JP4260260B2 - 高密度冷熱蓄熱輸送用組成物 - Google Patents
高密度冷熱蓄熱輸送用組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4260260B2 JP4260260B2 JP37547898A JP37547898A JP4260260B2 JP 4260260 B2 JP4260260 B2 JP 4260260B2 JP 37547898 A JP37547898 A JP 37547898A JP 37547898 A JP37547898 A JP 37547898A JP 4260260 B2 JP4260260 B2 JP 4260260B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ice
- aqueous solution
- alkyl
- alkenyl
- aqueous
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Emulsifying, Dispersing, Foam-Producing Or Wetting Agents (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
夜間電力の有効利用を目的として、ビルの冷暖房や地域冷暖房において冷熱蓄熱材として冷水や氷を用いる冷熱蓄熱システムの開発が求められている。冷水を用いる場合には、冷水の持つ顕熱差を利用するために冷熱蓄熱密度が小さく蓄熱槽の容積が大きくなる等の問題が指摘されている。氷を用いる場合には、氷の持つ大きな融解潜熱を利用する為に蓄熱密度が大きくなる等の特徴があるが、蓄熱中に氷粒子が凝集し、塊状化する等の問題点も指摘されている。さらに生成した氷粒子のスラリーにより冷熱輸送を行う場合には、輸送中にパイプラインの淀み等において塊状化し、輸送を困難にしている。この氷粒子の凝集・塊状化は、氷粒子同士の接触による界面の融解・再固着によるものと考えられ、その特性から通常では防止出来ないものである。水溶液にアルコール等を添加し、凝集を防止する事が試みられているが、現状では、安定した運転を長期間可能とするには課題も多いと考えられる。本発明の特徴とするところは、水又は各種ブラインに当該特許記載の界面活性剤を添加する事により、長時間低温下で保持しておいてもIPFが一定でかつ安定したスラリーとして存在する氷スラリーの調製が可能であることを見出し、氷粒子の凝集及び合一の無い氷スラリーを調製する事により、氷スラリーの調製時、貯蔵時及び輸送時の問題、例えば氷粒子どうしが互いに結合し塊状化する事による冷熱蓄熱槽内における流動・伝熱の不良、さらに生成した氷粒子のスラリーによる冷熱輸送を行う場合には、輸送中にパイプラインの淀み等において塊状化し輸送を困難にする、又伝熱管表面への氷の析出・付着による流動・伝熱の不良等のトラブルを防止する事を特徴とする高密度冷熱蓄熱輸送用組成物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
低温の熱(以下、冷熱という)を他の場所に輸送するには、冷熱を一旦水等の液体に与えて液体を低温とし、この低温となった液体を配管を介して流動輸送する方法が採られている。ところが、水などの流体を低温として輸送する冷熱輸送システムでは、低温流体によって輸送される冷熱量がその顕熱差しかないので、輸送される冷熱量は余り大きくはなく、また冷熱蓄熱密度も小さく、冷熱蓄熱槽の容積が大きくなる等の問題点が指摘されている。輸送される冷熱量を増大させるには、該冷熱量を流体が凝固する際に吸収する凝固熱の形に一旦変換し、凝固した液体を輸送すると良い。一般には、冷熱によって水を凍らせて一旦氷を作り、当該氷を輸送する方法が試みられているのが現状である。氷を用いる場合には、氷の持つ大きな融解潜熱(凝固熱)を利用するために冷熱蓄熱密度や冷熱輸送密度が大きくなるなどの特徴を有している。しかしながら、氷スラリーを用いて冷熱蓄熱・冷熱輸送する場合には、氷貯槽内において凝集・塊状化した氷を搬送する事を考慮する必要があるとともに、氷は水に比べはるかに小さい比重を持つことに起因する、輸送配管中の曲がり部、弁部や各種淀み部などにおけるブロックによる管路の閉塞化について十分に注意をする必要があるなど氷の持つ大きな冷熱蓄熱密度、冷熱輸送密度の利用には困難な面が多々ある。氷のように輸送・貯蔵中に塊状化する性質を持つ物質を配管を用いて効率良く輸送する事の出来る簡単な方法は現在の所まだ見出されていない。そこで従来は、小さな氷粒子からなる氷スラリーを作り、当該氷スラリーを配管を介して輸送する事が試みられてきた。しかしながら、この場合にも、前記したように氷貯槽内において氷粒子の凝集・塊状化、あるいは配管中の塊状化当が指摘され、氷スラリーによる安定で効率の良い冷熱蓄熱・輸送はまだ出来ていない。さらに水にアルコール等を添加し、氷粒子の凝集・塊状化防止が試みられているが、長期間にわたり安定した運転を可能とするには、まだ課題が多いのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来公知の氷スラリーを用いた冷熱蓄熱や冷熱輸送方法には、以下のような問題点がある。例えば、水を急激に過冷却する装置が必要であるため、装置全体が大型化する上、高コストとなってしまう。又、氷スラリーを形成している氷粒子どうしが互いに結合しないように、氷スラリーの温度を一定の範囲に制御する必要があるため、氷スラリーの取り扱いが困難である。さらに生成した氷粒子のスラリーにより冷熱輸送を行う場合には、輸送中にパイプラインの淀み等において塊状化し、輸送を困難にしている。この氷粒子の凝集・塊状化は、氷粒子同士の接触による界面の融解・再固着によるものと考えられ、その特性から通常では防止出来ないものである。そこで、水溶液にアルコール等を添加し、凝集を防止する事が試みられているが、現状では、安定した運転を長期間可能とするには課題も多いと考えられる。又、氷を機械的に掻き砕いて氷スラリーを製造するには、その掻き砕くための装置全体が大型化し、かつ大きな動力が必要な事から高コスト化してしまうなどの問題点がある。
【0004】
【問題を解決するための手段】
本発明者等は上記従来技術の欠点を克服すべく鋭意研究を行った結果、水又は塩化ナトリウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液等の無機塩水溶液、エチレングリコール水溶液、プロピレングリコール水溶液等のグリコール水溶液、エチルアルコール水溶液、メチルアルコール水溶液等の低級アルコール水溶液などの各種ブライン成分の1種類あるいは数種類の混合水溶液又は有機化合物水溶液又は前記ブライン水溶液と有機化合物水溶液の混合水溶液に界面活性剤の1種類又は2種類以上の混合物を0.0005〜50wt%添加する事により長時間低温下で保持しておいてもIPFが一定でかつ安定したスラリーとして存在する事が出来る氷スラリーを調製出来る事が可能であることを見出した。氷の凝集及び合一の無い氷スラリーを調製する事により配管及びポンプによって所定の場所に安全に輸送出来る氷スラリーを生成することを見出し、本発明を完成したものである。
【0005】
【化1】
【0006】
該界面活性剤が一般式Aで示されるカルボン酸塩型アニオン界面活性剤の例えば脂肪酸塩、ロジンを含む樹脂酸塩、エーテルカルボン酸塩、アルケニルコハク酸塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、ナフテン酸塩、アミノ酸塩等の各種カルボン酸塩のいずれかを示し、脂肪酸、アルキル及びアルケニルの炭素数は1〜36であり、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを
示し、MはNa、K、Caなどの金属、NH4、アミン、アルカノールアミン等の無機又は有機のアルカリ塩を示す。
【0007】
【化2】
【0008】
又は、該界面活性剤が一般式Bで示される硫酸エステル型アニオン界面活性剤の例えば硫酸第一アルキル又はアルケニル塩、硫酸第二アルキル又はアルケニル塩、硫酸アルキル又はアルケニルポリオキシアルキレン塩、硫酸アルキル又はアルケニルフェニルポリオキシアルキレン塩、硫酸モノアシルグリセリン塩、アシルアミノ硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸アルキル又はアルケニルエステル、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、タウリン誘導体、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド硫酸塩等の硫酸エステル型のいずれかであり、アルキル及びアルケニルの炭素数は1〜36、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを示し、MはNa、K、Caなどの金属、NH4、アミン、アルカノールアミン等の無機又は有機のアルカリ塩を示す。
【0009】
【化3】
【0010】
又は、該界面活性剤が一般式Cで示されるスルホン酸型アニオン界面活性剤の例えばα−オレフィンスルホン酸塩、第二アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、アシルイセチオン酸塩、N-アシル-N-メチルタウリン酸塩、ジアルキル又はアルケニルスルホコハク酸塩、アルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルナフタレンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、石油スルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩等のスルホン酸型のいずれかであり、アルキル及びアルケニルの炭素数は1〜36、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを示し、MはNa、K、Caなどの金属、NH4、アミン、アルカノールアミン等の無機又は有機のアルカリ塩を示す。
【0011】
【化4】
あるいは
【0012】
【化5】
【0013】
又は、該界面活性剤が一般式DあるいはEで示されるリン酸エステル型アニオン界面活性剤の例えばリン酸アルキル又はアルケニル塩、リン酸アルキル又はアルケニルポリオキシアルキレン塩、リン酸アルキル又はアルケニルフェニルポリオキシアルキレン塩等のリン酸エステル型のいずれかであり、アルキル及びアルケニルの炭素数は1〜36、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを示し、MはNa、K、Caなどの金属、NH4、アミン、アルカノールアミン等の無機又は有機のアルカリ塩を示す。
【0014】
又は、該界面活性剤がアルキル又はアルケニルアミン塩カチオン界面活性剤、アシルアミン塩カチオン界面活性剤の例えば第一級アミン塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、N-アルキル又はアルケニルポリアルキレンポリアミン塩、脂肪酸ポリアルキレンポリアミド、アミドアミン塩等のアルキルアミン塩、アシルアミン塩等のいずれかであり、アルキル及びアルケニルの炭素数は1〜36、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを示し、酸は塩酸、臭化水素酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸等の無機酸又は有機酸の塩を示す。
【0015】
又は、該界面活性剤が第四級アンモニウム塩カチオン界面活性剤、アミド結合を含むアンモニウム塩カチオン界面活性剤の例えば、アルキル又はアルケニルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキル又はアルケニルジメチルアンモニウム塩、アルキル又はアルケニルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキル又はアルケニルピリジウム塩、アルキル又はアルケニルアミノエチルメチルジエチルアンモニウム塩、アシルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩、アシルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、アシルアミノエチルピリジニウム塩、ジアシルアミノエチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩、アミド結合を含むアンモニウム塩等のいずれかであり、アルキル及びアルケニルの炭素数は1〜36、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを示し、酸は塩酸、臭化水素酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸等の無機酸又は有機酸の塩を示す。
【0016】
又は、該界面活性剤がエステル結合、エーテル結合を有するアンモニウム塩アミド結合を含むアンモニウム塩カチオン界面活性剤の例えば、ジアシロキシエチルメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、アルキル又はアルケニルオキシメチルピリジウム塩等のエステル結合、エーテル結合を有するアンモニウム塩等のいずれかであり、アルキル及びアルケニルの炭素数は1〜36、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを示し、酸は塩酸、臭化水素酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸等の無機酸又は有機酸の塩を示す。
【0017】
又は、該界面活性剤がイミダゾリン、イミダゾリウム塩カチオン界面活性剤の例えば、アルキル又はアルケニルイミダゾリン、1-ヒドロキシエチル2-アルキル又はアルケニルイミダゾリン、1-アシルアミノエチル-2アルキル又はアルケニルイミダゾリウム塩等のイミダゾリン、イミダゾリウム塩等のいずれかであり、アルキル及びアルケニルの炭素数は1〜36、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを示し、酸は塩酸、臭化水素酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸等の無機酸又は有機酸の塩を示す。
【0018】
又は、該界面活性剤がアルキル又はアルケニルポリオキシアルキレンアミン、N-アルキル又はアルケニルアミノプロピルアミン、N-アルキル又はアルケニルポリアルキレンポリアミン、N-アシルポリアルキレンポリアミン、脂肪酸トリエタノールアミンエステル、カチオン化セルロース等のいずれかであり、アルキル及びアルケニルの炭素数は1〜36、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを示す。
【0019】
以上の中で望ましい界面活性剤は、一般式Fで示されるトリ(ポリオキシアルキレン)アルキルまたはアルケニルアンモニウム塩型カチオン界面活性剤である。
【0020】
【化6】
【0021】
但し、一般式KのR1は炭素数1〜36のアルキル基又はアルケニル基であり、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを、R14、R15、R16はオキシアルキレン基のアルキレンを、m、n、qは1〜100の正数を、Xは塩素、臭素等のハロゲンをそれぞれ示す。
【0022】
又は、該界面活性剤が両性界面活性剤のアルキル又はアルケニルベタイン型、アルキル又はアルケニルアミドベタイン型、イミダゾリン型、グリシン型、アミンオキサイド型の例えばN-アルキル又はアルケニルニトリロトリ酢酸、N-アルキル又はアルケニルジメチルベタイン、α-トリメチルアンモニア脂肪酸、N-アルキル又はアルケニルβ-アミノプロピオン酸塩、N-アルキル又はアルケニルβ-イミノプロピオン酸塩、N-アルキル又はアルケニルオキシメチル-N,N-ジエチルベタイン、N-アルキル又はアルケニル-N,N-ジアミノエチルグリシン塩酸塩、2-アルキル又はアルケニルイミダゾリンの誘導体、N-アルキル又はアルケニルスルホベタイン、 N-アルキル又はアルケニルヒドロキシスルホベタイン、N-アルキル又はアルケニルタウリン塩、レシチン等のいずれかであり、アルキル及びアルケニルの炭素数は1〜36、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを示す。
【0023】
又は、該界面活性剤が非イオン界面活性剤例えばアルキル又はアルケニルポリオキシアルキレンエーテル、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルフェニルエーテル型、脂肪酸ポリオキシアルキレンエステル、アルキロールアマイド型、脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタンエステル、脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビトールエステル、ポリオキシアルキレンひまし油、アルキル又はアルケニルポリオキシアルキレンアミン、アルキル又はアルケニルポリオキシアルキレンアミド、又は脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、脂肪酸ショ糖エステル等の多価アルコール型及びアルキロールアミド型、ポリエーテル変性シリコーン型界面活性剤、ポリオキシアルキレングリコール型、アルキレングリコール脂肪酸エステル型、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル型、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル型、グリセリン脂肪酸エステル型又はモノグリセリド有機酸エステル、ポリグリセリンエステル等の誘導体、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル型、ショ糖脂肪酸エステル型又はその誘導体、ポリオキシアルキレンショ糖脂肪酸エステル型、アミノ酸型、ステロイド型のいずれかであり、アルキル及びアルケニルの炭素数は1〜36、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを示す。
【0024】
以上の中で望ましい界面活性剤は、一般式Gで示されるソルビタン脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤、一般式Jで示されるポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤、又は一般式Kで示されるポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤である。
【0025】
【化7】
【0026】
〜36のアルキル基又はアルケニル基であり、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを示す。
【0027】
【化8】
【0028】
R6はエチレン、プロピレン、ブチレンを、zは1〜100の正数を、R1は炭素数1〜36のアルキル基又はアルケニル基であり、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを示す。
【0029】
【化9】
【0030】
但し、一般式KのR61〜R66はオキシアルキレン基のアルキレンを、f、g、i 、
炭素数1〜36のアルキル基又はアルケニル基であり、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基のいずれかを示す。
【0031】
以上に記載したポリオキシアルキレンのアルキレンはエチレン、プロピレン、ブチレンを意味し、ポリオキシアルキレンはアルキレンの1種類が1モル以上付加反応して生成したブロック、又はアルキレンの2種類以上が2モル以上付加反応して生成したブロック、又はミックス、又はブロック/ミックスの混合を意味する。
【0032】
本発明の高密度冷熱蓄熱輸送用組成物は、水又は無機塩水溶液、グリコール水溶液、低級アルコール水溶液などの各種ブライン成分の1種類あるいは数種類の混合水溶液又はソルビトールや多糖類等の有機化合物水溶液又は前記ブライン水溶液と有機化合物水溶液の混合水溶液に請求項2〜16記載の界面活性剤の1種類又は2種類以上の混合物を0.0005〜50wt%含有する水溶液に防錆剤、スケール防止剤、スライム処理薬剤、分散剤、防腐剤、消泡剤等の添加剤を必要に応じて所定量添加することにより完成したものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、当該特許記載の界面活性剤を添加した水または各種ブラインを低温として凍らせた場合に、どのような現象が生ずるかを実験した結果、当該界面活性剤の添加により、長時間低温下で保持して置いてもIPFが一定でかつ安定したスラリーとして存在する事が出来る氷スラリーを調製出来る事が可能であることを見出した。この事は、当該界面活性剤が、生成した氷結晶の成長をコントロールし、氷スラリーとして適切な形状の氷結晶を成長させるとともに、氷結晶間に界面活性剤を存在させることにより氷の凝集・合一を防止したと考えられる。
以下、図によって本発明の冷熱蓄熱・冷熱輸送システムについて説明する。
【0034】
【実施例】
本発明の実施例になる冷熱蓄熱・冷熱輸送システムの概略系統図を図−1に示す。試験装置本体は、内部に流動攪拌機構を装備し、また界面活性剤を加えた水溶液を冷却するための熱交換器が設けられている。外部の冷凍システムから送られてきたブラインにより冷却された水溶液の温度変化は、内部に設けられた温度計により連続測定され、その温度変化を容易に知るために記録計に連続記録される。氷スラリーの調製は、外部の冷凍システムにより充分に冷却されたブラインを試験装置内の熱交換器に流し、水溶液を冷却することにより行った。氷スラリーの生成開始の判断は、試験装置内の温度を連続記録し、その変化から判断した。IPFは、水溶液に添加した食塩などの添加物の濃度を 氷の生成前後で測定し、これらの添加物の物質収支から求めた。所定の氷充填率まで、氷を生成した後、試験装置内部の様子を内視鏡ならびにビデオにより氷スラリーの様子を観察しながら8時間放置した。その後試験装置内部の氷スラリーを 内視鏡により観察するとともに、ビデオを再生し氷スラリーの凝集状況を観察したところ、氷スラリー粒子の凝集は見られず極めて滑らかな氷スラリーとして存在している事が観察された。
【0035】
また、この氷スラリー溶液を、図−1に示したように外部の冷熱利用熱交換機にポンプで送り、氷スラリーの輸送状況を確認したところ、文献などで指摘されている氷スラリーの分流や配管の淀み部で生じる凝集・塊状化等は見られず、安定して輸送出来ることが確認された。ここでは、氷スラリーの調製は、0.17℃/minで水溶液を冷却して行ったが、当然の事ながら、冷却速度は、これより大きくすることも小さくすることも可能であり、この速度の大小により氷スラリー粒子の凝集防止効果について変わることは無い。
【0036】
添加した界面活性剤は、商品名ソルボンT−81(東邦化学工業株式会社製、一般名ジオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、参考例としてソフタミンC−3(東邦化学工業株式会社製、一般名ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド)、カチナールCTC−25A(東邦化学工業株式会社製、一般名セチルトリメチルアンモニウムクロライド)、アルスコ−プM−3S(東邦化学工業株式会社製、一般名ポリオキシエチレンアルキルエ−テル硫酸ナトリウム)、カチナールSPC−20AC(東邦化学工業株式会社製、一般名N,N,N−トリポリオキシエチレンステアリルアンモニウムクロライド)であり、その添加量は100ppm〜10,000ppmである。
【0037】
試験結果の概要を表−1、2、3、4、5に示した。この結果から、界面活性剤の添加が無い時には、氷スラリーは容易に凝集していくが、界面活性剤を添加することにより氷スラリーの凝集が無いことが明らかにされた。以上の実施例から、界面活性剤を添加することにより、冷熱蓄熱槽内で生成させた氷スラリーは長期間、安定し滑らかな氷スラリーとして存在する事が明らかとなった。また滑らかな氷スラリーとして存在する事から試験装置内に設けられた熱交換器を介しての熱交換が容易であり、安定した運転が可能となった。滑らかな氷スラリーを生成させることが可能となった事から、夜間電力を用いて氷スラリーを生成させ、昼間のピーク時に、これらの冷熱を高率良く冷熱蓄熱槽から、冷熱を必要とする箇所へ安定して輸送することが可能となり、冷熱の高密度輸送が可能となった。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
【発明の効果】
以上に説明した本発明による効果を列挙すると、以下のとおりである。従来流動性のある氷スラリーを生成する製氷方式にはダイナミック型(動的製氷法)により行われており、冷熱蓄熱槽ならびにその運転方法に特別の工夫が必要であった。一方スタテイック型(静的製氷法)では、氷の生成は冷熱蓄熱槽内に設けられた冷却用伝熱管の表面上に行わせており、冷熱の蓄熱・放熱時の熱交換速度が小さい等の問題点もあり、種々の工夫が施されている。しかしながら本発明によれば、ダイナミック型及びスタテイック型において、冷熱蓄熱槽内に設けられた伝熱管表面上に氷スラリーが生成・固着する事もなく、流動性の良い氷スラリーとして存在する事は、冷熱蓄熱槽内における流動・伝熱に対して良い効果を示すとともに、氷スラリーの取り扱いが簡単で容易となる。表−1、2、3、4、5に示したように、当該特許記載の界面活性剤を利用すると、水溶液中での界面活性剤が氷結晶の成長する方向を一方向に制御する作用を行っているものと思われ、その結果、例えば針状に成長した結晶は、ある程度まで成長すると水溶液の流動のため破砕され、氷の微細な針状結晶からなる氷スラリーとなっているものと思われる。
【0044】
また、当該特許記載の界面活性剤を使用した氷スラリーは、その生成時や生成後の成長過程において互いに結合する事も無かった。当該界面活性剤の添加により、長時間低温下で保持して置いてもIPFが一定でかつ安定したスラリーとし存在する事が出来る氷スラリーを調製出来る事が可能であることを見出した。従って、ビルの冷暖房、地域冷暖房において冷熱蓄熱材として氷の持つ大きな融解潜熱を利用する事が可能になるとともに蓄熱中に氷粒子が凝集し塊状化する問題、さらに生成した氷粒子のスラリーにより冷熱輸送を行う場合に輸送中にパイプラインの淀み等において塊状化し、輸送を困難にする等
の問題点も解決し、ビルの冷暖房、地域冷暖房において冷熱蓄熱材として氷を用いる冷熱蓄熱システム及び冷熱輸送システムに極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】界面活性剤添加による氷スラリ−の凝集防止効果評価試験装置の図である
【符号の説明】
1 冷凍システム
2 冷熱蓄熱槽
3 冷熱利用用熱交換機
4 冷熱利用
5 冷却用ブライン
6 攪拌機
7 ブライン用ポンプ
8 冷熱輸送用氷スラリーポンプ
9 温度計
Claims (2)
- 氷スラリーを調製する際に、水又は無機塩水溶液、グリコール水溶液、炭素数1〜3のアルコール水溶液から選ばれるブライン成分の1種類あるいは2種類以上の混合水溶液又は有機化合物水溶液又は前記ブライン水溶液と有機化合物水溶液の混合水溶液にジオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンを0.0005〜50wt%添加することを特徴とする高密度冷熱蓄熱輸送用組成物。
- 水又は無機塩水溶液、グリコール水溶液、炭素数1〜3の低級アルコール水溶液から選ばれるブライン成分の1種類あるいは2種類以上の混合水溶液又は有機化合物水溶液又は前記ブライン水溶液と有機化合物水溶液の混合水溶液にジオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンを0.0005〜50wt%含有する水溶液に防錆剤、スケール防止剤、スライム処理薬剤、分散剤、防腐剤、消泡剤から選ばれる1種又は2種以上の添加剤を必要に応じて所定量添加する事を特徴とする高密度冷熱蓄熱輸送用組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP37547898A JP4260260B2 (ja) | 1998-12-16 | 1998-12-16 | 高密度冷熱蓄熱輸送用組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP37547898A JP4260260B2 (ja) | 1998-12-16 | 1998-12-16 | 高密度冷熱蓄熱輸送用組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000178546A JP2000178546A (ja) | 2000-06-27 |
JP4260260B2 true JP4260260B2 (ja) | 2009-04-30 |
Family
ID=18505584
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP37547898A Expired - Lifetime JP4260260B2 (ja) | 1998-12-16 | 1998-12-16 | 高密度冷熱蓄熱輸送用組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4260260B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4627578B2 (ja) * | 1999-10-29 | 2011-02-09 | 東邦化学工業株式会社 | 高密度冷熱蓄熱輸送用組成物 |
JP4689802B2 (ja) * | 2000-08-10 | 2011-05-25 | 独立行政法人科学技術振興機構 | 氷水スラリー用分散剤 |
JP3732773B2 (ja) | 2001-08-08 | 2006-01-11 | ショーワ株式会社 | 熱媒体組成物 |
JP4835909B2 (ja) * | 2005-07-07 | 2011-12-14 | トヨタ自動車株式会社 | 熱交換用液媒体組成物 |
JP6403214B2 (ja) * | 2015-06-23 | 2018-10-10 | 高知県公立大学法人 | 魚介類用スラリーアイス生産システム |
JP2019089927A (ja) * | 2017-11-14 | 2019-06-13 | 花王株式会社 | 粘度特性改良剤 |
CN115197676B (zh) * | 2022-06-23 | 2024-05-31 | 南京长江都市建筑设计股份有限公司 | 一种辛醇体系乳液冰浆及其制备方法和应用 |
-
1998
- 1998-12-16 JP JP37547898A patent/JP4260260B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000178546A (ja) | 2000-06-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4260260B2 (ja) | 高密度冷熱蓄熱輸送用組成物 | |
JP6128452B1 (ja) | 急速冷凍方法及び急速冷凍装置 | |
PL180716B1 (pl) | Sposób ulepszania efektu obnizania oporu hydraulicznego w ukladzie przeplywowymn a bazie wody PL PL PL PL PL PL | |
EP1055719B1 (en) | Method and apparatus for thermal transportation using polyvinyl alcohol | |
JP2016516171A (ja) | 閉ループアイススラリー冷凍システム | |
CN107502299A (zh) | 一种多相介质相变储热材料及其制备方法 | |
CN108753259A (zh) | 制备冰浆用微乳液及其制备方法与应用 | |
JP4627578B2 (ja) | 高密度冷熱蓄熱輸送用組成物 | |
Lv et al. | Research progress on the effect of additives on ice slurry | |
JP2001280875A (ja) | 包接水和物と氷の混合スラリを用いた蓄冷方法および蓄冷システム | |
JP4888521B2 (ja) | 水和物スラリの製造装置 | |
JP2005029591A (ja) | 潜熱輸送用水和物スラリーの流動抵抗低減方法、低減された潜熱輸送用水和物スラリーおよび同スラリーを用いた冷暖房システム | |
JP2000205775A (ja) | 包接水和物スラリ―の製造方法 | |
JP2004143229A (ja) | 潜熱蓄熱剤組成物 | |
JP4599733B2 (ja) | 水和物スラリ製造装置 | |
JP2000129251A (ja) | 蓄熱材組成物及びそれを用いた蓄熱装置 | |
JP2002180036A (ja) | 高密度冷熱蓄熱輸送用組成物 | |
Suzuki et al. | Flow and heat transfer characteristics of ammonium alum hydrate slurry treated with surfactants | |
JPH0439380A (ja) | 蓄放熱方法 | |
JP5104160B2 (ja) | 包接水和物生成用の水溶液、蓄熱剤、包接水和物又はそのスラリーの製造方法、蓄放熱方法並びに潜熱蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液の調製方法 | |
JP3475901B2 (ja) | 水和数の異なる水和物スラリの生成装置 | |
WO2015067214A1 (zh) | 全氟磷酸盐类气体管道减阻剂及其制备方法 | |
JP5125316B2 (ja) | 包接水和物生成用原料並びに、包接水和物又はそのスラリを製造する方法及び、包接水和物生成用水溶液を冷却する際に生じる圧力損失を低減する方法 | |
JPH06185762A (ja) | 冷却または加熱方法 | |
JP4835745B2 (ja) | 水和物スラリ製造装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050804 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20081003 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081028 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081226 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090127 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090204 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140220 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |