JP4260697B2 - 電磁弁 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば自動車の自動変速機の油圧制御回路に設けられる電磁弁に関するものである。
従来、弁ハウジング内に往復移動可能に収納されたスプールが、スプールをリニアソレノイド方向に付勢するコイルスプリングの付勢力と、コイルに供給される電流によりプランジャが吸引部に吸引されシャフトがスプールを押す駆動力と、フィードバック室の油圧からスプールが受ける力とが釣り合う位置で静止する電磁弁が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−139261号公報(図1)
しかしながら、スプールの軸線に直交するようにハウジングには入力ポートが形成されているので、入力ポートを通過した作動油はスプールに垂直に衝突しながら電磁弁のハウジングの内部へ導かれているため、スプールには作動油の衝突動圧による横力が作用し、スプール作動時の摺動抵抗の増加や作動油遮断時のシール不良が発生するという問題点があった。
また、作動油はスプールとの衝突点からその外周面に沿って分離され、これらの流れが反流入ポート側で再び衝突して合流するという複雑な流れが生じ、そのため作動油は著しい減速と流体抵抗の増大により、作動油の排出孔からの排出効率が低下するとともに、作動油と共にハウジングの内部に侵入した含有異物(コンタミネーション)も作動油の減速と共に失速し、スプールの周辺で滞留し易くなり、スプールとハウジングとの摺動面への異物噛み込みの原因になるという問題点もあった。
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、第1の弁の軸線に対して垂直方向に作用する、流入孔からの流体による力が低減して第1の弁の摺動抵抗が低減し、また流入孔から流入した流体が内部流路内部で円滑に流れ、排出孔からの排出効率が向上した電磁弁を提供することを目的とする。
この発明に係る電磁弁は、流体が流入する流入孔、この流入孔に連通した内部流路、及び前記流体を外部に排出する排出孔を有するハウジングと、このハウジングの内部に固定されたバルブシートと、このバルブシートの一面に当接して前記流入孔を通じて前記内部流路に流入する流体を遮断する第1の弁と、この第1の弁の軸線と同軸線上に設けられ前記バルブシートの他面との隙間寸法の調整により前記排出孔を通じて前記ハウジングの外部に流出する前記流体の量を制御する第2の弁とを備え、前記ハウジングには、円形に形成された前記内部流路の壁面と、この壁面に対して接線方向に延設された前記流入孔とを有した、前記内部流路に流入した前記流体を一方向に旋回させる旋回手段が設けられ、前記第1の弁は、前記バルブシートの内壁面に対向して形成され前記排出孔に連通する孔、この孔に連通し軸線方向に沿って形成され前記流入孔から孔を通じて流入した前記流体を軸線方向に設けられた出力孔を通じて外部に排出する通路を有する


この発明に係る電磁弁によれば、第1の弁の軸線に対して垂直方向に作用する、流入孔からの流体による力が低減して第1の弁の摺動抵抗が低減し、また流入孔から流入した流体が内部流路内部で円滑に流れ、排出孔からの排出効率が向上する。
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、同一または相当の部材、部位については同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の圧力制御用比例電磁弁を示す正断面図、図2は図1のA−A線に沿った矢視断面図である。
この圧力制御用比例電磁弁(以下、電磁弁と略称する)は、自動変速機において油圧制御に使用される3方弁タイプの比例電磁弁のノーマリーロータイプのものである。
この電磁弁では、磁気回路を構成するヨーク1及びプレート2の内部にコイル3が設けられている。このコイル3の内側にはプランジヤ4が設けられている。このプランジヤ4にはロッド5が貫通している。このロッド5の両端部には、ロッド5を軸線方向に移動可能に支持する第1の滑り軸受け6及び第2の滑り軸受け7が設けられている。プランジヤ4に対して軸線方向に対向し、かつロッド5を囲ったコア8がヨーク1に固定されている。
コア8の下部にはフランジ22に係止されたハウジング10が固定されている。ハウジング10には、流体である作動油が流入する流入孔11、この流入孔11に連通した内部流路12、作動油を外部に排出する排出孔13及び出力孔14がそれぞれ形成されている。
ハウジング10の内部には、中心軸線に沿って貫通孔25が形成されたバルブシート15が固定されている。このバルブシート15の下側でハウジング10の内部には、円筒形状のスリーブ18が固定されている。このスリーブ18の内側にはロッド5と同軸線上でスリーブ18に対して上下に摺動可能な第1の弁である遮断弁16が設けられている。この遮断弁16は、スプリング19の弾性力によりバルブシート15側に付勢されている。遮断弁16は、中心軸線に沿って通路20が形成されているとともに、通路20の上端部にはバルブシート15の内壁面と対向した一対の孔24が形成されている。
コア8の下部には遮断弁16側に延びたガイド部23が設けられている。このガイド部23で案外される球状の第2の弁である調圧弁17がロッド5と遮断弁16との間に設けられている。
ハウジング10には、流入孔11から内部流路12に流入した作動油を一方向に旋回させる旋回手段が設けられている。この実施の形態では、旋回手段は、図2に示すように、内部流路12の円形形状の壁面12aと、ロッド5の軸線に対して垂直面上で、かつ壁面12aに対して接線方向に延設された流入孔11である。
次に、上記構成の電磁弁の動作について説明する。
先ず、非通電時、即ちコイル3に電流が流れていないときには、調圧弁17は最大リフト位置にあり、遮断弁16の肩部26はスプリング19の弾性力によりバルブシート15の下面に当接している。従って、この時は流入孔11を通じてハウジング10内には流体である作動油は遮断弁16により遮断され、かつ出力孔14と排出孔13とは遮断弁16の通路20及び孔24を通じて連通しており、出力孔14側の圧力は排出孔13側の圧力と等しい。
ターミナル21を通じてコイル3に電流が流れると、コイル3には磁力線が生じ、プランジヤ4,プレート2、ヨーク1、コア8によって構成された磁気回路に磁束が流れ、プランジヤ4とコア8との間に磁気吸引力が発生する。その結果、プランジャ4はコア8側に吸引され、プランジヤ4と一体のロッド5は下動し、ロッド5に当接した調圧弁17も遮断弁16からの反発力に逆らって下動する。この時、調圧弁17には、コア8からの磁気吸引力、スプリング19の弾性力及び出力孔14を通じての流体力が作用し、これらの力が釣り合う位置まで調圧弁17は下動する。
同時に、調圧弁17に押圧された遮断弁16も下動し、遮断弁16の肩部26はバルブシート15の下面から離間し、その結果作動油は、流入孔11から内部流路12を通じて排出孔13に導かれるとともに、流入孔11から内部流路12、通路20を通過して出力孔14へも導かれる。
バルブシート15の下面と遮断弁16の肩部26との隙間寸法は、コイル3に流れる電流に比例し、出力孔14を通じての出力圧は、リニアに制御される。
さらに、調圧弁17に押圧された遮断弁16が下動すると、調圧弁17はバルブシート15の肩部27に当接し、作動油は流入孔11から内部流路12、通路20を通過して出力孔14のみに導かれる。
この実施の形態の電磁弁によれば、ロッド5の軸線に対して垂直面上で、かつ内部流路12の壁面12aに対して接線方向に流入孔11を設けたので、作動油は、遮断弁16の中心軸線を中心に旋回流となって流れ、遮断弁16に対する横力が低減される。そのため、スリーブ18内での遮断弁16の摺動抵抗が低減され、摺動不良による作動油遮断時のシール不良や、特性不良、あるいはスリーブ18内面への固着を防止することができる。
また、流入孔11を通過した供給油は、内部流路12内では、供給油が内部流路12の壁面12aに沿って滑らかに流れ、内部流路12内での速度低下と圧力損失が低減される。そのため、排出孔14からの作動油の排出効率が向上するので、作動油とともに流入孔11を通過してハウジング10の内部に侵入する異物は作動油とともに排出孔13から円滑に排出され、遮断弁16の近傍での異物の滞留量は低減される。
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2の圧力制御用比例電磁弁を示す要部正断面図、図4は図3のB−B線に沿った矢視断面図である。
この実施の形態では、内部流路12の底面部28が螺旋状に形成されている点が実施の形態1と異なり、他の構成は実施の形態1と同様である。
この実施の形態では、旋回手段は、円形に形成された内部流路12の壁面12aと、軸線に対して垂直面上でかつ壁面12aに対して接線方向に延設された流入孔11と、螺旋状に形成された内部流路12の底面部28とから構成されている。
この実施の形態では、内部流路12の底面部28は螺旋状であるので、流入孔11から流入した作動油は壁面12aに沿って一周したときに、新たに流入孔11から流入した作動油と衝突する量を低減することができ、内部流路12内での作動油の旋回流をより安定化させることができる。
なお、軸線に対する垂直面からの底面部28の傾斜角度αが、図5に示す、tanα=d/π×D(dは流入孔の内径、Dは内部流路12の内径)で得られた値よりも大であるときには、内部流路12の一周当たりのリードが流入孔11の内径寸法よりも大きいので、内部流路12内での作動油の旋回流をさらに安定化させることができる。
なお、この実施の形態2のハウジング10では、加工性の点から樹脂材料を用いることが好ましい。
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3の圧力制御用比例電磁弁を示す要部正断面図、図7は図6のC−C線に沿った矢視断面図である。
この実施の形態では、流入孔11が軸線に対する垂直面から傾斜している点が実施の形態1と異なり、他の構成は実施の形態1と同様である。
この実施の形態では、旋回手段は、円形に形成された内部流路12の壁面12aと、軸線の垂直面に対して傾斜し、かつ壁面に対して接線方向に延設された流入孔11である。
この実施の形態では、実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、流入孔11は垂直面に対して傾斜しているので、流入孔11から流入した作動油は壁面12aに沿って一周したときに、新たに流入孔11から流入した作動油と衝突する量を低減することができ、内部流路12内での作動油の旋回流をより安定化させることができる。
なお、軸線に対する垂直面からの流入孔11の傾斜角度βが、tanβ=d/π×D(dは流入孔の内径、Dは内部流路12の内径)で得られた値よりも大であるときには、内部流路12の一周当たりのリードが流入孔11の内径寸法よりも大きいので、内部流路12内での作動油の旋回流をさらに安定化させることができる。
なお、この実施の形態3のハウジング10では、加工性の点から金属材料を用いることが好ましい。
なお、上記各実施の形態では、自動変速機において油圧制御に使用される3方弁タイプの比例電磁弁であるノーマリーロータイプの電磁弁について説明したが、通電時のプランジャの作動方向が逆であるノーマリーハイタイプの電磁弁であってもよい。
また、この発明は、所謂、流量切り換え弁であっても適用することができる。
さらに、各実施の形態では、流入孔11は、円形に形成された内部流路12の壁面12aに対して接線方向に延設されているが、勿論このものに限定されない。例えば、遮断弁の径方向における軸線と内部流路の壁面との間に、流入孔が指向するようにハウジングに流入孔を形成することで、流入孔から内部流路に流入した作動油を一方向に旋回させることができる。
この発明の実施の形態1の圧力制御用比例電磁弁を示す正断面図である。 図1のA−A線に沿った矢視断面図である。 この発明の実施の形態2の圧力制御用比例電磁弁を示す要部正断面図である。 図3のB−B線に沿った矢視断面図である。 一周当たりのリードと流入孔の内径との関係図である。 この発明の実施の形態3の圧力制御用比例電磁弁を示す要部正断面図である。 図6のC−C線に沿った矢視断面図である。
符号の説明
10 ハウジング、11 流入孔、12 内部流路、12a 壁面、13 排出孔、15 バルブシート、16 遮断弁(第1の弁)、17 調圧弁(第2の弁)、28 底面部。

Claims (5)

  1. 流体が流入する流入孔、この流入孔に連通した内部流路、及び前記流体を外部に排出する排出孔を有するハウジングと、
    このハウジングの内部に固定されたバルブシートと、
    このバルブシートの一面に当接して前記流入孔を通じて前記内部流路に流入する流体を遮断する第1の弁と、
    この第1の弁の軸線と同軸線上に設けられ前記バルブシートの他面との隙間寸法の調整により前記排出孔を通じて前記ハウジングの外部に流出する前記流体の量を制御する第2の弁とを備え、
    前記ハウジングには、円形に形成された前記内部流路の壁面と、この壁面に対して接線方向に延設された前記流入孔とを有した、前記内部流路に流入した前記流体を一方向に旋回させる旋回手段が設けられ、
    前記第1の弁は、前記バルブシートの内壁面に対向して形成され前記排出孔に連通する孔、この孔に連通し軸線方向に沿って形成され前記流入孔から孔を通じて流入した前記流体を軸線方向に設けられた出力孔を通じて外部に排出する通路を有する電磁弁。
  2. 前記旋回手段は、前記内部流路の螺旋状に形成された底面部を有している請求項1に記載の電磁弁。
  3. 前記軸線の垂直面に対する前記底面部の傾斜角度αは、tanα=d/π×D(dは流入孔の内径、Dは内部流路の内径)で得られた値よりも大である請求項2に記載の電磁弁。
  4. 前記旋回手段の前記流入孔は、前記軸線の垂直面に対して傾斜している請求項1に記載の電磁弁。
  5. 前記流入孔の前記垂直面に対する傾斜角度βは、tanβ=d/π×D(dは流入孔の内径、Dは内部流路の内径)で得られた値よりも大である請求項4に記載の電磁弁。
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