JP2016016122A - シアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルおよびシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具 - Google Patents

シアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルおよびシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具 Download PDF

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Abstract

【課題】操作が容易であり、かつ、塞栓剤と固着せず、カテーテルが抜去不能となることを回避することができるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルを提供する。
【解決手段】シアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル1は、ルーメン15と、ルーメンと連通する先端開口14とを有するチューブ体11と、チューブ体の基端に固定されたチューブハブ12とを備える。吐出用カテーテル1は、チューブ体が、可撓性フッ素系樹脂により、チューブハブ12が、ポリオレフィンまたはフッ素系樹脂により形成されている。チューブ体は、先端側から所定長基端側まで延び、湿潤時に潤滑性を呈する外面層17を有し、チューブ体の先端部11aの外面は、可撓性フッ素樹脂露出先端部となっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、血管の出血部位、動脈瘤、血管奇形、腫瘍などの病変部を有する血管を塞栓物質であるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体を用いて塞栓する場合に使用されるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルおよびシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具に関する。
病変部を有する血管内の塞栓は、いろいろな臨床治療において有効である。そして、このような塞栓の対象となる血管としては、外傷性出血、腫瘍破裂、血管疾患(動脈瘤破裂、血管奇形)による出血などの出血を来した血管、血管疾患(動脈瘤破裂、血管奇形)の事前閉塞、病変部(例えば、腫瘍)を有する腹部臓器の血管(代表的には、肝動脈、脾動脈、腎動脈、内腸骨動脈、四肢血管またそれらの分枝血管)、さらには、腰動脈、肋間動脈などが挙げられる。
血管塞栓方法としては、液状ポリマー塞栓形成剤を閉塞すべき血管に直接注入する方法がある。直接注入法に用いられる液状ポリマーとしては、シアノアクリレート(アクリル系モノマーの強力瞬間接着剤)、特に、ブチルシアノアクリレート、具体的には、N−ブチルシアノアクリレート(NBCA)、イソブチルシアノアクリレート(IBCA)のような急速重合性液体が用いられている。
NBCAは、優れた液体塞栓物質であり、血流の速い血管奇形や動静脈瘻の塞栓物質として有効である。NBCAは、カテーテルから注入され、血液に接触した時、瞬間的に重合し、固形物質となって血管腔を閉塞させる。しかしながら、重合のタイミングを調節するのは極めて難しく、中枢側で閉塞したり静脈側に流れたりする。また、迅速にカテーテルを後退させないと、カテーテル自体に固着し、有効な塞栓が行われない場合、カテーテルが抜去不能となる可能性がある。
また、特開2001−58009(特許文献1)には、カテーテル本体と、このカテーテル本体の外周面を被覆する外側ポリマー層とを有するカテーテルにおいて、上記外側ポリマー層を先方に突出させると共に、上記カテーテル本体の先端に注入孔を穿設した注入部材を設けて、上記注入孔を通して注入部材と外側ポリマー層の先方突出部との間に生理食塩水、塞栓剤、造影剤等の注入物質を注入、充満させることにより、上記外側ポリマー層の先方突出部を径方向に膨出可能に形成したカテーテルが開示されている。さらに、特許文献1には、カテーテル本体の外周面と外側ポリマー層との間に外側金属層を形成したものが開示されている。
そして、特許文献1のカテーテルでは、カテーテル先端から放出された塞栓剤、造影剤等の注入物質がカテーテル先端部と接着等してカテーテルが抜去できなくなった場合には、カテーテル本体の内周面又は外周面及び内外周面に設けられた金属層を利用して、或いはガイドワイヤーを利用して高周波電流を流すことにより、カテーテル先端部(内外2層のポリマー層の先方突出部)を切断可能とのことである。
また、特開2002−20483(特許文献2)には、以下のカテーテルが開示されている。
特許文献2のカテーテル100は、特許文献2の図24および図25に示すように、超弾性金属管101と超弾性金属管101を被覆する合成樹脂層104とを有する本体部102bと、合成樹脂により形成された先端部102aとを有している。そして、超弾性金属管の先端部は、螺旋状のスリット106または図32に示すような細孔107を有しており、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部102cとなっている。
そして、特許文献2には、合成樹脂層104および先端形成部材105に用いられる合成樹脂として、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリオレフィンエラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー、エチレンープロピレン共重合体などを用いたエラストマー等)、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム等が使用でき、好ましくは、ポリエチレン、ポリアミドエラストマーあるいはポリウレタンであるとの開示がある。さらに、特に、本発明のカテーテルを塞栓物質(例えば、シアノアクリレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体のジメチルスルホキシド溶液)の脳血管内への注入用カテーテルに応用する場合には、合成樹脂層の形成材料は、ジメチルスルホキシドなどの溶剤に対して容易に溶解しないものが好ましいとの開示、さらに、このようなカテーテルに使用する合成樹脂材料としては、耐溶剤性の高い材料、例えば、ポリアミドエラストマーが好適であるとの開示がある。
また、特許文献2には、外面側の合成樹脂被覆層104aに血液等の液体と接触した時に、潤滑性を呈する親水化処理を施すことが好ましい。このような親水化処理としては、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーをコーティングする方法などが挙げられるとの開示がある。
特開2001−58009 特開2002−204831
特許文献1によれば、カテーテル先端から放出された塞栓剤がカテーテル先端部と接着等してカテーテルが抜去できなくなった場合には、カテーテル本体の内周面又は外周面及び内外周面に設けられた金属層を利用して、或いはガイドワイヤーを利用して高周波電流を流すことにより、カテーテル先端部(内外2層のポリマー層の先方突出部)を切断可能とのことである。高周波電流により塞栓剤固化物が、切断可能であるのか疑問もあるが、できれば、このような塞栓剤の固化物のカテーテルへの固着自体を回避すべきである。
特許文献2では、塞栓物質(例えば、シアノアクリレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体のジメチルスルホキシド溶液)の脳血管内への注入用カテーテルに応用する場合には、カテーテルの合成樹脂層の形成材料として、ジメチルスルホキシドなどの溶剤に対して容易に溶解しないものが好ましく、このようなカテーテルに使用する合成樹脂材料としては、耐溶剤性の高い材料、例えば、ポリアミドエラストマーが好適であることが開示されている。しかし、ポリアミドエラストマーは、ジメチルスルホキシドに対する耐溶解性を備えるものの、シアノアクリレートに対しては、その濃度により、硬化付着する場合がある。また、特許文献2には、上記のポリアミドエラストマー以外の材料の開示があるが、塞栓物質、特に、シアノアクリレートを用いる場合における好適なものについての開示はない。また、カテーテルの外面側の合成樹脂被覆層に血液等の液体と接触した時に、潤滑性を呈する親水化処理を施すことが好ましいとの開示がある。このような親水化処理をカテーテルの全体に行った場合、特許文献1のカテーテルと同様に、カテーテル先端から放出された塞栓剤、造影剤等の注入物質がカテーテル先端部と接着等してカテーテルが抜去できなくなる可能性が高い。
そして、本発明者は、カテーテル形成材料と塞栓剤との固着性、カテーテルの挿入性等の点を踏まえて、鋭意検討し、本発明に至った。
本発明の目的は、操作が容易であり、かつ、塞栓剤と固着せず、カテーテルが抜去不能となることを回避することができるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルおよびシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具を提供するものである。
上記目的を達成するシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルは、以下のものである。
(1) ルーメンと、前記ルーメンと連通する先端開口とを有するチューブ体と、前記チューブ体の基端に固定されたチューブハブとを備えるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体を血管内にて吐出するためのシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルであって、
前記チューブ体は、外面および内面が、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂のいずれかにより形成され、前記チューブハブが、オレフィン系樹脂またはフッ素系樹脂により形成されており、前記吐出用カテーテルの内部でのシアノアクリレート系塞栓物質含有液体の硬化を抑制するものとなっており、さらに、前記チューブ体は、先端側から所定長基端側まで延び、湿潤時に潤滑性を呈する外面層を有し、かつ、前記チューブ体の先端部の外面は、使用時には前記外面層を実質的に備えず、前記外面形成樹脂が露出した露出先端部もしくは前記先端部の外面に被覆されたフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂またはシリコーン系樹脂のいずれかによる被覆先端部となっており、前記吐出用カテーテルの前記先端部の外面におけるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体の固化物の付着が抑制されているシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル。
(2) 前記チューブ体の前記先端部の長さは、前記チューブ体の先端から10mm〜120mmである上記(1)に記載のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル。
(3) 前記吐出用カテーテルは、前記ルーメン内に挿入されたスタイレットを備えている上記(1)または(2)に記載のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル。
(4) 前記吐出用カテーテルの前記チューブ体および前記チューブハブは、ジメチルスルホキシドにより溶解しないものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル。
(5) 前記シアノアクリレート系塞栓物質含有液体は、N−ブチルシアノアクリレートである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル。
また、上記目的を達成するシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具は、以下のものである。
(6) 上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルと、前記吐出用カテーテルを前記チューブ体の先端部の全体もしくは一部を突出可能に収納する血管内挿入用カテーテルとからなるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具であって、
前記血管内挿入用カテーテルは、先端から基端まで貫通し、かつ、前記吐出用カテーテルの前記チューブ体を挿通可能なルーメンを有するカテーテルチューブと、前記カテーテルチューブの基端に固定されたカテーテルハブとを備え、さらに、前記カテーテルチューブは、フッ素系樹脂により形成された内面層と、湿潤時に潤滑性を呈する外面層とを有するものであるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具。
(7) 前記吐出用具は、前記吐出用カテーテルの前記チューブハブと前記血管内挿入用カテーテルの前記カテーテルハブを当接させた時、前記吐出用カテーテルの先端部が、前記血管内挿入用カテーテルの先端より、10〜100mm突出するものである上記(6)に記載のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具。
(8) 前記吐出用具は、前記血管内挿入用カテーテルの前記カテーテルハブの後端部に、前記シアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルの前記チューブハブの先端部を装着可能である上記(6)または(7)に記載のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具。
本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルは、ルーメンと、ルーメンと連通する先端開口とを有するチューブ体と、チューブ体の基端に固定されたチューブハブとを備えるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体を血管内にて吐出するためのシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルであって、チューブ体は、外面および内面が、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂のいずれかにより形成され、チューブハブが、オレフィン系樹脂またはフッ素系樹脂により形成されており、吐出用カテーテルの内部でのシアノアクリレート系塞栓物質含有液体の硬化を抑制するものとなっており、さらに、チューブ体は、先端側から所定長基端側まで延び、湿潤時に潤滑性を呈する外面層を有し、かつ、チューブ体の先端部の外面は、使用時には外面層を実質的に備えず、外面形成樹脂が露出した露出先端部もしくは先端部の外面に被覆されたフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂またはシリコーン系樹脂のいずれかによる被覆先端部となっており、吐出用カテーテルの先端部の外面におけるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体の固化物の付着が抑制されている。
このシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルでは、チューブ体が、フッ素系樹脂により形成されているため、チューブ体内において注入されたシアノアクリレート系塞栓物質含有液体が固化しない。また、チューブハブが、ポリオレフィンまたはフッ素樹脂により形成されているため、注入されたシアノアクリレート系塞栓物質含有液体がハブ内において固化することもない。さらに、吐出されたシアノアクリレート系塞栓物質含有液体が、チューブ体の先端部の外面に接触したとしても、その固化物がチューブ体の先端部の外面に付着しない。このため、シアノアクリレート系塞栓物質固化物の先端部への付着により、吐出用カテーテルが抜去不能となることがない。さらに、吐出用カテーテルのチューブ体は、先端部より基端側に湿潤時に潤滑性を有する外面層を有しているため、挿入対象となる血管内挿入用カテーテル内への挿入および摺動が容易である。
図1は、本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルの実施例の部分省略拡大外観図である。 図2は、図1に示したシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルの部分省略拡大縦断面図である。 図3は、本発明の他の実施例のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルの部分省略拡大縦断面図である。 図4は、本発明の他の実施例のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルの先端部を説明するための説明図である。 図5は、本発明の他の実施例のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルの先端部を説明するための説明図である。 図6は、本発明の他の実施例のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルの先端部を説明するための説明図である。 図7は、本発明の他の実施例のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルの先端部を説明するための説明図である。 図8は、本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具の実施例の部分省略拡大外観図である。 図9は、図8に示したシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具に用いられている血管内挿入用カテーテルの部分省略拡大縦断面図である。 図10は、図8に示したシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具に用いられている血管内挿入用カテーテルの先端部の拡大縦断面図である。 図11は、本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具の作用を説明するための説明図である。 図12は、本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具の作用を説明するための説明図である。 図13は、本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具に用いられる他の例の血管内挿入用カテーテルの部分省略拡大縦断面図である。 図14は、本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具の作用を説明するための説明図である。 図15は、本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具の作用を説明するための説明図である。 図16は、本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具の作用を説明するための説明図である。 図17は、本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具の作用を説明するための説明図である。
本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルおよびシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具を図示する実施例を用いて説明する。
本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル(以下、「吐出用カテーテル」)1は、ルーメン15と、ルーメン15と連通する先端開口14とを有するチューブ体11と、チューブ体11の基端に固定されたチューブハブ12とを備え、シアノアクリレート系塞栓物質含有液体を血管内にて吐出するためのカテーテルである。
シアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル1のチューブ体11は、外面および内面が、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂のいずれかにより形成され、チューブハブ12は、オレフィン系樹脂またはフッ素系樹脂により形成されており、吐出用カテーテル1の内部でのシアノアクリレート系塞栓物質含有液体の硬化を抑制するものとなっている。さらに、チューブ体11は、先端側から所定長基端側まで延び、湿潤時に潤滑性を呈する外面層17を有し、かつ、チューブ体11の先端部11aの外面は、使用時には外面層17を実質的に備えず、外面形成樹脂が露出した形成樹脂露出先端部もしくは先端部の外面に被覆されたフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂またはシリコーン系樹脂のいずれかによる被覆先端部となっており、吐出用カテーテル1の先端部11aの外面におけるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体の固化物の付着が抑制されている。
この実施例のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル1は、先端から基端まで貫通したルーメン15を有するチューブ体11と、チューブ体11の基端に固定されたチューブハブ12とからなる。
チューブ体11は、後述する血管内挿入用カテーテル2のカテーテルハブ22の後端開口部23より挿入可能であり、かつ、カテーテルチューブ21内を挿通可能な外径を有するチューブ体である。
そして、チューブ体11は、外面および内面が、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂のいずれかにより形成されている。特に、チューブ体11は、可撓性フッ素系樹脂のみにより形成することが好ましい。可撓性フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。
チューブ体11は、上記のように可撓性フッ素系樹脂のみにより形成することが好ましいが、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂により形成してもよい。
また、チューブ体11は、多層構造とし、中間層として、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂およびシリコーン系樹脂ではない樹脂層を有するものであってもよい。また、チューブ体11としては、外面側が、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂のいずれかにより形成され、内面側が、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂のいずれかでありかつ外面側と異なる樹脂により形成されたものでもよい。
そして、オレフィン系樹脂としては、可撓性を有するものが好ましい。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレンとポリエチレンもしくはポリブテンの混合物、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマーが好ましい。
そして、シリコーン系樹脂としても、可撓性を有するものが好ましい。シリコーン系樹脂としては、シリコーンゴム、具体的には、低温硬化型シリコーンゴム、常温硬化型シリコーンゴム、加熱硬化型シリコーンゴムなどが使用できる。低温硬化型シリコーンゴム、常温硬化型シリコーンゴムおよび加熱硬化型シリコーンゴムは、硬化前は液状であり、基本ポリマーとして、重合度200〜1000,粘度500〜100000mPa・sの液状ジオルガノシロキサンを用い、その分子鎖をシラノール基、ビニル基などで停止させたテレケリックポリマーが一般的である。そして、シラノール基で停止させたものでは、縮合反応により、また、ビニル基で停止させたものでは、白金化合物などの金属化合物を触媒として付加反応により固化する。
チューブ体11としては、長さが、600〜2100mmであることが好ましく、特に好ましくは、1000〜1600mmである。外径は、0.40〜1.00mmであることが好ましく、特に好ましくは、0.50〜0.70mmである。内径は、0.25〜0.80mmであることが好ましく、特に好ましくは、0.30〜0.50mmである。また、チューブ体11は、外径が、カテーテルチューブ21の内径より、0.03〜0.20mm小さいことが好ましく、特に、0.05〜0.10mm小さいことが好ましい。
チューブハブ12は、チューブ体11の後端部に固着されている。両者の固着は、両者間に接着剤を付与することにより行われる。そして、チューブハブ12は、ポリオレフィンまたはフッ素系樹脂により形成されている。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体などが使用される。また、フッ素系樹脂としては、上述したものが好適に使用される。
そして、本発明の吐出用カテーテル1では、使用されるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体と接触の可能性がある部分のカテーテル1の内外面は、チューブ形成材料であるフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂またはハブ形成材料であるオレフィン系樹脂またはフッ素系樹脂により形成されている。そして、上記の接着剤も、カテーテルの内面に露出しないように付与される。
そして、本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル1は、チューブ体11が、上述したフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂のいずれかにより形成されているため、チューブ体11内において注入されたシアノアクリレート系塞栓物質含有液体が固化しない。また、チューブハブ12が、ポリオレフィンまたはフッ素系樹脂により形成されているため、注入されたシアノアクリレート系塞栓物質含有液体がハブ内において固化することもない。また、チューブハブ12が、ポリオレフィンまたはフッ素系樹脂により形成されているため、ジメチルスルホキシドを含有する液体を注入したとしても、ジメチルスルホキシドに起因する溶解もない。このため、ジメチルスルホキシドを溶媒として用いたエチレンビニルアルコールコポリマー系塞栓用液体を用いることも可能である。
そして、本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具に用いられるシアノアクリレート系塞栓物質としては、ブチルシアノアクリレート、具体的には、N−ブチルシアノアクリレート(NBCA)、イソブチルシアノアクリレート(IBCA)が好ましい。特に、N−ブチルシアノアクリレート(NBCA)が好適である。
そして、吐出用カテーテル1のチューブ体11は、先端側から所定長基端側まで延び、湿潤時に潤滑性を呈する外面層(外面層形成部)17を有し、かつ、チューブ体11の先端部11aの外面は、外面層17を実質的に備えない外面形成樹脂露出先端部もしくは先端部の外面に被覆されたフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン樹脂のいずれかによる被覆先端部となっている。
特に、図1に示す実施例の吐出用カテーテル1のチューブ体11では、先端側より、外面層非保有先端部11a、外面層保有中間部11b、外面層非保有基端部11cとなっている。基端部11cは、外面層を持たないことが好ましいが、基端部11cにも外面層を設けてもよい。
先端部11aの長さは、10〜120mmであることが好ましく、特に、15〜50mmであることが好ましい。また、外面層非保有基端部11cの長さは、200〜700mmであることが好ましく、特に、500〜600mmであることが好ましい。
上記のようにすることにより、吐出用カテーテル1のチューブ体11の先端部を除く部分は、良好な摺動性を有する。このため、吐出用カテーテル1は、後述する血管内挿入用カテーテル2への挿入が容易であり、かつ、挿入後においても良好に操作可能である。さらに、吐出用カテーテル1の先端部11aは、外面層を備えないもしくはフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂のいずれかによる被覆を有し、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂により外表面が形成されているため、シアノアクリレート系塞栓物質含有液体がバックフローしたとしても吐出用カテーテルの先端部の外面に固着しない。
そして、湿潤時に潤滑性を呈する外面層17は、チューブ体11の外面に潤滑性付与剤をコーティングもしくは固定化することにより形成される。潤滑性付与剤としては、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーが使用される。また、固定化は、チューブ体11を形成する樹脂が備える反応性官能基を用いた共有結合またはイオン結合により行うことが好ましい。
また、本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルとしては、図3に示す吐出用カテーテル1aのように、内部にスタイレット4が挿入されているものであってもよい。この実施例の吐出用カテーテル1aでは、スタイレット4の先端41は、吐出用カテーテル1aのチューブ体11の先端開口14付近かつ先端開口14より突出しないように挿入されている。このようなスタイレット4を挿入することにより、チューブ体11は、ある程度の硬度を有するものとなり、容易にキンクしないものとなる。このため、吐出用カテーテル1aの血管内挿入用カテーテル2内への挿入がより容易なものとなる。
スタイレット4としては、金属線が好適である。金属線としては、ステンレス鋼線、造影性を有する金属線、超弾性合金線が好ましい。超弾性合金線としては、Ni−Ti系合金線が好ましい。造影性を有する金属線としては、金、白金、タングステン等の貴金属線またはこれらを含む合金線、ステンレス鋼などの造影性が高くない金属線の外面に上記造影性金属メッキを設けた金属線が挙げられる。このような造影性を有するスタイレットを用い、かつ、その先端を吐出用カテーテル1aの先端付近に配置することにより、吐出用カテーテル1aの先端をX線造影により確認することができる。また、スタイレット4の後端部42は、吐出用カテーテル1aの後端13より、所定長突出している。
スタイレット4としては、突出部を除く長さが、590〜2050 mmであることが好ましく、特に好ましくは、950〜1590 mmである。外径は、0.20〜0.60mmであることが好ましく、特に好ましくは、0.25〜0.50mmである。また、スタイレット4は、外径が、チューブ体11の内径より、0.05〜0.55mm小さいことが好ましく、特に、0.10〜0.25mm小さいことが好ましい。
また、スタイレット4の外面には、湿潤時に潤滑性を呈する外面層(外面層形成部)を有するものであってもよい。湿潤時に潤滑性を呈する外面層としては、上述したものが好適に使用できる。
また、この実施例の吐出用カテーテル1は、図1および図2に示すように、造影ライン16を有している。そして、造影ライン16は、造影性金属細線、造影性物質を含有する樹脂により形成されており、かつ、内面、外面および先端16aが、露出しないものとなっている。言い換えれば、造影ライン16は、先端、内面および外面が、チューブ体11の形成材料により被覆された状態となっている。このため、造影ラインに起因するシアノアクリレート系塞栓物質の固化物の付着がない。
また、造影ライン16の先端16aは、チューブ体11の先端付近に位置することが好ましい。また、造影ライン16は、所定長基端側、具体的には、少なくとも、血管内挿入用カテーテル2より突出可能な先端部11a部分の全体に設けられていることが好ましい。この実施例のものでは、造影ライン16は、チューブ体11の基端部まで延びるものとなっている。造影ラインに使用される造影性金属細線としては、金、白金、タングステン等の貴金属線またはこれらを含む合金線、ステンレス鋼などの造影性が高くない金属線の外面に上記造影性金属メッキを設けた金属線が挙げられる。造影性物質としては、Ba、W、Bi等の金属単体もしくは化合物の微粉末が好適である。
そして、吐出用カテーテル1のチューブ体11の先端部11aの外面は、外面層17を実質的に備えない外面形成樹脂露出先端部となっている。なお、実質的に外面層17を備えないとは、先端部11aの外面におけるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体の固化物の付着が生じないものであれば、若干の外面層を有するものを含むものである。具体的には、図4に示すカテーテル1bのように、先端部11aは、先端方向に延びる細い外面層17aを有するものであってもよい。また、図5に示すカテーテル1cのように、先端部11aは、環状の幅の細い外面層17bを1つもしくは複数有するものであってもよい。
また、吐出用カテーテル1のチューブ体11の先端部11aは、図6に示すカテーテル1dのように、外面層17を有し、かつ、外面層17の上にフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂のいずれかによる被覆38を有する先端部であってもよい。フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。
そして、オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレンとポリエチレンもしくはポリブテンの混合物、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマーが好ましい。
そして、シリコーン系樹脂としては、シリコーンゴム、具体的には、低温硬化型シリコーンゴム、常温硬化型シリコーンゴム、加熱硬化型シリコーンゴムなどが使用できる。低温硬化型シリコーンゴム、常温硬化型シリコーンゴムおよび加熱硬化型シリコーンゴムは、硬化前は液状であり、基本ポリマーとして、重合度200〜1000,粘度500〜100000mPa・sの液状ジオルガノシロキサンを用い、その分子鎖をシラノール基、ビニル基などで停止させたテレケリックポリマーが一般的である。そして、シラノール基で停止させたものでは、縮合反応により、また、ビニル基で停止させたものでは、白金化合物などの金属化合物を触媒として付加反応により固化する。
また、この本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルとしては、図7に示す吐出用カテーテル1eのように、先端部11aに設けられた造影性マーカー37を有することが好ましい。
造影性マーカー37は、良好なX線造影像を得ることができるものであればどのようなものであってもよい。特に、X線不透過金属(例えば、金、白金、タングステンあるいはそれらの合金、あるいは銀−パラジウム合金等)により形成することが好ましい。そして、これら金属により形成されたリング状のものをチューブ体11の先端部11aの外面にカシメ、巻き付けなどにより固定したものが好ましい。さらに、この実施例の吐出用カテーテル1eに示すように、造影性マーカーは、フッ素樹脂系被膜38により被覆されていることが好ましい。このようにすることにより、造影性マーカーに起因するシアノアクリレート系塞栓物質の固着を防止することができる。
また、上述したすべての実施例のカテーテルにおいて、図6に示すカテーテル1dのように、編組体からなる剛性付与体19を備えるものであってもよい。このような剛性付与体を設けることにより、カテーテルのトルク伝達性および耐圧性が向上する。編組体からなる剛性付与体19は、1本または複数本の金属線からなる線状体により、網目状に形成されていることが好ましい。また、剛性付与体19は、チューブ体11の外面または肉厚内に埋没していることが好ましい。剛性付与体19を形成する線状体としては、金属線が好適であり、例えば、ステンレス線、アモルファス合金線などが好ましく、アモルファス合金線としては、鉄−ケイ素−ホウ素系合金、コバルト−ケイ素−ホウ素系合金、鉄−コバルト−クロム−モリブデン−ケイ素−ホウ素系合金などを用いて形成したアモルファス合金線が、好適に使用できる。アモルファス合金線は、上記のような金属を線状に押し出すとともに、急速に冷却することにより形成される非晶質構造を有するものであり、形成されたアモルファス合金線は、さらに適当な内径のダイヤモンドダイスを通すことにより細径化される。アモルファス合金線は、引張強度が高く、かつ弾性変形領域が広く、さらに、耐熱、耐腐食、耐疲労性に優れている。
次に、本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具10について、図8ないし図10を用いて説明する。
本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具10は、上記のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル1aと、吐出用カテーテル1aをチューブ体11の先端部11aの全体もしくは一部を突出可能に収納する血管内挿入用カテーテル2とからなる。血管内挿入用カテーテル2は、先端から基端まで貫通し、かつ、吐出用カテーテル1aのチューブ体11を挿通可能なルーメン25を有するカテーテルチューブ21と、カテーテルチューブ21の基端に固定されたカテーテルハブ22とを備える。さらに、カテーテルチューブ21は、フッ素系樹脂により形成された内面層52と、湿潤時に潤滑性を呈する外面層53を有している。
そして、シアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具10における血管内挿入用カテーテル2の先端からの吐出用カテーテル1aのチューブ体11の先端部11aの突出可能長は、10〜100mmが好ましい。突出可能長が10mm以上であれば、吐出されたシアノアクリレート系塞栓物質含有液体がバックフローしたとしても血管内挿入用カテーテル2に接触することがない。また、突出長が100mm以下であれば、シアノアクリレート系塞栓物質含有液体の吐出時における吐出用カテーテルの操作性の低下も少ない。そして、突出可能長としては、15〜50mmがより好ましい。また、チューブ体11の先端部11aの長さは、上記突出可能長より、0〜20mm長いことが好ましい。
血管内挿入用カテーテル2は、先端24から基端まで貫通したルーメン25を有するカテーテルチューブ21と、カテーテルチューブ21の基端に固定されたカテーテルハブ22とを備える。
そして、この実施例のカテーテルチューブ21は、図10に示すように、基材層51と、基材層51の内側に形成された内面層52と、基材層51の外側に形成された湿潤時に潤滑性を呈する外面層53を有している。
基材層51としては、例えば、ポリアミド樹脂(例えばナイロン11、ナイロン12、ナイロン6)、ポリエステル系ポリアミド樹脂(例えば、DIC社製の商品名:グリラックス)、ポリエーテル系ポリアミド樹脂(例えば、アトケム社製の商品名:ペバックス)などの可撓性ポリアミド系樹脂が用いられる。
そして、内面層52としては、フッ素系樹脂が用いられる。フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。
そして、湿潤時に潤滑性を呈する外面層53は、基材層51の外面に潤滑性付与剤をコーティングもしくは固定化することにより形成される。潤滑性付与剤としては、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーが使用される。また、固定化は、基材層51を形成する樹脂が備える反応性官能基を用いた共有結合またはイオン結合により行うことが好ましい。
そして、カテーテルチューブ21の後端には、カテーテルハブ22が固定されている。カテーテルハブ22の形成材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。そして、カテーテルハブ22は、後端にシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル1aのカテーテルチューブ11を挿入するための開口部23を備えている。さらに、カテーテルチューブ21の後端部には、キンク防止用チューブ26が設けられている。
カテーテルチューブ21としては、長さが、500〜2000mmであることが好ましく、特に好ましくは、900〜1500mmであり、外径が、0.60〜1.40mmであることが好ましく、特に好ましくは、0.70〜1.00mmであり、内径が、0.45〜1.10mmであることが好ましく、特に好ましくは、0.55〜0.75mmである。
具体的には、図8および図12に示すように、シアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具10は、血管内挿入用カテーテル2のカテーテルハブ22の後端部に、吐出用カテーテル1aのチューブハブ12の先端部を装着可能なものとなっている。そして、両者が装着状態となった状態において、吐出用カテーテル1aのチューブ体11の先端部11aが、所定長(最大突出可能長)突出するものとなっている。より具体的には、吐出用カテーテル1aのチューブハブ12と血管内挿入用カテーテル2のカテーテルハブ21を当接させた時、吐出用カテーテル11の先端部11aが、血管内挿入用カテーテル2の先端より、10〜100mm突出するものであることが好ましい。特に、15〜50mm突出するものであることが好ましい。
そして、この実施例の吐出用具10では、血管内挿入用カテーテル2のカテーテルハブ22の後端部に、雌型結合部(具体的には、雌型ルアーテーパー部)を備え、吐出用カテーテル1aのチューブハブ12の先端部に、上記雌型結合部と結合可能な雄型結合部(具体的には、雄型ルアーテーパー部)を備えている。このため、カテーテルハブ22とチューブハブ12は、図12に示すように、結合可能である。
また、血管内挿入用カテーテルとしては、図13に示す血管内挿入用カテーテル2aのように、カテーテルハブ22aが、サイドポート22bを有するものであってもよい。この実施例のカテーテルハブ22aは、ハブ本体の側部より斜め基端方向に突出する側部ポート部27と、側部ポート部27に装着された可撓性チューブ28と、可撓性チューブ28の後端部に固着されたサイドポートハブ29とを備えている。サイドポート22b内の内腔54は、ハブ本体の内腔と連通している。また、サイドポートハブの後端部は、開口部55となっている。
本発明のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルおよびシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具は、塞栓が必要な血管のすべてに適用可能である。例えば、外傷性出血、腫瘍破裂、血管疾患(動脈瘤破裂、血管奇形)による出血などの出血を来した血管、血管疾患(動脈瘤破裂、血管奇形)の事前閉塞、病変部(例えば、腫瘍)を有する腹部臓器の血管、代表的には、肝動脈、脾動脈、腎動脈、内腸骨動脈、四肢血管、またそれらの分枝血管、さらには、腰動脈、肋間動脈などがある。また、術式としては、外傷(肝・膵・脾・腎・骨盤骨)・腫瘍・消化管からの出血に対する塞栓術、肝細胞癌、腎癌などの腫瘍部位動脈塞栓術、喀血に対する気管支動脈塞栓術、多血性骨転移術前塞栓術(肝細胞癌、腎癌などの血液の流れが豊富な腫瘍からの骨転移の術前に術中出血量を減らすために、肋間動脈や腰動脈の塞栓を行う)、子宮筋腫の子宮動脈塞栓術などがある。特に、動脈の塞栓に有効であり、動脈としては、脾臓動脈、腎臓動脈、肝臓動脈、肋間動脈、腸間膜の動脈の分岐、腰部動脈、胃十二指腸動脈、内外の腸骨動脈などに有効である。
本発明の第1のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル1aおよびシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具10の使用方法を図8、図11、図12、図14ないし図17を用いて説明する。
図14に示す症例は、動脈(例えば、肝動脈)61より分岐する分岐血管62の分岐部より若干末梢側に出血性病変部71を有している。病変部71は、造影用カテーテルと造影剤を用いた血管造影法により特定される。そして、血管造影において大腿動脈に穿刺されたセルジンガー針内に、ガイドワイヤーを挿入し、ガイドワイヤによって誘導させるようにして、ガイディングカテーテル(図示せず)を病変部を有する肝動脈分岐部付近に挿入する。
また、図8に示すように、血管内挿入用カテーテル2とシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル1aを分離した状態にて準備する。そして、血管内挿入用カテーテル2を血管の塞栓目的部位より所定長中枢側となる部位に配置し、ガイドワイヤーを抜去する。そして、図11に示すように、血管内挿入用カテーテル2内に吐出用カテーテル1aをスタイレット4とともに挿入し、吐出用カテーテル1aの先端を挿入用カテーテル2の先端付近かつ先端部内となるように配置し、血管内において、図15のような状態とする。そして、挿入用カテーテル2の先端と塞栓目的部位間の距離をX線造影により確認し、挿入用カテーテル2の先端位置を調整する。
そして、図16に示すように、吐出用カテーテル1aを押し進め、その先端部11aを挿入用カテーテル2の先端より所定長(具体的には、約20mm)突出させる。この状態において、挿入用カテーテル2のカテーテルハブ22と吐出用カテーテル1aのチューブハブ12は、図12に示すように、結合した状態となり、吐出用カテーテル1aの先端部11aが、挿入用カテーテル2の先端より所定長突出した状態が維持される。そして、吐出用カテーテル1aの先端を目的部位付近となるように、必要な調整(具体的には、吐出用具10の前進または後退)を行った後、スタイレット4を抜去し、吐出用カテーテル1aのチューブハブ12にシアノアクリレート系塞栓物質含有液体が充填された注入具(図示せず)を装着する。
そして、注入具を操作して、シアノアクリレート系塞栓物質含有液体72を血管内に吐出する。そして、吐出されたシアノアクリレート系塞栓物質含有液体は、血液中の水分と接触することにより固化が開始する。シアノアクリレート系塞栓物質含有液体の吐出後、吐出用具10を後退させる。シアノアクリレート系塞栓物質の固化物は、フッ素樹脂により形成されている吐出用カテーテル1aの先端部には、付着しないため、注入したシアノアクリレート系塞栓物質が、注入部において確実に固化し、固化物73となり、血管の病変部を確実に塞栓する。また、本発明の吐出用具10では、同じ血管に複数の病変部が形成されている場合、末梢側から順次、シアノアクリレート系塞栓物質含有液体を吐出することにより、複数の病変部の塞栓を行うことも可能である。
1 シアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル
2 血管内挿入用カテーテル
11 チューブ体
12 チューブハブ
17 外面層
11a 先端部
21 カテーテルチューブ
22 カテーテルハブ

Claims (8)

  1. ルーメンと、前記ルーメンと連通する先端開口とを有するチューブ体と、前記チューブ体の基端に固定されたチューブハブとを備えるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体を血管内にて吐出するためのシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルであって、
    前記チューブ体は、外面および内面が、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂のいずれかにより形成され、前記チューブハブが、オレフィン系樹脂またはフッ素系樹脂により形成されており、前記吐出用カテーテルの内部でのシアノアクリレート系塞栓物質含有液体の硬化を抑制するものとなっており、さらに、前記チューブ体は、先端側から所定長基端側まで延び、湿潤時に潤滑性を呈する外面層を有し、かつ、前記チューブ体の先端部の外面は、使用時には前記外面層を実質的に備えず、前記外面形成樹脂が露出した露出先端部もしくは前記先端部の外面に被覆されたフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂またはシリコーン系樹脂のいずれかによる被覆先端部となっており、前記吐出用カテーテルの前記先端部の外面におけるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体の固化物の付着が抑制されていることを特徴とするシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル。
  2. 前記チューブ体の前記先端部の長さは、前記チューブ体の先端から10mm〜120mmである請求項1に記載のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル。
  3. 前記吐出用カテーテルは、前記ルーメン内に挿入されたスタイレットを備えている請求項1または2に記載のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル。
  4. 前記吐出用カテーテルの前記チューブ体および前記チューブハブは、ジメチルスルホキシドにより溶解しないものである請求項1ないし3のいずれかに記載のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル。
  5. 前記シアノアクリレート系塞栓物質含有液体は、N−ブチルシアノアクリレートである請求項1ないし4のいずれかに記載のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテル。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルと、前記吐出用カテーテルを前記チューブ体の先端部の全体もしくは一部を突出可能に収納する血管内挿入用カテーテルとからなるシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具であって、
    前記血管内挿入用カテーテルは、先端から基端まで貫通し、かつ、前記吐出用カテーテルの前記チューブ体を挿通可能なルーメンを有するカテーテルチューブと、前記カテーテルチューブの基端に固定されたカテーテルハブとを備え、さらに、前記カテーテルチューブは、フッ素系樹脂により形成された内面層と、湿潤時に潤滑性を呈する外面層とを有するものであることを特徴とするシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具。
  7. 前記吐出用具は、前記吐出用カテーテルの前記チューブハブと前記血管内挿入用カテーテルの前記カテーテルハブを当接させた時、前記吐出用カテーテルの先端部が、前記血管内挿入用カテーテルの先端より、10〜100mm突出するものである請求項6に記載のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具。
  8. 前記吐出用具は、前記血管内挿入用カテーテルの前記カテーテルハブの後端部に、前記シアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用カテーテルの前記チューブハブの先端部を装着可能である請求項6または7に記載のシアノアクリレート系塞栓物質含有液体吐出用具。
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