JP4263877B2 - レール式運搬車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、橋梁工事等における資材運搬装置に用いて好適なレール式運搬車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高速道路や鉄道等の橋梁工事では、コンクリートを打ってスラブを形成する前に鉄筋等の資材をそれぞれの個所に運搬しなければならない。従来は、これを人手で行なっており、大勢の人と時間を要していた。そこで、基礎枠組等の上に二本のレールを敷き、この上に運搬車を走らせ、これで運搬したりすることが行なわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この場合、レールの左右の傾きについても、十分なレベル出しは行なっていないから、車体に左右二輪ずつを駆動輪と転動輪として前後に配した四輪をリジッドに備えたものでは、少なくとも一輪が浮き上がって脱線のおそれがある。本発明は、このような課題を解決したものであり、転動輪を車体とは独立させた車輪フレームで支持するとともに、車輪フレームの一点に設けられる連結部で車体を左右傾動可能に支持した場合に車体の一定以上の左右傾動を規制するストッパに工夫を凝らしたものである
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、二本のレール上を左右二輪ずつを前後いずれかに駆動輪と転動輪として配した車輪で走行するレール式運搬車であり、転動輪を車体とは独立させた車輪フレームで支持するとともに、車輪フレームの一点に設けられる連結部で車体を左右傾動可能に支持する他、連結部の左右両側に車体の一定以上の左右の傾きを規制するストッパを設けたレール式運搬車において、ストッパを、車輪フレームからは突出長さを変更できるプレートを突出させ、車体からはゴム体を突出させてプレートとゴム体を衝突させるものにしたことを特徴とするレール式運搬車を提供する。本発明は、剛体の車体に駆動輪と転動輪とからなる前後左右の四輪がリジッドに取り付けられていると、いずれか一輪は浮いていることになる。しかし、駆動輪と転動輪それぞれの左右の車輪を単位としてみると、二つとも接地させることは可能であるから、転動輪の左右の車輪を車体とは独立させた車輪フレームで支持することで、すべての車輪を接地させることができるし、車輪フレームの左右傾動に基づく車体の一定以上の傾動を機能性に優れたストッパによって効果的に阻止できる
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一例を示すレール式運搬車の側面図、図2はこれを構成する車両の側面図、図3は正面図、図4は背面図であるが、この運搬車は、車体1に取り付けた駆動輪ユニット2と転動輪ユニット3を、地面に敷かれる平行な二本のレール4の上に載せて走行させるものである。
【0006】
図6は以上の駆動輪ユニット2の横断面図であるが、この駆動輪ユニット2は、車体1の前部の左右に垂設されるブラケット5で軸支される駆動軸6に固嵌された駆動輪7を有しており、車体1に据えられる減速機付きモータ8の動力をプーリ・ベルト機構9を介して駆動軸6に伝えるものである。この場合、駆動輪7は、表面にゴム等がライニングされたもので、レール4の幅とほぼ同じ幅を有し、両側にレール4を抱くフランジ7aが形成されて脱線防止が図られている。
【0007】
これに対して転動輪ユニット3は、車体1の後部側に設けられるものであり、両端に前後二つの転動輪10を保持する転動輪ホルダー11を取り付けた車輪フレーム12を有しており、車輪フレーム12は、車体1に対して中央の連結部13によって左右傾動可能に支持されている。図7は連結部13の側面図であるが、この連結部13は、車体1と車輪フレーム12からそれぞれブラケット14、15を突設し、これを前後方向の水平なピン16で連結したものである。
【0008】
連結部13の左右両側には、車輪フレーム12の一定以上の傾きを防止するストッパ17が設けられている。図8はストッパ17の側面図であるが、連結部13の両側位置において、車輪フレーム12からはプレート18を、車体1からはゴム体19をそれぞれ突設し、両者が衝突することでそれ以上傾かないようにしている。過度に傾くと、車体1が転倒するおそれがあるからである。但し、プレート18の突出長さは調整できるようになっており、ストッパ17によって規制される車体1の左右の傾動角度は調整できるようになっている。尚、以上の駆動輪ユニット2と転動輪ユニット3との前後の配置は逆であってもよい。
【0009】
車体1は、上下二段の矩形の枠体1a、1bからなり、この枠体1a、1bの間に上記した減速機付きモータ8や操作盤20が載せられている(上枠体1aから突出しないようになっている)。一方、後部では、下枠体1bを取り去って上枠体1aのみにし、この上枠体1aと車輪フレーム12とを連結部13で連結している。従って、上枠1aの上方が荷台ということになり、ここに床枠21を設けてこの上に荷物を積むことになる。
【0010】
荷物が長い長尺物の場合、この車体1を何台か接続することになるが、車体1の前後にはそれぞれヒッチ部22が形成されているから、この間を連結棒23で繋げばよい。尚、減速機付きモータ8を用いる場合、電力を必要とするから、エンジンで駆動される発電機24を装備した発電機車両25を別に設け、これを同じく連結棒23で繋いでいる。
【0011】
上枠体1aの両側端には、荷物が落ちないようにポール26が立てられている。図9はこのポール26の背面図であるが、このポール26は、下部に長孔26aが形成されていてこの長孔26aに上枠体1aの外端面に前後に設けられたピン27が挿入したものである。従って、荷物を積んだときには、長孔26aの上端にピン27が来るようにポール26を落し込めば、ポール26は上枠体1aの下方の当材28等に当たって外には倒れないようになって、荷物のずり落ちを防止している。
【0012】
一方、荷物を積卸しするときには、このポール26が邪魔になる。そこで、ポール26を引き上げて長孔26aの下端にピン27が来るようにすれば、ポール26を外側に回動できて(外郭のアールが上枠体1aまでの距離よりも短く設定されているから)逆さまに倒すことができる。従って、そのまま下方に落し込んでおけば、上枠体1aよりも下方に下がるから、積卸しに邪魔にならない。
【0013】
図5は転動輪ユニット3の取付けの状態を示す横断面図であるが、車輪フレーム12に対する転動輪ホルダー11の取付けは、車輪フレーム12の下面に縫い付けたベース29に転動輪ホルダー11を水平軸30で前後回動可能に取りつけた垂直軸31を水平面内で回転可能に軸装したものである。このように、転動輪ホルダー11を水平面内で回動可能にしたのは、レール4の曲がりに対応させるためである。そして、水平軸30の前後に二つの転動輪10を転動輪軸32で回転可能に支持したものである。転動輪10も、表面にゴム等がライニングされたもので、両側にレール4を抱くフランジ10aが形成されているが、その幅は、レール4よりもかなり広くしてあり、曲がりや傾斜に対応させている。
【0014】
レール4は、角パイプで構成されており、一定長さのものを継ぎ足して所定長さの軌道にする。この場合、その継目の個所に幅ゲージ33がセットされ、レール4はこの幅ゲージ33で所定の間隔が保たれるようになっている。図10は幅ゲージ33の平面図であるが、本例の幅ゲージ33は、基体34の一端には、突き合わされた両方のレール4の内側面にあてがわれてボルト等で固着される取付部35が形成され、他端には、上方が開口するコ形をしていてここにレール4を上から嵌め込む収受部36が形成されているものが示されている。
【0015】
この場合のレール4の端面は斜めにカットされており、これを噛み合わせることで横方向のずれが規制されるようにしている。図11は一方だけの継目を繋ぐ継手部材37の平面図であるが、この継手部材37は、継目の両方の外側面と下面にあてがわれてボルト等で締め付けられるL形をしたものである。これによると、ボルト通し孔をある程度大きくしておくことで、レール4を平面視で屈折させることができるから(必要なら楔形の当材38を当て)、レール4をカーブに敷設することもできる。
【0016】
この場合、継目個所で通常使用されているところの、二つのレールの中にまたがって刺し通される中子のようなものを使用しない方が好ましい。尚、このようなことは、上記した幅ゲージでも、取付部35のボルト通し孔を大きくしたり、収受部36の幅を広くしたりしておくことで可能になる
【0017】
以上のレール4の上面には、スリップ防止用の接着剤39が塗布される。この接着剤39には、「スコッチ・クラッド」なる商品名で市販されているようなものがあり、滑り止めコーティング材とも称されている。この接着剤39が乾くと、針状物質が浮き出て来てザラザラした感じで非常に大きな摩擦係数を発生する。又、金属を針状に粉砕して吹き付ける溶射によってもよい。これにより、駆動輪7や転動輪10の表面が摩擦係数の高いゴム等で構成されることと相まって噛合式によらなくても、スリップせずに走行できるものとなる。但し、あまり、勾配が大きいとスリップは避けられないが、橋梁等に敷設する場合は、それほどの勾配とはならないから、問題はない。
【0018】
一方、レール4の左右方向については、低コストで敷設するといったことから、厳密なレベル出しは行なわれないことは上述したとおりである。従って、車体1に前後四輪の駆動輪7と転動輪10をリジッドに取りつけたものでは、少なくとも、一輪が浮き上がり、脱線の危険性があるのも上述したとおりである。そこで、転動輪10を車体1とは独立させた車輪フレーム12で支持することで、四輪すべてがレール4に接地することになり、脱線は起こらない。このとき、転動輪10が前後動可能に二個設けられていることは、この脱線防止に一層効果的である。
【0019】
ところで、左右のレール4で多少の高低があれば、車体1は、前部の駆動輪7の左右の傾斜に沿うものとなるが、後方では、連結部13の一点で車輪フレーム12で支持されるから、所謂、三点支持になり、この傾きに沿ったままで安定した姿勢となる。即ち、車輪フレーム12は、車体1の左右の傾きとは独立して転動輪10側のレール4の傾きに応じた動きをすることになり、このうねり動きをしながら、運搬車は走行する。
【0020】
【発明の効果】
以上、本発明は、転動輪の左右の車輪を車体とは独立させた車輪フレームで支持するとともに、車輪フレームの左右傾動に基づく車体の一定以上の傾動を機能性に優れたストッパによって効果的に阻止できる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示すレール式運搬車の側面図である。
【図2】本発明の一例を示すレール式運搬車を構成する車両の側面図である。
【図3】本発明の一例を示すレール式運搬車を構成する車両の正面図である。
【図4】本発明の一例を示すレール式運搬車を構成する車両の背面図である。
【図5】本発明の一例を示す転動輪ユニットの横断面図である。
【図6】本発明の一例を示す駆動輪ユニットの横断面図である。
【図7】本発明の一例を示す連結部の側面図である。
【図8】本発明の一例を示すストッパの側面図である。
【図9】本発明の一例を示すポールの背面図である。
【図10】本発明の一例を示すレールの平面図である。
【図11】本発明の一例を示すレールの拡大平面図である。
【符号の説明】
1 車体
4 レール
7 駆動輪
10 転動輪
11 転動輪ホルダー
12 車輪フレーム
13 連結部
17 ストッパ
18 プレート
19 ゴム体

Claims (1)

  1. 二本のレール上を左右二輪ずつを前後いずれかに駆動輪と転動輪として配した車輪で走行するレール式運搬車であり、転動輪を車体とは独立させた車輪フレームで支持するとともに、車輪フレームの一点に設けられる連結部で車体を左右傾動可能に支持する他、連結部の左右両側に車体の一定以上の左右の傾きを規制するストッパを設けたレール式運搬車において、ストッパを、車輪フレームからは突出長さを変更できるプレートを突出させ、車体からはゴム体を突出させてプレートとゴム体を衝突させるものにしたことを特徴とするレール式運搬車。
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