JP2005016896A - 熱搬送媒体及びこれを用いた熱搬送システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱供給側システム2及び熱利用側システム4を接続する往流路6と復流路8を通して熱搬送媒体を循環する熱搬送システム。熱供給側及び熱利用側システム2,4の熱交換器の伝熱管の流路径が所定値以下となるように、また流路6,8を規定する流路配管の内径が所定値を超えるように設定され、界面活性剤を含む水溶液(熱搬送媒体)は流路径が所定値を境として特性が変化し、所定値以下では、摩擦低減効果が小さく且つ熱伝達効果が大きい特性を示し、所定値を超えると、摩擦低減効果が大きく且つ熱伝達効果が小さい特性を示す。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、界面活性剤を含む水性液体を用い、熱供給側システムにて発生した熱を熱利用側システムに搬送する熱搬送システム及びこの熱搬送システムに用いる熱搬送媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、地域冷暖房システムにおいては、熱供給側システムとしての熱供給側プラント及び熱利用側システムとしての熱利用側ビルの空調装置を通して冷温熱媒体である水を循環させるための流路配管の長さは数km以上になることがあり、このように流路配管の長さが長くなると、その水搬送動力はかなり大きく、地域冷暖房システムのランニングコストの約60〜70%であるとも言われている。
【0003】
そこで、このランニングコストを抑えるために、流路配管を流れる水の水搬送動力を低減させる有効な方法として、粘弾性を示す界面活性剤を含む水溶液を熱搬送媒体として用い、界面活性剤による流動摩擦抵抗効果を利用して水搬送動力を低減させる方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4参照)。配管内を流動する水に特定の第四級アンモニウム塩と有機酸塩との混合物からなる界面活性剤を数10〜数1000ppm溶解させると、界面活性剤が水中で、疎水基部を中心に親水基部を外周部に配置してミセルを形成し、そのミセルが棒状の形態をなして高次に絡まって粘弾性を示し、この粘弾性により流動摩擦低減効果が得られるといわれている。
【0004】
しかし、上述した界面活性剤を添加した水溶液の特性として、流動摩擦抵抗の減少(換言すると、流動摩擦低減効果の増大)とともに、伝熱特性が低下する(換言すると、熱伝達効果が小さくなる)ことが知られている。そのため、このような界面活性剤を添加した水溶液を地域冷暖房システムやビル空調システムなどの熱搬送システムに利用した場合、流動摩擦抵抗の減少により水搬送動力も削減され、省エネルギー型熱搬送システムを構築することが可能となるが、熱供給側プラント及び熱利用側プラントの空調装置などに設置されている熱交換器での伝熱性能が低下する。この結果、界面活性剤を添加した水溶液を用いた熱搬送システムでは、界面活性剤を添加していない従来の水又は配管などの機器材料の腐食を防止する添加物を溶解した水溶液を熱搬送媒体に用いた熱搬送システムと比較すると、熱供給側プラント及び熱利用側プラントにおける熱交換器の伝熱部分の面積が大きくなり、熱交換器が大型化するという問題があった。
【0005】
このような界面活性剤の熱交換能力を回避する方法として、種々の方法が検討されており、その代表的一つの方法は、界面活性剤による棒状のミセルは、ある特定の温度以上の環境下においては高次の絡み合いが解れ、粘弾性が消失する性質を有しており、このような熱による粘弾性消失現象を利用したものである(例えば、特許文献5参照)。この現象を利用する場合、例えば、熱交換器内の界面活性剤が接触する一部分に加熱手段が設けられ、この加熱手段により界面活性剤水溶液が特定温度以上まで加熱され、この加熱によって、棒状ミセルの高次の絡み合いが解れ、かくして界面活性剤による粘弾性を消失させ、その状態で熱交換を行うことによって、熱交換器における伝熱性能を高めるものである。
【0006】
また、代表的な他の一つの方法は、高次に絡み合う棒状ミセルに所定値以上の剪断力が印加すると、この剪断作用によって、棒状ミセルの高次の絡み合いが一定時間解れ、粘弾性が消失する性質を有しており、このような剪断力による粘弾性消失現象を利用したものである(例えば、特許文献6及び特許文献7参照)。この現象を利用する場合、例えば、熱交換器の流入部付近に、剪断力を印加する剪断力付与手段(例えば、ミキサーや超音波照射装置など)が設置され、この剪断力付与手段により、所定値以上の剪断力が界面活性剤に付与され、この剪断力によって界面活性剤の棒状ミセルの高次の絡み合いが解れ、かくして、界面活性剤による粘弾性を消失させ、この状態の界面活性剤水溶液を熱交換器内に流入させて流すことによって、熱交換器における伝熱性能の低下を回避するものである。
【0007】
【特許文献1】
特公平3−76360号公報
【特許文献2】
特公平4−6231号公報
【特許文献3】
特公平5−47534号公報
【特許文献4】
特開平8−311431号公報
【特許文献5】
特許第2913007号公報
【特許文献6】
特開2000−121283号公報
【特許文献7】
特開2000−121284号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱による粘弾性消失現象を利用する場合、熱搬送システムにおける熱交換器(熱供給側システム及び/又は熱利用側システムにおける熱交換器)に、新たに加熱手段を設ける必要があり、これによって、設備コストが高くなる問題がある。また、冷房時の熱媒体として界面活性剤水溶液を用いると、加熱手段の加熱により、界面活性剤水溶液の温度が上昇するおそれがあり、熱冷媒としてのポテンシャルが低下する問題がある。
【0009】
一方、剪断力による粘弾性消失現象を利用する場合、熱搬送システムにおける熱交換器の流入部に、新たに剪断力付与手段を設置する必要があり、従って、この場合においても設備コストがアップする問題がある。また、剪断力付与手段による剪断力の付与の最適化が図れていないと、剪断力付与手段自体が流動抵抗になり、界面活性剤水溶液を流動抵抗低減のために用いても、その流動抵抗低減効果が目減りしてしまう問題がある。
【0010】
本発明の目的は、摩擦低減効果のある界面活性剤の水溶液を熱搬送媒体として用い、熱交換部においては熱交換能力が低下せず、且つ熱交換部以外の配管流路においては流動摩擦低減効果が発現する熱搬送システムを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、熱交換部においては熱交換能力の低下がなく、且つ熱交換部以外の配管流路においては流動摩擦低減効果が発現し、熱搬送システムに好都合に適用することができる熱搬送媒体を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、熱供給側システム及び熱利用側システムを接続する往流路と復流路を通して熱搬送媒体を循環する熱搬送システムにおいて、熱供給側システム及び/又は熱利用側システムに装備される熱交換器に用いられる伝熱管又は伝熱プレートの流路径又は流路間隔と、熱供給側システム及び熱利用側システムを接続する往流路及び復流路を規定する流路配管の内径とを、熱搬送媒体(即ち、界面活性剤を含む水溶液)の特性との関連で適切な値に設計することによって、上述した課題を解決できるとの知見を得て本発明に至った。また、本発明者らは、界面活性剤としての第四級アンモニウム塩は、流路径又は流路間隔により、流動摩擦低減効果及び熱伝達効果の程度が異なることを見出して本発明に至った。
【0013】
熱搬送媒体の所定流速範囲、即ち熱搬送システムの一般的な設計流速0.2〜3m/sの範囲において、流路径又は流路間隔が比較的大きい流路では摩擦低減効果が発現し、流路径又は流路間隔が比較的小さい流路では、摩擦低減効果がほとんど発現しない界面活性剤を新たに見出し、このような特性の界面活性剤を熱搬送システムに適用して本発明に至ったものである。界面活性剤を含む水溶液の熱交換特性効果(即ち、熱伝達特性効果)は、流動摩擦特性効果と共存するものであり、流動摩擦低減効果が発現する流動条件では、熱交換特性も低下し、また、摩擦低減効果が発現しない流動条件下では、熱交換性能は低下しない。
【0014】
一般的な都市エネルギー及び産業エネルギーにおける熱搬送システムにおいては、熱供給側システムと熱利用側システムとを接続する往流路及び復流路、即ち水輸送部分は流路配管が使用され、また、熱供給側システム及び/又は熱利用側システムにおける熱交換器は、円管銅管が並列に多数設けられたもの(シェルアンドチューブ型熱交換器)や、伝熱プレートを備えたもの(プレート型熱交換器)が使用される。プレート型熱交換器は、複数の金属製の伝熱プレートを数mmのギャップで平行に設置し、そのギャップ間に熱搬送媒体を流動して熱交換を行うものである。
【0015】
このような熱搬送システムにおいて、特定の熱搬送媒体(即ち、特定の界面活性剤を含む水溶液)、例えば第四級アンモニウム塩を添加した熱搬送媒体を用いると、流路径又は流路間隔の大きい輸送流路中(例えば、呼び径「20A」を超える配管)では、熱搬送媒体は流動摩擦低減効果を発現する(このとき、熱交換性能も低下する)が、流路径又は流路間隔の小さい熱交換器の熱交換部(例えば、呼び径「20A」以下の熱交換用管)では、流動摩擦低減効果を発現しないと同時に、熱交換性能の低下も発生しない。従って、従来の熱搬送システムの課題であった熱交換器(特に、その熱交換部)での熱交換性能の低下を極めて効率よく抑えることができるものである。
【0016】
現状のビル空調システム、排熱利用システムにおいては、一般的に、熱交換器に装備される伝熱管又は伝熱プレートは、流路径又は流路間隔が20mm未満のものが用いられ、また往流路及び復流路を規定する流路配管(媒体輸送管)は、内径が25mm以上のものが用いられ、このような熱搬送システムに適用することができる。
【0017】
本発明は、次の通りの熱搬送システム及び熱搬送媒体を提供するものである。即ち、請求項1に記載の発明は、熱供給側システム及び熱利用側システムを接続する往流路と復流路を通して熱搬送媒体を循環する熱搬送システムであって、
前記熱供給側システム及び/又は前記熱利用側システムにおいて熱搬送媒体との間で熱交換を行う熱交換器を備え、前記熱交換器に装備される伝熱管又は伝熱プレートの流路径又は流路間隔が所定値以下となるように設定され、前記往流路及び前記復流路を規定する流路配管の内径が前記所定値を超えるように設定されており、また前記熱搬送媒体は界面活性剤を含む水溶液であり、前記界面活性剤を含む水溶液は前記流路径又は流路間隔が前記所定値を境として特性が変化し、前記所定値以下では、摩擦低減効果が小さく且つ熱伝達効果が大きい特性を示し、前記所定値を超えると、摩擦低減効果が大きく且つ熱伝達効果が小さい特性を示すことを特徴とする。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の熱搬送システムにおいて、前記界面活性剤の特性が変化する所定値が実質上20mmであることを特徴とする。このように所定値を設置することによって、一般的なビル空調システム、排熱利用システムなどに広く適用することができる。
【0019】
また、請求項3に記載に発明は、請求項1又は2に記載の熱搬送システムに用いられる熱搬送媒体であって、
次の分子式で示される第四級アンモニウム塩型界面活性剤:
RN+((CH2)lOH)((CH2)mOH)((CH2)nOH)・A−
(RはC8〜C22のアルキル又はアルケニル基;A−は有機酸残基又はハロゲン化物イオン;l、m、nはそれぞれ1〜4)
と、有機酸塩とが、水性液体に添加されていることを特徴とする。このような熱搬送媒体を用いることによって、熱搬送システムの往流路及び復流路においては所望の流動摩擦低減効果が発現される一方、熱交換器においては所望の熱伝達効果が得られ、熱搬送システムの運転効率を高めることができる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の熱搬送システムに用いられる熱搬送媒体において、
次の分子式で示される第四級アンモニウム塩型界面活性剤:
RN+((CH2)nOH)3・A−
(RはC8〜C22のアルキル又はアルケニル基;A−は有機酸残基又はハロゲン化物イオン;nは1〜4)
と、有機酸塩とが、水性液体に添加されていることを特徴としている。このような熱搬送媒体を用いることによって、流路径(配管径)が数mm〜数mの範囲であって、この範囲内に特性が変化する所定値が設定される熱搬送システムに好都合に適用することができる。
【0021】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の熱搬送システムに用いられる熱搬送媒体において、
次の分子式で示される第四級アンモニウム塩型界面活性剤:
RN+((CH2)2OH)3・A−
(Rはオレイル基;A−はハロゲン化物イオン)
と、有機酸塩とが、水性液体に添加されていることを特徴とする。このような熱搬送媒体を用いることによって、ビル空調システム、排熱利用システムに好都合に適用することができる。
【0022】
更に、請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれかに記載の熱搬送媒体を用いて熱供給側システムから熱利用側システムに熱を搬送する熱搬送システムであって、
第四級アンモニウム塩型界面活性剤の濃度が500〜2000重量ppmであることを特徴とする。第四級アンモニウム塩型界面活性剤を上記所定濃度範囲にすることによって、往流路及び復流路における所望の流動摩擦低減効果、また熱交換器における所望の熱伝達効果が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。図1は、本発明の熱搬送システムを簡略的に示す図である。
図1において、この熱搬送システムは、熱搬送媒体に熱を供給する熱供給側システム2と、熱搬送媒体の熱を利用する熱利用側システム4とを備えている。熱供給側システム2と熱利用側システム4とは往流路6及び復流路8を介して接続され、往流路6及び復流路8は流路配管から構成される。往流路6には循環ポンプ10が配設され、復流路8には電磁流量計12が配設される。このような熱搬送システムでは、循環ポンプ10によって、熱搬送媒体が往流路6及び復流路8を通して矢印で示すように循環され、熱供給側システム2において供給された熱(温熱又は冷熱)が熱搬送媒体を介して往流路6を通して熱利用側システム4に送給され、この熱利用側システム4にて搬送された熱が利用される。そして、熱が利用された熱搬送媒体は復流路8を通して熱供給側システム2に戻され、このようにして熱搬送媒体が循環され、熱供給側システム2にて供給された熱が熱利用側システム4に供給される。尚、図1の例では循環ポンプ10は往流路6に、また電磁流量計12は復流路8に配設されているが、これらは特に限定されるものではなく、循環ポンプ10が復流路8に、また電磁流量計12が往流路6に配設されていてもよく、或いは循環ポンプ10及び電磁流量計12とも、往流路6に、又は復流路8に配設されていてもよい。
【0024】
このような熱搬送システムにおける熱供給側システム2の具体例は、例えば、ガス吸収式冷温水機、油吸収式冷温水機、ターボ冷凍機、ボイラーなどであり、また熱利用側システム4の具体例は、例えば、エアーハンドリングユニットやファンコイルユニットなどの空気調和装置、ファンコンベクターや床暖房装置などの暖房装置、プレート式熱交換器などの熱交換ユニットなどである。
【0025】
このような熱搬送システムでは、熱供給側システム2及び熱利用側システム4は、伝熱管又は伝熱プレートを備えた熱交換器(図示せず)を装備しており、システムを効率的に運転するには、熱搬送媒体として、往流路6及び復流路8においては流動摩擦低減効果が発現され、且つ熱交換器においては熱伝達効果(伝熱性能)が低下しない特性を有するものを用いることが重要である。
【0026】
このようなことから、熱搬送媒体としては、次の分子式、
RN+((CH2)lOH)((CH2)mOH)((CH2)nOH)・A−
(RはC8〜C22のアルキル又はアルケニル基;A−は有機酸残基又はハロゲン化物イオン;l、m、nはそれぞれ1〜4)
で示される第四級アンモニウム塩型界面活性剤を含む水溶液が望ましく、第四級アンモニウム塩型界面活性剤の具体例としては、セチルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムクロライド、オレイルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムクロライド、ステアリルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムクロライド、セチルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムブロマイド、オレイルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムブロマイド、ステアリルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムブロマイド、セチルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムアセテート、オレイルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムアセテート、ステアリルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムアセテート、セチルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムサルフェート、オレイルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムサルフェート、ステアリルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムサルフェート、セチルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムサリチレート、オレイルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムサリチレート、ステアリルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムサリチレート、セチルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムナフトエート、オレイルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムナフトエート、ステアリルヒドロキシメチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアンモニウムナフトエート、セチルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムクロライド、セチルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムブロマイド、セチルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムサルフェート、セチルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムサリチレート、セチルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムナフトエート、オレイルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムクロライド、オレイルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムブロマイド、オレイルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムサルフェート、オレイルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムサリチレート、オレイルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムナフトエート、ステアリルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムクロライド、ステアリルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムブロマイド、ステアリルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムサルフェート、ステアリルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムサリチレート、ステアリルビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキシプロピルアンモニウムナフトエート、セチルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムクロライド、セチルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムブロマイド、セチルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムサルフェート、セチルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムサリチレート、セチルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムナフトエート、オレイルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムクロライド、オレイルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムブロマイド、オレイルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムサルフェート、オレイルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムサリチレート、オレイルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムナフトエート、ステアリルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムクロライド、ステアリルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムブロマイド、ステアリルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムサルフェート、ステアリルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムサリチレート、ステアリルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムナフトエート、セチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド、セチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムブロマイド、セチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムサルフェート、セチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムアセテート、セチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムサリチレート、セチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムナフトエート、オレイルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド、オレイルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムブロマイド、オレイルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムサルフェート、オレイルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムアセテート、オレイルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムサリチレート、オレイルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムナフトエート、ステアリルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド、ステアリルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムブロマイド、ステアリルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムサルフェート、ステアリルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムアセテート、ステアリルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムサリチレート、ステアリルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムナフトエート、セチルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムクロライド、セチルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムブロマイド、セチルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムサルフェート、セチルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムアセテート、セチルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムサリチレート、セチルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムナフトエート、オレイルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムクロライド、オレイルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムブロマイド、オレイルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムサルフェート、オレイルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムアセテート、オレイルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムサリチレート、オレイルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムナフトエート、ステアリルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムクロライド、ステアリルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムブロマイド、ステアリルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムサルフェート、ステアリルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムアセテート、ステアリルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムサリチレート、ステアリルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムナフトエート、セチルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムクロライド、セチルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムブロマイド、セチルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムサルフェート、セチルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムアセテート、セチルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムサリチレート、セチルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムナフトエート、オレイルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムクロライド、オレイルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムブロマイド、オレイルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムサルフェート、オレイルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムアセテート、オレイルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムサリチレート、オレイルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムナフトエート、ステアリルトリ(ヒドロキシブチル)クロライド、ステアリルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムブロマイド、ステアリルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムサルフェート、ステアリルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムアセテート、ステアリルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムサリチレート、ステアリルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムナフトエートなどの一種又は二種以上の混合物があげられる。
【0027】
一般的に、熱搬送システムのビル空調システム、排熱利用システムにおいて、熱搬送媒体が流動する流路(熱交換器部分および輸送流路共)の現実的な配管径は、数mm〜数mの範囲であり、この配管径の範囲内に、前記所定値が設定されることから、第四級アンモニウム塩型界面活性剤としては、次の分子式、
RN+((CH2)nOH)3・A―
(RはC8〜C22のアルキル又はアルケニル基;A−は有機酸残基又はハロゲン化物イオン;nは1〜4)
で示されるものが更に好ましく、具体的にはセチルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムブロマイド、セチルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムサルフェート、セチルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムサリチレート、セチルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムナフトエート、オレイルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムクロライド、オレイルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムブロマイド、オレイルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムサルフェート、オレイルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムサリチレート、オレイルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムナフトエート、ステアリルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムクロライド、ステアリルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムブロマイド、ステアリルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムサルフェート、ステアリルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムサリチレート、ステアリルトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムナフトエート、セチルトリ(ヒドロキシエチル)クロライド、セチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムブロマイド、セチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムサルフェート、セチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムアセテート、セチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムサリチレート、セチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムナフトエート、オレイルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド、オレイルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムブロマイド、オレイルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムサルフェート、オレイルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムアセテート、オレイルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムサリチレート、オレイルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムナフトエート、ステアリルトリ(ヒドロキシエチル)クロライド、ステアリルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムブロマイド、ステアリルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムサルフェート、ステアリルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムアセテート、ステアリルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムサリチレート、ステアリルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムナフトエート、セチルトリ(ヒドロキシプロピル)クロライド、セチルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムブロマイド、セチルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムサルフェート、セチルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムアセテート、セチルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムサリチレート、セチルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムナフトエート、オレイルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムクロライド、オレイルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムブロマイド、オレイルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムサルフェート、オレイルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムアセテート、オレイルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムサリチレート、オレイルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムナフトエート、ステアリルトリ(ヒドロキシプロピル)クロライド、ステアリルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムブロマイド、ステアリルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムサルフェート、ステアリルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムアセテート、ステアリルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムサリチレート、ステアリルトリ(ヒドロキシプロピル)アンモニウムナフトエート、セチルトリ(ヒドロキシブチル)クロライド、セチルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムブロマイド、セチルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムサルフェート、セチルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムアセテート、セチルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムサリチレート、セチルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムナフトエート、オレイルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムクロライド、オレイルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムブロマイド、オレイルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムサルフェート、オレイルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムアセテート、オレイルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムサリチレート、オレイルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムナフトエート、ステアリルトリ(ヒドロキシブチル)クロライド、ステアリルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムブロマイド、ステアリルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムサルフェート、ステアリルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムアセテート、ステアリルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムサリチレート、ステアリルトリ(ヒドロキシブチル)アンモニウムナフトエートなどの一種又は二種以上の混合物があげられる。
【0028】
一般的に、熱搬送システムとしてのビル空調システム、排熱利用システムでは、熱交換器の伝熱管又は伝熱プレートの流路径又は流路間隔は20mm未満であり、熱供給側システム2及び熱利用側システム4を接続する往流路6及び復流路8の流路配管の内径は25mm以上であり、このようなことから、第四級アンモニウム塩型界面活性剤としては、次の分子式、
RN+((CH2)2OH)3・A−
(Rはオレイル基;A−はハロゲン化物イオン)
で示されるもの、具体的にはオレイルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライドが特に好ましい。
【0029】
熱搬送媒体に添加される第4級アンモニウム塩界面活性剤の濃度は、500〜2000重量ppmであるのが好ましく、500重量ppmより少ないと所望の流動摩擦低減効果が得られず、また2000重量ppmを越えると、所望の流動摩擦低減効果は得られるが、経済的でない。
【0030】
また、界面活性剤の疎水基部を中心に親水基部を外周部に配置してミセルを形成するために、この第四級アンモニウム塩型界面活性剤に混合される有機酸塩としては、有機スルホン酸塩、有機カルボン酸塩等の一種類又は二種類以上の混合物があげられる。有機スルホン酸塩、有機カルボン酸塩は、アルキル又はアルケニルスルホン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩類などであり、特に芳香族のスルホン酸塩又はカルボン酸塩が望ましい。具体的には、サリチル酸ナトリウム、1―ヒドロキシ、3−ナフトエ酸ナトリウムが好ましい。
【0031】
熱搬送媒体で溶媒として用いられる水性液体の中には、使用する環境などによって、各種薬剤が添加されていても良い。例えば、グリコールやアルコールなどの不凍剤、亜硝酸塩、モリブデン酸塩、アミン類などの金属配管腐食抑制剤などを含有させることができる。
【0032】
【実施例】
次に、本発明の効果を確認するために、次の通りの実験を行ったが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
<摩擦低減効果及び熱交換特性の計測>
図2は、熱搬送媒体の摩擦低減効果及び伝熱特性(熱交換特性)を評価するための評価装置の構成を示す図である。図2に示すように、10℃に調整した熱搬送媒体を媒体タンク22に充填し、循環ポンプ23により媒体タンク22内の熱搬送媒体を流路を規定する流路配管24,26を通して特性計測部28に導入する。特性計測部28には、伝熱管30と、伝熱管30の周りを覆うジャケット管32が設けられている。伝熱管30とジャケット管32とから構成される二重管(二重管熱交換器)の内側、即ちジャケット管32と伝熱管30との間の環状流路には、伝熱管30の管壁の温度が6℃になるように、約2〜3℃の冷水が常時一定流量で流入され、この冷水と伝熱管30内の熱搬送媒体との間で熱交換が行われ、伝熱管30内を流れる10℃の熱搬送媒体が冷却される。特性計測部28を流れた熱搬送媒体は流路配管34を通して媒体タンク22内に戻され、このようにして熱搬送媒体は流路配管24,26、特性測定部28及び流路配管34を通して循環される。また、流路配管24に電磁流量計38を配設し、配管流路24を流れる熱搬送媒体の流量を計測した。
【0033】
この評価装置では、冷却時の伝熱管30の管内側伝熱特性として総括伝熱係数を算出した。伝熱係数Uは、熱交換量Qを、伝熱面積Aと熱交換する2種類の媒体の温度差△Tで除した値である。言い換えると、単位時間及び単位伝熱面積当たり、熱交換する2種類の媒体の温度差が1℃である場合、どれくらいの熱交換量が得られるかを示すものである。この伝熱係数Uの値が大きいほど、熱交換能力(熱交換速度)が大きいことを意味する。ここで熱交換量Qは、次の式(1)、
Q=cM(T1−T2) ・・・(1)
c:熱搬送媒体の比熱(kJ/kg・℃)
M:熱搬送媒体の流量(kg/sec)
T1:熱搬送媒体の伝熱管入口温度(℃)
T2:熱搬送媒体の伝熱管出口温度(℃)
にて求めた。また、温度差△Tに関しては、熱搬送媒体側と冷水側の対数平均温度差とし、次の式(2)、
△T={(T1−t2)−(T2−t1)}/ln{(T1−t2)/(T2−t1)} ・・・(2)
t1:冷水のジャケット管入口温度(℃)
t2:冷水のジャケット管出口温度(℃)
にて求めた。また、伝熱管30の入口部と出口部の差圧を微差圧計36で計測することにより、圧力損失△Pを計測した。
【0034】
熱搬送媒体として界面活性剤水溶液を用いた場合の摩擦低減率DR(%)及び伝熱率HT(%)は、それぞれ、以下の式(3)及び(4)、
DR(%)=(△Pw―△Ps)/△Pw×100 ・・・(3)
△Pw:熱搬送媒体として水道水を用いた時の圧力損失
△Ps:熱搬送媒体として界面活性剤水溶液を用いた時の圧力損失
HT(%)={1−(△Uw―△Us)/△Uw}×100 ・・・(4)
△Uw:熱搬送媒体として水道水を用いた時の総括伝熱係数
△Us:熱搬送媒体として界面活性剤水溶液を用いた時の総括伝熱係数
にて算出した。摩擦低減率DR(%)の値が大きいほど摩擦低減効果が大きいことを示し、また、伝熱率HT(%)の値が大きいほど伝熱低下が少ないことを示す。
【0035】
実施例
実施例の熱搬送媒体として、オレイルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド[分子式:C18H35N+(CH2CH2OH)3・Cl−;以下、「OTHAC」と記す。]とサリチル酸ナトリウムを水に添加したものを用いた。このときのOTHACの濃度は1000重量ppmとした。OTHACとサリチル酸ナトリウムの混合比は、モル比で1:1.5とした。
【0036】
比較例1
比較例1の熱搬送媒体として、セチルトリメチルアンモニウムクロライド[分子式:C16H33N+(CH3)3・Cl−;以下、「CTAC」と記す。]とサリチル酸ナトリウムを水に添加したものを用いた。このときのCTACの濃度は1000重量ppmとした。CTACとサリチル酸ナトリウムの混合比は、モル比で1:1.5とした。
【0037】
比較例2
比較例2の熱搬送媒体として、オレイルビス(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムクロライド[分子式:C18H35N+(CH2CH2OH)2CH3・Cl−;以下、「ODEAC」と記す。]とサリチル酸ナトリウムを水に添加したものを用いた。このときのODEACの濃度は1000重量ppmとした。ODEACとサリチル酸ナトリウムの混合比は、モル比で1:1.5とした。
【0038】
図3及び図4は、種々の配管径の伝熱管を用いたときの配管径と摩擦低減率DRとの関係を示す図であり、図3は熱搬送媒体の流速が1m/sである場合、また図4は熱搬送媒体の流速が2m/sの場合の評価実験結果を示す。いずれの流速の場合においても、実施例では配管径約20mmを境にして、それより小さい配管径では摩擦低減率DRはほとんどどなく、それより大きい配管径では摩擦低減率DRが大きく増加していることが分かった。一方、いずれの流速の場合においても、比較例1及び2では、配管径が小さいと摩擦低減率DRは30〜40%で、配管径が大きいほど、摩擦低減率DRは増加する傾向にあり、実施例のように配管径約20mmを境に大きく変化しなかった。
【0039】
また、図5及び図6は、種々の配管径の伝熱管を用いたときの配管径と伝熱率HTとの関係を示す図であり、図5は熱搬送媒体の流速が1m/sである場合、また図6は熱搬送媒体の流速が2m/sである場合の評価実験結果を示す。いずれの流速の場合においても、実施例では配管径約20mmを境にして、それより小さい配管径では伝熱率HTはほぼ100%である、即ち水道水とほぼ同じ総括伝熱係数値を示すが、それより大きい配管径では伝熱率HTが大きく減少していくことが分かった。一方、比較例1及び2では、流速が1m/sである場合に、配管径に係わらず、伝熱率HTはほぼ20%と小さい値であり、また流速が2m/sである場合に、配管径が大きいほど伝熱率HTは小さくなる傾向にあるが、実施例のように配管径約20mmを境に大きく変化しないことが分かった。
【0040】
以上の結果より、実施例の熱搬送媒体を用いた場合、配管径20mmを境にして、それより小さい径の配管を用いたときには摩擦低減効果及び伝熱低下は発生せず、それより大きい計の配管を用いたときには摩擦低減効果及び伝熱低下が発生することが分かった。依って、実施例で用いた界面活性剤水溶液を熱搬送媒体に使用し、熱交換器の伝熱管の流路径又は流路間隔を20mm以下にする一方、熱交換器以外の輸送配管(流路配管)の流路径を20mmを超えるように熱搬送システムを構築することによって、熱交換器での熱交換能力を低下させることなく、且つ輸送配管での輸送動力を削減できることが確認できた。
【0041】
現在、一般的なビル空調システム、排熱利用システムにおいては、熱交換器内の伝熱管には、通常、流路径又は流路間隔が20mm未満のものが用いられ、また、媒体輸送管(往流路及び復流路の流路配管)には、通常、流路径25mm以上の配管が用いられるので、現状の熱搬送システムに実施例の熱搬送媒体を適用することによって、熱交換器及び輸送配管の交換なしに効果的な輸送動力削減効果が得られる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、流路径又は流路間隔が所定値を超えると摩擦低減効果が発現し、流路径又は流路間隔が所定値以下では摩擦低減効果がほとんど発現しないので、流路径又は流路間隔の小さい熱交換器の熱交換部では、流動摩擦低減効果を発現しないと同時に、熱交換性能の低下も発生せず、熱交換器での熱交換性能の低下を極めて効率よく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う熱搬送システムを簡略的に示す図である
【図2】実施例及び比較例で用いた評価装置を簡略的に示す図である。
【図3】熱搬送媒体を流速1m/sで流した場合における配管径と摩擦低減率DRとの関係を示す図である。
【図4】熱搬送媒体を流速2m/sで流した場合における配管径と摩擦低減率DRとの関係を示す図である。
【図5】熱搬送媒体を流速1m/sで流した場合における配管径と伝熱率HTとの関係を示す図である。
【図6】熱搬送媒体を流速2m/sで流した場合における配管径と伝熱率HTとの関係を示す図である。
【符号の説明】
2 熱供給側システム
4 熱利用側システム
6 往流路
8 復流路
10 循環ポンプ
28 特性測定部
30 伝熱管
32 ジャケット管
Claims (6)
- 熱供給側システム及び熱利用側システムを接続する往流路と復流路を通して熱搬送媒体を循環する熱搬送システムであって、
前記熱供給側システム及び/又は前記熱利用側システムにおいて熱搬送媒体との間で熱交換を行う熱交換器を備え、前記熱交換器に装備される伝熱管又は伝熱プレートの流路径又は流路間隔が所定値以下となるように設定され、前記往流路及び前記復流路を規定する流路配管の内径が前記所定値を超えるように設定されており、また前記熱搬送媒体は界面活性剤を含む水溶液であり、前記界面活性剤を含む水溶液は前記流路径又は流路間隔が前記所定値を境として特性が変化し、前記所定値以下では、摩擦低減効果が小さく且つ熱伝達効果が大きい特性を示し、前記所定値を超えると、摩擦低減効果が大きく且つ熱伝達効果が小さい特性を示すことを特徴とする熱搬送システム。 - 請求項1に記載の熱搬送システムにおいて、前記界面活性剤の特性が変化する所定値が実質上20mmである熱搬送システム。
- 請求項1又は2に記載の熱搬送システムに用いられる熱搬送媒体であって、
次の分子式で示される第四級アンモニウム塩型界面活性剤:
RN+((CH2)lOH)((CH2)mOH)((CH2)nOH)・A−
(RはC8〜C22のアルキル又はアルケニル基;A−は有機酸残基又はハロゲン化物イオン;l、m、nはそれぞれ1〜4)
と、有機酸塩とが、水性液体に添加されていることを特徴とする熱搬送媒体。 - 請求項3に記載の熱搬送システムに用いられる熱搬送媒体において、
次の分子式で示される第四級アンモニウム塩型界面活性剤:
RN+((CH2)nOH)3・A−
(RはC8〜C22のアルキル又はアルケニル基;A−は有機酸残基又はハロゲン化物イオン;nは1〜4)
と、有機酸塩とが、水性液体に添加されている熱搬送媒体。 - 請求項4に記載の熱搬送システムに用いられる熱搬送媒体において、
次の分子式で示される第四級アンモニウム塩型界面活性剤:
RN+((CH2)2OH)3・A−
(Rはオレイル基;A−はハロゲン化物イオン)
と、有機酸塩とが、水性液体に添加されている熱搬送媒体。 - 請求項3〜5のいずれかに記載の熱搬送媒体を用いて熱供給側システムから熱利用側システムに熱を搬送する熱搬送システムであって、
第四級アンモニウム塩型界面活性剤の濃度が500〜2000重量ppmであることを特徴とする熱搬送システム。
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