JP3770152B2 - 揮散性薬剤徐放部材とそれを用いた空気調和機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、揮散性の薬剤を外部の湿度環境変化によって徐放させる揮散性薬剤徐放部材に関するものであり、季節の変動あるいはその場の雰囲気湿度環境が変化して、カビ、菌が繁殖することを防止したいような分野には広く適用可能である。たとえば浴室、更衣室、下駄箱、フードストッカー、物置、地下収納庫、またビル空調用の加湿用通路、換気用通路等にも適用可能である。特に空気調和機の室内機を冷房運転した後、常に清潔な状態に保つのに有効である。
【0002】
【従来の技術】
充填された液体状のものを長期間にわたって徐放させるための技術は種々雑多と提案されてきている。一般的には多孔性の材料物質中に含浸させて毛細管現象によって徐々に揮散させる方法である。その多孔性物質とはゼオライト、シルカゲルのような無機化合物であったり、ポリプロピレン、ポリエステル、セルロースの発泡体あるいは繊維束であったりしていた。さらにシクロデキストリンと呼ばれる有機物の小さな孔に包接させて徐放させるような方法も特開平5−176733号公報、特開平6−40890号公報に提案されている。またマイクロカプセル化して徐放性を具現化する方法も特開平6−9377号公報、特開平6−65064号公報、特開平7−89848号公報、特開平9−911号公報、特開平9−12447号公報、特開平9−57091号公報等で提案されている。
【0003】
また吸い上げ体を使用した場合には、防虫忌避剤の分野あるいは芳香剤の分野でよく用いられる方法として、吸い上げ体をヒータで加熱し、揮散速度をさらに向上させることも特開昭55−57502号公報、特開昭63−240738号公報等で提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、外部の湿度環境変化に応じて低濃度の揮散性薬剤を安定して徐放させることができなかった。薬剤の液量が多い、初めのうちは多量の薬剤が揮散し、時間が経つと次第に薬剤の減量変化によっても放出量までが減量してしまう傾向があるため、揮散量あるいは放出量が平均化されないというような課題を有していた。
【0005】
本発明は、このような従来の課題に対して、低濃度な放出速度で薬剤蒸気を平均化して揮散徐放できる揮散性薬剤徐放部材であり、湿度変化にも十分対応できるため不必要な時の余分な放出を抑制することができる。また薬剤の液量が減ってきても放出量が影響を受けにくいように揮発成分が二次的に部材から徐放拡散される構造としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対して、液体の薬剤を固形化または増粘化させた状態で、前記薬剤の揮散量を制御する揮散量制御膜で外装し、前記揮散量制御膜の外装に湿度変化によって前記薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を具備し、前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜との間に揮散した前記薬剤の蒸気が滞留するための空間部を設け、前記薬剤が揮散して前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜とで形成された前記空間部で一定の蒸気濃度以下に保たれながら、外部の湿度環境変化に応じて前記空間部に滞留している薬剤が前記湿度感受性膜から外部へ徐放される揮散性薬剤徐放部材である。
【0007】
上記構成により、液体の薬剤は固形化または増粘化されることで揮散性薬剤徐放部材の向きがどのような場合にも対応でき、薬剤の蒸気揮散量は外装に設けられた一次制御膜で濃度コントロールされ、揮散した成分は一定の容積を有する空間部へと充満して滞留する。外部湿度が低く、この空間部から充満した薬剤蒸気が外部へとさらに放出されなければ、最終的にほぼ飽和蒸気圧濃度状態以下にコントロールされ、揮散性薬剤徐放部材から外部へと放出される量を抑えることができる。また外部湿度が高いと揮散して充満していた薬剤蒸気は二次制御膜となる湿度感受性膜を透過し、外部へと放出される。このように揮散性薬剤蒸気の高濃度な空間部から湿度に応じて低濃度の薬剤蒸気を放出するのに優れた揮散性薬剤徐放部材を提供できる。具体的には30℃、相対湿度95%で100mg/日レベル放出させるような目的に効果的である。また薬剤蒸気は一旦充満、滞留させる空間部へと揮散させて、その後さらに外部へと放出させる二次的な徐放拡散方式のため、薬剤の液量が次第に減量変化しても固形化または増粘化された薬剤の液面と一次制御膜内ので空間部とが気液平衡によって濃度コントロールされている。したがって一次制御膜内部で、薬剤液量の変化によって生じる最大空間容積よりも一次制御膜と二次制御膜とによって形成される空間部の内容積を大きくすることで、揮散性薬剤徐放部材から放出される薬剤蒸気濃度の経時的な変化量もかなり低減できる。また液体の薬剤を固形化または増粘化させることで揮散性薬剤徐放部材が高温に曝された時にも、薬剤への酸素溶解量を低減でき、その結果として酸化劣化に対する耐久性を向上させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、アリルイソチオシアネート、ティーツリー油またはユーカリ油である液体の薬剤をセルロースエチルエーテルまたはポリビニルブチラールを使用して固形化または5000cps以上に増粘化された状態で、前記薬剤の揮散量を制御する揮散量制御膜にて外装し、前記揮散量制御膜の外装に湿度変化によって前記薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を具備し、前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜との間に揮散した前記薬剤の蒸気が滞留するための空間部を設け、前記薬剤が揮散して前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜とで形成された前記空間部で一定の蒸気濃度以下に保たれながら、外部の湿度環境変化に応じて前記空間部に滞留している薬剤が前記湿度感受性膜から外部へ徐放される揮散性薬剤徐放部材である。
【0009】
請求項2記載の発明は、少なくとも熱交換器と、前記熱交換器により温度調節された風を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、アリルイソチオシアネート、ティーツリー油またはユーカリ油である液体の薬剤をセルロースエチルエーテルまたはポリビニルブチラールを使用して固形化または増粘化された状態で、前記薬剤の揮散量を制御する揮散量制御膜にて外装し、前記揮散量制御膜の外装に湿度変化によって前記薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を具備し、前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜との間に揮散した前記薬剤の蒸気が滞留するための空間部を設け、前記薬剤が揮散して前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜とで形成された前記空間部で一定の蒸気濃度以下に保たれながら、外部の湿度環境変化に応じて前記空間部に滞留している薬剤が前記湿度感受性膜から外部へ徐放される揮散性薬剤徐放部材を、前記熱交換器近傍の上流側に配置した空気調和機である。
【0010】
請求項3記載の発明は、液体の薬剤と前記薬剤を固形化または増粘化させるための固形高分子材料との重量比が2:1〜10:1である揮散性薬剤徐放部材である。
【0011】
請求項4記載の発明は、セルロースエチルエーテルの重量平均分子量が10万以上である揮散性薬剤徐放部材である。
【0012】
請求項5記載の発明は、ポリビニルブチラールの重量平均分子量が10万以上であり、分子中の水酸基mol%が25以下、分子中のブチラール化度mol%が70以上である揮散性薬剤徐放部材である。
【0013】
請求項6記載の発明は、薬剤の揮散量を制御する膜がポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはそれらの複合ラミネートフィルムである揮散性薬剤徐放部材である。
【0014】
請求項7記載の発明は、湿度感受性膜が表面にビスコース加工紙を含んでなるラミネート構造である揮散性薬剤徐放部材である。
【0015】
請求項8記載の発明は、薬剤の放出量が30℃、相対湿度95%で20〜200mg/日である揮散性薬剤徐放部材である。
【0016】
請求項9記載の発明は、薬剤の放出量が30℃、相対湿度30%で10mg/日以下である揮散性薬剤徐放部材である。
【0017】
請求項10記載の発明は、液体の薬剤が減量変化する低減状態を外部から可視化できる容器である揮散性薬剤徐放部材である。
【0018】
請求項11記載の発明は、湿度感受性膜の表面上部に非透過性フィルムを溶着させて外袋とし、使用に際しては前記非透過性フィルムを剥がすことによって前記湿度感受性膜が露出する構成である揮散性薬剤徐放部材である。
【0019】
請求項12記載の発明は、揮散性薬剤徐放部材内部の薬剤蒸気が滞留するための空間部と室内機内部の空間容積との比が1対500〜5000倍である空気調和機である。
【0020】
【実施例】
以下本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施例1)
図1は本実施例を示す揮散性薬剤徐放部材の正面外観図であり、図2は揮散性薬剤徐放部材の側面断面構成図である。1は無色透明なポリエチレンテレフタレート(PET)からなる容器であり、厚み1mmの非晶質PETシートを真空成形にて加工した。内寸法は50×140×10mmである。2は揮散性薬剤となるアリルイソチオシアネートをセルロースエチルエーテルにて固形化したタブレットである。具体的には型容器にセルロースエチルエーテルの粉末(日新化成;エトセル STD−100、重量平均分子量 18万)7.5gを入れた後、エタノール 15gを添加し、1時間放置した後、さらにアリルイソチオシアネート 15gを加えて室温状態で48時間放置することによって、エタノールが蒸発してアリルイソチオシアネートはセルロースエチルエーテルでタブレット化された。3はアリルイソチオシアネートの揮散制御膜となるラミネートフィルムのピロー包装体であり、一次制御膜となり、得られたタブレット40×120×4mmをポリプロピレン 30μmとポリエチレン 70μmとのラミネートフィルムに対してポリエチレン側をヒートシールにてピロー包装化したものである。4はビスコース加工紙をポリエチレンにラミネートした湿度感受性膜であり、二次制御膜となる。湿度感受性膜4も外周部はPET容器1にポリエチレン側をヒートシールで溶着接合されている。湿度感受性膜4はポリエチレンフィルム 30μm上にレーヨン/パルプ不織布を介してビスコース膜を7g/m2の塗布量で形成させたものを使用した。5はラミネートフィルム3と湿度感受性膜4とで形成される空間部であり、その空間内容積は40mlである。ラミネートフィルムのピロー包装体3はPET容器1の内面底部にポリエチレンをホットメルト(図示せず)することによって位置固定を行った。
【0022】
タブレット2から揮散したアリルイソチオシアネート蒸気はラミネートフィルム3で揮散量を抑制されながら、ラミネートフィルム3と湿度感受性膜4とで形成される空間部5へと至る。たとえば25℃においてアリルイソチオシアネートの蒸気圧は約5mmHgであるため、一次制御膜内部はすぐに飽和蒸気濃度の約6600ppmとなり、空間部5はそれに対してある程度の濃度勾配を有しながら、アリルイソチオシアネート蒸気が充満し、二次制御膜からの放出量が小さければ、ある程度雰囲気温度に対する蒸気圧特性まで揮散量が増大し、最終的には空間部5をほぼ飽和蒸気圧濃度までに達せられる。湿度感受性膜4によって低湿度の場合にはアリルイソチオシアネートの外部への蒸気放出がある程度抑制されるため、空間部5は飽和蒸気圧濃度に近い状態のままでずっと維持される。しかし湿度が高くなるとアリルイソチオシアネート蒸気が湿度感受性膜4を通過して外部へと放出されやすくなる。湿度感受性膜4は湿度変化によって膜組織が膨潤し、緩んだ構造となり、アリルイソチオシアネート分子が透過して外部へと放出されやすくなる。この放出量分を補充するためにはタブレット2から揮散したアリルイソチオシアネート蒸気がさらにラミネートフィルム3を通過して空間部5へと充満する必要がある。この時湿度感受性膜4から外部へのアリルイソチオシアネート放出速度とタブレット2から揮散したアリルイソチオシアネートが空間部5へ透過してくるアリルイソチオシアネート揮散速度を比較すると後者のほうが速いので、アリルイソチオシアネートの放出量が不足することはない。このような構成の揮散性薬剤徐放部材によって、30℃、相対湿度95%条件にて湿度感受性膜から薬剤を100mg/日レベルで継続して放出させることが可能となった。また揮散性薬剤徐放部材から薬剤放出特性はアリルイソチオシアネートの残量が初期に対して10wt%以下になるまでほとんど変化することがなかった。図3に実施例1で得られた揮散性薬剤徐放部材のアリルイソチオシアネート放出特性を示した。
【0023】
次に空気調和機の室内機に本実施例による揮散性薬剤徐放部材を使用した場合について説明する。
【0024】
図4は、本実施例を示す空気調和機の室内機断面構成図である。吸い込みグリル6、7を通じて室内空気を吸い込み、吸い込んだ空気は熱交換器8、9によって冷却、除湿された後、クロスフローファン10によって吸い込み送風されながら、最終吹出し口11から室内空間に冷風を提供する。吹出し口11には上下偏向羽根12が配設され、室内空間への吹出し方向をコントロールしている。この時、熱交換器8、9によって除湿された結露水は熱交換器アルミニウムフィンをつたって、ドレンパン部13、14へと至る。ドレンパン部13は室内機台枠15に一体物として構成され、ドレンパン部14は吹出しグリル16に一体物として構成される。ドレンパン部13に溜まった結露水は台枠15を介してドレンパン部14側に流れて水受けされ、最終的にはドレン口(図示せず)を経由して外部へと排出される。熱交換器8,9のアルミニウムフィンには熱交換性能の高効率化を図るため、縦スリットが設けられた構造を有している。そのために結露した水はスリット部で表面張力によって水膜を形成して、ドレンパン部13,14へとすぐには滴下し難い構造のため、アルミニウムフィンが乾くスピードが遅くなってしまう。たとえば25℃、相対湿度90%の環境雰囲気では、熱交換器アルミニウムフィンが乾くのに数十時間を要してしまい、なかなか乾燥しない。この時室内機空間、特に熱交換器8,9で構成される送風回路内部は相対湿度95%以上の雰囲気に曝され、カビが非常に繁殖しやすい環境条件となっている。17は揮散性薬剤徐放部材であり、熱交換器9に近接した下部上流側に配置され、揮散性薬剤徐放部材17の湿度感受性膜4側が熱交換器に向かい合う構成とした。このことによって冷房、除湿運転停止後、上下偏向羽根12が閉状態になるとともに、高湿度状態となった空気が室内機全体に充満して湿度感受性膜4に達すると、揮散性薬剤徐放部材17の内部からアリルイソチオシアネートが熱交換器9側へ気相拡散し、アルミニウムフィン間を通過しながら、上下偏向羽根12が閉状態となっているので熱交換器8、9で構成された空間部等へと徐々に拡散するとともに、気体蒸気が堆積して充満する。この結果室内機内部は熱交換器8、9で構成された空間底部で3〜5ppm程度、上部低濃度の空間でも1ppm以上のアリルイソチオシアネート蒸気を滞留させることが可能となった。揮散性薬剤徐放部材17の空間部5に滞留している高濃度のアリルイソチオシアネート蒸気が湿度感受性膜4を透過して500〜5000倍の空間へと気相拡散していく構成である。アリルイソチオシアネートの閾値は10ppm程度であるので匂いを感じないレベルの蒸気滞留濃度である。これによって室内空間に存在するCladosporium、Alternaria、Aspergillus、Penicillium、Rhizopusと言った一般的なカビには十分な防カビ効果を得ることができた。室内機での防カビの効果を得るためには、滞留するアリルイソチオシアネート蒸気を0.5ppm以上にすることが望ましく、人間の閾値である10ppm以下にすることが実用上望ましい。したがって揮散性薬剤徐放部材内部に構成される薬剤蒸気の滞留する空間部5と室内機内部の空間容積との比は1対500〜5000倍程度が好ましいと考えられる。
【0025】
本実施例では容器に透明な非晶質PET樹脂を使用しているので、利用者は目視観察によってタブレットの形状を観察することで薬剤の残液量を把握することができる。減量状態はタブレットの大きさの変化量によって、いつでも簡単に確認できるので取り替え交換時期を判断しやすくすることができる。
【0026】
実施例では揮散性薬剤徐放部材の湿度感受性膜を片面に配置して、その湿度感受性膜側が熱交換器の吸い込み上流面と向かい合う構成としたが、本発明はこれに限定されるものではない。しかし、薬剤がなくなった時の揮散性薬剤徐放部材の交換を考えた場合、吸い込みグリル7を外した熱交換器上流側に配置することで利用者からのメンテナンス性が良くなる。また薬剤を効率的に活用し、かつ迅速に放出させるためには本実施例のような構成にすることが最も望ましい。
【0027】
(実施例2)
本実施例では、アリルイソチオシアネートとセルロースエチルエーテルを重量比4:1で混合することによって増粘化させた状態で実施例1と同様なラミネートフィルムのピロー包装体内に混合物を15g充填した。ラミネートフィルムのピロー包装体が一次制御膜となり、ポリプロピレン 30μmとポリエチレン70μmとのラミネートフィルムに対してポリエチレン側をヒートシールにてピロー包装化し、40×125×約4mmのものが得られた。揮散性薬剤徐放部材としてピロー包装体を収納するPET容器および湿度感受性膜の構成は実施例1とほぼ同様であり、ピロー包装体はPET容器の内面低部にポリエチレンをホットメルトすることによって位置固定を行った。一次制御膜と二次制御膜との間に設けられる空間部の大きさも40mlと同様に設計した。
【0028】
(実施例3)
本実施例では、アリルイソチオシアネートとセルロースエチルエーテルを重量比8:1で混合することによって増粘化させた状態で実施例1と同様なラミネートフィルムのピロー包装体内に混合物を15g充填した。ラミネートフィルムのピロー包装体が一次制御膜となり、ポリプロピレン 30μm]とポリエチレン 70μmとのラミネートフィルムに対してポリエチレン側をヒートシールにてピロー包装化し、40×125×約4mmのものが得られた。揮散性薬剤徐放部材としてピロー包装体を収納するPET容器および湿度感受性膜の構成は実施例1とほぼ同様であり、ピロー包装体はPET容器の内面低部にポリエチレンをホットメルトすることによって位置固定を行った。一次制御膜と二次制御膜との間に設けられる空間部の大きさも40mlと同様に設計した。
【0029】
実施例1ではアリルイソチオシアネートがタブレット化されて一次制御膜内に充填されているので、アリルイソチオシアネートが揮散し、液量が減ってきた時もシート状のものがほぼ均一に収縮してくるのに対して、実施例2,3では増粘化されているだけなので揮散性薬剤徐放部材の配置された向きによって液量が減量する時に示す変化形態が異なってくる。しかし、一次制御膜内部は絶えず気液平衡によって薬剤蒸気の濃度が固定されており、薬剤液量が減量変化して一次制御膜内部の空間容積が徐々に大きくなっても、一次制御膜と二次制御膜との間に設けられた空間部5の内容積が一次制御膜内部にできる空間容積よりも大きいければ空間部5の経時変化による濃度変化は小さく抑えることができた。
【0030】
セルロースエチルエーテルは精製パルプを原料として苛性ソーダにてアルカリセルロース化された後、エチルクロライドを反応させてグルコース内の水酸基をエトキシル基に置換したものであり、化学反応式を(化1)に示した。
【0031】
【化1】
Figure 0003770152
【0032】
外観は白色の粉末であり、ほとんど無臭に近い特性を有している。本発明に対するセルロースエチルエーテルの作用効果、すなわち薬剤を固形化または増粘化させる効果は重量平均分子量によって決まり、具体的には10万以上のものが望ましかった。さらにアリルイソチオシアネートとセルロースエチルエーテルとの重量比を2:1にすることで固形化でき、重量比が大きくなるにしたがって徐々に低粘度化し、10:1よりも小さいとアリルイソチオシアネート原液に対してそれほど増粘しているとは言えない。本発明でいう増粘化とは粘度5000cps以上を意味している。また重量比を2:1よりも小さくするとアリルイソチオシアネート液量が変化してもタブレットの形状変化度合いが小さくなり、利用者が液量変化を判断し難くなる。したがってアリルイソチオシアネートとセルロースエチルエーテルとの重量比は2:1〜10:1が好ましいと言える。
【0033】
(実施例4)
本実施例では、アリルイソチオシアネートをポリビニルブチラールにてタブレット化させた。具体的には型容器にポリビニルブチラール(積水化学工業;エスレックB BH−S、重量平均分子量 14万、水酸基 22mol%、ブチラール化度 73mol%)7.5gを入れた後、エタノール 15gを添加し、30分間放置した後、さらにアリルイソチオシアネート 15gを加えて室温で48時間放置することによって、エタノールが蒸発してアリルイソチオシアネートはポリビニルブチラールでタブレット化された。得られたタブレット40×120×4mmを実施例1と同様なラミネートフィルムのピロー包装体内に充填した。ラミネートフィルムのピロー包装体が一次制御膜となり、ポリプロピレン 30μmとポリエチレン 70μmとのラミネートフィルムに対してポリエチレン側をヒートシールにてピロー包装化した。揮散性薬剤徐放部材としてピロー包装体を収納するPET容器および湿度感受性膜の構成は実施例1とほぼ同様であり、ピロー包装体はPET容器の内面低部にポリエチレンをホットメルトすることによって位置固定を行った。一次制御膜と二次制御膜との間に設けられる空間部の大きさも40mlと同様に設計した。
【0034】
(実施例5)
本実施例では、アリルイソチオシアネートとポリビニルブチラールを重量比4:1で混合することによって増粘化させた状態で実施例1と同様なラミネートフィルムのピロー包装体内に15g充填した。ラミネートフィルムのピロー包装体が一次制御膜となり、ポリプロピレン 30μmとポリエチレン 70μmとのラミネートフィルムに対してポリエチレン側をヒートシールにてピロー包装化し、40×125×約4mmのものが得られた。揮散性薬剤徐放部材としてピロー包装体を収納するPET容器および湿度感受性膜の構成は実施例1とほぼ同様であり、ピロー包装体はPET容器の内面低部にポリエチレンをホットメルトすることによって位置固定を行った。一次制御膜と二次制御膜との間に設けられる空間部の大きさも40mlと同様に設計した。
【0035】
(実施例6)
本実施例では、アリルイソチオシアネートとポリビニルブチラールを重量比8:1で混合することによって増粘化させた状態で実施例1と同様なラミネートフィルムのピロー包装体内に15g充填した。ラミネートフィルムのピロー包装体が一次制御膜となり、ポリプロピレン 30μmとポリエチレン 70μmとのラミネートフィルムに対してポリエチレン側をヒートシールにてピロー包装化し、40×125×約4mmのものが得られた。揮散性薬剤徐放部材としてピロー包装体を収納するPET容器および湿度感受性膜の構成は実施例1とほぼ同様であり、ピロー包装体はPET容器の内面低部にポリエチレンをホットメルトすることによって位置固定を行った。一次制御膜と二次制御膜との間に設けられる空間部の大きさも40mlと同様に設計した。
【0036】
(比較例1)
本比較例では、アリルイソチオシアネートをポリウレタン連続多孔質体に吸収、膨潤させた。具体的には35×71×2のポリウレタン連続多孔質体、かさ密度0.35g/ml、平均気孔径30μm、気孔率70%にアリルイソチオシアネート15.5gを吸収させて約50×100×2.8に膨潤した。ポリウレタン連続多孔質体を実施例1と同様なラミネートフィルムでピロー包装化した。これが一次制御膜となり、それを無色透明な非晶質PETからなる容器の内面底部にホットメルトで位置固定した。さらにビスコース加工紙をポリエチレンにラミネートした湿度感受性膜をPET容器にヒートシールで溶着接合した。ピロー包装体から揮散したアリルイソチオシアネートが充満、滞留するための空間内容積は40mlで設計した。
【0037】
ポリビニルブチラールはポリビニルアルコールにブチルアルデヒドを反応させたものであり、化学反応式を(化2)に示した。
【0038】
【化2】
Figure 0003770152
【0039】
このブチラール化反応に置いて完全にブチラール化することはできず、文献によると従来最高で81.6mol%と言われている。しかしブチラール化できずに残った水酸基のmol%が大きいとアリルイソチオシアネートとの相溶性が悪くなり、十分な効果を得ることができなくなった。したがって、本発明に使用できるポリビニルブチラールは重量平均分子量が10万以上であり、分子中の水酸基mol%が25以下、分子中のブチラール化度mol%が70以上であるものが望ましかった。さらに好ましくは水酸基mol%が20〜25、分子中のブチラール化度mol%が70〜80であった。さらにアリルイソチオシアネートとポリビニルブチラールとの重量比を2:1にすることで固形化でき、重量比が大きくなるにしたがって徐々に低粘度化し、10:1よりも小さいとアリルイソチオシアネート原液に対してそれほど増粘しているとは言えない。本発明でいう増粘化とは粘度5000cps以上を意味している。また重量比を2:1よりも小さくするとアリルイソチオシアネート液量が変化してもタブレットの形状変化度合いが小さくなり、利用者が液量変化を判断し難くなる。したがってアリルイソチオシアネートとポリビニルブチラールとの重量比は2:1〜10:1が好ましいと言える。
【0040】
実施例1〜6と比較例1で得られた揮散性薬剤徐放部材を45℃雰囲気に開放状態で放置してアリルイソチオシアネートを放出させた結果、比較例1では600h経過したころ、アリルイソチオシアネートが酸化され、徐々に薄い黄色から濃い黄色へ、さらに1000h経過したころには褐色へと変化した。しかし、実施例1、2、4は薬剤の残量がほぼ無くなるまでアリルイソチオシアネートが酸化されることはなかった。実施例3は1600hまで酸化されず,実施例5は1800hまで酸化されず、実施例6は1200hまで酸化されなかった。このようにアリルイソチオシアネートをセルロースエチルエーテルあるいはポリビニルブチラールで固形化あるいは増粘化させることによってアリルイソチオシアネートへの酸素溶解量を低減でき、その結果として酸化劣化が抑制されるという効果を得ることができた。またその酸化防止効果はセルロースエチルエーテルのほうが大きい傾向にあった。
【0041】
参考までに、アリルイソチオシアネートへ酸化防止剤を2wt%程度添加すれば、比較例1のような場合にも薬剤の残量がほぼ無くなるまで酸化されることはなかった。したがって、本発明の効果はアリルイソチオシアネートをセルロースエチルエーテルあるいはポリビニルブチラールで固形化あるいは増粘化させることによって酸化防止剤を不要化あるいは使用量の低減化を可能にできたことである。
【0042】
(実施例7)
図5は本実施例を示す揮散性薬剤徐放部材の正面外観図であり、図6は揮散性薬剤徐放部材の側面断面構成図である。揮散性薬剤徐放部材の本体構成は実施例1とほぼ同じなので詳細な説明は省略し、違いについてだけ説明する。18はポリエチレン/ナイロン/アルミニウム箔/ポリエチレン構造からなる非透過性フィルムであり、湿度感受性膜4を覆うようにPET容器2に熱板溶着され、アリルイソチオシアネート蒸気の漏れを防止している。非透過性フィルム18の一部はPET容器2から意図的な出っ張り部を有し、この出っ張り部を挟持して非透過性フィルム18を剥がしやすいような構造となっている。使用時には非透過性フィルム18を揮散性薬剤徐放部材から剥がすことによって実施例1と同様な作用効果を得ることができた。
【0043】
実施例では、薬剤を充填する容器として無色透明な非晶質PET樹脂を使用したが、本発明で使用できるものはこの限りではない。この他に充填する薬剤との耐薬品性を鑑みて問題のない材料を選択すればよい。薬剤の液量を簡単に目視確認できるようにこの他、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、メチルペンテン樹脂等が透明性を有する樹脂として使用できる。しかし非晶質PET樹脂はシート状のものを真空加工またはプレス加工で成形することで容易に揮散性薬剤徐放部材の容器として供することができるので安価に入手可能である。
【0044】
実施例1、4ではエタノールを使用してセルロースエチルエーテルあるいはポリビニルブチラールを膨潤させた後、アリルイソチオシアネートを添加して混合状態とした後、エタノールを揮発させて流動性を低下させ、最終的にはタブレット化させることができた。本発明でこのような目的に使用できる有機溶剤としては、この他にメタノール、イソプロパノール、アセトンが使用できた。
【0045】
実施例では、薬剤の揮散量を制御する膜としてポリプロピレンとポリエチエンの複合ラミネートフィルムを使用したが、本発明で使用できるものはこの限りではない。その他にポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリウレタンシート、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムを単独もしくは複合してラミネート構造のフィルムとして使用することもできる。
【0046】
実施例では、専らアリルイソチオシアネートを使用したが、本発明で使用できるものはこの限りではない。ティーツリー油、ユーカリ油等が使用できる。また低濃度の揮散量にて抗菌、防カビ効果が得られるような薬剤であれば本発明の揮散性薬剤徐放部材の薬剤として利用可能である。
【0047】
実施例では、非透過性フィルムとして、ポリエチレン/ナイロン/アルミニウム箔/ポリエチレン構造からなるもの使用したが、本発明で使用できるものはこの限りではない。しかし一般的には非透過性フィルムとしては5μm以上のアルミニウム箔が内層されたラミネート構造フィルムが使用される。また本発明では揮散性薬剤徐放部材の容器となる樹脂との熱板溶着性あるいは超音波溶着性に優れたものを使用することで簡単に揮散性薬剤徐放部材の容器から非透過性フィルムだけ剥離可能となる。
【0048】
実施例では、一般的なセパレート型空気調和機の室内機に適用した場合についてだけ説明したが、本発明による揮散性薬剤徐放部材の用途はこれに限られるものではない。季節の変動あるいはその場の雰囲気湿度環境が変化して、カビ、菌が繁殖することを防止したいような分野には広く利用できる。たとえば浴室、更衣室、下駄箱、フードストッカー、物置、地下収納庫等に使用できる。またビル空調用の加湿用通路、換気用通路等にも応用可能である。
【0049】
【発明の効果】
上記実施例から明らかなように、本発明によれば、液体の薬剤は固形化または増粘化されることで揮散性薬剤徐放部材の向きがどのような場合にも対応でき、薬剤の蒸気揮散量は外装に設けられた一次制御膜で濃度コントロールされ、揮散した成分は一定の容積を有する空間部へと充満して滞留する。外部湿度が低く、この空間部から薬剤が外部へとさらに放出されなければ、最終的にほぼ飽和蒸気圧濃度状態以下にコントロールされ、揮散性薬剤徐放部材から外部へと放出される量を抑えることができる。また外部湿度が高いと揮散して充満していた薬剤蒸気は二次制御膜となる湿度感受性膜を通過し、外部へと放出される。このように揮散性薬剤蒸気の高濃度な空間部から湿度に応じて低濃度の薬剤蒸気を放出するのに優れた揮散性薬剤徐放部材を提供できる。具体的には30℃、相対湿度95%で100mg/日レベル放出させるような目的に効果的である。また薬剤蒸気は一旦充満、滞留させる空間部へと揮散させて、その後さらに外部へと放出させる二次的な徐放拡散方式のため、薬剤の液量が次第に減量変化しても固形化または増粘化された薬剤の液面と一次制御膜内ので空間部とが気液平衡によって濃度コントロールされている。したがって一次制御膜内部で、薬剤液量の変化によって生じる最大空間容積よりも一次制御膜と二次制御膜とによって形成される空間部の内容積を大きくすることで、揮散性薬剤徐放部材から放出される薬剤蒸気濃度の経時的な変化量もかなり低減できる。また液体の薬剤を固形化または増粘化させることで揮散性薬剤徐放部材が高温に曝された時にも、薬剤への酸素溶解量を低減でき、その結果として酸化劣化に対する耐久性を向上させることができた。
【0050】
また、本発明によれば、湿度が低いシーズンには薬剤の無駄な放出を抑制し、湿度の高いシーズンあるいは雰囲気状況に対しては薬剤を低濃度で安定して徐放させ続けることができるので、空気調和機の室内機に対して内部へカビが繁殖することを長期間にわたって継続的に防止することができた。
【0051】
また、本発明によれば、アリルイソチオシアネート、ティーツリー油、ユーカリ油を薬剤とすることで天然成分を利用した、低濃度による、環境にやさしい抗菌、防カビ効果を提供できた。
【0052】
また、本発明によれば、液体の薬剤とそれを固形化または増粘化させるための固形高分子材料との重量比を大きくすることで液体薬剤の経時的な重量変化を確認しやすくなり、利用者が薬剤残量を簡単に判断できた。
【0053】
また、本発明によれば、液体薬剤を固形化または増粘化させるための固形高分子材料としてセルロースエチルエーテルを使用することで高分子材料からの不快感を催すような嫌な臭気発生もなく、揮散性薬剤の効用を長期間にわたって継続させることができた。またセルロースエチルエーテルの重量平均分子量を10万以上とすることで、液体薬剤を固形化または増粘化させる効果を十分に引き出すことができた。さらにセルロースエチルエーテルと液体薬剤を混合することで薬剤の酸化防止効果も得られ、酸化防止剤を不要あるいは減量化することができた。
【0054】
また、本発明によれば、液体薬剤を固形化または増粘化させるための固形高分子材料としてポリビニルブチラールを使用することで高分子材料からの不快感を催すような嫌な臭気もなく、揮散性薬剤の効用を長期間にわたって継続させることができた。またポリビニルブチラールの重量平均分子量を10万以上であり、分子中の水酸基mol%が25以下、分子中のブチラール化度mol%が70以上とすることで、液体薬剤を固形化または増粘化させる効果を十分に引き出すことができた。さらにポリビニルブチラールと液体薬剤を混合することで薬剤の酸化防止効果も得られ、酸化防止剤を不要あるいは減量化することができた。
【0055】
また、本発明によれば、液体の薬剤の揮散量を制御する一次制御膜としてポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはそれらの複合ラミネートフィルムを使用することで十分な徐放効果を得ることができた。
【0056】
また、本発明によれば、ビスコース加工紙を含んでなるラミネート構造である湿度感受性膜を使用することで湿度に対して鋭敏な湿度感受性の膜を提供できた。
【0057】
また、本発明によれば、薬剤の放出量が30℃、相対湿度95%で20〜200mg/日であれば、薬剤の種類にもよるが人間の閾値と対比しても同等かそれ以下のレベルで徐放することで薬剤の目的効果を得ることができるので、利用者にも好印象を与えることができた。
【0058】
また、本発明によれば、薬剤の放出量が30℃、相対湿度30%で10mg/日以下であれば、低湿度条件での無駄な薬剤の放出を抑制することができるので、取り替え交換期間を長期にすることができた。
【0059】
また、本発明によれば、内部の液量を可視化できるようにたとえば透明性な容器を使用することで、薬剤の液量が簡単に目視確認でき、取り替え交換時期を利用者に知らせることができた。
【0060】
また、本発明によれば、湿度感受性膜の表面上部に非透過性フィルムを溶着させて外袋とし、使用に際しては非透過性フィルムを剥がすことによって湿度感受性膜が露出する構成とすることで、揮散性薬剤徐放部材に対する必要最小限の簡易包装形態を提供することができた。
【0061】
また、本発明によれば、薬剤蒸気が滞留する高濃度な空間部と放出させたい空間部との容積関係を最適化することによって十分な防カビ効果が得られるとともに、空気調和機の利用者にも不快感のない環境を提供することができた。
【0062】
また、本発明によれば、揮散性薬剤徐放部材の湿度感受性膜面を熱交換器側に向けることによって、熱交換器側からの湿度上昇を迅速に感じて、薬剤の徐放応答性を向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の揮散性薬剤徐放部材の正面外観図
【図2】 実施例1の揮散性薬剤徐放部材の側面断面構成図
【図3】 実施例1で得られた揮散性薬剤徐放部材のアリルイソチオシアネート放出特性図
【図4】 実施例1の空気調和機の室内機断面構成図
【図5】 実施例7の揮散性薬剤徐放部材の正面外観図
【図6】 実施例7の揮散性薬剤徐放部材の側面断面構成図
【符号の説明】
1 PET容器
2 タブレット
3 ラミネートフィルムのピロー包装体
4 湿度感受性膜
5 空間部
6 吸い込みグリル
7 吸い込みグリル
8 熱交換器
9 熱交換器
10 クロスフローファン
11 吹出し口
12 上下偏向羽根
13 ドレンパン部
14 ドレンパン部
15 台枠
16 吹出しグリル
17 揮散性薬剤徐放部材
18 非透過性フィルム

Claims (12)

  1. アリルイソチオシアネート、ティーツリー油またはユーカリ油である液体の薬剤をセルロースエチルエーテルまたはポリビニルブチラールを使用して固形化または5000cps以上に増粘化された状態で、前記薬剤の揮散量を制御する揮散量制御膜にて外装し、前記揮散量制御膜の外装に湿度変化によって前記薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を具備し、前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜との間に揮散した前記薬剤の蒸気が滞留するための空間部を設け、前記薬剤が揮散して前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜とで形成された前記空間部で一定の蒸気濃度以下に保たれながら、外部の湿度環境変化に応じて前記空間部に滞留している薬剤が前記湿度感受性膜から外部へ徐放されること特徴とする揮散性薬剤徐放部材。
  2. 少なくとも熱交換器と、前記熱交換器により温度調節された風を室内へ吹出すための室内ファンとを有する室内機において、アリルイソチオシアネート、ティーツリー油またはユーカリ油である液体の薬剤をセルロースエチルエーテルまたはポリビニルブチラールを使用して固形化または増粘化された状態で、前記薬剤の揮散量を制御する揮散量制御膜にて外装し、前記揮散量制御膜の外装に湿度変化によって前記薬剤の透過量が変化する湿度感受性膜を具備し、前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜との間に揮散した前記薬剤の蒸気が滞留するための空間部を設け、前記薬剤が揮散して前記揮散量制御膜と前記湿度感受性膜とで形成された前記空間部で一定の蒸気濃度以下に保たれながら、外部の湿度環境変化に応じて前記空間部に滞留している薬剤が前記湿度感受性膜から外部へ徐放される揮散性薬剤徐放部材を、前記熱交換器近傍の上流側に配置したことを特徴とする空気調和機。
  3. 液体の薬剤と前記薬剤を固形化または増粘化させるための固形高分子材料との重量比が2:1〜10:1であることを特徴とする請求項1に記載の揮散性薬剤徐放部材。
  4. セルロースエチルエーテルの重量平均分子量が10万以上であることを特徴とする請求項1に記載の揮散性薬剤徐放部材。
  5. ポリビニルブチラールの重量平均分子量が10万以上であり、分子中の水酸基mol%が25以下、分子中のブチラール化度mol%が70以上であることを特徴とする請求項1に記載の揮散性薬剤徐放部材。
  6. 薬剤の揮散量を制御する膜がポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはそれらの複合ラミネートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の揮散性薬剤徐放部材。
  7. 湿度感受性膜が表面にビスコース加工紙を含んでなるラミネート構造であることを特徴とする請求項1に記載の揮散性薬剤徐放部材。
  8. 薬剤の放出量が30℃、相対湿度95%で20〜200mg/日であることを特徴とする請求項1に記載の揮散性薬剤徐放部材。
  9. 薬剤の放出量が30℃、相対湿度30%で10mg/日以下であることを特徴とする請求項1に記載の揮散性薬剤徐放部材。
  10. 液体の薬剤が減量変化する低減状態を外部から可視化できる容器であることを特徴とする請求項1に記載の揮散性薬剤徐放部材。
  11. 湿度感受性膜の表面上部に非透過性フィルムを溶着させて外袋とし、使用に際しては前記非透過性フィルムを剥がすことによって前記湿度感受性膜が露出する構成であることを特徴とする請求項1に記載の揮散性薬剤徐放部材。
  12. 揮散性薬剤徐放部材内部の薬剤蒸気が滞留するための空間部と室内機内部の空間容積との比が1対500〜5000倍であることを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
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