JP4264651B2 - 再生装置、再生方法 - Google Patents

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Description

本発明は、記録媒体に記録されたオーディオ信号を再生する再生装置、再生方法に関する。
特開平11−238309号公報
光ディスク(光磁気ディスク)メディアやテープメディアなどに対して、音声信号(オーディオ信号)を記録再生する記録再生装置、或いは再生専用装置が各種普及している。例えばCD(Compact Disc)、MD(Mini Disc)などの記録メディアに対する再生装置としてのオーディオプレーヤなどである。
特にMDの場合は、一般にユーザが任意に楽曲等を録音し、それを再生して楽しむという使用形態が多い。
オーディオ再生装置により、MD等の記録媒体から音楽等を再生する場合には、以下の<1><2>のような不便を感じるときがある。
<1> CD、MD等のディスク、磁気テープ等のメディアを再生するプレーヤや、或いは放送チューナなど、様々なソースから得られる音楽等を、例えば1枚のMDに録音した場合を考える。この場合、ソース側のメディアや放送毎に、オーディオ信号のレベルがまちまちであるため、MDに録音される楽曲トラック毎にレベルが大きく変動してしまうことがある。例えば多数のCD等から好きな曲を集めてダビングする場合、CDタイトル毎に録音レベルが異なっていると、MDにダビングされた多数の楽曲トラックは、トラック毎にレベルが大きく異なるものとなる。
そのようなことから、異なるソースからの楽曲をあつめたMDを再生すると、トラック(楽曲)毎に再生されるオーディオ信号のレベルが大きく変動してしまうため、ユーザーはこまめなボリューム調整をしなければならなず、不便を感じることがある。
即ち、録音された曲(トラック)毎のレベル差によって再生時に不便を感じる。
<2> また、MD等から音楽を再生する場合、再生する時間や場所、状況によって、不都合を感じることがある。
例えば夜間に音量をあまり上げずに静かに音楽を楽しみたいときにボリュームを絞ると、微小なレベルの部分が聞き取れなくなってしまう。
また電車や街中などで周囲の雑音に微小な音をかき消されないようにボリュームを上げると、全体として音量が大きくなりすぎてしまう。
これらのように、状況に応じて曲の途中などでもこまめにボリューム調整を行わないといけない場合も発生し、非常に面倒且つ不便であると共に、それによって音楽を楽しめないということにもなってしまう。
即ち、楽曲内のレベル変動、即ち楽曲が曲として本来有しているレベル変動が、状況によっては、その曲を楽しめなくしてしまうような場合がある。
ここで、例えば上記<1>の問題は、MD等に録音を行う際に、各曲で大きなレベルが生じないように調整されていれば解決される。そして録音時のレベル調整に関しては各種の技術が提案されている。例えば上記特許文献1にも、音楽ソースの種別に関わらず均一な録音レベルが得られるようにする技術が開示されている。また、もちろん手動で録音レベルを調整することも知られている。
ところが、当然ながら、録音時にそのようなレベル調整が行われなければなければならず、そのような調整機能を備えた録音装置又はユーザー操作が求められることはいうまでもない。
また、録音時のレベル調整によっては、元々のオーディオ信号のダイナミックレンジを狭くしてしまうことが生ずることもある。つまり音質的に低下させた録音となることがある。
また上記<2>の問題は、本来音楽が備えるレベル変動に起因するため、或る程度やむを得ないものでもあるが、例えば録音時にダイナミックレンジを圧縮することで、改善できる。例えばオーディオ信号中でレベルの低い部分について、レベルを上げ、またレベルが高い部分は下げるようなダイナミックレンジ圧縮処理を行って録音すればよい。
しかしながら、これはもちろんオーディオ信号のダイナミックレンジを犠牲にし、音質を低下させて録音することになり、録音する際の処理として適切とは言えない。
また、<2>の問題は、時間や場所など、聴取する状況によるものであり、環境的に通常に音楽を楽しめる場合(例えばリスニングルームで聴取する場合など)は問題にならない。そしてこのように聴取状況が適切な状況では、もしダイナミックレンジを圧縮して録音してしまっていると、それによる音質低下がめだってしまうことになる。
そこで本発明は、録音時にレベル調整を行わずとも、再生時に複数の曲のレベル差が少なくなるようにすること、及び状況に応じて適切なダイナミックレンジでの楽曲等の再生が行われるようにすることを目的とする。
本発明の再生装置は、記録媒体に記録された複数の楽曲からなるオーディオ信号を読み出してデコードする再生手段と、ユーザー操作としてレベル変換処理モードのオン/オフ選択操作を行うための選択操作手段と、上記選択操作手段でレベル変換処理モードがオンとされた場合に、上記再生手段でデコードされたオーディオ信号に対してダイナミックレンジを圧縮するように信号レベルを変化させる処理を行うレベル処理手段と、上記レベル処理手段を介したオーディオ信号を出力するための出力処理手段とを備える。
そして上記レベル処理手段は、オーディオ信号に対する可変ゲイン部と、オーディオ信号のレベルに応じて上記可変ゲイン部のゲインを変化させるゲイン制御部とを備え、上記ゲイン制御部は、入力されるオーディオ信号のレベルがリミットレベルを越えることに応じて、出力されるオーディオ信号のレベルが上記リミットレベルを越えなくなるように上記可変ゲイン部のゲイン制御を行う。この場合、上記再生手段でデコードされるオーディオ信号における楽曲が切り替わった楽曲切替わりタイミングを検出する検出手段をさらに備え、上記ゲイン制御部は、上記楽曲切替わりタイミングで、上記可変ゲイン部のゲインを初期化する。
本発明の再生方法は、記録媒体に記録された複数の楽曲からなるオーディオ信号を読み出してデコードする再生ステップと、ユーザー操作によりレベル変換処理モードがオンとされた場合に、デコードされたオーディオ信号に対してダイナミックレンジを圧縮するように信号レベルを変化させる処理を行うレベル処理ステップと、上記レベル処理ステップを介したオーディオ信号を出力するための処理を行う出力処理ステップとを備える。
上記レベル処理ステップでは、入力されるオーディオ信号のレベルがリミットレベルを越えることに応じて、出力されるオーディオ信号のレベルが上記リミットレベルを越えなくなるように、オーディオ信号に与えるゲインの可変制御を行う。この場合上記レベル処理ステップでは、再生ステップでデコードされるオーディオ信号における楽曲が切り替わった楽曲切替わりタイミングで、オーディオ信号に与えるゲインを初期化する。
即ち本発明では、再生時に、再生されるオーディオ信号に対してダイナミックレンジを圧縮するレベル変換処理モード(再生コンプレッサモード)を設けるようにする。レベル変換処理モードをオンとするかオフとするかはユーザーが操作により選択する。
レベル変換処理モードをオンとする場合は、レベル変換処理でダイナミックレンジをリニアに圧縮するコンプレッサ的な動作を行う。
或いはゲインコントロール処理で曲自体のダイナミックレンジ圧縮はあまり行わずに曲ごとのレベル差を少なくする。この場合は簡易的なノーマライザともいえ、再生する複数の楽曲全体としてみればダイナミックレンジ圧縮を行うといえる。
本発明によれば、再生時にレベル変換処理モードをオンとすることで、再生する曲ごとのレベル差が緩和され、曲が変わるごとにボリュームを調整するわずらわしさが緩和される。
また、曲内の小音量部と大音量部のレベル差が縮まり、夜間や電車内などでボリュームを上げずに小さい音まで楽しめるようになる。
さらに、録音時にはダイナミックレンジ調整などが不要であり、換言すれば、音質を犠牲にしないオーディオ録音ができる。そして再生時のレベル変換処理モードのオン/オフは、ユーザーが操作により設定するものであるため、ユーザーは状況に応じて、レベル変換処理モードをオンにして、上記<1><2>の問題を改善した音楽再生を楽しみ、また聴取環境が適切な場合や、楽曲毎のレベル差がさほど無い場合などは、レベル変換処理モードをオフとした高音質な音楽再生を楽しむことができる。つまり、録音されたオーディオ信号は高音質の状態を保てるため、ユーザーは状況に応じてレベル変換処理モードをオン/オフして、望ましい再生状態を得ることができる。
また本発明では、レベル変換処理モードをオンとした際には、入力レベルと、入力レベルに対して信号レベル変換を行った結果の出力レベルの関係において、レベル最大値は同一であり、かつ入力レベルの変化幅に対して出力レベルの変化幅が小さくなる入出力特性となるように信号レベル変換を行うか、或いは、出力レベル最大値が入力レベル最大値より低く、かつ入力レベルの変化幅に対して出力レベルの変化幅が小さくなる入出力特性となるように信号レベル変換を行うようにする。即ちレベル変換処理でダイナミックレンジをリニアに圧縮するコンプレッサ的な動作を行う。この場合は、ダイナミックレンジは小さくなるものの、上述した<2>の問題の改善に有効であり、<1>の問題の緩和にもなる。
また本発明では、レベル変換処理モードをオンとした際には、入力されるオーディオ信号のレベルがリミットレベルを越えることに応じて、出力されるオーディオ信号のレベルがリミットレベルを越えなくなるように、オーディオ信号に与えるゲインの可変制御を行う。つまり、ゲインコントロール処理で曲自体のダイナミックレンジ圧縮はあまり行わずに曲ごとのレベル差を少なくする。この場合は上記<1>の問題の改善に効果的である。また、曲内の小音量部と大音量部のレベル差はあまり縮まらないが、聴感上、曲ごとのダイナミックレンジは入力ソースとほぼ同等に維持されるため、オリジナルに近いダイナミックレンジで音楽が楽しめる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。実施の形態の記録再生装置は、オーディオ信号(音楽等)を記録媒体に記録し、また再生できるオーディオ記録録音装置としての機能を持つものであり、本発明の再生装置に該当する。また本発明の再生方法を実行する。
説明は次の順序で行う。
1.記録再生装置の構成及びディスク
2.第1の再生コンプレッサ動作例
3.第2の再生コンプレッサ動作例
4.第3の再生コンプレッサ動作例
5.変形例
1.記録再生装置の構成及びディスク

図1は、実施の形態としての記録再生装置1の内部構成例について示したブロック図である。
この実施の形態としての記録再生装置1は、一例として、磁界変調方式でデータ記録が行われる光磁気ディスクであるミニディスク(MD)方式のディスクに対する記録再生装置とする。但し、既に普及している音楽用途のミニディスクのみではなく、より高密度記録を可能とし、コンピュータユースの各種データのストレージに利用できる高密度ディスク(次世代ディスクとも言う)についても対応可能な記録再生装置である。
また、本例の記録再生装置1としては、例えばパーソナルコンピュータ(或いはネットワーク)50等の外部の機器との間でデータ通信可能な機器とされる。
例えば記録再生装置1は、パーソナルコンピュータ50とUSBケーブル等の伝送路51で接続されることで、パーソナルコンピュータ50に対する外部ストレージ機器として機能できる。また、パーソナルコンピュータ50を介したり、或いは直接ネットワークと接続できる機能を備えるなどしてネットワーク接続されることで、音楽や各種データをダウンロードし、記録再生装置1においてストレージ部2に装填されたディスクに保存できるものともなる。
一方、この記録再生装置1はパーソナルコンピュータ50等に接続しなくとも、例えばオーディオ機器として機能する。例えば他のオーディオ機器等から入力された音楽/音声等のオーディオデータ、或いは接続されたマイクロホン(もしくは内蔵マイクロホン)によって入力された音楽/音声等のオーディオデータをディスクに記録したり、ディスクに記録されたオーディオデータを再生出力することができる。
即ち本例の記録再生装置1は、パーソナルコンピュータ50等に接続されることで汎用的なデータストレージ機器として利用でき、かつ単体ではオーディオ記録再生機器としても利用できる装置である。
ここで、本例の記録再生装置1の構成の説明に先立って、記録再生装置1が対応する、光磁気記録による次世代ディスクの概要について説明しておく。
先ず、このような次世代ディスクとしては、現行のパーソナルコンピュータとの親和性が図れるように、ファイル管理システムとしてFAT(File Allocation Table)システムを使って、オーディオデータのようなコンテンツデータを記録再生するものである。
また、現行のMDシステムに対して、エラー訂正方式や変調方式等の改善を行うことで、データの記録容量の増大を図るとともにデータの信頼性を高めているものである。
次世代ディスクの記録再生のフォーマットとしては、現在2種類の仕様が開発されている。説明上、これらを第1の次世代MD、第2の次世代MDと呼ぶこととする。
第1の次世代MDは、現行のMDシステムで用いられているディスクと全く同様のディスクを用いるようにした仕様であり、第2の次世代MDは、現行のMDシステムで用いられているディスクと外形は同様であるが、磁気超解像(MSR)技術を使うことにより、線記録方向の記録密度を上げて、記録容量をより増大した仕様である。
現行のMDシステム(オーディオ用MDやMD−DATA)では、カートリッジに収納された直径64mmの光磁気ディスクが記録媒体として用いられている。ディスクの厚みは1.2mmであり、その中央に11mmの径のセンターホールが設けられている。カートリッジの形状は、長さ68mm、幅72mm、厚さ5mmである。
第1,第2の次世代MDの仕様でも、これらディスクの形状やカートリッジの形状は、全て同じである。リードイン領域の開始位置についても、第1,第2の次世代MDのディスクも、半径位置29mmから始まり、現行のMDシステムで使用されているディスクと同様である。
つまり、従来のMDシステムとの外形上での互換性が確保されているものである。
トラックピッチについては、第2の次世代MDでは、1.2μmから1.3μm(例えば1.25μm)とすることが検討されている。これに対して、現行のMDシステムのディスクを流用する第1の次世代MDでは、トラックピッチは1.6μmとされている。ビット長は、第1の次世代MDが0.44μm/ビットとされ、第2の次世代MDが0.16μm/ビットとされる。冗長度は、第1,第2の次世代MDともに、20.50%である。
第2の次世代MD仕様のディスクでは、磁気超解像技術を使うことにより、線密度方向の記録容量を向上するようにしている。磁気超解像技術は、所定の温度になると、切断層が磁気的にニュートラルな状態になり、記録層に転写されていた磁壁が転写されることで、微少なマークがビームスポットの中に見えるようになることを利用したものである。
具体的に、第2の次世代MD仕様のディスクでは、透明基板上に、少なくとも情報を記録する記録層となる磁性層と、切断層と、情報再生用の磁性層とが積層される。切断層は、交換結合力調整用層となる。所定の温度になると、切断層が磁気的にニュートラルな状態になり、記録層に転写されていた磁壁が再生用の磁性層に転写される。これにより、微少なマークがビームスポットの中に見えるようになる。なお、記録時には、レーザパルス磁界変調技術を使うことで、微少なマークを生成することができる。
また、第2の次世代MD仕様のディスクでは、デトラックマージン、ランドからのクロストーク、ウォブル信号のクロストーク、フォーカスの漏れを改善するために、グルーブを深くし、グルーブの傾斜を鋭くしている。即ち第2の次世代MD仕様のディスクでは、グルーブの深さは例えば160nmから180nmであり、グルーブの傾斜は例えば60度から70度であり、グルーブの幅は例えば600nmから700nmである。
光学的仕様については、第1の次世代MDの仕様では、レーザ波長λが780nmとされ、光学ヘッドの対物レンズの開口率NAが0.45とされている。第2の次世代MDの仕様も同様に、レーザ波長λが780nmとされ、光学ヘッドの開口率NAが0.45とされている。
また、記録方式としては、第1,第2の次世代MDとも、グルーブ記録方式が採用されている。つまり、グルーブ(ディスクの盤面上の溝)をトラックとして記録再生に用いるようにしている。
さらに、エラー訂正符号化方式としては、現行のMDシステムでは、ACIRC(Advanced Cross Interleave Reed-Solomon Code) による畳み込み符号が用いられていたが、第1,第2の次世代MDの仕様では、RS−LDC(Reed Solomon−Long Distance Code)とBIS(Burst Indicator Subcode)とを組み合わせたブロック完結型の符号が用いられている。
ブロック完結型のエラー訂正符号を採用することにより、リンキングセクタが不要になる。LDCとBISとを組み合わせたエラー訂正方式では、バーストエラーが発生したときに、BISによりエラーロケーションが検出できる。このエラーロケーションを使って、LDCコードにより、イレージャ訂正を行うことができる。
アドレス方式としては、シングルスパイラルによるグルーブを形成したうえで、このグルーブの両側に対してアドレス情報としてのウォブルを形成したウォブルドグルーブ方式が採用されている。このようなアドレス方式は、ADIP(Address in Pregroove)と呼ばれている。
ADIPの仕様については、現行のMDシステムと同様であるが、現行のMDシステムでは、2352バイトからなるセクターを記録再生のアクセス単位としているのに対して、第1,第2の次世代MDの仕様では、64Kバイトを記録再生のアクセス単位(レコーディングブロック)としている。
また、現行のMDシステムでは、エラー訂正符号としてACIRCと呼ばれる畳み込み符号が用いられているのに対して、第1,第2の次世代MDの仕様では、LDCとBISとを組み合わせたブロック完結型の符号が用いられている。
そこで、現行のMDシステムのディスクを流用する第1の次世代MDの仕様では、ADIP信号の扱いを、現行のMDシステムのときとは異なるようにしている。また、第2の次世代MDでは、第2の次世代MDの仕様により合致するように、ADIP信号の仕様に変更を加えている。
変調方式については、現行のMDシステムでは、EFM(8 to 14 Modulation)が用いられているのに対して、第1,第2の次世代MDの仕様では、RLL(1,7)PP(RLL;Run Length Limited ,PP;Parity Preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))(以下、1−7pp変調と称する)が採用されている。また、データの検出方式は、第1の次世代MDではパーシャルレスポンスPR(1,2,1)MLを用い、第2の次世代MDではパーシャルレスポンスPR(1,−1)MLを用いたビタビ復号方式とされている。
また、ディスク駆動方式はCLV(Constant Linear Verocity)で、その線速度は、第1の次世代MDの仕様では、2.7m/秒とされ、第2の次世代MDの仕様では、1.98m/秒とされる。なお、現行のMDシステムの仕様では、60分ディスクで1.2m/秒、74分ディスクで1.4m/秒とされている。
現行のMDシステムで用いられるディスクをそのまま流用する第1の次世代MDの仕様では、ディスク1枚当たりのデータ総記録容量は約300Mバイト(80分ディスクを用いた場合)になる。変調方式がEFM変調から1−7pp変調とされることで、ウィンドウマージンが0.5から0.666となり、この点で、1.33倍の高密度化が実現できる。
また、エラー訂正方式として、ACIRC方式からBISとLDCを組み合わせたものとしたことで、データ効率が上がり、この点で、1.48倍の高密度化が実現できる。総合的には、全く同様のディスクを使って、現行のMDシステムに比べて、約2倍のデータ容量が実現されたことになる。
これに対し磁気超解像を利用した第2の次世代MDの仕様のディスクでは、更に線密度方向の高密度化が図られ、データ総記録容量は、約1Gバイトになる。
なお、データレートは第1の次世代MDでは4.4Mビット/秒であり、第2の次世代MDでは、9.8Mビット/秒である。
図2(a)には、第1の次世代MDのディスクの構成が示されている。
第1の次世代MDのディスクは、現行のMDシステムのディスクをそのまま流用したものである。すなわち、透明のポリカーボネート基板上に、誘電体膜と、磁性膜と、誘電体膜と、反射膜とを積層して構成される。更に、その上に保護膜が積層される。
第1の次世代MDのディスクでは、この図2(a)に示すようにディスクの内周のリードイン領域に、P−TOC(プリマスタードTOC(Table Of Contents))領域が設けられる。ここは、物理的な構造としてはプリマスタード領域となり、エンボスピットによりコントロール情報等がP−TOC情報として記録されていることになる。
そして、このようにP−TOC領域が設けられるリードイン領域の外周は、レコーダブル領域(光磁気記録可能な領域)とされ、記録トラックの案内溝としてグルーブが形成された記録再生可能領域となっている。このレコーダブル領域の内周には、U−TOC(ユーザーTOC)が設けられる。
この場合のU−TOCは、現行のMDシステムでディスクの管理情報を記録するために用いられているU−TOCと同様の構成のものである。確認のために述べておくと、U−TOCは、現行のMDシステムにおいては、トラック(オーディオトラック/データトラック)の曲順、記録、消去などに応じて書き換えられる管理情報であり、各トラック(トラックを構成するパーツ)について、開始位置、終了位置や、モードを管理するものである。
また、U−TOCの外周には、アラートトラックが設けられる。アラートトラックは、このディスクが第1の次世代MD方式で使用され、現行のMDシステムのプレーヤでは再生できないことを示す警告音が記録された警告トラックである。
図2(b)には、第1の次世代MDの仕様のディスクのレコーダブル領域の構成を示している。
この図2(b)に示されるように、レコーダブル領域の先頭(内周側)には、U−TOCおよびアラートトラックが設けられる。U−TOCおよびアラートトラックが含まれる領域は、現行のMDシステムのプレーヤでも再生できるように、EFMでデータが変調されて記録される。
そして、このEFM変調でデータが変調されて記録される領域の外周には、次世代MD1方式の1−7pp変調によりデータが変調されて記録される領域が設けられる。EFM変調によりデータが変調されて記録される領域と、1−7pp変調によりデータが変調されて記録される領域との間は所定の距離の間だけ離間されており、ガードバンドが設けられている。
このようなガードバンドが設けられるため、現行のMDプレーヤに第1の次世代MDの仕様のディスクが装着されて、不具合が発生されることが防止される。
1−7pp変調によりデータが変調されて記録される領域の先頭(内周側)には、DDT(Disc Description Table)領域と、セキュアトラックが設けられる。DDT領域には、物理的に欠陥のあるセクタ(レコーディングブロック)に対する交替セクタ処理をするために設けられる。
DDT領域には、さらに、ユニークID(UID)が記録される。UIDは、記録媒体毎に固有の識別コードであって、例えば所定に発生された乱数に基づく。
セキュアトラックは、コンテンツの保護を図るための情報が格納される。
さらに、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域には、FAT(File Allocation Table)領域が設けられる。このFAT領域は、FATシステムでデータを管理するための領域である。
FATシステムは、汎用のパーソナルコンピュータで使用されているFATシステムに準拠したデータ管理を行うものである。FATシステムは、ルートにあるファイルやディレクトリのエントリポイントを示すディレクトリと、FATクラスタの連結情報が記述されたFATテーブルとを用いて、FATチェーンによりファイル管理を行うものである。
このような第1の次世代MDの仕様のディスクにおいて、上記したU−TOC領域には、アラートトラックの開始位置の情報と、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域の開始位置の情報が記録されるものとなる。
ここで、現行のMDシステムのプレーヤに、上記構成による第1の次世代MDのディスクが装着されると、U−TOC領域が読み取られ、U−TOCの情報から、アラートトラックの位置が分かり、アラートトラックがアクセスされ、アラートトラックの再生が開始される。アラートトラックには、このディスクが第1の次世代MD方式で使用され、現行のMDシステムのプレーヤでは再生できないことを示す警告音が記録されている。
この警告音から、このディスクが現行のMDシステムのプレーヤでは使用できないことが通知される。
なお、この場合の警告音としては、「このプレーヤでは使用できません」というような言語による警告とすることができる。勿論、ブザー音とするようにしても良い。
一方、第1の次世代MDに準拠したプレーヤに対し、第1の次世代MDのディスクが装着された場合、U−TOC領域が読み取られ、U−TOCの情報から1−7pp変調でデータが記録された領域の開始位置が分かり、上記したDDT、セキュアトラック、FAT領域が読み取られる。上述のように1−7pp変調のデータの領域では、U−TOCではなくFATシステムによるデータ管理が行われる。
続いて図3(a)には、第2の次世代MDのディスクの構成を示す。
この場合もディスクは、透明のポリカーボネート基板上に誘電体膜、磁性膜、誘電体膜、反射膜、さらにその上層に保護膜を積層して成る。
そして、第2の次世代MDのディスクの場合では、図示するようにディスクの内周のリードイン領域には、ADIP信号により、コントロール情報が記録されるものとなる。
第2の次世代MDのディスクには、リードイン領域にはエンボスピットによるP−TOCは設けられておらず、その代わりに、ADIP信号によるコントロール情報が用いられる。リードイン領域の外周からレコーダブル領域が開始され、記録トラックの案内溝としてグルーブが形成された記録再生可能領域となっている。このレコーダブル領域には、1−7pp変調方式によりデータが変調されて記録される。
或るディスクが第1の次世代MDであるか第2の次世代MDであるかは、例えば、リードインの情報から判断できる。
すなわち、リードインにエンボスピットによるP−TOCが検出されれば、現行のMDまたは第1の次世代MDのディスクであると判断できる。リードインにADIP信号によるコントロール情報が検出され、エンボスピットによるP−TOCが検出されなければ、第2の次世代MDであると判断できる。
なお、第1、第2の次世代MDの判別は、このような方法に限定されるものではない。オントラックのときとオフトラックのときとのトラッキングエラー信号の位相から判別することも可能である。勿論、カートリッジ等にディスク識別用の検出孔等を設けるようにしても良い。
第2の次世代MDの仕様のディスクのレコーダブル領域の構成としては、図3(b)に示すように、全て1−7pp変調方式によりデータが変調されて記録される領域が形成される。そして、この1−7pp変調方式によりデータが変調されて記録される領域の先頭(内周側)には、DDT領域と、セキュアトラックが設けられる。
この場合も上記DDT領域には、物理的に欠陥のあるセクタ(レコーディングブロック)に対する交替セクタ処理を行うための領域とされる。またDDT領域には、上述したUIDが記録される。さらにセキュアトラックには、この場合もコンテンツの保護を図るための情報が格納される。
また、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域には、FAT領域が設けられる。FAT領域は、FATシステムでデータを管理するための領域である。FATシステムは、汎用のパーソナルコンピュータで使用されているFATシステムに準拠したデータ管理を行うものである。
そして、このような第2の次世代MDのディスクにおいては、図からもわかるようにU−TOC領域は設けられていない。つまり、第2の次世代MDのディスクについては、次世代MDに準拠したプレーヤのみでの使用が想定されているものである。
次世代MDに準拠したプレーヤでは、第2の次世代MDのディスクが装着されると、所定の位置にあるDDT、セキュアトラック、FAT領域が読み取られ、FATシステムを使ってデータの管理が行われることになる。
これまでに説明してきたような次世代ディスクに対応するために、図1に示す本例の記録再生装置1では、ストレージ部2として、図4に示す構成のストレージ部を備えて、コンテンツデータの記録・再生を行うものとされる。
図4において、このストレージ部2では、装填されたディスク40をスピンドルモータ29によってCLV方式で回転駆動させる。そして、このディスク40に対しては記録/再生時に光学ヘッド19によってレーザ光が照射される。
なお、この場合、ディスク40としては、現行のMD仕様のディスクと、第1の次世代MDの仕様のディスクと、第2の次世代MDの仕様のディスクとが装着される可能性があることから、これらのディスクにより線速度が異なるものとなる。
このため、スピンドルモータ29は、装填されたディスク40の別に応じた異なる線速度に対応して回転されることになる。
光学ヘッド19は、記録時には記録トラックをキュリー温度まで加熱するための高レベルのレーザ出力を行い、また再生時には磁気カー効果により反射光からデータを検出するための比較的低レベルのレーザ出力を行う。このため、光学ヘッド19には、図示は省略するがレーザ出力手段としてのレーザダイオード、偏光ビームスプリッタや対物レンズ等からなる光学系、及び反射光を検出するためのディテクタが搭載されている。光学ヘッド19に備えられる対物レンズとしては、例えば2軸機構によってディスク半径方向及びディスクに接離する方向に変位可能に保持されている。
また、ディスク40を挟んで光学ヘッド19と対向する位置には磁気ヘッド18が配置されている。磁気ヘッド18は記録データによって変調された磁界をディスク40に印加する動作を行う。
また、図示しないが光学ヘッド19全体及び磁気ヘッド18をディスク半径方向に移動させためスレッドモータ及びスレッド機構が備えられている。
光学ヘッド19および磁気ヘッド18は、第2の次世代MDのディスクの場合には、パルス駆動磁界変調を行うことで、微少なマークを形成することができる。現行MDのディスクや、第1の次世代MDのディスクの場合には、磁界変調方式とされる。
また、このストレージ部2では、光学ヘッド19、磁気ヘッド18による記録再生ヘッド系、スピンドルモータ29によるディスク回転駆動系のほかに、記録処理系、再生処理系、サーボ系等が設けられる。
記録処理系では、現行のMDシステムのディスクの場合において、オーディオトラックの記録時に、ACIRCでエラー訂正符号化を行い、EFMで変調してデータを記録する部位と、第1,第2の次世代MDの場合に、BISとLDCを組み合わせた方式でエラー訂正符号化を行い、1−7pp変調により変調して記録する部位が設けられる。
再生処理系では、現行のMDシステムのディスクの再生時に、EFMの復調とACIRCによるエラー訂正処理と、第1,第2の次世代MDシステムのディスクの再生時に、パーシャルレスポンスおよびビタビ復号を用いたデータ検出に基づく1−7pp復調と、BISとLDCによるエラー訂正処理とを行う部位が設けられる。
また、現行のMDシステムや第1の次世代MDのADIP信号よるアドレスをデコードする部位と、第2の次世代MDのADIP信号をデコードする部位とが設けられる。
光学ヘッド19のディスク40に対するレーザ照射によりその反射光として検出された情報(フォトディテクタによりレーザ反射光を検出して得られる光電流)は、RFアンプ21に供給される。
RFアンプ21では入力された検出情報に対して電流−電圧変換、増幅、マトリクス演算等を行い、再生情報としての再生RF信号、トラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、グルーブ情報(ディスク40にトラックのウォブリングにより記録されているADIP情報)等を抽出する。
現行のMDシステムのディスクを再生するときには、RFアンプで得られた再生RF信号は、EFM復調部24およびACIRCデコーダ25で処理される。
すなわち再生RF信号は、EFM復調部24で2値化されてEFM信号列とされた後、EFM復調され、更にACIRCデコーダ25で誤り訂正およびデインターリーブ処理される。つまりこの時点でATRAC圧縮データの状態となる。
そして現行のMDシステムのディスクの再生時には、セレクタ26はB接点側が選択されており、その復調されたATRAC圧縮データがディスク40からの再生データとして出力される。
一方、第1,第2の次世代MDのディスクを再生するときには、RFアンプ21で得られた再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部22およびRS−LDCデコーダ25で処理される。すなわち再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部22において、PR(1,2,1)MLまたはPR(1,−1)MLおよびビタビ復号を用いたデータ検出によりRLL(1−7)符号列としての再生データを得、このRLL(1−7)符号列に対してRLL(1−7)復調処理が行われる。そして更にRS−LDCデコーダ23で誤り訂正、及びデインターリーブ処理される。
そして、第1,第2の次世代MDのディスクの再生時には、セレクタ26はA接点側が選択されており、その復調されたデータがディスク40からの再生データとして出力される。
RFアンプ21から出力されるトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号はサーボ回路27に供給され、グルーブ情報はADIP復調部30に供給される。
ADIP復調部30は、グルーブ情報に対してバンドパスフィルタにより帯域制限してウォブル成分を抽出した後、FM復調、バイフェーズ復調を行ってADIP信号を復調する。
そして、このように復調された、ディスク上の絶対アドレス情報であるADIPアドレスは、図1に示されるシステムコントローラ8に供給される。システムコントローラ8ではADIPアドレスに基づいて所要の制御処理を実行する。
またグルーブ情報はスピンドルサーボ制御のためにサーボ回路27に供給される。
サーボ回路27は、例えばグルーブ情報に対して再生クロック(デコード時のPLL系クロック)との位相誤差を積分して得られる誤差信号に基づき、CLVサーボ制御のためのスピンドルエラー信号を生成する。
またサーボ回路27は、スピンドルエラー信号や、RFアンプ21から供給されたトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号、あるいはシステムコントローラ8からのトラックジャンプ指令、アクセス指令等に基づいて各種サーボ制御信号(トラッキング制御信号、フォーカス制御信号、スレッド制御信号、スピンドル制御信号等)を生成し、モータドライバ28に対して出力する。すなわち上記サーボエラー信号や指令に対して位相補償処理、ゲイン処理、目標値設定処理等の必要処理を行って各種サーボ制御信号を生成する。
モータドライバ28では、サーボ回路27から供給されたサーボ制御信号に基づいて所要のサーボドライブ信号を生成する。ここでのサーボドライブ信号としては、二軸機構を駆動する二軸ドライブ信号(フォーカス方向、トラッキング方向の2種)、スレッド機構を駆動するスレッドモータ駆動信号、スピンドルモータ29を駆動するスピンドルモータ駆動信号となる。
このようなサーボドライブ信号により、ディスク40に対するフォーカス制御、トラッキング制御、およびスピンドルモータ29に対するCLV制御が行われることになる。
現行のMDシステムのディスクでオーディオデータを記録するときには、セレクタ16がB接点に接続され、したがってACIRCエンコーダ14およびEFM変調部15が機能することになる。
この場合、記録データとして図1に示されるキャッシュメモリ3から供給される圧縮データは、ACIRCエンコーダ14でインターリーブおよびエラー訂正コード付加が行われた後、EFM変調部15でEFM変調が行われる。
そして、EFM変調データがセレクタ16を介して磁気ヘッドドライバ17に供給され、磁気ヘッド18がディスク40に対してEFM変調データに基づいた磁界印加を行うことでオーディオトラックの記録が行われる。
これに対し、第1の次世代MDまたは第2の次世代MDにデータを記録する時には、セレクタ16がA接点に接続され、RS−LDCエンコーダ12およびRLL(1−7)PP変調部13が機能することになる。この場合、キャッシュメモリ3からの高密度データは、RS−LDCエンコーダ12でインターリーブおよびRS−LDC方式のエラー訂正コード付加が行われた後、RLL(1−7)PP変調部13でRLL(1−7)変調が行われる。
そして、RLL(1−7)符号列としての記録データがセレクタ16を介して磁気ヘッドドライバ17に供給され、磁気ヘッド18がディスク40に対して変調データに基づいた磁界印加を行うことでデータトラックの記録が行われる。
レーザドライバ/APC20は、上記のような再生時および記録時においてレーザダイオードにレーザ発光動作を実行させるが、いわゆるAPC(Automatic Lazer Power Control)動作も行う。
つまり、図示していないが、光学ヘッド19内にはレーザパワーモニタ用のディテクタが設けられ、そのモニタ信号がレーザドライバ/APC20にフィードバックされる。レーザドライバ/APC20は、モニタ信号として得られる現在のレーザパワーを、設定されているレーザパワーと比較して、その誤差分をレーザ駆動信号に反映させることで、レーザダイオードから出力されるレーザパワーが、設定値で安定するように制御している。
なお、レーザパワーとしては、再生レーザパワー、記録レーザパワーとしての値がシステムコントローラ8によって、レーザドライバ/APC20内部のレジスタにセットされる。
以上の各動作(アクセス、各種サーボ、データ書込、データ読出の各動作)は、図1に示されるシステムコントローラ8からの指示に基づいて実行されるものとなる。
説明を図1に戻し、本例の記録再生装置1内部の全体構成について説明する。
図1において、キャッシュメモリ3は、上記構成によるストレージ部2によりディスク40に記録するデータ、或いはストレージ部2によってディスク40から読み出されたデータについてのバッファリングを行うキャッシュメモリであり、例えばD−RAMより構成される。
キャッシュメモリ3へのデータの書込/読出は、システムコントローラ(CPU)8において起動されるタスクによって制御される。
USBインタフェース4は、例えばパーソナルコンピュータ50とUSBケーブルとしての伝送路51で接続された際の、データ伝送のための処理を行う。
入出力処理部5は、例えば記録再生装置1が単体でオーディオ機器として機能する場合に記録再生データの入出力のための処理を行う。
この入出力処理部5は、例えば入力系として、ライン入力回路/マイクロホン入力回路等のアナログ音声信号入力部、A/D変換器や、デジタルオーディオデータ入力部を備える。またATRAC圧縮エンコーダ/デコーダを備える。ATRAC圧縮エンコーダ/デコーダは、ATRAC方式によるオーディオデータの圧縮/伸長処理を実行するための回路である。なお、もちろんのこと、本実施の形態の記録再生装置としては、例えばMP3などの他のフォーマットによる圧縮オーディオデータが記録再生可能な構成を採ってもよく、この場合には、これらの圧縮オーディオデータのフォーマットに対応したエンコーダ/デコーダを備えればよい。
また、本実施の形態としては、ビデオデータに関しては特に記録再生可能なフォーマットの限定は行わないが、例えばMPEG4などが考えられる。そして、入出力処理部5としては、このようなフォーマットに対応したエンコーダ/デコーダを備えればよいこととなる。
さらに入出力処理部5は、出力系として、デジタルオーディオデータ出力部や、D/A変換器及びライン出力回路/ヘッドホン出力回路等のアナログ音声信号出力部を備える。
そして、この場合の入出力処理部5内には、暗号処理部(図示せず)が備えられる。暗号処理部においては、例えばディスクに記録すべきAVデータについて、所定のアルゴリズムによる暗号化処理を施すようにされる。また、例えばディスクから読み出されたAVデータについて暗号化が施されている場合には、必要に応じて暗号解読のための復号処理を実行するようにもされている。
入出力処理部5を介した処理として、ディスクにオーディオデータが記録されるのは、例えば入力TINとして入出力処理部5にデジタルオーディオデータ(又はアナログ音声信号)が入力される場合である。
なお、入力TINとは、光ケーブルによるデジタルオーディオデータ入力、ライン入力としてのアナログオーディオ信号入力、接続された外部マイクロホンによるアナログオーディオ信号入力等の各種入力をまとめて示したものである。また図示していないが、例えば記録再生装置1内にマイクロホンが内蔵され、その内蔵マイクロホンによって得られるアナログオーディオ信号が入力TINとされてもよい。
入力TINとしてのリニアPCMデジタルオーディオデータ、或いはアナログ音声信号で入力されA/D変換器で変換されて得られたリニアPCMオーディオデータは、必要に応じてATRAC圧縮エンコードされてキャッシュメモリ3に蓄積される。そして所定タイミング(ADIPクラスタ相当のデータ単位)でキャッシュメモリ3から読み出されてストレージ部2に転送される。ストレージ部2では、転送されてくる圧縮データを所定の変調方式で変調してディスクに記録する。
ディスクからミニディスク方式のオーディオデータが再生される場合は、ストレージ部2は再生データをATRAC圧縮データ状態に復調してキャッシュメモリ3に転送する。そしてキャッシュメモリ3から読み出されて入出力処理部5に転送される。入出力処理部5は、供給されてくる圧縮オーディオデータに対してATRAC圧縮デコードや必要に応じて暗号復号処理を行ってリニアPCMオーディオデータとされ、デジタルオーディオデータ出力部から出力TOUTとして出力する。或いはD/A変換器によりアナログ音声信号とされ、出力TOUTとしてライン出力/ヘッドホン出力、又は接続されたスピーカに対する出力を行う。
なお、スピーカが記録再生装置1に内蔵されるものとすれば、出力TOUTは記録再生装置1内のスピーカ部への出力となる。
システムコントローラ8は、記録再生装置1内の全体の制御を行うと共に、接続されたパーソナルコンピュータ50との間の通信制御を行う。
図示するROM8aには、システムコントローラ8の動作プログラムや固定パラメータ等が記憶される。
またRAM8bは、システムコントローラ8によるワーク領域として用いられ、また各種必要な情報の格納領域とされる。
例えばストレージ部2によってディスク40から読み出された各種管理情報や特殊情報、例えば上述したP−TOCデータ、U−TOCデータ、FATデータ等、楽曲トラックの管理情報については、キャッシュメモリ3に取り込まれるが、システムコントローラ8は、それらの管理情報の内、必要な情報をRAM8bに取り込んで処理することが行われる。
キャッシュ管理メモリ9は、例えばS−RAMで構成され、キャッシュメモリ3の状態を管理する情報が格納される。システムコントローラ8はキャッシュ管理メモリ9を参照しながらデータキャッシュ処理の制御を行う。
表示部6は、システムコントローラ8の制御に基づいて、ユーザーに対して提示すべき各種情報の表示を行う。例えば動作状態、モード状態、楽曲等の名称などの文字データ、トラックナンバー、時間情報、その他の情報表示を行う。
また、本例において、例えばディスク40が次世代ディスクである場合には、このディスク40に対し楽曲データに対応づけて画像データが記憶されていることが想定されているが、表示部6は、ディスク40のロード時や再生時等においてシステムコントローラ8の制御に基づき、このように対応づけられた画像データの表示を行うようにすることも考えられる。
操作部7には、ユーザーの操作のための各種操作子として、各種操作ボタンやジョグダイヤルなどが形成される。ユーザーは、この操作部7に対する操作により記録再生装置1に対する所要の動作指示を行う。システムコントローラ8は操作部7によって入力された操作情報に基づいて所定の制御処理を行う。
なお本例においては、後述する再生時のコンプレッサモード(レベル変換処理モード)の選択操作のための操作子や、再生時のボリューム調整のための操作子が、操作部7に設けられている。
なお、これまでに説明した記録再生装置1の構成はあくまでも一例であり、例えば入出力処理部5は、オーディオデータだけでなく、ビデオデータに対応する入出力処理系を備えるようにしてもよい。
また、パーソナルコンピュータ50との接続はUSBでなく、IEEE1394等の他の外部インタフェースが用いられても良い。
また、操作部7としては、リモートコントローラ上に先に例示したものと同様の操作子を備えるようにすることも可能である。
本例の記録再生装置1では、図1,図4で説明した構成において、システムコントローラ8の制御により所要の動作が実行される。上述した各種動作のため、システムコントローラ8では、図5に示すように各種タスクが実行される。即ちシステムコントローラ8は、図5の各種タスクを実行する機能ブロックがソフトウエアにより構成されている。
システムモードタスクは、記録再生装置1の動作モードを管理する機能である。上述したように記録再生装置1は、パーソナルコンピュータ50と接続されてのストレージ動作と、単体でのオーディオ記録再生を行う動作が行われる。システムモードタスクは、これら各動作状態の管理や、各動作状態でのシステム動作の制御を行う。
キャッシュ管理タスクは、キャッシュメモリ3の書込/読出動作制御、書込/読出のアドレス設定、記憶状況管理等を行う機能である。
ディスクアクセスタスクは、ストレージ部2に対する各種制御、即ち、ディスク40に対するデータ書込、データ読出、起動、停止、アクセス、サーボ等、キャッシュメモリ3との間のデータ転送等の動作を制御する機能である。
オーディオ入出力タスクは、入出力処理部5の動作、即ち入力データのエンコード、暗号化、出力データのデコード、復号、キャッシュメモリ3との間のデータ転送等の動作を制御する機能である。
USBタスクは、USBインターフェース4を介しての、パーソナルコンピュータ或いはネットワーク等との各種通信を実行したりデータ転送を制御する機能である。
電源管理タスクは、記録再生装置の電源管理を行う機能である。
ユーザーインターフェースタスクは、操作部7によるユーザー操作入力の検知や、表示部6の表示制御を行う機能である。
例えば以上のように各種タスクの機能が実行されることで、記録再生動作、表示動作、通信動作などが実行される。
2.第1の再生コンプレッサ動作例

以上の構成の記録再生装置1においては、入出力処理部5における再生出力系において、再生出力するオーディオ信号のレベル変換処理(コンプレッサ処理)を行う出力回路系が設けられている。
以下、オーディオ信号の出力回路系についての各例を説明していく。
音楽を再生する場合に、ユーザーは上述した<1><2>の不便を感じるときがある。即ちディスク40に記録された各トラック(各楽曲)のレベルがばらついている場合、ユーザーにこまめにボリューム調整を強いたりして不便に感じさせることがある。
また、楽曲内のレベル変動は、楽曲として本来もつものであり、またダイナミックレンジを広くして録音することが、高音質化に適切であるが、夜間であったり電車や街中などで聞く場合など、状況によってはボリューム調整が難しくなり、ユーザに不便を感じさせることがある。
そこで本実施の形態では、ユーザーがコンプレッサ処理モードのオン/オフを選択できるようにし、コンプレッサ処理モードがオンとされた場合は、再生オーディオ信号についてダイナミックレンジを圧縮するようにする。
まず第1の再生コンプレッサ動作例として、ダイナミックレンジをリニアに圧縮するコンプレッサ処理モードの動作について説明する。
図6は記録再生装置1におけるキャッシュメモリ3、入出力処理部5、システムコントローラ8、操作部7を示し、特にこれらにおいて入出力処理部5のオーディオ再生出力系及びその制御系のみを示したものである。
ディスク40からのオーディオコンテンツの再生時には、図1,図4で説明したストレージ部2でオーディオデータが読み出され、キャッシュメモリ3に転送される。そしてシステムコントローラ8のキャッシュタスク、オーディオ入出力タスクの管理の元、キャッシュメモリ3からオーディオデータが入出力処理部5に転送されてくる。
入出力処理部5においては、オーディオ信号をアナログ信号として出力TOUTから出力(例えばスピーカ部への出力やヘッドホン出力)する回路系として、図6に示すようにデコーダ51,レベル演算部52,ボリューム調整部53、D/A変換器54、出力アンプ55を備える。
デコーダ51は、キャッシュメモリ3から転送されてくる圧縮オーディオデータに対して圧縮を解除するデコード処理を行い、リニアPCMデータとしてのオーディオデータを得る。なお、オーディオデータが暗号化されてディスク40に記録されている場合は、デコーダ51において暗号化に対する復号処理も行う。
レベル演算部52は、リニアPCMオーディオデータに対してレベル変換処理を行う。つまり入力データのレベルを逐次変換して出力レベルとし、ダイナミックレンジの圧縮されたオーディオデータを出力する。但し、このレベル変換処理は、コンプレッサ処理モードがオンとされている場合であり、コンプレッサ処理モードがオフの場合は、ダイナミックレンジが圧縮されるようなレベル変換は行わない。
ボリューム調整部53は、ユーザーのボリューム操作に応じてオーディオデータのレベル調整を行う。
デコーダ51でデコードされ、レベル演算部52、ボリューム調整部53を介して得られたリニアPCMデータとしてのオーディオデータは、D/A変換器54でアナログオーディオ信号に変換される。そして出力アンプで必要な増幅処理やインピーダンス調整等が行われ、出力TOUTとして出力される。例えばスピーカやヘッドホンに供給され、ユーザーに対する再生音声として出力される。
操作部7には、図示するようにユーザーがコンプレッサ処理モードのオン/オフを選択するモード操作子7aが設けられており、ユーザーはこのモード操作子7aを操作することで、通常再生と、コンプレッサ処理を加えた再生を選択できる。
また操作部7には、再生音量を調整するボリューム操作子7bも設けられている。
システムコントローラ8は、モード操作子7aによるユーザーのオン/オフ選択状態を判別している。
モード操作子7aにおいてコンプレッサ処理モードのオンが選択された場合は、システムコントローラ8はレベル演算部52に対して、ダイナミックレンジ圧縮のためのレベル変換処理を実行させるように指示を出す。コンプレッサ処理モードのオフが選択された場合は、システムコントローラ8はレベル演算部52にダイナミックレンジ圧縮のためのレベル変換処理を実行させない。
また、システムコントローラ8は、ボリューム操作子7bの操作値に応じてボリューム調整部53を制御し、ユーザーのボリューム操作に応じたレベル調整を実行させる。
このような構成において、レベル演算部52で行われるコンプレッサ処理について図7,図8で説明する。
図7はレベル演算部52の入出力レベルの特性を示している。
コンプレッサ処理モードがオフとされた通常再生時は、破線で示すように入力レベルと出力レベルの増減の比は1:1である。つまりダイナミックレンジの圧縮は行われない。
一方、コンプレッサ処理モードがオンとされる場合は、実線で示すように、入力レベルの変化幅1に対し、出力レベルの変化幅を1未満に抑え、かつフルビット時のレベルは通常再生時と同じとされる。フルビットとはD/A変換器54の変換レンジ上限に相当するレベルである。つまりオーディオデータの最大レベルである。
この実線の特性で表されるように、コンプレッサ処理モードがオンの場合は、レベル演算部52で、入力レベルと出力レベルの関係においてレベル最大値は同一であり、かつ入力レベルの変化幅に対して出力レベルの変化幅が小さくなる入出力特性となるように、信号レベル変換が行われる。
レベル変換処理におけるアタックタイムとリカバリータイムは0とする。つまり入力の変化に対して極わずかな演算時間の遅延はあるものの、入力レベルに対する出力レベルは、入力の変化の仕方に寄らず一意的に決まるものとする。
レベル演算部52は、順次入力されてくるオーディオデータのレベルを逐次、実線の特性となるようにレベル変換して出力する。これによりダイナミックレンジが圧縮されたオーディオデータが出力されることになる。
このような再生コンプレッサ処理が行われる場合と、再生コンプレッサ処理が行われない通常再生時とについての、オーディオ信号レベルを図8に例示する。
図8は、ディスク40から再生される3つのトラック(楽曲)におけるオーディオ信号波形を模式的に示している。破線は通常再生時、実線はコンプレッサ処理モードがオンとされた場合である。
なお再生される3つのトラック(Track1〜Track3)には、録音レベル差が比較的大きいものであるとする。
破線で示すように通常再生時は、各トラック毎に比較的大きなレベル差が見られる。また、各トラックは、それぞれ音楽としての曲内のレベル変動があり、また曲調にもよるが、特にダイナミックレンジの広い高音質録音であるほど、曲内のレベル変動は大きい。
ここでコンプレッサ処理モードがオンとされ、図7のようなレベル変換が行われると、各トラックのオーディオ信号波形は実線のようになる。
ここで、Track2とTrack3の2つのトラックを例として曲毎のレベル差を考える。Track2は、Track3に比べて録音レベルが高い。そして通常再生時におけるTrack2の平均レベルをCtk2-1、Track3の平均レベルをCtk3-1とすると、そのレベル差はd1となる。
一方、コンプレッサ処理モードがオンとされた場合において、Track2の平均レベルをCtk2-2、Track3の平均レベルをCtk3-2とすると、そのレベル差はd2となる。
レベル差d1、d2を比較してわかるように、コンプレッサ処理モードがオンとされ図7の特性のレベル変換が行われることで、トラック毎のレベル差が小さくなる。
つまり本例によれば、コンプレッションモードをオンとすることで、ディスク40に録音された曲ごとのレベル差が緩和され、再生される音量として曲毎に大きく変動することが無くなるため、ユーザーが曲が変わるごとにボリューム操作子7bでボリューム調整するというわずらわしさが緩和されることになる。
また次に、Track1の波形を例として曲内のレベル変動を考える。破線で示す通常再生時におけるTrack1のピークレベルからボトムレベルの差をw1とする。また、実線で示す、コンプレッサ処理モードがオンとされた場合において、Track1のピークレベルからボトムレベルの差をw2とする。
レベル差w1、w2を比較してわかるように、コンプレッサ処理モードがオンとされ図7の特性のレベル変換が行われることで、トラック内のレベル差(レベル変動幅)が小さくなる。
つまり本例によれば、コンプレッションモードをオンとすることで、ディスク40から再生される曲内の小音量部と大音量部のレベル差が縮まる。これによれば、ダイナミックレンジは小さくなるものの、ユーザーは、夜間や電車内などの状況下で、ボリュームを上げずに小さい音まで楽しめるようになる。
このように本例では、コンプレッションモードをオンとし、ダイナミックレンジをリニアに圧縮するコンプレッサ的な動作を行うことで、上述した<2>の問題の改善に有効であり、<1>の問題の緩和にもなる。
また、再生時にコンプレッションモードを選択できることは、録音時にはダイナミックレンジ調整して録音することが不要であり、換言すれば、音質を犠牲にしないオーディオ録音ができる。
そして再生時のコンプレッションモードのオン/オフは、ユーザーが操作により選択するものであるため、ユーザーは状況に応じて、コンプレッションモードをオンにして、上記<1><2>の問題を改善した音楽再生を楽しみ、また聴取環境が適切な場合や、楽曲毎のレベル差がさほど無い場合などは、コンプレッションモードをオフとした高音質な音楽再生を楽しむことができる。
3.第2の再生コンプレッサ動作例

上記第1の再生コンプレッサ動作の変形例として第2の再生コンプレッサ動作例を説明する。この場合も、構成は図6と同様であり、レベル演算部52ではダイナミックレンジをリニアに圧縮する動作を行う。
図9はレベル演算部52の入出力レベルの特性を示している。
コンプレッサ処理モードがオフとされた通常再生時は、破線で示すように入力レベルと出力レベルの増減の比は1:1である。つまりダイナミックレンジの圧縮は行われない。
一方、コンプレッサ処理モードがオンとされる場合は、実線で示すように、入力レベルの変化幅1に対し、出力レベルの変化幅を1未満に抑え、かつフルビット時のレベルは通常再生時より低いレベルとされる。
つまり実線の特性で表されるように、コンプレッションモードがオンの場合は、レベル演算部52で、入力レベルと出力レベルの関係において、出力レベル最大値が入力レベル最大値より低く、かつ入力レベルの変化幅に対して出力レベルの変化幅が小さくなる入出力特性となるように、信号レベル変換が行われる。
レベル変換処理におけるアタックタイムとリカバリータイムは0とされ、レベル演算部52は、順次入力されてくるオーディオデータのレベルを逐次、実線の特性となるようにレベル変換して出力する。これによりダイナミックレンジが圧縮されたオーディオデータが出力されることになる。
このような再生コンプレッサ処理が行われる場合と、再生コンプレッサ処理が行われない通常再生時について、オーディオ信号レベルを図10に例示する。
破線で示すように通常再生時は、各トラック毎に比較的大きなレベル差が見られる。また、各トラックは、それぞれ音楽としての曲内のレベル変動がある。
ここでコンプレッサ処理モードがオンとされ、図9のようなレベル変換が行われると、各トラックのオーディオ信号波形は実線のようになる。
この場合も、Track2とTrack3の2つのトラックを例として曲毎のレベル差を考えると、通常再生時におけるTrack2の平均レベルCtk2-1とTrack3の平均レベルCtk3-1とのレベル差d1に対して、コンプレッサ処理モードがオンとされた場合のTrack2の平均レベルCtk2-2とTrack3の平均レベルCtk3-2とのレベル差d2は小さいものとなる。
また、Track1の波形を例として曲内のレベル変動を考えると、通常再生時におけるTrack1のピークレベルからボトムレベルの差w1に対して、コンプレッサ処理モードがオンとされた場合のピークレベルからボトムレベルの差w2は小さくなる。
つまり図9のような特性でレベル変換を行っても、トラック毎のレベル変動は緩和され、またトラック内(曲内)のレベル変動も小さくなる。これにより上記第1の再生コンプレッサ動作例と同様の効果が得られる。
4.第3の再生コンプレッサ動作例

第3の再生コンプレッサ動作例として、曲自体のダイナミックレンジ圧縮はあまり行わずに、曲ごとのレベル差を少なくするコンプレッサ処理モードの動作について説明する。
この場合、入出力処理部5の構成は図11に示すようになる。即ち、図6において逐次レベル変換を行うレベル演算部52に代えて、ゲイン制御部56とゲイン可変部57が設けられる。
デコーダ51から出力されるオーディオデータは、ゲイン制御部56とゲイン可変部57に供給される。
ゲイン可変部57は、プログラマブルゲインアンプなどによる可変ゲイン部とされ、ゲイン制御部56により可変設定されるゲインにより、入力されたオーディオデータにゲインを与える。
ゲイン制御部56は、入力されるオーディオデータのレベルを監視し、オーディオデータのレベルが所定のリミットレベルを越えたら、所定のアタックタイムをもって、ゲイン可変部57のゲインを下げる。また、ゲインを下げた後は、所定のリカバリタイムをもって、ゲイン可変部57のゲインを初期値に向かって復帰させていく。
アタックタイム(入力オーディオデータがリミットレベルを超えた場合にゲインを下げる時間)は0か、もしくは極力短くする。一方、リカバリータイム(入力オーディオデータがリミットレベルを下回った場合に、初期ゲインに戻る時間)については長めにする。例えば数十秒程度とする。
またゲイン制御部56は、入力されるオーディオデータのレベルが低い場合は、或るアタックタイムをもって、ゲイン可変部57のゲインを上げる。また、ゲインを上げた後は、上記の比較的長めのリカバリタイムをもって、ゲイン可変部57のゲインを初期値に向かって復帰させていく。
なお「入力されるオーディオデータのレベルが低い場合」とは、或る時間範囲で入力されるオーディオデータのレベル平均値をとり、その平均値が所定レベルより低い場合としても良いし、所定レベルより低いレベル状態が、或る時間継続した場合などとしても良い。
以上のようにゲイン可変部57とゲイン制御部56により、いわゆるAGC(オートゲインコントロール)的な動作を行うようにする。
システムコントローラ8は、モード操作子7aによるユーザーのオン/オフ選択状態を判別している。
モード操作子7aにおいてコンプレッサ処理モードのオンが選択された場合は、システムコントローラ8はゲイン制御部56、ダイナミックレンジ圧縮のためのゲイン可変処理を実行させるように指示を出す。その場合に、ゲイン可変部57は、上記のようにオーディオデータのレベルがリミットレベルを越えることに応じたゲイン可変制御を行う。
またコンプレッサ処理モードのオフが選択された場合は、システムコントローラ8はゲイン制御部56にゲイン可変処理を実行させない。その場合ゲイン制御部56は、ゲイン可変部57におけるゲインを固定する。例えばゲイン=1で固定する。
また、システムコントローラ8は、そのキャッシュタスク及びオーディオ入出力タスクによりキャッシュメモリ3から入出力処理部5へのオーディオデータの転送管理を行っているが、オーディオデータに付随するアドレス情報や、トラックナンバの情報などから、入出力処理部5へ転送されているオーディオデータのトラックの切れ目を判別することができる。コンプレッサ処理モードがオンとされている場合、システムコントローラ8は、トラックの切れ目のタイミングでゲイン制御部56にゲイン初期化指示を発する。
その場合ゲイン制御部56は、ゲイン可変部57におけるゲインを初期ゲイン値に戻すように制御する。
この場合の、ゲイン可変部57での入出力特性を図12に示す。
コンプレッサ処理モードがオフとされた通常再生時は、破線で示すように入力レベルと出力レベルの増減の比は1:1である。つまりダイナミックレンジの圧縮は行われない。
一方、コンプレッサ処理モードがオンとされる場合は、まず初期ゲイン値として例えば破線G2で示す入出力特性となるゲインが設定される。
その状態でゲイン制御部56は、オーディオデータのレベルがリミットレベルを越えるか否か、また所定以下のレベルとなるか否かを監視している。
ある時点でオーディオデータのレベルがリミットレベルを越えたら、ゲイン可変部57のゲインを、例えば破線G4で示す入出力特性となるゲインに変化させる。そして比較的長いリカバリタイムをもって、矢印Rとして示すように、ゲインをG4→G3→初期ゲインG2という方向に復帰させていく。もちろん、その復帰過程において、オーディオデータのレベルがリミットレベルを越えたら、再びゲイン可変部57のゲインを、破線G4のゲインに変化させ、その後、徐々に復帰させていく。
また、オーディオデータのレベルが所定以下となっていると判別されたら、ゲイン可変部57のゲインを、例えば破線G1で示す入出力特性となるゲインに変化させる。そして比較的長いリカバリタイムをもって、矢印Rとして示すように、ゲインをG1→初期ゲインG2という方向に復帰させていく。
また、ゲイン制御部56は、トラックの切れ目に応じたシステムコントローラ8からの初期化指示に応じて、ゲイン可変部57のゲインを初期ゲインG2に設定する。
このようなゲイン可変処理により、結果的に、ゲイン可変部57の入出力特性は図12に実線で示すようになる。
また、リカバリタイムを長くとることで、リミッタレベルを超えない範囲ではゲインの変動は緩慢なものとなり、短い時間内でみれば入力と出力のレベル変動比は1:1となる。つまり、聴感上、入力のダイナミックレンジがほぼ維持される。
また、トラック(曲)情報を元に、曲が変わった場合にそのときのゲインが初期化されるため、前の曲のレベル変化が次の曲のゲイン設定に全く影響しない。
このような再生コンプレッサ処理が行われる場合と、再生コンプレッサ処理が行われない通常再生時について、オーディオ信号レベルを図13に例示する。
図13は、上記図8、図10と同様に、ディスク40から再生される3つのトラック(楽曲)におけるオーディオ信号波形を模式的に示している。破線は通常再生時、実線はコンプレッサ処理モードがオンとされた場合である。
破線で示すように通常再生時は、各トラック毎に比較的大きなレベル差が見られる。また、各トラックは、それぞれ音楽としての曲内のレベル変動がある。
ここでコンプレッサ処理モードがオンとされ、図12のようなゲイン可変処理が行われると、各トラックのオーディオ信号波形は実線のようになる。なお、矢印で示すように、ゲイン初期化はそれぞれトラックの切り替わりのタイミングで行われる。
ここで、Track2とTrack3の2つのトラックを例として曲毎のレベル差を考える。通常再生時におけるTrack2の平均レベルをCtk2-1、Track3の平均レベルをCtk3-1とすると、そのレベル差はd1となる。
一方、コンプレッサ処理モードがオンとされた場合において、Track2の平均レベルをCtk2-2、Track3の平均レベルをCtk3-2とすると、そのレベル差はd2となる。
レベル差d1、d2を比較してわかるように、コンプレッサ処理モードがオンとされ図12の特性となるゲイン可変処理が行われることで、トラック毎のレベル差が小さくなる。
特に、上記図8,図10と比較してわかるように、トラック毎のレベル差が小さくなる度合いは本例の方がはるかに大きい。
つまり本例によれば、コンプレッションモードをオンとすることで、ディスク40に録音された曲ごとの再生時のレベル差がほとんどなくなり、ユーザーが曲が変わるごとにボリューム操作子7bでボリューム調整するというわずらわしさは、ほとんど解消される。
また次に、Track1の波形を例として曲内のレベル変動を考える。破線で示す通常再生時におけるTrack1のピークレベルからボトムレベルの差をw1とする。また、実線で示す、コンプレッサ処理モードがオンとされた場合において、Track1のピークレベルからボトムレベルの差をw2とする。
レベル差w1、w2を比較してわかるように、コンプレッサ処理モードがオンとされ図12の入出力特性を得るゲイン可変処理が行われることで、トラック内のレベル差(レベル変動幅)が多少、小さくなる。
本例の場合、ディスク40から再生される曲内の小音量部と大音量部のレベル差を小さくするという点では、上記図8,図10の場合ほどとはならない。
但し、曲ごとのダイナミックレンジは入力ソースとほぼ同等に維持されるため、オリジナルに近いダイナミックレンジで音楽が楽しめる。
このように本例では、コンプレッションモードをオンとすることで、上述した<1>の問題を非常に効果的に改善できる。一方、<2>の問題の緩和効果は小さいが、逆に録音された状態に近いダイナミックレンジで比較的高音質の音楽が楽しめるものとなる。
もちろん本例の場合も、聴取環境が適切な場合や、楽曲毎のレベル差がさほど無い場合などは、コンプレッションモードをオフとした高音質な音楽再生を楽しむことができる。
なお、本例ではトラックの切り替わりタイミングでゲイン設定を初期化するものとしたが、初期化を行わない例も考えられる。
5.変形例

以上、実施の形態を説明してきたが、本発明としては多様な変形例が考えられる。
上記例では、MDに対応する記録再生装置を例に挙げて本発明の再生装置、再生方法を説明したが、本発明は多様な機器において適用可能である。
例えばMD以外のディスクメディアとして、CD(Compact Disc)方式、DVD(Digital Versatile Disc)方式、ブルーレイディスク(Blu-Ray)方式のディスクが知られ、それらの方式のディスクからオーディオ信号を再生できるシステムも知られているが、それらのシステムとしての再生装置、再生方法として本発明を適用できる。
また、ハードディスクを用いたオーディオ再生機器、磁気テープ等を用いた再生機器、さらには半導体メモリカード或いは内蔵の固体メモリを記録メディアとしてオーディオ信号の再生を行う再生機器などにも、本発明を適用できる。
また例えば磁気テープやディスク等を記録メディアとして録画を行う映像撮像機器(ビデオカメラ)におけるオーディオ再生系において本発明を採用することも好適である。
本発明の実施の形態の記録再生装置のブロック図である。 実施の形態の記録再生装置が対応するディスクの説明図である。 実施の形態の記録再生装置が対応するディスクの説明図である。 実施の形態の記録再生装置のストレージ部のブロック図である。 実施の形態のシステムコントローラのタスクの説明図である。 実施の形態の再生処理系のブロック図である。 実施の形態の第1の再生コンプレッサの特性の説明図である。 実施の形態の第1の再生コンプレッサによる信号波形の説明図である。 実施の形態の第2の再生コンプレッサの特性の説明図である。 実施の形態の第2の再生コンプレッサによる信号波形の説明図である。 実施の形態の再生処理系のブロック図である。 実施の形態の第3の再生コンプレッサの特性の説明図である。 実施の形態の第3の再生コンプレッサによる信号波形の説明図である。
符号の説明
1 記録再生装置、2 ストレージ部、3 キャッシュメモリ、4 USBインタフェース、5 入出力処理部、6 表示部、7 操作部、8 システムコントローラ、8a ROM、8b RAM、9 キャッシュ管理メモリ、61A,61B アッテネータ、62 プログラマブルゲインアンプ(PGA)、63 A/D変換器、64 エンコーダ、65 AGC制御部

Claims (2)

  1. 記録媒体に記録された複数の楽曲からなるオーディオ信号を読み出してデコードする再生手段と、
    ユーザー操作としてレベル変換処理モードのオン/オフ選択操作を行うための選択操作手段と、
    オーディオ信号に対する可変ゲイン部と、オーディオ信号のレベルに応じて上記可変ゲイン部のゲインを変化させるゲイン制御部とを備えて、上記選択操作手段でレベル変換処理モードがオンとされた場合に、上記再生手段でデコードされたオーディオ信号に対してダイナミックレンジを圧縮するように信号レベルを変化させる処理を行うレベル処理手段と、
    上記レベル処理手段を介したオーディオ信号を出力するための出力処理手段と、
    上記再生手段でデコードされるオーディオ信号における楽曲が切り替わった楽曲切替わりタイミングを検出する検出手段と、
    を備え
    上記ゲイン制御部は、入力されるオーディオ信号のレベルがリミットレベルを越えることに応じて、出力されるオーディオ信号のレベルが上記リミットレベルを越えなくなるように上記可変ゲイン部のゲイン制御を行うとともに、上記検出手段によって検出された上記楽曲切替わりタイミングで、上記可変ゲイン部のゲインを初期化する
    ことを特徴とする再生装置。
  2. 記録媒体に記録された複数の楽曲からなるオーディオ信号を読み出してデコードする再生ステップと、
    ユーザー操作によりレベル変換処理モードがオンとされた場合に、デコードされたオーディオ信号に対してダイナミックレンジを圧縮するように信号レベルを変化させる処理を行うレベル処理ステップと、
    上記レベル処理ステップを介したオーディオ信号を出力するための処理を行う出力処理ステップと、
    を備え
    上記レベル処理ステップでは、入力されるオーディオ信号のレベルがリミットレベルを越えることに応じて、出力されるオーディオ信号のレベルが上記リミットレベルを越えなくなるように、オーディオ信号に与えるゲインの可変制御を行うとともに、再生ステップでデコードされるオーディオ信号における楽曲が切り替わった楽曲切替わりタイミングで、オーディオ信号に与えるゲインを初期化する
    ことを特徴とする再生方法。
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