JP3699984B2 - 血管拡張器具およびカテーテル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血管内狭窄部を治療するために、狭窄部を拡張し、狭窄部末梢側における血流の改善を図るための血管拡張器具に関するものである。また、本発明は、細径の血管内、例えば、脳血管内または心臓血管内に治療、または検査のために挿入されるカテーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、動脈硬化症等により狭窄した血管の治療のために、先端部に拡張体を有するカテーテルを狭窄部に挿入し、拡張体により狭窄部を拡張し、末梢側の血流を改善する経皮的経管式冠動脈形成術(PTCA)が行われている。
拡張体付カテーテルとしては、例えば、USP4,323,071号明細書に開示されるものに代表されるように、カテーテルの内部にて、ガイドワイヤーを前後に移動できるオーバーザワイヤー方式と呼ばれるものと、USP4,573,470号明細書に開示されるものに代表されるように、ガイドワイヤーにカテーテルが固定されたオンザワイヤー方式と呼ばれるものがある。
そして、血管拡張器具の導入が要求される部位は、年々細径な血管へと進展してきており、より細径な血管、より末梢の血管部位まで導入できる血管拡張器具が望まれるようになってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
現在、オーバーザワイヤー方式およびオンザワイヤー方式により超弾性金属管を用いた血管拡張器具、血管拡張用カテーテルが提案されており、これらは、トルクの伝達性および血管拡張器具の基端部で与えた押し込み力の伝達性という点においては、十分な効果を有している。
【0004】
しかし、オーバーザワイヤー方式の血管拡張器具では、超弾性金属管の存在しなくなる部分、言い換えれば、超弾性金属管の先端付近において、血管拡張器具が折れ曲がる可能性がある。また、オンザワイヤー方式の血管拡張器具では、管状体の全体を超弾性金属管で形成しているため、先端部が柔軟性に欠けていた。また、オンザワイヤー方式の血管拡張器具では、管状体の全体を超弾性金属管で形成し、かつその先端部を柔軟なものとしているため、先端部が柔軟であるが、それでも、超弾性金属管により形成されているため、樹脂で形成した場合のような柔軟性を有していない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、血管拡張器具の基端部で与えた押し込み力の伝達性(押し込み性、プッシャビリティ)およびトルクの伝達性が高く、かつ、先端部は、十分に柔軟なものとすることができ、さらに、剛性の高い本体部と柔軟な先端部との境界部分における物性の変化に起因する折れ曲がりを確実に防止することができる操作性の優れた血管拡張器具を提供するものである。
【0006】
また、血管内に挿入されるカテーテル、例えば、血管造影用カテーテル、血管内薬剤投与用カテーテルは、従来より、ある程度柔らかい熱可塑性樹脂を用いて形成されている。そして、最近では、カテーテルの外周に金属線(一般的にはステンレス線)よりなる剛性付与体を設けて、柔軟性が高い状態を維持し、かつ、折れ曲がりや押しつぶされることを抑制し、さらにはトルクの伝達性を向上したカテーテルが考えられるようになった。
そして、最近では、カテーテルの導入が必要となる部位は、心臓から脳といった、より細径な血管に発展してきている。脳血管における血管病変としては、動脈瘤、動静脈奇形(AVM)、硬膜動静脈瘻(Dual AVM)といったものがある。これらの検査、治療のために、カテーテルは、より細径な血管、より末梢の血管部位まで導入できるものが望まれるようになってきている。
【0007】
しかし、上記のカテーテルでは、カテーテルの本体が合成樹脂チューブにより形成されているため、ある程度の肉厚が必要となり外径が肉厚分大きくなる。このため、導入できる血管部位は、カテーテルの外径により制限され、カテーテルの外径より十分大きい血管部位にしか導入することができなかった。さらに、剛性の高い材料にて形成すると、カテーテル全体としても硬いものとなり、挿入先端部により血管壁への損傷の危険性、挿入作業の困難性などの問題もある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、カテーテルを十分に肉薄にすることができ、より細径のカテーテルを形成することが可能であり、かつ、先端部は十分な柔軟性を有するカテーテルを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1)先端が開口する第1のルーメンを有する内管と、該内管に同軸的に設けられ、前記内管の先端より所定長後退した位置に先端を有し、該内管の外面との間に第2のルーメンを形成する外管と、先端部および基端部を有し、該基端部が前記外管に取り付けられ、該先端部が前記内管に取り付けられ、該基端部付近にて第2のルーメンと連通する収縮あるいは折り畳み可能な拡張体と、該内管の基端部に設けられた、前記第1のルーメンと連通する第1の開口部と、前記外管の基端部に設けられた前記第2のルーメンと連通する第2の開口部とを有する血管拡張器具であって、前記内管および前記外管の少なくとも一方は、超弾性金属管により形成された本体部と、合成樹脂により形成された先端部とを有し、該超弾性金属管の先端部は、スリットまたは多数の細孔を有することにより他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっており、さらに、前記超弾性金属管の外面側および内面側に合成樹脂チューブが設けられている血管拡張器具。
【0010】
(2)前記超弾性金属管は、先端より後端側に延びるスリットを有することにより、他の部分と比べて柔軟な変形可能部となっている上記(1)の血管拡張器具。
(3)前記変形可能部は、基端より先端に向かって徐々に柔軟になっている上記(1)または(2)の血管拡張器具。
【0011】
)前記スリットは、螺旋状スリットである上記()の血管拡張器具。
【0012】
)前記多数の細孔は、変形可能部の基端側より先端側の方が開口面積が大きくなっている上記()の血管拡張器具。
)前記多数の細孔は、変形可能部の基端側より先端側の方が細孔数が多くなっている上記()の血管拡張器具。
【0013】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
)超弾性金属管と該超弾性金属管を被覆する合成樹脂層とを有する本体部と、合成樹脂により形成された先端部とを有するカテーテルであって、前記超弾性金属管の先端部は、スリットまたは多数の細孔を有することにより他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっており、さらに前記超弾性金属管は、合成樹脂層により被覆されており、かつ、該合成樹脂層は、前記超弾性金属管の外面を被覆する外面側合成樹脂層と内面を被覆する内面側合成樹脂層とを備えているカテーテル。
【0014】
)前記変形可能部は、基端側より先端側がより柔軟である上記()のカテーテル。
)前記変形可能部は、基端より先端に向かって徐々に柔軟になっている上記()のカテーテル。
10)前記スリットは、螺旋状スリットである上記()のカテーテル。
11)前記多数の細孔は、変形可能部の基端側より先端側の方が開口面積が大きくなっている上記()のカテーテル。
12)前記多数の細孔は、変形可能部の基端側より先端側の方が細孔数が多くなっている上記()のカテーテル。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の血管拡張器具を図面に示す実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の血管拡張器具の一実施例の部分省略外観図であり、図2は、図1に示した血管拡張器具の先端部の拡大断面図であり、図3は、図2のA−A線断面図であり、図4は、図2のB−B線断面図であり、図5は、図2のC−C線断面図であり、図6は、本発明の血管拡張器具の一実施例の基端部の断面図である。図7は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の先端部の拡大断面図であり、図8は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の先端部の拡大断面図である。
【0016】
本発明の血管拡張器具1は、先端が開口する第1のルーメン4を有する内管5と、内管5に同軸的に設けられ、内管5の先端より所定長後退した位置に先端を有し、内管5の外面との間に第2のルーメン6を形成する外管2と、先端部および基端部を有し、基端部が外管2に取り付けられ、先端部が内管5に取り付けられ、基端部付近にて第2のルーメン6と連通する収縮あるいは折り畳み可能な拡張体3と、内管5の基端部に設けられた、第1のルーメン4と連通する第1の開口部9と、外管2の基端部に設けられ、第2のルーメン6と連通する第2の開口部11とを有する。そして、内管5および外管2の少なくとも一方は、超弾性金属管により形成された本体部と、合成樹脂により形成された先端部とを有し、超弾性金属管の先端部は、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっている。
【0017】
以下、図面を用いて説明する。
本発明の血管拡張器具は、図1に示すように、内管5と外管2と拡張体3とを有する血管拡張器具本体と、分岐ハブ20とにより形成されている。
この血管拡張器具1では、外管2は、超弾性金属管2bにより形成された本体部2dと、合成樹脂により形成された先端部2cとを有し、本体部2dと先端部2cとの接合部となる超弾性金属管の先端部は、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっている。
【0018】
具体的には、外管2は、超弾性金属管2bと、超弾性金属管の表面を被覆する合成樹脂チューブ2aとを有し、合成樹脂チューブ2aは、超弾性金属管2bの先端部より突出し、外管2の先端部2cを形成している。
さらに、図2および図2のC−C線断面図である図5に示すように、超弾性金属管の先端部には、先端より後端側に延びるスリット2eが設けられている。これにより、超弾性金属管の先端部は、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっており、超弾性金属管の先端部は、その側壁が超弾性金属管の内側に変形可能である。そして、図2に示すように、スリット2eは、超弾性金属管2bの先端より後端側に向かって徐々に幅が小さく、言い換えれば、先端側に向かって幅が徐々に大きくなるように形成されている。このため、超弾性金属管2bの先端でのスリット幅が、最大となっており、超弾性金属管2bは先端に向かうほど変形が容易であり、かつ、側壁の部分的内側または外側への変形も容易なものとなっている。スリット2eは、ほぼ等間隔に、2〜8個程度設けられていることが好ましい。スリットの先端の幅(最大部分の幅)としては、0.05〜0.5mm程度が好ましく、またスリットの長さとしては、100mm〜1000mmが好ましく、特に、150mm〜500mmが好ましい。
【0019】
さらに、図1および図2に示すように、この実施例の血管拡張器具1では、超弾性金属管2bの先端部が縮径しており、つまり、先端部を形成する側壁(言い換えれば、スリットにより形成された突出部)が内側に変形している。この状態は、超弾性金属管2bの先端部を図2に示すような形状に先端部を加工することにより形成できる。また、超弾性金属管2bの先端部の外面を被覆する合成樹脂チューブ2aの外径が縮径するように形成し、この合成樹脂チューブ2aにより、超弾性金属管2bの先端部を内側に変形させることにより形成できる。このように、超弾性金属管2bを有する本体部より合成樹脂チューブ2aのみにより形成される先端部2cを小径のものとすることにより、より末梢側の血管内に血管拡張器具1の先端部を挿入することができる。さらに、上記のように、外管2の本体部2dより先端部2cに移行する部分(言換えれば、本体部2bの先端部)を、先端側に向かってテーパー状に縮径するように形成することにより、血管内への挿入がより容易となる。
【0020】
このように、この血管拡張器具1では、外管2の本体部2dは、超弾性金属管を有することにより、血管拡張器具の基端部で与えた押し込み力の伝達性(押し込み性、プッシャビリティ)およびトルクの伝達性が高い。そして、先端部は、合成樹脂により形成されているため、十分な柔軟性を有し、さらに、本体部と先端部の境界部分にあたる超弾性金属管の先端部は、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっているため、剛性の高い本体部と柔軟な先端部と境界部分での折れ曲がりを確実に防止することができる。
【0021】
外管2としては、外径が0.60〜2.80mm、好ましくは0.80〜2.60mmであり、内径が0.50〜2.70mm、好ましくは0.60〜2.00mmである。特に内管5の外径と、外管2の内径との差が0.05〜0.20mm、好ましくは0.1〜1.20mmである。外管2の肉厚は、0.05〜0.75mm、好ましくは0.07〜0.3mmである。
【0022】
超弾性金属管2bの材質としては、超弾性合金が好適に使用される。ここでいう超弾性合金とは一般に形状記憶合金といわれ、少なくとも生体温度(37℃付近)で超弾性を示すものである。特に好ましくは、49〜53原子%NiのTiNi合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(X=Be,Si,Sn,Al,Ga)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等の超弾性金属体が好適に使用される。特に好ましくは、上記のTiNi合金である。また、Ti−Ni合金の一部を0.01〜10.0%Xで置換したTi−Ni−X合金(X=Co,Fe,Mn,Cr,V,Al,Nb,W,Bなど)とするか、またはTi−Ni合金の一部を0.01〜30.0%原子で置換したTi−Ni−X合金(X=Cu,Pb,Zr)とすること、また、冷間加工率または/および最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。また、上記のTi−Ni−X合金を用いて冷間加工率および/または最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。
そして、超弾性金属管2bは、外径0.6〜2.0mm、好ましくは0.8〜1.6mm、肉厚50〜200μm、好ましくは80〜150μmのものであり、長さは、500〜4000mm、より好ましくは1000〜3000mm、座屈強度(負荷時の降伏応力)は、5〜20kg/mm(22℃)、より好ましくは、8〜150kg/mm、復元応力(除荷時の降伏応力)は、3〜180kg/mm(22℃)、より好ましくは、5〜130kg/mmである。ここでいう超弾性とは、使用温度において通常の金属が塑性変形する領域まで変形(曲げ、引張り、圧縮)させても、変形の解放後、加熱を必要とせずにほぼ元の形状に回復することを意味する。
【0023】
そして、この超弾性金属管にスリットおよび後述する細孔の形成は、レーザー加工(例えば、YAGレーザー)、放電加工、化学エッチング、切削加工など、さらにそれらの併用により行うことができる。
【0024】
外管2の合成樹脂チューブ2aの形成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体など)、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム等が使用でき、好ましくは上記の熱可塑性樹脂であり、より好ましくは、ポリオレフィンである。超弾性金属管に被覆される部分の合成樹脂チューブ2aの肉厚としては、5〜300μm、好ましくは、10〜200μmである。
さらに、外管2の外面(具体的には、合成樹脂チューブ2aの外面)は、生体適合性、特に抗血栓性を有する樹脂をコーティングしてもよい。抗血栓性材料としては、例えば、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートとスチレンの共重合体(例えば、HEMA−St−HEMAブロック共重合体)などが好適である。
【0025】
そして、超弾性金属管2bのスリット2e内には、合成樹脂チューブ2aを形成する樹脂材料の一部が流入していてもよいが、好ましくは、実質的に流入していなく、スリット2e部分が空隙となっていることが好ましい。このように樹脂材料が、スリット内に流入していなければ、超弾性金属管の変形を阻害することがない。
【0026】
また、外管2の合成樹脂チューブ2aとしては、熱収縮チューブを用いてもよい。熱収縮チューブとしては、加熱前の内径が超弾性金属管2bの外径より大きく、内部に超弾性金属管を挿通できるものであり、加熱により全体がほぼ均一に収縮し、超弾性金属管2bの外面に密着するものが使用される。このような熱収縮チューブは、成形時の内径が超弾性金属管の外径と同じまたは若干小さく形成したものを、全体に拡径するように延伸し、加熱することにより、成形時の径または成形時の径程度に収縮するものが好適に使用できる。熱収縮チューブの材料としては、上記のように延伸でき、かつ加熱することにより収縮する材料が使用され、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体など)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミドエラストマー等が使用できる。
【0027】
内管5は、先端が開口した第1のルーメン4を有している。第1のルーメン4は、ガイドワイヤーを挿通するためのルーメンであり、後述する分岐ハブ20に設けられたガイドワイヤーポートを形成する第1の開口部9と連通している。内管5としては、外径が0.40〜2.50mm、好ましくは0.55〜2.40mmであり、内径が0.25〜2.35mm、好ましくは0.30〜1.80mmである。
そして、内管5の先端部は、先端側に向かってテーパー状に縮径していてもよい。このようにすることにより、血管内への血管拡張器具の挿入が容易になる。
内管5の形成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用でき、好ましくは上記の熱可塑性樹脂であり、より好ましくは、ポリオレフィンである。
【0028】
そして、内管5は、外管2の内部に挿通され、その先端部が外管2より突出している。図2および図2のA−A線断面図である図3に示すように、この内管5の外面と外管2の内面により第2のルーメン6が形成されており、十分な容積を有している。そして、第2のルーメン6は、その先端において拡張体3内と連通し、第2のルーメン6の後端は、拡張体を膨張させるための流体(例えば、血管造影剤)を注入するためのインジェクションポートを形成する分岐ハブ20の第2の開口部11と連通している。
【0029】
拡張体3は、収縮または折り畳み可能なものであり、拡張させない状態では、内管5の外周に折りたたまれた状態となることができるものである。そして、拡張体3は、血管の狭窄部を容易に拡張できるように少なくとも一部が略円筒状となっているほぼ同径の略円筒部分3aを有し、かつ折りたたみ可能なものである。上記の略円筒部分3aは、完全な円筒でなくてもよく、多角柱状のものであってもよい。そして、拡張体3は、その後端部8が外管2の先端部に接着剤または熱融着などにより液密に固着され、先端部7は、内管5の先端部に同様に液密に固着されている。この拡張体3は、図2のB−B線断面図である図4に示すように、拡張体3の内面と内管5の外面との間に拡張空間15を形成する。この拡張空間15は、後端部ではその全周において第2のルーメン6と連通している。このように、拡張体3の後端が比較的大きい容積を有する第2のルーメンと連通するので、第2のルーメンより拡張体3内への膨張用流体を注入するのが容易である。
【0030】
拡張体3の形成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミドエラストマー等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用でき、好ましくは上記の熱可塑性樹脂であり、より好ましくは、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体である。
さらに、拡張体3は、円筒部分3aの前方および後方の上述した内管5および外管2との固着部分7,8に至るまでの部分は、テーパー状となっている。拡張体3の大きさとしては、拡張されたときの円筒部分の外径が、1.50〜35.00mm、好ましくは2.00〜30.00mmであり、長さが10.00〜80.00mm、好ましくは15.00〜75.00mmであり、拡張体3の全体の長さが15.00〜120.00〜mm、好ましくは20.00〜100.00mmである。
【0031】
また、内管5の外面であり、拡張体3の内管5との固着部より後端側近傍の位置と、拡張体3と外管2との固着部より先端側近傍の位置であり、拡張体3の円筒部分3aの両端に位置する部分にX線不透過材料(例えば、金、白金あるいはそれらの合金等)からなる、マーカー14が設けられていることが好ましい。マーカーを設けることにより、X線透視下で拡張体3の位置を容易に確認することができる。マーカー14の形態としては、上記の金属により形成されたリングを内管5の外面にかしめることが好ましい。これにより、明確なX線造影像を得られるからである。
【0032】
さらに、本発明の血管拡張器具1において、血管内さらには後述するガイドカテーテル内への挿入を容易にするために、外管2の外面、拡張体3の外面に血液等と接触した時に、潤滑性を呈するようにするための処理を施すことが好ましい。このような処理としては、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーをコーティング、または固定する方法などが挙げられる。
【0033】
分岐ハブ20は、図1および図6に示すように、第1のルーメン4と連通しガイドワイヤーポートを形成する第1の開口部9を有し、内管5に固着された内管ハブ22と、第2のルーメンと連通しインジェクションポートを形成する第2の開口部11を有し、外管2(合成樹脂チューブ2aと超弾性金属管2bの複合体)に固着された外管ハブ23とからなっている。そして、外管ハブ23と内管ハブ22とは、固着されている。
この分岐ハブの形成材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。
【0034】
そして、具体的には、分岐ハブ20は、図6に示すような構造を有している。外管2の末端部には、折曲がり防止用チューブ50を有している。折曲がり防止用チューブ50は、熱収縮性を有するものにて、熱収縮後の内径が外管2の外径より若干小さくなるように形成し、外管2の末端部に被嵌し、加熱(例えば、熱風をあてる)させて収縮させることにより容易に取り付けることができる。そして、折曲がり防止用チューブ50は、外管ハブ23に止めピン52により固定されている。この固定方法は、外管2の後端に、後端部分以外の部分の外径が外管2の内径とほぼ等しく、拡径した後端部分を有する止めピン52を差し込み、外管2をその先端から外管ハブ23に挿入し、外管ハブ23の内面に設けられた突起53を止めピン52の後端部分が越えるまで押し込むことにより行われている。さらに、外管ハブ23と折曲がり防止用チューブ50との接触面に接着剤を塗布して固着してもよい。外管ハブの形成材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。
【0035】
また、内管5の末端部には、折曲がり防止用チューブ60を有している。このチューブ60は、熱収縮性を有するものにて、熱収縮後の内径が内管5の外径より若干小さくなるように形成し、内管5の末端部に被嵌し、加熱(例えば、熱風をあてる)させて収縮させることにより容易に取り付けることができる。そして、折曲がり防止用チューブ60を取り付けた内管5は、内管ハブ22に固定されている。この固定方法は、内管5の後端に後端部分以外の部分の外径が内管5の内径とほぼ等しく、拡径した後端部分を有する止めピン62を差し込み、内管5をその先端から内管ハブ22に挿入し、内管ハブ22の内面に設けられた突起63を止めピン62の後端部分が越えるまで押し込むことにより行われている。さらに、内管ハブ22と折曲がり防止用チューブ60との接触面に接着剤を塗布して固着してもよい。内管ハブの形成材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。そして、図6に示すように、内管ハブ22と外管ハブ23とは固定されている。この固定は、外管2の基端部に取り付けられた外管ハブ23の後端から内管5をその先端から挿入し、内管ハブ22の先端部と外管ハブ23の後端部を接合することにより行われる。また、この時、内管ハブ22と外管ハブ23との接合部に接着剤を塗布して行うことにより確実に両者を固着することができる。
また、分岐ハブ20を設けず、第1のルーメン、第2のルーメンのそれぞれに、例えば後端に開口部を形成するポート部材を有するチューブを液密に取り付けるようにしてもよい。
【0036】
また、外管2の構造は、図2に示すものに限られず、例えば、図7に示すようなものでもよい。この実施例の血管拡張器具30では、外管2は、図1に示したものと異なり、全体がほぼ同一外径となっている。また、外管2の超弾性金属管2bは、図2に示したものと同様に、先端部にスリット2eを有しているが、このスリット2eは、同じ幅にて、先端より後端側に延びている。そして、スリット2eは、ほぼ等間隔に、2〜8個程度設けられていることが好ましい。スリットの幅としては、0.05〜0.5mm程度が好ましく、またスリットの長さとしては、50〜200mm程度が好ましい。
そして、この実施例の血管拡張器具30は、内管2に剛性付与体13が設けられている。剛性付与体13は、先端部での血管拡張器具本体の折れ曲がりを防止し、さらに血管拡張器具本体のトルク性を高めるためのものである。剛性付与体は、少なくとも内管5の基端より、外管2の先端部付近まで設けられていることが好ましい。また、剛性付与体は、内管5の全長に渡り設けられていてもよい。
【0037】
剛性付与体13としては、網目状の剛性付与体であることが好ましい。網目状の剛性付与体は、ブレード線で形成することが好ましく、例えば、ワイヤーブレードであり、線径0.01〜0.2mm、好ましくは0.03〜0.1mmのステンレス、弾性金属、超弾性合金、形状記憶合金等の金属線を内管5の外面に網目状に巻き付けることにより、形成することができ、より好ましくは、内管5を熱可塑性樹脂により形成し、上記剛性付与体を巻き付けた内管5の外側より加熱し、(例えば、内管を加熱ダイスに挿通する)内管外壁に剛性付与体を埋没させることが好ましい。
また、剛性付与体13は、ブレード線として、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維等の合成繊維を内管5の外面に巻き着けて形成してもよい。また、剛性付与体は内管5と外管2の両者に設けてもよい。
【0038】
また、外管2の構造は、図2に示すものに限られず、例えば、図8に示すようなものでもよい。この実施例の血管拡張器具35では、外管2は、図1に示したものと異なり、全体がほぼ同一外径となっている。そして、外管2の超弾性金属管2bの先端部は、超弾性金属管2bの軸方向に所定の角度をもって、斜めに切断されており、このため、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっている。先端部の切断角度としては、5〜45°程度が好適である。
【0039】
次に、図9に示す実施例の血管拡張器具について説明する。
この実施例の血管拡張器具36の基本構成は、図1ないし図6に示したものと同じであり、同一部分は、同一符号を付してある。この実施例の血管拡張器具36と、上述した図1ないし図6に示した血管拡張器具1との相違は、外管2に用いられている超弾性金属管2bのスリット2eの形状にある。この実施例の血管拡張器具36で用いている超弾性金属管2bの先端部には、図9に示すように、螺旋状のスリット2eが設けられている。このような螺旋状のスリットを設けることにより、超弾性金属管の先端部がより柔軟に湾曲できるようになる。このように超弾性金属管の先端部が柔軟になることにより、超弾性金属管の物性と合成樹脂チューブ2aとの物性の差が少なくなるため、両者間での剥離、両者の動きのずれなどが生じなくなる。このため血管拡張器具の操作性が向上する。そして、この実施例の血管拡張器具36では、合成樹脂チューブ2aは、超弾性金属管2bの外面側だけでなく、内面側にも設けられている。このようにすることにより、超弾性金属管のスリットにより形成されるエッジが、内管に損傷を与えることを防止できる。
【0040】
超弾性金属管2bに形成される螺旋状のスリット2eの幅は、外管の径などを考慮して決定されるので、一律なものではない。スリットの幅としては、0.1mm〜1.5mm程度が好ましく、より好ましくは、0.5mm〜1.0mmである。また、スリット2eの幅は超弾性金属管の外径の1/3〜1/1程度が好ましい。上記範囲であれば、十分に柔軟であるとともに使用時に超弾性金属管が折れることもない。また、スリット2eのピッチとしては、全体が同一ピッチの場合には、0.3mm〜2.0mm程度が好ましく、特に0.5mm〜1.0mmが好ましい。上記範囲内であれば、十分に柔軟でありかつ使用時に超弾性金属管が折れることもない。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、血管拡張器具の長さなどを考慮して決定される。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、100mm〜1000mm程度が好ましく、より好ましくは、150mm〜500mmである。
【0041】
そして、螺旋状のスリット2eは、図9に示すように、そのピッチが、スリットの先端部側では短く、スリットの基端部側では、長くなっていることが好ましい。このようにすることにより、先端部に向かって柔軟になるので、急激な物性の変化がなく、超弾性金属管の先端部の湾曲が自然なものとなり、血管拡張器具の操作性が向上する。このように、スリットのピッチが変化する場合には、先端部では、0.3mm〜3.0mm程度、基端部では、5〜10mm程度が好適であり、特に、先端部と基端部の中間部では、両者の中間のピッチを有しているか徐々にピッチが変化していることが好ましい。上記範囲内であれば、十分に柔軟でありかつ使用時に超弾性金属管が折れることもない。また、図9に示したものは、スリットは1本の螺旋状であるが、これに限らず、2本またはそれ以上であってもよい。
【0042】
また、スリットの形状は、図10に示す実施例の血管拡張器具37のようにしてもよい。この実施例の血管拡張器具37の基本構成は、図1ないし図6および図9に示したものと同じであり、同一部分は、同一符号を付してある。この実施例の血管拡張器具37と、上述した図1および図9に示した血管拡張器具1および血管拡張器具36との相違は、外管2に用いられている超弾性金属管2bのスリット2eの形状にある。
この血管拡張器具37では、超弾性金属管2bのスリット2eは、螺旋状であり、かつスリットの幅が、先端部では広く、基端部では狭くなっている。このようにすることにより、先端部に向かって徐々に柔軟になるので、超弾性金属管の先端部の湾曲がより自然なものとなり、血管拡張器具の操作性がより向上する。
【0043】
この実施例の血管拡張器具のスリット2eの幅は、外管の径などを考慮して決定されるので、一律なものではない。スリットの幅としては、先端部が、1.0mm〜2.0mm程度が好ましく、基端部では、0.1mm〜0.5mmが好ましい。また、スリットの幅は、超弾性金属管の外径の1/2〜2倍程度が好ましい。上記範囲であれば、十分に柔軟であるとともに使用時に超弾性金属管が折れることもない。また、スリット2eのピッチとしては、全体が同一ピッチでもよく、先端部より基端部のピッチが長いものでもよい。そして、先端部と基端部の中間部では、スリットの幅は、両者の中間程度であるか、徐々に幅が狭くなっていることが好ましい。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、血管拡張器具の長さなどを考慮して決定される。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、100mm〜1000mm程度が好ましく、より好ましくは、150mm〜500mmである。また、図10に示したものは、スリットは1本の螺旋状であるが、これに限らず、2本またはそれ以上であってもよい。
【0044】
次に、図11に示す実施例の血管拡張器具について説明する。
この実施例の血管拡張器具38の基本構成は、図1ないし図6に示したものと同じであり、同一部分は、同一符号を付してある。この実施例の血管拡張器具38と、上述した図1ないし図6に示した血管拡張器具1との相違は、外管2の構成にある。この実施例の血管拡張器具38では、外管2は、超弾性金属管2bと、この超弾性金属管2bの外面および内面を被包する合成樹脂チューブからなり、合成樹脂チューブは、超弾性金属管2bを被包する本体側チューブ2fと、この本体側チューブ2fの先端に固着された先端側チューブ2gとを有している。
【0045】
そして、本体側チューブ2fと先端側チューブ2gの接合部は、外径が先端側に向かって縮径するテーパー部となっている。超弾性金属管2bの先端部には、多数の細孔2eが設けられている。このような多数の細孔2eを設けることにより、超弾性金属管の先端部がより柔軟に湾曲できるようになる。このように超弾性金属管の先端部が柔軟になることにより、超弾性金属管2bの物性と合成樹脂チューブ2fとの物性の差が少なくなるため、両者間での剥離、両者の動きのずれなどが生じなくなる。このため血管拡張器具の操作性が向上する。
【0046】
細孔2eの孔径としては、設ける細孔数、超弾性金属管の外径などを考慮して決定されるので、一律なものではない。孔径としては、0.1mm〜0.4mm程度が好ましく、より好ましくは、0.2mm〜0.3mmである。また、孔径は、超弾性金属管の外径の1/10〜1/3程度が好ましい。上記範囲であれば、十分に柔軟であるとともに使用時に超弾性金属管が折れることもない。また、細孔間の距離としては、0.1〜0.5mm程度が好ましい。上記範囲内であれば、十分に柔軟でありかつ使用時に超弾性金属管が折れることもない。細孔2eが設けられる部分の超弾性金属管の先端からの長さは、血管拡張器具の長さなどを考慮して決定される。細孔2eが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、100mm〜1000mm程度が好ましく、より好ましくは、150mm〜500mmである。
また、細孔の形状は、真円である必要はなく楕円、例えば、超弾性金属管の周方向または軸方向に細長い長円さらに多角形(例えば、四角形、五角形)などでもよい。1つの細孔の面積としては、0.007mm〜0.13mm程度が好ましく、また、細孔間の距離は、0.1〜0.5mm程度が好ましい。
【0047】
そして、細孔2eは、図11に示すように、超弾性金属管2bの先端部の方が基端部側より数が多いことが好ましい。このようにすることにより、先端部に向かって柔軟になるので、急激な物性の変化がなく、超弾性金属管の先端部の湾曲が自然なものとなり、血管拡張器具の操作性が向上する。さらに、図11に示すように、基端部側より先端側に向かって、細孔2eの数が徐々に多くなることが好ましい。このようにすることにより、先端部に向かって徐々に柔軟になるので、超弾性金属管の先端部の湾曲がより自然なものとなり、血管拡張器具の操作性がより向上する。このように、細孔分布が変化する場合には、先端部での細孔間の距離は、0.1mm〜0.2mm程度、基端部では、0.3mm〜0.5mm程度が好適であり、特に、先端部と基端部の中間部では、細孔間の距離が両者の中間程度か徐々に変化していることが好ましい。
また、細孔分布を変化させることに代えて、細孔の自体の孔径が超弾性金属管の先端側の方が、基端側の細孔より孔径が大きくなるように形成してもよい。
そして、超弾性金属管2bの細孔2e内には、本体側チューブ2fを形成する樹脂材料の一部が流入していてもよいが、好ましくは、実質的に流入していなく、細孔2eが空孔となっていることが好ましい。このように樹脂材料が、細孔内に流入していなければ、超弾性金属管の変形を阻害することがない。
【0048】
次に、図12に示す実施例の血管拡張器具について説明する。
この実施例の血管拡張器具39の基本構成は、図1ないし図6に示したものと同じであり、同一部分は、同一符号を付してある。この実施例の血管拡張器具39と、上述した図1ないし図6に示した血管拡張器具1との相違は、外管2の構成にある。この実施例の血管拡張器具39で用いている超弾性金属管2bの先端部には、図12に示すように、螺旋状のスリット2eが設けられている。このような螺旋状のスリットを設けることにより、超弾性金属管の先端部がより柔軟に湾曲できるようになる。さらに、超弾性金属管2bの先端は、先端側に向かって縮径している。そして、このような先端が縮径する超弾性金属管2bは、あらかじめ先端が縮径した超弾性金属管を作成し、その先端部に螺旋状のスリットを形成する方法により形成することができる。また、このような先端が縮径する超弾性金属管は、ほぼ同一径の超弾性金属管に螺旋状のスリットを形成した後、螺旋状のスリットを形成した先端部を引っ張ることにより形成することもできる。また、このような先端が縮径する超弾性金属管は、超弾性金属管の先端部に形成された螺旋状スリットが縮径する方向に、超弾性金属管の先端部をねじることにより形成することもできる。
そして、このような先端部が縮径した超弾性金属管2bの外面を被覆する合成樹脂チューブ2aとしては、上述した熱収縮チューブが好適に使用できる。
【0049】
さらに、螺旋状のスリット2eは、図12に示すように、そのピッチが、スリットの先端部側では短く、スリットの基端部側では、長くなっていることが好ましい。さらに、図12に示すように、スリット2eのピッチは、先端部が短く、基端部に向かって徐々に長くなることが好ましい。
【0050】
スリットの幅は、外管の径などを考慮して決定されるので、一律なものではない。スリットの幅としては、0.1mm〜1.5mm程度が好ましく、より好ましくは、0.5mm〜1.0mmである。また、スリットの幅は超弾性金属管の外径の1/3〜1/1程度が好ましい。上記範囲であれば、十分に柔軟であるとともに使用時に超弾性金属管が折れることもない。また、スリットのピッチとしては、全体が同一ピッチの場合には、0.3mm〜2.0mm程度が好ましく、特に0.5mm〜1.0mmが好ましい。上記範囲内であれば、十分に柔軟でありかつ使用時に超弾性金属管が折れることもない。また、スリットのピッチが変化する場合には、先端部では、0.5mm〜3mm程度、基端部では、5mm〜10mm程度が好適であり、特に、先端部と基端部の中間部では、両者の中間のピッチを有しているか徐々にピッチが変化していることが好ましい。上記範囲内であれば、十分に柔軟でありかつ使用時に超弾性金属管が折れることもない。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、血管拡張器具の長さなどを考慮して決定される。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、100mm〜1000mm程度が好ましく、より好ましくは、150mm〜500mmである。また、図12に示したものは、スリットは1本の螺旋状であるが、これに限らず、2本またはそれ以上であってもよい。
【0051】
次に、図13に示す実施例の血管拡張器具41について説明する。
この実施例の血管拡張器具41と図1および図2に示した血管拡張器具1との相違は、超弾性金属管が内管に設けられている点である。
具体的には、この実施例の血管拡張器具41では、図13の先端部拡大断面図である図14および図14のD−D線断面図である図15に示すように、内管5は、超弾性金属管5bと、超弾性金属管5bの表面を被覆する合成樹脂チューブ5aとを有し、合成樹脂チューブ5aは、超弾性金属管5bの先端より突出し、内管の先端部5cを形成している。さらに、超弾性金属管5bは、先端より後端側に延びるスリット5eを有することにより、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっている。
【0052】
スリット5eは、超弾性金属管5bの先端より後端側に向かって徐々に幅が小さく、言い換えれば、先端側に向かって幅が徐々に大きくなるように形成されている。このため、超弾性金属管5bの先端でのスリット幅が、最大となっており、超弾性金属管5bは先端に向かうほど変形が容易であり、かつ、側壁の内側または外側への変形も容易なものとなっている。スリット5eは、ほぼ等間隔に、2〜8個程度設けられていることが好ましい。スリットの先端の幅(最大部分の幅)としては、0.05〜0.5mm程度が好ましく、またスリットの長さとしては、50〜200mm程度が好ましい。
また、超弾性金属管の先端形状としては、図7に示すようなスリットがほぼ同じ幅をもったもの、また図8に示すような斜めに切断されたものであってもよい。
そして、この実施例の血管拡張器具41では、外管2の外径は、全体にわたりほぼ同じものとなっているが、図1のように、外管2の先端部を本体部より小径に形成してもよい。
【0053】
そして、分岐ハブ20は、図13および図15に示すように、第1のルーメン4と連通しガイドワイヤーポートを形成する第1の開口部9を有し、内管5(合成樹脂チューブ5aと超弾性金属管5bの複合体)に固着された内管ハブ22と、第2のルーメンと連通しインジェクションポートを形成する第2の開口部11を有し、外管2(合成樹脂チューブ2aと超弾性金属管2bの複合体)に固着された外管ハブ23とからなっている。そして、外管ハブ23と内管ハブ22とは、固着されている。
【0054】
そして、超弾性金属管5bのスリット5e内には、合成樹脂チューブ5aを形成する樹脂材料の一部が流入していてもよいが、好ましくは、実質的に流入していなく、スリット5e部分が空隙となっていることが好ましい。このように樹脂材料が、スリット内に流入していなければ、超弾性金属管の変形を阻害することがない。
その他の点については、上述の実施例の血管拡張器具1と同様である。
【0055】
次に、図17に示す実施例の血管拡張器具について説明する。
この実施例の血管拡張器具45の基本構成は、図13および図14に示したものと同じであり、同一部分は、同一符号を付してある。この実施例の血管拡張器具45と、上述した図13および図14に示した血管拡張器具41との相違は、内管5に用いられている超弾性金属管5bのスリット5eの形状にある。この実施例の血管拡張器具45で用いている超弾性金属管5bの先端部には、図17に示すように、螺旋状のスリット5eが設けられている。このような螺旋状のスリット5eを設けたことにより、超弾性金属管の先端部がより柔軟に湾曲できるようになる。このため、超弾性金属管5bの物性と合成樹脂チューブ5aとの物性の差が少なくなり、両者の剥離、両者の動きのずれなどが生じなくなり、血管拡張器具の操作性が向上する。
【0056】
スリット5eの幅は、内管5の径などを考慮して決定されるので、一律なものではない。スリットの幅としては、0.1mm〜1.5mm程度が好ましく、より好ましくは、0.5mm〜1.0mmである。また、スリット5eの幅は超弾性金属管5bの外径の1/3〜1/1程度が好ましい。上記範囲であれば、十分に柔軟であるとともに使用時に超弾性金属管が折れることもない。また、スリットのピッチとしては、全体が同一ピッチの場合には、0.2mm〜2.0mm程度が好ましく、特に0.3mm〜0.5mmが好ましい。上記範囲内であれば、十分に柔軟でありかつ使用時に超弾性金属管が折れることもない。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、血管拡張器具の長さなどを考慮して決定される。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、100mm〜1000mm程度が好ましく、より好ましくは、150mm〜500mmである。
【0057】
そして、螺旋状のスリット5eは、図17に示すように、そのピッチが、スリットの先端部側では短く、スリットの基端部側では、長くなっていることが好ましい。このようにすることにより、先端部に向かって柔軟になるので、急激な物性の変化がなく、超弾性金属管の先端部の湾曲が自然なものとなり、血管拡張器具の操作性が向上する。このように、スリットのピッチが変化する場合には、先端部では、0.3〜2.0mm程度、基端部では、5〜10mm程度が好適である。特に、先端部と基端部の中間部では、両者の中間のピッチを有しているか徐々にピッチが変化していることが好ましい。上記範囲内であれば、十分に柔軟でありかつ使用時に超弾性金属管が折れることもない。また、図17に示したものは、スリットは1本の螺旋状であるが、これに限らず、2本またはそれ以上であってもよい。
【0058】
また、スリット5eの形状は、図10に示す実施例の血管拡張器具37のように、螺旋状であり、かつスリットの幅が、基端部より先端側が広いものでもよい。さらに、スリットの代わりに、図11に示した血管拡張器具のように、多数の細孔を有するものでもよい。
【0059】
次に、図18に示す実施例の血管拡張器具81について説明する。
この実施例の血管拡張器具81は、ルーメン90と、ルーメン90と連通する開口を有する管状体82と、誘導部85と、先端部83cおよび基端部83bを有し、基端部83bが管状体82に取り付けられ、先端部83cが誘導部85に取り付けられ、開口にてルーメン90と連通する収縮あるいは折り畳み可能な拡張体83とを有する。そして、管状体82は、超弾性金属管82bにより形成された本体部82dと、合成樹脂により形成された先端部82cとを有し、超弾性金属管82bの先端部は、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっている。図18は、本発明の血管拡張器具の一実施例の断面図であり、図19は、図18に示した血管拡張器具の拡大部分断面図である。
【0060】
以下、図面を用いて説明する。
この血管拡張器具81は、管状体82、拡張体83、弾性芯材84、誘導部87を有する血管拡張器具本体と、ハブ組立体91とにより形成されている。
この血管拡張器具81では、管状体82は、超弾性金属管82bにより形成された本体部82dと、合成樹脂により形成された先端部82cとを有し、本体部82dと先端部82cとの接合部となる超弾性金属管の先端部は、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっている。
具体的には、管状体82は、超弾性金属管82bと、超弾性金属管82bの表面を被覆する合成樹脂チューブ82aとを有し、合成樹脂チューブ82aは、超弾性金属管82bの先端部より突出し、管状体82の先端部82cを形成している。
【0061】
さらに、図18および超弾性金属管の先端部付近の部分拡大断面図である図19に示すように、超弾性金属管は、先端より後端側に延びるスリット82eを有している。これにより、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっており、さらに、超弾性金属管の先端部は、その側壁が超弾性金属管の内側に変形可能となっている。そして、図19に示すように、スリット82eは、超弾性金属管82bの先端より後端側に向かって徐々に幅が小さく、言い換えれば、先端側に向かって幅が徐々に大きくなるように形成されている。このため、超弾性金属管82bの先端でのスリット幅が、最大となっており、超弾性金属管82bは先端に向かうほど全体の変形が容易であり、かつ、側壁の内側または外側への変形も容易なものとなっている。スリット82eは、ほぼ等間隔に、2〜8個程度設けられていることが好ましい。スリットの先端の幅(最大部分の幅)としては、0.05〜0.5mm程度が好ましく、またスリットの長さとしては、50〜200mm程度が好ましい。
【0062】
さらに、図18および図19に示すように、この実施例の血管拡張器具81では、超弾性金属管82bの先端部が縮径しており、つまり、先端部を形成する側壁(言い換えれば、スリットにより形成された突出部)が内側に変形している。この状態は、超弾性金属管82bの先端部を図18に示すように、テーパー状に加工することにより形成できる。また、超弾性金属管82bの先端部の外面を被覆する合成樹脂チューブ82aの外径が縮径するように形成し、この合成樹脂チューブ82aにより、超弾性金属管82bの先端部を内側に変形させることにより形成できる。このように、超弾性金属管82bを有する本体部より合成樹脂チューブ82aのみにより形成される先端部82cを小径のものとすることにより、より抹消側の血管内に血管拡張器具81の先端部を挿入することができる。さらに、上記のように、管状体82の本体部82dより先端部82cに移行する部分を、先端側に向かってテーパー状に縮径するように形成することにより、血管内への挿入がより容易となる。
【0063】
このように、この血管拡張器具81では、管状体82の本体部82dは、超弾性金属管を有することにより、血管拡張器具の基端部で与えた押し込み力の伝達性(押し込み性、プッシャビリティ)およびトルクの伝達性が高い。そして、先端部は、合成樹脂により形成されている。このため、十分な柔軟性を有し、さらに、本体部と先端部の境界部分にあたる超弾性金属管の先端部は、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっているため、剛性の高い本体部と柔軟な先端部と境界部分での折れ曲がりを確実に防止することができる。
そして、管状体82は、弾性芯材84の外側に同軸に形成され、弾性芯材84の先端より少し後退した位置に先端が位置している。
管状体82の本体部82dは、超弾性金属管82bとその外面を被覆する合成樹脂チューブ82aにより形成されており、先端部82cは、合成樹脂チューブ82aのみにより形成されている。言い換えれば、管状体82は、超弾性金属管82bと、超弾性金属管82bの表面を被覆する合成樹脂チューブ82aとを有し、合成樹脂チューブ82aは、超弾性金属管82bの先端より突出し、内管の先端部82cを形成している。
【0064】
管状体82としては、長さは、300〜4000mm、より好ましくは500〜1600mm、外径が、0.3〜1.5mmより好ましくは0.4〜1.2mmである。
超弾性金属管82bの材質としては、超弾性合金が好適に使用される。ここでいう超弾性合金とは一般に形状記憶合金といわれ、少なくとも生体温度(37℃付近)で超弾性を示すものである。特に好ましくは、49−53原子%NiのTi−Ni合金、38.5−41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1−10重量%XのCu−Zn−X合金(X=Be、Si、Sn、Al、Ga)、36−38原子%AlのNi−Al合金等の超弾性金属体が好適に使用される。特に、上記のTi−Ni合金が望ましい。また、Ti−Ni合金の一部を0.01〜10.0%Xで置換したTi−Ni−X合金(X=Co,Fe,Mn,Cr,V,Al,Nb,W,Bなど)とするか、またはTi−Ni合金の一部を0.01〜30.0%原子で置換したTi−Ni−X合金(X=Cu,Pb,Zr)とすること、また、冷間加工率または/および最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。また、上記のTi−Ni−X合金を用いて冷間加工率および/または最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。
そして、超弾性金属管82bとしては、外径が、0.2〜1.5mmより好ましくは、0.3〜1.2mm、肉厚が、30〜200μm、より好ましくは、50〜150μmのものであり、座屈強度(負荷時の降伏応力)は、5〜200kg/mm(22℃)、より好ましくは、8〜150kg/mm(22℃)、復元応力(徐荷時の降伏応力)は、3〜180kg/mm(22℃)、より好ましくは、5〜130kg/mm(22℃)である。ここでいう超弾性とは、使用温度において通常の金属が塑性変形する領域まで変形(曲げ、引張り、圧縮)させても、変形の解放後、加熱を必要とせずにほぼ元の形状に回復することを意味する。
【0065】
合成樹脂チューブ82aの成形材料としては、可撓性を有する合成樹脂、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂あるいはポリイミドが使用でき、より好ましくは、ポリオレフィン、あるいはポリイミドである。超弾性金属管に被覆される部分の合成樹脂チューブ82aの肉厚は、5〜300μm、好ましくは、10〜200μmである。
【0066】
また、管状体82の合成樹脂チューブ82aとしては、熱収縮チューブを用いてもよい。熱収縮チューブとしては、加熱前の内径が超弾性金属管82bの外径より大きく、内部に超弾性金属管を挿通できるものであり、加熱により全体がほぼ均一に収縮し、超弾性金属管82bの外面に密着するものが使用される。このような熱収縮チューブは、成形時の内径が超弾性金属管の外径と同じまたは若干小さく形成したものを、全体に拡径するように延伸し、加熱することにより、成形時の径または成形時の径程度に収縮するものが好適に使用できる。熱収縮チューブの材料としては、上記のように延伸でき、かつ加熱することにより収縮する材料が使用され、例えば、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体など)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミドエラストマー等が使用できる。
【0067】
そして、超弾性金属管82bのスリット82e内には、合成樹脂チューブ82aを形成する樹脂材料の一部が流入していてもよいが、好ましくは、実質的に流入していなく、スリット82e部分が空隙となっていることが好ましい。このように樹脂材料が、スリット内に流入していなければ、超弾性金属管の変形を阻害することがない。
【0068】
また、拡張体83の円筒状部分の基端部に位置する弾性芯材84の外面に、マーカー96を設けることが好ましい。マーカー96は、コイルスプリングあるいはリングにより形成することが好ましい。マーカー96の形成材料としては、X線造影性の高い材料、例えば、Pt、Pt合金、W、W合金、Ag、Ag合金などを用いることが好ましい。
【0069】
弾性芯材84は、管状体82を挿通しており、先端には、誘導部85が固定されている。具体的には、弾性芯材84の先端には、コイルスプリング87により形成された誘導部85が取り付けられている。この誘導部85内には、コイルスプリング87の延びを防止するためのにワイヤー86が設けられている。このワイヤー86は先端および基端がコイルスプリング87に固定されている。
そして、弾性芯材84は、先端部がより先端側に向かって柔軟であることが好ましく、このため、先端に向かって徐々に細径になっている。特に、この実施例では、図18に示すように、弾性芯材84の先端部84aは、管状体82の先端部82c(合成樹脂チューブのみで形成された部分)での折れ曲がりをより防止するために、管状体82の先端部82cに対応する本体部84bが、管状体82の本体部82dに対応する部分より径が大きくなっており、管状体82と弾性芯材84との空隙(ルーメン90)が狭くなっている。
【0070】
弾性芯材84の材質としては、ステンレス鋼(好ましくは、バネ用高張力ステンレス鋼)、タングステン、タングステン・コバルト合金、ピアノ線(好ましくは、ニッケルメッキあるいはクロムメッキが施されたピアノ線)、または超弾性合金などである。好ましくは、49〜53原子%NiのTiNi合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(X=Be,Si,Sn,Al,Ga)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等の超弾性金属体が好適に使用される。特に好ましくは、上記のTiNi合金である。また、Ti−Ni合金の一部を0.01〜10.0%Xで置換したTi−Ni−X合金(X=Co,Fe,Mn,Cr,V,Al,Nb,W,Bなど)とするか、またはTi−Ni合金の一部を0.01〜30.0%原子で置換したTi−Ni−X合金(X=Cu,Pb,Zr)とすること、また、冷間加工率または/および最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。また、上記のTi−Ni−X合金を用いて冷間加工率および/または最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。ここでいう超弾性とは、使用温度において通常の金属が塑性変形する領域まで変形(曲げ、引張り、圧縮)させても、変形の解放後、加熱を必要とせずにほぼ元の形状に回復することを意味する。
そして、弾性芯材84の長さは、350〜4000mm、好ましくは、550〜1800mm、座屈強度(負荷時の降伏応力)は、30〜100Kg/mm(22℃)、より好ましくは40〜55Kg/mm、復元応力(除荷時の降伏応力)は、20〜80Kg/mm(22℃)、より好ましくは30〜35Kg/mmである。また、弾性芯材84の先端部の外径は、0.1〜1.0mm、より好ましくは、0.15〜0.7である。また、曲げ負荷は、0.1〜10g、好ましくは0.3〜6.0g、復元負荷は、0.1〜10g、好ましくは0.3〜6.0gである。
【0071】
また、弾性芯材の先端部の外径はすべて上述の寸法である必要はなく一部分であってもよい。さらに、本体部および先端部の復元応力は同一値を有する必要はなくむしろ熱処理条件によりそれを変化させ適度な線径において適当な物性を得るよう工夫することも好ましい。すなわち、弾性芯材の本体部の復元応力は大きく、また先端部は柔軟になるよう本体部と先端部の熱処理を分離することが好ましい。さらに、弾性芯材は単一線によって構成されるものに限らず、並行もしくは縒りによる複数の線で、上述機能すなわち物性の段階的もしくは連続的な変化を発揮するものとしてもよい。
【0072】
誘導部85は、血管拡張用器具81を目的とする血管部位に誘導するためのものであり、図18に示す実施例では、コイルスプリング87により形成されている。そして、この誘導部85は、柔軟性を有しており、誘導部85の先端が、血管壁に当接した場合、最先端に力が集中せず、容易に湾曲し、別方向に移行するように構成されている。また、この誘導部85は、血管拡張用器具81の先端部でもあるため、X線透視下において位置を容易に確認できることが好ましく、誘導部85の材質として、Pt、Pt合金、W、W合金、Ag、Ag合金などを用いることが好ましい。
【0073】
また、誘導部85をより柔軟なものとすることが好ましく、このために、超弾性金属線、弾性金属線によりコイルスプリング87を形成してもよい。そして、誘導部は、外径が0.2〜1.0mm、長さが2〜50mm程度が好ましい。また、誘導部は、超弾性金属線を用いる場合は、座屈強度(負荷時の降伏応力)は、5〜200kg/mm(22℃)、より好ましくは8〜150kg/mm、復元応力(除荷時の降伏応力)は、3〜180kg/mm(22℃)、より好ましくは5〜150kg/mmである。
そして、誘導部85の先端部85aは、極細の金属線を加熱溶融して滑らかな凸曲面を有するヘッドピース状に形成されていることが好ましい。誘導部85を形成するコイルスプリング87と弾性芯材84は、ロウ材によって接合されている。また、コイルスプリング87が伸びるのを防止するためのワイヤーの代わりに、弾性芯材84を誘導部85の先端まで到達するものとし、その先端をコイルスプリング87に固定してもよい。
【0074】
拡張体83は、その先端部が誘導部87の基端に固定され、さらに拡張体83の基端部は、管状体82の先端部に固定されている。また、拡張体83の内部92は、管状体82の先端開口により、管状体82と弾性芯材84とにより形成されたルーメン90と連通しており、拡張体83の内部に、拡張用流体を流入可能となっている。拡張体83は、膨張・収縮が可能であり、さらに、血管の狭窄部を容易に拡張できるように少なくとも一部が略円筒状となっているほぼ同径の略円筒部分83aを有する折りたたみ可能なものである。上記の略円筒部分は、完全な円筒でなくてもよく、多角柱状のものであってもよい。
【0075】
拡張体83の大きさとしては、拡張されたときの円筒部分の外径が、1.0〜10mm、好ましくは1.0〜5.0mmであり、長さが5〜50mm、好ましくは10〜40mmであり、拡張体83の全体の長さが10〜70mm、好ましくは15〜60mmである。拡張体83の材質としては、血管の狭窄部位を拡張でき、かつある程度の可塑性を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアミドエラストマーなどの熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。
【0076】
そして、図18に示すように、ハブ組立体91は、分岐した管状体ハブ88と弾性芯材ハブ89とからなる。管状体ハブ88は、管状体82の後端部に、接着剤94により固定されている。そして、管状体ハブ88は、ルーメン90と連通する開口部93を有し、この開口部93は、拡張体拡張用流体流入ポートを形成している。ハブ88の材質としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリカーボネイト、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、ブチレン−スチレン共重合体、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体などの熱可塑性樹脂が使用される。また、弾性芯材ハブ89は、弾性芯材84の後端に設けられた拡径部84cを収納可能な円柱状の凹部を有しており、この凹部内に弾性芯材84の後端が収納されており、両者は、接着剤95により固定されている。そして、図18に示すように、管状体ハブ88と弾性芯材ハブ89とは固定されている。この固定は、管状体ハブ88の後端に弾性芯材ハブ84の先端を挿入し、弾性芯材ハブ89の先端部と管状体ハブ88と後端部とを接合することにより行われる。またこの時、両者の接合部に接着剤を塗布して行うことにより確実に両者を固着することができる。
【0077】
さらに、管状体82、拡張体83さらには誘導部85の外面には、潤滑性付与剤をコーティングまたは固定することが好ましい。潤滑性付与剤としては、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーが好適に使用される。
【0078】
また、管状体82の構造は、図18および図19に示すものに限られず、例えば、図20に示すようなものでもよい。この実施例の血管拡張器具では、管状体82は、図19に示したものと異なり、全体がほぼ同一外径となっている。また、管状体82の超弾性金属管82bは、図19に示したものと同様に、先端部にスリット82eを有しているが、このスリット82eは、同じ幅にて、先端より後端側に延びている。そして、スリット82eは、ほぼ等間隔に、2〜8個程度設けられていることが好ましい。スリットの幅としては、0.05〜0.5mm程度が好ましく、またスリットの長さとしては、50〜200mm程度が好ましい。
さらに、管状体82の超弾性金属管2bの先端部は、図8に示すように、超弾性金属管2bの軸方向に所定の角度をもって、斜めに切断したものであってもよい。先端部の切断角度としては、5〜45°程度が好適である。
【0079】
また、管状体82の構造は、図21に示すものでもよい。
この実施例の血管拡張器具の管状体82では、超弾性金属管82bの先端部に、螺旋状のスリット82eが設けられている。このような螺旋状のスリット82eを設けることにより、超弾性金属管の先端部がより柔軟に湾曲できるようになる。このように超弾性金属管の先端部が柔軟になることにより、超弾性金属管の物性と合成樹脂チューブ82aとの物性の差が少なくなるため、両者間での剥離、両者の動きのずれなどが生じなくなる。このため血管拡張器具の操作性が向上する。
【0080】
スリット82eの幅は、管状体の径などを考慮して決定されるので、一律なものではない。スリットの幅としては、0.1mm〜1.5mm程度が好ましく、より好ましくは、0.5mm〜1.0mmである。また、スリットの幅は超弾性金属管の外径の1/3〜1/1程度が好ましい。上記範囲であれば、十分に柔軟であるとともに使用時に超弾性金属管が折れることもない。また、スリットのピッチとしては、全体が同一ピッチの場合には、0.2〜2.0mm程度が好ましく、特に0.3mm〜0.5mmが好ましい。上記範囲内であれば、十分に柔軟でありかつ使用時に超弾性金属管が折れることもない。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、血管拡張器具の長さなどを考慮して決定される。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、100mm〜1000mm程度が好ましく、より好ましくは、150mm〜500mmである。
【0081】
そして、螺旋状のスリット82eは、図21に示すように、そのピッチが、スリットの先端部側では短く、スリットの基端部側では、長くなっていることが好ましい。このようにすることにより、先端部に向かって柔軟になるので、急激な物性の変化がなく、超弾性金属管の先端部の湾曲が自然なものとなり、血管拡張器具の操作性が向上する。このように、スリットのピッチが変化する場合には、先端部では、0.3mm〜2.0mm程度、基端部では、5mm〜10mm程度が好適であり、特に、先端部と基端部の中間部では、両者の中間のピッチを有しているか徐々にピッチが変化していることが好ましい。上記範囲内であれば、十分に柔軟でありかつ使用時に超弾性金属管が折れることもない。
【0082】
また、図21に示したものは、スリットは1本の螺旋状であるが、これに限らず、2本またはそれ以上であってもよい。また、スリットの形状は、図10に示したもののように、螺旋状であり、かつスリットの幅が、先端部では広く、基端部では狭くなっているものでもよい。
【0083】
また、管状体82の構造は、図22に示すものでもよい。
この管状体82に設けられている超弾性金属管82bでは、超弾性金属管の先端は、先端側に向かって縮径している。螺旋状のスリット82eは、図22に示すように、そのピッチが、スリットの先端部側では短く、スリットの基端部側では、長くなっている。
【0084】
また、管状体82の構造は、図23に示すものでもよい。
この実施例のものでは、超弾性金属管82bは、先端部に多数の細孔82eを有している。細孔82eは、図23に示すように、超弾性金属管の先端部の方が基端部側より数が多いことが好ましい。
【0085】
細孔の孔径としては、設ける細孔数、超弾性金属管の外径などを考慮して決定されるので、一律なものではない。孔径としては、0.1mm〜0.4mm程度が好ましく、より好ましくは、0.2mm〜0.3mmである。また、孔径は、超弾性金属管の外径の1/10〜1/3程度が好ましい。上記範囲であれば、十分に柔軟であるとともに使用時に超弾性金属管が折れることもない。また、細孔間の距離としては、0.1〜0.5mm程度が好ましい。上記範囲内であれば、十分に柔軟でありかつ使用時に超弾性金属管が折れることもない。また、細孔分布が変化する場合には、先端部での細孔間の距離は、0.1〜0.2mm程度、基端部では、0.3〜0.5mm程度が好適であり、特に、先端部と基端部の中間部では、細孔間の距離が両者の中間程度か徐々に変化していることが好ましい。細孔82eが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、血管拡張器具の長さなどを考慮して決定される。細孔82eが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、100mm〜1000mm程度が好ましく、より好ましくは、150mm〜500mmである。
また、細孔分布を変化させることに代えて、細孔の自体の孔径が超弾性金属管の先端側の方が、基端側の細孔より孔径が大きくなるように形成してもよい。
また、細孔の形状は、真円である必要はなく楕円、例えば、超弾性金属管の周方向または軸方向に細長い長円さらに多角形(例えば、四角形、五角形)などでもよい。1つの細孔の面積としては、0.007mm〜0.13mm程度が好ましく、また、細孔間の距離は、0.1〜0.5mm程度が好ましい。
【0086】
そして、超弾性金属管82bの細孔82e内には、本体側チューブ82fを形成する樹脂材料の一部が流入していてもよいが、好ましくは、実質的に流入していなく、細孔82eが空孔となっていることが好ましい。このように樹脂材料が、細孔内に流入していなければ、超弾性金属管の変形を阻害することがない。
【0087】
次に、本発明のカテーテルを図面に示す実施例を用いて説明する。
本発明のカテーテル100は、図24および図25に示すように、超弾性金属管101と超弾性金属管101を被覆する合成樹脂層104とを有する本体部102bと、合成樹脂により形成された先端部102aとを有している。そして、超弾性金属管の先端部は、螺旋状のスリット106または図32に示すような細孔107を有しており、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部102cとなっている。
【0088】
このように本体部102bは、超弾性金属管101を有しているため、カテーテルの基端部で与えた押し込み力の伝達性(押し込み性、プッシャビリティ)、トルクの伝達性が高い。さらに、カテーテルを十分に肉薄にすることでき、より細径のカテーテルを形成することが可能である。超弾性金属管の先端部は、螺旋状のスリット106または多数の細孔107を有している。このため、十分に柔軟であり、超弾性金属管の先端と合成樹脂にて形成された先端部との物性変化が急激でなく、両者の境界部分にて折れ曲がることがない。よって、カテーテルの挿入操作が容易であり、かつ、挿入中に血管壁に損傷を与えることも少ない。さらに、螺旋状のスリットまたは細孔を設けたことにより、超弾性金属管の先端部がより柔軟に湾曲できるようになる。このため、超弾性金属管101の物性と合成樹脂層104との物性の差が少なくなり、両者の剥離、両者の動きのずれなどが生じなくなり、カテーテルの操作性が向上する。
【0089】
本発明のカテーテルは、例えば、心臓または脳内血管造影用カテーテル、心臓または脳血管内薬剤投与用カテーテルなどの血管内挿入用カテーテルとして使用される。
この実施例のカテーテル100は、本発明のカテーテルを脳血管内薬剤投与用カテーテルに応用した実施例である。
このカテーテル100は、本体部102bと先端部102aとを有しており、さらに、カテーテル100の基端より先端まで連続するルーメン103と先端開口109を有している。
本体部102bは、超弾性金属管101とこの超弾性金属管101の外面および内面を被覆する合成樹脂層104a,104bとからなる。先端部102aは、合成樹脂により形成された先端形成部材105を本体部の先端に固定することにより形成されている。
【0090】
超弾性金属管101の材質としては、超弾性合金が好適に使用される。ここでいう超弾性合金とは一般に形状記憶合金といわれ、少なくとも生体温度(37℃付近)で超弾性を示すものである。特に好ましくは、49〜53原子%NiのTiNi合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(X=Be,Si,Sn,Al,Ga)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等の超弾性金属体が好適に使用される。特に好ましくは、上記のTiNi合金である。また、Ti−Ni合金の一部を0.01〜10.0%Xで置換したTi−Ni−X合金(X=Co,Fe,Mn,Cr,V,Al,Nb,W,Bなど)とするか、またはTi−Ni合金の一部を0.01〜30.0%原子で置換したTi−Ni−X合金(X=Cu,Pb,Zr)とすること、また、冷間加工率または/および最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。また、上記のTi−Ni−X合金を用いて冷間加工率および/または最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。ここでいう超弾性とは、使用温度において通常の金属が塑性変形する領域まで変形(曲げ、引張り、圧縮)させても、変形の解放後、加熱を必要とせずにほぼ元の形状に回復することを意味する。
【0091】
そして、超弾性金属管は、外径0.4mm〜1.0mm、好ましくは、0.5mm〜0.8mm、肉厚50μm〜200μm、好ましくは80μm〜150μmのものであり、長さは、500mm〜4000mm、より好ましくは1000mm〜3000mm、座屈強度(負荷時の降伏応力)は、5〜20kg/mm(22℃)、より好ましくは、8〜150kg/mm、復元応力(除荷時の降伏応力)は、3〜180kg/mm(22℃)、より好ましくは、5〜130kg/mmである。
【0092】
超弾性金属管101は、図25および図25の先端部の部分破断拡大図である図26に示すように、螺旋状のスリット106を有している。スリット106の幅は、外管の径などを考慮して決定されるので、一律なものではない。スリットの幅としては、0.1mm〜1.5mm程度が好ましく、より好ましくは、0.5mm〜1.0mmである。また、スリットの幅は、超弾性金属管の外径の1/3〜1/1程度が好ましい。上記範囲であれば、十分に柔軟であるとともに使用時に超弾性金属管が折れることもない。また、スリット106のピッチとしては、全体が同一ピッチの場合には、0.5mm〜2.0mm程度が好ましく、特に0.5mm〜1.0mmが好ましい。上記範囲内であれば、十分に柔軟でありかつ使用時に超弾性金属管が折れることもない。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、カテーテルの長さなどを考慮して決定される。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、100mm〜1000mm程度が好ましく、より好ましくは、150mm〜500mmである。
【0093】
そして、螺旋状のスリット106は、図25および図26に示すように、そのピッチが、スリットの先端部側では短く、スリットの基端部側では、長くなっていることが好ましい。このようにすることにより、先端部に向かって柔軟になるので、急激な物性の変化がなく、超弾性金属管の先端部の湾曲が自然なものとなり、カテーテルの操作性が向上する。さらに、図25および図26に示すように、スリット106のピッチは、先端部が短く、基端部に向かって徐々に長くなることが好ましい。このようにすることにより、先端部に向かって徐々に柔軟になるので、超弾性金属管の先端部の湾曲がより自然なものとなり、カテーテルの操作性がより向上する。
【0094】
このように、スリット106のピッチが変化する場合には、先端部では、0.5mm〜3mm程度、基端部では、5〜10mm程度が好適である。特に、先端部と基端部の中間部では、両者の中間のピッチを有しているか徐々にピッチが変化していることが好ましい。上記範囲内であれば、十分に柔軟でありかつ使用時に超弾性金属管が折れることもない。
また、図25および図26に示したものは、スリットは1本の螺旋状であるが、これに限らず、2本またはそれ以上であってもよい。
【0095】
そして、超弾性金属管101は、合成樹脂層104により被覆されている。超弾性金属管101を被覆する合成樹脂層104は、図25および図26に示すように、超弾性金属管101の外面を被覆する外面側合成樹脂層104aと内面を被覆する内面側合成樹脂層104bとからなり、超弾性金属管101の先端を越えた位置にて両合成樹脂層104a,104bは一体になっている。
そして、超弾性金属管101のスリット106内には、合成樹脂層104を形成する樹脂材料の一部が流入していてもよいが、好ましくは、実質的に流入していなく、スリット106部分が空隙となっていることである。このように樹脂材料が、スリット106内に流入していなければ、超弾性金属管101の変形を阻害することがない。
【0096】
そして、この実施例のカテーテル100では、先端部102aは、合成樹脂にて形成された先端形成部材105を上述の本体部102bの合成樹脂層104の先端に固着することにより形成されている。そして、この実施例では、合成樹脂層104の先端部は、先端に向かって縮径するテーパー部となっており、先端形成部材の基端内面は、このテーパー部に対応した形状で先端に向かって内径が縮径している。そして、先端形成部材の基端部の外径も先端に向かって縮径している。このため、カテーテル100の先端は、他の部分より細径である。そして、カテーテルの先端(先端形成部材の先端)は、血管壁の損傷の防止、さらにカテーテルの操作性向上のために、角のない曲面となっていることが好ましい。
なお、先端形成部材を用いる代わりに、超弾性金属管を被覆する合成樹脂層104を突出させて、合成樹脂層104と一体に先端部102aを形成してもよい。
【0097】
合成樹脂層104および先端形成部材105に用いられる合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリオレフィンエラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー、エチレンープロピレン共重合体などを用いたエラストマー等)、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム等が使用でき、好ましくは、ポリエチレン、ポリアミドエラストマーあるいはポリウレタンである。
特に、本発明のカテーテルを塞栓物質(例えば、シアノアクリレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体ののジメチルスルホキシド溶液)の脳血管内への注入用カテーテルに応用する場合には、合成樹脂層の形成材料は、ジメチルスルホキシドなどの溶剤に対して容易に溶解しないものが好ましい。このようなカテーテルに使用する合成樹脂材料としては、耐溶剤性の高い材料、例えば、ポリアミドエラストマーが好適である。
【0098】
そして、合成樹脂層104は、超弾性金属管の湾曲の妨げにならない程度に柔軟であることが好ましい。さらに、合成樹脂層104および先端形成部材を形成する合成樹脂中に、Ba、W、Bi等の金属単体もしくは化合物による微粉末状のX線造影性物質を混練することが好ましく、このようにすることにより血管内に導入中のカテーテルの全体の位置確認が容易となる。超弾性金属管に被覆される部分の合成樹脂層104a,104bの肉厚としては、5〜300μm、好ましくは、10〜200μmである。
また、カテーテルの本体部102bの外径は、0.9〜7.0mm、好ましくは、1.0〜6.0mm程度である。先端部102aの外径は、0.4〜1.0mm、好ましくは、0.5mm〜0.8mm程度である。
【0099】
さらに、外面側の合成樹脂被覆層104aに生体適合性、特に抗血栓性を有する樹脂をコーティングしてもよく、例えば、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートとスチレンの共重合体(例えば、HEMA−St−HEMAブロック共重合体)などが使用できる。特に、合成樹脂チューブにX線不透過物質を混合した材料を用いた場合は、X線不透過物質による外表面のざらつきを解消するために、上記のコーティングを行うことが好ましく、生体適合性樹脂であることが好ましいが、合成樹脂チューブの形成に用いた材料を薄くコーティングしたものでもよい。
【0100】
また、外面側の合成樹脂被覆層104aに血液等の液体と接触した時に、潤滑性を呈する親水化処理を施すことが好ましい。このような親水化処理としては、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーをコーティングする方法などが挙げられる。
【0101】
そして、カテーテル100の本体部の基端部には、ハブ120が固着されている。また、本体部102bの基端部には、補強チューブ108が設けられており、この補強チューブ108および本体部102bの基端部が、ハブ120に接着剤などにより固着されている。
【0102】
また、スリット106の形状は、図27に示す実施例のカテーテル111のようであってもよい。このカテーテル111では、超弾性金属管101のスリット106は、螺旋状であり、かつスリット106の幅が、先端部では広く、基端部では狭くなっている。このようにすることにより、先端部に向かって徐々に柔軟になるので、超弾性金属管の先端部の湾曲がより自然なものとなり、カテーテルの操作性がより向上する。
【0103】
この実施例のカテーテルのスリット106の幅は、外管の径などを考慮して決定されるので、一律なものではない。スリットの幅としては、先端部が、1.0mm〜2.0mm程度が好ましく、基端部では、0.1mm〜0.5mmが好ましい。また、スリットの幅は、超弾性金属管の外径の1/2〜2倍程度が好ましい。上記範囲であれば、十分に柔軟であるとともに使用時に超弾性金属管が折れることもない。また、スリット106のピッチとしては、全体が同一ピッチでもよく、先端部より基端部のピッチが長いものでもよい。そして、先端部と基端部の中間部では、スリットの幅は、両者の中間のものであるか徐々に幅が狭くなっていることが好ましい。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、カテーテルの長さなどを考慮して決定される。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、100mm〜1000mm程度が好ましく、より好ましくは、150mm〜500mmである。また、図27に示したものは、スリットは1本の螺旋状であるが、これに限らず、2本またはそれ以上であってもよい。
【0104】
また、スリット106の形状は、図28に示す実施例のカテーテル125のようであってもよい。このカテーテル125では、超弾性金属管101のスリット106は、超弾性金属管101の中心軸とほぼ平行に、かつほぼ等間隔に複数設けられている。このような複数のスリット106を設けることにより、先端部が柔軟になるので、超弾性金属管の先端部の湾曲がより自然なものとなり、カテーテルの操作性がより向上する。
スリット106の幅は、外管の径などを考慮して決定されるので、一律なものではない。スリットの幅としては、0.1mm〜0.5mm程度が好ましい。また、スリット106の本数は、2〜12本が好ましい。上記範囲であれば、十分に柔軟であるとともに使用時に超弾性金属管が折れることもない。スリットの長さは、100mm〜1000mm程度が好ましく、より好ましくは、150mm〜500mmである。
【0105】
また、スリット106の形状は、図29に示す実施例のカテーテル126のようであってもよい。このカテーテル126では、スリット106は、超弾性金属管101の先端より後端側に向かって徐々に幅が小さく、言い換えれば、先端側に向かって幅が徐々に大きくなるように形成されている。このため、超弾性金属管101の先端でのスリット幅が、最大となっており、超弾性金属管は先端に向かうほど変形が容易であり、かつ、側壁の部分的内側または外側への変形も容易なものとなっている。スリット106は、ほぼ等間隔に、2〜8個程度設けられていることが好ましい。スリットの先端の幅(最大部分の幅)としては、0.05〜0.5mm程度が好ましく、またスリットの長さとしては、100mm〜1000mm程度が好ましく、より好ましくは、150mm〜500mmである。
【0106】
また、超弾性金属管101の形状およびスリット106の形状は、図30に示すようなものであってもよい。
この実施例のカテーテル127における超弾性金属管101は、その先端が先端側に向かって縮径している。そして、このような形状の超弾性金属管101は、あらかじめ先端が縮径した超弾性金属管を作成し、その先端部に螺旋状のスリットを形成する方法、または、ほぼ同一径の超弾性金属管に螺旋状のスリットを形成した後、螺旋状のスリットを形成した先端部を引っ張ることにより形成することができる。
【0107】
スリット106の幅は、外管の径などを考慮して決定されるので、一律なものではない。スリットの幅としては、0.1mm〜1.5mm程度が好ましく、より好ましくは、0.5mm〜1.0mmである。また、スリット106のピッチとしては、全体が同一ピッチの場合には、0.5〜2.0mm程度が好ましく、特に0.5mm〜1.0mmが好ましい。スリット106が設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、カテーテルの長さなどを考慮して決定される。スリットが設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、100mm〜1000mm程度が好ましく、より好ましくは、150mm〜500mmである。
【0108】
さらに、螺旋状のスリット106、図30に示すように、そのピッチが、スリットの先端部側では短く、スリットの基端部側では、長くなっていることが好ましい。このように、スリットのピッチが変化する場合には、先端部では、0.5mm〜3.0mm程度、基端部では、5mm〜10mm程度が好適であり、特に、先端部と基端部の中間部では、両者の中間のピッチを有しているか徐々にピッチが変化していることが好ましい。また、図30に示したものは、スリットは1本の螺旋状であるが、これに限らず、2本またはそれ以上であってもよい。
【0109】
次に、図31および図32に示す実施例のカテーテルについて説明する。
この実施例のカテーテル128の基本構成は、図24、図25および図26に示したものと同じであり、同一部分は、同一符号を付してある。この実施例のカテーテル128と、上述したカテーテル100との相違は、超弾性金属管101の先端部の形状および先端形成部材105の形状にある。この実施例のカテーテル128では、超弾性金属管101を被覆する合成樹脂層104は、超弾性金属管の先端よりやや基端側の位置にて終端となっており、超弾性金属管101の先端を被覆していない。しかし、先端形成部材105は、合成樹脂層104により被覆されていない超弾性金属管の先端を収納する環状溝を有しており、この環状溝内に超弾性金属管の先端が挿入された状態で、先端形成部材105と合成樹脂層104が固着されている。
【0110】
そして、超弾性金属管101の先端部には、多数の細孔107が設けられている。このような多数の細孔107を設けることにより、超弾性金属管101の先端部がより柔軟に湾曲できるようになる。このように超弾性金属管の先端部が柔軟になることにより、超弾性金属管の物性と合成樹脂層104,先端形成部材105との物性の差が少なくなるため、両者間での剥離、両者の動きのずれなどが生じなくなる。このためカテーテルの操作性が向上する。
【0111】
細孔の孔径としては、設ける細孔数、超弾性金属管の外径などを考慮して決定されるので、一律なものではない。孔径としては、0.1mm〜0.4mm程度が好ましく、より好ましくは、0.2mm〜0.3mmである。また、孔径は、超弾性金属管の外径の1/10〜1/3程度が好ましい。上記範囲であれば、十分に柔軟であるとともに使用時に超弾性金属管が折れることもない。また、細孔間の距離としては、0.1mm〜0.5mm程度が好ましい。上記範囲内であれば、十分に柔軟でありかつ使用時に超弾性金属管が折れることもない。細孔107が設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、カテーテルの長さなどを考慮して決定される。細孔107が設けられる部分の超弾性金属管の先端部からの長さは、100mm〜1000mm程度が好ましく、より好ましくは、150mm〜500mmである。
【0112】
そして、細孔107は、図31および図32に示すように、超弾性金属管の先端部の方が基端部側より数が多いことが好ましい。このようにすることにより、先端部に向かって柔軟になるので、急激な物性の変化がなく、超弾性金属管の先端部の湾曲が自然なものとなり、カテーテルの操作性がより向上する。さらに、図31および図32に示すように、基端部側より先端側に向かって、細孔107の数が徐々に多くなることが好ましい。このようにすることにより、先端部に向かって徐々に柔軟になるので、超弾性金属管の先端部の湾曲がより自然なものとなり、カテーテルの操作性がさらに向上する。このように、細孔分布が変化する場合には、先端部での細孔間の距離は、0.1〜0.2mm程度、基端部では、0.3mm〜0.5mm程度が好適であり、特に、先端部と基端部の中間部では、細孔間の距離が両者の中間程度か徐々に変化していることが好ましい。
また、細孔分布を変化させることに代えて、細孔の自体の孔径が超弾性金属管の先端側の方が、基端側の細孔より孔径が大きくなるように形成してもよい。
また、細孔の形状は、真円である必要はなく楕円、例えば、超弾性金属管の周方向または軸方向に細長い長円さらに多角形(例えば、四角形、五角形)などでもよい。1つの細孔の面積としては、0.007mm〜0.13mm程度が好ましく、また、細孔間の距離は、0.1〜0.5mm程度が好ましい。
【0113】
そして、超弾性金属管101の細孔107内には、合成樹脂層104および先端形成部材105を形成する樹脂材料の一部が流入していてもよいが、好ましくは、実質的に流入していなく、細孔107が空孔となっていることが好ましい。このように樹脂材料が、細孔内に流入していなければ、超弾性金属管の変形を阻害することがない。
そして、超弾性金属管101にスリット106および細孔107の形成は、レーザー加工(例えば、YAGレーザー)、放電加工、化学エッチング、切削加工など、さらにそれらの併用により行うことができる。
【0114】
次に、本発明のカテーテルの具体的実施例について述べる。
TiNi合金(51原子%Ni)の合金パイプを冷間加工して、外径1.0mm、内径0.85mm、長さ約100cmの超弾性金属管を作成した。そして、超弾性金属管の先端より、20cmまでの部分に、幅0.5mm、始端付近でのピッチ1mm、終端付近でのピッチ10mm、終端と終端間は徐々にピッチが広くなる1本の螺旋状スリットをYAGレーザー装置[ミヤチテクノス株式会社製、ML−4140A、レーザー照射条件(出力4W、照射速度10mm/min)]を形成した。このように形成したスリット入り超弾性金属管の内外面をポリエチレンで被覆した。なお、被覆したポリエチレンはスリット内には、実質的に流入していおらず、スリットは空隙となっている合成樹脂被覆超弾性金属管(カテーテル本体部)を形成した。超弾性金属管を被覆する合成樹脂層の肉厚は、外面側合成樹脂層が0.04mm、内面側合成樹脂層が0.03mmであり、カテーテル本体部の外径は、1.08mm、内径は0.79mmであった。
【0115】
そして、ポリエチレンにより、長さ20cm、外径0.9mm、内径0.8mmの先端形成部材(カテーテル先端部)を作成し、上記の合成樹脂被覆超弾性金属管(カテーテル本体部)の先端に熱融着により固着した。また、図25に示すような断面形状を有するハブを、ポリカーボネートにより形成し、接着剤を用いて、超弾性金属管の基端に固着し、本発明のカテーテルを作成した。
そして、このカテーテルの各部位の弾性率を測定した。測定は、島津製作所株式会社製、AUTOGRAPH AGS−100Dを用いて行った。測定条件としては、図33に示すように、直径4mmの丸棒を中心間距離が25mmとなるように配置し、その上にカテーテルの測定部位を載せ、中間部分を、図33に示すような先端が断面半球状に加工された板状部材により押圧することにより行った。
【0116】
なお、実験は以下条件にて行った。
TEST MODE :CYCLE(DOWN START)
LOAD CELL :5000gf
F.S.LOAD :2500gf(×2)
TEST SPEED:5mm/min
STROKE MIN:0.00mm STOP
STROKE MAX:2.00mm RETURN
CHART CONTROL:X−P C,×50)
測定結果は、表1に示すとおりであった。
【0117】
【表1】
Figure 0003699984
【0118】
【発明の効果】
本発明の血管拡張器具は、先端が開口する第1のルーメンを有する内管と、該内管に同軸的に設けられ、前記内管の先端より所定長後退した位置に先端を有し、該内管の外面との間に第2のルーメンを形成する外管と、先端部および基端部を有し、該基端部が前記外管に取り付けられ、該先端部が前記内管に取り付けられ、該基端部付近にて第2のルーメンと連通する収縮あるいは折り畳み可能な拡張体と、該内管の基端部に設けられた、前記第1のルーメンと連通する第1の開口部と、前記外管の基端部に設けられた前記第2のルーメンと連通する第2の開口部とを有する血管拡張器具であって、前記内管および前記外管の少なくとも一方は、超弾性金属管により形成された本体部と、合成樹脂により形成された先端部とを有し、該超弾性金属管の先端部は、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっている。このため、血管拡張器具の基端部で与えた押し込み力の伝達性(押し込み性、プッシャビリティ)およびトルクの伝達性も高く、かつ、先端部は、十分に柔軟なものとすることができる。さらに、超弾性金属管の先端部は、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっているので、剛性の高い本体部と柔軟な先端部と境界部分に、荷重がかかったとき、その荷重の方向に容易に変形できるため、境界部分での合成樹脂と超弾性金属管の物性の相違に起因する折れ曲がりを確実に防止することができる。
【0119】
また、本発明の血管拡張器具は、ルーメンと、該ルーメンと連通する開口を有する管状体と、誘導部と、先端部および基端部を有し、該基端部が前記管状体に取り付けられ、該先端部が前記誘導部に取り付けられ、前記開口にて前記ルーメンと連通する収縮あるいは折り畳み可能な拡張体とを有する血管拡張器具であって、前記管状体は、超弾性金属管により形成された本体部と、合成樹脂により形成された先端部とを有し、該超弾性金属管の先端部は、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっている。このため、血管拡張器具の基端部で与えた押し込み力の伝達性(押し込み性、プッシャビリティ)およびトルクの伝達性も高く、かつ、先端部は、十分に柔軟なものとすることができる。さらに、超弾性金属管の先端部は、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっているので、剛性の高い本体部と柔軟な先端部と境界部分に、荷重がかかったとき、その荷重の方向に容易に変形できるため、境界部分での合成樹脂と超弾性金属管の物性の相違に起因する折れ曲がりを確実に防止することができる。
【0120】
また、本発明のカテーテルは、超弾性金属管と該超弾性金属管を被覆する合成樹脂層とを有する本体部と、合成樹脂により形成された先端部とを有するカテーテルであって、前記超弾性金属管の先端部は、螺旋状のスリットまたは多数の細孔を有する変形可能部となっている。このため、カテーテルの基端部で与えた押し込み力の伝達性(押し込み性、プッシャビリティ)およびトルクの伝達性が高く、かつ、先端部は、十分に柔軟なものとすることができる。さらに、超弾性金属管の先端部は、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっているので、剛性の高い本体部と柔軟な先端部と境界部分に、荷重がかかったとき、その荷重の方向に容易に変形できるため、境界部分での合成樹脂と超弾性金属管の物性の相違に起因する折れ曲がりを確実に防止することができる。さらに、螺旋状のスリットまたは細孔を設けたことにより、超弾性金属管の先端部がより柔軟に湾曲できるようになる。このため、超弾性金属管の物性と合成樹脂層との物性の差が少なくなり、両者の剥離、両者の動きのずれなどが生じなくなり、カテーテルの操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の血管拡張器具の一実施例の部分省略外観図である。
【図2】図2は、図1に示した血管拡張器具の先端部の拡大断面図である。
【図3】図3は、図2のA−A線断面図である。
【図4】図4は、図2のB−B線断面図である。
【図5】図5は、図2のC−C線断面図である。
【図6】図6は、本発明の血管拡張器具の一実施例の基端部の断面図である。
【図7】図7は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の先端部の拡大断面図である。
【図8】図8は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の先端部の拡大断面図である。
【図9】図9は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の先端部の拡大断面図である。
【図10】図10は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の先端部の拡大断面図である。
【図11】図11は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の先端部の拡大断面図である。
【図12】図12は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の先端部の拡大断面図である。
【図13】図13は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の部分省略外観図である。
【図14】 図14は、図13に示した本発明の血管拡張器具の先端部の拡大断面図である。
【図15】 図15は、図14のD−D線断面図である。
【図16】 図16は、図13に示した本発明の血管拡張器具の実施例の基端部の断面図である。
【図17】 図17は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の先端部の拡大断面図である。
【図18】図18は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の断面図である。
【図19】 図19は、図18に示した血管拡張器具の拡大部分断面図である。
【図20】 図20は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の拡大部分断面図である。
【図21】 図21は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の拡大部分断面図である。
【図22】 図22は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の拡大部分断面図である。
【図23】 図23は、本発明の血管拡張器具の他の実施例の拡大部分断面図である。
【図24】図24は、本発明のカテーテルの一実施例の外観図である。
【図25】図25は、図24に示したカテーテルの部分省略断面図である。
【図26】図26は、図24に示したカテーテルの部分破断拡大図である。
【図27】図27は、本発明のカテーテルの他の実施例の部分破断拡大図である。
【図28】図28は、本発明のカテーテルの他の実施例の部分破断拡大図である。
【図29】図29は、本発明のカテーテルの他の実施例の部分破断拡大図である。
【図30】図30は、本発明のカテーテルの他の実施例の部分破断拡大図である。
【図31】図31は、本発明のカテーテルの他の実施例の部分省略断面図である。
【図32】図32は、図31に示したカテーテルの部分破断拡大図である。
【図33】図33は、本発明の実施例のカテーテルを用いて行った実験を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 血管拡張器具
2 外管
2a 合成樹脂チューブ
2b 超弾性金属管
2c 外管の先端部
2d 外管の本体部
2e スリット
3 拡張体
4 第1のルーメン
5 内管
6 第2のルーメン
9 第1の開口部
11 第2の開口部
20 分岐ハブ
41 血管拡張器具
81 血管拡張器具
82 管状体
82a 合成樹脂チューブ
82b 超弾性金属管
82e スリット
83 拡張体
84 弾性芯材
87 誘導部
90 ルーメン
91 ハブ組立体
100 カテーテル
101 超弾性金属管
102a 先端部
102b 本体部
102c 変形可能部
103 ルーメン
104 合成樹脂層
105 先端形成部材
106 スリット
107 細孔
120 ハブ
125 カテーテル
126 カテーテル
127 カテーテル
128 カテーテル

Claims (14)

  1. 先端が開口する第1のルーメンを有する内管と、該内管に同軸的に設けられ、前記内管の先端より所定長後退した位置に先端を有し、該内管の外面との間に第2のルーメンを形成する外管と、先端部および基端部を有し、該基端部が前記外管に取り付けられ、該先端部が前記内管に取り付けられ、該基端部付近にて第2のルーメンと連通する収縮あるいは折り畳み可能な拡張体と、該内管の基端部に設けられた、前記第1のルーメンと連通する第1の開口部と、前記外管の基端部に設けられた前記第2のルーメンと連通する第2の開口部とを有する血管拡張器具であって、前記内管および前記外管の少なくとも一方は、超弾性金属管により形成された本体部と、合成樹脂により形成された先端部とを有し、該超弾性金属管の先端部は、スリットまたは多数の細孔を有することにより他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっており、さらに、前記超弾性金属管の外面側および内面側に合成樹脂チューブが設けられていることを特徴とする血管拡張器具。
  2. 前記スリットは、先端より後端側に延びるスリットである請求項1に記載の血管拡張器具。
  3. 前記変形可能部は、基端より先端に向かって徐々に柔軟になっている請求項1または2に記載の血管拡張器具。
  4. 前記スリットは、螺旋状スリットである請求項に記載の血管拡張器具。
  5. 前記多数の細孔は、変形可能部の基端側より先端側の方が開口面積が大きくなっている請求項に記載の血管拡張器具。
  6. 前記多数の細孔は、変形可能部の基端側より先端側の方が細孔数が多くなっている請求項に記載の血管拡張器具。
  7. 超弾性金属管と該超弾性金属管を被覆する合成樹脂層とを有する本体部と、合成樹脂により形成された先端部とを有するカテーテルであって、前記超弾性金属管の先端部は、スリットまたは多数の細孔を有することにより他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっており、さらに前記超弾性金属管は、合成樹脂層により被覆されており、かつ、該合成樹脂層は、前記超弾性金属管の外面を被覆する外面側合成樹脂層と内面を被覆する内面側合成樹脂層とを備えていることを特徴とするカテーテル。
  8. 前記変形可能部は、基端側より先端側がより柔軟である請求項に記載のカテーテル。
  9. 前記変形可能部は、基端より先端に向かって徐々に柔軟になっている請求項に記載のカテーテル。
  10. 前記スリットは、螺旋状スリットである請求項に記載のカテーテル。
  11. 前記多数の細孔は、変形可能部の基端側より先端側の方が開口面積が大きくなっている請求項に記載のカテーテル。
  12. 前記多数の細孔は、変形可能部の基端側より先端側の方が細孔数が多くなっている請求項に記載のカテーテル。
  13. 前記外面側合成樹脂層と前記内面側合成樹脂層は、前記超弾性金属管の先端を越えた位置にて一体となっている請求項7に記載のカテーテル。
  14. 前記外面側合成樹脂層と前記内面側合成樹脂層は、該合成樹脂層を形成する樹脂材料が前記スリット内に実質的に流入することなく、前記スリット部分が空隙となるように、前記スリットを被覆している請求項7に記載のカテーテル。
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