JP4263826B2 - カテーテルの製造方法およびカテーテル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば血管内狭窄部を治療するために狭窄部を拡張し、狭窄部末梢側における血流の改善を図るための血管拡張用のカテーテルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロカテーテルの台頭により、従来のカテーテルでは不可能とされてきた微小血管または脈管内の治療および診断が行えるようになってきている。マイクロカテーテルとしては、例えば心筋梗塞または狭心症の治療に用いられる経皮的経管式冠状動脈血管形成術用カテーテル(以下、PTCA拡張カテーテルという)がある。このPTCA拡張カテーテルは、一般的に拡張ルーメンを有する外管、ガイドワイヤールーメンを有する内管、内管と外管の先端近傍に取り付けられた拡張体、および内管と外管の基端部に取り付けられたハブからなる構造を有する。PTCA拡張カテーテルを構成するカテーテルチューブは、上記のように最低2つのルーメンを必要とするため、ダブルルーメンなど異軸の断面多孔状のプラスチックチューブを用いるかまたは同軸のカテーテルチューブによるコアキシャル構造のプラスチックチューブを用いるのが一般的である。
【0003】
前記異軸のカテーテルチューブで構成されたPTCA拡張カテーテルは、血管内押し込み性が良好であるという利点を有する。しかし、ガイドワイヤーの操作性が悪く、またカテーテルチューブの細径化に適していない。
【0004】
そこで、近年のPTCA拡張カテーテルは、同軸のカテーテルチューブによるコアキシャル構造のものが主流になっている。こうしたコアキシャル構造のカテーテルの血管内走行性および押し込み性を改善する技術として、例えば特開平5−137793号公報および特開平3−51059号公報が知られている。
【0005】
特開平5−137793号公報のカテーテルは、バルーンよりも基端側にかなり離間した位置からバルーン基端までのかなりの長さにわたって、内管と外管とが接着されてバルーン拡張用流路が狭められた構造を有する。この構造では、バルーン拡張用液体はバルーンよりもかなり手前から狭められた流路を通過しなければならない。このため、拡張体を拡張させるのに必要な拡張液体の流路が妨げられ、バルーンの拡張・収縮の時間応答性が悪くなるという問題がある。
【0006】
特開平3−51059号公報のカテーテルは、バルーンの内部で内管と外管とをリング状のスペーサーにより接合し、かつ外管壁に開口を形成した構造を有する。この構造では、バルーン拡張用液体は外管壁に設けられた狭い開口をシャフトの長軸に対して直交するように通過して、注入・排出される。このため、バルーン拡張用液体がスムーズに流れ難く、バルーンの拡張・収縮の時間応答性が悪いという問題がある。さらに、内管と外管とを接合するために、煩雑な工程が必要になるという問題もある。
【0007】
特開平11−19216号公報には、カテーテルチューブを構成する内管と外管とを簡便に接合する方法が記載されている。この方法は、内管と外管とを相溶性のある材料で形成し、光ビームを照射することにより内管と外管とを熱融着により接合するものである。この公報に開示されている方法では、内管内に第1ルーメン確保用の芯金を挿入するとともに、内管と外管との間に第2ルーメン確保用の芯金を挿入した状態で光ビームを照射している。内管と外管との間に第2ルーメン確保用の芯金を挿入するのは、光ビームの焦点領域以外にも熱が伝播することにより内管および外管が熱変形して第2ルーメンが閉塞するのを避けるためである。このように、上記方法では内管と外管との間に第2ルーメン確保用の芯金を挿入する作業が必要であり、工程が煩雑となる。また、光ビームの照射によって外管の内面だけでなく外面も熱変形するため、美観が損なわれるという問題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、内管と外管との間のルーメンを確保するための芯金を用いることなく、短時間で容易に内管と外管とを接合できるカテーテルの製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、接合部以外での内管および外管の熱変形がなく、拡張液体の流路の遮断または拡張体内への拡張液体の流入障害が極めて少ないため拡張体の拡張・収縮の時間応答性が良好であるうえに、外管外面の美観も良好なカテーテルを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のカテーテルの製造方法は、第1のルーメンを形成する肉厚が10〜150μmの内管と、該内管と同軸的に設けられ、内管の外面との間で第2のルーメンを形成する肉厚が25〜200μmの外管とを少なくとも有するカテーテルを製造するにあたり、前記内管内に第1のルーメンを確保するための芯金を挿入し、かつ前記第2のルーメンを確保するための芯金を用いることなく、前記外管外面に超音波発振ホーンを押し付けて発振することにより前記外管の内面と前記内管の外面とを融着接合することを特徴とする。
【0011】
この方法では、超音波発振により外管の内面と内管の外面とを融着接合するので、両者の接合部以外は熱変形することがなく、接合作業の際にも内管と外管との間の第2ルーメンを確保するための芯金を用いる必要もない。このように、内管内に第1ルーメン確保用の芯金を挿入して超音波発振による融着接合作業を行えばよいので、短時間で容易に内管と外管とを接合できる。
【0012】
また、本発明のカテーテルは、先端が開口した第1のルーメンを形成する内管と、該内管と同軸的に設けられ、該内管の先端より後退した位置に先端を有し、該内管の外面との間で第2のルーメンを形成する外管と、先端部が前記内管に取り付けられ、基端部が前記外管に取り付けられて該基端部において第2のルーメンと連通する収縮または折り畳み可能な拡張体と、前記内管の基端部に設けられた前記第1のルーメンと連通する第1のポートと、前記外管の基端部に設けられた前記第2のルーメンと連通する第2のポートとを有し、前記外管内面の一部と前記内管外面の一部とが融着接合されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のカテーテルでは、前記外管内面と前記内管外面との接合部において、両者の接合面から外管および内管の肉厚の90%以内に相当する領域のみが熱変形している。このことは、接合部においても外管外面から外管の肉厚の10%以上および内管内面から内管の肉厚の10%以上の領域はほとんど熱変形していないことを意味し、接合部から離れた領域の外管および内管は熱変形しない。
【0014】
本発明においては、外管内面と内管外面との接合部は、内管外面の円周の5〜95%にわたって形成され、軸方向に沿って0.3〜30mmの長さにわたって形成されていることが好ましい。
【0015】
本発明のカテーテルは、上記のように接合部以外での内管および外管の熱変形がないので、拡張液体の流路の遮断または拡張体内への拡張液体の流入障害が極めて少ないため拡張体の拡張・収縮の時間応答性が良好であるうえに、外管外面の美観も良好である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のカテーテルおよびその製造方法を図面を参照して説明する。図1は本発明に係るカテーテルの一例を示す外観図である。図2は図1のカテーテルの先端部を示す断面図である。図3は図1のカテーテルの内外管接合部を示す断面図である。図4〜図7は内管と外管との接合方法を工程毎に示す外観図および断面図である。
【0017】
図1に示すように、本発明のカテーテル1はカテーテル本体10と分岐ハブ20とを連結した構造を有する。カテーテル本体10は、後に詳細に説明するように、第1のルーメンL1を形成する内管2と、内管2との間で第2のルーメンL2を形成する外管3と、拡張体(バルーン)4とを有する。カテーテル本体10は先端部10aと本体部10bとに区分される。分岐ハブ20は第1のルーメンL1に連通する開口部を有する第1のポート(ガイドワイヤポート)21と、第2のルーメンL2に連通する開口部を有する第2のポート(インジェクションポート)22とを備えている。
【0018】
図2を参照して、カテーテル本体10の先端部10aの構造を説明する。内管2は第1のルーメンL1を形成し、第1のルーメンL1はカテーテル本体10の最先端で開口している。外管3はその先端が内管2の先端より後退した位置に配置されて内管2と同軸的に設けられ、外管3の内面と内管2の外面との間で十分な容積を有する第2のルーメンL2を形成する。
【0019】
拡張体(バルーン)4はその先端部が内管2の先端部に取り付けられ、その基端部が外管3の先端部に取り付けられる。拡張体4の内部は、その基端部において第2のルーメンL2と連通している。拡張体4は拡張させない状態では内管2の外周で収縮または折り畳まれた状態になっている。拡張体4は拡張した状態では少なくとも一部が円筒状(または多角柱状)となり、血管の狭窄部を容易に拡張できるようになっている。拡張体4の円筒部分の中央部に対応する位置において、内管2の外面にX線造影性の高い材質からなるマーカー5が設けられる。なお、拡張体4の円筒部分の基端部に対応する位置において、内管2の外面に第2のマーカー(図示せず)を設けてもよい。また、この例に限らず、拡張体4の円筒部の両端に対応する位置において、内管2の外面にマーカーを2つ設けてもよい。
【0020】
内管2の外面と外管3の内面は、拡張体4の基端部より後退した位置において融着接合されて接合部6を形成している。このように、拡張体4の基端部より後退した位置で接合することにより拡張体4のある部分の柔軟性が損なわれることがなく、血管への押し込み性、追従性に優れたカテーテルとすることができる。なお、この例に限らず、外管3を拡張体4の内部に延長し、拡張体4の基端部よりも先端側で内管2と接合してもよい。図3に接合部6の位置における外管3および内管2の断面を示す。
【0021】
図4〜図7を参照して、外管3と内管2との接合方法を説明する。いずれの図においても、(A)はカテーテルの先端部を一部破断して示す外観図、(B)は接合部の位置における断面図である。
【0022】
まず、図4に示すように、内管2に第1のルーメンL1を確保するための芯金51を挿入する。芯金51の外径は、内管2の内径と等しいか、または内管2の内径より0.1mm程度細いものが好ましい。この際、特開平11−19216号公報に開示されている第2のルーメンを確保するための第2の芯金は用いない。
【0023】
次に、図5に示すように、拡張体4の基端部より後退した位置において、外管3の外面に超音波発振ホーン52を所定の圧力、好ましくは50〜5000gfで押し付ける。そして、図6に示すように、超音波発振ホーン52を発振させ、外管3内面と内管2外面とを融着接合し、図7に示すように接合部6を形成する。こうして外管3内面に内管2外面を融着接合して固定することにより、血管内での押し込み性(血管内走行性)を確保することができる。
【0024】
本発明で用いる超音波融着では、外管3内面と内管2外面との接触面における内部発熱を利用しているので、接合すべき領域のみを選択的に加熱でき、他の領域に熱が伝播しにくい。このため、接合部6において接合面から外管3および内管2の肉厚の90%以内に相当する領域のみが熱変形し、接合部6においても外管3外面から外管の肉厚の10%以上および内管2内面から内管の肉厚の10%以上の領域はほとんど熱変形せず、接合部6から離れた領域の外管3および内管2は熱変形しない。すなわち、従来技術のように外管と内管との間のルーメンを確保するための芯金を挿入しなくても該ルーメンの閉塞や狭窄が生じることがなく、接合部における連通部の開口面積は、接合部以外における第2のルーメンL2の断面積と実質的に差異がない。したがって、第2のルーメンL2を通しての拡張体4との間での液体の流入および流出も良好である。しかも、外管3外面の美観が損なわれることもない。また、上述したように熱変形が少ないことから、従来技術と異なり第2のルーメンを確保するための芯金を必要としないので、外管3と内管2との接合作業を極めて短時間に行うことができる。
【0025】
なお、外管3内面と内管2外面との接合部6は、内管2外面の円周の5〜95%にわたって形成され、軸方向に沿って0.3〜30mmの長さにわたって形成されていることが好ましい。
【0026】
次いで、図2よりも基端側におけるカテーテルの構造を順次説明する。
【0027】
図8に示すように、外管3は先端側外管3aと本体側外管3bとを接合したものである。本体側外管3bの先端部は先端側外管3aの内径とほぼ等しい外径を有する挿入部3cとなっており、この挿入部3cが先端側外管3aの基端部内に挿入される。さらに、図1に示すように、先端側外管3aは本体側外管3bとの接合部より先端側でテーパー状に縮径して細径となっている。本体側外管3bの挿入部3cには螺旋状にスリット7が設けられている。スリット7は挿入部3cの先端または先端より若干基端側の位置に始端を有し、挿入部3cの基端より若干先端側の位置に終端を有し、挿入部3cの基端側にはスリットが形成されない部分がある。このスリット非形成部において先端側外管3aと本体側外管3bとが固定され、スリット形成部では先端側外管3aと本体側外管3bとは固定されていない。このようなスリット7を設けると、接合部が柔軟になって本体側外管3bの先端部がより自然に湾曲するので、カテーテルの操作性がより向上する。なお、スリットの代わりに多数の細孔を設けてもよい。
【0028】
図9に示すように、先端側外管3aと本体側外管3bとの接合部より若干基端側の位置において、内管2はテーパー部を備え、その先端側は細径となり、その本体側は先端側より径が大きくなっている。
【0029】
図10を参照して本発明のカテーテル1の基端部について説明する。カテーテル本体10の基端部には分岐ハブ12が固定されている。分岐ハブ20は第1のルーメンL1に連通する開口部を有する第1のポート(ガイドワイヤポート)21と、第2のルーメンL2に連通する開口部を有する第2のポート(インジェクションポート)22とを備えている。
【0030】
外管3の基端部には折曲がり防止用チューブ23が被せられている。折曲がり防止用チューブ23は、熱収縮性を有する樹脂で熱収縮後の内径が外管3の外径より若干小さくなるように形成したものを外管3の基端部に被せ、例えば熱風をあてて加熱・収縮させることにより取り付けられている。この折曲がり防止用チューブ23は、第2のポート22の内面に設けられた突起22aに止めピン24を押し込むことにより固定されている。すなわち、外管3の基端に、拡径した基端部を有する止めピン24を差し込み、外管3を基端から第2のポート22の先端側に挿入して、止めピン24の基端部が突起22aを越えるまで押し込むことにより固定されている。この際、第2のポート22と折曲がり防止用チューブ23との接触面に接着剤を塗布して固着してもよい。
【0031】
内管2の基端部にも折曲がり防止用チューブ25が被せられている。折曲がり防止用チューブ25は、熱収縮性を有する樹脂で熱収縮後の内径が内管2の外径より若干小さくなるように形成したものを内管3の基端部に被せ、例えば熱風をあてて加熱・収縮させることにより取り付けられている。この折曲がり防止用チューブ25は、第1のポート21の内面に設けられた突起21aに止めピン26を押し込むことにより固定されている。すなわち、内管2の基端に、拡径した基端部を有する止めピン26を差し込み、内管2を基端から第1のポート21の先端側に挿入して、止めピン26の基端部が突起21aを越えるまで押し込むことにより固定されている。この際、第1のポート21と折曲がり防止用チューブ25との接触面に接着剤を塗布して固着してもよい。
【0032】
また、外管3の基端部に取り付けられた第2のポート22の基端側から、内管2の先端から挿入し、第1のポート21と第2のポート22とを嵌合させている。この際、第1のポート21と第2のポート22との接触面に接着剤を塗布することにより両者を確実に固着させている。
【0033】
なお、本発明のカテーテル1の基端部は図10に示した構造に限定されない。例えば、分岐ハブ12を設けずに、内管2の基端および外管3の基端にそれぞれポート部材を有するチューブを液密に取り付けるようにしてもよい。
【0034】
図8〜10に示すように、分岐ハブ20の基端部からカテーテル本体10の先端部10aにわたって、内管2と外管3との間の第2のルーメンL2内には、金属線からなる剛性付与体8が挿入されている。この剛性付与体8は、カテーテルの可撓性をあまり低下させることなく屈曲部位でのカテーテル本体10の極度の折れ曲がりを防止するとともに、カテーテルの先端部の押し込みを容易にするために設けられている。
【0035】
剛性付与体8の基端部は、内管2の基端部に被せられている折曲がり防止用チューブ25により内管2の基端部の外面に固定されている。なお、剛性付与体8の基端部を外管3の基端部の内面に固定してもよい。この剛性付与体8は、基端部以外では固定されていない。
【0036】
図11に示すように、剛性付与体8の先端部は他の部分より細径となっている。先端部は研磨などの方法により加工される。図8に示すように、剛性付与体8の細径部分の先端は、本体側外管3bの先端部付近まで延びている。剛性付与体8の細径部分の先端は、先端側外管3aの先端付近まで延びるようにしてもよい。
【0037】
上述したように剛性付与体8は基端部以外では固定されていないため、第2のルーメンL2内で比較的自由に動くことができる。このように剛性付与体8を動けるようにすると、カテーテル本体10が血管内にて蛇行するのを防止できる。このため、カテーテル本体10の基端部から与えた押込力が蛇行部で緩衝されることがなくなり、カテーテルの先端まで押込力を確実に伝達することができる。したがって、カテーテルの操作性、特に拡張体4が取り付けられているカテーテルの先端部を血管内狭窄部に押し込む作業が容易となるとともに、高度の血管内狭窄部(亜完全閉塞部)にもカテーテルの先端部を挿入することができる。
【0038】
上記のような良好な操作性を得るためには、剛性付与体8は先端側より基端側で剛性が高いことが好ましい。このことは、剛性付与体8として先端側より基部側で断面積が大きいものを用いることにより実現できる。また、剛性付与体8に対し、先端部により柔軟性を与え本体部により高い剛性を与えるために、剛性付与体8として用いられる金属線を冷間加工した後に焼鈍する際に、温度勾配を先端側で高く本体側で低くして処理してもよい。また、剛性付与体8を細径の金属線を数本撚り合わせた撚線により形成してもよい。
【0039】
次いで、本発明のカテーテルを構成する各部材の材料および寸法などについてより詳細に説明する。
【0040】
内管を構成する材料としては、ある程度可撓性を有するものが用いられる。例えばポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれらのうち2種以上の混合物)、ポリオレフィンを架橋したもの、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素樹脂などの高分子材料またはこれらの混合物などが使用できる。
【0041】
内管2としては、長さが300〜2000mm、より好ましくは300〜1500mm、肉厚が10〜150μm、より好ましくは20〜100μmのものが用いられる。内管2の外径は、先端側で0.30〜2.00mm、好ましくは0.40〜1.80mm、本体側で0.40〜2.50mm、好ましくは0.55〜2.40mmに設計される。さらに、内管2の外径は、最先端側で0.1〜1.0mm、より好ましくは0.3〜0.7mmに設計されることもある。
【0042】
上記のような異径内管は、先端側内管と基端側内管とを個々に作製して接合したもの、引き落とし等の二次加工を行ったもの、押し出し成形により先端側の径を本体側の径より小さくしたもののいずれでもよい。
【0043】
外管を構成する材料としては、内管と超音波融着可能であり、ある程度可撓性を有するものが用いられる。例えばポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれらのうち2種以上の混合物)、ポリオレフィンを架橋したもの、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、フッ素樹脂、ポリイミドなどの高分子材料またはこれらの混合物などが使用できる。外管の材質は、内管と同材質であることがより好ましい。
【0044】
外管3として、先端側外管3aと本体側外管3bとを接合したものを用いる場合には、両者の材料を変えてもよい。例えば、本体側外管3bとして剛性の高い材料(例えば、ポリイミド系樹脂)を用い、先端側外管3aとして本体側外管3bの形成材料より柔軟な材料(例えば、ポリアミド系樹脂)を用いることが好ましい。
【0045】
外管3としては、長さが300〜2000mm、より好ましくは300〜1500mm、肉厚が25〜200μm、より好ましくは50〜100μmのものが用いられる。外管3の外径は、先端側外管3aの細径部で0.50〜1.5mm、好ましくは0.60〜1.1mm、先端側外管3aの基端部および本体側外管3bで0.75〜1.5mm、好ましくは0.9〜1.1mmに設計される。
【0046】
拡張体4の材料としては、血管の狭窄部を拡張でき、かつある程度の可塑性を有するものが好ましい。例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれらのうち2種以上の混合物)、ポリオレフィンを架橋したもの、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリエステルエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、フッ素樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴムなどが使用できる。これらの材料を適宜積層した積層フィルムも使用できる。
【0047】
拡張体4としては、拡張されたときの円筒部分の外径が1.0〜10mm、好ましくは1.0〜5.0mm、円筒部分の長さが5〜50mm、好ましくは10〜40mm、拡張体全体の長さが10〜70mm、好ましくは15〜60mmのものが用いられる。
【0048】
マーカー5の材料としては、X線造影性の高い材料、例えばPt、Pt合金、W、W合金、Au、Au合金、Ir、Ir合金、Ag、Ag合金などを用いることが好ましい。マーカー5は、コイルスプリングまたはリングの形状に形成することが好ましい。
【0049】
第1のポート21および第2のポート22を含む分岐ハブ20の形成材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。
【0050】
剛性付与体8の材料としては、ステンレス鋼等の弾性金属、超弾性合金など、特にばね用高張力ステンレス鋼、超弾性を備えるNi/Ti合金線を用いることが好ましい。
【0051】
剛性付与体8の線径は0.05〜1.50mm、好ましくは0.10〜1.00mmに設計される。剛性付与体8の先端側を細径にする場合、細径部分の外径は基端側の外径の1/5〜1/10程度とすることが好ましい。
【0052】
本発明のカテーテルは、上述したいわゆるオーバザワイヤータイプのものに限定されず、第1のポートがハブよりも先端側に設けられたいわゆるラピッドエクスチェンジタイプのものであってもよい。また、血管内またはガイドカテーテル内へのカテーテル1の挿入を容易にするために、外管3の外面、拡張体4の外面に潤滑性を与える処理を施すことが望ましい。このような処理は、例えばポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーのコーティング、またはポリジメチルシロキサンを主鎖に持つ反応性シリコーン樹脂などの潤滑性の良好な物質のコーティングもしくは固定により実施できる。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の方法を用いれば、内管と外管との間のルーメンを確保するための芯金を用いることなく、短時間で内管と外管とを接合することができカテーテルを容易に製造できる。また、本発明のカテーテルは、接合部以外での内管および外管の熱変形がなく、拡張液体の流路の遮断または拡張体内への拡張液体の流入障害が極めて少ないため拡張体の拡張・収縮の時間応答性が良好であるうえに、外管外面の美観も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカテーテルの一例を示す外観図。
【図2】図1のカテーテルの先端部を示す断面図。
【図3】図1のカテーテルの内外管接合部を示す断面図。
【図4】本発明における内管と外管との接合方法を示す外観図および断面図。
【図5】本発明における内管と外管との接合方法を示す外観図および断面図。
【図6】本発明における内管と外管との接合方法を示す外観図および断面図。
【図7】本発明における内管と外管との接合方法を示す外観図および断面図。
【図8】先端側外管と本体側外管との接合部を示す断面図。
【図9】内管のテーパー部を示す断面図。
【図10】本発明に係るカテーテルの基端部を示す断面図。
【図11】剛性付与体の細径部分を示す図。
【符号の説明】
1…カテーテル
2…内管
3…外管
4…拡張体(バルーン)
5…マーカー
6…接合部
7…スリット
8…剛性付与体
10…カテーテル本体
20…分岐ハブ
21…第1のポート(ガイドワイヤポート)
22…第2のポート(インジェクションポート)
23…折曲がり防止用チューブ
24…止めピン
25…折曲がり防止用チューブ
26…止めピン
51…芯金
52…超音波ホーン
Claims (5)
- 第1のルーメンを形成する肉厚が10〜150μmの内管と、該内管と同軸的に設けられ、内管の外面との間で第2のルーメンを形成する肉厚が25〜200μmの外管とを少なくとも有するカテーテルを製造するにあたり、前記内管内に第1のルーメンを確保するための芯金を挿入し、かつ前記第2のルーメンを確保するための芯金を用いることなく、前記外管外面に超音波発振ホーンを押し付けて発振することにより前記外管の内面と前記内管の外面とを融着接合することを特徴とするカテーテルの製造方法。
- 先端が開口した第1のルーメンを形成する内管と、
該内管と同軸的に設けられ、該内管の先端より後退した位置に先端を有し、該内管の外面との間で第2のルーメンを形成する外管と、
先端部が前記内管に取り付けられ、基端部が前記外管に取り付けられて該基端部において第2のルーメンと連通する収縮または折り畳み可能な拡張体と、
前記内管の基端部に設けられた前記第1のルーメンと連通する開口部を有する第1のポートと、
前記外管の基端部に設けられた前記第2のルーメンと連通する開口部を有する第2のポートとを有し、
請求項1記載の方法により、前記外管内面の一部と前記内管外面の一部とが融着接合されていることを特徴とするカテーテル。 - 前記外管内面と前記内管外面との接合部において、両者の接合面から外管および内管の肉厚の90%以内に相当する領域のみが熱変形していることを特徴とする請求項2記載のカテーテル。
- 前記外管内面と前記内管外面との接合部が、前記内管外面の円周の5〜95%にわたって形成されていることを特徴とする請求項3記載のカテーテル。
- 前記外管内面と前記内管外面との接合部が、軸方向に沿って0.3〜30mmの長さにわたって形成されていることを特徴とする請求項3記載のカテーテル。
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