JP4260294B2 - 印刷配線基板用押え部材及びそれを用いたモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷配線基板用押え部材及びそれを用いたモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は典型的な従来技術のモールドモータ(以下、モータ)51の簡略化した断面図であり、図8はモータ51に内蔵されている印刷配線基板( 以下、プリント基板) の平面図であり、図9は図8の切断面線X9―X9から見た断面図であり、図10は従来技術で用いられている押え部品の側面図であり、図11は他のモールドモータ51aの簡略化した断面図である。
【0003】
以下、図7を参照して、従来技術のモータ51の構成について説明する。モータ51は、固定子コア(以下、コア)52にコイル53が巻回されており、電気絶縁性合成樹脂材料でモールドされてフレーム54が形成され、固定子55を構成している。
【0004】
そして、固定子55の軸線方向一方側には、フレーム54に一体に形成された軸受ハウジング56が設けられており、軸受ハウジング56には、軸受57が嵌合されると共に反対側においても軸受58を備え、回転子59に含まれる金属製の回転軸60を回転自在に支持している。さらに、フレーム54の軸受ハウジング56に対向する他方には、ブラケット61がネジなどによって取り付けられており、ネジは、フレーム54に埋設されたネジ座にねじ付けられる。
【0005】
また、フレーム54には、プリント基板64が埋設されており、コイル53の結線、ホール素子の取り付け及びブッシング66を介して引き出されるリード線67が取り付けられている。また、回転軸60は、円柱状の金属棒を切削加工により表面形状を仕上げた後、回転子コア69にコイルなどの導電材料を装着した構成体に圧入されるなどして取り付けられ、前記回転子59が構成される。このようなモールドモータ51が例としてエアコンの室外機や換気扇などに用いられるような防水が必要な種類である場合には、押え部品70が用いられる。押え部品70は、プリント基板64上に配置されると共に、前記フレーム54に後述するように形成された透孔71を介して外部に露出している。
【0006】
前記防水機能が求められるモータ51に押え部品70が必要である理由を図11を参照して説明する。図11は例として屋内の乾燥した場所で使用されるような防水機能が求められないモータ51aの簡略化した断面図である。
【0007】
モータ51aの構成は図7に示されるモータ51の構成と類似し、対応する部分には同一の参照符号を付す。モータ51aの特徴は、前記押え部品70が用いられておらず、フレーム54の透孔71を介してプリント基板64が外部に露出している点である。
【0008】
モールドモータ51、51aを製造する際に、モータを合成樹脂でモールド成形する工程において、成形用金型にプリント基板64を装着した固定子55を装填して合成樹脂を注入する。このとき、合成樹脂の流れによる圧力でプリント基板64の金型内での取付位置がずれたり、プリント基板64が反ったりして、プリント基板64に実装されている各種回路部品やこれらと印刷配線との半田付け部にガタが生じて接触不良になったり、破損するなどの不具合を生じる場合がある。
【0009】
このような不具合の発生を防止するために、前記金型に予め取付けたピンでプリント基板64の複数箇所を押さえ、プリント基板64が浮いたり移動しないようにしている。前記フレーム54の透孔71はこのピンの抜き跡である。
【0010】
前述したように、製造されるモータが屋内の乾燥個所用であれば、前記透孔71からプリント基板64が外部に露出していても特に問題は生じない。一方、モータが屋外や浴室など、水分や水滴に対する防水が求められる場合には、前記透孔71を介してモータ51内に水分が侵入すると、プリント基板64の印刷配線、実装された回路部品或いは前記半田付け部が酸化して腐食し、特性低下や導通不良などの不具合を発生してしまう。
【0011】
このため、防水が求められる種類のモータ51を製造する際に、前記モールド工程において、プリント基板64に前記合成樹脂製の押え部品70を装着し、この押え部品70を介して、金型のピンでプリント基板64を押えるようにしている。
【0012】
図8〜図10を参照して、従来から用いられている押え部品70について説明する。押え部品70は、一対の係合部72と各係合部72を相互に連結する連結部73とを含んで構成される。係合部72は、前記金型のピンの先端が挿入される凹部74が形成された円柱状の受部75と、受部75に一体的に形成された突部76とを備える。突部76は、外径L1を有する円柱形状であり、プリント基板64に孔径L2(L1<L2)で形成された透孔77に押え部品70のプリント基板64に対する位置決めとずれ防止のために挿入される。
【0013】
また前記受部75と一体に係合爪78が形成される。係合爪78は先端に爪部79を有し、係合爪78はプリント基板64に形成された透孔80を貫通し、プリント基板64の反対側で爪部79がプリント基板64に係合され、押え部品70の抜け防止作用を実現する。
【0014】
このような押え部品70をモールド成形時に用いることにより、フレーム54に押え部品70が一体的に埋設され、フレーム54の前記透孔71を封止することになる。また、押え部品70において、各係合部72の受部75は、内部に形成された凹部74によって、凹部74の底部に対して段差を有する壁を構成する。即ち、透孔79内に水分が侵入した場合でも、このような水分は受部75によってせき止められ、プリント基板64に水滴などが進入することを防止するようにしている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の屋外用のモールドモータの場合、図10に示される形状の押え部品70を用いているので、この押え部品70を装着するための前記透孔77、80をプリント基板64に形成する必要がある。プリント基板64には各種回路素子のワイヤ状接続端子を挿通して裏面で半田付けするための接続用小孔が多数形成されるが、これら接続用小孔と別個に比較的大きいサイズの前記透孔77、80を形成する必要があるため、プリント基板64の製造工程が複雑になり従ってモータ51の製造工程が複雑になるという問題点がある。
【0016】
また、図8に示した従来技術の場合でも、前記比較的大きいサイズの透孔77、80をプリント基板64に8箇所以上形成する必要があり、プリント基板64における印刷配線パターンを形成し得る有効面積が減少し配線設計の自由度が低下するという問題点がある。
【0017】
また、前記比較的大きいサイズの透孔77、80をプリント基板64に8箇所以上形成する必要があるので、プリント基板64に実装すべき各種回路素子の実装スペースを確保することが困難になり、この点でもプリント基板64の配線設計の自由度が低下するという不具合がある。また、プリント基板64において複数の印刷配線を短絡させるためのジャンパ線が用いられる場合、これらのジャンパ線と回路素子に加え前記押え部品70をプリント基板64上に実装する必要があるため、前記不具合は特に顕著になる。
【0018】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、印刷配線基板及びモータの製造工程が簡略化されると共に、印刷配線基板の配線設計の自由度が向上される印刷配線基板用押え部材及びそれを用いたモータを提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の印刷配線基板用押え部材は、印刷配線基板を内蔵したモールドモータのモールド成形時に成形金型のピンで印刷配線基板を押える際に、ピンと印刷配線基板との間に用いられる印刷配線基板用押え部材であって、樹脂成形物と、印刷配線基板の接続用小孔に挿入される導電性リード線とを一体に設けている。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、印刷配線基板用押え部材前記導電性リード線の少なくとも一部に曲線状部を設けた場合である。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項1及び2のいずれかに記載の発明において、前記導電性リード線は、前記印刷配線基板におけるジャンパー線として用いられる場合である。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記導電性リード線は、前記樹脂成形物の前記印刷配線基板に臨む部分に一体的に配置されている場合である。
【0023】
請求項5記載の発明は、内蔵される印刷配線基板上に前記請求項1〜4のいずれかに記載の発明の印刷配線基板用押え部材を配置しているモータである。
【0024】
【作 用】
請求項1記載の発明では、印刷配線基板を内蔵したモールドモータのモールド成形時に成形金型のピンで印刷配線基板を押える際に、樹脂成形物と、印刷配線基板の接続用小孔に挿入される導電性リード線とを一体に設けている印刷配線基板用押え部材を、ピンと印刷配線基板との間に配置するようにしている。
【0025】
これにより、前記押え部材を印刷配線基板に取付ける場合、押え部材の導電性リード線を印刷配線基板の接続用小孔に挿入して取付ける。従って、前記取付けの際に、印刷配線基板に接続用小孔よりも大きな穴サイズの特段の取付穴を別個に形成する必要が解消され、印刷配線基板の製造工程が簡略化される。また、前記特段の取付穴を印刷配線基板に形成する必要が解消されるので、このような取付穴の存在により印刷配線基板における印刷配線パターンを形成し得る有効面積が減少する事態が防止され、配線設計の自由度が格段に向上される。
【0026】
また、前記特段の取付穴を印刷配線基板に形成する必要が解消されるので、印刷配線基板に実装すべき各種回路素子の実装スペースを増大することができ、この点でも印刷配線基板の配線設計の自由度を格段に向上することができる。
【0027】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、印刷配線基板用押え部材前記導電性リード線の少なくとも一部に曲線状部を設けているので、前記押え部材が製造上、印刷配線基板に密着されていない場合に、モータを合成樹脂でモールド成形する工程において、成形金型に取付けたピンでプリント基板に取付けた前記押え部材を押え、導電性リード線に応力が加わる場合でも、この応力は前記曲線状部の屈曲として吸収され、導電性リード線と印刷配線基板との接続部分に過大な応力が加わる事態が防止される。
【0028】
これにより、本発明では、前記請求項1記載の発明に関する作用効果に加えて、押え部材と印刷配線基板との接続の信頼性を格段に向上することができる。
【0029】
請求項3記載の発明は、請求項1及び2のいずれかに記載の発明において、前記導電性リード線は、前記印刷配線基板におけるジャンパー線として用いられるので、印刷配線基板にジャンパ線が必要な場合でも、実装される回路素子、ジャンパ線に加え、押え部材を別個の回路部品として取付ける必要が解消される。
【0030】
これにより、本発明では、前記請求項1または請求項2の発明の作用効果に加え、印刷配線基板に取付ける部品数を削減することができると共に、部品取付に要する占有面積を削減することができるので、前述した製造工程の簡略化と配線設計自由度の向上とをさらに向上することができる。
【0031】
請求項4記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記導電性リード線は、前記樹脂成形物の前記印刷配線基板に臨む部分に一体的に配置されている場合である。
【0032】
このような場合でも、前記押え部材を印刷配線基板に取付ける場合、押え部材の導電性リード線を印刷配線基板の接続用小孔に挿入して取付ければよい。従って、本発明の場合でも、前記請求項1の発明に関する作用効果と同様な作用効果を実現することができる。
【0033】
請求項5記載の発明は、内蔵される印刷配線基板上に前記請求項1〜4のいずれかに記載の発明の印刷配線基板用押え部材を配置しているモータである。
【0034】
本発明では、内蔵される印刷配線基板に関して、前記請求項1〜4に関する前記各作用効果が実現されるので、このような押え部材を備える印刷配線基板を内蔵するモータにおいて、配線基板の製造工程が簡略化されることからモータの製造工程の簡略化を図ることができ、また、印刷配線基板とそれに取付けられる押え部材の導電性リード線との接続の信頼性が向上されるので、モータにおいても動作に関する信頼性が格段に向上される。
【0035】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0036】
図1は本発明の一実施例のモータ1の印刷配線基板であるプリント基板14の平面図であり、図2は本実施例のモータ1の断面図であり、図3は本実施例の押え部材のプリント基板14への取付け状態の断面図であり、図4は押え部材の斜視図である。
【0037】
以下、図2を参照して、本実施例のモータ1の構成の概略について説明する。モータ1は、固定子コア(以下、コア)2にコイル3が巻回されており、電気絶縁性合成樹脂材料でモールドされてフレーム4が形成され、固定子5を構成している。
【0038】
固定子5の軸線方向一方側には、フレーム4と一体に形成された軸受ハウジング6が配置されており、軸受ハウジング6には、軸受7が嵌合されると共に軸線方向の反対側においても軸受8を備え、回転子9に含まれる金属製の回転軸10を回転自在に支持している。さらに、フレーム4の軸受ハウジング6に対向する他方には、ブラケット11がネジ12によって取り付けられており、ネジ12は、フレーム4に埋設されたネジ座13にねじ付けられている。
【0039】
また、フレーム4には、プリント基板14が埋設されており、コイル3の結線、ホール素子15の取り付け及びブッシング16を介して引き出されるリード線17が取り付けられている。フレーム4には、凹部18が形成されており、この凹部18にブラケット11が嵌合され、ネジ12によって固定されている。回転軸10は、回転子コア19にコイル20を装着した構成体に圧入されるなどして取り付けられ、回転子9が構成される。
【0040】
このようなモールドモータ1が例としてエアコンの室外機や換気扇などに用いられるような防水が必要な種類である場合には、後述する構成の押え部品21が用いられる。押え部品21は、プリント基板14上に配置されると共に、前記フレーム4に形成された透孔22を介して外部に露出している。このような押え部品21が必要な理由、及びフレーム4に透孔22が形成される理由については従来技術の項で説明した通りである。
【0041】
以下、図1、図3及び図5を併せて参照して、プリント基板14及び押え部材21の構成について説明する。また、本実施例では、プリント基板14がジャンパ線を必要とする場合について説明するが、本発明は後述するように、ジャンパ線を必要とする場合に限定されるものではない。
【0042】
本実施例のプリント基板14に用いられる押え部材21は、図3及び図4に示されるように、電気絶縁性合成樹脂材料から略直方体状に形成された樹脂成形体23と、樹脂成形体23を貫通して配置され、貫通部分で樹脂成形体23に固定された細径のワイヤ状の導電性リード線24とを備えている。導電性リード線24の樹脂成形体23から突出した部分は屈曲部25aで屈曲され、接続端子25として用いられる。
【0043】
プリント基板14の表面にはプリント配線26が形成され、プリント配線26の端部である接続ランド27に相当するプリント基板14には、接続用小孔28が形成され、前記導電性リード線24の接続端子25が挿入され、押え部材21と反対側に突出させて突出部が前記接続ランド27に半田31で固定される。本実施例では、前記一対の接続ランド27が相互に短絡される場合を想定し、押え部材21の接続端子25は、このような接続ランド27を相互に短絡するジャンパ線とされる。
【0044】
また、プリント基板14の上記接続用小孔28は、押え部材21用にのみ形成されるものではなく。プリント基板14に実装される各種回路素子の上記接続端子25のような接続端子を挿入して、半田31などで固定するために通常形成されるものである。即ち、本実施例の押え部材21が使用する接続用小孔28は、プリント基板14に通常形成される回路素子の接続用の小孔である。
【0045】
従来技術と同様に本実施例においても、モータ1が防水が求められる種類である場合、このような種類のモータ1を製造する際に、モールド工程において、プリント基板14に押え部材21を装着し、この押え部材21を介して、モールド用金型のピンでプリント基板14を押えるようにしてする。このため、樹脂成形体23には、金型のピンの先端が挿入される凹部29が形成される。
【0046】
本実施例では、このよう押え部材21を、例として、各種回路素子をプリント基板14に実装する工程と同一の工程でプリント基板14に実装する。これは、押え部材21の導電性リード線24の一部である前記接続端子25を、裏面にジャンパ線用の接続ランド27が形成されているプリント基板14の接続用小孔28に挿入して、プリント基板14の反対側で上記接続ランド27に半田付けする。これにより、押え部材21がプリント基板14に固定される。
【0047】
この後の工程では、前述したような成形用金型に、押え部材21が固定されたプリント基板14を装着した固定子5を装填して合成樹脂を注入する。このとき、金型のピン(図示せず)が押え部材21の凹部29に嵌合して、プリント基板14を保持している。これにより。合成樹脂の注入工程において、合成樹脂の流れによる圧力でプリント基板14の金型内での取付位置がずれたり、プリント基板14が反ったりして、プリント基板14に実装されている各種回路部品やこれらと印刷配線との半田付け部にガタが生じて接触不良になったり、破損するなどの不具合を生じないようにしている。
【0048】
また、この注入工程の終了後、モールド成形された固定子5を金型から取り外す際に、前記ピンを抜くと、モータ1のフレーム4にピンの抜き跡である前記透孔22が形成される。この透孔22の底部は押え部材21で封止されているので、この透孔22内に外部から水滴などが侵入しても、このような水滴などが固定子5やプリント基板14などに到達して、従来技術で説明したような不具合が発生する事態が防止される。
【0049】
このようにして本実施例では、上記押え部材21をプリント基板14に取付ける場合、押え部材21の導電性リード線24をプリント基板14の接続用小孔28に挿入して取付ける。従って、上記取付けの際に、プリント基板14に接続用小孔28よりも大きな穴サイズの特段の取付穴を別個に形成する必要が解消され、プリント基板14の製造工程が簡略化される。
【0050】
また、前記特段の取付穴をプリント基板14に形成する必要が解消されるので、このような取付穴の存在により、プリント基板14におけるプリント配線26を形成し得る有効面積が減少する事態が防止され、配線設計の自由度が格段に向上される。
【0051】
また、前記特段の取付穴をプリント基板14に形成する必要が解消されるので、プリント基板14に実装すべき各種回路素子の実装スペースを増大することができ、この点でもプリント基板14の配線設計の自由度を格段に向上することができる。
【0052】
また、本実施例では、上記導電性リード線25は、上記プリント基板14におけるジャンパー線として用いられるので、プリント基板14にジャンパ線が必要な場合でも、実装される回路素子やジャンパ線に加え、押え部材21を別個の回路部品として取付ける必要が解消される。
【0053】
これにより、本実施例では、プリント基板14に取付ける部品数を削減することができると共に、部品取付に要する占有面積を削減することができるので、前述した製造工程の簡略化と配線設計自由度の向上とをさらに向上することができる。
【0054】
また、本実施例では、このような押え部材21が装着されて構成されるプリント基板14を用いたモータ1が実現されるので、このような押え部材21を備えるプリント基板14を内蔵するモータ1において、プリント基板14の製造工程が簡略化されることから、モータ1の製造工程の簡略化を図ることができ、また、プリント基板14とそれに取付けられる押え部材21の導電性リード線24との接続の信頼性が向上されるので、モータ1においても動作に関する信頼性が格段に向上される。
【0055】
(第2の実施例)
図5は、本発明の第2の実施例の押え部材21aの取付け状態の断面図である。
【0056】
本実施例は、第1の実施例と類似し対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0057】
本実施例の特徴は、押え部材21aの樹脂成形体23に第1実施例と同様な態様で固定された導電性リード線24の樹脂成形体23から突出した接続端子25の少なくとも一部、好適には、前記第1実施例における導電性リード線24における屈曲部25aに、円弧状に湾曲した曲線状部25bを設けていることである。
【0058】
本実施例では、このような構成の押え部材21aを用いるので、前述した第1実施例の作用効果に加え、上記押え部材21aが製造上、プリント基板14に密着されて構成されていない場合に、モータを合成樹脂でモールド成形する工程において、成形金型に取付けたピンでプリント基板14に取付けた前記押え部材21aを押え、導電性リード線24に応力が加わる場合でも、この応力は上記曲線状部25bの屈曲として吸収され、導電性リード線24とプリント基板14との接続部分に過大な応力が加わる事態が防止されるという作用効果を実現する。これにより、本実施例では、押え部材21aとプリント基板14との接続の信頼性を格段に向上することができる。
【0059】
(第3の実施例)
図6は、本発明の第3の実施例の押え部材21bのプリント基板14への取付け状態の断面図である。
【0060】
本実施例は、第1の実施例と類似し対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0061】
本実施例の特徴は、導電性リード線24を、その一端が樹脂成形体23のプリント基板14に臨む部分である底部30に埋設し、他端を樹脂成形体23の底部30から突出させていることである。
【0062】
樹脂成形体23の底部30から突出した導電性リード線24の前記他端は、プリント基板14の上記接続用小孔28に挿入され、反対側で半田付けされ、押え部材21bがプリント基板14に固定される。
【0063】
このように、本実施例の導電性リード線24は、樹脂成形体23の内部で相互に連結されている複数本が突出した態様ではなく、プリント基板14においてジャンパ線としては用いていない例である。
【0064】
このように、ジャンパ線として用いられていない押え部材21bでも、ジャンパ線としての機能による前述した各実施例における押え部材21、21aによる作用効果以外の作用効果を実現できるのはあきらかである。
【0065】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない範囲で広範な変形例を含むものである。
【0066】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、押え部材を印刷配線基板に取付ける場合、押え部材の導電性リード線を印刷配線基板の接続用小孔に挿入して取付ける。従って、上記取付けの際に、印刷配線基板に接続用小孔よりも大きな穴サイズの特段の取付穴を別個に形成する必要が解消され、印刷配線基板の製造工程が簡略化される。また、前記特段の取付穴を印刷配線基板に形成する必要が解消されるので、このような取付穴の存在により印刷配線基板における印刷配線パターンを形成し得る有効面積が減少する事態が防止され、配線設計の自由度が格段に向上される。
【0067】
また、前記特段の取付穴を印刷配線基板に形成する必要が解消されるので、印刷配線基板に実装すべき各種回路素子の実装スペースを増大することができ、この点でも印刷配線基板の配線設計の自由度を格段に向上することができる。
【0068】
請求項2記載の発明は、押え部材と印刷配線基板との接続の信頼性を格段に向上することができる。
【0069】
請求項3記載の発明は、印刷配線基板に取付ける部品数を削減することができると共に、部品取付に要する占有面積を削減することができるので、前述した製造工程の簡略化と配線設計自由度の向上とをさらに向上することができる。
【0070】
請求項4記載の発明は、押え部材を印刷配線基板に取付ける場合、押え部材の導電性リード線を印刷配線基板の接続用小孔に挿入して取付ければよい。従って、上記請求項1の発明に関する作用効果と同様な作用効果を実現することができる。
【0071】
請求項5記載の発明は、内蔵される印刷配線基板に関して、上記請求項1〜4に関する上記各作用効果が実現されるので、このような押え部材を備える印刷配線基板を内蔵するモータにおいて、配線基板の製造工程が簡略化されることからモータの製造工程の簡略化を図ることができ、また、印刷配線基板とそれに取付けられる押え部材の導電性リード線との接続の信頼性が向上されるので、モータにおいても動作に関する信頼性が格段に向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のモータ1のプリント基板14の平面図である。
【図2】本実施例のモータ1の断面図である。
【図3】本実施例の押え部材21のプリント基板14への取付け状態の断面図である。
【図4】押え部材21の斜視図である。
【図5】本発明の第2実施例の押え部材21のプリント基板14への取付け状態の断面図である。
【図6】本発明の第3実施例の押え部材21のプリント基板14への取付け状態の断面図である。
【図7】典型的な従来技術のモールドモータ51の簡略化した断面図である。
【図8】モータ51に内蔵されているプリント基板の平面図である。
【図9】図8の切断面線X9―X9から見た断面図である。
【図10】従来技術で用いられている押え部品の側面図である。
【図11】他のモールドモータ51aの簡略化した断面図である。
【符号の説明】
1 モータ
4 フレーム
5 固定子
9 回転子
14 プリント基板
21、21a、21b 押え部品
22 透孔
23 樹脂成形体
24 導電性リード線
25 接続端子
25a 屈曲部
25b 曲線状部
26 プリント配線
27 接続ランド
28 接続用小孔
29 凹部
30 底部
Claims (5)
- 印刷配線基板を内蔵したモールドモータのモールド成形時に成形金型のピンで該印刷配線基板を押える際に、該ピンと該印刷配線基板との間に用いられる印刷配線基板用押え部材であって、
樹脂成形物と、該印刷配線基板の接続用小孔に挿入される導電性リード線とを一体に設けている
ことを特徴とする印刷配線基板用押え部材。 - 前記導電性リード線の少なくとも一部に曲線状部を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷配線基板用押え部材。 - 前記導電性リード線は、前記印刷配線基板におけるジャンパー線として用いられる
ことを特徴とする請求項1,2に記載の印刷配線基板用押え部材。 - 前記導電性リード線は、前記樹脂成形物の前記印刷配線基板に臨む部分に一体的に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷配線基板用押え部材。 - 内蔵される印刷配線基板上に請求項1〜4のいずれかに記載の印刷配線基板用押え部材を配置している
ことを特徴とするモータ。
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