JP4252838B2 - 直流モータ及びその制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流モータ及びその制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
直流モータは、基本的に、内周面に永久磁石からなる複数個(偶数個)の界磁石が固着された筒状のヨークと、このヨークの軸中心に回転可能に保持されるモータシャフトと、このモータシャフトに固着された電機子鉄心に巻回されたコイルと、このコイルに電流を供給する端子と、コイルに供給される電流の向きを界磁石に対するコイル位置に応じて反転させるためのブラシとで構成されている(非特許文献1参照)。そして、直流モータは、用途や目的に応じて多種多様のものが商品化されている。
【0003】
一般に、ロボットなどのアクチュエータの駆動源として用いられる産業用の直流モータは、高速応答性やトルク安定性などの高い性能が要求されるため、図14に示すように界磁石数及び電機子鉄心の溝数が多く、ヨークや電機子鉄心の素材も高価なものが用いられる。なお、図14に示す直流モータ10は、円筒状のヨーク11の内周面の互いに直交する4つの方向位置11a,11b,11c,11dにそれぞれ隣接する極性が互いに異なるように4つの永久磁石14a,14b,14c,14dが固定され、このヨーク11の軸中心にモータシャフト12が回転可能に保持されている。また、モータシャフト12の永久磁石14a〜14dに対向する部分に、12個の鉄心溝13aが設けられた電機子鉄心13が固着され、これらの鉄心溝13aに、図には示していないが、コイルが巻回されている。
【0004】
一方、玩具、模型の駆動源や自動車の電動ミラーの駆動源として用いられる直流モータは上記産業用直流モータよりも低級で、図15に示すように界磁石数及び電機子鉄心の溝数が少なく、簡素な構成で、ヨークや電機子鉄心の素材も安価なものが用いられ、非常に廉価に製造されている。なお、図15に示す直流モータ20は模型用の直流モータで、矩形の相対向する2つ辺を円弧状に湾曲してなる断面形状を有する筒状のヨーク21の湾曲した内周面21a,21bにそれぞれ互いに極性の異なる2つの永久磁石24が固定され、このヨーク21の軸中心にモータシャフト22が図示しない軸受によって回転可能に保持されている。また、モータシャフト22の永久磁石24に対向する部分に、3個の鉄心溝23aが設けられた電機子鉄心23が固着され、これらの鉄心溝23aに、図には示していないが、コイルが巻回されている。
【0005】
産業用の直流モータ10は、トルク安定性や速度応答性などに優れ、高精度の駆動制御が可能であるという利点はあるものの、構造が複雑で製造が難しく、高価になるという不利がある。一方、模型用の直流モータ20は、上記のように界磁石数と電機子鉄心の溝数がそれぞれ最小数(界磁石数2,電機子鉄心溝数3)で構成されているため、トルク安定性や速度応答性が低く、高精度の駆動制御は困難であるという性能面での不利はあるものの、構造が簡単で製造し易く、廉価であるという利点がある。
【0006】
【非特許文献1】
電気工学ハンドブック 電気学会編(平成11年12月10日第1版第11刷発行)494頁〜507頁
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、直流モータは、モータ単体で高性能化を図ろうとすると、界磁石数と電機子鉄心の溝数を多くしたり、特殊な素材を用いたりしなければならないので、非常に高価なものになるという問題がある。そして、従来は、モータに要求される性能と製造コストとを考慮して、界磁石数や電機子鉄心の溝数などの構成を工夫することにより所望の直流モータをモータ単体で実現するようにしていたので、性能もしくは製造コストのいずれかを犠牲にしなければならず、十分なコストパフォーマンスを有する直流モータを得ることには限界があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数個の低級直流モータを組み合わせて1個の直流モータを構成することにより、廉価で高性能の直流モータを提供することを目的とする。また、直流モータの一部に故障が生じた場合にも継続運転が可能な直流モータの制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、m(3以上の整数)個の溝が設けられ、これらの溝にコイルが巻回された電機子鉄心とn(2以上の整数)個の界磁石を備えたk(2以上の整数)個の低級直流モータと、上記k個の低級直流モータの各出力が合成されて出力されるモータシャフトと、上記k個の低級直流モータの各モータシャフトを上記モータシャフトに連結する歯車列を有し、この歯車列を介して上記k個の直流モータからの各出力を上記モータシャフトに伝達する伝達手段とを備えた直流モータであって、上記k個の低級直流モータの各モータシャフトは、各電機子鉄心の回転位置が360/(n×m×k)°の角度ずつ相互にずれるように、上記歯車列によって上記モータシャフトに連結されていることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
なお、上記直流モータにおいて、低級直流モータの個数は偶数個にするとよい(請求項2)。また、上記直流モータにおいて、低級直流モータは3個の溝を有する電機子鉄心と2個の界磁石を有する簡易構造の直流モータにするとよい(請求項3)。
【0011】
また、上記直流モータにおいて、上記歯車列は、上記モータシャフトに固着された1個の大歯車と上記k個の直流モータの各モータシャフトに固着され、上記大歯車に噛合された同一構造のk個の小歯車とからなり、上記k個の低級直流モータは、ケースの上記モータシャフトを回転自在に保持する側板に取り付ける構成にするとよい(請求項4)。
【0012】
あるいは、上記歯車列は、上記モータシャフトに所定の間隔を設けて固着された同一構造の第1の大歯車と第2の大歯車と、上記k個の低級直流モータの各モータシャフトに固着され、上記第1の大歯車に噛合された同一構造の(k/2)個の小歯車と上記第2の大歯車に噛合された同一構造の(k/2)個の小歯車とからなり、上記k個の低級直流モータは、上記小歯車で上記第1の大歯車に連結された(k/2)個の低級直流モータが、上記モータシャフトを回転自在に保持するケースの上記第1の大歯車に隣接した第1の側板に取り付けられ、上記小歯車で上記第2の大歯車に連結された(k/2)個の低級直流モータが上記ケースの上記第2の大歯車に隣接する第2の側板に取り付ける構成にするとよい(請求項5)。
【0013】
本発明に係る直流モータによれば、電機子鉄心の溝数m、界磁石数nの構造の簡単なk個の低級直流モータの各出力が歯車列からなる伝達手段によりモータシャフトに伝達され、合成されて当該モータシャフトから出力される。
【0014】
各低級直流モータからの出力は電機子鉄心が360/(n×m)°回転する毎にトルクが変動するが、k個の低級直流モータの各モータシャフトは、各電機子鉄心の回転位置が360/(n×m×k)°の角度ずつ相互にずれるように、歯車列によってモータシャフトに連結されているため、各低級直流モータの出力のトルク変動が相互に補完されるように合成されてモータシャフトから出力される。従って、トルク安定性に優れた簡易構造の直流モータを実現することができる。
【0015】
例えば電機子鉄心の溝数3、界磁石数2の4個の低級直流モータを用いた場合、各低級直流モータは電機子鉄心の回転位置が0°、15°、30°、45°の位置にずれて配設されている。各低級直流モータからの出力は電機子鉄心が60°回転する毎にトルクが大きく変動するが、モータシャフトからの出力は当該モータシャフトが15°(=60°/4)回転する毎にトルクが僅かに変動したものとなり、トルク安定性が向上する。
【0016】
請求項4記載の直流モータによれば、k個の低級直流モータは、モータシャフトに固着された1個の大歯車の回りに配置され、各低級直流モータのモータシャフトが大歯車に噛合した小歯車によって連結されるため、直流モータの軸方向の長さを短くすることができ、直流モータのコンパクト化が可能になる。
【0017】
請求項5記載の直流モータによれば、k個の低級直流モータは2組に分けられ、各組の低級直流モータはモータシャフトに所定の間隔を設けて固着された第1の大歯車と第2の第歯車とにそれぞれ小歯車によって連結されるため、低級直流モータの数を増やすことができ、これにより直流モータのトルク安定性をより向上させることができ、高出力化が可能になる。
【0018】
また、本発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の直流モータの駆動を制御する制御装置であって、複数の制御系統を形成するべく少なくとも2つの組に分けられた上記k個の低級直流モータにそれぞれ直流電源を供給する出力電圧が変更可能な複数の電源供給手段と、上記直流モータの駆動を制御系統別に制御するべく上記複数の電源供給手段の出力電圧をそれぞれ制御する複数の制御手段と、いずれかの制御系統に異常が発生したことを検出する異常検出手段と、上記異常検出手段で異常が検出されると、上記複数の制御手段のうち、当該異常が発生した制御系統に対する制御手段を停止させるとともに、この制御手段以外の制御手段の制御内容を、上記モータシャフトの回転速度が所定の速度に低下するように変更する駆動制御手段とを備えたものである(請求項6)。
【0019】
本発明に係る直流モータの制御装置によれば、複数の制御系統を形成するべく直流モータを構成するk個の低級直流モータが少なくとも2つの組に分けられ、組毎に複数の低級直流モータが独立して駆動制御される。いずれかの制御系統に異常が発生すると、当該異常が発生した制御系統に属する低級直流モータの駆動が停止されるが、他の制御系統の低級直流モータの駆動は継続されるため、直流モータの一部に故障などが発生しても直ちに当該直流モータの駆動が完全停止をすることがない。従って、変動の大きい負荷に適用し、過負荷などで一部が損傷する虞がある場合にも駆動制御中にモータが完全停止をすることがなく、安心して負荷を駆動させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る直流モータの一実施形態の構造を示す左側面図、図2は同直流モータの正面図である。
【0021】
図1に示す直流モータ1は、図14に示した模型用の直流モータ20(以下、低級直流モータ20という。)を4個用い、これらの低級直流モータ20の出力を合成して出力させるように組み合わせて構成したものである。
【0022】
直流モータ1は、2枚の長方形の側板201,202を対向配置し、これらの側板201,202の4隅をこれらの側板201,202のよりも小幅で所定の長さLを有する長方形の連結板203,204,205,206で連結してなるケース2を備えている。ケース2の側板201,202の中央にはそれぞれ孔が設けられ、各孔には軸受3,4が取り付けられている。また、両軸受3,4を貫通してモータシャフト5が回転可能にケース2に保持され、側板202の外側面に突出したモータシャフト5の先端にはブラケット6を介して当該モータシャフト5の回転位置を検出するロータリ式のエンコーダ7が取り付けられている。
【0023】
エンコーダ7は、図3、図4に示すように、周縁部に複数のスリット71aが当該スリット71aと同一幅の間隔を設けて周方向に形成された円板(以下、符号板という。)71とスリット71aを検出する2対の透過型の光センサ72,73とで構成されている。符号板71の中心はエンコーダ7のケース74に貫通して回転可能に保持されたモータシャフト5の先端部に固定されている。
【0024】
光センサ72は、発光用のフォトダイオード72aと受光用のフォトセンサ72bとで構成され、光センサ73は、発光用のフォトダイオード73aと受光用のフォトセンサ73b(図3,図4では表れていない)とで構成されている。フォトダイオード72aと受光用のフォトセンサ72bはケース74の内側面に符号板71を挟んで互いに対向するように配置されている。同様にフォトダイオード73aと受光用のフォトセンサ73bもケース74の内側面に符号板71を挟んで互いに対向するように配置されている。また、光センサ72と光センサ73とは符号板71の周方向に対してスリット71aの間隔dの3/4だけずらして配置されている。
【0025】
符号板71のスリット71aが光センサ72,73の各センサ位置を通過するとき、フォトダイオード72a,73aからの光はフォトセンサ72b,73bに到達し、スリット71a以外の部分が各センサ位置を通過するとき、フォトダイオード72a,73aからの光は遮断されるから、符号板71が回転すると、光センサ72,73からは各スリット71aがセンサ位置を通過するごとにフォトダイオード72a,73aからの光を受光した矩形波状の信号(以下、パルス信号という。)が出力される。
【0026】
光センサ72と光センサ73とは3d/4だけ位置がずれているため、光センサ72から出力されるパルス信号と光センサ73から出力されるパルス信号とは、図5に示すように、互いに位相が90°ずれたものとなっている。なお、図5(a)は、図4において、符号板71が時計回りに回転した場合に光センサ72から出力されるパルス信号Saと光センサ73から出力されるパルス信号Sbを示し、図5(b)は、符号板71が反時計回りに回転した場合に光センサ72から出力されるパルス信号Saと光センサ73から出力されるパルス信号Sbを示している。符号板71が時計回りに回転しているときは、パルス信号Saの位相がパルス信号Sbよりも進み、符号板71が反時計回りに回転しているときは、パルス信号Sbの位相がパルス信号Saよりも進むため、両パルス信号Sa,Sbの位相関係を判別することにより符号板71の回転方向、すなわち、モータシャフト5の回転方向が判別される。
【0027】
符号板71の周縁部に形成されたスリット71aの数Nは一定(図4ではN=16)であるから、スリット数Nをカウントする時間tを計時することにより符号板71の回転速度、すなわち、モータシャフト5の回転速度が計測される。例えばパルス信号Saの立下りタイミングでスリット数をカウントするとし、0.01秒間にカウント数iがNになると、モータシャフト5は1回転したことになるから、モータシャフト5の回転速度は100rpsとなる。
【0028】
また、スリット数をカウントすることにより符号板71の回転角、すなわち、モータシャフト5の回転位置が検出される。すなわち、図4の例では、各スリット71aの位置は、360°/16=22.5°ずつ周方向に回転した位置を示しているから、例えば基準位置からスリット数のカウントを開始し、カウント数iがM(<N)のとき、モータシャフト5の回転位置は、基準位置から22.5×M°だけ回転した位置となる。
【0029】
なお、モータシャフト5の回転方向により光センサ72,73から出力されるパルス信号Sa,Sb間の位相関係が相違するから(図5参照)、例えばパルス信号Saの立下りタイミングでパルス信号Sbがハイレベルであれば(図5(a)の状態)、スリット数のカウントを増加し、パルス信号Saの立下りタイミングでパルス信号Sbがローレベルであれば(図5(b)の状態)、スリット数のカウントを減少することにより、モータシャフト5が正逆いずれの方向に回転しても基準位置からの回転位置を検出できるようになっている。すなわち、モータシャフト5が基準位置(0°)から時計回りに回転し、スリット数k(<N)で停止すると、そのときのモータシャフト5の回転位置は+22.5×k°となり、その位置から反時計回りに回転し、スリット数h(<N)で停止すると、そのときのモータシャフト5の回転位置は+22.5×k−22.5×h=22.5×(k−h)°となる。
【0030】
図1及び図2に戻り、側板201の内側面には、長手方向に平行な中心線上であって中心から所定の寸法Dだけ離れた位置に2個の低級直流モータ20a,20bが、各モータシャフト22a,22bを側板201の外側に突出させて固定されている。また、側板202の外側面にも同様の位置に2個の低級直流モータ20c,20dが、各モータシャフト22c,22dを側板202の内側に突出させて固定されている。これらの低級直流モータ20a〜20dの構造は図15に示した低級直流モータ20と同一である。
【0031】
モータシャフト5の側板201の外側と側板202の内側とに近接した位置に2個の平歯車からなる大歯車8,9が固着されている。大歯車8,9は同一構造をなし、側面に形成された歯の数は同一となっている。大歯車8には低級直流モータ20a,20bのモータシャフト22a,22bの先端部に固着された小歯車10,11が噛合され、大歯車9には低級直流モータ20c,20dのモータシャフト22c,22dの先端部に固着された小歯車12,13が噛合されている。小歯車10〜13は同一構造をなし、側面に形成された歯の数は同一となっている。従って、小歯車10〜13と大歯車8,9との減速比は同一となっている。
【0032】
上記のように、直流モータ1は、低級直流モータ20a,20bの各モータ出力が小歯車10,11及び大歯車8を介してモータシャフト5に伝達され、低級直流モータ20c,20dの各モータ出力が小歯車12,13及び大歯車9を介してモータシャフト5に伝達され、低級直流モータ20a〜20dの各モータ出力が合成されてモータシャフト5から出力される構成となっている。低級直流モータ20a〜20dは簡易構造の低級直流モータ20で構成されているため、上述したように各低級直流モータ20a〜20dから出力されるトルクは、モータシャフト22a〜22dが1回転する間にも大きく変動する。
【0033】
本実施形態に係る直流モータ1では、各低級直流モータ20a〜20dから出力されるトルクの変動が互に補完されてモータシャフト5から出力されるように、各低級直流モータ20a〜20dの界磁石24a〜24dに対する電機子鉄心23a〜23dの位置が調整されている。なお、直流モータ1のトルク特性については後述する。
【0034】
図6は、低級直流モータ20a〜20dの界磁石24a〜24dに対する電機子鉄心23a〜23dの位置関係を示すもので、(a)は図1のA−A断面図、(b)は図1のB−B断面図、(c)は図1のC−C断面図、(d)は図1のD−D断面図である。なお、説明の便宜上、電機子鉄心23a〜23dに巻回されるコイルは省略している。
【0035】
図6において、各電機子鉄心23a〜23dの●印を付した歯の方向を各電機子鉄心23a〜23dの回転位置を示すための基準方向Sとし、各電機子鉄心23a〜23dの回転角を各低級直流モータ20a〜20dの上方向Rを基準(0°)として反時計回りに取るとすると、低級直流モータ20aは、基準方向SがR方向に一致するように電機子鉄心23aの位置が調整され、低級直流モータ20bは、基準方向SがR方向に対して角度αだけ回転した位置となるように電機子鉄心23bの位置が調整されている。また、低級直流モータ20cは、基準方向SがR方向に対して角度2αだけ回転した位置となるように電機子鉄心23cの位置が調整され、低級直流モータ20dは、基準方向SがR方向に対して角度3αだけ回転した位置となるように電機子鉄心23dの位置が調整されている。
【0036】
すなわち、低級直流モータ20aの電機子鉄心23aの配置を基準にすると、低級直流モータ20b〜20dは低級直流モータ20aに対して電機子鉄心23b〜23dの位置をそれぞれ角度α,2α,3αだけずらしてケース2に取り付けられている。
【0037】
図15に示す低級直流モータ20は、駆動していない状態では界磁石24と電機子鉄心23の配置関係からモータシャフト22が安定して停止する位置が回転方向で所定の角度θ毎に存在する。このため、界磁石24と電機子鉄心23に巻回されたコイルとの間で生じるトルクによって回転する低級直流モータ20は、駆動させると、モータシャフト22から出力されるトルクが角度θの回転量を回転する時間に相当する周期で脈動することになる。上述の低級直流モータ20a〜20dの電機子鉄心23a〜23dの位置のずらし角αは、モータシャフト22が安定して停止する位置が生じる所定の角度θと低級直流モータ20の個数kとによって決定される角度で、α=θ÷kで算出される。
【0038】
なお、角度θは、電機子鉄心23の溝数(歯の数)をm、界磁石数をnとすると、360°/(n×m)で算出される。従って、角度αはα=360°/(n×m×k)となる。本実施形態では、低級直流モータ20の個数が4個で、各低級直流モータ20a〜20dの電機子鉄心溝数は3、界磁石数は2であるから、角度αは360°/(2×3×4)=15°となっている。
【0039】
各低級直流モータ20a〜20dは、以下の方法で図6に示す電機子鉄心23a〜23dの位置関係でケース2に取り付けられる。
【0040】
まず、直流モータ1のモータシャフト5を回転しないように固定するとともに、低級直流モータ20dの電機子鉄心23dを図6(a)の状態にしてケース2に取り付け、モータシャフト22dを回転しないように固定する。この状態で、モータシャフト22dの先端に小歯車13をモータシャフト5の大歯車9に噛合させて取り付け、固定する。
【0041】
次に、低級直流モータ20dのモータシャフト22dの固定を解除し、モータシャフト5をエンコーダ7から出力されるパルス信号Sa(又はSb)のパルス数をカウントすることにより低級直流モータ20dのモータシャフト22dを角度αだけ回転させる。
【0042】
大歯車8,9の歯数をx1、小歯車10〜13の歯数をx2とすると、小歯車10〜13が1回転する間に大歯車8,9は角度φ=360×(x2/x1)°だけ回転する。大歯車8,9が角度φだけ回転すると、エンコーダ7からはN×(φ/360)のパルスが出力される。小歯車10〜13の1回転に対するエンコーダ7からの出力パルス数はN×(φ/360)(Nは符号板71のスリット総数)であるから、小歯車10〜13の角度αの回転に対するエンコーダ7からの出力パルス数pはN×(φ/360)×(α/360)=N×(α/360)×(x2/x1)となる。
【0043】
従って、エンコーダ7から出力されるパルス信号Sa(又はSb)のパルス数をカウントしながらモータシャフト5を回転させ、パルス数のカウント値がpになったときにモータシャフト5の回転を停止させると、低級直流モータ20dのモータシャフト22dは角度αだけ回転させた位置で停止させることができる。
【0044】
次に、上述した低級直流モータ20dの取付方法と同様の方法で低級直流モータ20cをケース2に取り付け、モータシャフト22cの先端に小歯車12をモータシャフト5の大歯車9に噛合させて取り付け、固定する。その後、低級直流モータ20cのモータシャフト22cの固定を解除し、モータシャフト5をエンコーダ7から出力されるパルス信号Sa(又はSb)のパルス数をカウントすることにより低級直流モータ20cのモータシャフト22cを角度αだけ回転させる。このとき、低級直流モータ20dのモータシャフト22dは角度2αだけ回転させた位置で停止し、低級直流モータ20cのモータシャフト22cは角度αだけ回転した位置で停止した状態となる。
【0045】
同様の方法で、低級直流モータ20bをケース2に取り付け、低級直流モータ20bのモータシャフト22bを角度αだけ回転した位置で停止させた後、低級直流モータ20aをケース2に取り付け、この状態で、モータシャフト22aの先端に小歯車10をモータシャフト5の大歯車8に噛合させて取り付け、固定すると、低級直流モータ20a〜20dは各電機子鉄心23a〜23dの界磁石24a〜24dに対する位置関係が図6に示す位置関係に調整されてケース2に取り付けられることになる。
【0046】
次に、直流モータ1のトルク特性について説明する。
【0047】
低級直流モータ20は、電機子鉄23の溝数が3、界磁石24の数が2であるから、角度θは360°/(2×3)=60°となり、図7(a)〜(f)に示すように、電機子鉄心23の回転位置が0°,60°,120°,180°,240°,300°の位置でモータシャフト22が安定して停止する。従って、低級直流モータ20を駆動すると、モータシャフト22から出力されるトルクTは、電機子鉄心23が図7の(a)〜(f)の位置に回転する度に低下するように正弦波状に脈動する。図8はその様子を模式的に表したもので、モータシャフト22が1回転する間に出力トルクTは、6回脈動している。なお、図8の(a)〜(f)は、それぞれ電機子鉄心23の回転位置が図7の(a)〜(f)であることを示している。
【0048】
上述したように、直流モータ1は低級直流モータ20a〜20dの出力トルクTa,Tb,Tc,Tdがモータシャフト5に合成されて出力される一方、低級直流モータ20a〜20dのトルク変動特性は、低級直流モータ20a〜20dの電機子鉄心23a〜23dの回転位置が15°ずつずれているから、図9(a)〜(d)に示すように、低級直流モータ20aのトルク変動特性を基準にして低級直流モータ20b〜20dのトルク変動特性がそれぞれ15°,30°,45°だけ位相が進んだものとなっている。
【0049】
従って、直流モータ1のモータシャフト5から出力されるトルクT1の特性は、図9(a)〜(d)のトルク変動特性を合成したものとなり、図10に示すようになる。図10に示すトルク変動特性は、低級直流モータ20a〜20dのトルク変動のピークが15°のピッチで合成されたもので、1個の低級直流モータ20では1回転中に6回、大きくトルク変動が生じるのに対し、直流モータ1では1回転中に24回、微小のトルク変動が生じるだけで、格段にトルク変動が抑制されることがわかる。
【0050】
従って、本発明に係る直流モータ1は、4個の低級直流モータ20を組み合わせた構成であるが、図14に示す高級直流モータに匹敵する高速応答性やトルク安定性が可能になっている。
【0051】
図11は、直流モータ1の制御回路の第1実施形態の構成を示す図である。
【0052】
第1実施形態に係る直流モータ1の制御回路は、直流モータに適用される従来の基本的な制御回路と同一である。これは、直流モータ1が4個の低級直流モータ20a〜20dを用いてはいるが、1つの直流モータとして動作するようにこれらの低級直流モータ20a〜20dを組み合わせて構成しているため、通常の直流モータの制御回路が適用できるからである。
【0053】
直流モータ1の制御回路30は、速度/回転位置検出器31、指示速度演算器32、指示電流演算器33、PWM制御値演算器34、PWM制御器35、電源供給器36及びモータ電流検出器37で構成されている。
【0054】
電源供給器36は、直流モータ1に直流電源を供給するもので、4個のスイッチング素子の単相ブリッジ回路からなる電圧形インバータで構成されている。電源供給器36の入力端には図略の直流電源から所定のDC電圧が供給されるようになっている。直流モータ1を構成する4個の低級直流モータ20a〜20dは直列に接続され、その直列接続の両端は単相ブリッジ回路の出力端c,c’に接続されている。エンコーダ7から出力される2つのパルス信号Sa,Sbは速度/回転位置検出器31に入力されるようになっている。
【0055】
PWM制御器35は、電源供給器36の4個のスイッチング素子のオン・オフ時間を制御することにより直流モータ1に供給される直流電圧の平均値を制御するパルス幅変調回路である。モータ電流検出器37は、電源供給器36と直流モータ1とを接続する電源供給ライン上に設けられ、直流モータ1に流れる電流を検出するものである。この検出値は指示電流演算器33とPWM制御値演算器34との間の減算回路に入力される。
【0056】
速度/回転位置検出器31は、エンコーダ7から出力される2つのパルス信号Sa,Sbを用いて、上述した方法で直流モータ1の回転方向、回転速度(rpm)及びモータシャフト5の回転位置を検出するものである。指示速度演算器32は、図略の制御部から入力されるモータシャフト5の目標位置に対する速度/回転位置検出器31から出力されるモータシャフト5の現在の回転位置の偏差量に基づいて当該モータシャフト5を目標位置に回転させるための回転速度の指示値(以下、指示速度という。)を演算するものである。指示電流演算器33は、指示速度演算器32で算出された指示速度に対する速度/回転位置検出器31から出力されるモータシャフト5の現在の速度の偏差量に基づいて当該モータシャフト5を指示速度に設定するために直流モータ1に供給すべき電流(以下、指示電流という。)を演算するものである。
【0057】
PWM制御値演算器34は、指示電流演算器33で算出された指示電流に対するモータ電流検出器37で検出された直流モータ1に現在流れている電流の偏差量からPWM制御器35に対するPWM制御値(PWM変調信号)を演算するものである。PWM制御器35は、PWM制御値演算器34から入力されるPWM変調信号に基づいて電源供給器36の4個のスイッチング素子のオン・オフの時間を制御することにより、直流モータ1を指示速度に調整して目標回転位置まで回転させる。
【0058】
上記構成により、直流モータ1は、目標位置が外部入力されると、この目標位置の情報と現在のモータ速度、モータ電流、回転位置の情報とを用いてPWM制御方式によりサーボ制御されて目標位置に自動設定される。
【0059】
図12は、直流モータ1の制御回路の第2実施形態の構成を示す図である。
【0060】
第2実施形態に係る直流モータ1の制御回路30’は、本発明に係る直流モータ1に特有の制御回路である。直流モータ1は4個の低級直流モータ20a〜20dの出力をモータシャフト5に伝達し合成して出力する構成であるため、4個の低級直流モータ20a〜20dのうちの1個の低級直流モータ、例えば低級直流モータ20aが故障した場合でもその低級直流モータ20aを駆動系から除外することにより他の低級直流モータ20b〜20dによって直流モータ1を駆動することができることから、第2実施形態に係る制御回路30’はその利点を利用するようにしたものである。
【0061】
同図に示す制御回路30’は、図11に示す制御回路30において、直流モータ1を構成する4個の低級直流モータ20a〜20dを2系統に分け、各系統に対してPWM制御値演算器34、PWM制御器35、電源供給器36及びモータ電流検出器37を設けるとともに、指示速度演算器32及び指示電流演算器33に代えて両系統を制御するための位置速度制御演算器38を設けたものである。
【0062】
すなわち、直流モータ1を構成する4個の低級直流モータ20a〜20dは、低級直流モータ20a,20cを直列接続した第1系統のモータM1と低級直流モータ20b,20dを直列接続した第2系統のモータM2とに分けられ、第1系統のモータM1には図11と同様の構成でPWM制御値演算器34a、PWM制御器35a、電源供給器36a及びモータ電流検出器37aが設けられ、第2系統のモータM2には図11と同様の構成でPWM制御値演算器34b、PWM制御器35b、電源供給器36b及びモータ電流検出器37bが設けられている。
【0063】
なお、PWM制御値演算器34a,34b、PWM制御器35a,35b、電源供給器36a,36b及びモータ電流検出器37a,37bの機能は、それぞれ上述したPWM制御値演算器34、PWM制御器35、電源供給器36及びモータ電流検出器37と同一であるから、説明は省略する。
【0064】
位置速度制御演算器38は、モータ電流検出器37a,37bから出力される第1系統及び第2系統のモータM1,M2にそれぞれ流れている現在の電流値と、速度/回転位置検出器31から出力されるモータシャフト5の現在の回転方向、回転速度及び回転位置とを用いて第1系統のモータM1と第2系統のモータM2に対する指示電流を演算し、それぞれPWM制御値演算器34aとPWM制御値演算器34bとに出力するものである。
【0065】
次に、位置速度制御演算器38によって行われる制御処理を図13のフローチャートを用いて説明する。
【0066】
最初に位置速度制御演算器38に制御データの初期化が行われる(S1)。すなわち、位置速度制御演算器38によって算出され、図略のメモリに記憶されている第1系統のモータM1に対する指示電流I1(以下、第1指示電流I1という。)と第2系統のモータM2に対する指示電流I2(以下、第2指示電流I2という。)のデータが零にリセットされる。
【0067】
続いて、図略の制御部から外部入力される目標位置に対する速度/回転位置検出器31から出力されるモータシャフト5の現在の回転位置の偏差量に基づいて指示速度Vが演算され(S2)、更にこの指示速度Vに対する速度/回転位置検出器31から出力されるモータシャフト5の現在速度の偏差量に基づいて指示電流Iが演算される(S3)。
【0068】
続いて、第1系統のモータM1又は第2系統のモータM2に異常が発生している否かが判別される(S4〜S6)。この判別は、零でない第1,第2指示電流I1,I2がメモリに記憶され、それぞれPWM制御値演算器34a,34bに出力されている状態でモータ電流検出器37a,37bから検出されるモータ電流が0であるか否かにより行われる。そして、零でない指示電流I1,I2が出力されている状態でモータ電流の検出値が0であると、モータに異常が発生したと判断される。
【0069】
第1系統のモータM1及び第2系統のモータM2が正常であれば(S4:NO,S5:NO)、ステップS3で算出された指示電流Iの1/2がそれぞれ第1系統のPWM制御値演算器34aと第2系統のPWM制御値演算器34bとに出力され(S7)、更にその指示電流I/2がそれぞれ第1指示電流I1のメモリと第2指示電流I2のメモリに記憶されて(S8)、ステップS2に戻り、上述したステップS2〜S8のループにより直流モータ1のサーボ制御が行われる。
【0070】
ステップS2〜S8のサーボ制御の間に第2系統のモータM2に異常が発生すると(S4:NO,S5:YES)、ステップS9〜S11の処理に移行し、第1系統のモータM1のみによる直流モータ1の駆動が行われる。すなわち、ステップS2で算出された指示速度Vの1/2が演算され、この速度V/2に対する速度/回転位置検出器31から出力されるモータシャフト5の現在速度の偏差量に基づいて第1系統のモータM1に対する指示電流I1が演算される(S9)。この指示電流I1は第1系統のPWM制御値演算器34aに出力されるとともに(S10)、第1指示電流I1のメモリに記憶される(S8)。そして、ステップS2に戻り、上述したステップS2〜S5,S9〜S11のループにより第1系統のモータM1のみによる直流モータ1のサーボ制御が行われる。
【0071】
一方、ステップS2〜S8のサーボ制御の間に第1系統のモータM1に異常が発生すると(S4:YES,S6:NO)、ステップS12〜S14の処理に移行し、第2系統のモータM2のみによる直流モータ1の駆動が行われる。この駆動は、第1系統のモータM1のみによる直流モータ1の駆動と同様の方法で行われる。すなわち、ステップS2で算出された指示速度Vの1/2が演算され、この速度V/2に対する速度/回転位置検出器31から出力されるモータシャフト5の現在速度の偏差量に基づいて第2系統のモータM2に対する指示電流I2が演算される(S12)。この指示電流I2は第2系統のPWM制御値演算器34bに出力されるとともに(S13)、第2指示電流I2のメモリに記憶される(S14)。そして、ステップS2に戻り、上述したステップS2〜S4,S6,S12〜S14のループにより第2系統のモータM2のみによる直流モータ1のサーボ制御が行われる。
【0072】
なお、第1系統のモータM1又は第2系統のモータM2のいずれかに異常が発生した場合に、ステップS9,S12で指示速度を正常時の指示速度Vの1/2に落として制御するのは、モータシャフトから出力されるトルクTは、一般に下記式1で示すように、速度Vの関数で示され、トルクTを制限しなければならない場合、速度Vを制限することにより継続運転が可能になるからである。なお、負荷変動に応じて加速する必要がある場合はトルク不足が生じるが、その期間は極めて短いので、過負荷運転をすることによりモータを停止させることなく連続運転が可能である。
【0073】
【数1】
【0074】
上記実施形態では、異常時の指示速度Vを正常時の指示速度Vの1/2に落としているが、負荷の慣性量や粘性抵抗などによって制限されるトルクが変化するため、指示速度Vの制限値は適宜の値に設定することができる。例えば異常時の指示速度を正常時の指示速度Vの3/4や1/4に落としてもよい。
【0075】
図13に戻り、ステップS2〜S8のサーボ制御の間に第1,第2系統のモータM1,M2の両方に異常が発生すると(S4:YES,S6:YES)、直流モータ1は正常に動作しないので、ステップ2に戻り、ステップS2〜S4,S6のループにより演算処理のみが行われる。すなわち、第1,第2系統のモータM1,M2のサーボ制御は停止され、このとき直流モータ1は完全に停止される。
【0076】
上記のように、直流モータ1は、4個の低級直流モータ20a〜20dの出力を小歯車10〜13及び大歯車8,9によりモータシャフト5に合成出力させるとともに、直流低級モータ20a〜20dからの各出力のトルク変動を互いに補完するように低級直流モータ20a〜20dの電機子鉄心23a〜23dの位置を調整するように構成しているので、簡易な構造でトルク変動の少ない直流モータを実現することができる。また、廉価な低級直流モータを複数個組み合わせて構成しているので、同等の制御性能を有する直流モータを単体で構成した場合に比して製造コストが低く、ロボットなどの制御機器に適用した場合、当該制御機器のコスト低減に大きく寄与する。
【0077】
また、直流モータ1を構成する低級直流モータ20a〜20dを2つの制御系統に分割してそれぞれ独立に制御するとともに、一方の制御系統に損傷が生じた場合、制御速度を低減して他方の制御系統のみで駆動させるようにしているので、直流モータ1内に損傷が生じた場合にも直ちに駆動を停止することがなく、連続運転をさせることができる。従って、例えば障害者や患者を搬送車からベッドに移送する移載装置等のように、障害者や患者の移送中に駆動停止とならないことが要求される機器に対して好適な駆動モータを提供することができる。
【0078】
なお、上記実施形態では、4個の低級直流モータ20a〜20dを2個ずつの組に分け、一方の組をケース2の前側の側板201に取り付け、他方の組をケース2の後側の側板202に取り付ける構成としたが、4個の低級直流モータ20a〜20dをケース2の前側の側板201に取り付け、各モータのモータシャフト22a〜22dを小歯車10〜13と大歯車8とで直流モータ1のモータシャフト5に連結するようにしてもよい。この構成では、大歯車9が不要になるとともに、直流モータ1の軸方向の長さが短くなり、コンパクト化が可能になる利点がある。
【0079】
また、上記実施形態では、4個の低級直流モータ20a〜20dを用いていたが、低級直流モータ20の数は任意に選ぶことができる。例えば図1において、ケース2の前側に更に側板を追加するとともに、2個の低級直流モータ20と2個の小歯車と1個の大歯車を追加し、低級直流モータ20a,20bの取付構造と同様の構造で追加した低級直流モータ、小歯車及び大歯車をケース2の追加した側板に取り付けるようにしてもよい。この場合は、低級直流モータ20の数kが6になるので、各低級直流モータ20の電機子鉄心の相互のずれ角αは、360°/(2×3×6)=10°となる。
【0080】
この構成では、モータシャフト5から出力されるトルクが増大するとともに、そのトルク変動がより小さくなり、直流モータ1の高出力化、高安定化が可能となる。なお、低級直流モータ20を6個用いる場合もこれらをケース2の側板201に取り付ける構成にしても良いことは言うまでもない。
【0081】
また、上記実施形態では低級直流モータとして電機子鉄心の溝数が3、界磁石数が2の直流モータを用いたが、電機子鉄心の溝数および界磁石数はこれらに限定されるものではない。例えば電機子鉄心の溝数は6であってもよく、界磁石数は4であってもよい。また、上記実施形態では低級直流モータとしてステータ側に界磁石を配置し、ロータ側に電機子鉄心とコイルを配置する構成の直流モータを用いたが、ロータ側に界磁石を配置し、ステータ側に電機子鉄心とコイルを配置する構成の直流モータを用いてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、直流モータ1を二系統のモータに分けていたが、三系統以上のモータに分け、いずれかの系統のモータが故障した場合、残りの系統のモータで連続運転するようにしても良い。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数個の低級直流モータを、各低級直流モータの電機子鉄心の位置が相互に所定の角度ずつずれるように配置し、これらの低級直流モータの出力を合成して出力するように構成しているので、簡易な構造でトルク変動の少なく、高精度の制御が可能な直流モータを実現することができる。
【0084】
また、直流モータを構成する複数の低級モータを少なくとも2系統に分け、各系統を独立に制御するとともに、いずれかの系統のモータに異常が生じた場合、その系統のモータを停止させ、速度を落として他の系統のモータだけで駆動を制御するようにしたので、直流モータの一部に損傷などが生じた場合にも完全に停止させることなく連続運転をさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る直流モータの一実施形態の構造を示す左側面図である。
【図2】 本発明に係る直流モータの一実施形態の正面図である。
【図3】 エンコーダの構造を示す縦断面図である。
【図4】 符号板の構造を示す図である。
【図5】 エンコーダから出力されるパルス信号の波形を示すもので、(a)は符号板が時計回りに回転した場合の波形図、(b)は符号板が反時計回りに回転した場合の波形図である。
【図6】 本発明に係る直流モータを構成する4個の低級直流モータの電機子鉄心の位置ずれの関係を示す図である。
【図7】 図15に示す低級直流モータのモータシャフトが安定して停止する位置を示す図である。
【図8】 図15に示す低級直流モータのトルク変動の波形を示す図である。
【図9】 本発明に係る直流モータを構成する4個の低級直流モータのトルク変動特性を示す図である。
【図10】 本発明に係る直流モータのトルク変動特性を示す図である。
【図11】 本発明に係る直流モータの制御回路の第1実施形態の構成を示す図である。
【図12】 本発明に係る直流モータの制御回路の第2実施形態の構成を示す図である。
【図13】 第2実施形態に係る制御回路における直流モータの制御手順を示すフローチャートである。
【図14】 従来の直流モータの基本的な構造を示す図である。
【図15】 従来の低級直流モータの基本的な構造を示す図である。
【符号の説明】
1 直流モータ
2 ケース
201,202 側板
203〜206 連結板
3,4 軸受
5 モータシャフト
6 ブラケット
7 エンコーダ
71 符号板
72,73 光センサ
74 エンコーダのケース
8,9 大歯車(伝達手段)
10,11,12,13 小歯車(伝達手段)
20a,20b,20c,20d 低級直流モータ
22a,22b,22c,22d モータシャフト
23a,23b,23c,23d 電機子鉄心
24 界磁石
30,30’ 制御回路(直流モータの制御装置)
31 速度/回転位置検出器
32 指示速度演算器
33 指示電流演算器
34,34a,34b PWM制御値演算器(制御手段)
35,35a,35b PWM制御器(制御手段)
36,36a,36b 電源供給器(電源供給手段)
37,37a,37b モータ電流検出器
38 位置速度制御演算器(異常検出手段、駆動制御手段)
M1 第1系統のモータ
M2 第2系統のモータ
Claims (6)
- m(3以上の整数)個の溝が設けられ、これらの溝にコイルが巻回された電機子鉄心とn(2以上の整数)個の界磁石を備えたk(2以上の整数)個の低級直流モータと、
上記k個の低級直流モータの各出力が合成されて出力されるモータシャフトと、
上記k個の低級直流モータの各モータシャフトを上記モータシャフトに連結する歯車列を有し、この歯車列を介して上記k個の低級直流モータからの各出力を上記モータシャフトに伝達する伝達手段とを備えた直流モータであって、
上記k個の低級直流モータの各モータシャフトは、各電機子鉄心の回転位置が360/(n×m×k)°の角度ずつ相互にずれるように、上記歯車列によって上記モータシャフトに連結されていることを特徴とする直流モータ。 - 上記低級直流モータの個数kは偶数であることを特徴する請求項1記載の直流モータ。
- 上記低級直流モータは、3個の溝を有する電機子鉄心と2個の界磁石を有することを特徴とする請求項1又は2記載の直流モータ。
- 上記歯車列は、上記モータシャフトに固着された1個の大歯車と上記k個の低級直流モータの各モータシャフトに固着され、上記大歯車に噛合された同一構造のk個の小歯車とからなり、
上記k個の低級直流モータは、ケースの上記モータシャフトを回転自在に保持する側板に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の直流モータ。 - 上記歯車列は、上記モータシャフトに所定の間隔を設けて固着された同一構造の第1の大歯車と第2の大歯車と、上記k個の低級直流モータの各モータシャフトに固着され、上記第1の大歯車に噛合された同一構造の(k/2)個の小歯車と上記第2の大歯車に噛合された同一構造の(k/2)個の小歯車とからなり、上記k個の低級直流モータは、上記小歯車で上記第1の大歯車に連結された(k/2)個の低級直流モータが、上記モータシャフトを回転自在に保持するケースの上記第1の大歯車に隣接した第1の側板に取り付けられ、上記小歯車で上記第2の大歯車に連結された(k/2)個の低級直流モータが上記ケースの上記第2の大歯車に隣接する第2の側板に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の直流モータ。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の直流モータの駆動を制御する制御装置であって、
複数の制御系統を形成するべく少なくとも2つの組に分けられた上記k個の低級直流モータにそれぞれ直流電源を供給する出力電圧が変更可能な複数の電源供給手段と、
上記直流モータの駆動を制御系統別に制御するべく上記複数の電源供給手段の出力電圧をそれぞれ制御する複数の制御手段と、
いずれかの制御系統に異常が発生したことを検出する異常検出手段と、
上記異常検出手段で異常が検出されると、上記複数の制御手段のうち、当該異常が発生した制御系統に対する制御手段を停止させるとともに、この制御手段以外の制御手段の制御内容を、上記モータシャフトの回転速度が所定の速度に低下するように変更する駆動制御手段と、
を備えたことを特徴とする直流モータの制御装置。
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