JP4253983B2 - 給湯装置の故障診断支援装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は給湯装置の故障診断支援装置に関し、より詳細には、給湯装置を熱源とする温水暖房装置における給湯装置の故障診断技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より温水エアコンやパネルヒータさらには床暖房パネルといった種々の温水暖房装置が提案されており、最近では、家庭用の給湯装置を温水熱源として、該給湯装置に温水エアコンや床暖房パネル等の複数の温水暖房装置が接続され、これらの各温水暖房装置が同時に暖房運転を行えるように構成されるに至っている。
【0003】
ここで、かかる温水暖房装置と給湯装置との一般的な接続例を図8に示す。この図8に示す接続例では、一台の給湯装置aに対して、該給湯装置aから高温の温水の供給を受ける高温端末(温水暖房装置)b1と、低温の温水の供給を受ける低温端末(温水暖房装置)b2とが接続されており、この場合、給湯装置aから各端末b1,b2に供給される温水は再び給湯装置aに還流して、循環するように構成される。
【0004】
具体的には、この接続例では、上記高温端末b1には、給湯装置aの給湯用熱交換器cで加熱された高温の温水(高温水)が供給され、該高温端末b1を経た温水が給水タンクd、ポンプeを経て上記熱交換器cに還流する一方、上記低温端末B2には、上記循環経路中の上記熱交換器cの上流側(具体的にはポンプeの下流側)のA点で分岐された低温の温水が供給され、該低温端末b2a経た低温水が図中B点で上記高温端末b1の循環経路と合流して給水タンクd、ポンプeを経て再び低温端末cに還流するものとされる。
【0005】
なお、図中のC,D点を接続する配管fは、上記低温端末b2に流れ込む湯水の温度を一定に保つなどの目的のための混合バイパス配管であって、このバイパス配管fは、図示の如く上記高温端末b1の上流側と給水タンクdの上流側とを接続するように配設される。また、図中符号g,hで示すのは、給湯装置aの出湯温度制御の温度センサであって、符号gは缶体の出口側に設けられる高温温度センサであり、また符号hは缶体の入口側に設けられる低温温度センサである。また、上記給水タンクdは、補水弁nを介して上水道(給水口)と接続され、さらに温水循環経路中には配管内湯水の水抜き用の排水栓oが設けられている。
【0006】
そして、上記高温・低温の各端末(温水暖房装置)b1,b2は、それぞれ通水制御用の熱動弁iと、暖房用の熱交換器jと、上記熱交換器jに供給される温水の温度を検出する温度センサkと、上記給湯装置aおよび熱動弁iを制御する制御部(図示しない)とを主要部として備え、暖房運転を行う際は、上記制御部から給湯装置aおよび熱動弁iに対して所定の動作指令信号を与えて暖房運転を行っていた。なお、図中の低温端末b2は、暖房するエリアを切り替え可能なように、上記熱交換器jが3系統(j1,j2,j3 )用意されていることに伴い、上記熱動弁iおよび温度センサkも同様に各系統毎にそれぞれ設けられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような給湯装置を熱源とする温水暖房装置においては、以下のような問題があり、その改善が望まれていた。
【0010】
すなわち、従来、一般的に行われている給湯装置等の故障診断は、点検する項目毎に、作業員が整備マニュアル等に示された故障診断手順に従って給湯装置や暖房装置の設定(たとえば、給湯装置や暖房装置のスイッチのオン・オフ操作や、循環経路中の水抜きや水張り等)を手作業で変更している。しかしながら、最近の給湯装置は温水暖房装置が接続されるなどして構造が複雑・高度化しているため、給湯装置等の故障診断を一々整備マニュアルに照らして行っていたのでは、故障診断作業に時間や手間がかかるという問題があった。
【0011】
なお、この点に関して、本願出願人は、給湯装置等の故障診断を行う作業員の作業負担を軽減するため、上述した故障診断手順を故障診断シーケンスとして予め記憶手段に記憶させ、該故障診断シーケンスに基づいて表示手段に故障診断手順を表示する一方で、上記故障診断シーケンスに基づいて給湯装置に対して所定の動作指令信号を出力するとともに、外部から入力される情報に基づいて給湯装置の故障診断を行う故障診断支援装置を提供するに至っている。
【0012】
この装置によれば、作業員は点検項目を入力するだけで、装置内部に記憶された故障診断手順に従って必要な作業の殆どは故障診断支援装置から遠隔操作で自動的に行われ、遠隔操作を行い得ない作業についてだけその都度作業員に当該作業の実施が要求される。つまり、この装置を使えば、作業員は表示手段に表示される作業内容の指示に従って必要最小限の作業を行うだけで、換言すれば、作業員が故障診断支援装置と対話するようにして作業を進めることで、給湯装置の故障診断を容易かつ迅速に行えるようになる。
【0013】
しかしながら、これまでに出願人が提案した当該故障診断支援装置においては、給湯装置における故障診断のうちの一部事項についてしか上述した簡易な操作での故障診断はが実現されておらず、今後その改良が強く期待されていた。
【0014】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、新規な故障診断を行い得る故障診断支援装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る給湯装置の故障診断支援装置は、故障診断シーケンスを記憶した記憶手段と、該故障診断シーケンスに基づいて診断手順を表示する表示手段と、前記故障診断シーケンスに基づいて給湯装置に対して所定の動作指令を出力するとともに、外部から入力される情報に基づいて給湯装置の故障診断を行う故障診断手段とを備えた故障診断支援装置を前提として、上記故障診断シーケンスとしてそれぞれ以下の構成を備える。
【0023】
すなわち、請求項1の故障診断支援装置は、上記表示手段に、上記給湯装置の湯水循環経路に配された給水タンクの水抜き要求を表示するステップと、上記水抜き後における水位電極の検出結果の送信を上記給湯装置に要求するステップと、この要求に対して送信される水位検出の有無に基づいて水位電極のオン故障を検出するステップとを有する。
【0024】
この請求項1の故障診断支援装置は、温水暖房装置が接続された給湯装置における温水循環経路中に配される給水タンクの水位を検出する水位電極の故障診断を行うシーケンスを含んでなるもので、この場合、まず、上記故障診断支援装置の表示手段に給水タンクの水抜き要求が表示される。そして、この水抜き後に水位電極が水位検出信号を出力していれば、当該水位電極はオン故障(常時、水位検出信号を出力する異常)と判断する。
【0025】
そして、請求項2の故障診断支援装置は、上記請求項1に記載の故障診断支援装置において、最終ステップで上記水位電極が水位を検出しなかった場合に、上記表示手段に、上記給水タンクへの給水要求を表示するステップと、上記給水タンクを満水にさせた後に、上記水位電極の検出結果の送信を上記給湯装置に要求するステップと、この要求に対して送信される水位検出の有無に基づいて水位電極のオフ故障を検出するステップとを有する。
【0026】
つまり、この請求項2の診断では、上記請求項1の故障診断において水位電極のオン故障が検出されなかった場合に行われる故障診断であって、この場合、上記請求項1とは反対に、故障診断支援装置の表示手段にタンクへの給水要求を表示し、満水となった後に水位電極で水位検出信号が出力されなければ水位電極はオフ故障(水位検出信号が出力されない異常)と判断する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る温水暖房装置およびその故障診断方法ならびに給湯装置の故障診断支援装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
A.温水暖房装置およびその故障診断方法
本発明に係る温水暖房装置は、暖房用の熱交換器(熱交換手段)に供給される温水の供給量低下を、通常の暖房運転時においても検出・診断し得るように構成したものである。
【0031】
具体的には、この温水暖房装置は、その制御中枢となる制御部(制御手段)1の制御構成が従来の温水暖房装置とは変更されてなるものであって、温水の供給を制御する熱動弁iと、暖房用の熱交換器jと、該熱交換器に供給される温水の温度を検出する温度センサkを備える点では、先に図8を示して説明した従来の温水暖房装置と同様であり、また、温水熱源機(給湯装置)aとの接続態様も従来と同様である。したがって、以下の説明では、既に説明した部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
上記制御部1は、マイクロコンピュータで構成され、図示しないメモリに書き込まれている制御プログラムに従い後述する故障診断処理を行う。以下、この故障診断処理について、仮想的な回路ブロックを図1に示すとともに、具体的な処理手順(故障診断方法)について図2および図3にフローチャートを示して説明する。また、説明の都合上、以下において温水暖房装置bは上記高温端末b1とする。
【0033】
まず温水暖房装置bの施工後に行われる試運転(初期暖房運転)時に、試験用の暖房運転を開始させる(図2ステップS1参照)。具体的には、この試験用の暖房運転は、温水暖房装置bの動作モードを試運転モードに切り替え、該試運転モード下での暖房チェック(自己診断)機能を使って行われる。
【0034】
暖房運転が開始されると、図1に示す制御部1の計時手段11が温度センサkで検出される温度が予め定めた所定温度(たとえば60°C)に達するまでの時間(所要時間)の計測を開始し(図2ステップS2参照)、熱交換器jに供給される温水の温度が上記所定温度に達した時点で計測を終了し(図2ステップS3参照)、その際に得られた試運転時の所要時間(初期所要時間)T1を初期所要時間記憶手段12に記憶させておく(図2ステップS4参照)。そして、上記試運転での暖房チェックが終了すると、暖房装置bを通常の動作モードに復帰させ試運転を終了させる。
【0035】
なお、上記初期所要時間記憶手段12は、好ましくは不揮発性のメモリ(たとえばEEPROM)の形態とされ、記憶された初期所要時間T1が容易に消失しないようにされるのが好ましく、また、上記計時手段11は、マイクロコンピュータの内部クロック等を用いて所要時間をカウントするものとされる。
【0036】
一方、試運転終了後は、暖房装置bでは通常の暖房運転が可能となるが、本実施形態の温水暖房装置bでは、この通常モード下で以下の処理を行う。具体的には、まず制御部1から給湯装置aに対して運転状態(暖房運転中か否かの情報)の送信が行われる(図3ステップS1参照)。この運転状態の送信は、定期的に行うか、あるいは暖房運転の開始に先立って行われるように構成される。
【0037】
そして、次に給湯装置aから他の温水暖房装置b2の運転状態の情報を受信して、自己が運転を開始した場合に、暖房運転中の端末(熱交換器j)が一系統になるか否かを判断する(図3ステップS2参照)。ここで、暖房端末が一系統か否かという判断は、上述した低温端末b2のように、一台の暖房装置中に複数の系統(図示例ではj1 〜j3 の3系統)をもつものにあっては、各系統毎に他の系統が運転しているか判断することを意味する。なお、この図3ステップS2の判断も定期的に行うか、あるいは暖房運転の開始に先立って行われるように構成される。また、図3ステップS2およびS3の判断は、上記仮想ブロック図の運転状態確認手段13および給湯装置aとのデータ通信を行う通信手段14によって行われる。
【0038】
そして、続く図3ステップS3で暖房運転が開始されると、再び計時手段11において上記所要時間の計測が開始される(図3ステップS4参照)。そして、続く図3ステップS5で、温度センサkの検出温度が上記所定温度に達したかが判断され、この判断で上記所定温度に達したと判断された場合は、図3ステップS9に移行して熱動弁jおよび暖房装置b1への温水供給経路(具体的には給湯装置aから暖房装置b1への経路)の配管は正常であると判断する。
【0039】
また、一方、図3ステップS5での判断で所定温度に達しない場合には、上記初期所要時間T1に許容可能時間αを付加した時間が経過したかが判断され(図3ステップS6)この時間を経過しても所定温度に達しない場合には、熱動弁jの閉故障または上記配管の詰まりによる温水供給異常と判断する(図3ステップS7参照)。
【0040】
そして、図ステップS7およびS9は、いずれも図3ステップS8において給湯装置a側に送信され、給湯装置a側において温水暖房装置bの異常情報として記憶される。なお、上記図3ステップS5および図3ステップS6の判断は、上記仮想ブロック図の比較手段15により行われ、またこれらの判断の結果は、上記通信手段14を介して給湯装置aに送信される。
【0041】
このように、本発明に係る温水暖房装置およびその故障診断方法によれば、温水暖房装置bに試運転時の初期所要時間を記憶させておくことにより、通常運転時においてもこれとの比較で温水供給の異常を検出することが可能となる。
【0042】
また、この温水暖房装置bによれば、通常の暖房運転中に行われた故障診断の結果が給湯装置aに送信されているので、給湯装置a側において温水暖房装置bの故障を示す信号を受信した時点で所定の警報動作を行わせることにより、暖房運転中においても温水暖房装置bの故障を迅速に発見することが可能となる。
【0043】
また、たとえば、図4に示すように給湯装置aに後述する故障診断支援装置を接続して、その情報を故障診断支援装置に取り込ませることにより(図4ステップS1)、故障診断支援装置の表示手段に故障が発生した温水暖房装置bを特定して表示させることができ(図4ステップS2参照)、温水供給に異常の発生した温水暖房装置bを容易に特定することが可能となる。
【0044】
B:給湯装置の故障診断支援装置
次に、本発明に係る故障診断支援装置の概略構成について図5に基づいて説明した後、該故障診断支援装置に搭載される故障診断シーケンスの詳細を説明する。
【0045】
図1は、本発明に係る故障診断支援装置の概略構成ならびに該故障診断支援装置と給湯装置aとの接続状態を示している。この故障診断支援装置2は、給湯装置aの故障診断を作業員との対話形式で行うための装置であって、後述する所定の故障診断シーケンスを記憶した記憶手段21と、該故障診断シーケンスに基づいて診断手順を表示する表示手段22と、前記故障診断シーケンスに基づいて給湯装置aに対して所定の動作指令を出力するとともに、外部から入力される情報に基づいて給湯装置aの故障診断を行う故障診断手段23とを主要部として構成される。
【0046】
具体的には、この故障診断支援装置2としては、携帯可能なコンピュータ(いわゆるノート型のパーソナルコンピュータ)が好適に採用される。
【0047】
つまり、上記記憶手段21として、該コンピュータの記憶装置(たとえば内蔵型ハードディスク装置や内蔵型MOディスク装置等)が用いられ、また、上記表示手段22として、該コンピュータのディスプレイ装置(たとえば液晶表示装置等)が用いられる。さらに、上記故障診断手段23としては、所定の制御プログラムに従って所定の演算処理を行うコンピュータの演算部(CPU)が用いられる。
【0048】
そしてさらに、この故障診断支援装置2は、上記故障診断手段23への情報の入力手段として、該コンピュータのキーボード装置(ないしは、いわゆるペンタッチ入力可能なディスプレイ装置)24を備えるとともに、上記給湯装置aに対して所定の動作指令信号を送信し、または、給湯装置aから送信されてくるデータ等を受信するデータ通信装置25として、たとえば内蔵通信モデムを備えている。
【0049】
そして、給湯装置aの故障診断手順等を示す故障診断シーケンスは、制御プログラムとして上記記憶手段21に記憶され、この制御プログラムに基づいて後述する動作指令信号の送信や、表示手段22の画面表示、さらには故障診断手段23での具体的な故障診断処理等が行われる。
【0050】
なお、上述した故障診断シーケンスは、給湯装置aの機種やシステムの構成等(たとえば、給湯装置の形式や、端末機器接続の有無、さらには風呂落込み回路の有無等)が異なる給湯装置aの故障診断を行い得るように、予め同種の故障診断手順であっても機種等毎に区別して、上記記憶手段21内に用意されるのが好ましい。また、その場合、給湯装置aの具体的な故障診断に先立って、これらの故障診断シーケンスのうち診断対象となる給湯装置aの故障診断に対応したシーケンスの選択が、可能なように上記制御プログラムが設定される。
【0051】
しかして、このように構成されてなる故障診断支援装置2では、上記記憶手段21に記憶される故障診断シーケンスの内容に従って、上記故障診断手段23において以下の処理が行われる。
【0052】
B1:給湯装置aの温度センサ異常検出
まず、給湯装置aの温度センサg,hの故障診断について説明する。温水暖房装置bを備えた給湯装置aにおいては、図8示すように、暖房用温水の出湯側と入水側に高温/低温の2温度制御用にそれぞれ高温温度センサgと低温温度センサhが設けられている。
【0053】
そのため、これらの温度センサg,hの故障診断においては、まず、上記故障診断シーケンスに従って、故障診断支援装置2側から給湯装置aに対して、温水暖房装置b1,b2に温水を供給する熱動弁(弁装置)j,j1,j2,j3 の全てを閉じて、短経路で水を循環させることを内容とする動作指令が出力される。
【0054】
より詳細には、全ての熱動弁jを閉じることにより、給湯装置aでの湯水の循環が、熱交換器c、高温温度センサg、バイパス配管f、低温温度センサh、給水タンクd、ポンプeを経て再び熱交換器cとなるように給湯装置aに対して動作指令信号が出力される。なお、この時、給湯装置aのポンプeには動作を開始させる動作指令が与えられる一方、給湯装置aの燃焼装置(図示せず)には動作指令は与えられない(つまり、燃焼装置での燃焼を行わせないで配管内の水を循環させる)。
【0055】
そして、次にこの状態で、故障診断支援装置2側から給湯装置aに対して、上記高温,低温の各温度センサg,hの各検出値データの送信が要求される。これは、上記燃焼装置が燃焼しない状態で上述した短経路で配管内の湯水を循環させると、配管内の湯水の温度は短時間でほぼ均一となることに基づいており、したっがって、このデータの送信要求はかかる温度が均一となるのを待って行われる。
【0056】
そして、故障診断支援装置2では、次のステップとして、給湯装置aから送信される上記各温度センサg,hの検出値の比較を行い、両検出値がずれていればいずれか一方の温度センサg(またはh)の故障と判断して、後述する故障した温度センサの特定処理に移行する。なお、この処理において両検出値が許容誤差の範囲内で一致すれば、両温度センサg,hはいずれも正常と判断して、故障診断シーケンスを終了させる。
【0057】
そして、このようにして上記温度センサg,hについての故障が発見されると、次に故障診断支援装置2側から給湯装置aに対して燃焼装置を一定出力で一定時間の燃焼させる動作指令が出力される。これは、給湯装置a内で循環される湯水の量(保有水量)は、予め給湯装置aの上記短経路の距離や配管の太さ等によって一定量に特定されるため、この一定の保有水量に対して所定の熱量を加えることを目的として行われる。
【0058】
そして、次のステップとして、故障診断支援装置2側から給湯装置aに対して、上記燃焼後における各温度センサg,hの検出値の送信が要求される。なお、この送信要求も好ましくは上記と同様に配管内の湯水の温度が均一になるのを待って送信される。
【0059】
そして、最後に、上記要求に応じて給湯装置aから送信された各温度センサg,hの検出値と、上記所定の燃焼によって検出が予想される予想温度値とが故障診断支援装置2内で比較され、その結果、両者の間にずれを生じた温度センサがあれば、その温度センサg(またはh)が故障じていると診断する。なお、この処理における上記予想温度値は、上述した給湯装置aの保有水量と、そこに加えられた熱量とに基づいて故障診断支援装置2内で演算される。また、この際に温度センサg,hで検出される温度と上記予想温度とのがあまりにもかけ離れている場合には、上記保有水量が過大であると考えられるので、その場合は上記熱動弁iのいずれかが故障(開故障)していると判断することもできる。
【0060】
このように、本実施形態に示す故障診断シーケンスによれば、給湯装置a内の湯水を短経路で循環させることにより、温度センサg,hの故障判定を容易に行うことができる他、所定の燃焼を与えることで、両温度センサg,hのいずれの故障であるかを容易に特定することができる。
【0061】
B2:給湯装置aの水位電極異常検出
次に、給湯装置aの給水タンクdに設けられた水位電極の故障診断手順について説明する。ここで、水位電極とは、給水タンクd(詳しくは気液分離のための膨張タンク)の貯水量を検出するために設けられるセンサであって、通常、該タンクd内の高さ方向に複数箇所(たとえば、水位高と水位低の2箇所)設けられ、給水タンクd内の水位がこの水位電極の高さに達した場合に、水位の検出を示す水位検出信号を出力するように構成されている。
【0062】
この実施形態では、故障診断支援装置2において、図6および図7に示す故障診断手順で上述した水位電極の故障診断が行われる。
【0063】
すなわち、まず、故障診断支援装置2側から給湯装置aに対して、給水タンクdの水抜きが要求される(図6ステップS1参照)。なお、この水抜き作業は、上記給水タンクdが自動排水栓を備える場合には、給湯装置aに対して該タンクdの排水を指示する動作指令として出力されるが、故障診断支援装置2側から遠隔操作ができない場合には、該故障診断支援装置2の表示手段22に給水タンクdの水抜きを作業員に指示する表示が行われる。そして、この場合、作業員が手作業で上記給水タンクdの水抜き作業を行った後、作業完了を上記入力手段24から入力することで、図6ステップS1が完了する。
【0064】
そして、給水タンクdの水抜きが完了すると、次のステップとして上記故障診断支援装置2側から給湯装置aに対して水抜き後における水位電極の水位検出結果の送信が要求される(図6ステップS2参照)。つまり、この図6ステップS2では、先のステップで水抜き作業が行われた状態で、換言すれば、給水タンクdが空の状態での水位電極の検出結果が要求される。
【0065】
そして、この要求に応じて給湯装置aから水位電極の検出結果が送信されると、故障診断支援装置2では、次のステップとして、上記送信された水位電極の検出結果が水位を検出していないか(つまり、水位電極の検出結果がオフか否か)を判断する(図6ステップS3参照)。そして、この判断の結果、水位電極がオフでない、つまり、水位を検出している場合には、図7ステップS4に移行して水位電極に異常がある(つまりオン故障)と判断して、上記表示手段22上にその旨の表示を行わせる。
【0066】
一方、上記図6ステップS3の判断で水位電極がオフであれば、続く図6ステップS4に移行して、故障診断支援装置2から給湯装置aに対して、給水タンクdへの給水が要求される。なお、この給水要求についても、上記排水の場合と同様に、給水タンクdの補水弁nが故障診断支援装置2から遠隔操作可能であれば、図6ステップS4に示すように、故障診断支援装置2側から給湯装置aに対して補水弁nを開いて給水の開始を指示する動作指令が出力される。また、補水弁nが遠隔操作できない場合は、上記表示手段22に補水弁nを開いて給水を行う要求が表示される。
【0067】
このようにして補水弁nが開かれると、次に故障診断支援装置2の表示手段22に、作業員に対して給水タンクdの満水を確認させる表示を行う。これは、上記水位電極によらずに給水タンクdの満水を確認するためであり、作業員は、この表示に従い給水タンクdが満水であればその旨を上記入力手段段24に入力させる(図6ステップS5参照)。このようにして、給水タンクdの満水が確認されると、故障診断支援装置2側から給湯装置aに対して、上記補水弁nを閉じて給水を停止する旨の動作指令が出力される(図7ステップS1参照)。なお、この場合に上記補水弁nが遠隔操作できないときは、その旨を表示させることは上記給水時と同様である。
【0068】
そして、このようにして給水タンクdの満水が確認されると、次ぎに、故障診断支援装置2側では、図7ステップS2に移行して、再び給湯装置aに対して水位電極の検出結果の送信が要求される。
【0069】
そして、この要求に対して給湯装置aから水位電極の検出結果が送信されると、故障診断支援装置2側ではこの検出結果に基づいて水位電極のオフ故障を診断する(図7ステップS3参照)。つまり、この時、給水タンクdは満水であるので、水位電極は水位を検出する(水位電極はオン)はずであるので、上記検出結果がオフであれば、図7ステップS4に移行して、水位電極に異常がある(つまりオフ故障)と判断して、上記表示手段22上にその旨の表示を行わせる。一方、この図7ステップS3の判断で、水位電極がオン、つまり水位が検出されると、図7ステップS5に移行して、水位電極は正常(つまり、オン故障もオフ故障もしていない)と判断して、その旨が表示手段22に表示される。
【0070】
このように、本実施形態に示す故障診断シーケンスによれば、作業員は表示手段22の表示にしたがって簡単な作業(主に給水タンクdの目視確認)を行うだけで水位電極の故障を簡単に診断でき、その結果、熟練していない作業員においても迅速かつ正確に水位電極の故障診断を行うことが可能となる。
【0071】
B3:配管内温度の調整
次ぎに、給湯装置aの配管内温度の調整手順について説明する。この配管内温度の調整は、上述した故障診断支援装置2での具体的な故障診断作業の前に行われる事前の準備作業に関するものである。
【0072】
すなわち、本願出願人がこれまでに提案した故障診断支援装置2においては、故障診断シーケンスの一部に、給湯装置aや各種端末装置に設けられる温度センサの検出温度や、給湯装置a等に所定動作を行わせた後の温度差を検出する手順を含むものが多く提案されている。しかし、このように温度センサの検出結果に基づいて故障診断を行う場合、故障診断開始時における配管内の湯水の温度が高過ぎると故障診断に誤差を生じることがある。そのため、この実施形態では、上記故障診断支援装置2の故障診断シーケンスとして、配管内温度の調整、つまり、故障診断処理に先立つ環境整備処理を提案するものである。
【0073】
この場合、上記故障診断支援装置2では、まず、具体的な故障診断に先立って、給湯装置aの湯水循環経路に配された温度センサ(たとえば、上記高温温度センサgや低温温度センサhなど)の検出値の送信を要求する。
【0074】
そして、次のステップとして、上記故障診断支援装置2では、上記要求に対して給湯装置aから送信された上記温度センサg,hの検出値と予め定めた所定値とを比較する。ここで、上記所定値は、その後の故障診断処理において誤差が出にくい配管内温度で任意に設定される。
【0075】
そして、この比較の結果、上記温度センサg,hの検出値が上記所定値を上回ると判断された場合、次ぎのステップとして、上記湯水循環経路中の湯水の排水が要求される。この配管内の湯水の排水は、温水循環経路中に配された排水栓oを開いくとにより行われる。その際、上記排水栓oが故障診断支援装置2から遠隔操作が可能であれば、排水栓oを開く動作指令が給湯装置aに与えられ、遠隔操作ができない場合には、その旨が表示手段22に表示される。
【0076】
そして、上記排水栓oが開かれると、次ぎに故障診断支援装置2から給湯装置aに対してポンプeを駆動する動作指令が出力される。これは、ポンプeを駆動することにより温水循環経路に圧力を加えて、排水栓oからの排水を促進するためである。
【0077】
このようにして、上記湯水循環経路内の排水が完了すると、故障診断支援装置2から給湯装置aに対して上記補水弁nを開いて給水を行う旨の動作指令が出力され、温水循環経路内の水張りが行われる。
【0078】
このように、本実施形態の故障診断シーケンスによれば、温水循環経路内の湯水の温度が故障診断に誤差を与えるおそれがある程高温であると判断された場合に、該循環経路内の湯水が一旦排出されて水張りが行われるので、循環経路内の湯水の温度を低温にすることができ、その結果、この処理の後に行われる故障診断を正確に行わせることが可能となる。
【0079】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなくその発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0080】
たとえば、上述した実施形態では、故障診断支援装置2と給湯装置aとを通信線を介して直接接続する構成を示したが、これらの間にたとえばデータ変換用のインターフェース装置を設けてもよく、また、これは故障診断支援装置2として汎用のコンピュータでなく専用の装置を用いることも可能である。
【0081】
また、上述した実施形態では、給湯装置aに浴槽への落とし込み回路を示していないが、本発明の温水暖房装置bおよび故障診断支援装置2ははかかる落とし込み回路を備えた給湯装置aにも適用可能である。
【0083】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る給湯装置の故障診断支援装置によれば、給水タンクの水位電極の故障診断を、作業者との対話形式で容易かつ簡単な作業で行うことができ、給湯装置の故障診断にかかる手間や労力を大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る温水暖房装置の制御部の機能を説明するための仮想ブロック図を示している。
【図2】同温水暖房装置における温水供給の異常を検出するためのフローチャートであって、同温水暖房装置の初期運転時の処理手順を示している。
【図3】同温水暖房装置における温水供給の異常を検出するためのフローチャートであって、同温水暖房装置の通常運転時の処理手順を示している。
【図4】同温水暖房装置に故障診断支援装置を接続して行う故障した温水暖房装置の特定手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る故障診断支援装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る故障診断支援装置の故障診断シーケンスの一例を示すフローチャートである。
【図7】図6に示すフローチャートにおける処理の続きを示すフローチャートである。
【図8】給湯装置と温水暖房装置との一般的な接続例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 温水暖房装置の制御部(制御手段)
11 計時手段
12 初期所要時間記憶手段
13 運転状態確認手段
14 通信手段
2 故障診断支援装置
a 給湯装置
b 温水暖房装置
c 給湯用熱交換器
d 給水タンク
g,h 温度センサ
i 熱動弁(弁装置)
j 暖房用熱交換器(熱交換手段)
k 温度センサ(温度検出手段)
m 給湯装置の制御部
n 補水弁
Claims (2)
- 故障診断シーケンスを記憶した記憶手段と、該故障診断シーケンスに基づいて診断手順を表示する表示手段と、前記故障診断シーケンスに基づいて給湯装置に対して所定の動作指令を出力するとともに、外部から入力される情報に基づいて給湯装置の故障診断を行う故障診断手段とを備えた故障診断支援装置において、前記故障診断シーケンスとして、
(1)前記表示手段に、前記給湯装置の湯水循環経路に配された給水タンクの水抜き要求を表示するステップと、
(2)前記水抜き後における水位電極の検出結果の送信を前記給湯装置に要求するステップと、
(3)この要求に対して送信される水位検出の有無に基づいて水位電極のオン故障を検出するステップとを有することを特徴とする給湯装置の故障診断支援装置。 - 請求項1に記載の故障診断支援装置において、最終ステップで前記水位電極が水位を検出しなかった場合に、前記表示手段に、前記給水タンクへの給水要求を表示するステップと、前記給水タンクを満水にさせた後に、前記水位電極の検出結果の送信を前記給湯装置に要求するステップと、この要求に対して送信される水位検出の有無に基づいて水位電極のオフ故障を検出するステップとを有することを特徴とする給湯装置の故障診断支援装置。
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