JP4254284B2 - X線撮影装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、X線照射用のX線管と透過X線検出用のX線検出器とを対向配置となるようにしてアーム一端とアーム他端に取り付けて支持する支持アームが、X線管とX線検出器の位置および方向が変更可能なようにアーム位置調整用の動きがおこなえるとともに、支持アームのアーム位置調整用の動きが複数のロック機構により解除可能にロックされるようにして配設されているX線撮影装置に係り、特にX線管とX線検出器を支えている支持アームの位置調整用の動きに対して掛けられているロックを速やかに解除できるようにするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、X線撮影装置として、図7に示すように、外科手術中の被検体(患者)Mを手術室内でX線撮影する時などに用いられる外科用Cアーム式X線TV撮影装置がある。このX線TV撮影装置では、X線照射用のX線管81と透過X線検出用のX線検出器であるイメージインテンシファイア82とを対向配置となるようにしてアーム一端とアーム他端に取り付けて支持するC型支持アーム83が、矢印ra,rbで示す回転移動系の動きや矢印rc,rdで示す平行移動系の動きなどの動く向きが異なる幾つものアーム位置調整用(以下、適宜「位置調整用」という)の動きが可能なように配設されている。(特許文献1参照)
【0003】
手術台B上の被検体MをX線撮影する際は、撮影目的に合わせて、C型支持アーム83の矢印ra〜rdの向きのアーム位置調整用の動きでもってC型支持アーム83の位置を調整し、撮影方向や撮影位置あるいは撮影範囲(撮影倍率)などをセットする。
【0004】
このC型支持アーム83の位置調整用の動きは、複数のロック機構(図示省略)により解除可能にロックされているので、C型支持アーム83の位置を調整する際には、位置調整の為に必要な動きに掛けられているロックを解除する必要がある。その為、ロック機構毎にロック解除用スイッチが設けられており、位置調整の為に必要な動きをロックしているロック機構に対応するロック解除用スイッチを確認してスイッチを操作する。そうするとロックが解除されて、C型支持アーム83に位置調整の為に必要な動きをさせられるようになる。
【0005】
C型支持アーム83の位置調整が完了すれば、X線撮影を開始する。X線透視撮影の場合であれば、X線管81による連続X線照射に伴ってイメージインテンシファイア82から出力される透過X線検出信号に基づきX線透視画像が同時平行的に作成されて画像表示モニタ(図示省略)の画面にリアルタイムで映し出される。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−43994号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のCアーム式X線撮影装置の場合、C型支持アーム83の位置調整の為に必要な動きに掛けられているロックを、速やかに解除できないという問題がある。
外科用Cアーム式X線撮影装置の場合、被検体Mの手術を行う術者とX線撮影装置の操作を行うオペレータとが別であるので、術者はオペレータに操作してもらうロック解除用スイッチをスイッチのシンボルマークで確認してシンボルマークの形やスイッチの配列順位でオペレータに操作してもらうようにロック解除用スイッチを口頭で伝達(指示)する。オペレータはロック解除用スイッチを伝達されたシンボルマークの形やスイッチの配列順位に基づいて操作すべきロック解除用スイッチを確認する。
【0008】
しかしながら、ロック解除用スイッチは複数個並んでいるうえにシンボルマークも似通っておいる。そのため、術者やオペレータが特定のロック解除用スイッチをシンボルマークの形やスイッチの配列順位で確認したり伝達したりすることは容易ではなく、手間取るといった不都合が生じる。
【0009】
また、術者やオペレータが装置の操作に習熟していない場合は、手間取る度合いも大きく、確認ミス・伝達ミスが起こる恐れもある。
【0010】
したがって、C型支持アーム83の位置調整の為に必要な動きに掛けられているロックを速やかに解除することができないといった問題がある。
【0011】
この発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、X線管とX線検出器を支えている支持アームの位置調整用の動きに掛けられているロックを速やかに解除することができるX線撮影装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明に係るX線撮影装置は、(A)X線照射用のX線管と透過X線検出用のX線検出器とを対向配置となるようにアーム一端とアーム他端に取り付けて支持するとともに、X線管とX線検出器の位置と方向を変更できるようにアーム位置調整用の動きがおこなえるように配設されている支持アームと、(B)支持アームのアーム位置調整用の動きをロックする複数のロック機構と、(C)支持アームのアーム位置調整用の動きに掛けられているロック機構によるロックをロック機構毎に解除できるように各ロック機構に対応して配設されているとともに、色の相違で相互に区別の付くように色分けされている複数のロック解除用スイッチと、(D)ロック解除用スイッチと同一色ないし類似色を配色されているとともに、支持アームのそれぞれの動きの量を示すスケールとを備え、前記スケールが術者の目に付き易い個所に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0013】
(作用・効果)請求項1の発明の装置の場合、X線管とX線検出器を支えている支持アームの位置を調整する際は、先ず支持アームの位置調整の為に必要な動きに掛けられているロックを解除する。例えば、術者(医師)が、アームの位置調整の為に必要な動きに掛けられているロックを解除するロック解除用スイッチの色を対応する解除スイッチ特定用色表示で確認し、オペレータ(操作者)が操作すべきロック解除用スイッチを色でオペレータへ伝達する。オペレータは複数のロック解除用スイッチの中から術者から伝達された色に従って操作すべきロック解除用スイッチを確認し、確認したロック解除用スイッチを直ちに操作する。そうすると、支持アームの位置調整の為に必要な動きに掛けられていたロックが解除され、支持アームの位置の調整が可能となる。
【0014】
このように、請求項1の発明の装置では、X線管とX線検出器を支えている支持アームの位置調整用の動きに掛けられているロックを解除する複数のロック解除用スイッチが色の相違で相互に区別できるように色分けされており、支持アームのアーム位置調整用の動き毎にそれぞれの動きを解除するロック解除用スイッチと同一色ないし類似色を付けて各動きと対応付けしたかたちで解除スイッチ特定用色表示が設けられていて、支持アームの位置調整用の各動きとロック解除用スイッチとが色で直接対応付けられた構成となっている。
【0015】
したがって、請求項1の発明によれば、支持アームの位置調整の為に必要な動きに掛けられているロックを解除するロック解除用スイッチを、スイッチの色を一目見るだけで直観的に確認することができたり、あるいは、色名の一言だけで簡単に伝達することができたりするので、X線管とX線検出器を支えている支持アームのアーム位置調整用の動きに掛けられているロックを速やかに解除することができる。
【0019】
さらに、解除スイッチ特定用色表示と対応する動きの量を示すとともに、解除スイッチ特定用色表示による特定対象のロック解除用スイッチと同一色ないし類似色が施されたスケールが、解除スイッチ特定用色表示と対応する動きが顕現化する目に付き易い個所に取り付けられていることにより解除スイッチ特定用色表示を、より簡単に見つけられる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のX線撮影装置において、装置本体が移動可能な台車構造を具備しており、支持アームがX線管およびX線検出器ごと装置本体に搭載されていることを特徴とするものである。
【0021】
( 作用・効果)
請求項2の発明の場合、装置本体が移動可能な台車構造であるので、装置本体を押したり引いたりして容易に移動させられるとともに、装置本体の移動に伴って支持アームがX 線管およびX線検出器ごと移動する。したがって、装置本体の設置位置を変更することにより、簡単に撮影場所を移動させられる。
【0022】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のX線撮影装置において、各ロック解除用スイッチ1個ずつでひと組となる二組分のロック解除用スイッチが配備されており、一方の組のロック解除用スイッチが装置本体の右サイド寄りに配置され、他方の組の各ロック解除用スイッチが装置本体の左サイド寄りに設置されていることを特徴とするものである。
【0023】
(作用・効果)
請求項3の発明の場合、X線撮影の際には、装置本体の正面に配備した支持アームがX 線管およびX線検出器ごと撮影対象の被検体に向けられるとともに、ロック解除用スイッチを操作する人が装置本体の右サイドに居る時は、右サイド寄りに配置されたロック解除用スイッチの方を操作し、ロック解除用スイッチを操作する人が装置本体の左サイドに居る時は、左サイド寄りに配置されたロック解除用スイッチの方を操作する。
【0024】
したがって、請求項3の発明によれば、装置本体の右横サイド寄りと左横サイドのそれぞれにロック解除用スイッチが一組ずつ配置されているので、ロック解除用スイッチを操作する人は、装置本体の左右サイドのいずれか側に居ても、何ら支障なくロック解除用スイッチを操作できる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のX線撮影装置において、一方の組のロック解除用スイッチにおけるスイッチの配列と、他方の組のロック解除用スイッチにおけるスイッチの配列が、2組の前記ロック解除用スイッチを正面視して左右対称であることことを特徴とするものである。
【0026】
(作用・効果)
請求項4の発明によれば、ロック解除用スイッチの配列が右サイド寄りでも左サイド寄りでも全く同じなので、ロック解除用スイッチを操作し易い。
【0027】
【発明の実施の形態】
続いて、この発明のX線撮影装置の実施例を、図面を参照しながら詳しく説明する。図1は実施例に係る外科用Cアーム式X線TV撮影装置(以下、適宜「X線TV撮影装置」と略記)の装置本体の主要構成を示す立面図、図2は実施例装置の装置本体の主要構成を示す平面図、図3は実施例装置の別置きタイプの画像表示モニタを示す斜視図である。
【0028】
実施例のX線TV撮影装置は、図1〜図3に示すように、X線照射用のX線管1と透過X線検出用のX線検出器としてのイメージインテンシファイア(以下「I・I管」と略記)2とを対向配置となるようにしてアーム一端とアーム他端に取り付けて支持するC型支持アーム3が搭載されているとともに、移動可能な台車構造を具備している移動式の装置本体4と、X線画像等が画面に映し出される別置きタイプの画像表示モニタ5A,5Bを上面に載置するとよもに、移動可能な台車構造を具備している移動式のキャビネット体6とからなる。
【0029】
装置本体4は押したり引いたりして容易に移動させられるとともに、装置本体4の移動に伴ってC型支持アーム3がX線管1およびX線検出器2ごと一緒に移動するので、装置本体4の設置位置を変更することによって簡単に撮影場所を移動させられる。
【0030】
キャビネット体6も、押したり引いたりして容易に移動させられるとともに、キャビネット体6の移動に伴って画像表示モニタ5A,5Bも一緒に移動するので、キャビネット体6の設置位置を変更することにより、簡単に画像表示モニタ5A,5Bの置き場所を移動させられる。
【0031】
そして、実施例装置によりX線撮影が実行される場合、装置本体4に配備されているコントロール部4A等による制御に従ってX線管1からX線が照射されると同時に、I・I管2で透過X線が検出され、さらにI・I管2の後段でI・I管2から出力される透過X線検出信号に基づきX線画像が作成される。作成されたX線画像が画像表示モニタ5A,5Bの画面に映し出される。例えば、X線透視撮影の場合、一方の画像表示モニタ5Aには通常のX線透視画像がリアルタイムで映し出され、もう一方の画像表示モニタ5Bには色付け等の2次処理画像などが必要に応じて映し出される。以下、実施例装置の各部構成を説明する。
【0032】
C型支持アーム3は、アーム支持体7によって装置本体4の前面へ突き出すかたちで、矢印RA〜REで示す動きによりC型支持アーム3の位置が調整できるようにして保持されている。C型支持アーム3の矢印RA〜REの各動きによる位置調節により、撮影方向や撮影位置あるいは撮影範囲(撮影倍率)などの撮影態様が変るので、X線撮影を行う場合、撮影目的に合わせてC型支持アーム3の矢印RA〜REの各動きによる位置調節により撮影方向や撮影位置あるいは撮影範囲などをセットすることになる。
【0033】
次に、C型支持アーム3の矢印RA〜REの各動きをそれぞれ具体的に説明する。
【0034】
アーム支持体7は、矢印Qaで示すように、手動による上下移動が可能に装置本体4に立設された垂直支柱8と、矢印Qbで示すように、手動による水平移動が可能に垂直支柱8の上端に載設された水平ロッド9と、水平ロッド9の先端から斜め下がりに延びるとともに、水平ロッド9と一体的に結合しているアームホルダー10とを具備していて、C型支持アーム3はアームホルダー10に取り付けられている構成になっている。
【0035】
C型支持アーム3は、X線管1およびI・I管2ごとアーム長手方向へアームの曲がりに沿って手動でスライド回転(ピボット回転)できるようにしてアームホルダー10に配設されている。
【0036】
さらに、アーム支持体7の場合、垂直支柱8が矢印Qcで示すように垂直支柱8自体の軸8aを回転軸として手動で回転させられるのに加えて、水平ロッド9が矢印Qdで示すように水平ロッド9自体の軸9aを回転軸として手動で回転させられるように構成されている。
【0037】
矢印RAで示すように、C型支持アーム3をスライド回転させると、X線管1およびI・I管2が対向配置状態を維持したままC型支持アーム3の回転中心Wの周りを巡るように移動するとともに、C型支持アーム3のスライド回転に伴って撮影方向が変わる。
【0038】
矢印Qaで示すように、垂直支柱8を上または下に移動させると、矢印RBで示すように、C型支持アーム3がX線管1およびI・I管2ごと上または下に直線的に平行移動するとともに、C型支持アーム3の上下移動に伴って撮影範囲が変化する。
【0039】
矢印Qbで示すように、水平ロッド9を前または後に移動させると、矢印RCで示すように、C型支持アーム3がX線管1およびI・I管2ごと前または後に直線的に平行移動するとともに、C型支持アーム3の前後移動に伴って撮影位置が変化する。
【0040】
矢印Qcで示すように、垂直支柱8を軸8aを回転させると、矢印RDで示すように、C型支持アーム3が軸8aを支点として水平の向きに首振り移動するとともに、C型支持アーム3の首振り移動に伴って撮影位置が変化する。
【0041】
矢印Qdで示すように、水平ロッド9を軸9aを回転軸として回転させると、矢印REで示すように、C型支持アーム3が軸9aを回転軸として旋回回転するとともに、C型支持アーム3の旋回回転に伴って撮影方向が変化する。
【0042】
すなわち、実施例装置の場合、C型支持アーム3は矢印RA〜REという動く向きの異なる5つのアーム位置調整用の動きがおこなえるようにして配設されている。
【0043】
さらに、実施例装置の場合、C型支持アーム3の位置を調整する為の矢印RA〜REの向きの5つの動きを解除可能にロックする4つのロック機構11〜14を備えている。これらのロック機構11〜14は、いずれもが電磁ソレノイド式等を用いた電動ロック機構である。C型支持アーム3の位置を調整した後、C型支持アーム3がはずみで動いて調整がズレることを防ぐ為に、ロック機構11〜14で矢印RA〜REの向きの5つの動きに対しロックを掛けておくのである。
【0044】
すなわち、ロック機構11は矢印RAの向きの動き(スライド回転)をロックする。ロック機構12は矢印REの向きの動き(旋回回転)をロックする。ロック機構13は矢印RCと矢印RDの二つの向きの動き(水平移動と首振り移動)をロックする。ロック機構14は矢印RBの向きの動き(上下移動)をロックする。なお、ロック機構13は矢印RCと矢印RDの二つの向きの動きをまとめてロックしているが、矢印RCと矢印RDの二つの向きの動きをそれぞれ別々のロック機構によりロックする構成であってもよい。
【0045】
そして、C型支持アーム3の位置を調整する時、位置調整に要な動きに掛けられているロックを解除する。すなわち、図4に示すように、実施例装置の場合、C型支持アーム3のアーム位置調整用の矢印RA〜矢印REの向きの動きに対して掛けられているロック機構11〜14によるロックをロック機構11〜14毎に解除できるように各ロック機構11〜14に対応してロック解除用スイッチ11A〜14Aが、装置本体4の上面のスイッチ操作部15に配備されている。
【0046】
つまり、ロック解除用スイッチ11Aを押すと、ロック機構11による矢印RAの向きの動きのロックが解除される。ロック解除用スイッチ12Aを押すと、ロック機構12による矢印REの向きの動きのロックが解除される。ロック解除用スイッチ13Aを押すと、ロック機構13による矢印RCと矢印RDの向きの動きのロックが解除される。ロック解除用スイッチ14Aを押すと、ロック機構14による矢印RBの向きの動きのロックが解除される。
【0047】
なお、実施例装置の場合、C型支持アーム3のアーム位置調整用の矢印RA〜矢印REの向きの動きは、ロックされない場合でもカウンターウエイト等を用いたバランス機構によって外力が加わらなければ現在位置が保持される構成となっているので、C型支持アーム3の位置調整後、直ぐにロックを掛ける必要はない。ただし、ロックが解除されているままでは、不意に予期せぬ外力が加わると調整がズレるので、実施例装置の場合、ロック解除用スイッチ11A〜14Aの操作によりロック機構11〜14によるロックが解除された場合、予め設定されている一定期間(例えば30秒〜1分)が経過すると再びロックが自動的に掛かるように構成されている。したがって、ロックの掛け忘れが回避できるとともに、再ロックの手間も省けるようになっている。
【0048】
本実施例のX線TV撮影装置の場合、ロック解除用スイッチ11A〜14Aが、色の相違で相互に区別できるように色分けされている。すなわち、ロック解除用スイッチ11A〜14Aは、例えば、ロック解除用スイッチ11Aが赤,ロック解除用スイッチ12Aが青,ロック解除用スイッチ13Aが緑,ロック解除用スイッチ14Aが黄色といった色分けで色が施されている。ロック解除用スイッチ11A〜14Aの色分けに用いられる色は、ここに例示の色に限られるものではなく、色の違いで相互に目視による区別ができる色であれば何でもよい。但し、以下では、説明の便宜上、ロック解除用スイッチの色分けは、上記例示の赤,青、緑,黄の4色によるものであるとする。
【0049】
また、実施例装置の場合、装置本体4では、図2に示すように、C型支持アーム3が配備されている向きを装置本体4の正面サイドとして、装置本体4の上面の左右の各横サイド側にそれぞれスイッチ操作部15が配備されている。さらに、各ロック解除用スイッチ11A〜14A1個ずつでひと組となる二組分のロック解除用スイッチが配備されていて、図4に示すように、一方の組のロック解除用スイッチ11A〜14Aが装置本体4の右サイド寄りに配置されており、もう一方の組の各ロック解除用スイッチ11A〜14Aが装置本体4の左サイド寄りに設置されている。また、各スイッチ操作部15では、ロック解除用スイッチ11A〜14Aが全く同じ配列になっている。
【0050】
したがって、実施例装置の場合、装置本体4の右サイド寄りと左サイドのそれぞれにロック解除用スイッチ11A〜14Aが一組ずつ配置されているので、ロック解除用スイッチを操作する人が、装置本体の右横サイドに居る時も、左サイドに居る時も、何ら支障なくロック解除用スイッチが操作できる。また、右サイドでも左サイドでもロック解除用スイッチ11A〜14Aの配列が同じであるので、ロック解除用スイッチが操作し易い。
【0051】
なお、ロック解除用スイッチ11A〜14Aには解除対象の動き(の種類)を示すシンボルマークも描かれている。また、各スイッチ操作部15にはX線管1の絞り調整用スイッチ等の他のスイッチも設けられている。
【0052】
さらに、実施例装置は、C型支持アーム3のアーム位置調整用の動き毎にそれぞれの動きを解除するロック解除用スイッチ11A〜14Aと同一色ないし類似色を付けて各動きと対応付けしたかたちで設けられている解除スイッチ特定用色表示を備えている。実施例装置の場合、図5(a),(b)に示すように、解除スイッチ特定用色表示と対応する動きの量を示すとともに、解除スイッチ特定用色表示による特定対象の各ロック解除用スイッチ11A〜14Aと同一色ないし類似色が施されている5本のスケールSA〜SEが、解除スイッチ特定用色表示と対応する動きが顕現化する個所にそれぞれ取り付けられている。つまり、実施例装置では、スケールSA〜SEが動きの量を示す以外に、解除スイッチ特定用色表示を兼ねているのである。
【0053】
スケールSAは矢印RAの向きの動きの量(スライド回転量)を示すとともに、矢印RAの向きの動きのロックを解除するロック解除用スイッチ11Aと同一色(赤色)ないし類似色(赤系色)が施されている。
【0054】
スケールSBは矢印RBの向きの動きの量(上下移動量)を示し、矢印RBの向きの動きのロックを解除するロック解除用スイッチ14Aと同一色(黄色)ないし類似色(黄系色)が施されている。
【0055】
スケールSCは矢印RCの向きの動きの量(前後移動量)を示し、矢印RCの向きの動きのロックを解除するロック解除用スイッチ13Aと同一色(緑色)ないし類似色(緑系色)が施されている。
【0056】
スケールSDは矢印RDの向きの動きの量(首振り移動量)を示し、矢印RDの向きの動きのロックを解除するロック解除用スイッチ13Aと同一色(緑色)ないし類似色(緑系色)が施されている。
【0057】
スケールSEは矢印REの向きの動きの量(旋回回転量)を示し、矢印REの向きの動きのロックを解除するロック解除用スイッチ12Aと同一色(青色)ないし類似色(青系色)が施されている。
【0058】
次に、以上に説明した構成を有する実施例のX線TV撮影装置により手術中の被検体をX線撮影するにあたって、C型支持アーム3の位置を調整する場合を例に採って説明する。なお、以下では、撮影目的に合わせて、C型支持アーム3の矢印RAの向きの動きの量(スライド回転量)を調整し、撮影角度をセットするものとする。
【0059】
実施例装置の装置本体4およびキャビネット体6は手術室に予め移動させられており、図6に示すように、被検体Mを手術台Bに載置してから、装置本体4を適当に移動させて、C型支持アーム3をX線管1とI・I管2が被検体Mの手術部位を挟むように配置されているものとする。
【0060】
術者(医師)は、矢印RAの向きの動きが顕現化するC型支持アーム3の側面に付設されているスライド回転量(矢印RAの向きの動きの量)を示す赤色ないし赤系色のスケールSAの色を見て、C型支持アーム3の位置調整に必要な矢印RAの向きの動きのロックを解除するロック解除用スイッチ11Aの色は赤であると確認する。そして、術者は、オペレータへ「赤(又は赤のスイッチ)」とスイッチの色名の一言だけで簡単にオペレータが操作すべきロック解除用スイッチ11Aを伝達する。
【0061】
オペレータは直ちにスイッチ操作部15に配置されているロック解除用スイッチ11A〜14Aの中から赤色のロック解除用スイッチ11Aを操作すべきスイッチとして一目で直観的に確認する。そして、オペレータがロック解除用スイッチ11Aを操作する(押す)と、動きロック機構11によるロックが解除され、C型支持アーム3は矢印RAの向きの動きが可能となる。
【0062】
術者あるいはオペレータは、ロック解除用スイッチ11Aで動き量(スライド回転量)をスケールSAでチェックしながら手動でC型支持アーム3を矢印RAの向きに適切な量だけ移動させて、撮影方向をセットすると、C型支持アーム3は完了となる。なお、ロック解除後、一定時間が経過すると、ロック機構11が自動的に作動してC型支持アーム3を矢印RAの向きの動きは再びロックされる。
【0063】
以上に述べたように、実施例のX線TV撮影装置の場合、色の相違で相互に区別できるように色分けされたロック解除用スイッチ11A〜14Aと、ロック解除用スイッチ11A〜14Aと同一色ないし類似色を付けて各動きと対応付けしたかたちで設けられた解除スイッチ特定用色表示とによって、X線管1とI・I管2を支えるC型支持アーム3の位置調整用の矢印RA〜矢印REの向きの各動きと、C型支持アーム3のアーム位置調整用の動きに掛けられているロックを解除する各ロック解除用スイッチ11A〜14Aとが色で直接対応付けられている。その結果、C型支持アーム3の位置調整の為に必要な動きに掛けられているロックを解除するロック解除用スイッチが色により一目で確認できたり、色名の一言だけで簡単に伝達できたりするので、C型支持アーム3の位置調整用の動きに掛けられているロックを速やかに解除することができる。
【0064】
また、実施例装置の場合、解除スイッチ特定用色表示を兼ねているスケールSA〜SEが、解除スイッチ特定用色表示と対応する動きが顕現化する目に付き易い個所に取り付けられているので、解除スイッチ特定用色表示を、極めて簡単に見つけられる。
【0065】
この発明は、上記実施の形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)実施例装置では、C型支持アーム3が移動可能な台車構造の装置本体4に搭載されている構成であったが、C型支持アーム3は固定据えつけ式の撮影台、あるいは、天井走行式の撮影台に取り付けられている構成の装置が、変形例として挙げられる。
【0066】
(2)実施例装置では、画像表示モニタ5A,5Bが装置本体4と一体ではなく別置きであったが、画像表示モニタ5A,5Bが装置本体4と一体である構成の装置が、変形例として挙げられる。
【0067】
(3)実施例装置では、X線管1とI・I管2を支えているのがC型支持アーム3であったが、X線管1とI・I管2を支える支持アームは、C型である必要はない。
【0068】
(4)実施例装置では、X線検出器がI・I管2であったが、X線検出器として多数のX線検出素子を縦横にアレイ配列したフラットパネル型X線検出器(FPD)を用いるようにしてもよい。
【0069】
(5)実施例装置では、スケールSA〜SEが解除スイッチ特定用色表示を兼ねる構成であったが、解除スイッチ特定用色表示は、例えば、スケールとは別に各ロック解除用スイッチ11A〜14Aと同一色ないし類似色で独立した色マークを描くことにより設けられている構成の装置が、変形例として挙げられる。適当な色マークとしては、例えば、ロック解除用スイッチ11A〜14Aのそれぞれに描かれているシンボルマークと同形のものが挙げられる。
【0070】
(6)この発明のX線撮影装置は、外科用以外の装置にも適用可能であり、さらには、医療分野に限らず、工業分野ないし原子力分野の装置にも適用することができる。
【0071】
【発明の効果】
以上に詳述したように、請求項1に記載のX線撮影装置の場合、X線管とX線検出器を支えている支持アームの位置調整用の動きに掛けられているロックを解除する複数のロック解除用スイッチが色の相違で相互に区別できるように色分けされており、支持アームのアーム位置調整用の動き毎にそれぞれの動きを解除するロック解除用スイッチと同一色ないし類似色を付けて各動きと対応付けしたかたちで解除スイッチ特定用色表示が設けられていて、支持アームの位置調整用の各動きとロック解除用スイッチとが色で直接対応付けられた構成となっている。
【0072】
したがって、支持アームの位置調整の為に必要な動きに掛けられているロックを解除するロック解除用スイッチを、スイッチの色を一目見るだけで直観的に確認することができたり、あるいは、色名だけを一言告げるだけで簡単に伝達したりすることができるので、X線管とX線検出器を支えている支持アームのアーム位置調整用の動きに掛けられているロックを速やかに解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のX線TV撮影装置の装置本体の主要構成を示す立面図である。
【図2】実施例のX線TV撮影装置の装置本体の主要構成を示す平面図である。
【図3】実施例装置の別置きタイプの画像表示モニタを示す斜視図である。
【図4】実施例装置のロック解除用スイッチが配置されたスイッチ操作部を示す平面図である。
【図5】実施例装置の解除スイッチ特定用色表示を兼ねるスケールの配置状況を示す図である。
【図6】実施例装置によりX線撮影を行う際の状況を示す立面図である。
【図7】従来のX線TV撮影装置の要部構成を示す立面図である。
【符号の説明】
1 … X線管
2 … I・I管(X線検出器)
3 … C型支持アーム(支持アーム)
4 …装置本体
5A,5B …画像表示モニタ
11〜14 … ロック機構
11A〜14A … ロック解除用スイッチ
RA〜RE … アーム位置調整用の動き
SA〜SE … スケール
Claims (4)
- (A)X線照射用のX線管と透過X線検出用のX線検出器とを対向配置となるようにアーム一端とアーム他端に取り付けて支持するとともに、X線管とX線検出器の位置と方向を変更できるようにアーム位置調整用の動きがおこなえるように配設されている支持アームと、(B)支持アームのアーム位置調整用の動きをロックする複数のロック機構と、 (C)支持アームのアーム位置調整用の動きに掛けられているロック機構によるロックをロック機構毎に解除できるように各ロック機構に対応して配設されているとともに、色の相違で相互に区別の付くように色分けされている複数のロック解除用スイッチと、(D)ロック解除用スイッチと同一色ないし類似色を配色されているとともに、支持アームのそれぞれの動きの量を示すスケールとを備え、前記スケールが術者の目に付き易い個所に取り付けられていることを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項1に記載のX線撮影装置において、装置本体が移動可能な台車構造を具備しており、支持アームがX線管およびX線検出器ごと装置本体に搭載されていることを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項2に記載のX線撮影装置において、各ロック解除用スイッチ1個ずつでひと組となる二組分のロック解除用スイッチが配備されており、一方の組のロック解除用スイッチが装置本体の右サイド寄りに配置され、他方の組の各ロック解除用スイッチが装置本体の左サイド寄りに設置されていることを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項3に記載のX線撮影装置において、一方の組のロック解除用スイッチにおけるスイッチの配列と、他方の組のロック解除用スイッチにおけるスイッチの配列が、二組のロック解除用スイッチを正面視して左右対称であることを特徴とするX線撮影装置。
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