JP4257380B1 - 縫製手袋及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 シームレスの手袋基体11表面に樹脂皮膜3が形成された手袋の手甲側に、少なくとも爪の先端を含む五指の先端部をそれぞれ挿入する袋状部10を残して切除して形成された切除部4を有する手掌部材1と、少なくとも上記切除部4を補填すべく切除部4に配置された手甲部材2を備えている。
手掌部材1と手甲部材2は縫合してあり、手掌部材1と手甲部材2の縫合によって形成される縫合部5のうち指先部分の縫合部51は、袋状部10の手甲側の端縁側に形成されている。
【選択図】 図1
Description
例えば、スポーツ用の手袋の場合は、手掌側に各種のスポーツに要求される機能を付与した手掌部材を使用し、手甲側には通気性を有する手甲部材を組み合わせることによって、各種のスポーツに要求される機能と通気性とを併せ持つ手袋が提供できる。
なお、本明細書および特許請求の範囲においては、縫い代を含む縫い目を「縫合部」と称する。
このために縫製手袋は、指先の位置で手掌部材と手甲部材を縫い合わせることによって立体的な指先の形状に合うように縫製されている。この場合に縫合部は指先に位置することになる。
それを、解決するものとして、特許文献1に記載された手袋が提案されている。
本発明者は、このシームレス手袋に着目し、縫製手袋の上記課題をシームレス手袋によって解決できないか鋭意研究を重ね本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、縫製手袋において、指先から縫合部をなくした手袋及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、縫製手袋において、滑り止め効果を奏する手袋を提供することにある。
更にまた、本発明の目的は、全ての縫合部が手甲側に位置する手袋を提供することにある。
本発明は、
手掌部材と手甲部材を縫い合わせて作られている手袋であって、
シームレスの手袋基体表面に樹脂皮膜が形成されている手袋の手甲側に、欠除部または切除部を有する手掌部材と、少なくとも当該欠除部または切除部を補填すべく前記欠除部または切除部に配置されている手甲部材と、を備え、前記手掌部材の指先部分には、挿入される五指の指先の形状に合わせた袋状部を有しており、前記手掌部材と手甲部材の縫い合わせによって形成される縫合部のうち指先部分の縫合部は、爪の先端よりも手甲側に位置している、縫製手袋である。
手掌部材と手甲部材を縫い合わせて作られている手袋であって、
シームレスの手袋基体表面に樹脂皮膜が形成されている手袋の手甲側に、欠除部または切除部を有する手掌部材と、少なくとも当該欠除部または切除部を補填すべく前記欠除部または切除部に配置されている手甲部材と、を備え、前記手掌部材の指先部分には、挿入される五指の指先の形状に合わせた袋状部を有しており、前記手掌部材と手甲部材の縫い合わせによって形成される縫合部のうち少なくとも指部分の縫合部は、指先部分の縫合部を含めて手甲側に位置している、縫製手袋である。
手掌部材と手甲部材を縫い合わせて作られる手袋の製造方法であって、
シームレスの手袋基体表面に樹脂皮膜が形成されている手袋の手甲側を切除して手甲側に切除部を有する手掌部材を形成し、該切除部を補填する形状に形成された手甲部材を切除部に配置して手掌部材と手甲部材を縫い合わせ、手掌部材と手甲部材の縫い合わせによって形成される縫合部のうち少なくとも指部分の縫合部は、指先部分の縫合部を含めて手甲側に位置するよう形成される、縫製手袋の製造方法である。
手掌部材と手甲部材を縫い合わせて作られる手袋の製造方法であって、
シームレスの手袋基体表面に樹脂皮膜が形成された手袋の手甲側を、爪の先端を含む五指の指先をそれぞれ挿入する袋状部が残るように切除して手甲側に切除部を有する手掌部材を形成し、該切除部を補填する形状に形成された手甲部材を切除部に配置して手掌部材と手甲部材を縫い合わせ、手掌部材と手甲部材の縫い合わせによって形成される縫合部のうち少なくとも指先部分の縫合部は、爪の先端よりも手甲側に位置するよう形成される、縫製手袋の製造方法である。
このように本発明によれば、手掌部材と手甲部材とを縫いつけることによって形成される縫合部は、指先を避けて設けることができる。従って、縫製手袋を作業用に使用するにあたって、指先の縫合部が邪魔をして細かな作業に困難を来すのを避けることができるだけでなく、装着時に縫合部が指先に当たることもなく違和感も生じない。
また、付着体の大きさによって凹状部の大きさを変えることができるので、それに伴う滑り止め効果の大小を変えることができる。
その一例として、手掌側に樹脂皮膜を形成し、手甲側の手甲の一部と指の一部を含む中央部分に、大体において手の形と相似した樹脂皮膜を形成していない、いわゆる背抜き手袋と称される手袋をあげることができる。この手袋の場合は、手甲側の樹脂皮膜の縁部を切除目標線として、該縁部に沿って切除すればよいので、切除予定線を設ける工程を必ずしも必要とせず、その分作業効率を上げることができる。
前記凹状部によって滑り止め効果が発揮できるばかりでなく、凹状部の大きさを変えることができるので、それに伴う付着体の大きさによって滑り止め効果の大小を変えることができる。
なお、この明細書では、塩化ナトリウムの用語は、所謂食塩と称されるものを含む意味で使用している。
樹脂皮膜の厚みを薄くするほど柔軟性を有するので、フィット性、手へのしっくり感が良好になる。しかし、手袋の強度が低下してしまうため、重作業に使用する手袋の場合は、ある程度の厚みが必要である。
更に、ガラスビーズ、プラスチックビーズ、砂等を付着体として使用することもでき、その場合は、例えば付着体を風で物理的に吹き飛ばすことで除去することができる。
本発明に係る縫製手袋の作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
手掌部材(1)には、シームレスの手袋基体(11)表面に樹脂皮膜(3)が形成されている手袋が使用される。この手袋の手甲側を切除して切除部(4)を有する手掌部材(1)を形成するが、手掌部材(1)の形成に当たっては、指先部分に、挿入される五指の指先の形状に合わせた袋状部(10)を残して手甲側を切除する。これによって袋状部(10)は、少なくとも爪の先端を含む五指の先端部が挿入できる形状に形成される。その一例としては、切除部(4)先端が爪の基部或いはその近傍に位置するように切除する。
そして手掌部材(1)と手甲部材(2)を例えばミシンによって縫い合わせて表面に縫合部を有する手袋を得る。また、裏返して裏面に縫合部を有する手袋を得る。
手掌部材(1)と手甲部材(2)の縫い合わせによって形成される縫合部(5)のうち指先部分の縫合部(51)は、袋状部(10)の手甲側の端縁側に形成されている。
縫合部(5)のうち少なくとも指部分の縫合部(53)は、指先部分の縫合部(51)を含めて手甲側に位置させることができる。また、全ての縫合部(5)を手甲側に位置させてもよい。
次に、樹脂皮膜の凹状部の形成について説明する。
(1)未固化状態の樹脂組成物の表面に粒状又は/及び粉末状の付着体を付着させると、それらの付着体が樹脂組成物の中に食い込み、その樹脂組成物が固化してから、樹脂組成物が溶解しない溶液、例えばエマルジョンラテックスの樹脂皮膜に対しては水を用いて、水に溶解する塩(金属又は陽性の塩基性基と陰性の酸基とからなる化合物)や糖の粉粒物を洗浄除去するとき、それらの粒状又は/及び粉末状の付着体が食い込んだ痕跡としての凹部が、粒状又は/及び粉末状の付着体の形状に応じて細かく樹脂皮膜表面に形成される。
図1は、手袋の手甲側から見た斜視説明図、
図2は、手袋の手掌側から見た斜視説明図、
図3は、手袋を図1のA−A線の箇所で切断した端面説明図、
図4は、手袋を図1のA−A線の箇所で切断した断面説明図、
図5は、 手袋を構成する手掌部材と手甲部材および緊締部材を分離した状態を手甲側からみた分解斜視説明図、
図6は、手掌部材の一部を断面し拡大した一部拡大断面説明図である。
なお、図示の縫製手袋では、縫合部5は内側に位置するが、説明の便宜上表側の手掌部材1と手甲部材2の接合箇所にも同じ符号を付して示している。
手掌部材1と手甲部材2の縫合によって形成される縫合部5のうち指先部分の縫合部51は、袋状部10の手甲側の端縁側に形成されている。また、指先部分の縫合部51を含む指部分の縫合部53は、手甲側に位置している。指先部分の縫合部51を含む指部分の縫合部53を除いた他の縫合部5は、手の側面あるいはその近傍に形成されている。
また、手袋の挿入口には、面ファスナーによって手袋を手首部分に固定する緊締部材6が縫合されている。
(1)手袋型に手袋基体11を被せて型温調整を行い、凝固剤に浸漬後、引き上げて乾燥させる。
(2)樹脂皮膜3を構成するNBR配合液(ニトリルゴムラテックス、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ)、硫黄、架橋促進剤、亜鉛華、増粘剤を添加し、撹拌して得られる。)に浸漬し、引き上げる。
(4)乾燥工程を経てNBR配合液を固化させた後、樹脂皮膜3に付着した塩化ナトリウム粒子32を水洗除去し、除去した付着体の付着痕(痕跡)である凹状部31を形成する。
(5)乾燥及び架橋を行ない、手袋型から手袋を離型する。なお、使用する樹脂によっては、架橋工程を省略することもできる。
本実施例では手掌部材1aと手甲部材2aの縫合によって形成される縫合部5のうち指部分の縫合部55は、指側の中手指節関節近傍に位置している。従って袋状部101は指の大部分を覆うように形成されている。また、手甲部材2aには通気性の良好な素材が使用されている。
その他は実施例1に係る手袋と大体同じである。
本実施例では実施例1に係る手袋の手掌部材1の手甲中央部分を円形状またはおおよそ円形状に切除した形状の手掌部材1bと、その切除部分に手甲部材2bを配置して縫合している。従って手掌部材1bと手甲部材2bの縫合によって形成される縫合部56は、手甲中央部分に位置しており、このため袋状部102は指全部を覆うように形成されている。
また、手甲部材2には通気性の良好な素材が使用されている。
なお、本実施例に係る手袋は、大部分が手掌部材1bからなっているので手袋には実施例1および実施例2のような緊締部材はない。その他は実施例1に係る手袋と大体同じである。
10 袋状部
11 手袋基体
12 先端側
2 手甲部材
3 樹脂皮膜
3a 凸状部
31 凹状部
32 塩化ナトリウム粒子
4 切除部
5 縫合部
51 指先部分の縫合部
53 指部分の縫合部
6 緊締部材
1a 手掌部材
2a 手甲部材
55 指部分の縫合部
101 袋状部
1b 手掌部材
2b 手甲部材
56 縫合部
102 袋状部
Claims (7)
- 手掌部材(1)と手甲部材(2)を縫い合わせて作られている手袋であって、
シームレスの手袋基体(11)表面に樹脂皮膜(3)が形成されている手袋の手甲側に、欠除部または切除部(4)を有する手掌部材(1)と、
少なくとも当該欠除部または切除部(4)を補填すべく前記欠除部または切除部(4)に配置されている手甲部材(2)と、
を備え、
前記手掌部材(1)の指先部分には、挿入される五指の指先の形状に合わせた袋状部(10)を有しており、
前記手掌部材(1)と手甲部材(2)の縫い合わせによって形成される縫合部(5)のうち指先部分の縫合部(51)は、爪の先端よりも手甲側に位置している、
縫製手袋。 - 手掌部材(1)と手甲部材(2)を縫い合わせて作られている手袋であって、
シームレスの手袋基体(11)表面に樹脂皮膜(3)が形成されている手袋の手甲側に、欠除部または切除部(4)を有する手掌部材(1)と、
少なくとも当該欠除部または切除部(4)を補填すべく前記欠除部または切除部(4)に配置されている手甲部材(2)と、
を備え、
前記手掌部材(1)の指先部分には、挿入される五指の指先の形状に合わせた袋状部(10)を有しており、
前記手掌部材(1)と手甲部材(2)の縫い合わせによって形成される縫合部(5)のうち少なくとも指部分の縫合部は、指先部分の縫合部(51)を含めて手甲側に位置している、
縫製手袋。 - 全ての縫合部(5)が手甲側に位置している、請求項2記載の縫製手袋。
- 縫合部(5)が裏面にある請求項1,2または3記載の縫製手袋。
- 樹脂皮膜(3)の表面に、同一の凹状部(31)を有するか又は異なる大きさの凹状部が混在しており、前記凹状部(31)は、樹脂皮膜(3)表面に一部又は全部が食い込むようにして付着していた粒状又は/及び粉末状の付着体を除いた後の痕跡によって形成されている、請求項1、2、3または4記載の縫製手袋。
- 手掌部材(1)と手甲部材(2)を縫い合わせて作られる手袋の製造方法であって、
シームレスの手袋基体(11)表面に樹脂皮膜(3)が形成されている手袋の手甲側を切除して手甲側に切除部(4)を有する手掌部材(1)を形成し、
該切除部(4)を補填する形状に形成された手甲部材(2)を切除部(4)に配置して手掌部材(1)と手甲部材(2)を縫い合わせ、
手掌部材(1)と手甲部材(2)の縫い合わせによって形成される縫合部(5)のうち少なくとも指部分の縫合部(5)は、指先部分の縫合部(51)を含めて手甲側に位置するよう形成される、
縫製手袋の製造方法。 - 手掌部材(1)と手甲部材(2)を縫い合わせて作られる手袋の製造方法であって、
シームレスの手袋基体(11)表面に樹脂皮膜(3)が形成された手袋の手甲側を、爪の先端を含む五指の指先をそれぞれ挿入する袋状部(10)が残るように切除して手甲側に切除部(4)を有する手掌部材(1)を形成し、
該切除部(4)を補填する形状に形成された手甲部材(2)を切除部(4)に配置して手掌部材(1)と手甲部材(2)を縫い合わせ、
手掌部材(1)と手甲部材(2)の縫い合わせによって形成される縫合部(5)のうち少なくとも指先部分の縫合部(51)は、爪の先端よりも手甲側に位置するよう形成される、
縫製手袋の製造方法。
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