JP4261277B2 - 椅子における肘掛け取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、座の側方より起立する背杆に、肘掛けを取付けるようにした、椅子における肘掛け取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、座の両側方より起立するパイプ状の背杆に背シェルを取付け、背シェルの両側に、前方を向く肘掛けを取付けた椅子は公知である。この従来の肘掛け取付構造は、背杆の上部に横向きのねじ挿入孔を設け、この背杆に嵌合される肘掛け杆に、横向きの雌ねじ部材を設け、ねじ挿入孔と雌ねじ部材とを整合させて、肘掛けを背杆にねじ止めしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平2002−125798号公報(図3、要約)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の肘掛け取付構造は、ねじ止めのために、背杆のねじ挿入孔と肘掛け杆の雌ねじ部材とを完全に整合させる必要があり、この位置合わせが複雑で、組み付け作業に時間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の技術が属する上述のような問題点に鑑みてなされたもので、肘掛けの背杆に対する位置決めが容易で、組み付けを簡単かつ短時間で行えるようにした椅子における肘掛け取付構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)座の両側から起立する背杆の上端部に背凭れの両側部を取付けるとともに、前記背杆の上端に非円形軸を突設し、この非円形軸に、ほぼ前方を向く肘掛けの後端部の取付部に設けた非円形孔を相対回転不能として嵌合し、かつねじ止めした椅子における肘掛け取付構造において、パイプにより形成された前記背杆の上端部に、前記非円形軸の下端に円柱部を連設した取付軸における前記円柱部を嵌合し、前記背杆の上部外周部に、取付軸の円柱部と背杆とを溶接するための透孔を設け、前記背凭れを支持するブラケットの取付部に、前記透孔を露呈させるための切欠部を設け、この切欠部が背杆の透孔と一致するようにして、前記ブラケットの取付部を背杆の外周面に当接させて位置決めし、かつ前記透孔の部分で背杆と取付軸とを溶接するとともに、前記ブラケットの取付部と背杆との当接部分を溶接する。
【0007】
(2)上記(1)項において、上端開口部の一部に凹部が形成された背杆の上端部に、円柱部の外周の一部に位置決め用突起が突設された取付軸における前記円柱部を、前記位置決め用突起が前記凹部に係合するようにして嵌合することにより、背杆の上端部に非円形軸を突設する。
【0008】
(3)上記(1)または ( 2 ) 項において、非円形軸の上端にねじ孔を設け、かつ肘掛けの取付部の上端に設けたねじ挿通孔に挿通した止めねじを前記ねじ孔に螺合することにより、肘掛けを非円形軸に固定する。
【0009】
(4)上記(1)〜 ( 3 ) 項のいずれかにおいて、肘掛けの取付部の外周面に、椅子のスタッキング時のスペーサとなる突部を設ける。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態である椅子における肘掛け取付構造を、図1〜図7を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の肘掛け取付構造を備える椅子の正面図、図2は、側面図である。
図1に示すように、本発明の椅子における肘掛け取付構造が適用された椅子(A)は、左右1対の背杆(1)(1)と、各背杆(1)の中間部に固定され、逆L字状に屈折された左右1対の前脚(3)と、この前脚(3)(3)上に取付けられた座(4)と、両背杆(1)(1)の上端部に両側部が取付けられた背シェル( 9 )と、各背杆(1)の上端に取付けられた肘掛け(2)とを備えている。この肘掛け(2)は、次のようにして取付けられている。
【0012】
図3は、肘掛けを取付ける前の状態を示す分解斜視図である。
図3に示すように、背杆(1)の上端部には、肘掛け(2)を取付けるための取付軸(5)が設けられ、背杆(1)の上端部には、背凭れを形成する背シェル(9)が取付けられている。取付軸(5)は後述のように非円形断面のもので、この取付軸(5)に肘掛け(2)を嵌合し、ねじ止めするようになっている。
【0013】
図4は、背杆(1)、取付軸(5)および背シェル取付け用のブラケット(20)の詳細を示す分解斜視図、図5は肘掛け(2)を下側から見た斜視図である。
【0014】
図4に示すように、背杆(1)は円筒状のパイプで構成され、上端の縁の一部に位置決め用の凹部(19)が形成されている。背杆(1)の上端寄りの側部には、溶接のための透孔(6)が形成されている。取付軸(5)は、円柱部(7)と、この円柱部(7)の上端に、この円柱部(7)より径の小さい円柱の両側を切削して平削面(8a)とした非円形軸(8)とを備えている。円柱部(7)の上端面には、非円形軸(8)の下端部の周囲にテーパ面(10)が形成され、このテーパ面(10)上に、一側方に突出する位置決め用突起(11)が形成されている。非円形軸(8)の上端にはねじ孔(12)が設けられている。
【0015】
図1及び図3に示すように、肘掛け(2)は、肘掛け本体(14)の基部に、上下方向を向く円筒状の取付部(15)が形成されたものである。図5に示すように、この取付部(15)の下端には、非円形軸部(8)とほぼ補形をなす非円形孔(16)が上方に向かって形成されるとともに、下端部の縁の一部には、上記突起(11)と係合する切欠部(17)が形成されている。取付部(15)の一側部には、椅子をスタッキング(複数段に積み上げること)した時のスペーサとなる上下方向に長い突部(18)が形成されている。また、取付部(15)の上面には、非円形孔(16)に連通する小径のねじ挿通孔(16a)が穿設されている。
【0016】
図6は、背杆にブラケットを取付けた状態の平面図、図7は正面図、図8は側面図である。
図4、および図6〜図8に示すように、ブラケット(20)は、板状の基片(20a)の一側端に取付取付部(21)がほぼ直角に折曲形成され、この取付部(21)の中間に切欠部(22)が形成され、かつ、基片(20a)には、背シェル取付け用の取付孔(23)が形成されたものである。
【0017】
ブラケット(20)および肘掛け(2)の組み付けは、次のようにして行われる。
【0018】
まず、取付軸(5)の位置決め用突起(11)が背杆(1)の凹部(19)に係合するようにして、背杆(1)の上端に取付軸(5)を嵌合する。これにより、取付軸(5)の上下方向および周方向の位置決めが行われる。なお、位置決め用突起(11)は、凹部(19)の深さより若干高寸であり、凹部(19)から若干上部に突出している。次いで、透孔(6)の部分で溶接を行うことにより、背杆(1)に取付軸(5)を固着する。
【0019】
次に、背杆(1)の透孔(6)に切欠部(22)が一致するようにして、ブラケット(20)の取付部(21)を背杆(1)の外周面に当接させることにより、ブラケット(20)の取付け位置が決められる。次いで取付部(21)と背杆(1)との当接部分を溶接する。図7および図8に示す交差斜線部分(25)が、溶接部分である。この状態で、ブラケット(20)の上端は非円形軸(8)の途中まで上方に突出し、この突出部分と非円形軸(8)との間には隙間(24)が形成される。
【0020】
次いで、図3に示すように、肘掛け(2)を非円形軸(8)に嵌め込む。これにより、取付部(15)の切欠部 (17)は突起(11)に係合する。なお、非円形軸(8)の周方向の向きで肘掛け(2)の方向は決まるので、切欠部 (17)と突起(11)との係合はなくてもよい。肘掛け(2)の取付部(15)の上端から止めねじ(26)をねじ挿通孔(16a)に挿通し、かつ非円形軸(8)のねじ孔(12)に螺挿し、固定する。
【0021】
上記の実施形態では、取付軸(5)を透孔(6)を介して先に溶接し、その後にブラケット(20)を溶接しているが、逆に、ブラケット(20)を先に溶接し、その後に透孔(6)を介して取付軸(5)を溶接するようにしてもよい。取付軸(5)を先に溶接すると透孔(6)の部分に溶接による盛り上りができるが、切欠部(22)でこれを逃すことができる。また、ブラケット(5)を先に溶接した場合は、切欠部(22)で透孔(6)が開放されているので、後から透孔(6)を介して取付軸(5)の溶接を行うことが可能となる。
【0022】
図9は、椅子(A)をスタッキングした状態の側面図である。スタッキング状態では、隣接する肘掛けの取付部(15)(15)同士が、スペーサとなる突部(18)を介して互いに当接することにより、座(4)等が硬質部分に接触することが避けられ、擦れによる傷等を防止できる。
【0023】
【発明の効果】
(A)請求項1記載の発明によると、背杆の上端に突起した非円形軸に、肘掛けの取付部に設けた非円形孔を嵌合することにより、肘掛けは背杆に対して簡単に位置決めされ、肘掛けの組立て作業を簡単に短時間で行える。
また、透孔を介して、取付軸の円柱部を、背杆に簡単に溶接することができるとともに、溶接部分が外部に露呈することがなく、体裁がよい。
さらに、ブラケットに、透孔を露呈させるための切欠部を形成したので、ブラケットを取付けた後でも透孔を介して取付軸の溶接が可能となる。
【0024】
(B)請求項2記載の発明によると、背杆に対する対する非円形軸の向き、ひいては肘掛けの向きを、取付軸における円柱部に設けた位置決め突起を、背杆の上端開口縁の一部に設けた凹部に係合させることにより、簡単に割り出すことができ、肘掛けの組立て作業が楽になる。
【0025】
(C)請求項3記載の発明によると、1本の止めねじだけで肘掛けを背杆に強固に固着でき、またこれを外すことにより、肘掛けを背杆から容易に取外すことができる。
【0026】
(D)請求項4記載の発明によると、肘掛けの取付部の外周面にスペーサ用の突部を設けたので、この突部が椅子のスタッキング時のスペーサとなり、座等が他の椅子の硬質部分に当接するのを防止し、座のクッション性の劣化や擦れによる傷等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を備える椅子の正面図である。
【図2】 同じく、側面図である。
【図3】 同じく、肘掛けを取付ける前の状態を示す分解斜視図である。
【図4】 同じく、背杆、取付軸および背シェル取付け用のブラケットの詳細を示す分解斜視図である。
【図5】 同じく、肘掛けを下側から見た斜視図である。
【図6】 同じく、背杆にブラケットを取付けた状態の平面図である。
【図7】 同じく、正面図である。
【図8】 同じく、内方より見たに側面図である。
【図9】 同じく、椅子をスタッキングした状態の側面図である。
【符号の説明】
(1)背杆
(2)肘掛け
(3)前脚
(4)座
(5)取付軸
(6)透孔
(7)円柱部
(8)非円形軸
(8a)平削面
(9)背シェル(背凭れ)
(10)テーパ面
(11)位置決め用突起
(12)ねじ孔
(14)肘掛け本体
(15)取付部
(16)非円形孔
(16a)ねじ挿通孔
(17)切欠部
(18)突部
(19)凹部
(20)ブラケット
(20a)基片
(21)取付部
(22)切欠部
(23)取付孔
(24)隙間
(25)交差線部
(26)止めねじ
(28)弾性係止片
Claims (4)
- 座の両側から起立する背杆の上端部に背凭れの両側部を取付けるとともに、前記背杆の上端に非円形軸を突設し、この非円形軸に、ほぼ前方を向く肘掛けの後端部の取付部に設けた非円形孔を相対回転不能として嵌合し、かつねじ止めした椅子における肘掛け取付構造において、
パイプにより形成された前記背杆の上端部に、前記非円形軸の下端に円柱部を連設した取付軸における前記円柱部を嵌合し、前記背杆の上部外周部に、取付軸の円柱部と背杆とを溶接するための透孔を設け、前記背凭れを支持するブラケットの取付部に、前記透孔を露呈させるための切欠部を設け、この切欠部が背杆の透孔と一致するようにして、前記ブラケットの取付部を背杆の外周面に当接させて位置決めし、かつ前記透孔の部分で背杆と取付軸とを溶接するとともに、前記ブラケットの取付部と背杆との当接部分を溶接したことを特徴とする椅子における肘掛け取付構造。 - 上端開口部の一部に凹部が形成された背杆の上端部に、円柱部の外周の一部に位置決め用突起が突設された取付軸における前記円柱部を、前記位置決め用突起が前記凹部に係合するようにして嵌合することにより、背杆の上端部に非円形軸を突設したことを特徴とする請求項1記載の椅子における肘掛け取付構造。
- 非円形軸の上端にねじ孔を設け、かつ肘掛けの取付部の上端に設けたねじ挿通孔に挿通した止めねじを前記ねじ孔に螺合することにより、肘掛けを非円形軸に固定したことを特徴とする請求項1または2記載の椅子における肘掛け取付構造。
- 肘掛けの取付部の外周面に、椅子のスタッキング時のスペーサとなる突部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の椅子における肘掛け取付構造。
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