以下、本発明を実施するための最良の形態として、多岐に亘る記録/再生機能が搭載されたディスクドライブ装置10につき図面を参照しながら詳細に説明する。
ディスクドライブ装置10は、従来の光磁気記録方式を採用したディスク状記録媒体に対して、このディスク状記録媒体の記録再生方式として通常用いられ記録フォーマットとは異なる信号方式を適用することによって、従来の光磁気記録媒体の記録容量を増加することを実現したものである。さらに、高密度記録技術及び新規ファイルシステムを適用することによって、従来の光磁気記録媒体と筐体外形及び記録再生光学系に互換性を有しつつ、記録容量を飛躍的に増加することを可能にした記録形式を提供するものである。
本具体例では、ディスク状の光磁気記録媒体として、ミニディスク(登録商標)方式の記録媒体に適用した場合に関して説明する。ここでは、特に、通常用いられる記録形式とは異なる形式を適用することによって、従来の光磁気記録媒体を用いて、その記録容量を増加することを実現したディスクを次世代MD1とし、高密度記録可能な新規記録媒体に対して新規記録形式を適用することにより、記録容量の増加を実現したディスクを次世代MD2として説明する。
以下では、次世代MD1及び次世代MD2の仕様例を説明するとともに、本発明に係るアドレス変換方法を適用してこれら両ディスクに対する記録データを生成する処理について説明する。
先ず、従来のミニディスク、次世代MD1及び次世代MD2の仕様について図1を用いて説明する。ミニディスク(及びMD−DATA)の物理フォーマットは、以下のように定められている。トラックピッチは、1.6μm、ビット長は、0.59μm/bitとなる。また、レーザ波長λは、λ=780nmであり、光学ヘッドの開口率は、NA=0.45としている。記録方式としては、グルーブ(ディスク盤面上の溝)をトラックとして記録再生に用いるグルーブ記録方式を採用している。また、アドレス方式としては、ディスク盤面上にシングルスパイラルのグルーブを形成し、このグルーブの両側に対して所定の周波数(22.05KHz)で蛇行したウォブル(Wobble)を形成し、絶対アドレスを上記周波数を基準にFM変調してウォブルドグルーブトラックに記録する方式を採っている。なお、本明細書では、ウォブルとして記録される絶対アドレスをADIP(Address in Pre-groove)ともいう。
従来のMDでは、メインデータ部である32セクタにリンクセクタである4セクタを付加して合計36セクタを1クラスタ単位として記録を行っている。上記ADIP信号はクラスタアドレス、セクタアドレスから構成される。上記クラスタアドレスは、8ビットのクラスタHと8ビットのクラスタLとから構成され、セクタアドレスは、4ビットのセクタから構成される。
また、従来のミニディスクでは、記録データの変調方式としてEFM(8−14変換)変調方式が採用されている。また、誤り訂正方式としては、ACIRC(Advanced Cross Interleave Reed-Solomon Code)を用いている。データインタリーブには、畳み込み型を採用している。これにより、データの冗長度は、46.3%となっている。
また、従来のミニディスクにおけるデータの検出方式は、ビットバイビット方式であって、ディスク駆動方式としては、CLV(Constant Linear Velocity)が採用されている。CLVの線速度は、1.2m/sである。
記録再生時の標準のデータレートは、133kB/s、記録容量は、164MB(MD−DATAでは、140MB)である。また、データの最小書換単位(単位クラスタ)は、上述のように32個のメインセクタと4個のリンクセクタによる36セクタで構成されている。
続いて、本具体例として示す次世代MD1に関して説明する。次世代MD1は、上述した従来のミニディスクと記録媒体の物理的仕様は、同一である。そのため、トラックピッチは、1.6μm、レーザ波長λは、λ=780nmであり、光学ヘッドの開口率は、NA=0.45である。記録方式としては、グルーブ記録方式を採用している。また、アドレス方式は、ADIPを利用する。このように、ディスクドライブ装置における光学系の構成やADIPアドレス読出方式、サーボ処理は、従来のミニディスクと同様であるため、従来ディスクとの互換性が達成されている。
次世代MD1は、記録データの変調方式として、高密度記録に適合したRLL(1−7)PP変調方式(RLL;Run Length Limited、PP:Parity preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))を採用している。また、誤り訂正方式としては、より訂正能力の高いBIS(Burst Indicator Subcode)付きのRS−LDC(Reed Solomon−Long Distance Code)方式を用いている。
具体的には、ホストアプリケーション等から供給されるユーザデータの2048バイトに4バイトのEDC(Error Detection Code)を付加した2052バイトを1セクタ(データセクタ、後述するディスク上の物理セクタとは異なる)とし、図2に示すように、Sector0〜Sector31の32セクタを304列×216行のブロックにまとめる。ここで、各セクタの2052バイトに対しては、所定の疑似乱数との排他的論理和(Ex-OR)をとるようなスクランブル処理が施される。このスクランブル処理されたブロックの各列に対して32バイトのパリティを付加して、304列×248行のLDC(Long Distance Code)ブロックを構成する。このLDCブロックにインタリーブ処理を施して、152列×496行のブロック(Interleaved LDC Block)とし、これを図3に示すように38列ずつ1列の上記BISを介して配列することで155列×496行の構造とし、さらに先頭位置に2.5バイト分のフレーム同期コード(Frame Sync)を付加して、1行を1フレームに対応させ、157.5バイト×496フレームの構造とする。この図3の各行が、後述する図9に示す1レコーディングブロック(クラスタ)内のデータ領域のFrame10〜Frame505の496フレームに相当する。
以上のデータ構造において、データインタリーブは、ブロック完結型とする。これによりデータの冗長度は、20.50%になる。また、データの検出方式として、PR(1,2,1)MLによるビタビ復号方式を用いる。
ディスク駆動方式には、CLV方式を用い、その線速度は、2.4m/sとする。記録再生時の標準データレートは、4.4MB/sである。この方式を採用することにより、総記録容量を300MBにすることができる。変調方式をEFMからRLL(1−7)PP変調方式とすることによって、ウインドウマージンが0.5から0.666となるため、1.33倍の高密度化が実現できる。また、データの最小書換単位であるクラスタは、16セクタ、64kBで構成される。このように記録変調方式をCIRC方式からBIS付きのRS−LDC方式及びセクタ構造の差異とビタビ復号を用いる方式にすることで、データ効率が53.7%から79.5%となるため、1.48倍の高密度化が実現できる。
これらを総合すると、次世代MD1は、記録容量を従来ミニディスクの約2倍である300MBにすることができる。
一方、次世代MD2は、例えば、磁壁移動検出方式(DWDD:Domain Wall Displacement Detection)等の高密度化記録技術を適用した記録媒体であって、上述した従来ミニディスク及び次世代MD1とは、物理フォーマットが異なっている。次世代MD2は、トラックピッチが1.25μm、ビット長が0.16μm/bitであり、線方向に高密度化されている。
また、従来ミニディスク及び次世代MD1との互換を採るため、光学系、読出方式、サーボ処理等は、従来の規格に準じて、レーザ波長λは、λ=780nm、光学ヘッドの開口率は、NA=0.45とする。記録方式は、グルーブ記録方式、アドレス方式は、ADIPを利用した方式とする。また、筐体外形も従来ミニディスク及び次世代MD1と同一規格とする。
但し、従来ミニディスク及び次世代MD1と同等の光学系を用いて、上述のように従来より狭いトラックピッチ及び線密度(ビット長)を読み取る際には、デトラックマージン、ランド及びグルーブからのクロストーク、ウォブルのクロストーク、フォーカス漏れ、CT信号等における制約条件を解消する必要がある。そのため、次世代MD2では、グルーブの溝深さ、傾斜、幅等を変更した点が特徴的である。具体的には、グルーブの溝深さを160nm〜180nm、傾斜を60°〜70°、幅を600nm〜800nmの範囲と定める。
また、次世代MD2は、記録データの変調方式として、高密度記録に適合したRLL(1−7)PP変調方式(RLL;Run Length Limited、PP:Parity preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))を採用している。また、誤り訂正方式としては、より訂正能力の高いBIS(Burst Indicator Subcode)付きのRS−LDC(Reed Solomon−Long Distance Code)方式を用いている。
データインタリーブは、ブロック完結型とする。これによりデータの冗長度は、20.50%になる。またデータの検出方式は、PR(1,−1)MLによるビタビ復号方式を用いる。また、データの最小書換単位であるクラスタは、16セクタ、64kBで構成されている。
ディスク駆動方式には、ZCAV(Zone Constant Angular Velocity)方式を用い、その線速度は、2.0m/sとする。記録再生時の標準データレートは、9.8MB/sである。したがって、次世代MD2では、DWDD方式及びこの駆動方式を採用することにより、総記録容量を1GBにできる。
本具体例に示す次世代MD1の盤面上のエリア構造例を図4、図5に模式的に示す。次世代MD1は、従来ミニディスクと同じ媒体であって、ディスクの最内周側は、プリマスタードエリアとして、PTOC(Premastered Table Of Contents)が設けられている。ここには、ディスク管理情報が物理的な構造変形によるエンボスピットとして記録されている。ちなみに、この次世代MD1としてPTOCの一部にユーザ自身が設定可能なユニークなIDを設けるようにしても良い。
プリマスタードエリアより外周は、光磁気記録可能なレコーダブルエリアとされ、記録トラックの案内溝としてのグルーブが形成された記録再生可能領域である。このレコーダブルエリアの最内周側は、UTOC(User Table Of Contents)領域であって、このUTOC領域には、UTOC情報が記述されるとともに、プリマスタードエリアとの緩衝エリアや、レーザ光の出力パワー調整等のために用いられるパワーキャリブレーションエリアが設けられている。
次世代MD2は、図5に示すように、高密度化を図るためにプリピットを用いない。したがって、次世代MD2には、PTOC領域がない。次世代MD2には、レコーダブルエリアのさらに内周領域に、著作権保護のための情報、データ改竄チェックのための情報、他の非公開情報等を記録するユニークIDエリア(Unique ID;UID)が設けられている。このUIDエリアは、次世代MD2に適用されるDWDD方式とは異なる記録方式で記録されている。
なお、ここでは、次世代MD1及び次世代MD2に音楽データ用のオーディオトラックとデータトラックとをディスク上に混在記録することもできる。この場合、例えば、図6に示すように、データエリアに少なくとも1つのオーディオトラックが記録されたオーディオ記録領域AAと、少なくとも1つのデータトラックが記録されたPC用データ記録領域DAとがそれぞれ任意の位置に形成されることになる。
一連のオーディオトラックやデータトラックは、ディスク上で必ずしも物理的に連続して記録される必要はなく、図6に示すように複数のパーツに分割して記録されていてもよい。パーツとは、物理的に連続して記録される区間を示す。すなわち、図6のように物理的に離れた2つのPCデータ記録領域が存在する場合でも、データトラックの数としては、1つの場合もあり、複数の場合もある。但し、図6は、次世代MD1の物理的仕様に関して示したものであるが、次世代MD2に関しても同様に、オーディオ記録領域AAとPC用データ記録領域DAとを混在して記録することができる。
上述した物理的仕様を有する次世代MD1と次世代MD2との互換性を有した記録再生装置の具体例に関しては、後段で詳細に説明する。
図7及び図8に基づいて、本具体例のディスクの管理構造を説明する。図7は、次世代MD1のデータ管理構造を示したものであり、図8は、次世代MD2のデータ管理構造を示したものである。
次世代MD1では、上述したように、従来のミニディスクと同一の媒体であるため、次世代MD1では、従来ミニディスクで採用されているように書換不可能なエンボスピットによりPTOCが記録されている。このPTOCには、ディスクの総容量、UTOC領域におけるUTOC位置、パワーキャリブレーションエリアの位置、データエリアの開始位置、データエリアの終了位置(リードアウト位置)等が管理情報として記録されている。
次世代MD1では、ADIPアドレス0000〜0002には、レーザの書込出力を調整するためのパワーキャリブレーションエリア(Rec Power Calibration Area)が設けられている。続く0003〜0005には、UTOCが記録される。UTOCには、トラック(オーディオトラック/データトラック)の記録・消去等に応じて書き換えられる管理情報が含まれ、各トラック及びトラックを構成するパーツの開始位置、終了位置等を管理している。また、データエリアにおいて未だトラックが記録されていないフリーエリア、すなわち書込可能領域のパーツも管理している。UTOC上では、PC用データ全体をMDオーディオデータによらない1つのトラックとして管理している。そのため、仮にオーディオトラックとデータトラックとを混在記録したとしても、複数のパーツに分割されたPC用データの記録位置を管理できる。
また、UTOCデータは、このUTOC領域における特定のADIPクラスタに記録され、UTOCデータは、このADIPクラスタ内のセクタ毎に、その内容が定義されている。具体的には、UTOCセクタ0(このADIPクラスタ内の先頭のADIPセクタ)は、トラックやフリーエリアにあたるパーツを管理しており、UTOCセクタ1及びセクタ4は、トラックに対応した文字情報を管理している。また、UTOCセクタ2には、トラックに対応した記録日時を管理する情報が書き込まれる。
UTOCセクタ0は、記録されたデータや記録可能な未記録領域、さらにデータの管理情報等が記録されているデータ領域である。例えば、ディスクにデータを記録する際、ディスクドライブ装置は、UTOCセクタ0からディスク上の未記録領域を探し出し、ここにデータを記録する。また再生時には、再生すべきデータトラックが記録されているエリアをUTOCセクタ0から判別し、そのエリアにアクセスして再生動作を行う。
なお、次世代MD1において、PTOC及びUTOCは、従来のミニディスクシステムに準拠する方式、ここではEFM変調方式により変調されたデータとして記録されている。したがって、次世代MD1は、EFM変調方式により変調されたデータとして記録された領域と、RS−LDC及びRLL(1−7)PP変調方式で変調された高密度データとして記録された領域とを有することになる。
また、ADIPアドレス0032に記述されるアラートトラックには、従来ミニディスクのディスクドライバ装置に次世代MD1を挿入したとしても、この媒体が従来ミニディスクのディスクドライバ装置に対応していないことを知らせるための情報が格納されている。この情報は、「このディスクは、この再生装置に対応していないフォーマットです。」等の音声データ、或いは警告音データとしてもよい。また、表示部を備えるディスクドライバ装置であれば、この旨を表示するためのデータであってもよい。このアラートトラックは、従来ミニディスクに対応したディスクドライバ装置でも読取可能なように、EFM変調方式によって記録されている。
ADIPアドレス0034には、次世代MD1のディスク情報を表したディスクディスクリプションテーブル(Disc Description Table;DDT)が記録される。DDTには、フォーマット形式、ディスク内論理クラスタの総数、媒体固有のID、このDDTの更新情報、不良クラスタ情報等が記述される。
DDT領域からは、RS−LDC及びRLL(1−7)PP変調方式で変調された高密度データとして記録されるため、アラートトラックとDDTとの間には、ガードバンド領域が設けられている。
また、RLL(1−7)PP変調方式で変調された高密度データが記録される最も若いADIPアドレス、すなわち、DDTの先頭アドレスには、ここを0000とする論理クラスタ番号(Logical Cluster Number;LCN)が付される。1論理クラスタは、65,536バイトであり、この論理クラスタが読み書き最小単位となる。なお、ADIPアドレス0006〜0031は、リザーブされている。
続くADIPアドレス0036〜0038には、認証によって公開可能となるセキュアエリア(Secure Area)が設けられている。このセキュアエリアによって、データを構成する各クラスタの公開可・不可等の属性を管理している。特に、このセキュアエリアでは、著作権保護のための情報、データ改竄チェックのための情報等を記録する。また、このほかの各種の非公開情報を記録することができる。この公開不可領域は、特別に許可された特定外部機器のみが限定的にアクセスできるようになっており、このアクセス可能な外部機器を認証する情報も含まれる。
ADIPアドレス0038からは、書込及び読取自由なユーザエリア(User Area)(任意データ長)とスペアエリア(Spare Area)(データ長8)とが記述される。ユーザエリアに記録されたデータは、LCNの昇順に並べたとき、先頭から2,048バイトを1単位としたユーザセクタ(User Sector)に区切られており、PC等の外部機器からは、先頭のユーザセクタを0000とするユーザセクタ番号(User Sector Number;USN)を付してFATファイルシステムにより管理されている。
続いて、次世代MD2のデータ管理構造について図8を用いて説明する。次世代MD2は、PTOCエリアを持たない。そのため、ディスクの総容量、パワーキャリブレーションエリアの位置、データエリアの開始位置、データエリアの終了位置(リードアウト位置)等のディスク管理情報は、PDPT(Preformat Disc Parameter Table)として全てADIP情報に含まれて記録されている。データは、BIS付きのRS−LDC及びRLL(1−7)PP変調方式で変調され、DWDD方式で記録されている。
また、リードインエリア及びリードアウトエリアには、レーザパワーキャリブレーションエリア(Power Calibration Area;PCA)が設けられる。次世代MD2では、PCAに続くADIPアドレスを0000としてLCNを付ける。
また、次世代MD2では、次世代MD1におけるUTOC領域に相当するコントロール領域が用意されている。図8には、著作権保護のための情報、データ改竄チェックのための情報、他の非公開情報等を記録するユニークIDエリア(Unique ID;UID)が示されているが、実際には、このUIDエリアは、リードイン領域のさらに内周位置に、通常のDWDD方式とは異なる記録方式で記録されている。
次世代MD1及び次世代MD2のファイルは、ともにFATファイルシステムに基づいて管理される。例えば、各データトラックは、それぞれ独自にFATファイルシステムを持つ。或いは、複数のデータトラックにわたって1つのFATファイルシステムを記録するようにもできる。
続いて、本発明の具体例として示す次世代MD1及び次世代MD2のADIPセクタ構造とデータブロックとの関係について図9を用いて説明する。従来のミニディスク(MD)システムでは、ADIPとして記録された物理アドレスに対応したクラスタ/セクタ構造が用いられている。本具体例では、説明の便宜上、ADIPアドレスに基づいたクラスタを「ADIPクラスタ」と記す。また、次世代MD1及び次世代MD2におけるアドレスに基づくクラスタを「レコーディングブロック(Recording Block)」あるいは「次世代MDクラスタ」と記す。
次世代MD1及び次世代MD2では、データトラックは、図9に示すようにアドレスの最小単位であるクラスタの連続によって記録されたデータストリームとして扱われている。
図9に示すように次世代MD1では、従来の1クラスタ(36セクタ)を2分割して、1レコーディングブロックを18セクタで構成し、次世代MD2では16セクタで構成する。
図9に示す1レコーディングブロック(1次世代MDクラスタ)のデータ構造としては、10フレームのプリアンブルと、6フレームのポストアンブルと、496フレームのデータ部とからなる512フレームから構成されている。さらにこのレコーディングブロック内の1フレームは、同期信号領域と、データ、BIS、DSVとからなる。
また、1レコーディングブロックの512フレームのうち、メインデータが記録される496フレームを16等分した各々をアドレスユニット(Address Unit)とよぶ。各アドレスユニットは、31フレームから成る。また、このアドレスユニットの番号をアドレスユニットナンバ(Address Unit Number;AUN)とよぶ。このAUNは、全てのアドレスユニットに付される番号であって、記録信号のアドレス管理に使用される。
次世代MD1のように、ADIPに記述された物理的なクラスタ/セクタ構造を有する従来ミニディスクに対して、1−7PP変調方式で変調された高密度データを記録する場合、ディスクに元々記録されたADIPアドレスと、実際に記録するデータブロックのアドレスとが一致しなくなるという問題が生じる。ランダムアクセスは、ADIPアドレスを基準として行われるが、ランダムアクセスでは、データを読み出す際、所望のデータが記録された位置近傍にアクセスしても、記録されたデータを読み出せるが、データを書き込む際には、既に記録されているデータを上書き消去しないように正確な位置にアクセスする必要がある。そのため、ADIPアドレスに対応付けした次世代MDクラスタ/次世代MDセクタからアクセス位置を正確に把握することが重要となる。
そこで、次世代MD1の場合、媒体表面上にウォブルとして記録されたADIPアドレスを所定規則で変換して得られるデータ単位によって高密度データクラスタを把握する。この場合、ADIPセクタの整数倍が高密度データクラスタになるようにする。この考え方に基づいて、従来ミニディスクに記録された1ADIPクラスタに対して次世代MDクラスタを記述する際には、各次世代MDクラスタを1/2ADIPクラスタ(18セクタ)区間に対応させる。
したがって、次世代MD1では、従来のMDクラスタの1/2クラスタが最小記録単位(レコーディングブロック(Recording Block))として対応付けされている。
一方、次世代MD2では、1クラスタが1レコーディングブロックとして扱われるようになっている。
なお、本具体例では、前述したように、ホストアプリケーションから供給される2048バイト単位のデータブロックを1論理データセクタ(Logical Data Sector;LDS)とし、このとき同一レコーディングブロック中に記録される32個の論理データセクタの集合を論理データクラスタ(Logical Data Cluster;LDC)としている。
以上説明したようなデータ構造とすることにより、次世代MDデータを任意位置へ記録する際、媒体に対してタイミングよく記録できる。また、ADIPアドレス単位であるADIPクラスタ内に整数個の次世代MDクラスタが含まれるようにすることによって、ADIPクラスタアドレスから次世代MDデータクラスタアドレスへのアドレス変換規則が単純化され、換算のための回路又はソフトウェア構成が簡略化できる。
なお、図9では、1つのADIPクラスタに2つの次世代MDクラスタを対応付ける例を示したが、1つのADIPクラスタに3以上の次世代MDクラスタを配することもできる。このとき、1つの次世代MDクラスタは、16ADIPセクタから構成される点に限定されず、EFM変調方式とRLL(1−7)PP変調方式におけるデータ記録密度の差や次世代MDクラスタを構成するセクタ数、また1セクタのサイズ等に応じて設定することができる。
図9においては、記録媒体上に記録するデータ構造を示したが、次に記録媒体上のグルーブウオ―ブルトラックに記録されているADIP信号を、後述する図15のADIP復調器38で復調した際のデータ構造に関してデータ構造に関して説明する。
図10(a)には、次世代MD2のADIPのデータ構造が示され、図10(b)には、次世代MD1のADIPのデータ構造が示されている。
次世代MD1では、同期信号と、ディスクにおけるクラスタ番号等を示すクラスタH(Cluster H)情報及びクラスタL(Cluster L)情報と、クラスタ内におけるセクタ番号等を含むセクタ情報(Sector)とが記述されている。同期信号は、4ビットで記述され、クラスタHは、アドレス情報の上位8ビットで記述され、クラスタLは、アドレス情報の下位8ビットで記述され、セクタ情報は、4ビットで記述される。また、後半の14ビットには、CRCが付加されている。以上、42ビットのADIP信号が各ADIPセクタに記録されている。
また、次世代MD2では、4ビットの同期信号データと、4ビットのクラスタH(Cluster H)情報、8ビットのクラスタM(Cluster M)情報及び4ビットのクラスタL(Cluster L)情報と、4ビットのセクタ情報とが記述される。後半の18ビットには、BCHのパリティが付加される。次世代MD2でも同様に42ビットのADIP信号が各ADIPセクタに記録されている。
ADIPのデータ構造では、上述したクラスタH(Cluster H)情報、クラスタM(Cluster M)及びクラスタL(Cluster L)情報の構成は、任意に決定できる。また、ここに他の付加情報を記述することもできる。例えば、図11に示すように、次世代MD2のADIP信号において、クラスタ情報を上位8ビットのクラスタH(Cluster H)と下位8ビットのクラスタL(Cluster L)とで表すようにし、下位8ビットで表されるクラスタLに替えて、ディスクコントロール情報を記述することもできる。ディスクコントロール情報としては、サーボ信号補正値、再生レーザパワー上限値、再生レーザパワー線速補正係数、記録レーザパワー上限値、記録レーザパワー線速補正係数、記録磁気感度、磁気−レーザパルス位相差、パリティ等があげられる。
次に図12を用いて、次世代MD1及び次世代MD2の記録再生に対応したディスクドライブ装置10の具体例について説明する。ここでは、ディスクドライブ装置10は、パーソナルコンピュータ(以下、PCと記す。)100と接続でき、次世代MD1及び次世代MD2をオーディオデータのほか、PC等の外部ストレージとして使用できる。
ディスクドライブ装置10は、メディアドライブ部11と、メモリ転送コントローラ12と、クラスタバッファメモリ13と、補助メモリ14と、USBインタフェース15、16と、USBハブ17と、システムコントローラ18と、オーディオ処理部19と、操作部61と、表示部62とを備える。
メディアドライブ部11は、装填された従来ミニディスク、次世代MD1、及び次世代MD2等の個々のディスク90に対する記録/再生を行う。メディアドライブ部11の内部構成は、図15で後述する。
メモリ転送コントローラ12は、メディアドライブ部11からの再生データやメディアドライブ部11に供給する記録データの送受制御を行う。クラスタバッファメモリ13は、メディアドライブ部11によってディスク90のデータトラックから高密度データクラスタ単位で読み出されたデータをメモリ転送コントローラ12の制御に基づいてバッファリングする。補助メモリ14は、メディアドライブ部11によってディスク90から読み出されたUTOCデータ、CATデータ、ユニークID、ハッシュ値等の各種管理情報や特殊情報をメモリ転送コントローラ12の制御に基づいて記憶する。
システムコントローラ18は、USBインタフェース16、USBハブ17を介して接続されたPC100との間で通信可能とされ、このPC100との間の通信制御を行って、書込要求、読出要求等のコマンドの受信やステイタス情報、その他の必要情報の送信等を行うとともに、ディスクドライブ装置10全体を統括制御している。
システムコントローラ18は、例えば、ディスク90がメディアドライブ部11に装填された際に、ディスク90からの管理情報等の読出をメディアドライブ部11に指示し、メモリ転送コントローラ12によって読み出されたPTOC、UTOC等の管理情報等を補助メモリ14に格納させる。
システムコントローラ18は、これらの管理情報を読み込むことによって、ディスク90のトラック記録状態を把握できる。また、CATを読み込ませることにより、データトラック内の高密度データクラスタ構造を把握でき、PC100からのデータトラックに対するアクセス要求に対応できる状態となる。
また、ユニークIDやハッシュ値により、ディスク認証処理及びその他の処理を実行し、これらの値をPC100に送信し、PC100上でディスク認証処理及びその他の処理を実行させる。
システムコントローラ18は、PC100から、あるFATセクタの読出要求があった場合、メディアドライブ部11に対して、このFATセクタを含む高密度データクラスタの読出を実行する旨の信号を与える。読み出された高密度データクラスタは、メモリ転送コントローラ12によってクラスタバッファメモリ13に書き込まれる。但し、既にFATセクタのデータがクラスタバッファメモリ13に格納されていた場合、メディアドライブ部11による読出は必要ない。
このとき、システムコントローラ18は、クラスタバッファメモリ13に書き込まれている高密度データクラスタのデータから、要求されたFATセクタのデータを読み出す信号を与え、USBインタフェース15、USBハブ17を介して、PC100に送信するための制御を行う。
また、システムコントローラ18は、PC100から、あるFATセクタの書込要求があった場合、メディアドライブ部11に対して、このFATセクタを含む高密度データクラスタの読出を実行させる。読み出された高密度データクラスタは、メモリ転送コントローラ12によってクラスタバッファメモリ13に書き込まれる。但し、既にこのFATセクタのデータがクラスタバッファメモリ13に格納されていた場合は、メディアドライブ部11による読出は必要ない。
また、システムコントローラ18は、PC100から送信されたFATセクタのデータ(記録データ)をUSBインタフェース15を介してメモリ転送コントローラ12に供給し、クラスタバッファメモリ13上で該当するFATセクタのデータの書き換えを実行させる。
また、システムコントローラ18は、メモリ転送コントローラ12に指示して、必要なFATセクタが書き換えられた状態でクラスタバッファメモリ13に記憶されている高密度データクラスタのデータを記録データとしてメディアドライブ部11に転送させる。このとき、メディアドライブ部11は、装着されている媒体が従来ミニディスクであればEFM変調方式で、次世代MD1又は次世代MD2であればRLL(1−7)PP変調方式で高密度データクラスタの記録データを変調して書き込む。
なお、本具体例として示すディスクドライブ装置10において、上述した記録再生制御は、データトラックを記録再生する際の制御であり、MDオーディオデータ(オーディオトラック)を記録再生する際のデータ転送は、オーディオ処理部19を介して行われる。
オーディオ処理部19は、入力系として、例えば、ライン入力回路/マイクロフォン入力回路等のアナログ音声信号入力部、A/D変換器、及びデジタルオーディオデータ入力部を備える。また、オーディオ処理部19は、ATRAC圧縮エンコーダ/デコーダ、圧縮データのバッファメモリを備える。さらに、オーディオ処理部19は、出力系として、デジタルオーディオデータ出力部、D/A変換器及びライン出力回路/ヘッドホン出力回路等のアナログ音声信号出力部を備えている。
ディスク90に対してオーディオトラックが記録されるのは、オーディオ処理部19にデジタルオーディオデータ(又は、アナログ音声信号)が入力される場合である。入力されたリニアPCMデジタルオーディオデータ、或いはアナログ音声信号で入力された後、A/D変換器で変換されて得られたリニアPCMオーディオデータは、ATRAC圧縮エンコードされ、バッファメモリに蓄積される。その後、所定タイミング(ADIPクラスタ相当のデータ単位)でバッファメモリから読み出され、メディアドライブ部11に転送される。
メディアドライブ部11では、転送された圧縮データをEFM変調方式又はRLL(1−7)PP変調方式で変調してディスク90にオーディオトラックとして書き込む。
メディアドライブ部11は、ディスク90からオーディオトラックを再生する場合、再生データをATRAC圧縮データ状態に復調してオーディオ処理部19に転送する。オーディオ処理部19は、ATRAC圧縮デコードを行ってリニアPCMオーディオデータとし、デジタルオーディオデータ出力部から出力する。或いは、D/A変換器によりアナログ音声信号としてライン出力/ヘッドホン出力を行う。
操作部61は、後述するように、ジョグダイヤルなどによる文字選択操作子と、選択するコマンドを決定するための決定キーと、再生,停止,一時停止,録音,頭出し,録音モード指定,トラックマーク等の各種キーが設けられている。この操作部61は、ディスクドライブ装置10の本体側に設けられる以外に、ディスクドライブ装置10からケーブルを介して接続されたリモートコントローラ上に設けられるようにしてもよい。
また、表示部62は、演奏経過時間や再生しているプログラムのタイトル等の文字情報を表示するための表示面であり、操作部61と同様に、ディスクドライブ装置10の本体側に設けられる以外に、ディスクドライブ装置10からケーブルを介して接続されたリモートコントローラ上に設けられるようにしてもよい。この表示部62における表示行数は、ディスクドライブ装置10の本体側に設けられる場合と、リモートコントローラ上に設けられる場合との間で、互いに異ならせるようにしてもよい。ちなみに、この表示部62は、ある程度の表示能力、即ち解像度を必要とするため、液晶表示管や蛍光表示管等を用いることが望ましい。
ユーザがこのディスクドライブ装置10に対して所望のコマンドを実行させる場合には、操作部61を操作することにより、コマンドリストをこの表示部62へ表示させる。
図13は、この操作部61並びに表示部62の概略的な構成を示している。なお、この図13において、図12と同一の構成要素には同一の番号を付している。
操作部61は、ディスク90に対して信号の記録動作を行うRECボタン71と、ディスク90から信号を再生させる再生ボタン72と、上記ディスク90に対する記録動作並びに再生動作を一時的に停止させるポーズ機能を備えるポーズボタンと、記録動作並びに再生動作を停止させる停止ボタン74と、各種コマンドを実行するためのメニューボタン75と、プッシュスイッチ付きのジョグダイヤル76とを有している。ちなみに、この再生ボタン72は、ジョグダイヤル76におけるプッシュスイッチとして構成することにより、ボタン数を軽減させるようにしてもよい。
また、このディスクドライブ装置10の側面には、グループキー81と、メニューキー82と、トラックマークキー83とが設けられている。グループキー81は、ディスク状記録媒体へ記録すべきコンテンツを集合化させたグループの作成を指示するためのキーである。このグループキー81の押圧入力操作を受けた場合には、グループ単位でディスク90へ順次記録されていくことになる。メニューキー82は、ディスクドライブ10の各機能に基づく動作を実行する場合において、当該各機能に対応した選択項目を表示部62上へ表示させるためのキーである。さらに、このトラックマークキー83は、現在再生しているコンテンツデータの所望の位置においてトラックマークを付すためのキーである。
また、この操作部61並びに表示部62は、ディスクドライブ装置10本体に接続されたリモートコントローラ77上に搭載されていてもよい。かかるリモートコントローラ77に搭載される操作部61として、停止ボタンやジョグダイヤル76に加えて、再生や早送り、巻き戻し等を実行するための多目的ダイヤル78や、ボリュームをコントロールするためのボリューム制御キー79等がある。
ユーザは、このジョグダイヤル76により、表示部62上に表示されたコマンドにカーソルをあて、プッシュスイッチを押圧することにより、所望のコマンドを指定することができる。
図14は、表示部62における表示例を示している。録音、再生時において、システムコントローラ18は、図14(a)に示すような情報を表示部62を介して表示させる。即ち、トラック番号、タイム、再生モード等のような録音、再生時に必要な情報を表示することに加え、バッテリの状態やディスクの回転状態を示す情報も表示させることができる。また録音時であるか再生時であるかにつき識別するための表示もこれに含めることができる。
また、図14(b)は、このディスクドライブ装置10に実装された各機能に基づくコマンドを表示部を介して表示する例を示している。ちなみに、この表示部62において一度に表示することができる行数は、多くても数行程度と限られてしまうため、多岐に亘るコマンドリストを表示させる場合には、操作部61による操作に応じてこれをスクロールさせることにより実現する。
ここでディスクドライブ装置10に実装される機能としては、例えば、記録する曲を複数のグループにまとめて管理するグルーピング機能、またグループ化された曲を開放するグループリリース機能、記録されている曲をグループ間で移動させるMove機能等、多岐に亘る機能が搭載されてきている。また一つの曲をリピート再生し、ランダムに再生する機能に加え、上述したグループ毎に再生する機能、先頭部分のみ再生する機能、プログラム再生機能等、様々なバリエーションに富んだ再生が実現できるようになっている。さらに表示部への表示方法やユーザに対して注意を促すための方法を自由に指定するための機能に加え、パーソナルコンピュータ等の電子機器との間でデータを送受信するための機能等がそれぞれ搭載される。
ディスクドライブ装置10では、これら各機能に応じたコマンドが予め設定され、操作部61を介したコマンド選択によりこれら各機能に基づく動作が実行されることになる。
システムコントローラ18は、操作部61を介して入力されたコマンドをメディアドライブ部11へ転送し、或いは演奏経過時間やタイトル等の文字情報を表示部62を介して表示させる。
なお、この図12,13に示す構成は、一例であって、例えば、ディスクドライブ装置10をPC100に接続してデータトラックのみ記録再生する外部ストレージ機器として使用する場合は、オーディオ処理部19は、不要である。一方、オーディオ信号を記録再生することを主たる目的とする場合、オーディオ処理部19を備え、さらにユーザインタフェースとして操作部や表示部を備えることが好適である。また、PC100との接続は、USBに限らず、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.:アメリカ電気・電子技術者協会)の定める規格に準拠した、いわゆるIEEE1394インタフェースのほか、汎用の接続インタフェースが適用できる。
続いて、従来ミニディスク、次世代MD1及び次世代MD2を記録再生するためのメディアドライブ部11の構成を図15を用いて、さらに詳細に説明する。
メディアドライブ部11は、従来ミニディスク、次世代MD1及び次世代MD2を記録再生するために、特に、記録処理系として、従来ミニディスクの記録のためのEFM変調・ACIRCエンコードを実行する構成と、次世代MD1及び次世代MD2の記録のためのRLL(1−7)PP変調・RS−LDCエンコードを実行する構成とを備える点が特徴的である。また、再生処理系として、従来ミニディスクの再生のためのEFM復調・ACIRCデコードを実行する構成と、次世代MD1及び次世代MD2の再生にPR(1,2,1)ML及びビタビ復号を用いたデータ検出に基づくRLL(1−7)復調・RS−LDCデコードを実行する構成を備えている点が特徴的である。
メディアドライブ部11は、装填されたディスク90をスピンドルモータ21によってCLV方式又はZCAV方式にて回転駆動する。記録再生時には、このディスク90に対して、光学ヘッド22からレーザ光が照射される。
光学ヘッド22は、記録時に記録トラックをキュリー温度まで加熱するための高レベルのレーザ出力を行い、また再生時には、磁気カー効果により反射光からデータを検出するための比較的低レベルのレーザ出力を行う。このため、光学ヘッド22は、レーザ出力手段としてのレーザダイオード、偏光ビームスプリッタや対物レンズ等からなる光学系及び反射光を検出するためのディテクタが搭載されている。光学ヘッド22に備えられる対物レンズとしては、例えば2軸機構によってディスク半径方向及びディスクに接離する方向に変位可能に保持されている。
また、本具体例では、媒体表面の物理的仕様が異なる従来ミニディスク及び次世代MD1と、次世代MD2とに対して最大限の再生特性を得るために、両ディスクに対してデータ読取り時のビットエラーレートを最適化できる位相補償板を、光学ヘッド22の読取光光路中に設ける。
ディスク90を挟んで光学ヘッド22と対向する位置には、磁気ヘッド23が配置されている。磁気ヘッド23は、記録データによって変調された磁界をディスク90に印加する。また、図示しないが光学ヘッド22全体及び磁気ヘッド23をディスク半径方向に移動させためのスレッドモータ及びスレッド機構が備えられている。
このメディアドライブ部11では、光学ヘッド22、磁気ヘッド23による記録再生ヘッド系、スピンドルモータ21によるディスク回転駆動系のほかに、記録処理系、再生処理系、サーボ系等が設けられる。記録処理系としては、従来ミニディスクに対する記録時にEFM変調、ACIRCエンコードを行う部位と、次世代MD1及び次世代MD2に対する記録時にRLL(1−7)PP変調、RS−LDCエンコードを行う部位とが設けられる。
また、再生処理系としては、従来ミニディスクの再生時にEFM変調に対応する復調及びACIRCデコードを行う部位と、次世代MD1及び次世代MD2の再生時にRLL(1−7)PP変調に対応する復調(PR(1,2,1)ML及びビタビ復号を用いたデータ検出に基づくRLL(1−7)復調)、RS−LDCデコードを行う部位とが設けられる。
光学ヘッド22のディスク90に対するレーザ照射によりその反射光として検出された情報(フォトディテクタによりレーザ反射光を検出して得られる光電流)は、RFアンプ24に供給される。RFアンプ24では、入力された検出情報に対して電流−電圧変換、増幅、マトリクス演算等を行い、再生情報としての再生RF信号、トラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、グルーブ情報(ディスク90にトラックのウォブリングにより記録されているADIP情報)等を抽出する。
従来ミニディスクの再生時には、RFアンプで得られた再生RF信号は、コンパレータ25、PLL回路26を介して、EFM復調部27及びACIRCデコーダ28で処理される。再生RF信号は、EFM復調部27で2値化されてEFM信号列とされた後、EFM復調され、さらにACIRCデコーダ28で誤り訂正及びデインタリーブ処理される。オーディオデータであれば、この時点でATRAC圧縮データの状態となる。このとき、セレクタ29は、従来ミニディスク信号側が選択されており、復調されたATRAC圧縮データがディスク90からの再生データとしてデータバッファ30に出力される。この場合、図12のオーディオ処理部19に圧縮データが供給される。
一方、次世代MD1又は次世代MD2の再生時には、RFアンプで得られた再生RF信号は、A/D変換回路31、イコライザ32、PLL回路33、PRML回路34を介して、RLL(1−7)PP復調部35及びRS−LDCデコーダ36で信号処理される。再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部35において、PR(1,2,1)ML及びビタビ復号を用いたデータ検出によりRLL(1−7)符号列としての再生データを得て、このRLL(1−7)符号列に対してRLL(1−7)復調処理が行われる。さらに、RS−LDCデコーダ36にて誤り訂正及びデインタリーブ処理される。
この場合、セレクタ29は、次世代MD1・次世代MD2側が選択され、復調されたデータがディスク90からの再生データとしてデータバッファ30に出力される。このとき、図12のメモリ転送コントローラ12に対して復調データが供給される。
RFアンプ24から出力されるトラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FEは、サーボ回路37に供給され、グルーブ情報は、ADIPデコータ38に供給される。
ADIPデコータ38は、グルーブ情報に対してバンドパスフィルタにより帯域制限してウォブル成分を抽出した後、FM復調、バイフェーズ復調を行ってADIPアドレスを抽出する。抽出された、ディスク上の絶対アドレス情報であるADIPアドレスは、従来ミニディスク及び次世代MD1の場合であれば、MDアドレスデコーダ39を介し、次世代MD2の場合であれば、次世代MDアドレスデコーダ40を介してドライブコントローラ41に供給される。
ドライブコントローラ41では、各ADIPアドレスに基づいて、所定の制御処理を実行する。またグルーブ情報は、スピンドルサーボ制御のためにサーボ回路37に戻される。
サーボ回路37は、例えばグルーブ情報に対して再生クロック(デコード時のPLL系クロック)との位相誤差を積分して得られる誤差信号に基づき、CLVサーボ制御及びZCAVサーボ制御のためのスピンドルエラー信号を生成する。
またサーボ回路37は、スピンドルエラー信号や、上記のようにRFアンプ24から供給されたトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号、或いはドライブコントローラ41からのトラックジャンプ指令、アクセス指令等に基づいて各種サーボ制御信号(トラッキング制御信号、フォーカス制御信号、スレッド制御信号、スピンドル制御信号等)を生成し、モータドライバ42に対して出力する。すなわち、上記サーボエラー信号や指令に対して位相補償処理、ゲイン処理、目標値設定処理等の必要処理を行って各種サーボ制御信号を生成する。
モータドライバ42では、サーボ回路37から供給されたサーボ制御信号に基づいて所定のサーボドライブ信号を生成する。ここでのサーボドライブ信号としては、2軸機構を駆動する2軸ドライブ信号(フォーカス方向、トラッキング方向の2種)、スレッド機構を駆動するスレッドモータ駆動信号、スピンドルモータ21を駆動するスピンドルモータ駆動信号となる。このようなサーボドライブ信号により、ディスク90に対するフォーカス制御、トラッキング制御、及びスピンドルモータ21に対するCLV制御又はZCAV制御が行われる。
ディスク90に対して記録動作が実行される際には、図12に示したメモリ転送コントローラ12から高密度データ、或いはオーディオ処理部19からの通常のATRAC圧縮データが供給される。
従来ミニディスクに対する記録時には、セレクタ43が従来ミニディスク側に接続され、ACIRCエンコーダ44及びEFM変調部45が機能する。この場合、オーディオ信号であれば、オーディオ処理部19からの圧縮データは、ACIRCエンコーダ44でインタリーブ及びエラー訂正コード付加が行われた後、EFM変調部45においてEFM変調される。EFM変調データがセレクタ43を介して磁気ヘッドドライバ46に供給され、磁気ヘッド23がディスク90に対してEFM変調データに基づいた磁界印加を行うことで変調されたデータが記録される。
次世代MD1及び次世代MD2に対する記録時には、セレクタ43が次世代MD1・次世代MD2側に接続され、RS−LCDエンコーダ47及びRLL(1−7)PP変調部48が機能する。この場合、メモリ転送コントローラ12から送られた高密度データは、RS−LCDエンコーダ47でインタリーブ及びRS−LDC方式のエラー訂正コード付加が行われた後、RLL(1−7)PP変調部48にてRLL(1−7)変調される。
RLL(1−7)符号列に変調された記録データは、セレクタ43を介して磁気ヘッドドライバ46に供給され、磁気ヘッド23がディスク90に対して変調データに基づいた磁界印加を行うことでデータが記録される。
レーザドライバ/APC49は、上記のような再生時及び記録時においてレーザダイオードにレーザ発光動作を実行させるが、いわゆるAPC(Automatic Laser Power Control)動作も行う。具体的には、図示しないが、光学ヘッド22内には、レーザパワーモニタ用のディテクタが設けられており、このモニタ信号がレーザドライバ/APC49にフィードバックされるようになっている。レーザドライバ/APC49は、モニタ信号として得られた現在のレーザパワーを予め設定されているレーザパワーと比較して、その誤差分をレーザ駆動信号に反映させることによって、レーザダイオードから出力されるレーザパワーが設定値で安定化されるように制御している。ここで、レーザパワーは、ドライブコントローラ41によって、再生レーザパワー及び記録レーザパワーとしての値がレーザドライバ/APC49内部のレジスタにセットされる。
ドライブコントローラ41は、システムコントローラ18からの指示に基づいて、以上の各動作(アクセス、各種サーボ、データ書込、データ読出の各動作)が実行されるように各構成を制御する。なお、図15において一点鎖線で囲った各部は、1チップの回路として構成することもできる。
ところで、ディスク90が図6のように、予めデータトラック記録領域とオーディオトラック記録領域とが分割して領域設定されている場合、システムコントローラ18は、記録再生するデータがオーディオトラックかデータトラックかに応じて、設定された記録領域に基づいたアクセスをメディアドライブ部11のドライブコントローラ41に指示することになる。
また、装着されたディスク90に対して、PC用のデータ又はオーディオデータの何れか一方のみを記録許可し、これ以外のデータの記録を禁止する制御を行うようにもできる。すなわち、PC用のデータとオーディオデータとを混在しないように制御することもできる。
したがって、本具体例として示すディスクドライブ装置10は、上述した構成を備えることにより、従来ミニディスク、次世代MD1及び次世代MD2の間の互換性を実現できる。
なお、本具体例として示すディスクドライブ装置10は、上述した記録動作のみ実行する記録装置、或いは上述した再生動作のみ実行する再生装置として構成してもよいことは勿論である。
次に、各再生動作に応じた選択項目を各プレイモードに基づいて指定する場合につき、図面を参照しながら詳細に説明する。
ディスクドライブ装置10は、各再生動作に応じた分類項目並びに選択項目を、図16に示すようにメインプレイモード、サブプレイモード、リピートモードの3カテゴリーに分類している。
メインプレイモードにおける分類項目は、ディスク90上の各トラックに記録されたコンテンツを直接指定して再生するための“Track”と、コンテンツを任意のグループに集合化した状態で再生するための“Group”と、コンテンツの演奏者毎に再生するための“Artist”と、コンテンツの属するアルバムのタイトル毎に再生するための“Album”と、ブックマークされたコンテンツを再生するための“Bookmark”と、予め再生順序等につきプログラミングされたコンテンツを再生するための“Program”等により構成されている。即ち、このメインプレイモードは、グループやブックマーク、演奏者、アルバム等のように各コンテンツに付された属性情報に応じて分類する際の分類項目を表示部62へ先ず表示することにより、ユーザに対して、いずれかの分類項目の指定を促すこととなる。
この属性情報は、ディスク90挿入時においてシステムコントローラ18による制御の下で取得され、図示しないメモリ等に格納されることになる。
なお、このメインプレイモードにおいて、“Artist”と“Album”は、次世代MD1並びに次世代MD2の再生時のみに指定可能な分類項目であるため、システムコントローラ18は、ドライブ内に挿入されたディスク90の種別を識別した上で、これらメインプレイモードの表示を変更するようにしてもよい。
またサブプレイモードにおける選択項目は、最終コンテンツまで再生後に自動的に停止する“All”と、選択されたコンテンツのみを再生した後、自動的に停止する“1曲”と、選択されたコンテンツをランダムに再生後、停止する“Shuffle”等により構成される。即ち、このサブプレイモードは、メインプレイモードにおいて指定された分類項目に属するコンテンツの再生方法を選択項目として登録したものである。サブプレイモードにおいて、上述したシステムコントローラ18は、コンテンツの再生方法に関する選択項目を表示部62へ表示することにより、ユーザに対していずれかの再生方法の指定を促すことになる。
なお、このサブプレイモードにおいてA−Bリピート再生の選択項目を追加してもよい。このA−Bリピート再生では、現在再生しているコンテンツ内のA時点からB時点を連続的に再生することができる。
リピートモードでは、サブプレイモードにおいて指定された再生方法をリピートするか否か設定する。ちなみに、このディスクドライブ装置10においてこのリピートモードの構成は省略してもよい。
次に、このメインプレイモードにおけるダイレクト選曲の手順につき図17を用いて説明をする。先ず、ステップS11においてシステムコントローラ18は、図18に示す階層1に含まれる上述の分類項目を表示部62上へ表示するように制御する。ここでユーザによりジョグダイヤル76を始めとした操作部61が操作させることにより、階層1におけるいずれかの分類項目が指定された場合には、ステップS12へ移行する。以下では、この分類項目のうち“Artist”が指定された場合につき例をとり説明をする。
次にステップS12において、システムコントローラ18は、分類項目としての属性情報をコンテンツの演奏者に定める。そして、システムコントローラ18は、コンテンツの演奏者毎に分類を行い、これを図18に示すように階層2の項目として表示する。操作部61を介して一の演奏者が指定された場合には、当該演奏者のコンテンツファイルを階層2’として一覧表示する。この階層2’において一のコンテンツがダイレクトに選曲された場合には、ステップS13へ移行する。
ちなみに、このステップS12において階層2に含まれる項目が選択された場合には、図19に示すように階層2’のコンテンツ一覧を表示部62上に展開させる。ユーザは、かかる階層2’におけるコンテンツ一覧から所望のコンテンツをジョグダイヤル76を用いて指定することになる。かかる場合において、展開している項目以外のコンテンツデータも同様にジョグダイヤル76を回転させることにより容易に指定することができ、また以前選択されていた項目の展開を閉じることもできる。即ち、選択されていない項目は展開されてないため、当該項目を構成するコンテンツ一覧は表示部62上において表示されないことになる。また階層2’におけるコンテンツ一覧を展開させる場合には、階層2の項目と容易に見分けがつくように字下げ展開させるようにしてもよい。さらに、この階層2’におけるコンテンツ一覧は、収録曲順に並べてもよいし、50音順に並べてもよい。
このように選択された項目に応じて表示部62における表示内容を切り換えることにより、所望の項目を選択を望むユーザの視認性を向上させることが可能となる。
ステップS13では、メインプレイモードが確定された状態となる。また、メインプレイモード下で再生されるコンテンツの開始トラックも同様に確定された状態となる。システムコントローラ18は、かかる状態において自動的に再生が開始されるように制御してもよい。再生が開始された場合には、ステップS14へ移行する。
ステップS14では、上記ステップS12においてダイレクト選曲されたコンテンツを再生する。このステップS14において停止ボタン74が押圧された場合、又は一定時間が経過した場合には、ステップS15へ移行する。
ステップS15では、再生停止状態又はエンド状態となり、ユーザによる操作部61を介した操作を待ち続けることになる。
ちなみに、上述したステップS14又はステップS15においてジョグダイヤル76の回転操作を受けた場合にはステップS12へ戻り、階層1で指定された分類項目の下、再びダイレクト選曲が促されることになる。即ち、同一の分類項目の下で再びダイレクト選曲を促すことにより、利便性を向上させることができる。
同様にこのステップS14又はステップS15においてジョグダイヤル76が短押しされた場合にはステップS11へ戻り、メインプレイモードの階層1を再び示すことにより分類項目の選択が促されることになる。
なお、階層1における他の選択項目についても図17と同様の手順に基づいてダイレクト選曲を行うことができる。
次に、このメインプレイモードに加えてサブプレイモードを組み合わせて再生する場合につき説明をする。
先ず、メインプレイモードにおいて階層1に含まれる上述の分類項目のうち“Group”が指定された場合には、システムコントローラ18は、分類項目としての属性情報をグループに定める。そして、システムコントローラ18は、グループ毎に分類を行い、これを図20(a)に示すように階層2の項目として表示部62へ表示する。
この階層2に示される項目のうち“1st Group”が選択された場合には、図20(b)に示すように、かかるグループに属するコンテンツデータの一覧(階層2’)が展開されることになる。
ディスクドライブ装置10は、この所望のグループが選択された状態でサブプレイモードに移行し、所望の再生方法の指定をユーザに促すことができる。
サブプレイモードにおいて、“All”が選択された場合には、選択されたグループ内においてコンテンツが全て再生されることになる。上述の例では、“1st Group”に属するコンテンツデータがトラック番号の若い順から再生されてゆくことになる。
同様にこのサブプレイモードにおいて、“Shuffle”が選択された場合には、選択されたグループ内におけるコンテンツをランダムに再生されることになる。更に、このサブプレイモードにおいて、“1曲”が選択された場合には、現在再生中のコンテンツのみ再生を実行した後、停止することになる。
なお、階層1における他の選択項目についても同様の手順に基づいて、メインプレイモードとサブプレイモードを組み合わせた再生処理を実現することができる。
また、これに加えて、リピートモードを組み合わせて再生を行うこともできる。即ち、選択されたコンテンツの再生が全て終了した後、最初に再生されたコンテンツに戻って再生が繰り返されることになる。
このように、本発明を適用したディスクドライブ装置10は、ディスク90の各トラックに記録されたコンテンツに関する属性情報を取得し、取得したコンテンツの属性情報に応じた分類項目を表示部62上に表示するとともに、その再生方法を表示する。そして、ユーザより操作部61を介して指定された分類項目に属するコンテンツデータを、指定された再生方法に基づいて再生させる。
これにより、本発明を適用したディスクドライブ装置10では、非常に多岐に亘る機能が実装された場合においても、各機能に基づく動作を容易かつ迅速に実行させることができる。特に再生するコンテンツデータに付加された属性情報(グループやブックマーク等)毎に再生対象を指定する場合や、リピート再生やランダム再生等の再生方法を指定する場合に、これらを互いに別モード下で実行することができるため、ユーザの指定操作がより複雑化することを防ぐことができる。
特にミニディスクを再生するための再生装置において、表示部は数行程度しか確保できないことが多いことから、全ての選択項目を視認するためにはこれらをスクロール表示させる必要があるが、本発明を適用したディスクドライブ装置10は、各カテゴリー毎に項目が整理された状態で表示されるため、スクロール幅が必要以上に広くなることもなくなり、指定操作に長時間を費やすこともなくなる。
更に本発明を適用したディスクドライブ装置10では、次世代MD1、次世代MD2を再生するための搭載された新たな機能に基づいて設けられた分類項目を容易に選択することができる。
10 ディスクドライブ装置、11 メディアドライブ部、12 メモリ転送コントローラ、13 クラスタバッファメモリ、14 補助メモリ、15,16 USBインタフェース、17 USBハブ、18 システムコントローラ、19 オーディオ処理部、61 操作部、62 表示部、90 ディスク