JP4258971B2 - スタータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライブレバーを介してピニオンを軸方向に移動させて内燃機関のリングギヤに噛み合わせる方式のスタータに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境に対する社会のニーズ(燃費規制、排ガス規制等)により、エンジンに付属する吸気管や触媒が大型化し、あるいは補機類等が増加している。このため、スタータの取付けスペースが小さくなってきており、スタータの全長短縮が望まれている。
このスタータの全長短縮を可能とする従来技術として、図4に示す様に、ドライブレバー100の揺動中心であるボス部110の一部をセンタケース120(またはモータのヨーク)と軸方向にラップさせる構成が公知である(例えば実公平7−46772号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の従来技術では、樹脂製のドライブレバー100を用いると、レバー自体の強度を確保するために、ある程度ボス部110の径を大きくする必要がある。その結果、図4(b)に示す様に、センタケース120の外周面からボス部110の中心までの距離aが大きくなるため、必然的に二軸間(モータ軸とマグネットスイッチの作動中心との間)の距離L1 が大きくなり、径方向に大型化するという問題を生じる。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、ドライブレバーを介してピニオンを軸方向に移動させて内燃機関のリングギヤに噛み合わせる方式のスタータにおいて、軸方向の全長短縮を実現でき、且つ径方向にも小型化できるスタータを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の手段)
回転力を発生する始動モータと、この始動モータの出力軸上に具備されるピニオンとを有し、マグネットスイッチによりドライブレバーを駆動し、そのドライブレバーを介してピニオンを軸方向に移動させて内燃機関のリングギヤに噛み合わせる方式のスタータであって、ドライブレバーは、揺動中心となるレバーピンと、このレバーピンの両端部を保持するレバー本体とを有し、レバーピンが、フロントハウジングに組み合わされる枠体と軸方向にラップした位置で枠体の径方向外側に配置され、レバー本体は、レバーピンの両端部をそれぞれ支持する一対の腕部を有し、この一対の腕部の間の距離が、マグネットスイッチに内蔵されるプランジャの外径より大きく設定され、始動モータのヨークが枠体としてフロントハウジングに組み合わされていることを特徴とする。
【0005】
この構成では、レバーピンを始動モータのヨークと軸方向にラップさせてヨークの径方向外側に配置することにより、ドライブレバーを軸方向の後方側へずらして配置できるので、その分、スタータの全長を短縮できる。
また、レバーピンをレバー本体に保持させる構成であれば、従来の樹脂一体型のドライブレバーに設けられるボス部の外径よりレバーピンの直径を小さくできるので、その分、径方向の小型化も可能となる。
【0006】
さらに、レバー本体に設けられる一対の腕部の間の距離(支点間距離と呼ぶ)をプランジャの外径より大きく設定することで、レバーピンを支持している両腕部が始動モータのヨークと干渉することなく、レバーピンをヨークの外周面に近接して配置できる。
また、両腕部間の支点間距離を大きくすることで、レバーピンの捻じれを小さくできる効果も生じる。
【0007】
(請求項2の手段)
回転力を発生する始動モータと、この始動モータの出力軸上に具備されるピニオンとを有し、マグネットスイッチによりドライブレバーを駆動し、そのドライブレバーを介してピニオンを軸方向に移動させて内燃機関のリングギヤに噛み合わせる方式のスタータであって、ドライブレバーは、揺動中心となるレバーピンと、このレバーピンの両端部を保持するレバー本体とを有し、このレバー本体が金属製の板材を折り曲げて設けられ、且つ、レバーピンが、フロントハウジングに組み合わされる枠体と軸方向にラップした位置で枠体の径方向外側に配置され、レバー本体は、レバーピンの両端部をそれぞれ支持する一対の腕部を有し、この一対の腕部の間の距離が、マグネットスイッチに内蔵されるプランジャの外径より大きく設定され、始動モータのヨークが枠体としてフロントハウジングに組み合わされていることを特徴とする。
上記の構成によれば、レバーピンを始動モータのヨークと軸方向にラップさせてヨークの径方向外側に配置することにより、ドライブレバーを軸方向の後方側へずらして配置できるので、その分、スタータの全長を短縮できる。
また、レバーピンをレバー本体に保持させる構成であれば、従来の樹脂一体型のドライブレバーに設けられるボス部の外径よりレバーピンの直径を小さくできるので、その分、径方向の小型化も可能となる。
さらに、レバー本体に設けられる一対の腕部の間の距離(支点間距離と呼ぶ)をプランジャの外径より大きく設定することで、レバーピンを支持している両腕部が始動モータのヨークと干渉することなく、レバーピンをヨークの外周面に近接して配置できる。
また、両腕部間の支点間距離を大きくすることで、レバーピンの捻じれを小さくできる効果も生じる。
また、レバー本体を金属製にすることで強度を確保できるので、樹脂製のドライブレバーを使用する場合と比較して、軸方向のレバーの厚みを小さくすることが可能であり、その分、スタータの全長短縮に寄与できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のスタータの実施形態を図面に基づいて説明する。
図1はスタータの一部断面図である。
本実施例のスタータ1は、図1に示す様に、マグネットスイッチ2により駆動されるドライブレバー3を有し、そのドライブレバー3を介して一方向クラッチ4と共にピニオン5を軸方向に移動させてエンジンのリングギヤ(図示しない)に噛み合わせる方式であり、減速装置6を介して始動モータ(図示しない)の回転軸7と出力軸8とが同軸上に配置され、その出力軸8上に一方向クラッチ4とピニオン5が具備されている。
【0011】
マグネットスイッチ2は、内蔵するプランジャ(図示しない)の移動によりモータ接点(図示しない)を開閉すると共にドライブレバー3を駆動する。
減速装置6は、周知の遊星歯車減速機構であり、始動モータの回転を減速して出力軸8に伝達する。
一方向クラッチ4は、出力軸8上にヘリカルスプライン結合され、出力軸8に対し軸方向に移動可能に設けられている。
ピニオン5は、一方向クラッチ4のインナ(図示しない)と一体に設けられ、出力軸8の回転が伝達されてインナと一体に回転し、且つ一方向クラッチ4と共に出力軸8上を軸方向に移動可能に設けられている。
【0012】
以下、本発明に係わるドライブレバー3について説明する。
ドライブレバー3は、図2に示す様に、例えば鉄板を折り曲げて設けられたレバー本体3Aと、このレバー本体3Aに保持されるレバーピン3Bとで構成され、このレバーピン3Bが図示しないホルダにより回転自在に支持されて、レバー本体3Aの揺動中心となる。
【0013】
レバー本体3Aには、所定の間隔を有して対向する一対の側辺部3aが設けられ、両側辺部3aにそれぞれレバーピン3Bを支持する腕部3bを有している。この腕部3bには、レバーピン3Bを挿通する丸孔が開けられている。なお、レバーピン3Bを支持する両腕部3b間の距離Sは、図2(b)に示す様に、マグネットスイッチ2に内蔵されるプランジャの外径Dより大きく設定されている。
【0014】
レバーピン3Bは、例えば金属製の丸棒で、両腕部3bの丸孔に挿通され、その両腕部3bの間に露出している。
このドライブレバー3は、レバーピン3Bがセンタケース9の径方向外側に配置され、且つセンタケース9の外周面に略接触する程度まで近接している。
なお、センタケース9は、減速装置6を覆う枠体であり、フロントハウジング10と始動モータとの間に介在され、軸受11を介して出力軸8の後端部を回転自在に支持している。また、フロントハウジング10は、軸受(図示しない)を介して出力軸8の前端部を回転自在に支持している。
【0015】
次に、スタータ1の作動を説明する。
図示しないキースイッチがONされてマグネットスイッチ2が作動すると、プランジャの移動によってレバー本体3Aがレバーピン3Bを支点として回転し、レバー本体3Aの下端部が係合する一方向クラッチ4を軸方向に押圧する。その結果、出力軸8にヘリカルスプライン結合されている一方向クラッチ4が前方(図1の左方向)へ押し出され、その一方向クラッチ4と共にピニオン5が出力軸8上を前進してリングギヤに噛み合わされる。
一方、プランジャの移動によりモータ接点が閉じると、始動モータのアーマチャが通電されて回転を開始する。アーマチャの回転は、減速装置6で減速されて出力軸8に伝達され、更に出力軸8から一方向クラッチ4を介してピニオン5に伝達され、ピニオン5と噛み合うリングギヤを回転させてクランキングする。
【0016】
エンジン始動後、キースイッチがOFFされると、マグネットスイッチ2のプランジャが静止位置へ復帰することにより、レバー本体3Aを介して一方向クラッチ4が出力軸8上を後方へ引き戻される。これにより、一方向クラッチ4と共にピニオン5が出力軸8上を後方へ移動してリングギヤから離脱し、図1に示す静止位置まで戻る。また、プランジャの復帰に伴ってモータ接点が開くことにより、アーマチャに流れる電流が遮断されてアーマチャの回転が停止する。
【0017】
(本実施例の効果)
本実施例のスタータ1は、ドライブレバー3のレバーピン3Bをセンタケース9の径方向外側に配置している。つまり、レバーピン3Bをセンタケース9と軸方向にラップさせているので、従来(ドライブレバーの揺動中心がセンタケースの前端面よりクラッチ側に配置されている)よりドライブレバー3を軸方向の後方側(図1の右方向)へずらして配置できる。その結果、一方向クラッチ4とセンタケース9との間の軸方向距離を短くできるので、その分、スタータ1の全長短縮を実現できる。
【0018】
また、レバーピン3Bをレバー本体3Aに保持させる構成であるので、従来の樹脂一体型のドライブレバーに設けられるボス部の外径よりレバーピン3Bの直径を小さくできる。更に、レバーピン3Bを保持する両腕部3bの支点間距離Sを大きく設定できる(本実施例ではプランジャの外径Dより大きい)ので、両腕部3bがセンタケース9と干渉することなく、レバーピン3Bをセンタケース9の外周面に略接触できる程度まで近接して配置することが可能である。これらの結果、従来の樹脂一体型のドライブレバーを使用する場合(図4参照)と比較すると、図2(b)に示す様に、二軸間(アーマチャ軸とマグネットスイッチ2の作動中心)の距離Lを小さくでき、径方向の小型化も可能となる。
【0019】
更に、図3(a)に示す様に、レバー本体3Aの腕部3bに設けられる丸孔の内径d1 とレバーピン3Bの外径d2 との寸法差(d1 >d2 )によりレバーピン3Bに傾きが発生する場合に、両腕部3bの支点間距離S1 が小さいと、レバーピン3Bの傾きが大きくなるため、レバー本体3Aが係合するプランジャ及び一方向クラッチ4に偏荷重が加わり、作動不良(例えばプランジャの摺動不良)の要因となる。これに対し、本実施例では、図3(b)に示す様に、両腕部3bの支点間距離Sを大きくする(本実施例ではプランジャの外径Dより大きい)ことでレバーピン3Bの傾きを小さくできるので、スタータ1の作動不良を防止できる効果も生じる。
【0020】
(変形例)
上記実施例のスタータ1は、始動モータの回転を減速する遊星歯車減速機構を具備しているが、減速装置6を持たないスタータに本発明の構成を適用することも可能である。この場合、レバーピン3Bは、始動モータのヨークに対し径方向外側に配置される。
【図面の簡単な説明】
【図1】スタータの一部断面図である。
【図2】センタケースに対するドライブレバーの配置を示す側面図(a)と正面図(b)である。
【図3】レバーピンを支持する支点間距離の大小を比較した図面である。
【図4】センタケースに対するドライブレバーの配置を示す側面図(a)と正面図(b)である(従来技術)。
【符号の説明】
1 スタータ
2 マグネットスイッチ
3 ドライブレバー
3A レバー本体
3B レバーピン
5 ピニオン
6 減速装置(遊星歯車減速機構)
8 出力軸
9 センタケース(枠体)
10 フロントハウジング
11 軸受
D プランジャの外径
S レバー本体の支点間距離

Claims (2)

  1. 回転力を発生する始動モータと、
    この始動モータの出力軸上に具備されるピニオンとを有し、
    マグネットスイッチによりドライブレバーを駆動し、そのドライブレバーを介して前記ピニオンを軸方向に移動させて内燃機関のリングギヤに噛み合わせる方式のスタータであって、
    前記ドライブレバーは、揺動中心となるレバーピンと、このレバーピンの両端部を保持するレバー本体とを有し、前記レバーピンが、フロントハウジングに組み合わされる枠体と軸方向にラップした位置で前記枠体の径方向外側に配置され、
    前記レバー本体は、前記レバーピンの両端部をそれぞれ支持する一対の腕部を有し、この一対の腕部の間の距離が、前記マグネットスイッチに内蔵されるプランジャの外径より大きく設定され
    前記始動モータのヨークが前記枠体として前記フロントハウジングに組み合わされていることを特徴とするスタータ。
  2. 回転力を発生する始動モータと、
    この始動モータの出力軸上に具備されるピニオンとを有し、
    マグネットスイッチによりドライブレバーを駆動し、そのドライブレバーを介して前記ピニオンを軸方向に移動させて内燃機関のリングギヤに噛み合わせる方式のスタータであって、
    前記ドライブレバーは、揺動中心となるレバーピンと、このレバーピンの両端部を保持するレバー本体とを有し、このレバー本体が金属製の板材を折り曲げて設けられ、且つ、前記レバーピンが、フロントハウジングに組み合わされる枠体と軸方向にラップした位置で前記枠体の径方向外側に配置され、
    前記レバー本体は、前記レバーピンの両端部をそれぞれ支持する一対の腕部を有し、この一対の腕部の間の距離が、前記マグネットスイッチに内蔵されるプランジャの外径より大きく設定され、
    前記始動モータのヨークが前記枠体として前記フロントハウジングに組み合わされていることを特徴とするスタータ。
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