JP4254097B2 - 揮散性薬剤徐放部材とそれを用いた空気調和機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、揮散性薬剤を外部の湿度環境変化によって徐放させる揮散性薬剤徐放部材に関するものであり、季節の変動あるいはその場の雰囲気湿度環境が変化して、カビ、菌が繁殖することを防止したいような分野には広く適用可能である。たとえば浴室、更衣室、下駄箱、フードストッカー、物置、地下収納庫、またビル空調用の加湿用通路、換気用通路等にも適用可能である。特に空気調和機の室内機を冷房運転した後、常に清潔な状態に保つのに有効である。
【0002】
【従来の技術】
充填された液体状のものを長期間にわたって徐放させるための技術は種々雑多と提案されてきている。一般的には多孔性の材料物質中に含浸させて毛細管現象によって徐々に揮散させる方法である。その多孔性物質とはゼオライト、シルカゲルのような無機化合物であったり、ポリプロピレン、ポリエステル、セルロースの発泡体あるいは繊維束であったりしていた。さらにシクロデキストリンと呼ばれる有機物の小さな孔に包接させて徐放させるような方法も特開平5−176733号公報、特開平6−40890号公報に提案されている。またマイクロカプセル化して徐放性を具現化する方法も特開平6−9377号公報、特開平6−65064号公報、特開平7−89848号公報、特開平9−911号公報、特開平9−12447号公報、特開平9−57091号公報等で提案されている。
【0003】
また吸い上げ体を使用した場合には、防虫忌避剤の分野あるいは芳香剤の分野でよく用いられる方法として、吸い上げ体をヒータで加熱し、揮散速度をさらに向上させることも特開昭55−57502号公報、特開昭63−240738号公報等で提案されている。
【0004】
これら従来の方式は揮散性薬剤を外部の湿度環境に応じて徐放するものではなかったので、本発明者らはビスコース膜を利用して揮散性薬剤を必要な場合に有効に徐放させる方法を提案してきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、揮散性薬剤が揮散性薬剤徐放部材から放出され、薬剤の残量がどのくらいであるのか、利用者は独自に判断することができなかった。そのため揮散性薬剤徐放部材を非透過性フィルムで包装された状態から開封して使用を開始した時の日付を記録しておき、所定の期間が過ぎたら交換するという方法しかなかった。そのため利用環境の違いによって仮に揮散性薬剤徐放部材内部に揮散性薬剤がまだ十分に残っていても揮散性薬剤徐放部材としての品質を保証するためには新品のものと交換してもらわなければならない。そのため揮散性薬剤徐放部材内部に揮散性薬剤がまだ十分に残っていることを確認できれば、使用期間を延長して使用することができていたにもかかわらず、交換するという無駄を生じていた。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に対して、利用者が簡単に独自の判断で揮散性薬剤徐放部材内部の揮散性薬剤残量を確認できる揮散性薬剤徐放部材とそれを用いた空気調和機を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対して、薬剤が揮散量を制御する揮散量制御膜で内包され、前記揮散量制御膜の外装に湿度変化によって前記薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を具備し、前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜の間に揮散した前記薬剤の蒸気が滞留するための空間部を設け、前記空間部に湿度量で色変化する湿度感受性部材を配置し、前記薬剤が揮散して前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜とで形成された前記空間部で一定の蒸気濃度以下に保たれながら、外部の湿度環境変化に応じて前記空間部に滞留している薬剤が前記湿度感受性膜から外部へ徐放され、前記薬剤が一定量以下になると前記湿度感受性膜から前記空間部内部へと湿気が侵入し、前記湿度感受性部材が色変化することによって利用者に薬剤の残量が一定量以下になったことを知らせる揮散性薬剤徐放部材である。
【0008】
上記構成により、揮散性薬剤徐放部材内部に配置された湿度感受性部材によって、薬剤が十分に残っている場合には揮散性薬剤の蒸気圧によって外部から湿気が内部に侵入してくることはないが、薬剤の残量が一定量以下になると揮散性薬剤の蒸気圧低下によって外部から部材内部へと湿気が侵入して湿度感受性部材が湿度量によって反応して色変化し、利用者は薬剤の残量が一定量以下になったことを容易に判断できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、薬剤が揮散量を制御する揮散量制御膜で内包され、前記揮散量制御膜の外装に湿度変化によって前記薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を具備し、前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜の間に揮散した前記薬剤の蒸気が滞留するための空間部を設け、前記空間部に湿度量で色変化する湿度感受性部材を配置し、前記薬剤が揮散して前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜とで形成された前記空間部で一定の蒸気濃度以下に保たれながら、外部の湿度環境変化に応じて前記空間部に滞留している薬剤が前記湿度感受性膜から外部へ徐放され、前記薬剤が一定量以下になると前記湿度感受性膜から前記空間部内部へと湿気が侵入し、前記湿度感受性部材が色変化することによって利用者に薬剤の残量が一定量以下になったことを知らせる揮散性薬剤徐放部材である。
【0010】
請求項2記載の発明は、少なくとも熱交換器と、前記熱交換器により温度調節された風を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、薬剤が揮散量を制御する揮散量制御膜で内包され、前記揮散量制御膜の外装に湿度変化によって前記薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を具備し、前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜の間に揮散した前記薬剤の蒸気が滞留するための空間部を設け、前記空間部に湿度量で色変化する湿度感受性部材を配置し、前記薬剤が揮散して前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜とで形成された前記空間部で一定の蒸気濃度以下に保たれながら、外部の湿度環境変化に応じて前記空間部に滞留している薬剤が前記湿度感受性膜から外部へ徐放され、前記薬剤が一定量以下になると前記湿度感受性膜から前記空間部内部へと湿気が侵入し、前記湿度感受性部材が色変化することによって利用者に薬剤の残量が一定量以下になったことを知らせる揮散性薬剤徐放部材を、前記熱交換器の上流側で、かつ前記熱交換器の近傍に配置した空気調和機である。
【0011】
請求項3記載の発明は、薬剤が揮散量を制御する揮散量制御膜で内包され、前記揮散量制御膜の外装に湿度変化によって前記薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を具備し、前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜の間に揮散した前記薬剤の蒸気が滞留するための空間部を設け、前記空間部に湿度量および酸素量で酸化反応する湿度感受性部材を配置し、前記薬剤が揮散して前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜とで形成された前記空間部で一定の蒸気濃度以下に保たれながら、外部の湿度環境変化に応じて前記空間部に滞留している薬剤が前記湿度感受性膜から外部へ徐放され、前記薬剤が一定量以下になると前記湿度感受性膜から前記空間部内部へと湿気が侵入し、前記湿度感受性部材が湿気と酸素によって酸化反応することによって色変化し、利用者に薬剤の残量が一定量以下になったことを知らせる揮散性薬剤徐放部材である。
【0012】
請求項4記載の発明は、少なくとも熱交換器と、前記熱交換器により温度調節された風を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、薬剤が揮散量を制御する揮散量制御膜で内包され、前記揮散量制御膜の外装に湿度変化によって前記薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を具備し、前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜の間に揮散した前記薬剤の蒸気が滞留するための空間部を設け、前記空間部に湿度量および酸素量で酸化反応する湿度感受性部材を配置し、前記薬剤が揮散して前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜とで形成された前記空間部で一定の蒸気濃度以下に保たれながら、外部の湿度環境変化に応じて前記空間部に滞留している薬剤が前記湿度感受性膜から外部へ徐放され、前記薬剤が一定量以下になると前記湿度感受性膜から前記空間部内部へと湿気が侵入し、前記湿度感受性部材が湿気と酸素によって酸化反応することによって色変化し、利用者に薬剤の残量が一定量以下になったことを知らせる揮散性薬剤徐放部材を、前記熱交換器の上流側で、かつ前記熱交換器の近傍に配置した空気調和機である。
【0013】
請求項5記載の発明は、湿度感受性部材は、塩化コバルト、臭化コバルト、塩化ニッケルまたは臭化ニッケルを含有してなるシリカゲル粒子で構成される揮散性薬剤徐放部材である。
【0014】
請求項6記載の発明は、湿度感受性部材は、塩化コバルト、臭化コバルト、塩化ニッケルまたは臭化ニッケルを含有してなる水溶性高分子を主体としたシートで構成される揮散性薬剤徐放部材である。
【0015】
請求項7記載の発明は、水溶性高分子がポリビニルアルコールまたはセルロースエーテルである揮散性薬剤徐放部材である。
【0016】
請求項8記載の発明は、湿度感受性部材は、鉄板で構成される揮散性薬剤徐放部材である。
【0017】
請求項9記載の発明は、薬剤の揮散量を制御する膜がポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはそれらの複合ラミネートフィルムである揮散性薬剤徐放部材である。
【0018】
請求項10記載の発明は、湿度感受性膜が表面にビスコース加工紙を含んでなるラミネート構造である揮散性薬剤徐放部材である。
【0019】
請求項11記載の発明は、揮散性薬剤徐放部材に配された湿度感受性膜の表面を熱交換器における空気の流れの上流側に位置する面と向い合わせとなるように配置した空気調和機である。
【0022】
【実施例】
以下本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。
【0023】
(実施例1)
図1は本実施例で使用する湿度感受性膜を配置した揮散性薬剤徐放部材の上面外観図であり、図2は図1におけるA−A´線での側面断面構成図であり、図3は図1におけるB−B´線での側面断面構成図である。1は薬剤となるアリルイソチオシアネートを吸収して膨潤したポリウレタン連続多孔質体である。具体的には35×71×2mmのポリウレタン連続多孔質体、かさ密度0.35g/ml、平均気孔径30μm、気孔率70%にアリルイソチオシアネート15.5gを吸収させて約50×100×2.8mmに膨潤した。2はポリウレタン連続多孔質体1の外装となるラミネートフィルムのピロー包装体であり、ポリプロピレン 30μmとポリエチレン 70μmとのラミネートフィルムに対してポリエチレン側をヒートシール巾5mmにてピロー包装化したものであり、一次制御膜となる。3はそれを充填するための透明なポリエチレンテレフタレート、厚み2mmからなる本体容器であり、射出成形にて加工した。容器の内寸法は55×120×10mmである。4は本体容器3に対する蓋であり、これも透明なポリエチレンテレフタレート、厚み2mmからなる。蓋4の中央部に大きな窓を有し、長手方向の渡しとなるように2ヶ所にリブ5が形成され、蓋4の表面側中央部には40×100mmの湿度感受性膜6が配置され、リブ5によってピロー包装体2の容器内部で底面側に位置固定と湿度感受性膜6に対する補強の役目を果たしている。湿度感受性膜6はビスコース加工紙をPET 12μm/ポリエチレン40μm/延伸ポリプロピレン 20μm上にレーヨン/パルプ不織布を介してビスコース膜を8g/m2の塗布量で形成させたラミネート構造のものを使用し、湿度感受性膜6の外周部は蓋4にPET側をヒートシールで溶着接合されている。ヒートシール巾は3mmであり、湿度感受性膜のPETはヒートシール性をよくさせるため5mm巾で外周部にだけラミネート加工されている。本体容器3と蓋4は超音波接合によって接合されている。7はピロー包装体2と本体容器3と蓋4とで形成される空間部であり、その空間内容積は約45mlである。また8は湿度感受性部材である。具体的な構成は粒径約3mmのシリカゲル粒子を透明な12メッシュのポリエステル製袋に内装したものであり、シリカゲルには塩化コバルトが2wt%含有されている。
【0024】
揮散性薬剤徐放部材の徐放機構について説明する。ポリウレタン連続多孔質体1から揮散したアリルイソチオシアネートはラミネートフィルム2で揮散量を抑制されながら、ラミネートフィルム2と湿度感受性膜6とで形成される空間部7へと至る。たとえば25℃においてアリルイソチオシアネートの蒸気圧は約5mmHgであるため、一次制御膜内部はすぐに飽和蒸気濃度は最大約6600ppmとなり、空間部7はそれに対してある程度の濃度勾配を有しながら、アリルイソチオシアネート蒸気が充満し、二次制御膜からの放出量が小さければ、ある程度雰囲気温度に対する蒸気圧特性まで揮散量が増大し、最終的には空間部7をほぼ飽和蒸気圧濃度までに達せられる。湿度感受性膜6によって低湿度の場合にはアリルイソチオシアネートの外部への蒸気放出がある程度抑制されるため、空間部7は飽和蒸気圧濃度に近い状態のままでずっと維持される。しかし湿度が高くなるとアリルイソチオシアネート蒸気が湿度感受性膜6を通過して外部へと放出されやすくなる。湿度感受性膜6は湿度変化によって膜組織が膨潤し、緩んだ構造となり、アリルイソチオシアネート分子が透過して外部へと放出されやすくなる。この放出量分を補充するためにはポリウレタン連続多孔質体1から揮散したアリルイソチオシアネートがさらにラミネートフィルムのピロー包装体2を通過して空間部7へと充満する必要がある。この時湿度感受性膜6から外部へのアリルイソチオシアネート放出速度とポリウレタン連続多孔質体1から揮散したアリルイソチオシアネートが空間部7へ透過してくるアリルイソチオシアネート揮散速度を比較すると後者のほうが速いので、アリルイソチオシアネートの放出量が不足することはない。このような構成の揮散性薬剤徐放部材によって、30℃、相対湿度95%条件にて湿度感受性膜から薬剤を100mg/日レベルで継続して放出させることが可能となった。また揮散性薬剤徐放部材から薬剤放出特性はアリルイソチオシアネートの残量が初期に対して10wt%以下になるまでほとんど変化することがなかった。湿度感受性部材8は初期には加熱乾燥させて揮散性薬剤徐放部材内部に充填しているので鮮やかなブルー色であるが、すぐに濃いブルーとなり、アリルイソチオシアネートの残量が初期に対して10wt%以下になると次第に揮散性薬剤徐放部材からのアリルイソチオシアネート放出量が低下してき、この結果外部環境雰囲気から湿気も侵入しやすくなり、シリカゲルに湿気が吸着されると塩化コバルトに水が6配位され、薄いピンク色に変化した。(化1)にこの反応式を示した。
【0025】
【化1】
【0026】
これによって利用者は揮散性薬剤徐放部材を透明な本体容器外部から観察することでアリルイソチオシアネート液量がなくなってきたことを判断できた。また容器に透明な非晶質PET樹脂を使用しているので、利用者は目視観察によってポリウレタン連続多孔質体の形状を観察することができる。薬剤の液量低減状態はポリウレタン連続多孔質体の大きさの変化量によっても、簡単に確認できるので取り替え交換時期を判断しやすい。
【0027】
次に空気調和機の室内機に本実施例による揮散性薬剤徐放部材を使用した場合について説明する。
【0028】
図4は、本実施例を示す空気調和機の室内機断面構成図である。吸い込みグリル9、10を通じて室内空気を吸い込み、吸い込んだ空気は熱交換器11、12によって冷却、除湿された後、クロスフローファン13によって吸い込み送風されながら、最終吹出し口14から室内空間に冷風を提供する。吹出し口14には上下偏向羽根15が配設され、室内空間への吹出し方向をコントロールしている。この時、熱交換器11、12によって除湿された結露水は熱交換器アルミニウムフィンをつたって、ドレンパン部16、17へと至る。ドレンパン部16は室内機台枠18に一体物として構成され、ドレンパン部17は吹出しグリル19に一体物として構成される。ドレンパン部16に溜まった結露水は台枠18を介してドレンパン部17側に流れて水受けされ、最終的にはドレン口(図示せず)を経由して外部へと排出される。熱交換器11,12のアルミニウムフィンには熱交換性能の高効率化を図るため、縦スリットが設けられた構造を有している。そのために結露した水はスリット部で表面張力によって水膜を形成して、ドレンパン部16,17とすぐには滴下し難い構造のため、アルミニウムフィンが乾くスピードが遅くなってしまう。たとえば25℃、相対湿度90%の環境雰囲気では、熱交換器アルミニウムフィンが乾くのに数十時間を要してしまい、なかなか乾燥しない。この時室内機空間、特に熱交換器11,12で構成される送風回路内部は相対湿度95%以上の雰囲気に曝され、カビが非常に繁殖しやすい環境条件となっている。20は揮散性薬剤徐放部材であり、熱交換器12に近接した下部上流側に配置され、揮散性薬剤徐放部材20の湿度感受性膜6側が熱交換器に向かい合う構成とした。このことによって冷房、除湿運転停止後、上下偏向羽根15が閉状態になるとともに、高湿度状態となった空気が室内機全体に充満して湿度感受性膜6に達すると、揮散性薬剤徐放部材20の内部からアリルイソチオシアネートが熱交換器12側へ拡散し、アルミニウムフィン間を通過しながら、上下偏向羽根15が閉状態となっているので熱交換器11、12で構成された空間部等へと徐々に拡散、堆積して充満する。この結果室内機内部は熱交換器11、12で構成された空間底部で3〜5ppm程度、上部低濃度の空間でも1ppm以上のアリルイソチオシアネート蒸気を滞留させることが可能となる。揮散性薬剤徐放部材20の空間部7に滞留している高濃度のアリルイソチオシアネート蒸気が湿度感受性膜6を透過して500〜5000倍の空間へと拡散していく構成である。アリルイソチオシアネートの閾値は10ppm程度であるので匂いを感じないレベルの滞留濃度である。これによって室内空間に存在するCladosporium、Alternaria、Aspergillus、Penicillium、Rhizopusと言った一般的なカビには十分な防カビ効果を得ることができた。防カビの効果を得るためには室内機へのアリルイソチオシアネート蒸気を0.5ppm以上にすることが望ましく、人間の閾値である10ppm以下にすることが実用上望ましい。したがって揮散性薬剤徐放部材内部に構成される薬剤蒸気の滞留する空間部と室内機内部の空間容積との比は1対500〜5000倍程度が好ましいと考えられる。
【0029】
実施例では揮散性薬剤徐放部材の湿度感受性膜を片面に配置して、その湿度感受性膜側が熱交換器の吸い込み上流面と向かい合う構成としたが、本発明はこれに限定されるものではない。しかし、薬剤がなくなった時の揮散性薬剤徐放部材の交換を考えた場合、吸い込みグリル10を外した熱交換器上流側に配置することで利用者からのメンテナンス性が良くなる。また薬剤を効率的に活用し、かつ迅速に放出させるためには本実施例のような構成にすることが最も望ましい。
【0030】
(実施例2)
図5は本実施例で使用する湿度感受性膜を配置した揮散性薬剤徐放部材の上面外観図であり、図6は図5におけるC−C´線での側面断面構成図であり、図7は湿度感受性部材が外部から見える揮散性薬剤徐放部材の外観図である。21は一部透明な窓を有するナイロン/ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる容器であり、ベージュ色のナイロン 60μm/非晶質PET 1mmのラミネートシートを真空成形にて加工した。211は湿度感受性部材を外部から見た時に透明な窓となる容器部分である。PET容器の内寸法は50×140×10mmである。22は薬剤となるアリルイソチオシアネートを吸収して膨潤したポリウレタン連続多孔質体である。具体的には30×83×2mmのポリウレタン連続多孔質体、かさ密度0.35g/ml、平均気孔径30μm、気孔率70%にアリルイソチオシアネート15.5gを吸収させて約42×120×2.8mmに膨潤した。23はポリウレタン連続多孔質体21の外装となるラミネートフィルムのピロー包装体であり、ポリプロピレン 30μmとポリエチレン 70μmとのラミネートフィルムに対してポリエチレン側をヒートシール巾5mmにてピロー包装化したものであり、一次制御膜となる。24はビスコース加工紙を表面に有するラミネート構造をした湿度感受性膜であり、二次制御膜となる。湿度感受性膜24はビスコース加工紙をPET 9μm/ポリエチレン 40μm/延伸ポリプロピレン 20μm上にレーヨン/パルプ不織布を介してビスコース膜を8g/m2の塗布量で形成させたラミネート構造のものを使用し、湿度感受性膜24の外周部はPET容器21とヒートシール巾3mmで溶着接合されている。25はフィルム状湿度感受性部材であり、具体的にはポリエステル不織布に塩化コバルトを溶解させたポリビニルアルコール水溶液、約5000cpsを塗布した後に70℃で十分に乾燥させてフィルム状、10×20×1mmとした。得られた湿度感受性部材は外側から観察しやすいように本体容器の低面下部に配置できるようにピロー包装体23とホットメルトで固定した。26はPET製のリブであり、ピロー包装体23がPET容器の底面側に位置されるように支持する役目を果たす。27はラミネートフィルムのピロー包装体、一次制御膜と湿度感受性膜、二次制御膜とで構成される空間部である。薬剤の徐放機構は実施例1と同様である。
【0031】
湿度感受性部材25は初期には加熱乾燥させて揮散性薬剤徐放部材内部に配置しているので鮮やかなブルー色であるが、すぐに濃いブルーとなり、アリルイソチオシアネートの残量が初期に対して10wt%以下になると次第に揮散性薬剤徐放部材からのアリルイソチオシアネート放出量が低下してき、この結果外部から湿気も侵入しやすくなり、シリカゲルに湿気が吸着されると塩化コバルトに水が配位され、次第に薄いピンク色に変化した。これによって利用者は揮散性薬剤徐放部材を透明な本体容器外部から観察することでアリルイソチオシアネート液量がなくなってきたことを容易に判断できた。
【0032】
実施例ではポリビニルアルコールを使用したが本発明の目的にはこの他にセルロースエーテルが使用できる。これら水溶性高分子を塩化コバルトの水溶液と混合状態、粘度100〜100000cpsの状態にした後、ベース基材となる吸水性の布、不織布、フィルムまたはシートに含浸、塗布あるいはスクリーン印刷、グラビア印刷などで印刷した後、加熱乾燥させることで塩化コバルトによって着色された布、不織布、フィルムまたはシートが得られる。これら布、不織布、フィルムまたはシートはポリビニルアルコールまたはセルロースエーテルがある程度吸湿することで、その時保持した水が塩化コバルトに供給され、塩化コバルトが無水の状態から6水和物の状態に反応変化することを補助する作用を奏する。
【0033】
ここでセルロースエーテルについて説明する。セルロースエーテルはパルプを原料とし、苛性ソーダで処理した後、エーテル化剤でセルロースの水酸基の水素原子をメチル基、ヒドロキシプロピル基あるいはヒドロキシエチル基で置換することにより、水溶化しやすくさせたものである。化学式を(化2)に示した。
【0034】
【化2】
【0035】
(実施例3)
本実施例で使用した揮散性薬剤徐放部材は実施例2とほぼ同様な構成を有しているので詳細な説明は省略し、異なる部分についてだけ説明を加える。本実施例では湿度感受性部材として鉄板10×20×0.2mmを外側から観察できる本体容器の低面下部に配置した。
【0036】
湿度感受性部材は初期銀白色であるが、アリルイソチオシアネートの残量が初期に対して10wt%以下になると次第に揮散性薬剤徐放部材からのアリルイソチオシアネート放出量が低下してき、この結果外部から湿気も侵入しやすくなり、鉄板が酸化されて徐々に錆てき、褐色の斑点が発生した。これによって利用者は揮散性薬剤徐放部材を透明な本体容器外部から観察することでアリルイソチオシアネート液量がなくなってきたことを容易に判断できた。
【0037】
実施例では塩化コバルトを使用したがこの他にも臭化コバルト、塩化ニッケル、臭化ニッケルが使用できる。臭化コバルトは吸湿により緑色から赤紫色へと変化し、塩化ニッケルは吸湿により黄色から淡い緑色へと変化し、臭化ニッケルは吸湿により黄褐色から緑色へと変化する。これらの色変化を透明な容器あるいは透明な部分を有する容器の外部から利用者が観察することで揮散性薬剤徐放部材から薬剤が減り、なくなりそうなことが容易に判断できた。
【0038】
(実施例4)
本実施例で使用した揮散性薬剤徐放部材は実施例1とほぼ同様な構成を有しているので詳細な説明は省略し、異なる部分についてだけ説明を加える。本実施例では湿度感受性膜としてビスコース加工紙をPET 12μm/ポリエチレン 40μm/延伸ポリプロピレン 20μm上にレーヨン/パルプ不織布を介してビスコース膜を8g/m2の塗布量で形成させたラミネート構造のものを使用し、PETは全面にラミネートしたもの使用した。その結果、30℃、相対湿度95%条件にて湿度感受性膜から薬剤を約50mg/日で放出可能な揮散性薬剤徐放部材が得られた。また湿度感受性部材はここでは使用していない。揮散性薬剤徐放部材を大気中に放置した状態では初期の状態でも、人間には内部からアリルイソチオシアネートが約50mg/日レベルで放出されていても検知できない、そこで揮散性薬剤徐放部材をPET 12μm/ナイロン15μm/アルミニウム箔7μm/ポリエチレン50μm構造からなる非透過性フィルムのポリエチレン側を三方ヒートシールしたチャックシール付きの袋の中に揮散性薬剤徐放部材を挿入してシールをした後、約2時間放置し、その後再度チャックシールを開封するとともに、開放部に利用者が鼻を近づけることで揮散性薬剤徐放部材に薬剤が残っているかどうか判断できた。これは非透過性フィルム内に揮散性薬剤徐放部材を入れて放置することで薬剤の内部濃度が閾値まで上昇したとともに非透過性フィルム内面を構成するポリエチレン層に薬剤の臭気が付着しやすいためであることがわかった。
【0039】
(実施例5)
本実施例で使用した揮散性薬剤徐放部材は実施例1とほぼ同様な構成を有しているので詳細な説明は省略し、異なる部分についてだけ説明を加える。本実施例では湿度感受性膜としてビスコース加工紙をPET 25μm/ポリエチレン 40μm/延伸ポリプロピレン 20μm上にレーヨン/パルプ不織布を介してビスコース膜を8g/m2の塗布量で形成させたラミネート構造のものを使用し、PETは全面にラミネートしたもの使用した。またラミネートフィルムのピロー包装体も、PET 12μm/ポリプロピレン 30μm/ポリエチレン 50μmのラミネートフィルムに対してポリエチレン側をヒートシール巾5mmにてピロー包装化したものである。その結果、30℃、相対湿度95%条件にて湿度感受性膜から薬剤を約20mg/日で放出可能な揮散性薬剤徐放部材が得られた。また湿度感受性部材はここでは使用していない。揮散性薬剤徐放部材を大気中に放置した状態では初期の状態でも、人間には内部からアリルイソチオシアネートが約20mg/日で放出されていても検知できない、そこで揮散性薬剤徐放部材をPET 12μm/ナイロン15μm/アルミニウム箔7μm/ポリエチレン50μm構造からなる非透過性フィルムのポリエチレン側を三方ヒートシールしたチャックシール付きの袋の中に揮散性薬剤徐放部材を挿入してシールをした後、50℃の雰囲気に約2時間放置し、その後再度チャックシールを開封するとともに、開放部に利用者が鼻を近づけることで揮散性薬剤徐放部材に薬剤が残っているかどうか判断できた。
【0040】
実施例4、5のように、非透過性フィルム内に揮散性薬剤徐放部材を入れて放置することで薬剤の内部濃度が閾値まで上昇したとともに、非透過性フィルム内面を構成するポリエチレン層に揮散性薬剤の臭気が付着しやすいためであることがわかった。
【0041】
実施例では、非透過性フィルムとして、PET/ナイロン/アルミニウム箔/ポリエチレン構造からなるもの使用したが、本発明で使用できるものはこの限りではない。しかし一般的には非透過性フィルムとしては5μm以上のアルミニウム箔が内層されたラミネート構造フィルムが使用される。本発明の目的に適した非透過性のフィルムとしては内面がポリエチレンフィルム層であり、その厚みが30〜100μm程度のものが好ましかった。
【0042】
実施例1では、薬剤を充填する容器として無色透明な非晶質PET樹脂を使用したが、本発明で使用できるものはこの限りではない。この他に充填する薬剤との耐薬品性を鑑みて問題のない材料を選択すればよい。また容器全体を透明にする必要もない。実施例2、3のように容器の一部に透明な部分を設け、外部から湿度感受性部材が容易に観察できるような容器構成であれば使用できる。参考までに、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、メチルペンテン樹脂等が透明性を有する樹脂として使用できる。容器の一部を透明な部分にするには有色のフィルムと非晶質PETのラミネートシートを真空加工またはプレス加工で成形することで容易に揮散性薬剤徐放部材の容器として供することができ、安価に入手可能である。
【0043】
実施例では、液体吸収体としてポリウレタンの連続多孔質体を使用したが、本発明で使用できるものはこの限りではない。液体の薬剤を容器内部に信頼性を有した構成で保持できるものであれば特に問題はない。この他に薬剤を十分に増粘化または固形化させて容器に充填してもよい。ポリウレタンの連続多孔質体の特徴としては液体の薬剤を吸収して十分に体積膨張した。その結果、保持している薬剤が減量するにしたがって徐々に収縮し、形状変化することで利用者は薬剤の低減変化量を判断しやすかった。それに適する特性としては平均気孔径10〜100μ、気孔率50〜90%を有していれば薬剤の液体保持率が体積比で100%以上となり、体積膨潤率200%以上の効果を得ることができる。傾向としては小さな気孔径を多く持っていたほうが体積膨張率は大きくすることができた。また気孔率は大きいほうが当然体積膨張率は大きくすることができるが、あまり大きくすると機械的強度が弱くなりすぎて形状が崩れてくることとなった。
【0044】
実施例では、薬剤の揮散量を制御する膜としてポリプロピレンとポリエチエンの複合ラミネートフィルムを使用したが、本発明で使用できるものはこの限りではない。その他にポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムを単独もしくは複合してラミネート構造のフィルムとして使用することもできる。
【0045】
実施例では、専らアリルイソチオシアネートを使用したが、本発明で使用できるものはこの限りではない。ティーツリー油、ユーカリ油等が使用できる。また低濃度の揮散量にて抗菌、防カビ効果が得られるような薬剤であれば本発明の揮散性薬剤徐放部材の薬剤として利用可能である。
【0046】
実施例では、一般的なセパレート型空気調和機の室内機に適用した場合についてだけ説明したが、本発明による揮散性薬剤徐放部材の用途はこれに限られるものではない。季節の変動あるいはその場の雰囲気湿度環境が変化して、カビ、菌が繁殖することを防止したいような分野には広く利用できる。たとえば浴室、更衣室、下駄箱、フードストッカー、物置、地下収納庫等に使用できる。またビル空調用の加湿用通路、換気用通路等にも応用可能である。
【0047】
【発明の効果】
上記実施例から明らかなように、請求項1、2記載の発明によれば、揮散性薬剤徐放部材内部に配置された湿度感受性部材によって、薬剤が十分に残っている場合には揮散性薬剤の蒸気圧によって外部から湿気が内部に侵入してくることはないが、薬剤の残量が一定量以下になると揮散性薬剤の蒸気圧低下によって外部から内部へと湿気が侵入して湿度感受性部材が湿度量によって反応して色変化し、利用者は薬剤の残量が一定量以下になったことを容易に判断できた。
【0048】
請求項3、4記載の発明によれば、揮散性薬剤徐放部材内部に配置された湿度感受性部材によって、薬剤が十分に残っている場合には揮散性薬剤の蒸気圧によって外部から湿気が内部に侵入してくることはないが、薬剤の残量が一定量以下になると揮散性薬剤の蒸気圧低下によって外部から内部へと湿気が侵入して湿度感受性部材が湿度量および酸素量によって酸化反応し、その結果として変色あるいは斑点の発生等の現象が起こることで、利用者は薬剤の残量が一定量以下になったことを容易に判断できた。
【0049】
請求項5、6、7記載の発明によれば、湿度感受性部材中に含まれる塩化コバルト、臭化コバルト、塩化ニッケルまたは臭化ニッケルが部材内部に侵入してきた湿分と反応することによって色変化し、利用者に薬剤の残量が一定量以下になったことを知らせることができた。また塩化コバルト、臭化コバルト、塩化ニッケルまたは臭化ニッケルを、湿分保持力を有するシリカゲルあるいは水溶性高分子、特にポリビニルアルコール、セルロースエーテルと混合状態にしておくことで、それら金属塩が上手く水が供給され、無水の状態から水和物の状態へ化学反応して色変化させることができた。
【0050】
請求項8記載の発明によれば、湿度感受性部材として鉄板を使用することで薬剤の残量が一定量以下になると部材内部に侵入してきた湿分と酸素の作用によって鉄の酸化が起こり、一般的な赤錆が発生した。この状態を部材外部から観察することによって利用者は薬剤の残量が一定量以下になったことを容易に判断できた。
【0051】
請求項9記載の発明によれば、液体の薬剤の揮散量を制御する一次制御膜としてポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはそれらの複合ラミネートフィルムを使用することで十分な徐放効果を得ることができた。
【0052】
請求項10記載の発明によれば、ビスコース加工紙を含んでなるラミネート構造である湿度感受性膜を使用することで湿度に対して鋭敏な湿度感受性の膜を提供できた。
【0053】
請求項11記載の発明によれば、揮散性薬剤徐放部材の湿度感受性膜面を熱交換器側に向けることによって、熱交換器側からの湿度上昇を迅速に感じて、薬剤の徐放応答性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の揮散性薬剤徐放部材の上面外観図
【図2】実施例1の揮散性薬剤徐放部材のA−A‘線での側面断面構成図
【図3】実施例1の揮散性薬剤徐放部材のB−B‘線での側面断面構成図
【図4】実施例1の空気調和機の室内機断面構成図
【図5】実施例2の揮散性薬剤徐放部材の上面外観図
【図6】実施例2の揮散性薬剤徐放部材のC−C‘線での側面断面構成図
【図7】実施例2の揮散性薬剤徐放部材の下面外観図
【符号の説明】
1 ポリウレタン連続多孔質体
2 PET容器
3 ラミネートフィルムのピロー包装体
4 蓋
5 リブ
6 湿度感受性膜
7 空間部
8 湿度感受性部材
9 吸い込みグリル
10 吸い込みグリル
11 熱交換器
12 熱交換器
13 クロスフローファン
14 吹出し口
15 上下偏向羽根
16 ドレンパン部
17 ドレンパン部
18 台枠
19 吹出しグリル
20 揮散性薬剤徐放部材
21 ナイロン/PET容器
22 ポリウレタン連続多孔質体
23 ラミネートフィルムのピロー包装体
24 湿度感受性膜
25 フィルム状湿度感受性部材
26 PET製リブ
27 空間部
Claims (11)
- 薬剤の揮散量を制御する揮散量制御膜で内包され、前記揮散量制御膜の外装に湿度変化によって前記薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を具備し、前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜の間に揮散した前記薬剤の蒸気が滞留するための空間部を設け、前記空間部に湿度量で色変化する湿度感受性部材を配置し、前記薬剤が揮散して前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜とで形成された前記空間部で一定の蒸気濃度以下に保たれながら、外部の湿度環境変化に応じて前記空間部に滞留している薬剤が前記湿度感受性膜から外部へ徐放され、前記薬剤が一定量以下になると前記湿度感受性膜から前記空間部内部へと湿気が侵入し、前記湿度感受性部材が色変化することによって利用者に薬剤の残量が一定量以下になったことを知らせることを特徴とする揮散性薬剤徐放部材。
- 少なくとも熱交換器と、前記熱交換器により温度調節された風を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、薬剤が揮散量を制御する揮散量制御膜で内包され、前記揮散量制御膜の外装に湿度変化によって前記薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を具備し、前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜の間に揮散した前記薬剤の蒸気が滞留するための空間部を設け、前記空間部に湿度量で色変化する湿度感受性部材を配置し、前記薬剤が揮散して前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜とで形成された前記空間部で一定の蒸気濃度以下に保たれながら、外部の湿度環境変化に応じて前記空間部に滞留している薬剤が前記湿度感受性膜から外部へ徐放され、前記薬剤が一定量以下になると前記湿度感受性膜から前記空間部内部へと湿気が侵入し、前記湿度感受性部材が色変化することによって利用者に薬剤の残量が一定量以下になったことを知らせる揮散性薬剤徐放部材を、前記熱交換器の上流側で、かつ前記熱交換器の近傍に配置したことを特徴とする空気調和機。
- 薬剤が揮散量を制御する揮散量制御膜で内包され、前記揮散量制御膜の外装に湿度変化によって前記薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を具備し、前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜の間に揮散した前記薬剤の蒸気が滞留するための空間部を設け、前記空間部に湿度量および酸素量で酸化反応する湿度感受性部材を配置し、前記薬剤が揮散して前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜とで形成された前記空間部で一定の蒸気濃度以下に保たれながら、外部の湿度環境変化に応じて前記空間部に滞留している薬剤が前記湿度感受性膜から外部へ徐放され、前記薬剤が一定量以下になると前記湿度感受性膜から前記空間部内部へと湿気が侵入し、前記湿度感受性部材が湿気と酸素の相互作用によって酸化反応することによって色変化し、利用者に薬剤の残量が一定量以下になったことを知らせることを特徴とする揮散性薬剤徐放部材。
- 少なくとも熱交換器と、前記熱交換器により温度調節された風を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、薬剤が揮散量を制御する揮散量制御膜で内包され、前記揮散量制御膜の外装に湿度変化によって前記薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を具備し、前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜の間に揮散した前記薬剤の蒸気が滞留するための空間部を設け、前記空間部に湿度量および酸素量で酸化反応する湿度感受性部材を配置し、前記薬剤が揮散して前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜とで形成された前記空間部で一定の蒸気濃度以下に保たれながら、外部の湿度環境変化に応じて前記空間部に滞留している薬剤が前記湿度感受性膜から外部へ徐放され、前記薬剤が一定量以下になると前記湿度感受性膜から前記空間部内部へと湿気が侵入し、前記湿度感受性部材が湿気と酸素の相互作用によって酸化反応することによって色変化し、利用者に薬剤の残量が一定量以下になったことを知らせる揮散性薬剤徐放部材を、前記熱交換器の上流側で、かつ前記熱交換器の近傍に配置したことを特徴とする空気調和機。
- 湿度感受性部材は、塩化コバルト、臭化コバルト、塩化ニッケルまたは臭化ニッケルを含有してなるシリカゲル粒子で構成されることを特徴とする請求項1に記載の揮散性薬剤徐放部材。
- 湿度感受性部材は、塩化コバルト、臭化コバルト、塩化ニッケルまたは臭化ニッケルを含有してなる水溶性高分子を主体としたシートで構成されることを特徴とする請求項1に記載の揮散性薬剤徐放部材。
- 水溶性高分子がポリビニルアルコールまたはセルロースエーテルであることを特徴とする請求項6に記載の揮散性薬剤徐放部材。
- 湿度感受性部材は、鉄板で構成されることを特徴とする請求項3に記載の揮散性薬剤徐放部材。
- 薬剤の揮散量を制御する膜がポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはそれらの複合ラミネートフィルムであることを特徴とする請求項1または3に記載の揮散性薬剤徐放部材。
- 湿度感受性膜が表面にビスコース加工紙を含んでなるラミネート構造であることを特徴とする請求項1または3に記載の揮散性薬剤徐放部材。
- 揮散性薬剤徐放部材に配された湿度感受性膜の表面を熱交換器における空気の流れの上流側に位置する面と向い合わせとなるように配置したことを特徴とする請求項2、4のいずれかに記載の揮散性薬剤徐放部材を用いた空気調和機。
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