JP3671450B2 - 流体用流れ促進剤及びそれを用いる熱エネルギー移送方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、流体流れ促進剤及びそれを用いる熱エネルギー移送方法に関するものである。また、本発明は、特に棒状ミセルを形成する界面活性剤を添加した冷温水を冷熱媒移送管及び放熱器内に流通せしめることを特徴とする省エネルギー型の冷温水式冷暖房方法及びそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば地域冷暖房システムは近年注目を浴びている。その中でも熱輸送・運搬は長距離にわたるので、かなりの熱損失および圧力損失があり、実用上これが大きな障害となりその普及に大きなネックとなっている。
こうした流体の長距離にわたる輸送・運搬における上記した問題、特に流体の管内乱流を制御し抗力減少を図ったりするために様々な努力が払われている。
ところで石油移送のための石油パイプラインなどでは、石油の移送時の管内乱流を制御し抗力減少を図るため高分子添加剤を添加して解決することが従来より検討され、例えばアラスカ・パイプラインなどではこういった抗力減少技術が実用化されてもいる。
ところが、地域冷暖房システムのような閉鎖循環システムでは、管内流体は長期にわたり繰り返し使用されるため、高分子を添加剤とすると機械的劣化、特には高分子鎖の切断などが避けられず、その結果管内流体中に劣化した添加物が残留することとなり高分子添加剤を添加して上記問題を解決することは、地域冷暖房システムなどでは適当でないとされている。
最近、高分子添加剤に代えて界面活性剤をこういった地域冷暖房システムの熱媒に添加することが検討されてきているが、未だ高い温度域だけでなく低い温度域の冷房や暖房、特には冷温水式の空調システムにおいて満足できるものが見出されていなかった。
こうした地域冷暖房システムにおいて特にその開発が求められている高い温度域だけでなく、特には低い温度域の冷房や暖房を扱うことのできる冷温水式の空調システムにおける技術の開発が強く求められている。
【0003】
【課題を解決する手段】
本発明者等は、低い温度域の冷房や暖房を扱うことのできる冷温水式の空調システムにおける熱媒体である冷温水の抗力を減少させ、長期に渡り閉鎖系で使用しうる方法を開発すべく種々検討を重ね、その結果界面活性剤としてN,N−ビス(末端ヒドロキシ置換アルキレン)−N−高級アルキル又は高級アルケニル置換アンモニウム塩とそれと対イオンとなるサリチル酸塩を冷温水中に添加すると移送管内の冷温水の抗力を顕著に減少しうることを見出した。
本発明者等は、こうした冷温水熱媒体を利用し、地域冷暖房システム等空調システムを構成すると該システム装置が優れた機能を有すること、さらにそのシステム処理装置で用いるに適した方法は簡単な操作でかつ経済上のメリットも大きく、環境への悪影響が少ないばかりか予想外の優れた作用効果も期待できることを見出し、本発明を完成したものである。
【0004】
本発明により、冷温水式の空調システムにおいて、特に棒状ミセルを形成する界面活性剤を添加した冷温水を冷熱媒移送管及び放熱器内に流通せしめることを特徴とする省エネルギー型の冷温水式冷暖房方法及びそのための装置が提供される。
本発明の目的は、冷温水発生地点から放熱地点までの熱媒体移送区間(熱媒輸送セクション)で、低いポンプ動力で移送でき、このためポンプなど所要動力を大幅に削減したり、広い地域を対象としてシステム装置の効率化を図ることにある。
こうして本発明により、N,N−ビス(末端ヒドロキシ置換アルキレン)−N−高級アルキル又は高級アルケニル置換アンモニウム塩とそれと対イオンとなるサリチル酸塩を含有することを特徴とする流体用流れ促進剤及び該流体用流れ促進剤を冷温水中に添加してあることを特徴とする冷温水式の空調システム、さらには冷温水式の空調システムにおいて冷温水中にN,N−ビス(末端ヒドロキシ置換アルキレン)−N−高級アルキル又は高級アルケニル置換アンモニウム塩とそれと対イオンとなるサリチル酸塩を添加して熱媒の移送抗力を低下せしめることを特徴とする方法が提供される。
特に本発明の流体用流れ促進剤は、
【0005】
【化3】
【0006】
(式中、R1は炭素数12〜26個のアルキル基又は炭素数12〜26個のアルケニル基で、R2はメチル基又はヒドロキシエチル基で、Xは1〜4の整数で、Yは1〜4の整数で、Aは塩素、又は臭素を表し、Bはサリチル酸塩、例えばサリチル酸アルカリ金属塩を表す。但しアンモニウム塩成分とサリチル酸塩成分は任意の割合であってよい。)
【0010】
を含有することを特徴とする。
特に好ましくは
【0011】
【化4】
【0012】
(式中、R1はオレイル基で、R2はメチル基で、Xは2で、Yは2で、Aは塩素、又は臭素を表し、Bはサリチル酸ナトリウム塩あるいはサリチル酸カリウム塩などを表す。但しアンモニウム塩成分とサリチル酸塩成分は任意の割合であってよい。)
【0013】
を含有する流体用流れ促進剤が挙げられる。
上記式中、Bは対イオン成分で、それ以外の部分は界面活性剤成分である。
上記流体用流れ促進剤のうち界面活性剤成分としては、例えばオレイルビスヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド(エソカード(ESO)O/12、帯電防止剤として販売されている)などが挙げられ、対イオン成分としては、例えばサリチル酸ナトリウム塩などが挙げられる。
本発明の流体用流れ促進剤には、さらに導管などの金属などが腐食するのを防ぐための防蝕剤や防錆剤を配合できる。こうした目的に配合できるものとしては、例えば市販の防蝕剤や防錆剤を用いることができるが、これらに限定されない。
さらに消泡剤などを配合することもできる。消泡剤としては、例えば市販のものを用いることができるが、これらに限定されない。
攪乱流体や攪乱流動性液体がそれらの接する境界となる壁の所あるいは静止体との境の面で摩擦抵抗を受けることは一般的に知られている。こうした摩擦抵抗が極少量の特定の物質を流体や流動性液体に添加することで低下しうることも知られている。これらの作用を有するものは一般に抗力減少化剤(drag reducing agents)とか、流れ促進剤と呼ばれている。
従って、流れ促進剤とは僅かな量で攪乱される流動性液体や流体あるいは脈動性の液体に添加されてその液体や流体の流動性を速くさせたり、それら流体の送出あるいは移送を高めたり、所定のポンプにて所定の導管を通したときより多くの液体を運搬することを可能にするものを意味する。
こうして本発明の流体用流れ促進剤を使用すれば、例えば導管を標準稼働状態でフル稼働させることができ、そして一定の時間に最高の量を運搬することを可能にすることから、工業的な利益に資するところが非常に大きい。この流れ促進剤を使用すれば、所定のポンプ動力で多量の液を運搬することができ、こうして大量のエネルギーの移動・運搬を可能にする。特に冷温水式の空調システムにおいて、熱媒を介しての熱(冷気)の移動を効率よく果たすことを可能にするので、エネルギーの節約などの工業的・経済的利益をもたらす。さらに導管内への流体の装填量を少なくしたい場合には、本発明の流体用流れ促進剤を使用すれば圧力損失を減少させることができるのでより小さな断面の管を用いることができ、運転時の経済性を改善できる。
【0014】
従来水又は水性溶液、特には冷温水のための流れ促進剤として優れた性状のものは得られていなかった。例えば高分子化合物からなる界面活性剤を用いると、例えばポンプの中あるいは管壁に近い攪乱界層中の如き高いせん断力の働く場合、さらに延伸応力の働く領域などにおいて機械的分解などを起こし、流れ促進剤としてのその能力を不可逆的に失うからである。冷却用循環系あるいは同じ水溶液が導管系を通して常にポンプ循環されている地域冷暖房ネットワークのような閉鎖式の水循環系では、高分子添加物の場合不可逆的な機械的分解により有効な高分子物質が失われ、絶えず連続的に変成物の除去と新たな高分子添加物の添加が必要となり不適当であり、経済的にも問題である。
本発明の流体用流れ促進剤は、こうした欠点がなく、冷温水使用下で長期に渡り、連続的な応力負荷の下でも流れ促進剤として有効でかつその有効性の低下も示さないことが判った。
本発明の冷温水式の空調システムでは、上記流体用流れ促進剤を冷温水中に添加してあることを特徴とする。こうした冷温水式の空調システムは、熱源地点から放熱地点までの熱媒移送管内で熱媒である冷温水の抗力減少を上記流体用流れ促進剤を極少量添加して達成し、熱媒移送時における伝熱抵抗を低下せしめ、熱エネルギーのロスを大幅に低減せしめ、さらに放熱地点あるいは吸熱地点での熱交換器内では伝熱効率を高めて放熱あるいは吸熱を良好にするものである。
本発明の代表的な冷温水式の空調システムでは、熱源地点と放熱地点との間の直径約5〜200mm、好ましくは約10〜100mmの熱媒移送管内に、液温約1〜90℃、好ましくは約2〜70℃であり、
【0015】
【化5】
【0016】
(式中、R1は炭素数12〜26個のアルキル基又は炭素数12〜26個のアルケニル基で、R2は炭素数1〜4個のアルキル基又はヒドロキシ基で置換された炭素数1〜4個のアルキル基で、Xは1〜4の整数で、Yは1〜4の整数で、Aはハロゲン例えば塩素、臭素などの陰イオンを表し、Bはサリチル酸塩、例えばサリチル酸アルカリ金属塩を表す。但しアンモニウム塩成分とサリチル酸塩成分は任意の割合であってよい。)、特に好ましくは
【0019】
【化6】
【0020】
(式中、R1はオレイル基で、R2はメチル基で、Xは2で、Yは2で、Aは塩素、又は臭素を表し、Bはサリチル酸ナトリウム塩あるいはサリチル酸カリウム塩などを表す。但しアンモニウム塩成分とサリチル酸塩成分は任意の割合であってよい。)
【0021】
を約50〜800ppm、好ましくは約100〜500ppm、すなわち該アンモニウムイオン成分とサリチル酸塩成分それぞれ約50〜800ppm、好ましくは約100〜500ppm含有の冷温水を壁面せん断速度約450〜40,000γ(1/s)、好ましくは約500〜35,000γ(1/s)で流通せしめることを特徴としている。
本発明では、特に熱源地点と放熱地点との間の直径10〜100mmの熱媒移送管内に、液温2〜70℃であり、
【0022】
【化7】
【0023】
(式中、R1はオレイル基で、R2はメチル基で、Xは2で、Yは2で、Aは塩素、又は臭素を表し、Bはサリチル酸ナトリウム塩あるいはサリチル酸カリウム塩などを表す。但しアンモニウム塩成分とサリチル酸塩成分は任意の割合であってよい。)
【0024】
を100〜500ppm、すなわち該アンモニウムイオン成分とサリチル酸塩成分それぞれ100〜500ppm含有の冷温水を壁面せん断速度500〜35,000γ(1/s)で流通せしめ、熱媒の移送抗力を低下せしめる方法であることを特徴としている。
【0025】
熱媒としての冷温水の移送管の直径は、好ましくは約5〜200mm、さらに好ましくは約10〜100mmであり、この範囲より小さい場合は熱媒の送水能力に不足を生じ十分な熱媒の供給が困難となり、さらにこの範囲を越えると配管コストが高くなりすぎるという問題が生じる。
本発明の流体用流れ促進剤である該アンモニウムイオン成分(界面活性剤成分)は、約50〜800ppm、好ましくは約100〜500ppm含有せしめることができ、この範囲より少ないと、抗力減少効果が不満足となり、またこの範囲を越えても抗力減少効果の割りにはそれの使用量の増大によるコスト上昇が問題となる。移送管における熱媒としての冷温水の流通は、壁面せん断速度約450〜40,000γ(1/s)、好ましくは約500〜35,000γ(1/s)で行なうのがよいが、そうすることにより熱媒の抗力減少効果が良好となるばかりでなく、熱媒の熱エネルギー・ロスが防止できる。この範囲よりも低いと、効果は低くなり、移送途中における熱媒の熱エネルギー・ロスの問題を生じる。またこの範囲を越えると、熱媒の熱エネルギー・ロスが急激に増大する。
一方熱媒温水から放熱を行ないたい場合、放熱地点(例えば一般家庭のヒーター部など)で配管径が5〜20mmの場合、1,000γ(1/s)未満の壁面せん断速度又は40,000γ(1/s)を越える壁面せん断速度で通過させると、熱媒の熱エネルギー・ロスが増大し、結果として放熱効果が増大しヒーターとしては優れたものとなることには留意する必要がある。
【0026】
【実施例】
次に実施例を示して、本発明を更に具体的に説明する。
実施例1
図1に示す冷温水式の空調システムを用いた。図1中冷温水発生機1と各部屋に設置されたファンコイルユニット2〜7の熱交換機とを熱媒移送管8〜17で結んで、熱媒(冷温水)の抗力減少化効果及び伝熱抵抗抵抗低減効果についてテストした。図1中10、11、及び13は往路移送管で、12、14、及び15は復路移送管で、18は循環ポンプ、19はインバーター、20は電源、21は流量計、22及び23はヘッダー、24は一次ポンプである。
冷温水発生機としては、吸収式冷温水発生機を使用した。循環ポンプは、S型片吸込渦巻きポンプ1.5kwを使用し、熱媒移送管のパイプ径はそれぞれ20mm、32mm、40mm、50mm、及び65mmのものをその空調システム中に含んでいた。熱媒移送管のパイプの総延長は220mであった。該空調システム中の保有水量は1.54立方メートルである。各部屋に設置されたファンコイルユニットは、1階部分の5〜7と2階部分の2〜4とからなっていた。インバーターは汎用インバーター2.2kwのものを使用し、冷温水の温度範囲は冷水6℃とし、温水60℃とした。流量計は超音波流量計を用い、パイプ径65mmの部分に設置し、そこの流速を測定した。ポンプの吐出圧力、熱媒(冷温水)の温度、電源からの電流値をそれぞれ測定した。
【0027】
先ず最初に水道水を使用し、実際に稼働している状態として運転し、インバーターによるモーターの回転数制御を行い、各周波数毎のポンプのモーターの回転数制御を行い、ポンプの各回転数毎のポンプの吐出圧力、熱媒(冷温水)の温度、パイプ径65mmの部分の流速を測定した。
次に本発明の流体用流れ促進剤を添加し水道水と同様に測定した。またインバーターを用いて周波数を下げていき、流速が水道水の時と同じになるように設定し、その時の電流値を比較し、節減量を求めた。
本発明の流体用流れ促進剤として、オレイルビスヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド(エソカード(ESO)O/12、帯電防止剤として販売されている)を200ppm、そして対イオン成分としてサリチル酸ナトリウム塩を200ppmの同量添加した。
【0028】
得られた結果を、図2〜6に示す。図2より本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合、7℃という冷水循環の冷房条件で50Hzで、水道水で60Hzと同程度で、60Hzでははるかに優れた流速を得られた。図3より本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合、7℃という冷水循環の冷房条件で周波数を60Hzから50Hzに落とすことにより電力量が1657Wから1082Wに大幅に削減できることがわかる。
図4より本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合、55℃という温水循環の暖房条件で50Hzで、水道水で60Hzと同程度で、60Hzでははるかに優れた流速を得られた。図5より本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合、55℃という温水循環の暖房条件で周波数を60Hzから50Hzに落とすことにより電力量が1455Wから935Wに大幅に削減できることがわかる。
図6には、2℃、10℃、25℃、50℃、70℃及び80℃の熱媒(冷温水)を用いた時で、本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合の熱媒移送管のパイプ径20mmでの流速と抗力減少の関係を示す。本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合低温の熱媒(冷温水)を用いても大変優れた抗力減少効果が得られた。また本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合温水域でも優れた抗力減少効果が得られていた。
【0029】
実施例2
実施例1と同様な装置(図1)を用い、本発明の流体用流れ促進剤として、オレイルビスヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド(エソカード(ESO)O/12、帯電防止剤として販売されている)を用い、そして対イオン成分としてサリチル酸ナトリウム塩(Na−Sal)を使用した。
(1)ESO O/12を200ppm、そしてNa−Salを120ppm使用するか、
(2)ESO O/12を500ppm、そしてNa−Salを300ppm使用する。
壁面せん断速度(γ)に対する抗力減少率(DR)の温度依存性を測定した。結果を表1及び表2に示す。さらに得られた結果から各温度における抗力減少の起こる割合が最大となる抗力減少率(DR)に対して80%まで低下した時の壁面せん断速度を、特に臨界壁面せん断速度(γc)と定義し、その値を算出した。
表1及び表2にはそのそれぞれの温度に対する臨界壁面せん断速度(γc)の値も示してある。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
図7はESO O/12を200ppm、そしてNa−Salを120ppm添加した場合の各温度における壁面せん断速度(γ)に対する抗力減少率(DR)を示す。図8はESO O/12を500ppm、そしてNa−Salを300ppm添加した場合の各温度における壁面せん断速度(γ)に対する抗力減少率(DR)を示す。
熱媒移送管のパイプ径11.4mm及び40mmにおける(1)ESO O/12を200ppm、そしてNa−Salを120ppm使用するか、(2)ESO O/12を500ppm、そしてNa−Salを300ppm使用する場合の各温度における壁面せん断速度(γ)と抗力減少率(DR)を測定した。
図9は25℃における配管径による壁面せん断速度(γ)と抵力減少率(DR)の関係を示す。図10は40℃における配管径による壁面せん断速度(γ)と抵力減少率(DR)の関係を示す。
図11は温度と壁面せん断速度(γ)との関係を示す。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、(1)熱源地点から熱交換機の放熱地点までの熱媒(冷温水)移送時における抗力を大幅に低減できるため、小さな能力の送水ポンプでの送出が可能であり、又インバーターなどを用いればポンプのモーターの回転数を制御してより少ない電力消費とすることが可能であり、省エネルギーを達成でき、(2)抗力減少するための熱媒移送管の直径を縮減することができるので、使用熱媒の量を減らすことができ、さらに流体用流れ促進剤の量を減らすことができる。こうして高揚程用のポンプとして使用送水ポンプを用いることができ、ビル等建物の高い所での使用も容易になる。
本発明によれば、(3)熱源地点から放熱地点までの熱媒(冷温水)移送管における伝熱抵抗を低下することができるので、熱エネルギーのロスを大幅に低減することができ、(4)添加剤の使用濃度も非常に低濃度となすことができるので、材料コストを低減できる一方、移送管、ポンプ等の腐食などを防止することもできる。さらに既存の空調システムにも簡単に応用が可能で、優れた効果がえられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷温水式の空調システムの概念図を示す。
【図2】本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合、7℃という冷水循環の冷房条件での各周波数と流速との関係を示す。
【図3】本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合、7℃という冷水循環の冷房条件での電力量と各周波数との関係を示す。
【図4】本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合、55℃という温水循環の暖房条件での各周波数と流速との関係を示す。
【図5】本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合、55℃という温水循環の暖房条件での電力量と各周波数との関係を示す。
【図6】本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合、2℃、10℃、25℃、50℃、70℃及び80℃のという条件でのレイノルズ数と管内摩擦係数の関係を示す。
【図7】本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合の各温度における壁面せん断速度(γ)に対する抗力減少率(DR)を示す。
【図8】本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合の各温度における壁面せん断速度(γ)に対する抗力減少率(DR)を示す。
【図9】本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合の25℃における各配管径と壁面せん断速度(γ)と抵力減少率(DR)の関係を示す。
【図10】本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合の40℃における配管径と壁面せん断速度(γ)と抵力減少率(DR)の関係を示す。
【図11】本発明の流体用流れ促進剤を添加した場合の温度と壁面せん断速度(γ)との関係を示す。
Claims (8)
- 次式の成分
- 次式の成分
- 熱源地点と放熱又は吸熱地点との間の直径5〜200mmの熱媒移送管内に、請求項1又は2に記載の流体用流れ促進剤を50〜800ppm含有せしめた液温1〜90℃の冷温水を壁面せん断速度450〜40,000γ(1/s)で流通せしめることを特徴とする流体用流れ促進剤を用いる熱エネルギー移送方法。
- 熱源地点と吸熱地点との間の直径5〜200mmの熱媒移送管内に、請求項1又は2に記載の流体用流れ促進剤を50〜800ppm含有せしめた液温2〜25℃の冷水を壁面せん断速度450〜9,000γ(1/s)で流通せしめることを特徴とする流体用流れ促進剤を用いる熱エネルギー移送方法。
- 熱源地点と放熱又は吸熱地点との間の直径5〜200mmの熱媒移送管内に、請求項1又は2に記載の流体用流れ促進剤を50〜800ppm含有せしめた液温40〜75℃の温水を壁面せん断速度2,000〜40,000γ(1/s)で流通せしめることを特徴とする流体用流れ促進剤を用いる熱エネルギー移送方法。
- 熱源地点と吸熱又は放熱地点との間の直径5〜200mmの熱媒移送管内に、請求項1又は2に記載の流体用流れ促進剤を50〜800ppm含有せしめた液温1〜90℃の冷温水を壁面せん断速度450〜40,000γ(1/s)で流通せしめることを特徴とする流体用流れ促進剤を用いる冷温水式の空調システム。
- 熱源地点と吸熱地点との間の直径5〜200mmの熱媒移送管内に、請求項1又は2に記載の流体用流れ促進剤を50〜800ppm含有せしめた液温2〜25℃の冷水を壁面せん断速度450〜9,000γ(1/s)で流通せしめることを特徴とする流体用流れ促進剤を用いる冷温水式の空調システム。
- 熱源地点と放熱地点との間の直径5〜200mmの熱媒移送管内に、請求項1又は2に記載の流体用流れ促進剤を50〜800ppm含有せしめた液温40〜75℃の温水を壁面せん断速度2,000〜40,000γ(1/s)で流通せしめることを特徴とする流体用流れ促進剤を用いる冷温水式の空調システム。
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