JP2005029591A - 潜熱輸送用水和物スラリーの流動抵抗低減方法、低減された潜熱輸送用水和物スラリーおよび同スラリーを用いた冷暖房システム - Google Patents
潜熱輸送用水和物スラリーの流動抵抗低減方法、低減された潜熱輸送用水和物スラリーおよび同スラリーを用いた冷暖房システム Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】冷房用サイクルと暖房用サイクルとを別系統にした冷暖房システム1であって、冷房用サイクルの冷熱媒体として、界面活性剤であるカチオン系抵抗低減剤および同カチオン系抵抗低減剤の対イオンを添加した包接型水和物スラリーを使用し、暖房用サイクルの熱媒体として、界面活性剤であるカチオン系抵抗低減剤および同カチオン系抵抗低減剤の対イオンを添加した無機水和物スラリーを使用している。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として空調設備や温調装置や加温装置の冷熱媒体として極め有効な潜熱輸送用水和物スラリー(潜熱輸送スラリーともいう)の流動抵抗低減方法と、流動抵抗低減効果を有する潜熱輸送用水和物スラリーと、同潜熱輸送用水和物スラリーを用いた冷暖房システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
快適な生活をすごすためには、空調設備による室内などの冷暖房が欠かせなくなっているが、冷暖房は一般にその消費エネルギー量が非常に大きく、地球温暖化やエネルギー資源の枯渇といった問題の一因になっている。冷暖房によるエネルギー消費を抑える方法として考えられるのが地域冷暖房やビル空調といった大型空調である。
【0003】
たとえば地域冷暖房は一箇所の施設(設備)で地域全体の冷温熱を作り出し、それを各施設の熱交換器に供給するものであり、加熱源に大型で高効率な装置を用いることやコージェネレーションシステムを用いて省エネルギー化を行うことができる。こうして作った冷温熱は、冷暖房を使用する施設や場所まで導管内に熱媒体を流すことで輸送される。現在、主に熱媒体として使われているのは水である。しかし、水の顕熱を利用する方法では大量の水を循環させなければならず、この際にかなりの搬送動力を必要とし、その結果多くのエネルギーを消費してしまうことになり、これが地域冷暖房全体としてのエネルギー消費量を増大させている。そのため、地域冷暖房をより高効率化するにはこの搬送動力を削減しなくてはならない。
【0004】
搬送動力削減の一つの方法として考えられたのが水の流動抵抗を減少させて、搬送動力を削減する方法である。水にある種の界面活性剤を添加すると、乱流時の抵抗が減少する乱流抵抗低減効果が起こることがわかっていて、主にカチオン系界面活性剤と対イオンの組み合わせを用いたものが用いられている。この方法で流動抵抗は減少するが、顕熱が4.2kJ/kgと小さい水で熱輸送を行うことになるので、搬送動力削減には限界がある。
【0005】
そこで、より高効率な方法として冷熱媒体中に相変化を生じる物質を懸濁させて、その潜熱を利用し、熱密度を大きくする方法が考えられる。物質によっては300kJ/kg以上と水の顕熱の70〜80倍もの潜熱を持つものもあり、これを利用すれば冷熱媒体の熱密度を飛躍的に高くすることができる。
【0006】
潜熱物質を懸濁させたスラリーとして現在最も研究されているのが氷水スラリーである。氷水スラリーは氷の潜熱を利用して潜熱輸送を行うため、基本的に水のみが熱媒であるために低コストである。また氷は潜熱が非常に大きい。既に深夜電力を用いた氷蓄熱などに用いられている実績もある。一方で凝集性が非常に大きく管内で閉塞する等の問題がある。しかも、氷を用いた場合には蓄熱温度が0℃にしか設定できないので、製氷する過程の効率が非常に悪くなってしまい、系としての効率を下げてしまう。また、当然冷熱輸送にしか用いることができない。この問題を解決するためには単純な氷水スラリーではなく、より高温な融点を有する他の物質を混合させることが必要となってくる。
【0007】
その他の先行技術に、潜熱輸送として水和物を利用する発明がある。たとえば、包接水和物生成物質を含む水溶液を冷熱源との熱交換により冷却し、冷熱輸送媒体として機能する水和物スラリーを生成させ、この水和物のスラリーとの熱交換により冷却する冷熱輸送システムで、水和物に水和化温度の異なる2種類又は3種類の水和物を用いることを特徴とするもの(たとえば、特許文献1参照)。
【0008】
また、潜熱蓄熱マイクロカプセルの分散液に、抵抗低減効果を有する界面活性剤および棒状ミセル形成化合物を添加した熱搬送材が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−60739(段落番号0014〜0016)
【特許文献2】
特開2002−275456(段落番号0007〜0010)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の技術(上記特許文献1・2に記載の技術を含む)では、つぎのような点で解決すべき課題が残されている。
【0011】
1) 上記したとおり、氷スラリーは温度域が低温に限られており、温水の熱輸送に用いることができない。また、冷房に使用するとしても蓄熱温度が0℃と過剰に低温であるため、着霜や氷結の問題がある。
【0012】
2) 特許文献1は包接水和物スラリーを冷熱輸送媒体に使用するものであり、水和化温度が10℃前後と低温域に属するために冷房にしか利用できない。また、水和物の粘度がかなり大きいため、冷熱源から配管を通して冷却先に供給するのに流動抵抗が大きく、駆動力の大きい大型のポンプや口径の大きい配管を要し、設備面はもとよりランニングコストも高くて経済性を欠くなど、高効率の熱輸送ができない。
【0013】
3) 特許文献2はマイクロカプセルに潜熱蓄熱剤を収容して水に分散させるために熱媒体の製造コストが高く、しかも流動抵抗が大きいので、特許文献1の場合と同様に駆動力の大きい大型のポンプや口径の大きい配管を要し、設備面はもとよりランニングコストも高くて経済性を欠くなど、高効率の熱輸送ができない。
【0014】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、潜熱をもち熱密度が水に比べて高い水和物を混濁させた水和物スラリーを熱媒体として用いるとともに、水和物スラリーの欠点である流動抵抗を大幅に低減することにより、空調に必要な流量を削減し、搬送動力を軽減でき、また空調設備を簡略化・小型化することで低コスト化が可能な、潜熱輸送用水和物スラリーの流動抵抗低減方法、低減された潜熱輸送用水和物スラリーおよび同スラリーを用いた冷暖房システムを提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明(請求項1)に係る潜熱輸送用水和物スラリーの流動抵抗低減方法は、包接型水和物スラリー又は無機水和物スラリーからなる潜熱輸送用水和物スラリーに対して、界面活性剤であるカチオン系抵抗低減剤を添加するとともに、同カチオン系抵抗低減剤の対イオンを添加することを特徴としている。
【0016】
本発明は、熱媒体中に相変化を生じる物質を懸濁させてその潜熱を利用することによって熱密度を大きくすることを前提としており、懸濁物質には、氷の他にパラフィン、マイクロカプセル、ハイドレートがある。これらの各懸濁物質の代表例の比較を下記の表1に示す。
【0017】
【表1】
表1に示される懸濁物質の中から、本発明では、冷水で用いる低温度域(5〜40℃)に融点をもつ包接型水和物スラリーを、また温水で用いる高温度域(40〜80℃)に融点をもつ無機水和物スラリーを選択した。
【0018】
いずれの水和物スラリーも水和化温度の領域において水溶液内に水和物粒子が存在しており、その粒子の存在により流動抵抗が水にくらべて非常に大きくなり、単位流量当たりの搬送動力は大きくなる。そのために、潜熱輸送によって流量削減されたことによる搬送動力の削減効果が相殺されるおそれがある。
【0019】
しかし、上記の構成を有する本発明の流動抵抗低減方法によれば、包接型水和物スラリー又は無機水和物スラリーからなる潜熱輸送用水和物スラリーに対し、流動抵抗削減のために、水において有効とされている界面活性剤等による乱流抵抗低減の手法を水和物スラリーの抵抗低減に適用できるかどうかを実験し、この結果、特定の界面活性剤を添加するともに、界面活性剤は単体では抵抗低減効果を持たないので特定の対イオンを添加することで棒状ミセル構造をもつことができ、抵抗低減効果を発揮する。これにより、水を用いる場合と比べて潜熱輸送用水和物スラリーの流動抵抗を小さくすることが可能になった。また、潜熱輸送用水和物スラリーは上記表1から明らかなように、水に比べて数十倍の熱エネルギーを保有できるので、主に冷暖房設備の熱媒体に使用した場合に、水に比べて必要な流量を削減でき、ポンプ等の搬送動力を大幅に削減できる。
【0020】
請求項2に記載のように、前記包接型水和物スラリーがトリメチロールエタンクラスレートハイドレート(以下、TMEともいう)を溶解混濁させた水溶液であり、前記無機水和物スラリーが酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)を溶解混濁させた水溶液であり、前記カチオン系抵抗低減剤として、アルキル又はアルキレントリメチルアンモニウム、アルキル又はアルキレンヒドロキシエチルジメチルアンモニウム、アルキル又はアルキレンビスヒドロキシエチルメチルアンモニウム、アルキル又はアルキレントリヒドロキシエチルアンモニウムの塩化物又は臭化物であり、アルキル基またはアルキレン基の炭素数が11〜22個の範囲のものを用いるとともに、前記対イオンに、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸、m−クロロ安息香酸ナトリウム、m−クロロ安息香酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ナトリウムまたは3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を用いることができる。
【0021】
請求項2記載の潜熱輸送用水和物スラリーの流動抵抗低減方法によれば、上記表1に示される懸濁物質の中から包接型水和物スラリーにTME水和物スラリーを選択したのは冷水で用いる低温度域内において融点(具体的には5〜15℃)をもち、冷房用熱媒体として最適であり、また無機水和物スラリーに酢酸ナトリウム三水和物スラリーを選択したのは、温水で用いる高温度域内において融点(具体的には50〜60℃)をもち従来から蓄熱剤に用いられており、暖房用熱媒体として最適であるからである。さらにTME水和物スラリーおよび酢酸ナトリウム三水和物スラリーには、上記カチオン系界面活性剤が従来の水に対する抵抗低減手法として有効であり、またカチオン系界面活性剤単独では抵抗低減効果を発現しないが、対イオンのサリチル酸ナトリウムを同時に添加することで、棒状ミセル構造をもち抵抗低減効果を発揮するからである。
【0022】
請求項3に記載のように、前記包接型水和物スラリーにおけるトリメチロールエタンクラスレートハイドレートの固体粒子濃度の重量割合が最大で20%(好ましくは5〜15重量%前後)であり、前記無機水和物スラリーにおける酢酸ナトリウム三水和物の固体粒子濃度の重量割合が最大で20%(好ましくは5〜15重量%前後)とし、前記トリメチロールエタンクラスレートハイドレートには塩化オレイルビスヒドロキシエチルメチルアンモニウムを、前記酢酸ナトリウム三水和物には塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムをそれぞれ0.1〜0.2重量%添加するとともに、前記対イオンであるサリチル酸ナトリウムを前記カチオン系抵抗低減剤に対しモル比で1:1以上〜1:10以下の濃度、好ましくはモル比で1:1.5の濃度になるように添加することが好ましい。
【0023】
請求項3記載の潜熱輸送用水和物スラリーの流動抵抗低減方法によれば、上記請求項2に記載したカチオン系界面活性剤のうちから、TME水和物スラリーには低温域で抵抗低減効果を示す塩化オレイルビスヒドロキシエチルメチルアンモニウム(商品名Ethoqurd0/12)を選択し、酢酸ナトリウム三水和物には高温域で抵抗低減効果を示す塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(商品名Arquad22/80)を選択した。TME水和物スラリーの水和物粒子濃度および酢酸ナトリウム三水和物スラリーの水和物粒子濃度は実験結果より特定したもので、TME水和物スラリーの水和物粒子濃度が20重量%を超えると、粒子と界面活性分子が形成するミセル構造が干渉し,破砕されるので,有効な抵抗低減が生じないからであり、同様に酢酸ナトリウム三水和物スラリーの水和物粒子濃度が20重量%を超えると、粒子と界面活性分子が形成するミセル構造が干渉し,破砕されるので,有効な抵抗低減が生じないからである。
【0024】
さらに、Ethoqurd0/12およびArquad22/80の添加量を0.1〜0.2重量%とし、対イオンのサリチル酸ナトリウムを各カチオン系界面活性剤に対してモル比で1:1.5の濃度になるように添加するのが好ましいとしたのは、従来、水等に添加する場合に最も良いとされている添加割合であり、実験データからも確認できたからである。なお、Ethoqurd0/12やArquad22/80などの界面活性剤の濃度(添加量)に関しては、言うまでもなく経済性からは濃度が低い方が有利であり、濃度が高いと粘度が上がるので、抵抗低減効果が生じない低速域での圧力損失が上がる。しかしながら、水和物粒子が発生した水溶液スラリーにおいては、界面活性剤が粒子に吸着したり、水和物粒子が界面活性剤分子によって形成されるミセル構造を破壊したりするので、界面活性剤の濃度を上げることによって、より高濃度な水和物スラリーに対して有利となる。したがって、界面活性剤が低濃度で抵抗低減効果が生じる場合には低濃度にする一方、低濃度では抵抗低減効果が生じにくい場合には、濃度を上げて対応するのが望ましい。
【0025】
本発明の潜熱輸送用水和物スラリー(請求項4)は、包接型水和物スラリー又は無機水和物スラリーに、界面活性剤であるカチオン系抵抗低減剤および同カチオン系抵抗低減剤の対イオンを添加したことを特徴としている。
【0026】
請求項4記載の潜熱輸送用水和物スラリーは、上記請求項1に関する共通の作用によって流動抵抗が低減される。
【0027】
請求項5に記載のように、前記包接型水和物スラリーがトリメチロールエタンクラスレートハイドレートを溶解混濁させた水溶液で、前記無機水和物スラリーが酢酸ナトリウム三水和物を溶解混濁させた水溶液であり、前記カチオン系抵抗低減剤として、アルキル又はアルキレントリメチルアンモニウム、アルキル又はアルキレンヒドロキシエチルジメチルアンモニウム、アルキル又はアルキレンビスヒドロキシエチルメチルアンモニウム、アルキル又はアルキレントリヒドロキシエチルアンモニウムの塩化物又は臭化物であり、アルキル基またはアルキレン基の炭素数が11〜22個の範囲のものを用いるとともに、前記対イオンとして、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸、m−クロロ安息香酸ナトリウム、m−クロロ安息香酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ナトリウムまたは3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を用いることができる。
【0028】
請求項5記載の潜熱輸送用水和物スラリーによる作用は、上記請求項2に関する作用と共通する。
【0029】
請求項6に記載のように、前記包接型水和物スラリーにおけるトリメチロールエタンクラスレートハイドレートの固体粒子濃度の重量割合が最大で20%(好ましくは5〜15重量%前後)であり、前記無機水和物スラリーにおける酢酸ナトリウム三水和物の固体粒子濃度の重量割合が最大で20%(好ましくは5〜15重量%前後)とし、前記トリメチロールエタンクラスレートハイドレートにはカチオン系抵抗低減剤である塩化オレイルビスヒドロキシエチルメチルアンモニウムを、前記酢酸ナトリウム三水和物には塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムをそれぞれ0.1〜0.2重量%添加するとともに、前記対イオンであるサリチル酸ナトリウムを前記カチオン系抵抗低減剤に対しモル比で1:1以上〜1:10以下の濃度、好ましくはモル比で1:1.5の濃度になるように添加することが望ましい。
【0030】
請求項6記載の潜熱輸送用水和物スラリーによる作用は、上記請求項3に関する作用と共通する。
【0031】
本発明の冷暖房システム(請求項7)は、冷房用サイクルと暖房用サイクルとを別系統にした冷暖房システムであって、前記冷房用サイクルの冷熱媒体(又は低温媒体)として、界面活性剤であるカチオン系抵抗低減剤および同カチオン系抵抗低減剤の対イオンを添加した包接型水和物スラリーを使用し、前記暖房用サイクルの熱媒体(又は高温媒体)として、界面活性剤であるカチオン系抵抗低減剤および同カチオン系抵抗低減剤の対イオンを添加した無機水和物スラリーを使用したことを特徴としている。
【0032】
上記の構成を有する請求項7記載の冷暖房システムによれば、冷房用と暖房用とに系統を分けてシステムを構成したことにより、冷房用熱媒体に低温域に融点を有する包接型水和物スラリーを用いるとともに、暖房用熱媒体に高温域に融点を有する無機水和物スラリーを用い、それらの水和物スラリーを界面活性剤であるカチオン系抵抗低減剤および対イオンと組み合わせて添加することで、搬送動力を削減して経済的な冷暖房が可能になる。
【0033】
請求項8に記載のように、前記冷房用サイクルの冷熱媒体(又は低温媒体)として、カチオン系抵抗低減剤である塩化オレイルビスヒドロキシエチルメチルアンモニウムおよび対イオンであるサリチル酸ナトリウムをそれぞれ添加した包接型水和物スラリーであるトリメチロールエタンクラスレートハイドレートを溶解混濁させた水溶液を使用し、前記暖房用サイクルの熱媒体(又は高温媒体)として、カチオン系抵抗低減剤である塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムおよび対イオンであるサリチル酸ナトリウムをそれぞれ添加した無機水和物スラリーである酢酸ナトリウム三水和物を溶解混濁させた水溶液を使用することができる。
【0034】
請求項8記載の冷暖房システムによる作用は、上記請求項2に関する作用と共通する。
【0035】
請求項9に記載のように、前記包接型水和物スラリーにおけるトリメチロールエタンクラスレートハイドレートの固体粒子濃度の重量割合が最大で20%(好ましくは5〜15重量%前後)であり、前記無機水和物スラリーにおける酢酸ナトリウム三水和物の固体粒子濃度の重量割合が最大で20%(好ましくは5〜15重量%前後)とし、前記トリメチロールエタンクラスレートハイドレートにはカチオン系抵抗低減剤である塩化オレイルビスヒドロキシエチルメチルアンモニウムを、前記酢酸ナトリウム三水和物には塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムをそれぞれ0.1〜0.2重量%添加するとともに、前記対イオンであるサリチル酸ナトリウムを前記カチオン系抵抗低減剤に対しモル比で1:1以上〜1:10以下の濃度、好ましくはモル比で1:1.5の濃度になるように添加することが望ましい。
【0036】
請求項9記載の冷暖房システムによれば、冷房においては、水和物粒子の潜熱によって単位流量あたり冷熱量が増大するので、流量を減少させることができ、また界面活性剤を添加したので、管内の圧力損失が減少したことによって、水を用いた場合の30%前後の搬送動力で冷房でき、また暖房においても、水和物粒子の潜熱によって単位流量あたり熱量が増大するので、流量を減少させることができ、界面活性剤を添加したので、管内の圧力損失がやや減少したことにより、水を用いた場合のほぼ半分の搬送動力で暖房でき、冷暖房ともに大幅に効率がアップし、経済的である。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る潜熱輸送用水和物スラリーおよび同スラリーを用いた冷暖房システムの実施の形態について詳しく説明し、併せて潜熱輸送用水和物スラリーの流動抵抗低減方法についても説明する。
【0038】
図1は本発明の実施例に係る冷暖房システムの概略を示す全体構成図で一部を省略して表している。
【0039】
図1に示すように、冷暖房システム1は冷房系と暖房系との2系統に分離されており、複数のポンプ9を用いて地下から各階に揚水する構成からなる。ビルBの各階には、冷暖房共通の空調器(内部の熱交換器は冷房用11と暖房用12の2系統に分離されている)2が設置されている。地下には、冷房用熱媒体を貯留するタンク5と暖房用熱媒体を貯留するタンク6とが設置され、また冷熱源としての冷房用の冷凍機3と暖房用のボイラー4が各タンク5・6に隣接して設置されている。さらに冷房用タンク5は内部の熱媒体を冷凍機3により冷却できるようにブライン水の循環路7で接続され、暖房用タンク6は内部の熱媒体をボイラー4で加熱できるようにボイラー水の循環路8で接続されている。
【0040】
冷房用タンク5から各空調器2の冷房用熱交換器11に熱媒体を供給し、熱交換後に冷房用タンク5に戻せるように、タンク5と熱交換器11が供給用配管13と戻し用配管14を介して接続されている。また、暖房用タンク6から各空調器2の暖房用熱交換器12に熱媒体を供給し、熱交換後に暖房用タンク6に戻せるように、タンク6と熱交換器12が供給用配管15と戻し用配管16を介して接続されている。さらに、各供給用配管13・15にはポンプ9が介設されている。
【0041】
本実施例における配管径および管長は下記の表2に示している。各階の空調器2で冷風又は温風を作り、これらの冷風又は温風の一方を選択することで空調を行うようにしている。また、本実施例では冷房の場合は熱交換器11の入口温度を6℃、出口温度を13℃に設定し、暖房の場合は熱交換器12の入口温度を60℃、出口温度を53℃に設定している。
【0042】
上記の冷房用熱媒体および暖房用熱媒体には、本実施例では下記の水和物スラリーを採用した。すなわち、
まず、冷房用熱媒体には、冷水で用いられる低温度域(本例では5〜15℃)で様々な融点をもつ包接型水和物スラリー(クラスレートハイドレートともいう)としてトリメチロールエタンクラスレートハイドレート(以下、単にTMEともいう〉を選択した。TME自体は粘性が高く、流動抵抗が非常に大きいことから、抵抗低減剤として、カチオン系界面活性剤で低温域(6〜60℃)で抵抗低減効果を示す、塩化オレイルビスヒドロキシエチルメチルアンモニウム(商品名Ethoqurd0/12)を選択した。また、上記のカチオン系界面活性剤は単体では抵抗低減効果を持たないので、添加することで棒状ミセル構造を持つことができ、抵抗低減効果を示すところの、対イオンとしてサリチル酸ナトリウムを選択した。
【0043】
そして、イオン交換水にTMEを25重量%(wt%)溶解させ、この水溶液にEthoqurd0/12を2000ppm添加し、さらにサリチル酸ナトリウムを、界面活性剤に対しモル比で1:1.5の濃度で、すなわち1200ppmほど添加した。
【0044】
上記のTME水溶液で生成されるクラスレートハイドレートの量はTMEの濃度と水溶液の温度に依存しており、また、クラスレートハイドレートの生成される温度は濃度に依存しており、上記の25wt%のTME水溶液では11℃付近でクラスレートが生成される。
【0045】
一方、暖房用熱媒体には、温水で用いられる高温度域(本例では50〜60℃)に融点を持つ物質として蓄熱剤に用いられている無機水和物スラリーとして酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)を選択した。また、酢酸ナトリウム三水和物スラリーには、カチオン系界面活性剤で高温域(40〜80℃)で抵抗低減効果を示す、塩化べヘニルトリメチルアンモニウム(商品名Arquad22/80)を選択し、対イオンにはサリチル酸ナトリウムを選択した。
【0046】
そして、イオン交換水に酢酸ナトリウム三水和物を44.4wt%溶解させ、この水溶液にArquad22/80を1000ppm添加し、さらにサリチル酸ナトリウムを各界面活性剤に対しモル比で1:1.5の濃度で、すなわち600ppmほど添加した。
【0047】
上記の酢酸ナトリウム三水和物水溶液で生成される水和物粒子の量は酢酸ナトリウム三水和物の濃度と水溶液の温度に依存しており、また、水和物粒子の生成される温度は濃度に依存しており、上記の44.4wt%の酢酸ナトリウム三水和物水溶液では54℃付近まで温度が低下することによって水和物粒子が生成される。
【0048】
上記のようにして本実施例の冷暖房システムが構成されるが、本例の冷暖房システムによる冷暖房態様等について説明する。
【0049】
まず、冷房に関して、タンク5内に貯留されているTME水溶液を冷凍機3を介して、たとえば5℃まで冷却することによって水和化され、クラスレートハイドレートが生成される。つまり、本例ではタンク5が水和物粒子(クラスレート)の発生器の機能をもつことになる。このとき、TME水溶液スラリーには相変化により多量の冷却エネルギー(水の数倍)が蓄えられる。TME水溶液スラリーはポンプ9により供給用配管13を通って各階の空調器2の熱交換器11へ輸送される。輸送時のTME水溶液スラリーの流動抵抗は、抵抗低減剤(および対イオン)によって水より小さく低減されている。TME水溶液スラリーは各空調器2の熱交換器11で外気と熱交換され、各部屋を冷却することで熱を吸収し、温度が13℃付近まで上昇することでクラスレートハイドレートが消失する。この結果、流動抵抗はさらに低減され、この状態で戻し配管14を通ってタンク5へ戻される。このようにTME水溶液スラリーが循環されることによって、ビルB内が冷却される。
【0050】
また、暖房に関しては、タンク6内に貯留されている酢酸ナトリウム三水和物水溶液スラリーは融点(58℃)以下に温度が下がっているために水和化されているが、これがボイラー4を介して、たとえば61℃まで加熱することによって水和物粒子が消失する。このとき、酢酸ナトリウム三水和物水溶液スラリーには相変化により多量の熱エネルギー(水の数倍)が蓄えられる。酢酸ナトリウム三水和物水溶液スラリーはポンプ9により供給用配管15を通って各階の空調器2の熱交換器12へ輸送される。輸送時の酢酸ナトリウム三水和物水溶液スラリーの流動抵抗は、水和物粒子が存在せずしかも抵抗低減剤(および対イオン)によって水よりかなり小さく低減されている。酢酸ナトリウム三水和物水溶液スラリーは各空調器2の熱交換器12で外気と熱交換され、各部屋を加温することで熱を放出し、温度が融点(58℃)以下、本例では53℃付近まで低下することで水和化され、水和物粒子が生成される。つまり、本例では、熱交換器12が水和物粒子の発生器として機能することになる。この結果、流動抵抗は増加するが、抵抗低減剤(および対イオン)による低減効果によって水よりは小さくなっており、戻し配管16を通ってタンク6へ戻される。このようにして酢酸ナトリウム三水和物水溶液スラリーが循環されることによって、ビルB内が暖房される。
【0051】
ここで、上記の冷暖房システム1について、これを大型空調設備に実際に適用した場合に、従来の水に比べてどの程度の搬送動力削減(省エネルギーともいう)効果があるかをFeasibi1ityStudyに基づき試算した。
【0052】
後述する圧力損失測定で求めた水和物スラリーの実験データを用いて、どの程度の搬送動力削減効果があるのかを推算し、その有効性を確認するために、上記ビルBの暖冷房システム1のモデルを用いて試算した。従来の水を用いた場合の搬送動力と上記の各水和物スラリーを用いた場合の搬送動力をピーク時の動力で各一ヶ月間分計算してどの程度の差があるのかを計算し、併せて水和物スラリーの有効性についても確認した。
【0053】
[圧力損失測定]
水和物スラリーの圧力損失を測定し、流動抵抗の増大の程度について確認する。さらに、抵抗低減効果の有無も界面活性剤を添加した溶液を用いて圧力損失を測定することで判断できる。圧力損失が測定できれば上記のモデルビルBについて熱輸送効率なども計算することができるため、まず圧力損失を測定する。
【0054】
[実験方法]
まず、水和物スラリーの流動抵抗の大きさ、抵抗低減効果の有無を測定するために、図2に示す圧送式抵抗低減効果測定装置を用いて、流量と圧力損失を測定する。
【0055】
この装置20は、図2のようにタンク21内に試料としての水和物スラリーを注入し、タンク21の周囲に設けた恒温槽(図示せず)に温度調節された熱媒を通すことにより水和物スラリーの温度が一定に保持される。この状態で、エアコンプレッサー22にてタンク21内の試料を加圧し、一分間撹拌した後に一旦停止させ、10秒以内にバルブを開いて、配管23を通して大気圧下に放出させることで流量を変化させる。このとき、電磁流量計24を用いて流量を、差圧トランスデューサー25を用いて圧力損失をそれぞれ同時に測定することによりそれらの経時変化が記録される。 配管15の口径(内径)は5mm、圧力損失の測定区間は500mm、助走区間は880mmに設定した。
【0056】
[水和物スラリーおよび界面活性剤]
最初に、冷房用熱媒体について説明する。水和物スラリーにTME水溶液スラリーを用いた場合において、流動抵抗低減剤を添加することによる効果を確認した。
【0057】
図3は界面活性剤および対イオンを添加しない場合の水和物スラリーと水との流動抵抗についての実験結果を摩擦係数(f[−])とレイノルズ数(Re[−])の関係で表したグラフである。TME水溶液スラリーはTMEを25wt%溶解した水溶液と30wt%溶解した水溶液とを準備したが、それらの温度が20℃のときには水和物粒子は存在せず、液状であった。一方、10℃まで冷却したときには、両水溶液とも水和物粒子が存在し、スラリー状になった。25wt%TME水溶液の水和物粒子濃度Hfは7.3%、30wt%TME水溶液の水和物粒子濃度Hfは10.9%であった。なお、レイノルズ数(Re[−])は水粘度基準で求めている。摩擦係数(f[−])は水の場合、層流ではf=16/Re、乱流ではf=0.0791Re−0.25の式で表されるが、グラフ中の線は各式を表している。
【0058】
図3からRe>8000の領域では水和物スラリーのfは水のfを大きく上回っており、流動抵抗が大幅に増加していることが分かる。また、Re>6000の領域では水和物粒子が存在する場合と存在しない場合とではfに大きな差が見られないことから、流動抵抗に差がないことが分かる。TME水溶液スラリーのTME溶解濃度が25wt%から30wt%に増加した場合でもRe<8000の領域では流動抵抗が増大しないことから、水和物粒子が存在しない場合ではほとんど差がないことが分かった。
【0059】
図4は界面活性剤および対イオンを添加した場合の水和物スラリーと水との流動抵抗についての実験結果を摩擦係数(f[−])とレイノルズ数(Re[−])の関係で表したグラフである。いずれの場合もRe>6000の領域で界面活性剤および対イオンを添加しない場合に比べてfが減少している。また、Re>10000の領域において摩擦係数(f[−])が水の値を下回っていることから、抵抗低減効果が生じていることが分かる。さらに、TME溶解濃度が25wt%の水和物スラリーにおいて、20℃の場合より10℃の場合の方が流動抵抗低減効果が大きいことが分かる。これは、水中に存在するTMEが流動抵抗低減効果の発現の要因である、界面活性剤の高次構造の形成に影響を与えて抵抗低減効果を阻害している可能性があり、TMEが包接格子内に取り込まれることによって水溶液中の濃度が減少し、高次構造の形成が可能になったためであると推察される。また、TME溶解濃度が30wt%の水和物スラリーにおいても25wt%溶液に比べるとやや小さいものの、流動抵抗低減効果が生じており、その効果が期待できる。
【0060】
なお、図10にTME水溶物スラリーの5mm管の場合と400mm管の場合の摩擦係数を示している。
【0061】
つぎに、暖房用熱媒体について説明する。水和物スラリーに酢酸ナトリウム三水和物水溶液スラリーを用いた場合において、流動抵抗低減剤を添加することによる効果を確認した。
【0062】
図5は界面活性剤および対イオンを添加しない場合の酢酸ナトリウム三水和物スラリーと水との流動抵抗についての実験結果を摩擦係数(f[−])とレイノルズ数(Re[−])の関係で表したグラフである。図5から酢酸ナトリウム三水和物水溶液スラリーは水に比べて摩擦抵抗が増大していることが分かる。これは水和物の固体粒子が含まれている上に、溶液の粘度が増大しているためである。また、この結果より水和物粒子の割合が増加すると、圧力損失がさらに大きくなることが分かる。
【0063】
図6は界面活性剤(Ethoqurd0/12)および対イオンを添加した場合の酢酸ナトリウム三水和物スラリーと水との流動抵抗についての実験結果を摩擦係数(f[−])とレイノルズ数(Re[−])の関係で表したグラフである。これより、Re>8000の領域でfが大きく減少しており、少なくとも測定したRe=40000程度の領域までは水よりも摩擦係数fが減少しているのが分かる。これより、水に酢酸ナトリウム三水和物44.4wt%を溶解した酢酸ナトリウム三水和物スラリーには、Ethoqurd0/12を1000ppm(20℃・40℃)、対イオンとしてのサリチル酸ナトリウムを600ppm添加しており、20℃から40℃の温度範囲において抵抗低減効果が発現していることが分かる。
【0064】
図7は界面活性剤(Arquad22/80)および対イオンを添加した場合の酢酸ナトリウム三水和物スラリーと水との流動抵抗についての実験結果を摩擦係数(f[−])とレイノルズ数(Re[−])の関係で表したグラフである。これより、Arquad22/80および対イオンを同重量割合ほど添加した場合もRe>8,000の領域で同様にfが水よりも減少しているのが確認でき、抵抗低減効果を生じていることが分かる。上記のEthoqurd0/12に比較して潜熱輸送を行う際の温度域(50℃・60℃)で抵抗低減効果を示しているので、実用上においてはArquad22/80を用いる方が有利であり、上記したようにこれを選択した。
【0065】
なお、図11に酢酸ナトリウム三水和物スラリーの5mm管の場合と400mm管の場合の摩擦係数を示している。
【0066】
ところで、上記したカチオン系界面活性剤の他にも、たとえばC16ベタインをTME水和物スラリーに使用したが、抵抗低減効果が弱く、またRe=10000程度までしかその効果を示さずなかった。また、氷水スラリーに抵抗低減効果があったC16ベタイン十オレイン酸ナトリウムの組み合わせも、酢酸ナトリウム三水和物スラリーでは抵抗低減効果を示さなかった。
【0067】
[計算方法]
熱媒体として選択した上記の各水和物スラリー、水、界面活性剤および対イオンを添加混合した水和物スラリーの各流動実験から得られた流速と圧力損失の管径をモデル化し、これをビル冷暖房(空調)モデルに適用して計算した。水和物スラリーに関し、冷房用熱媒体はTME25wt%水溶液スラリーの流動実験結果をモデル化して、また暖房用熱媒体は酢酸ナトリウム三水和物スラリー44.4wt%水溶液スラリーの流動実験結果をモデル化してそれぞれ用いた。
【0068】
ビル冷暖房モデルは図1に示したもので、地上30階、地下2階、延べ床面積85000m3、建物高さ130m、冷暖房ピーク負荷105kwとし、配管径および管長は下記の表2に示す。上記したとおり、冷房の場合の入口温度は6℃、出口温度は13℃とし、暖房の場合の入口温度は60℃、出口温度は53℃とした。
【0069】
【表2】
[計算結果]
図8は冷房におけるビル空調モデルの各流体(冷水、界面活性剤非添加・添加水和物スラリー)の実験結果を適用し、そこから計算された所要動力の結果を示すグラフで、図9は暖房におけるビル空調モデルの各流体(冷水、界面活性剤非添加・添加水和物スラリー)の実験結果を適用し、そこから計算された所要動力の結果を示すグラフである。
【0070】
まず、冷房において、水を用いた場合、必要流量は1093m3/hであり、所要動力は54.43kWであった。一方、水和物スラリーを用いた場合、水和物粒子の潜熱によって単位流量あたり冷熱量が増大するので、流量を減少させることができ、必要流量は653m3/hとなった。これにより、水和物スラリーのみの場合、所要動力は23.5kWに削減された。さらに、界面活性剤を添加した水和物スラリーの場合には、管内の圧力損失が減少したことによって所要動力は17.05kWとなり、水を用いた場合の31.2%の搬送動力で冷房できることが確認された。これらの結果は図8に表されている。このとき、水和物スラリーにはTME25wt%水溶液に抵抗低減剤としてEthoqurd0/12を2000ppm添加し、対イオンとしてサリチル酸ナトリウムを1200ppm添加した水和物スラリーを使用した。水和物粒子濃度Hfは7.3wt%であった。
【0071】
次に暖房において、温水を用いた場合、必要流量は1108m3/hであり、所要動力は45.4kWであった。一方、酢酸ナトリウム三水和物スラリーを用いた場合、水和物粒子の潜熱によって単位流量あたり熱量が増大するので、流量を減少させることができ、必要流量は762m3/hとなった。これにより、水和物スラリーのみの場合、所要動力は25.3kWに削減され、温水の場合の55.8%の搬送動力で暖房が可能になった。さらに、界面活性剤を添加した水和物スラリーの場合には、管内の圧力損失が著しく減少したことによって所要動力は11.5kWとなり、水を用いた場合の25.3%の搬送動力で暖房できることが確認された。これらの結果は図9に表されている。界面活性剤を添加したが、流速が高すぎるために抵抗低減効果が若干しか現れていない。このとき、水和物スラリーには酢酸ナトリウム三水和物スラリー44.4wt%水溶液に抵抗低減剤としてArquad22/80を1000ppm添加し、対イオンとしてサリチル酸ナトリウムを600ppm添加した水和物スラリーを使用した。水和物粒子濃度Hfは5.3wt%であった。
【0072】
下記の表3は上記冷暖房システムに使用した熱媒体と従来の冷水・温水との比較表である。
【0073】
【表3】
【0074】
これらの結果より界面活性剤(および対イオン)による抵抗低減効果を生じる場合でも、流量、管径などの条件を的確に設定しなければ圧力損失を大幅に減少させることができないことが分かる。しかし、的確な設定であれば水和物スラリーによる流量削減に加えて抵抗低減効果による流動抵抗の減少により、大幅な搬送動力の削減ができる可能性があることが分かった。
【0075】
以上本発明の実施例を示したが、本発明は冷暖房システムだけでなく、所定の温度に加温したり冷却したりする装置にも適用でき、また加温温度および冷却温度に対応して潜熱輸送用水和物スラリーや界面活性剤も適宜選択される。
【0076】
抱接型水和物スラリーについては、上記実施例に示したTMEのほかに、たとえば臭化テトラn−ブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウムを、また無機水和物スラリーについては、上記実施例に示した酢酸ナトリウム三水和物のほかに、たとえば塩化カルシウム六水和物、硫酸ナトリウム十水和物を使用可能である。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明に係る潜熱輸送用水和物スラリーの流動抵抗低減方法、この方法により低減された潜熱輸送用水和物スラリーおよび同スラリーを用いた冷暖房システムには、次のような優れた効果がある。
【0078】
すなわち、本発明によると、潜熱をもち熱密度が水に比べて高い水和物を混濁させた水和物スラリーを空調システムなどの熱媒体として用いるとともに、水和物スラリーの欠点である流動抵抗を大幅に低減することにより、空調に必要な流量を削減し、かつカチオン系界面活性剤と対イオンを添加して流動抵抗低減を図ったので、搬送動力を大幅に軽減でき、また空調設備に適用すれば装置を簡略化・小型化することで低コスト化が可能で経済的な運転ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る冷暖房(空調)システムの概略を示す全体構成図で一部を省略して表している。
【図2】流量と圧力損失を測定するための圧送式抵抗低減効果測定装置の一例を概略的に示す正面図である。
【図3】界面活性剤および対イオンを添加しない場合のTME水和物スラリーと水との流動抵抗についての実験結果を摩擦係数(f[−])とレイノルズ数(Re[−])の関係で表したグラフである。
【図4】界面活性剤および対イオンを添加した場合のTME水和物スラリーと水との流動抵抗についての実験結果を摩擦係数(f[−])とレイノルズ数(Re[−])の関係で表したグラフである。
【図5】界面活性剤および対イオンを添加しない場合の酢酸ナトリウム三水和物スラリーと水との流動抵抗についての実験結果を摩擦係数(f[−])とレイノルズ数(Re[−])の関係で表したグラフである。
【図6】界面活性剤(Ethoqurd0/12)および対イオンを添加した場合の酢酸ナトリウム三水和物スラリーと水との流動抵抗についての実験結果を摩擦係数(f[−])とレイノルズ数(Re[−])の関係で表したグラフである。
【図7】界面活性剤(Arquad22/80)および対イオンを添加した場合の酢酸ナトリウム三水和物スラリーと水との流動抵抗についての実験結果を摩擦係数(f[−])とレイノルズ数(Re[−])の関係で表したグラフである。
【図8】本発明の冷房におけるビル空調モデルの各流体(冷水、界面活性剤非添加・添加水和物スラリー)の実験結果を適用し、そこから計算された所要動力の結果を示すグラフである。
【図9】本発明の暖房におけるビル空調モデルの各流体(冷水、界面活性剤非添加・添加水和物スラリー)の実験結果を適用し、そこから計算された所要動力の結果を示すグラフである。
【図10】TME水溶物スラリーの5mm管の場合と400mm管の場合の摩擦係数を示すグラフである。
【図11】酢酸ナトリウム三水和物スラリーの5mm管の場合と400mm管の場合の摩擦係数を示すグラフである。
【符号の説明】
1 冷暖房(空調)システム
2 空調器
3 冷凍機
4 ボイラー
5・6 タンク
7・8 循環路
9 ポンプ
11・12 熱交換器
13・15 供給用配管
14・16 戻し用配管
Claims (9)
- 包接型水和物スラリー又は無機水和物スラリーからなる潜熱輸送用水和物スラリーに対して、界面活性剤であるカチオン系抵抗低減剤を添加するとともに、同カチオン系抵抗低減剤の対イオンを添加すること
を特徴とする潜熱輸送用水和物スラリーの流動抵抗低減方法。 - 前記包接型水和物スラリーがトリメチロールエタンクラスレートハイドレートを溶解混濁させた水溶液であり、前記無機水和物スラリーが酢酸ナトリウム三水和物を溶解混濁させた水溶液であり、
前記カチオン系抵抗低減剤として、アルキル又はアルキレントリメチルアンモニウム、アルキル又はアルキレンヒドロキシエチルジメチルアンモニウム、アルキル又はアルキレンビスヒドロキシエチルメチルアンモニウム、アルキル又はアルキレントリヒドロキシエチルアンモニウムの塩化物又は臭化物であり、アルキル基またはアルキレン基の炭素数が11〜22個の範囲のものを用いるとともに、
前記対イオンに、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸、m−クロロ安息香酸ナトリウム、m−クロロ安息香酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ナトリウムまたは3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を用いる
請求項1記載の潜熱輸送用水和物スラリーの流動抵抗低減方法。 - 前記包接型水和物スラリーにおけるトリメチロールエタンクラスレートハイドレートの固体粒子濃度の重量割合が最大で20%、好ましくは5〜15%前後であり、前記無機水和物スラリーにおける酢酸ナトリウム三水和物の固体粒子濃度の重量割合が最大で20%、好ましくは5〜15%前後であり、
前記トリメチロールエタンクラスレートハイドレートには塩化オレイルビスヒドロキシエチルメチルアンモニウムを、前記酢酸ナトリウム三水和物には塩化べへニルトリメチルアンモニウムをそれぞれ0.1〜0.2重量%添加するとともに、
前記対イオンであるサリチル酸ナトリウム、サリチル酸、m−クロロ安息香酸ナトリウム、m−クロロ安息香酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ナトリウムまたは3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を前記カチオン系抵抗低減剤に対しモル比で1:1以上〜1:10以下の濃度、好ましくはモル比で1:1.5の濃度となるように添加する
請求項2記載の潜熱輸送用水和物スラリーの流動抵抗低減方法。 - 包接型水和物スラリー又は無機水和物スラリーに、界面活性剤であるカチオン系抵抗低減剤および同カチオン系抵抗低減剤の対イオンを添加したこと
を特徴とする流動抵抗が低減された潜熱輸送用水和物スラリー。 - 前記包接型水和物スラリーがトリメチロールエタンクラスレートハイドレートを溶解混濁させた水溶液で、前記無機水和物スラリーが酢酸ナトリウム三水和物を溶解混濁させた水溶液であり、
前記カチオン系抵抗低減剤として、アルキル又はアルキレントリメチルアンモニウム、アルキル又はアルキレンヒドロキシエチルジメチルアンモニウム、アルキル又はアルキレンビスヒドロキシエチルメチルアンモニウム、アルキル又はアルキレントリヒドロキシエチルアンモニウムの塩化物又は臭化物であり、アルキル基またはアルキレン基の炭素数が11〜22個の範囲のものを用いるとともに、
前記対イオンとして、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸、m−クロロ安息香酸ナトリウム、m−クロロ安息香酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ナトリウムまたは3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を用いる
請求項4記載の流動抵抗が低減された潜熱輸送用水和物スラリー。 - 前記包接型水和物スラリーにおけるトリメチロールエタンクラスレートハイドレートの固体粒子濃度の重量割合が最大で20%、好ましくは5〜15%前後であり、前記無機水和物スラリーにおける酢酸ナトリウム三水和物の固体粒子濃度の重量割合が最大で20%、好ましくは5〜15%前後であり、
前記トリメチロールエタンクラスレートハイドレートにはカチオン系抵抗低減剤である塩化オレイルビスヒドロキシエチルメチルアンモニウムを、前記酢酸ナトリウム三水和物には塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムをそれぞれ0.1〜0.2重量%添加するとともに、
前記対イオンであるサリチル酸ナトリウムを前記カチオン系抵抗低減剤に対しモル比で1:1以上〜1:10以下の濃度、好ましくはモル比で1:1.5の濃度になるように添加した
請求項5記載の流動抵抗が低減された潜熱輸送用水和物スラリー。 - 冷房用サイクルと暖房用サイクルとを別系統にした冷暖房システムであって、
前記冷房用サイクルの冷熱媒体(又は低温媒体)として、界面活性剤であるカチオン系抵抗低減剤および同カチオン系抵抗低減剤の対イオンを添加した包接型水和物スラリーを使用し、
前記暖房用サイクルの熱媒体(又は高温媒体)として、界面活性剤であるカチオン系抵抗低減剤および同カチオン系抵抗低減剤の対イオンを添加した無機水和物スラリーを使用したこと
を特徴とする冷暖房システム。 - 前記冷房用サイクルの冷熱媒体(又は低温媒体)として、カチオン系抵抗低減剤である塩化オレイルビスヒドロキシエチルメチルアンモニウムおよび対イオンであるサリチル酸ナトリウムをそれぞれ添加した包接型水和物スラリーであるトリメチロールエタンクラスレートハイドレートを溶解混濁させた水溶液を使用し、
前記暖房用サイクルの熱媒体(又は高温媒体)として、カチオン系抵抗低減剤である塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムおよび対イオンであるサリチル酸ナトリウムをそれぞれ添加した無機水和物スラリーである酢酸ナトリウム三水和物を溶解混濁させた水溶液を使用した請求項7記載の冷暖房システム。 - 前記包接型水和物スラリーにおけるトリメチロールエタンクラスレートハイドレートの固体粒子濃度の重量割合が最大で20%、好ましくは5〜15%前後であり、前記無機水和物スラリーにおける酢酸ナトリウム三水和物の固体粒子濃度の重量割合が最大で20%、好ましくは5〜15%前後であり、
前記トリメチロールエタンクラスレートハイドレートにはカチオン系抵抗低減剤である塩化オレイルビスヒドロキシエチルメチルアンモニウムを、前記酢酸ナトリウム三水和物には塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムをそれぞれ0.1〜0.2重量%添加するとともに、
前記対イオンであるサリチル酸ナトリウムを前記カチオン系抵抗低減剤に対しモル比で1:1以上〜1:10以下の濃度、好ましくはモル比で1:1.5の濃度になるように添加する請求項8記載の冷暖房システム。
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