きな金属(陽極)と、ホールを流しやすい有機半導体(p型半導体)と、発光材料としての有機半導体と、電子を流しやすい有機半導体(n型半導体)と、仕事関数の小さい金属(陰極)とを含む素子構造で構成され、有機半導体全体の膜厚は1μm以下になるよう形成される。陽極およびp型半導体からはホールが、陰極およびn型半導体からは電子がそれぞれ発光層へ注入され、それらを発光層内で再結合させることで発光が実現される。
一方、図28に示すような有機電界効果トランジスタでは、電子とホールの双方をキャリアとする両極性(もしくはp型またはn型)の有機半導体材料からなる有機発光層に直接取り付けられたソース電極12と、有機半導体材料に絶縁体層14を介して取り付けられたゲート電極15との間に電圧を印加することで、絶縁体層側の有機半導体材料からなる有機発光層10内にキャリアを誘起する。そして、ソース電極12と、有機発光層10に取り付けられたもう1つの電極であるドレイン電極13との間に電圧を印加することにより、ソース電極12とドレイン電極13間に電流を流す。両極性有機半導体の場合には有機発光層10の内部で発光が観測され、p型半導体の場合には、有機発光層10内のドレイン電極13側で発光が観測される(図28参照)。
有機電界発光素子では、発光輝度は陽極および陰極間の電圧値を変えることで制御できる。この素子は2つの電極のみを備えた素子(2極素子)であるため、輝度を調整するために電源の電圧を変えると、その制御に用いている電源を流れる電流も同時に変化してしまう。
一方、有機電界効果トランジスタは3つの電極を備えた素子(3極素子)であり、ソース電極とドレイン電極に電力を供給できる一定電圧の電源を接続しておきさえすれば、ソース電極とドレイン電極間を流れる電流はゲート電圧の値を変化させるだけで制御することができる。このときゲート電極に電流は流れない。すなわち有機電界効果トランジスタでは、発光輝度の制御用電源(ゲート電圧制御用電源)は電力供給の必要がなく、このため、有機電界効果トランジスタは表示パネルなどの実用用途に好適である。
しかし、従来の有機電界効果トランジスタの駆動方法では、発光制御の電圧に直流電源を用いており、このため、有機発光層内に電子とホールを有効に注入できず、発光輝度が上昇しないという問題があった。これを解決するものとして特許文献2に開示された技術がある。
特許文献2では、ゲート電位(第1の導体)を基準として、有機電界効果トランジスタのソース電極及びドレイン電極(第2の導体)の一方に正電位の矩形波電圧を印加して有機発光層内にホールを注入し、一定時間経過後に、ソース電極及びドレイン電極の他方に負電位の矩形波電圧を印加し、有機発光層内に電子を注入することにより、有機発光層内にキャリアを有効に注入する方法が開示されている。
特開2004−128469号公報 特開2005−328002号公報
しかし、特許文献2の方法は、ゲート電位を基準として、ソース電極及びドレイン電極の電位を時間的に変化させている。つまり、ソース電極及びドレイン電極それぞれを交流駆動している。このため、ソース電極及びドレイン電極それぞれに交流電圧を供給するための別々の電源が必要となる。この場合、電源間の同期を取る必要があり回路構成が複雑になるとともに、複数の電源が必要となることから回路規模が増大するという問題がある。特に、複数の有機電界効果トランジスタをアレイ状に配置して利用するディスプレイパネル等の用途において、特許文献2の方法では、より多くの電源が必要となり、回路規模が増大するという問題を招来し、実用上問題となる。
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、容易な回路構成で高い発光輝度での発光デバイス(例えば、有機発光デバイス)の発光を実現する発光デバイスの駆動方法及び駆動装置を提供することにある。
本発明に係る発光デバイスの駆動方法は、半導体材料からなる発光層と、発光層に電気的に接続された第1及び第2の電極と、発光層に絶縁体層を介して接続された第3の電極とを備えた発光デバイスの駆動方法である。その駆動方法は、第1の電極と第2の電極間に対して直流電圧を印加するとともに、第3の電極に対して交流電圧を印加し、第3の電極に対する200Hz以上の周波数の交流電圧の印加により、第1及び第2の電極から発光層内へ誘導される2つの極性のキャリアの双方を直接的に制御する。
本発明に係る発光デバイスの駆動装置は、半導体材料からなる発光層と、発光層に電気的に接続された第1及び第2の電極と、発光層に絶縁体層を介して接続された第3の電極とを備えた発光デバイスの駆動装置であって、第1の電極と第2の電極間に対して直流電圧を供給する第1の電源と、第3の電極に対して交流電圧を供給する第2の電源とを備える。第2の電源から第3の電極に供給される200Hz以上の周波数の交流電圧により、発光デバイスの第1及び第2の電極から発光層へ誘導されるキャリアを直接的に制御する。
上記の発光層を構成する半導体材料は例えば有機材料である。有機材料は、電子とホールの双方をキャリアとする両極性材料(n型およびp型半導体のいずれであってもよい)であるのが好ましい。上記の発光層を構成する半導体材料の形態は、アモルファス膜でも結晶膜でも良い。または、有機材料は、結晶であるとともに、その両端面が共振器構造を形成しているものであってもよい。
第3の電極に対して印加する交流電圧は矩形波電圧であってもよい。
本発明によれば、ソース電極及びドレイン電極に同時に直流電圧を印加するとともに、ゲート電圧に交流電圧を印加することにより発光デバイスを駆動する。これにより、発光層への効率的な電子およびホールの注入、及び効率的な電子とホールの再結合が可能となり、高い発光強度が得られる。また、ソース電極及びドレイン電極に印加する電圧を時間的に変化させずに、ゲート電極に印加する電圧のみを時間的に変化させることから、発光デバイスの駆動回路の電源構成を容易にでき、回路規模の増大を抑制できる。
本発明に係る有機電界効果トランジスタの駆動方法を実現する駆動回路の構成例を示す図 図1に示す駆動回路により有機電界効果トランジスタに印加されるゲート電圧、ソース電圧、ドレイン電圧の波形を示した図 図2に示す各電圧印加状態(a)〜(f)に対応するキャリア密度の変化を説明した図 本発明に係る有機電界効果トランジスタの駆動方法を実現する駆動回路の別の構成を示す図 図4に示す駆動回路により印加されるゲート電圧、ソース電圧、ドレイン電圧の波形を示した図 ゲート電圧として印加される矩形波電圧の波形を示した図 ゲート電圧の振幅を変えた場合、およびゲート電圧に直流電圧を重畳した場合のゲート電圧、ソース電圧、ドレイン電圧の波形を示した図 実験に用いた有機電界効果トランジスタの櫛形電極を説明するための図 ゲート電圧として交流電圧を印加した場合とゲート電圧を印加しない場合で測定した蒸着膜を発光層とする有機電界効果トランジスタの発光スペクトルを示した図 交流電圧及び直流電圧のゲート電圧を印加した場合に測定された蒸着膜を発光層とする有機電界効果トランジスタの発光スペクトルを示した図 ゲート電圧の種々の周波数に対して測定された蒸着膜を発光層とする有機電界効果トランジスタ(チャネル長0.4μm)の発光スペクトルを示した図 ゲート電圧の種々の周波数に対して測定された蒸着膜を発光層とする有機電界効果トランジスタ(チャネル長10μm)の発光スペクトルを示した図 ゲート電圧の種々の振幅に対して測定された蒸着膜を発光層とする有機電界効果トランジスタの発光スペクトルを示した図 ドレイン電圧およびソース電圧の種々の値に対して測定された蒸着膜を発光層とする有機電界効果トランジスタの発光スペクトルを示した図 2種類の異なる櫛形電極の櫛間距離に対して測定された有機電界効果トランジスタの発光スペクトルを示した図 ゲート電極に交流電圧を印加した場合の蒸着膜を発光層とする有機電界効果トランジスタの発光の様子を示した図 ゲート電圧として交流電圧を印加した場合とゲート電圧を印加しない場合で測定した結晶膜を発光層とする有機電界効果トランジスタの発光スペクトルを示した図 交流電圧及び直流電圧のゲート電圧を印加した場合に測定された結晶膜を発光層とする有機電界効果トランジスタの発光スペクトルを示した図 ゲート電圧の種々の周波数に対して測定された結晶膜を発光層とする有機電界効果トランジスタの発光スペクトルを示した図 ゲート電圧の種々の振幅に対して測定された結晶膜を発光層とする有機電界効果トランジスタの発光スペクトルを示した図 ドレイン電圧およびソース電圧の種々の値に対して測定された結晶膜を発光層とする有機電界効果トランジスタの発光スペクトルを示した図 ゲート電極に交流電圧を印加した場合の結晶膜を発光層とする有機電界効果トランジスタの発光の様子を示した図 ゲート電極に交流電圧を印加した場合の結晶膜を発光層とする有機電界効果トランジスタの発光の様子を示した図 ゲート電極に交流電圧を印加した場合の有機電界効果トランジスタの発光の時間変化の様子を示した図 ソース電極とドレイン電極に非対称な電圧を印加した場合の発光スペクトルを示した図 ゲート電圧として印加する交流電圧が矩形波電圧の場合と正弦波電圧の場合における発光強度を示した図 ゲート電圧として印加する交流電圧が矩形波電圧の場合の発光強度と紫外線励起下の蛍光スペクトルを示した図 ゲート電圧として印加する交流電圧が矩形波電圧の場合の発光強度と紫外線励起下の蛍光スペクトルを示した図 従来の有機電界効果トランジスタの駆動方法を説明するための図
符号の説明
1 有機電界効果トランジスタ
10 有機発光層
12 ソース電極
13 ドレイン電極
14 絶縁体層
15 ゲート電極
20、25 駆動回路
21、22、26 直流電源
23 交流電源
27 直流電圧が重畳された交流電圧を出力する交流電源
40 有機材料
42、43 櫛形電極
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施の形態を説明する。
1.構成
図1に、本発明に係る有機電界効果トランジスタの駆動方法を実現する駆動回路の構成の一例を示す。
駆動対象である有機電界効果トランジスタ1は有機発光層10を含み、有機発光層10は有機半導体で形成され、ソース電極12とドレイン電極13が電気的に接続されている。有機電界効果トランジスタ1はさらに絶縁体層14を含み、絶縁体層14を介してゲート電極15が接続されている。
有機電界効果トランジスタ1を駆動する駆動回路20は直流電源21、直流電源22及び交流電源23を含む。直流電源21はソース電極12に対して負極性の直流電圧(Vs)を印加する。直流電源22はドレイン電極13に対して正極性の直流電圧VDを印加する。交流電源23はゲート電極15に交流電圧VGを印加する。ソース電極−ドレイン電極間に印加された電圧は主として有機発光層10内でのキャリアの移動及び再結合に寄与し、ゲート電極15に印加された電圧は有機発光層10内へのキャリアの注入に寄与する。
2.駆動原理
以下、図2及び図3を参照し、本実施形態による有機電界効果トランジスタの駆動原理を説明する。なお、以下では、有機発光層10が、キャリアとして電子もホールも全く同様に流すことができる有機半導体である両極性有機半導体で構成される場合を例として用いて説明する。
図2は、有機電界効果トランジスタ1の各電極12、13、15における電圧の時間変化を示した図である。図2では、一例として、ドレイン電極13に印加する直流電圧(以下「ドレイン電圧」という)VDを+60Vと、ソース電極12に印加する直流電圧(以下「ソース電圧」という)VSを−60Vと、ゲート電極15に印加する交流電圧(以下「ゲート電圧」という)VGの周波数を20kHz、振幅を100Vとした場合の電圧変化を示している。図3は、各電極に印加する電圧を図2に示すように変化させた場合の、両極性有機半導体材料からなる有機発光層10におけるキャリア密度の変化を模式的に説明した図である。
本実施形態の駆動方法による駆動原理は次のように考えられる。以下、ゲート電圧VGが図2に示す(a)〜(f)の各状態にあるときのキャリア密度の状態について考察する。
状態(a): ゲート電圧VGがドレイン電圧を上回り、正極性で最大となる。このとき、有機発光層10内では、ソース電極12側から電子が注入され、蓄積される(図3(a)参照)。ソース電極12とドレイン電極13間の電圧(VD−VS)による電界により、ソース電極12からドレイン電極13に向けて電子が流れる。
状態(b): ゲート電圧VGがドレイン電圧VDを下回る。有機発光層10内の電子の注入、蓄積が減少し、代わりにドレイン電極13側からホールが注入され、蓄積され始める(図3(b)参照)。ソース電極12とドレイン電極13間の電界により、ソース電極12に向けてホールが流れる。電子とホールは界面で再結合し発光する(以下の発光場所も同様)。
状態(c): ゲート電圧VGが零(ソース電圧VSとドレイン電圧VDの中間値)となる。これにより、電子およびホールの密度が均衡する(図3(c)参照)。このとき、発光は有機発光層10の中心付近で観測され得る。
状態(d): ゲート電圧VGが負になる。これにより、ドレイン電極13側でのホールの蓄積量が増え、ソース電極12側での電子の蓄積量が減る(図3(d)参照)。
状態(e): ゲート電圧VGがソース電圧VSを下回り、負で最小となる。これにより有機発光層10内において、ホールがドレイン電極13側から注入され、蓄積される。ソース電極12とドレイン電極13間の電界により、ソース電極12に向けてホールが流れる。
状態(f): ゲート電圧VGがソース電圧VSを上回る。これにより、有機発光層10内のホールの蓄積が減り、代わりに電子がソース電極12側から注入され、蓄積され始める。ソース電極12とドレイン電極13間の電界により、ドレイン電極13に向けて電子が流れる。
以上のように、ソース電極12−ドレイン電極13間に直流電圧を印加するとともに、ゲート電極15に交流電圧を印加することにより、ゲート電圧が正極性であるときは、有機発光層10内に、主としてソース電極12から電子が注入され、ゲート電圧が負極性であるときは、主としてドレイン電極13からホールが注入される。このようにキャリアを有機発光層10内に効率よく注入でき、再結合させることができるため、有機発光層10の発光効率を向上できると考えられる。
3.別の構成例
図4に、有機電界効果トランジスタの駆動回路の別の構成を示す。図4において、有機電界効果トランジスタ1を駆動する駆動回路25は、ソース電極12−ドレイン電極13間に電圧VDを印加する直流電源26と、ゲート電極15に電圧VGを印加する電源27とを備える。電源27は、交流電圧に所定の直流電圧を加算した電圧を供給する。
図1の例では、ソース電極12とドレイン電極13にそれぞれ逆極性となる直流電圧を印加し、ゲート電極15に交流電圧を印加していた。これに対して、図4の例では、ソース電極12の電位を基準にして、ドレイン電極13に直流電圧(ドレイン電圧)VDを印加し、ゲート電極15には、ゲート電圧として交流電圧に直流電圧を加算した電圧VGを印加する。なお、ここでは、ゲート電圧VGにおいて交流電圧に加算される直流電圧の値はドレイン電圧VDの1/2の電圧としている。図4の構成により、回路構成を図1の場合に比してより簡略化できる。図5に、図4の構成による各電極に印加される電圧の時間変化の様子を示す。図5では一例として、ソース電圧VSを接地し、ドレイン電圧VDを+120Vと、ゲート電圧VGの周波数を20kHz、振幅を100Vとした場合の電圧変化を示している。
なお、図1に示す構成において、ゲート電圧VGとして印加する交流電圧は正弦波電圧であるが、正弦波電圧の代わりに図6に示すような矩形波電圧や三角波電圧(図示せず)、またはノコギリ波(図示せず)をゲート電極15に印加してもよい。図4に示す構成においても、正弦波電圧の代わりに矩形波電圧や三角波電圧、またはノコギリ波を用いてもよい。矩形波電圧や三角波電圧、またはノコギリ波を用いても正弦波電圧の場合と同様の効果が得られる。特に矩形波電圧では効果が大きい。
ソース電圧VSやドレイン電圧VDに対するゲート電圧VGの位置関係は図7のようになってもよい。特に、図7(b)、(c)に示すように、ゲート電圧VGを基準としたときの、ソース電圧VSの振幅の絶対値とドレイン電圧VDの振幅の絶対値とを異ならせてもよい。すなわち、ゲート電圧VGの振幅の中心を基準として測定したソース電圧VSの値と、ゲート電圧VGの振幅の中心を基準として測定したドレイン電圧VDの値とを異ならせてもよい。すなわち、両電圧を非対称にしてもよい。
4.実験結果
実際の有機電界効果トランジスタに対して上記駆動方法を用いて発光実験を行った。以下、その実験結果を示す。
(1)蒸着膜を用いた実験
実験に用いた有機電界効果トランジスタは次のようにして作製した。絶縁体層に該当する酸化膜がその上部に形成されたシリコン基板(図示せず)の上に、図8に示すように櫛型電極42、43を形成したデバイス基板を作製し、その上に有機発光層となる有機材料40を約250nm蒸着して有機電界効果トランジスタを作製した。酸化膜の下部のシリコン基板も電極として使用する。有機材料は以下の化学式で示されるBP1Tを用いた。
Figure 0005403518
電極付近の断面構造は、シリコン基板、シリコン基板上に形成されたシリコン酸化膜、シリコン酸化膜上に配置されたクロム層、クロム層上に配置された金層となる。クロム層と金層が電極を構成する。櫛型電極の櫛間(チャネル長)dは0.4μmまたは10μm、櫛長(チャネル幅)Lは8cmである。櫛型電極42、43の一方が有機電界効果トランジスタのソース電極となり、他方がドレイン電極となる。シリコン基板はゲート電極となる。
(1.1)ゲート電極に交流電圧を印加したときの有効性の確認
図9は、上記のように作製したチャネル長0.4μmの有機電界効果トランジスタに対して、ソース電極に−40Vの直流電圧を、ドレイン電極に40Vの直流電圧を印加し、ゲート電極に振幅75.5V、周波数20kHzの交流電圧を印加した場合と、ゲート電圧を印加しなかった場合(すなわち、ゲート電極を開放した場合)とにおける発光スペクトルの変化を示した図である。ゲート電極に交流電圧が印加されている場合の方が、スペクトル強度がはるかに高く、本実施形態の駆動方法が有機電界効果トランジスタの発光に寄与していることがわかる。
また、図10は、有機電界効果トランジスタのソース電極に−30Vの直流電圧を、ドレイン電極に30Vの直流電圧を、ゲート電極に振幅40V、周波数20kHzの交流電圧をそれぞれ印加したときに測定された発光スペクトルを示した図である。図10には比較のために、ソース電極を基準電圧(接地)とし、ドレイン電極に−60V、ゲート電極に−80Vのそれぞれ直流電圧を印加したときの発光スペクトルも合わせて示している。同図より、ゲート電極に交流電圧を印加した場合の方が直流電圧を印加した場合よりも、より高い発光スペクトルが得られていることが確認できる。このことから、本実施形態の駆動方法が有機電界効果トランジスタの発光に有効に寄与していることが理解できる。
(1.2)発光スペクトルにおけるゲート電圧の周波数依存性
さらに、ゲート電極の交流電圧の周波数を変化させて発光スペクトルを測定した。図11Aにチャネル長0.4μmの有機電界効果トランジスタ、図11Bにチャネル長10μmの有機電界効果トランジスタの測定結果をそれぞれ示す。具体的には、前述の有機電界効果トランジスタに対して、ゲート電極の電圧の周波数を2Hz、20Hz、200Hz、2kHz、20kHzと変化させて発光スペクトルを測定した。ソース電極に−30Vの直流電圧を、ドレイン電極に30Vの直流電圧を、ゲート電極に振幅40Vの交流電圧を印加した。図11A及び図11Bから、周波数が大きくなるにしたがい発光スペクトルの強度が増大していることが確認できた。このことからも、本実施形態によるゲート電極への交流電圧の印加が、発光トランジスタの発光強度の増大に効果的に寄与していることが理解できる。また発光輝度を周波数で制御することができる。なお、200Hz以上で駆動した場合に、有機電界効果トランジスタからの発光が時間的に連続した光として視認できた。
(1.3)発光スペクトルにおけるゲート電極の電圧振幅依存性
ゲート電極の交流電圧の振幅を変化させて発光スペクトルを測定した。図12にチャネル長10μmの有機電界効果トランジスタの測定結果を示す。具体的には、前述の有機電界効果トランジスタに対して、ゲート電極の電圧の周波数を20kHzで固定し、振幅を、0V、10V、20V、30V、40Vと変化させて発光スペクトルを測定した。ソース電極に−30Vの直流電圧を、ドレイン電極に30Vの直流電圧を印加した。図12から、ゲート電極の交流振幅が大きい場合の方がより大きな発光スペクトルが得られていることが確認でき、ゲート電極の交流電圧振幅を変えることで輝度の調整ができた。
(1.4)発光スペクトルにおけるソースおよびドレイン電極の電圧依存性
ソースおよびドレイン電極の電圧を変化させて発光スペクトルを測定した。図13にチャネル長10μmの有機電界効果トランジスタの測定結果を示す。具体的には、前述の有機電界効果トランジスタに対して、ゲート電極の電圧の振幅を40V、周波数を20kHzで固定し、ドレイン電極とソース電極の電圧を、0V、10Vと−10V、20Vと−20V、30Vと−30Vとそれぞれ変化させて発光スペクトルを測定した。図13から、ドレインおよびソース電極の電圧の絶対値が大きい場合の方がより大きな発光スペクトルが得られていることが確認できた。
(1.5)発光スペクトルにおける櫛形電極の櫛間距離依存性
さらに、有機電界効果トランジスタの櫛形電極の櫛間の距離に対する発光スペクトルの依存性を測定した。図14に、有機電界効果トランジスタの櫛間の距離(チャネル長)dを0.4μmと10μmにした場合の発光スペクトルの強度を測定した結果を示す。櫛間(チャネル長)dが大きくなると発光強度が弱くなっていることから、櫛間の狭い素子のほうが発光に有利であることが理解できる。
(1.6)発光の様子
図15にチャネル長10μmの有機電界効果トランジスタのゲート電極に交流電圧を印加して発光している様子の写真を示す。図15(a)は、電圧印加前の有機電界効果トランジスタを明るいところで撮影したもの、図15(b)は、周りを暗くして発光している有機電界効果トランジスタを撮影したものである。
(2)結晶膜を用いた実験
その他に有機発光層となる有機材料40に化1に示されるBP1Tの結晶を用いた有機電界効果トランジスタを作製した。使用した基板は図8に示した櫛型電極42、43を形成したデバイス基板である。電極付近の断面構造は、シリコン基板、シリコン基板上に形成されたシリコン酸化膜、シリコン酸化膜上に配置されたチタン層、チタン層上に配置された白金層となる。チタン層と白金層およびシリコン基板が電極を構成する。櫛型電極の櫛間(チャネル長)dは10μm、櫛長(チャネル幅)Lは8cmである。櫛型電極42、43の一方が有機電界効果トランジスタのソース電極となり、他方がドレイン電極となる。シリコン基板はゲート電極となる。
(2.1)ゲート電極に交流電圧を印加したときの有効性の確認
図16は、上記のように作製した有機電界効果トランジスタのソース電極に−50Vの直流電圧を、ドレイン電極に50Vの直流電圧を印加し、ゲート電極に振幅60V、周波数20kHzの交流電圧を印加した場合と、ゲート電圧を印加しなかった場合(すなわち、ゲート電極を開放した場合)とにおける発光スペクトルの変化を示した図である。ゲート電極に交流電圧が印加されている場合の方が、スペクトル強度がはるかに高く、本実施形態の駆動方法が有機電界効果トランジスタの発光に寄与していることがわかる。
また、図17は、有機電界効果トランジスタのソース電極に−50Vの直流電圧を、ドレイン電極に50Vの直流電圧を、ゲート電極に振幅60V、周波数20kHzの交流電圧をそれぞれ印加したときに測定された発光スペクトルを示した図である。図17には比較のために、ソース電極を基準電圧(接地)とし、ドレイン電極に−100V、ゲート電極に−120Vの直流電圧をそれぞれ印加したときの発光スペクトルも合わせて示している。同図より、ゲート電極に交流電圧を印加した場合の方が直流電圧を印加した場合よりも、より高い発光スペクトルが得られていることが確認できる。このことから、本実施形態の駆動方法が結晶を有機発光層とした有機電界効果トランジスタの発光にも有効に寄与していることが理解できる。
(2.2)発光スペクトルにおけるゲート電極の電圧の周波数依存性
さらに、ゲート電極の交流電圧の周波数を変化させて発光スペクトルを測定した。図18に測定結果を示す。具体的には、前述の有機電界効果トランジスタに対して、ゲート電極の電圧振幅を60Vに固定し、周波数を2Hz、20Hz、200Hz、2kHz、20kHzと変化させて発光スペクトルを測定した。ソース電極には−50Vの直流電圧を、ドレイン電極に50Vの直流電圧を印加した。図18から、周波数が大きくなるにしたがい発光スペクトルの強度が増大していることが確認できた。このことからも、本実施形態によるゲート電極への交流電圧の印加が、発光トランジスタの発光強度の増大に効果的に寄与していることが理解できる。また発光輝度を周波数で制御することができる。
(2.3)発光スペクトルにおけるゲート電圧振幅依存性
ゲート電極の交流電圧の振幅を変化させて発光スペクトルを測定した。図19に測定結果を示す。具体的には、前述の有機電界効果トランジスタに対して、ゲート電極の電圧の周波数を20kHzで固定し、振幅を、0V、20V、40V、60Vと変化させて発光スペクトルを測定した。ソース電極には−50Vの直流電圧を、ドレイン電極に50Vの直流電圧を印加した。図19から、ゲート電極の交流振幅が大きい場合の方がより大きな発光スペクトルが得られていることが確認でき、ゲート電極の交流電圧振幅を変えることで輝度の調整ができた。
(2.4)発光スペクトルにおけるソースおよびドレイン電圧依存性
ソースおよびドレイン電圧を変化させて発光スペクトルを測定した。図20に測定結果を示す。具体的には、前述の有機電界効果トランジスタに対して、ゲート電圧の振幅を60V、周波数を20kHzで固定し、ドレイン電極とソース電極に印加する電圧を、0V、10Vと−10V、30Vと−30V、50Vと−50Vとそれぞれ変化させて発光スペクトルを測定した。図20から、ドレインおよびソース電極の電圧の絶対値が大きい場合の方がより大きな発光スペクトルが得られていることが確認できた。
図21に有機電界効果トランジスタのゲート電極に交流電圧を印加して発光している様子の写真を示す。図21(a)は、電圧印加前の有機電界効果トランジスタを明るいところで撮影したもの、図21(b)は、周りを暗くして発光している有機電界効果トランジスタを撮影したものである。
(3)その他の材料を用いた実験
その他に有機発光層1に、化2に示されるAC5−CFの結晶を用いた有機電界効果トランジスタを作製した。使用した基板は、絶縁体層に該当する酸化膜がその上部に形成されたシリコン基板で、その上に上記AC5−CFの結晶を乗せ、結晶の上から金層を蒸着により作製した有機電界効果トランジスタである。金層がソースおよびドレイン電極となる。シリコン基板はゲート電極となる。
Figure 0005403518
図22に有機電界効果トランジスタのゲート電極に交流電圧を印加して発光している様子の写真を示す。図22(a)は、電圧印加前の有機電界効果トランジスタを明るいところで撮影したもの、図22(b)は、周りを暗くして発光している有機電界効果トランジスタを撮影したものである。
その他に有機発光層1に、化3に示されるAC5−1CF―12OMeの結晶を用いた有機電界効果トランジスタを作製した。化3に示される物質は、両極性の材料である。使用した基板は、絶縁体層に該当する酸化膜がその上部に形成されたシリコン基板で、酸化膜の上にポリメチルメタクリレート層を形成し、さらにその上に上記AC5−1CF―12OMeの結晶を乗せ、結晶の上から金層およびマグネシウム銀層を蒸着により作製した有機電界効果トランジスタである。金層がドレイン電極、マグネシウム銀層がソース電極となる。シリコン基板はゲート電極となる。
Figure 0005403518
図23(a)は、有機電界効果トランジスタのソース電極に−100Vの直流電圧を、ドレイン電極に100Vの直流電圧を、ゲート電極に振幅120V、周波数500Hzの交流電圧をそれぞれ印加したときに測定されたゲート電極に印加した交流電圧と有機電界効果トランジスタからの発光の時間変化を示した図である。
図23(b)は、図8に示した櫛型電極をもつデバイス基板の上に化1に示したBP1Tを蒸着して作製した有機電界効果トランジスタからの発光の時間変化を示した図である。ソース電極に−30Vの直流電圧を、ドレイン電極に30Vの直流電圧を、ゲート電極に振幅80V、周波数200Hzの交流電圧をそれぞれ印加した。
図23(a)は、有機発光層1に、化3に示される両極性の材料を用いた場合、500Hzではゲート電極の交流電圧の最大値および最小値のときに強度が最大になるように発光していることを示している。一方、有機発光層1に、化1に示されるp型の材料を用いた場合には、200Hzではゲート電圧が最小のときに強度が最大になるように発光している。これは、有機発光層が両極性の材料の場合、ゲート電圧が最大の場合電子が、ゲート電圧が最小のときにホールが有機発光層を流れて発光しているのに対し、p型材料の場合、ゲート電圧が最小のときに有機発光層の中をホールが流れ発光していることを示している。
(4)その他の実験データ
(4.1)ソース電極とドレイン電極に非対称な電圧を印加した場合の発光スペクトル
図8に示すような櫛型電極を形成したデバイス基板の上の有機発光層1に、化4に示されるAC5の蒸着膜を用いた有機電界効果トランジスタを作製した。櫛型電極の櫛間(チャネル長)dは0.4μm、櫛長(チャネル幅)Lは8cmである。図24は、ソース電極とドレイン電極に非対称な電圧を印加した場合の発光スペクトルを示した図である。最も非対称性が大きい例として、ソース電圧Vsを0V、ドレイン電圧VDを140Vとして発光強度を測定した。また、最も非対称性が小さい例として、ソース電圧Vsを−70V、ドレイン電圧VDを70Vとして発光強度を測定した。ゲート電圧VGとしてゲート電極に振幅80V、周波数2kHzの正弦波交流電圧を印加した。
Figure 0005403518
図24に示すように、非対称性の度合いが大きいほど、発光スペクトルも大きくなっている。この例では、ソース電圧Vsを0V、ドレイン電圧VDを140Vとした場合に最大の光強度が得られている。このように、ソース電極12とドレイン電極13に非対称な電圧を印加することで効率のよい発光が得られることが理解できる。
ソース電極とドレイン電極に、ゲート電圧VGに対する非対称な電圧を印加した場合、非対称性に応じて有機発光層に注入されるホールと電子の量が変化するため、発光スペクトルが変化すると考えられる。
(4.2)発光強度におけるゲート電圧波形依存性
有機発光層1に化1に示されるBP1Tの結晶を用いた有機電界効果トランジスタを作製した。使用した基板は図8に示した櫛型電極42、43を形成したデバイス基板である。電極付近の断面構造は、シリコン基板、シリコン基板上に形成されたシリコン酸化膜、シリコン酸化膜上に配置されたクロム層、クロム層上に配置された金層となる。クロム層と金層およびシリコン基板が電極を構成する。櫛型電極の櫛間(チャネル長)櫛型電極42、43の一方が有機電界効果トランジスタのソース電極となり、他方がドレイン電極となる。シリコン基板はゲート電極となる。図25は、ゲート電圧VGとして印加する交流電圧が矩形波電圧の場合と正弦波電圧の場合における有機電界効果トランジスタの発光スペクトルを示した図である。具体的には、前述の有機電界効果トランジスタに対して、ゲート電圧の振幅を40V、周波数を20kHzで固定し、ドレイン電極に印加する直流電圧を30V、ソース電極に印加する直流電圧を−30Vにして発光スペクトルを測定した。
図25に示すように、ゲート電圧VGとして印加する交流電圧が矩形波電圧の方が正弦波電圧の場合よりも、より効率よく発光していることが理解できる。これは、矩形波電圧は瞬間的に正負が切り替わるためであると思われる。すなわち、ゲート電圧VGとして矩形波電圧を印加した場合、ゲート電圧VGの正負が急激に切り替わるため、注入されたホールがソース電極に到達する前に(すなわち、注入されたホールが有機発光層に残っている状態で)、電子が注入される状態に切り替わる。このため、有機発光層において電子とホールの再結合が効率よく生じ、高い発光強度が得られると考えられる。
これに対して、ゲート電圧VGが正弦波電圧である場合、ゲート電圧VGの正負は徐々に切り替わるため、多くの注入されたホールは発光に寄与する前にソース電極に到達すると考えられる。このため、ゲート電圧VGの極性が切り替わり、電子が注入されるときには、有機発光層に残っているホールが少なくなっており、このため、電子が注入されても、有機発光層において電子とホールの再結合があまり生じないため、ゲート電圧VGが矩形波電圧の場合のときほど高い発光強度が得られないと考えられる。
(4.3)ゲート電圧に矩形波を印加した場合の狭線化発光スペクトル
有機発光層1に化1に示されるBP1Tの結晶を用いた有機電界効果トランジスタを作製した。使用した基板は、絶縁体層に該当する酸化膜がその上部に形成されたシリコン基板で、その上に上記BP1Tの結晶を乗せ、結晶の上から金層およびマグネシウム銀層を蒸着により作製した有機電界効果トランジスタである。金層がドレイン電極およびマグネシウム銀層がソース電極となる。シリコン基板はゲート電極となる。このようにして作製された有機電界効果トランジスタの有機発光層1の有機材料は結晶であるとともに、その両端面が共振器構造を形成している。図26に、この試料に対する測定結果を示す。
図26の実線は、ゲート電圧VGの交流電圧として矩形波電圧を印加した場合の有機電界効果トランジスタの発光スペクトルを示した図である。具体的には、前述の有機電界効果トランジスタに対して、ゲート電圧の振幅を120V、周波数を2kHzにし、ドレイン電極に印加する電圧を120V、ソース電極に印加する電圧を−120Vにして発光スペクトルを測定した。
図26中の破線はBP1Tの結晶を紫外線で励起した場合の蛍光スペクトルである。図26に示すように、ゲート電圧VGとして交流電圧の矩形波電圧を印加すると発光スペクトルが著しく細くなる狭線化発光が観測された。
また、別の試料として、有機発光層1に化4に示されるAC5の結晶を用いた有機電界効果トランジスタを作製した。使用した基板は、絶縁体層に該当する酸化膜がその上部に形成されたシリコン基板で、その上に上記AC5の結晶を乗せ、結晶の上から金層およびマグネシウム銀層を蒸着により作製した有機電界効果トランジスタである。金層がドレイン電極およびマグネシウム銀層がソース電極となる。シリコン基板はゲート電極となる。このようにして作製された有機電界効果トランジスタの有機発光層1の有機材料は結晶であるとともに、その両端面が共振器構造を形成している。図27に、この試料に対する測定結果を示す。
図27の実線は、ゲート電圧VGの交流電圧として矩形波電圧を印加した場合の有機電界効果トランジスタの発光スペクトルを示した図である。具体的には、前述の有機電界効果トランジスタに対して、ゲート電圧の振幅を100V、周波数を20kHzにし、ドレイン電極に印加する電圧を70V、ソース電極に印加する電圧を−70Vにして発光スペクトルを測定した。
図27中の破線はAC5の結晶を紫外線で励起した場合の蛍光スペクトルである。図27に示すように、ゲート電圧VGとして交流電圧の矩形波電圧を印加すると発光スペクトルが著しく細くなる狭線化発光が観測された。
以上のように、ゲート電圧VGの交流電圧として矩形波電圧を印加することは、狭線化発光に効果的であることがわかる。
5.まとめ
以上のように、本実施形態では、有機電界効果トランジスタを駆動する際に、ソース電極12及びドレイン電極13に直流電圧を印加しつつゲート電極15に交流電圧を印加する。これにより、ソース電極12及びドレイン電極13のそれぞれから有機発光層10内に電子及びホールが効率よく注入されるため、これらのキャリアの再結合がより発生しやすくなり、高い発光強度を得ることができる。
さらに、本実施形態では、ソース電極12とドレイン電極13の電位を時間的に変化させず一定に保持した状態で、ゲート電極15の電位を時間的に変化させている。この構成により、ゲート電極15に対してのみ交流電源を用意すればよく、特許文献2のようにソース電極とドレイン電極それぞれに対して交流電源を設ける必要がなく、かつ、2つの交流電源間の同期をとる必要がなくなるため、電源回路の構成を容易にし、回路規模の増大化を抑制できる。このことは、特に、複数の有機電界効果トランジスタをアレイ状に配置したディスプレイパネル等の用途において、装置規模の増大化を抑制できるため、特に有益となる。また、特許文献2では、ソース電圧とドレイン電圧の双方を時間的に変化させるという制御が必要な上、発光輝度の制御のためにもソース電圧とドレイン電圧を制御することが必要となり、制御系が複雑になる問題が存在した。これに対して、本実施形態の方法では、ゲート電圧をのみを時間的に変化させていることから、発光輝度の制御する際にも、ゲート電圧のみを適宜制御すればよく、発光輝度の制御が容易となる。
なお、本実施形態で示した技術思想は、発光層を有機材料で構成した場合のみならず、発光層を無機材料で構成した場合にも同様に適用できることは言うまでもない。
本発明は、特定の実施形態について説明されてきたが、当業者にとっては他の多くの変形例、修正、他の利用が明らかである。それゆえ、本発明は、ここでの特定の開示に限定されず、添付の請求の範囲によってのみ限定され得る。なお、本出願は日本国特許出願、特願2008−029318号(2008年2月8日提出)に関連し、それらの内容は参照することにより本文中に組み入れられる。

Claims (16)

  1. 半導体材料からなる発光層と、前記発光層に電気的に接続された第1及び第2の電極と、前記発光層に絶縁体層を介して接続された第3の電極とを備えた発光デバイスの駆動方法であって、
    前記第1の電極と第2の電極間に対して直流電圧を印加するとともに、前記第3の電極に対して交流電圧を印加し、
    前記第3の電極に対する200Hz以上の周波数の交流電圧の印加により、前記第1及び第2の電極から前記発光層内へ誘導される2つの極性のキャリアの双方を直接的に制御する、
    ことを特徴とする発光デバイスの駆動方法。
  2. 前記交流電圧の振幅値が前記直流電圧値の1/2よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の発光デバイスの駆動方法。
  3. 前記第1の電極に対して第1の直流電圧を印加し、前記第2の電極に対して、前記第1の直流電圧と極性が異なる第2の直流電圧を印加し、前記第3の電極に対して交流電圧を印加する、ことを特徴とする請求項1記載の発光デバイスの駆動方法。
  4. 前記第1の電極の電位を基準電位として、前記第2の電極に対して第1の直流電圧を印加するとともに、前記第3の電極に対して、第2の直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する、ことを特徴とする請求項1記載の発光デバイスの駆動方法。
  5. 前記半導体材料は有機材料である、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の発光デバイスの駆動方法。
  6. 前記有機材料は電子とホールの双方をキャリアとする両極性材料である、ことを特徴とする請求項5に記載の発光デバイスの駆動方法。
  7. 前記第3の電極に対して印加する交流電圧は矩形波電圧である、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の発光デバイスの駆動方法。
  8. 前記有機材料は結晶であるとともに、その両端面が共振器構造を形成している、ことを特徴とする請求項5に記載の発光デバイスの駆動方法。
  9. 半導体材料からなる発光層と、前記発光層に電気的に接続された第1及び第2の電極と、前記発光層に絶縁体層を介して接続された第3の電極とを備えた発光デバイスの駆動装置であって、
    前記第1の電極と第2の電極間に対して直流電圧を供給する第1の電源と、
    前記第3の電極に対して交流電圧を供給する第2の電源とを備え、
    前記第2の電源から前記第3の電極に供給される200Hz以上の周波数の交流電圧により、前記発光デバイスの第1及び第2の電極から発光層へ誘導されるキャリアを直接的に制御する
    ことを特徴とする発光デバイスの駆動装置。
  10. 前記交流電圧の振幅値が前記直流電圧値の1/2よりも大きいことを特徴とする請求項9記載の発光デバイスの駆動装置。
  11. 前記第1の電源は、前記第1の電極に対して第1の直流電圧を印加する直流電源と、前記第2の電極に対して前記第1の直流電圧と極性が異なる第2の直流電圧を印加する直流電源とを含む、ことを特徴とする請求項9記載の発光デバイスの駆動装置。
  12. 前記第1の電源は、前記第1の電極の電位を基準電位として、前記第2の電極に対して第1の直流電圧を印加し、
    前記第2の電源は、前記第1の電極の電位を基準電位として、前記第3の電極に対して第2の直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する、ことを特徴とする請求項9記載の発光デバイスの駆動装置。
  13. 前記半導体材料は有機材料である、ことを特徴とする請求項9ないし12のいずれか1つに記載の発光デバイスの駆動装置。
  14. 前記有機材料は電子とホールの双方をキャリアとする両極性材料である、ことを特徴とする請求項13に記載の発光デバイスの駆動装置。
  15. 前記第3の電極に対して印加する交流電圧は矩形波電圧である、ことを特徴とする請求項9ないし12のいずれか1つに記載の発光デバイスの駆動装置。
  16. 前記有機材料は結晶であるとともに、その両端面が共振器構造を形成している、ことを特徴とする請求項13に記載の発光デバイスの駆動装置。
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