JP4256727B2 - 振動ジャイロの支持構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は振動ジャイロの支持構造に関し、より詳細にはセンサを支持する支持フレームの剛性を向上させ、感度を良好にした振動ジャイロの支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
振動ジャイロはロボット等の可動部の移動位置検出あるいは自動車等の移動体の移動位置検出等に用いられている。図5は、音叉型センサ10を用いた振動ジャイロの従来の構成を示す。音叉型センサ10は、水晶、圧電セラミック等を音叉型に加工して形成したものであり、このセンサを用いることによって物体の角加速度を検知し、物体の移動位置を検出することができる。
音叉型センサを用いて角加速度を検知する原理は、音叉型センサの脚部を一方向に振動(1次振動)させた状態で音叉型センサに角加速度が作用すると、コリオリ効果によって、角加速度が作用した方向と直交する方向に振動(2次振動)が発生することを利用するものである。
【0003】
振動ジャイロではセンサを1次振動させるための固定支点が必要である。図5に示す従来例はセンサを横置きとしたタイプのもので、図5(a)に示すように、金属板を折曲して箱形に形成した支持フレーム12に音叉型センサ10の一端部を固定する構成としている。
音叉型センサ10の一端側にはスリット状の切り込みが設けられ、支持フレーム12の支持板12aを、音叉型センサ10の切り込み部分に差し込み、支持板12aを脚部10aにより挟む配置として、接着剤14により脚部10aを支持板12aに接着している。図5(b)は音叉型センサ10を接着剤14により支持フレーム12に接着した状態の正面図、図5(c)は側面図を示す。16は支持フレーム12を支持するベース板である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示す振動ジャイロ構造は、支持フレーム12に支持された音叉型センサ10を加振させた状態で、音叉型センサ10から出力される信号を検知して物体の変位を検知するものである。したがって、音叉型センサ10が加振されている状態で、音叉型センサ10を支持している支持フレーム12が外部振動や衝撃によって振動すると、音叉型センサ10が誤出力するという問題がある。音叉型あるいはビーム型のセンサでその一端側を固定支点とした振動ジャイロ構造では、このような誤出力が発生するという構造的な問題があり、外部振動や衝撃が支持フレーム12に作用しないように緩衝材を使用するといったことも考えられている。しかしながら、緩衝材を使用した場合は、センサの応答性が悪くなる点で、必ずしも好ましくない。
【0005】
そこで、本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、音叉型センサを使用する振動ジャイロ構造において、センサを支持する支持部が外部振動あるいは衝撃によって影響を受けにくい構造とし、センサが誤出力を発生することを抑えることによって感度を向上させ、正確に変位を検知することができる信頼性の高い振動ジャイロ構造を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
すなわち、支持フレームにセンサの一端側を固定し、センサの他端側を自由端とした振動ジャイロの支持構造において、前記センサとして、音叉型センサを使用し、前記支持フレームの前記センサを支持する支持部を、板体をX型に交差させたX型フレーム部により形成し、該X型フレーム部の交差部に、前記音叉型センサの一端側の脚部を前記交差部を上下から挟む配置として、センサを固定したことを特徴とする。
また、前記X型フレーム部の交差部分の近傍に貫通孔を設け、該貫通孔を介して交差部分に接着剤を充填して前記センサを固定したことを特徴とする。X型フレーム部に貫通孔を設けたことにより、X型フレーム部の交差部分に容易に接着剤を充填してセンサを固定することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面とともに詳細に説明する。
図1(a)、(b)および(c)は、本発明に係る振動ジャイロ構造の一実施形態の構成を示す斜視図、正面図および側面図である。
同図で、20は音叉型センサ10を支持する支持フレームであり、音叉型センサ10は、図5に示す従来の振動ジャイロ構造と同様に、一端側を固定支点として支持フレーム20に固定支持されている。16は支持フレーム20を支持するベース板である。
【0008】
本実施形態の振動ジャイロ構造において特徴的な点は、音叉型センサ10を支持する支持フレーム20の構成にある。すなわち、従来の振動ジャイロ構造では支持フレームは、図5に示すような箱形に形成され、音叉型センサ10を支持する支持部は単なる平板状に形成されているのに対して、本実施形態の支持フレーム20では、音叉型センサ10を支持する支持部は板体をX型に交差させたX型フレーム部20aによって形成されている。
【0009】
図1(b)は、X型フレーム部20aを正面方向から見た状態を示すもので、X型フレーム部20aが交差している部分に脚部を上下から挟むようにして音叉型センサ10が取り付けられていることを示す。
X型フレーム部20aは、図のように、ベース板16上に立設された支持板間をX型に連結する構造となっている。X型フレーム部20aと支持板とは溶接によって接合してもよいし、支持板にX型フレーム部20aの端部を係止する係止部を形成しておき、支持板でX型フレーム部20aを両側から挟むようにして支持するようにしてもよい。
X型フレーム部20aは三角格子構造を構成することによって、音叉型センサ10を支持する支持部の剛性を高めることを目的とするものであるから、支持板との連結状態等がとくに限定されるものではない。
【0010】
図2は、X型フレーム部20aに音叉型センサ10を接着剤14によって固定する方法を拡大して示している。図2(a)は、X型フレーム部20aの交差部分を上下に挟む配置に音叉型センサ10の脚部10a、10aが配置されていることを示し、図2(b)は、X型フレーム部20aの交差部分の近傍に接着剤14を連通させるための貫通孔22を形成した状態を示す。
図2(b)に示すように、交差配置したX型フレーム部20aの交差部分の近傍に貫通孔22を形成したことにより、図2(a)に示すように、交差部分の両側からX型フレーム部20aの交差部分に接着剤14を注入することによって、音叉型センサ10の脚部10aとX型フレーム部20aとの間に接着剤14を充填することができる。
【0011】
図3は、従来の振動ジャイロ構造において、支持フレーム12の支持板12aを音叉型センサ10の脚部10a、10aで挟み、接着剤14を用いて音叉型センサ10を接着固定する方法を示す。
従来の支持フレーム12の構造の場合には、支持板12aの上下面から接着剤14を塗布する必要があり、4個所から接着剤14を注入しているのに対して、本実施形態ではX型フレーム部20aに貫通孔22を設けることによって、2個所から接着剤14を注入して音叉型センサ10を接着固定することが可能である。
【0012】
本実施形態の振動ジャイロ構造では、音叉型センサ10の一端側をX型フレーム部20aの交差部分に固定することにより、図1(c)に示すように、音叉型センサ10の他端側が支持フレーム20から横方向に延出するように取り付けられ、音叉型センサ10は一端側が固定支点として支持されたものとなる。
この状態で、音叉型センサ10の他端側に形成された脚部10b、10bに1次振動を加え、音叉型センサ10に外力が作用した際に音叉型センサ10から出力される信号を検知して物体の変位を検知することができる。
【0013】
本実施形態の振動ジャイロ構造では、音叉型センサ10を支持する支持フレーム20の支持部を三角格子構造としたことによって、従来の支持フレーム12にくらべて支持部の剛性を大きく向上させることが可能となった。実際、従来の支持フレーム12の構造と本実施形態のX型フレーム部20aを備えた支持フレーム20の構造について、固有周波数による変位量をシミュレーションし、本実施形態の支持フレーム20によれば従来の支持フレーム12に比べて変位量を効果的に抑えることができる結果を得ている。
このように、支持フレーム20の剛性とくに、音叉型センサ10を支持する支持部の剛性を向上させることができたことによって、音叉型センサ10に1次振動を加えても、支持部の振動や変位を抑えることができ、誤出力を抑えることが可能となった。
【0014】
また、支持フレーム20にX型フレーム部20aを設けることで、音叉型センサ10を支持する支持部自体の重量を増加させることができ、支持部自体の固有周波数の高周波化が可能となる。
【表1】
【0015】
表1は、図5に示す従来の振動ジャイロ構造(従来例)における共振周波数と図1に示す本実施形態の振動ジャイロ構造(本発明)について、1次〜4次高調波の共振周波数を示す。表1に示すように、1次〜3次高調波については、いずれも、本実施形態の振動ジャイロ構造によるものの方が従来のものよりも共振周波数が高くなっていることを示す。すなわち、本実施形態の振動ジャイロ構造によるセンサを、たとえば車載用センサとして使用した場合には、ロードノイズといった10Hz以下の低周波との離調を図ることができ、センサの感度を向上させることができる。
【0016】
また、本実施形態の振動ジャイロ構造では、X型フレーム部20aの交差部分を音叉型センサ10の固定支点位置とすることで、支持部の重心位置に正確に音叉型センサ10を固定することが可能になる。従来の支持板12aの幅方向の中央に位置合わせする方法に比べて、本実施形態においてはX型フレーム部20aの交差部分を位置決め位置とできるから、音叉型センサ10の位置合わせが容易になる。
また、音叉型センサ10を正確に重心位置に位置合わせできることから、1次振動時のセンサ位置が安定し、2次振動のブレがなくなり、センサの特性が向上する。また、支持部に低次の固有振動が加わった際の固定支点の振幅が従来方式にくらべて小さくでき、センサの感度を向上させることができる。
【0017】
図4は、圧電セラミックを音叉型センサ10に使用して、図5に示す従来構造の振動ジャイロと、図1に示す本実施形態の振動ジャイロについて、外部振動や衝撃が加わった際の出力誤差を測定した結果を示す。
図4に示す測定結果は、本実施形態の振動ジャイロ構造とすることで、大幅に出力誤差が小さくなり、センサの感度が向上していることを示している。このように、X型フレーム部20aを音叉型センサ10の支持部に用いた振動ジャイロ構造は、センサの感度を向上させ信頼性を向上させる構成として有効であることが確かめられた。
【0018】
【発明の効果】
本発明に係る振動ジャイロ構造は、上述したように、音叉型センサを支持する支持部の剛性が向上することから、音叉型センサから誤出力が発生することを効果的に抑えることができ、センサの感度を高めることができるとともに、信頼性の高い振動センサとして提供されるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る振動ジャイロ構造の一実施形態の構成を示す斜視図(a)、正面図(b)、側面図(c)である。
【図2】本発明の振動ジャイロ構造で、X型フレーム部に音叉型センサを接着固定する部位を拡大して示す説明図である。
【図3】従来の振動ジャイロ構造で、支持板に音叉型センサを接着固定する方法を示す説明図である。
【図4】外部振動印加時の出力誤差の出力値を測定した結果を示すグラフである。
【図5】従来の振動ジャイロ構造の構成を示す斜視図(a)、正面図(b)、側面図(c)である。
【符号の説明】
10 音叉型センサ
10a、10b 脚部
10a、10a 脚部
12 支持フレーム
12a 支持板
14 接着剤
16 ベース板
20 支持フレーム
20a X型フレーム部
22 貫通孔
Claims (2)
- 支持フレームにセンサの一端側を固定し、センサの他端側を自由端とした振動ジャイロの支持構造において、
前記センサとして、音叉型センサを使用し、
前記支持フレームの前記センサを支持する支持部を、板体をX型に交差させたX型フレーム部により形成し、
該X型フレーム部の交差部に、前記音叉型センサの一端側の脚部を前記交差部を上下から挟む配置として、センサを固定したことを特徴とする振動ジャイロの支持構造。 - 前記X型フレーム部の交差部分の近傍に貫通孔を設け、該貫通孔を介して交差部分に接着剤を充填して前記センサを固定したことを特徴とする請求項1記載の振動ジャイロの支持構造。
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