JP4251686B2 - スロットルグリップ構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンドルパイプに装着されたスロットルグリップを捻ってスロットルを開くスロットルグリップ構造に係り、特に、スロットルグリップを閉方向へ常時付勢するリターンスプリングを内蔵し、良好なグリップ荷重が得られるスロットルグリップ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
二輪車や三輪車等のアクセル操作は、ハンドルパイプに装着されたスロットルグリップを捻ってスロットルバルブを開くことにより行われる。従来のスロットルグリップ構造では、スロットル開度とスロットルグリップ回転角との関係が一定であったが、特開昭50−6038号公報では、低速領域においてエンジンを微妙に制御できるようにするために、スロットルグリップ回転角の増加に対するスロットル開度の増加割合を、スロットルグリップの低開度領域では低く抑え、高開度領域では高くするスロットルグリップ構造が開示されている。
【0003】
一方、電動モータで走行する電動車両では、スロットルグリップをキャブレタのスロットルスプリングで閉方向へ戻すことができない。このため、運転者がスロットルグリップから手を放すとスロットルグリップが全閉方向へ戻されるように、スロットルグリップを閉方向へ常時付勢するリターンスプリングを内蔵したスロットルグリップ構造が、実用新案登録公報第2554808号に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなリターンスプリング内蔵型のスロットルグリップ構造を、キャブレタのスロットルスプリングでスロットルグリップを閉方向へ戻す車両に適用すると、スロットルグリップを回動させるために必要な回転モーメント(以下、グリップ荷重と表現する)が、リターンスプリングおよびスロットルスプリングの合力となり、グリップ荷重がグリップ回転角の増加と共に増加する。このため、スロットルグリップの回転角増加行程の後半(高開度時)では、グリップ荷重が大きくなり過ぎてしまう場合があった。
【0005】
なお、上記した課題はリターンスプリングの力を小さくれば見かけ上は解決できるが、力が小さくなるとスロットルグリップの全回転角において弾性力が均一に低下してしまうので、特に低開度状態にあるスロットルグリップを全閉方向へ確実に弾発させることが難しくなる。
【0006】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、スロットルグリップの回転角増加行程の後半においても、良好なグリップ操作感を得られるスロットルグリップ構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、ハンドルパイプに回転自在に挿貫された筒状部の円周に沿って環状のケーブル巻取部が立設されたスロットルグリップと、前記ケーブル巻取部に一端が係止され、スロットルグリップの回動操作に応じて前記ケーブル巻取部に巻き取られるスロットルワイヤとを設け、前記スロットルグリップ回転角の増加に対する前記ケーブル巻取部によるスロットルワイヤの巻取量の増加割合が、スロットルグリップの回転角増加行程の後半において減少するようにした。
【0008】
上記した構成によれば、グリップ回転角の増加に対するグリップ荷重の増加割合が、スロットルグリップの回転角増加行程の後半において減少するので、スロットルグリップの全閉およびその近傍における閉方向への弾発力を確保しながら、スロットルグリップの回転角増加行程の後半におけるグリップ荷重の上昇を抑制することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態であるエンジン停止始動制御装置が搭載されるスクータ型自動二輪車1の全体側面図である。
【0010】
車体前部2と車体後部3とは低いフロア部4を介して連結されており、車体の骨格をなす車体フレームは、概ねダウンチューブ6とメインパイプ7とから構成される。燃料タンクおよび収納ボックス(共に図示せず)はメインパイプ7により支持され、その上方にシート8が配置されている。
【0011】
一方、車体前部2では、ステアリングヘッド5に軸支されて上方にハンドル11が設けられ、下方にフロントフォーク12が延び、その下端に前輪13が軸支されている。ハンドル11の上部は計器板を兼ねたハンドルカバー33で覆われている。メインパイプ7の立ち上がり部下端にはブラケット15が突設され、このブラケット15には、リンク部材16を介してスイングユニット17が揺動自在に連結支持されている。
【0012】
スイングユニット17には、その前部に単気筒の2ストローク内燃機関200が搭載されている。この内燃機関200から後方にかけてベルト式無段変速機35が構成され、その後部に遠心クラッチを介して設けられた減速機構38に後輪21が軸支されている。この減速機構38の上端と前記メインパイプ7の上部屈曲部との間にはリヤクッション22が介装されている。スイングユニット17の上部には、内燃機関200のシリンダヘッドの上部から延出した吸気管23に接続された気化器24および同気化器24に連結されるエアクリーナ25が配設されている。なお、気化器24は、本願発明におけるエンジンの吸気を制御するスロットルバルブ(以下、単にスロットルと示すこともある)に対応した部材を示すものである。
【0013】
ユニットスイングケース31の下部に突設されたハンガーブラケット18には、メインスタンド26が枢着されており、ベルト式無段変速機35の伝動ケースカバー36から突出したキック軸27にキックアーム28の基端が固着され、キックアーム28の先端にキックペダル29が設けられている。
【0014】
図2は、前記自動二輪車1の計器盤回りの平面図であり、ハンドルカバー33の計器盤90内には、スピードメータ91と共にスタンバイインジケータ56およびバッテリインジケータ76が設けられている。このスタンバイインジケータ56は、後に詳述するように、エンジンの停止始動制御中におけるエンジン停止時に点滅し、スロットルを開ければ直ちにエンジンが始動されて発進し得る状態にあることを運転者に警告する。バッテリインジケータ76は、バッテリ電圧が低下すると点灯してバッテリの充電不足を運転者に警告する。
【0015】
ハンドルカバー33には、アイドリングを許可または制限するためのアイドルスイッチ53およびスタータモータを起動するためのスタータスイッチ58が設けられている。ハンドル11の右端部には、スロットルグリップ92およびブレーキレバー93が設けられている。なお、左右のスロットルグリップの付根部分等には、従来の二輪車と同様にホーンスイッチやウインカスイッチを備えているが、ここでは図示を省略する。
【0016】
図3は、図1に破線丸印で示した、シート8前部のヒンジ部分の構造を模式的に示した図である。本実施形態では、シート8の裏面前方にはヒンジ部材81が固定されている。このヒンジ部材81には、垂直方向に沿って長手状の開口82が形成され、車両本体側に固定されたヒンジ軸85が当該長手状開口82を貫通し、シート8は当該ヒンジ軸85を中心に揺動自在かつ上下動自在に軸支される。前記ヒンジ部材81の裏面と対向する車両本体側には、押子83aを弾発するコイルスプリング83および着座スイッチ54が設けられている。
【0017】
このような構成において、運転者がシート8に着席していない非着座状態では、同図(a) に示したように、ヒンジ軸85が長手状開口82の下側端部に当接するまで、シート8がコイルスプリング83によって押し上げられるので、着座スイッチ54はオフ状態となる。
【0018】
これに対して、運転者がシート8に着席する着座状態では、同図(b) に示したように、シート8がコイルスプリング83の弾性力に抗して押し下げられるので、着座スイッチ54はオン状態となる。したがって、着座スイッチ54の状態を監視すれば、運転者が着座しているか否かを認識することができる。また、本実施形態ではシート8の前側に着座スイッチ54を設けたので、運転者が小柄であっても着座しているか否か確実に検知することができる。
【0019】
図4は、本発明の一実施形態であるスロットルグリップ92のハンドルパイプ181に沿った断面図であり、図5は、図4のA−A線に沿った拡大断面図であり、図6、7は、いずれも図4のB−B線に沿った拡大断面図であり、図8は、リターンスプリングの仮組み付け方法を示した斜視図である。
【0020】
ハンドルパイプ181の端部にはグリップパイプ182が回動自在に挿貫され、グリップパイプ182の周囲はグリップカバー183で覆われている。グリップパイプ182の開口端側から予定の距離だけ内方向へ離間された位置には、その円周に沿ってケーブル巻取部182aが一体に立設され、ケーブル巻取部182aにはスロットルワイヤ185の一端185aが係止されている。
【0021】
グリップパイプ182の前記ケーブル巻取部182aよりも開口端側には、図5に示したように、前記グリップパイプ182の表面を予定の間隙を保って円周方向に予定角度θ1 だけ覆うように、前記予定角度θ1 の幅で外筒片182bが一体に、前記ケーブル巻取部182aから開口端方向へ延設されている。
【0022】
前記外筒片182bの表面の一部には、スロットルグリップ92の全閉状態で、後述するスロットルスイッチ52の可動部分を押し込んで接点を開または閉させるスイッチ押部182dが一体に立設されている。
【0023】
前記グリップパイプ182と前記外筒片182bとの間にはネジリコイル状のリターンスプリング184が挿貫され、前記グリップパイプ182の開口端側およびケーブル巻取部182aを覆うように、一対の上部ハウジング186および下部ハウジング187がハンドルパイプ181に対して固定されている。
【0024】
前記リターンスプリング184は、その弾性力によってスロットルグリップ92がアクセル閉方向へ常時付勢されるように、その一端184aおよび他端184bを、それぞれ前記外筒片182bの円周方向に関する一端182iおよび下部ハウジング187の段差部上面187bに開孔された係止孔187aに係止されている。運転者がリターンスプリング184の弾性力に抗してスロットルグリップ92を開方向へ捻ると、スロットルワイヤ185がケーブル巻取部182aの周囲に巻き込まれてスロットル(図示せず)が開く。
【0025】
前記ケーブル巻取部182aは、図6、7に示したように、前記スロットルワイヤ185の巻取量がスロットルグリップ92の回転角増加行程の後半において減少するように、スロットルグリップ92の回転中心Pに対して偏心している。具体的には、スロットルグリップ92の巻取半径Rが、図7に示した回転角増加行程の後半(巻取半径R1 )では、図6に示した回転角増加行程の前半(巻取半径R2 )よりも短くなるように偏心されている。
【0026】
図15は、グリップ回転角とグリップ荷重との関係を、本実施形態のようにケーブル巻取部182aが回転中心Pに対して偏心している場合(直線A)と、従来のように偏心していない場合(直線B)とを比較して示した図である。
【0027】
従来技術では、グリップ回転角が3/4を超えるとグリップ荷重が適正上限値を超えてしまうのに対して、本実施形態では、グリップ回転角に対するグリップ荷重の増加割合が低下するので、グリップ回転角が全開状態になってもグリップ荷重を適正上限値以下に抑えることができる。
【0028】
なお、上記したようにケーブル巻取部182aを偏心させることによる効果は、スロットルグリップ92が前記リターンスプリング84を内蔵している場合のみならず、リターンスプリング184を内蔵していない構造であっても、ニードルバルブを閉止するスロットルスプリング(共に図示せず)の弾性力が強いためにグリップ荷重が適正上限値を超えてしまうような場合にも同様に発揮される。
【0029】
図5に示したように、前記下部ハウジング187には、前記外筒片182bの表面に立設されたスイッチ押部182dに押されて接点を開閉するスロットルスイッチ52が設けられている。前記スロットルスイッチ52は、スロットルが実際に開き始める前の遊び範囲の角度θ2 内で接点が開閉されるように構成されている。このような構成によれば、スロットルを開くことなくスロットルスイッチ52のみを開閉させることができる。
【0030】
後に詳述するように、本実施形態ではスロットルグリップ92が開方向へ操作されてスロットルスイッチ52の接点が開または閉されるとエンジンが自動的に始動されるので、停車時に角度θ2 の範囲内でスロットルグリップ92を捻ってスロットルスイッチ52の接点を開または閉させれば、発進を伴わないエンジン始動が可能になり、エンジンをアイドリング状態に保つことが可能になる。
【0031】
また、遊び角度範囲が終了して実際にスロットルが開き始める角度(>θ2 )へ突入する際は、スロットルスプリング(図示せず)の弾性力が新たに付加され、それ以上の回動操作には更なる力が必要となる。このため、運転者の積極的な意思がない限り前記遊び角度範囲を超えてグリップが回動されてしまうことがなく、発進を伴わないエンジン始動やアイドリング状態での待機が容易になる。
【0032】
なお、本実施形態では前記リターンスプリング184の組み付けを容易なものとするために、図8に示したように、グリップパイプ182と前記外筒片182bとの間にリターンスプリング184を挿貫した後、その一端184aを外筒片182bの円周方向に関する一端182iに係止させる。その後、リターンスプリング184の他端184bを図8の実線位置から巻き上げて初期荷重を加え、破線位置において外筒片182bの他端182jに係止させ、図9に示したように、グリップパイプ182をハンドルパイプ181へ挿貫する。
【0033】
次いで、前記グリップパイプ182の開口端側およびケーブル巻取部182aを覆うように前記上部ハウジング186および下部ハウジング187を組み付ける際、図16に示したように、下部ハウジング187に設けた係止孔187aに前記リターンスプリング184の他端184bを浅く挿入して係合させながら、グリップパイプ182を開方向へ若干捻ってスイッチ押部182dを矢印方向へ、図17に示した位置までリターンスプリング184の弾性力に抗して移動させる。すると、それまで下部ハウジング187の段差部上面187bに突き当っていた前記スイッチ押部182dを矢印方向へ押し下げることが可能になるので、図5に示したように、グリップパイプ182の開口端側を下部ハウジング187内に収容することができ、このとき、リターンスプリング184の他端184bが前記係止孔187aに深く挿入される。
【0034】
その後は、リターンスプリング184によるスロットルグリップ92の閉方向への弾発が前記スイッチ押部182dと段差部上面187bの端部との当接により阻止されるので、リターンスプリング184の他端184bは前記外筒片182bの他端185jによる係止状態を解除され、下部ハウジング187の係止孔187aによってのみ新たに係止されることになる。
【0035】
このように、本実施形態ではリターンスプリング184をハンドルパイプ181へ直接挿貫することなく、グリップパイプ182をガイドとして挿貫することができるので、その組み付け性が各段に向上する。
【0036】
さらに、本実施形態によれば組み付け前にリターンスプリング184をグリップパイプ182の端部に挿貫し、その一端および他端を外筒片182bに係止させさえすれば、リターンスプリング184の他端184bを、これに触れることなく組み付け過程においてハウジング187に係止させることができる。したがって、リターンスプリング184の両端を外筒片182bの円周方向の両端部に係止する際に予め初期加重を加えておけば、組み付け時には作業者がリターンスプリング184に初期加重を加える必要がなくなって組み付け性が向上する。
【0037】
図10は、図1における内燃機関200をII−II線に沿って裁断した断面図である。内燃機関200は、左右水平方向に指向したクランク軸201を回転自在に支持する左右のクランクケース202L、202Rを合体したクランクケース202に、シリンダブロック203およびシリンダヘッド204が順次組合わされ、シリンダブロック203には、図示しない排気通路のほかシリンダボアに開口する掃気ポートから掃気通路205が形成されてクランクケース202のクランク室と連通している。
【0038】
シリンダヘッド204には、点火プラグ206が燃焼室に向け嵌着され、この点火プラグ206の露出部を除き、シリンダヘッド204およびシリンダブロック203はファンシェラウド207で覆われる。左クランクケース202Lは、ベルト式無段変速室ケースを兼ねており、左クランクケース202Lを貫通して延びたクランク軸201にはベルト駆動プーリ210が共に回転可能に設けられている。
【0039】
ベルト駆動プーリ210は、固定側プーリ半体210Lと可動側プーリ半体210Rとからなり、固定側プーリ半体210Lはクランク軸201の左端部にボス211を介して固着され、その右側に可動側プーリ半体210Rがクランク軸201にスプライン嵌合され、固定側プーリ半体210Lに接近・離反することができる。両プーリ半体210L、210R間にはVベルト212が挟まれて巻き掛けられる。
【0040】
可動側プーリ半体210Rの右側ではカムプレート215がクランク軸201に固着されており、その外周端に設けたスライドピース215aが、可動側プーリ半体210Rの外周端で軸方向に形成したカムプレート摺動ボス部210Raに摺動自在に係合している。可動側プーリ半体210Rのカムプレート215側側面は、カムプレート215側に向けてテーパしており、同テーパ面内側にカムプレート215に挟まれてドライウェイトローラ216が収容されている。
【0041】
したがって、クランク軸201の回転速度が増加すると、可動側プーリ半体210Rとカムプレート215間にあって共に回転するドライウェイトローラ216が、遠心力により遠心方向に移動し、可動側プーリ半体210Rは同ドライウェイトローラ216に押圧されて左方に移動して固定側プーリ半体210Lに接近し、両プーリ半体210L、210R間に挟まれたVベルト212を遠心方向に移動させ巻き掛け径を大きくするように構成されている。かかるベルト駆動プーリ210に対応して、後方の図示しないベルト被動プーリにVベルト212が巻き掛けられて、動力が自動調整されて後方の減速機構等に遠心クラッチを介して伝達され、後輪を駆動する。
【0042】
かかるベルト式無段変速機室を左側から覆う伝動ケースカバー220は、前方のベルト駆動プーリ210から後方に延出して覆っており、前寄りに前記キック軸27が回動自在に貫通支持されており、同キック軸27の内側端部には駆動ヘリカルギヤ222が嵌着され、リターンスプリング223により付勢されている。そして伝動ケースカバー220の前部内面には、クランク軸201と同軸に摺動軸224が回転かつ軸方向の摺動可能に支持されており、同摺動軸224には被動ヘリカルギヤ225が形成されて前記駆動ヘリカルギヤ222と噛合すると共に、右端にはラチェットホイール226が固着され、全体がフリクションスプリング227により左方に付勢されている。
【0043】
一方、クランク軸201側のボス211には、ラチェットホイール226に対向してラチェットが形成されており、両者は摺動軸224の摺動で接離可能である。したがって、前記キックペダル29が踏み込まれ、キック軸27がリターンスプリング223に抗して回転すると、キック軸27と一体に駆動ヘリカルギヤ222が回転して、これと噛合する被動ヘリカルギヤ225が摺動軸224と一体に回転しながらフリクションスプリング227に抗して右方に摺動して、ラチェットホイール226がボス211のラチェットと噛み合ってクランク軸201を強制的に回転させ内燃機関200を始動することができる。
【0044】
一方、右クランクケース202Rは、クランク軸201を回転自在に支持する主軸受209の右側に略円筒状をなして延出しており、その中心軸にクランク軸201が突出している。この右クランクケース202Rの円筒内には、スタータモータとACジェネレータとを組み合わせた始動兼発電装置250が配設されている。
【0045】
クランク軸201の先端テーパ部にはインナーロータ(回転内磁型ロータ)251が欺台され、ナット253で固着されて一体に回転する。インナーロータ251の外周面には6か所の断面円弧状溝が形成され、各溝にネオジューム鉄ボロン製のマグネット271が嵌着されている。
【0046】
インナーロータ251の外周囲に配設されるアウターステータ270は、その外周縁部をクランクケース202の円筒壁202aにボルト279により螺着されて支持される。アウターステータ270のステータコアは、薄鋼板を積層してなり、外周縁の円環状部分から中心方向に延出した複数のヨークに発電コイル272と始動コイル273が巻回されている。この発電コイル272と始動コイル273とは、クランク軸方向の内側に偏らせてヨークに巻き付けており、軸方向外側への突出量を小さくしている。
【0047】
一方、クランクケース202の円筒壁202a内を軸方向内側へ外側に比べ大きく突出した発電コイル272と始動コイル273とは、環状をなしてその内側に内空間を形成しており、同内空間に整流ブラシ機構263が構成されている。同内空間においてクランク軸201に貫通されたブラシホルダ262は、クランク軸201に対して周方向の相対的な回転を禁止し軸方向の摺動のみを許して嵌合されており、インナーロータ251との間にスプリング274が介装されてブラシホルダ262は軸方向内側へ付勢されている。
【0048】
ブラシホルダ262の内側面には、複数の所定箇所にブラシ261がスプリングに付勢されて突出している。このブラシホルダ262の内側面に対向して整流子ホルダ265が、中央をクランク軸201に貫通されて外周縁を前記軸方向内側へ大きく突出した発電コイル272と始動コイル273の部分に固定支持されている。
【0049】
整流子ホルダ265のブラシホルダ262に対向する面の所定箇所に整流子片267が同心円状に配設されている。固定された整流子ホルダ265に対してクランク軸201と共に回転するブラシホルダ262が離接し、接近したときはブラシ261が所要の整流子片267に接触する。
【0050】
ー方、インナーロータ251のクランク軸方向外側は、クランク軸201の先端に螺合されたナット253の周囲を覆う内円筒部231と、その外側を覆う同心の外円筒部232とが軸方向外方に延出しており、ここにガバナー機構230が構成される。すなわち、外円筒部232は、内周面にテーパが形成されてガバナーアウタを構成しており、内円筒部231の外周に軸方向に摺動自在にガバナーインナ233が嵌合され、ガバナーインナ233と外円筒部232との間にガバナーウエイトであるボール234が介装されている。
【0051】
このガバナー機構230の軸方向に摺動するガバナーインナ233に一端を固着された連結軸235がインナーロータ251をクランク軸201と平行に貫通し、先端をブラシホルダ262に嵌着している。連結軸235は、ガバナーインナ233とブラシホルダ262とを連結して互いに一体としてクランク軸方向に移動できるようにしている。
【0052】
クランク軸201が停止しているときは、ブラシホルダ262がスプリング223の付勢力により軸方向内方に移動していてブラシ261が整流子片267に接触する。したがって、バッテリから電流が供給されるとブラシ261と整流子片267との接触を経て始動コイル273に流れインナーロータ251に回転トルクを生じ、クランク軸201を回転させて内燃機関200を始動させることができる。
【0053】
そして、機関回転数が上がると遠心力によりボール234が外円筒部232のテーパ内面を外周方向に移動することでガバナーインナ233を軸方向外方へ摺動させ、連結軸235を介して一体にブラシホルダ262も軸方向外方に移動し、所定回転数を越えるとブラシ261が整流子片267から自動的に離れ、以後は発電コイル272によりバッテリへの充電がなされる。
【0054】
上記ガバナー機構230を構成する外円筒部232の端縁部にクランク角検出用の円環板状のロータ240が、その内周縁を嵌着して一体に設けられており、ロータ240の外周縁に近接してパルサー241が所定位置に配設されている。クランク軸201とインナーロータ251を介して一体に回転するロータ240の外周縁に形成された刻みをパルサ241が検出してクランク角を判断する。円環板状のロータ240は、アウターステータ270の発電コイル272および始動コイル273を外側から覆っている。そして、ロータ40の軸方向外側に内燃機関強制空冷用のファン部材280が一体に設けられている。
【0055】
ファン部材280は、その中央円錐部280aの裾部分をボルト246によりインナーロータ251の外円筒部232に固着されており、その外周に設けられたファン280bはロータ240より外側方に立設するような構造となっている。ファン部材280はファンカバー281で覆われている。
【0056】
本実施形態に係る車両用始動兼発電装置は以上のように構成され、インナーロータ251の軸方向内側に整流ブラシ機構263を配設し、軸方向外側には整流ブラシ機構263と切り離してガバナー機構230を配設したので、クランク軸外方向への膨出量が小さく抑えられる。
【0057】
また、アウターステータ270のステータコアのヨークに巻回される発電コイル272および始動コイル273の巻回状態が軸方向内側に偏って外側への突出量を小さくしているので、その外側のロータ240やファン部材280を軸方向外側に位置させずにすみ、クランク軸外方向への膨出量をより一層小さく抑えることができる。
【0058】
ファン280bの回転によりファンカバー281の外気吸入口281aから導入された外気は、中央円錐部280aに沿って外周に広がるが、ロータ240が導入空気を遮断して車両用始動兼発電装置250側への侵入を防止しているので、車両用始動兼発電装置よりさらに奥側(軸方向内側)にある整流ブラシ機構263には外気が侵入しにくく、したがって外気に含まれる塵埃の影響を整流ブラシ機構263が受けることを防止している。
【0059】
図11は、上記したようにクランク軸201を直接回転させる始動兼発電装置250を備えた内燃機関200における始動停止制御システムの全体構成を示したブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0060】
本実施形態のエンジン停止始動システムは、アイドリングが制限される動作モードと許可される動作モードとを備えている。さらに具体的にいえば、車両を停止させるとエンジンが自動停止し、停止状態でアクセルが操作されるとエンジンを自動的に再始動して車両を発進させる“停止発進モード(アイドリング制限モード)”と、エンジン始動時の暖気運転等を目的としてアイドリングを許可する“始動モード(アイドリング許可モード)”とを備えている。
【0061】
エンジン200のクランク軸201には、これと同軸状に始動兼発電装置250が連結されている。始動兼発電装置250は、スタータモータ部71とACジェネレータ部72とによって構成され、ACジェネレータ部72による発電電力は、レギュレータ・レクティファイア67を介してバッテリ68に充電される。前記バッテリ68は、スタータリレー62が導通されるとスタータモータ部71へ駆動電流を供給すると共に、メインスイッチ73を介して各種の一般電装品74および主制御部60等に負荷電流を供給する。
【0062】
前記主制御装置60には、エンジン回転数Neを検知するNeセンサ51と、グリップ回転角が予定開度を越えると接点を閉じるスロットルスイッチ52と、エンジン200のアイドリングを許可または制限するアイドルスイッチ53と、運転者が運転席に着座すると接点を閉じる着座スイッチ54と、車速を検知する車速センサ55と、後述する停止発進モードでの停車中に点滅するスタンバイインジケータ56と、前照灯69を点灯/消灯させるための前照灯スイッチ57と、始動兼発電装置250のスタータモータ71を駆動してエンジン200を始動するためのスタータスイッチ58と、ブレーキ操作に応答して接点を閉じるストップスイッチ59と、バッテリ68の電圧が予定値(例えば、10V)以下になると点灯して充電不足を運転者に警告するバッテリインジケータ76とが接続されている。
【0063】
さらに、前記主制御装置60には、点火プラグ206を点火させる点火制御装置(イグニッションコイルを含む)61と、前記スタータモータ71に電力を供給するスタータリレー62の制御端子と、前記前照灯69に電力を供給する前照灯リレー63の制御端子と、キャブレタ66に装着されたバイスタータ65に電力を供給するバイスタータリレー64の制御端子と、運転者がメインスイッチ73を遮断せずに車両から離れたり、前記前照灯69が自動消灯される前に警報音を発生して注意を促すブザー75とが接続されている。
【0064】
図12は、前記主制御装置60の構成を具体的に示したブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。なお、図13には主制御装置60の主要動作を一覧表として示している。
【0065】
動作モード切換部300は、当該エンジン停止始動制御装置の動作モードを、アイドルスイッチ53の状態および車両の状態に応じて、アイドリングを許可する前記“始動モード”およびアイドリングを制限する前記“停止発進モード”のいずれかに切り換える。
【0066】
この動作モード切換部300では、前記アイドルスイッチ53の状態信号が動作モード信号出力部301およびインバータ302に入力される。アイドルスイッチ53の状態信号は、オフ状態(アイドリング制限)では“L”レベル、オン状態(アイドリング許可)では“H”レベルを示す。インバータ302は、アイドルスイッチ53の状態信号を反転して出力する。
【0067】
車速継続判定部303はタイマ303aを備え、予定速度以上の車速が予定時間以上にわたって検知されると“H”レベルの信号を出力する。AND回路304は、前記判定部303の出力信号とインバータ302の出力信号との論理積を動作モード信号出力部301へ出力する。
【0068】
前記動作モード信号出力部301は、前記メインスイッチ73がオンにされたときに前記アイドルスイッチ53の状態信号が“H”レベル(アイドリング許可)であると、アイドリングが許可される“始動モード”を起動する。さらに、この“始動モード”時にAND回路304の出力が“H”レベルになる、すなわちアイドルスイッチ53がオフにされて予定速度以上の車速が予定時間以上にわたって検知されると、動作モードを前記“始動モード”から、アイドリングが制限される“停止発進モード”へ移行する。さらに、この“停止発進モード”においてアイドルスイッチ53が再びオンにされると、動作モードを“停止発進モード”から“始動モード”へ移行する。この動作モード信号出力部301から出力される動作モード信号S301 は、“始動モード”中は“L”レベル、“停止発進モード”中は“H”レベルとなる。
【0069】
スタータリレー制御部400は、動作モードに応じて、所定の条件下で前記スタータリレー62を手動または自動的に起動する。このスタータリレー制御部400では、前記Neセンサ51の検知信号がアイドリング以下判定部401へ供給される。判定部401は、エンジン回転数が所定のアイドリング回転数(例えば、800rpm)以下であると“H”レベルの信号を出力する。AND回路402は、前記判定部401の出力信号と、前記ストップスイッチ59の状態信号と、前記スタータスイッチ58の状態信号との論理積を出力する。AND回路403は、前記AND回路402の出力信号と前記動作モード信号S301 の反転信号との論理積を出力する。
【0070】
AND回路404は、前記アイドリング以下判定部401の出力信号と、前記スロットルスイッチ52の状態信号と、前記着座スイッチ54の状態信号との論理積を出力する。AND回路405は、前記AND回路404の出力信号と前記動作モード信号S301 との論理積を出力する。OR回路406は、前記各AND回路403、405の論理和をスタータリレー62へ出力する。
【0071】
このような構成において、“始動モード”中は動作モード信号S301 が“L”レベルなのでAND回路403がイネーブル状態となる。したがって、エンジン回転数がアイドリング以下であり、かつストップスイッチ59がオン状態(ブレーキ操作中)のときにスタータスイッチ58が運転者によりオンされると、スタータリレー62が導通してスタータモータ71が起動される。
【0072】
これとは逆に、“停止発進モード”中はAND回路405がイネーブル状態となる。したがって、エンジン回転数がアイドリング以下であり、着座スイッチがオン状態(運転者が運転席に着座中)でスロットルが開かれると、スタータリレー62が導通してスタータモータ71が起動される。
【0073】
バイスタータ制御部500では、Neセンサ51からの出力信号がNe判定部501に入力される。このNe判定部501は、エンジン回転数が予定値以上であると“H”レベルの信号を出力してバイスタータリレー64を閉じる。このような構成によれば、いずれの動作モードにおいても、エンジン回転数が予定値以上であれば燃料を濃くすることができる。
【0074】
インジケータ制御部600では、Neセンサ51からの出力信号がNe判定部601に入力される。このNe判定部601は、エンジン回転数が予定値以下であると“H”レベルの信号を出力する。AND回路602は、前記着座スイッチ54の状態信号と前記Ne判定部601の出力信号との論理積を出力する。AND回路603は、前記AND回路602の出力信号と前記動作モード信号S301 との論理積をスタンバイインジケータ56に出力する。スタンバイインジケータ56は、入力信号が“L”レベルであると消灯し、“H”レベルであると点滅する。
【0075】
すなわち、スタンバイインジケータ56は“停止発進モード”中の停車時に点滅するので、運転者はスタンバイインジケータ56が点滅していれば、エンジンが停止していてもアクセルを開きさえすれば直ちに発進できることを認識することができる。
【0076】
点火制御部700は、各動作モードごとに、所定の条件下で前記点火制御装置61による点火動作を許可または禁止する。この点火制御部700では、車速センサ55の検知信号が走行判定部701に入力される。前記走行判定部701は、検知信号に基づいて車両が走行状態にあると判断されると“H”レベルの信号を出力する。OR回路702は、前記走行判定部701の出力信号と前記スロットルスイッチ52の状態信号との論理和を出力する。OR回路703は、前記OR回路702の出力信号と前記動作モード信号S301 の反転信号との論理和を点火制御装置61へ出力する。点火制御装置61は、入力信号が“H”レベルであれば所定のタイミングごとに点火動作を実行し、“L”レベルであれば点火動作を中止する。
【0077】
このような構成によれば、始動モードでは動作モード信号S301 の反転信号が“H”レベルなので、OR回路703からは常に“H”レベルの信号が出力される。したがって、“始動モード”では点火制御装置61が常に点火動作を実行する。これに対して、停止発進モードでは、車両走行中であるか、あるいはスロットルが開かれていることを条件に点火動作が実行される。これとは逆に、停止状態であり、かつスロットルが閉じていれば点火動作が禁止される。
【0078】
前照灯/ブザー制御部800では、動作モードごとに、車両の走行状態や運転者の着座状態に応じて前照灯を自動的に点灯または消灯すると共に、運転者に種々の注意を促すための警告を、ブザー音として発する。
【0079】
非着座継続判定部801には着座スイッチ54の状態信号が入力される。非着座継続判定部801は運転者の非着座時間を計時する2つのタイマ8011、8012を備え、各タイマ8011、8012がタイムアウトすると、それぞれ“H”レベルの信号S8011、S8012を出力する。なお、本実施形態では各タイマ8011、8012が、それぞれ3秒および1秒でタイムアウトする。
【0080】
非点火継続判定部802は、エンジンの非点火時間を計時する2つのタイマ8021、8022を備え、非点火状態では直ちに“H”レベルの信号S8023を出力すると共に、各タイマ8021、8022がタイムアウトすると、それぞれ“H”レベルの信号S8021、S8022を出力する。なお、本実施形態では各タイマ8021、8022が、それぞれ3.5分および3分でタイムアウトする。
【0081】
AND回路812は、前記非着座継続判定部801の出力信号S8011と非点火継続判定部802の出力信号S8023との論理積を出力する。OR回路804は、前記非点火継続判定部802の出力信号S8021と前記AND回路812の出力信号との論理和を出力する。AND回路805は、前記OR回路804の出力信号と動作モード信号S301 との論理積をフリップフロップ810のリセット端子Rに出力する。
【0082】
AND回路807は、スロットルスイッチ52の状態信号と動作モード信号S301 との論理積を出力する。Ne判定部806にはNeセンサ51の出力信号が入力され、エンジン回転数が予定値以下であると“H”レベルの信号を出力する。AND回路808は、前記Ne判定部806の出力信号と動作モード信号S301 の反転信号との論理積を出力する。OR回路809は、各AND回路807、808の論理和をフリップフロップ810のセット端子Sに出力する。AND回路811は、フリップフロップ810のQ出力と前照灯スイッチ57の状態信号との論理積811を前照灯リレー63の制御端子へ出力する。前照灯リレー63は、“H”レベルの信号が入力されると前記前照灯69を点灯し、“L”レベルの信号が入力されると消灯する。
【0083】
このような構成によれば、始動モードでは動作モード信号S301 の反転信号が“H”レベルなのでAND回路808がイネーブル状態となる。したがって、エンジンが予定回転数以上であれば、フリップフロップ810がセットされるので、前照灯スイッチ57がオンであれば前照灯が点灯する。
【0084】
一方、停止発進モードでは動作モード信号S301 が“H”レベルなのでAND回路805、807がイネーブル状態となる。したがって、OR回路804の出力が“H”レベルであればフリップフロップ810がリセットされて前照灯が自動的に消灯する。
【0085】
すなわち、停止発進モードにおける前照灯は、非点火状態がタイマ8021のタイムアウト時間(本実施形態では、3.5分)以上継続して出力信号S8021が“H”レベルになるか、あるいは非点火状態での非着座がタイマ8011のタイムアウト時間(本実施形態では、3秒)以上継続してAND回路812の出力信号が“H”レベルになると消灯される。
【0086】
発明者等の調査によれば、信号待ちや交差点内での右折待ちは30秒ないし2分程度であり、この時間を超える停車は信号待ちや右折待ち以外の停車、すなわち前照灯を点灯させておく必要のない停車状態である可能性が高い。したがって、本実施形態のように、非点火状態が予定時間(例えば3.5分)を超えるまでは前照灯を点灯させておくようにすれば、信号待ちや右折待ちのための停車状態では前照灯を点灯させ続ける事ができる。また、停車時間が3.5分を超えると自動消灯するので、バッテリの無駄な電力消費を抑える事ができる。
【0087】
さらに、停車後に運転者の非着座が検知された場合も信号待ちや右折待ち以外の停車である可能性が高い。但し、交差点での停車直後に運転者が車両を跨いだままの状態で一時的に立ち上がるような場合も経験的に多いため、非着座の検知と同時に自動消灯することは望ましくない。そこで、本実施形態では非点火状態での非着座時間を計時し、運転者が車両から離れたと推定される予定時間(本実施形態では3秒)の経過を条件に自動消灯するようにした。
【0088】
なお、この停止発進モード中の停車状態からスロットルが開かれれば、AND回路807の出力が“H”レベルとなってフリップフロップ810がセットされるので、前照灯が自動的に点灯する。
【0089】
前照灯/ブザー制御部800のAND回路813は、非着座継続判定部801の出力信号S8012、非点火継続判定部802の出力信号S8023、および動作モード信号S301 の論理積をブザー駆動部814へ出力する。AND回路815は、非点火継続判定部802の出力信号S8022、動作モード信号S301 、および前照灯スイッチ57の状態信号の論理積をブザー駆動部814へ出力する。
【0090】
ブザー駆動部814は、AND回路813の出力信号が“H”レベルになる、すなわち、停止発進モードにおいて非点火状態での非着座がタイマ8012のタイムアウト時間(本実施形態では1秒)以上継続すると、0.2秒間のオンと1.5秒間のオフとを繰り返すブザー駆動信号を出力する。なお、この際のブザー駆動信号は、メインスイッチ73が遮断されるか、あるいは運転者が再び着座するまで継続して出力される。
【0091】
一方、AND回路815の出力信号が“H”レベルになる、すなわち、停止発進モードにおいて前照灯スイッチ57がオン状態であり、かつ非点火状態がタイマ8022のタイムアウト時間(本実施形態では3分)以上継続すると、前記と同じブザー駆動信号を、今度はタイマ8141がタイムアウトするまでの予定時間だけ出力する。このようにすれば、ブザーを停止させるための操作が不要になる。
【0092】
本実施形態によれば、エンジンが自動停止された際に、メインスイッチが遮断されないまま1秒以上の非着座が検知されると、運転者がメインスイッチを切り忘れたまま車両から離れようとしているものと判断してブザー75が鳴動されるので、運転者はメインスイッチの切り忘れを認知できる。
【0093】
さらに、本実施形態によれば、前記停車時の自動消灯条件(非点火状態が3.5分以上)が成立する前(非点火状態が3分以上)にブザー75が鳴動されるので、運転者は前照灯が自動消灯される旨を事前に認識することができ、運転者の知らない間に自動消灯されてしまうことが防止できる。
【0094】
なお、上記した実施形態では、エンジンが自動停止された際に主電源が遮断されないまま1秒以上の非着座が検知されると、メインスイッチ73が遮断されるか、あるいは運転者が再び乗車するまでブザーを鳴動させ続けるものとして説明したが、例えば配達業務や集金業務等に用いられる場合のように、メインスイッチ73を遮断することなく運転者が車両から離れることを前提にしている場合には、予定時間の経過後にブザーが自動的に停止されるようにしても良い。
【0095】
さらに、上記した実施形態では、点火オフ状態や運転者の非着座が予定時間以上継続した際に前照灯を自動的に消灯するものとして説明したが、消灯する代わりに供給電流を減じて減光したり、あるいは前照灯を消灯し、その代わりにポジションランプを点灯するようにしても良い。
【0096】
図14は、本発明の他の実施形態における始動停止制御システムの全体構成を示したブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。 本実施形態では、ACジェネレータ部72による発電電力が、レギュレータ・レクティファイア67を介して2つのバッテリ68A、68Bに充電されるようにしている。前記バッテリ68Aはエンジン始動専用であり、スタータリレー62が導通されると、スタータモータ部71へ駆動電流を供給する。前記バッテリ68Bは、メインスイッチ73を介して各種の電装品74および主制御部60等に負荷電流を供給する。
【0097】
このように、本実施形態ではバッテリ68Aがエンジン始動専用であり、その電力消費量は十分に小さく、常に満充電状態に維持されるので、バッテリ68Bの充電量とは無関係に常に良好なエンジン始動が可能になる。
【0098】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、スロットルグリップの回転角増加行程の後半におけるグリップ荷重の上昇が抑制されるので、リターンスプリング内蔵型のスロットルグリップ構造をエンジン車両に採用しても、スロットルグリップの各回転角において良好な操作感を得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したエンジン停止始動制御システムが搭載されるスクータ型自動二輪車の全体側面図である。
【図2】スクータ型自動二輪車の計器盤回りの平面図である。
【図3】シート前部のヒンジ部分の構造を模式的に示した図である。
【図4】本発明の一実施形態であるスロットルグリップ構造の断面図である。
【図5】図4のA−A線に沿った拡大断面図である。
【図6】図4のB−B線に沿った低アクセル開度時の拡大断面図である。
【図7】図4のB−B線に沿った高アクセル開度時の拡大断面図である。
【図8】リターンスプリングの仮組み付け方法を示した斜視図である。
【図9】リターンスプリングの仮組み付け状態を示した側面図である。
【図10】図1の内燃機関をII−II線に沿って裁断した断面図である。
【図11】始動停止制御システムの全体構成の一例を示したブロック図である。
【図12】主制御装置の機能を示したブロック図である。
【図13】主制御装置の主要動作を一覧表として示した図である。
【図14】始動停止制御システムの他の構成例を示したブロック図である。
【図15】グリップ回転角とグリップ荷重との関係を示した図である。
【図16】スロットルグリップの組み付け方法を示した図(その1)である。
【図17】スロットルグリップの組み付け方法を示した図(その2)である。
【符号の説明】
2…車体前部、3…車体後部、4…フロア部、6…ダウンチューブ、7…メインパイプ、8…シート、11…ハンドル、12…フロントフォーク、13…前輪、15…ブラケット、16…リンク部材、17…スイングユニット、18…ハンガーブラケット、21…後輪、22…リヤクッション、23…吸気管、24…気化器、25…エアクリーナ、26…メインスタンド、27…キック軸、28…キックアーム、29…キックペダル、200…内燃機関、201…クランク軸、202…クランクケース、203…シリンダブロック、204…シリンダヘッド、206…点火プラグ、210…ベルト駆動プーリ、211…ボス、212…Vベルト、250…始動兼発電装置、251…インナーロータ、300…動作モード切換部、400…スタータリレー制御部、500…バイスタータ制御部、600…インジケータ制御部、700…点火制御部、800…前照灯/ブザー制御部

Claims (2)

  1. ハンドルパイプに回転自在に挿貫された筒状部の円周に沿って環状のケーブル巻取部が立設されたグリップパイプを備えるスロットルグリップと、
    前記ケーブル巻取部に一端を係止されて前記グリップパイプの回動操作に応じて前記ケーブル巻取部に巻き取られ、エンジンの吸気を制御するスロットルバルブを開閉するスロットルワイヤと、
    前記スロットルグリップをアクセル閉方向へ付勢するネジリコイル状のリターンスプリングとを具備し、
    前記グリップパイプは、
    前記ハンドルパイプに挿貫される筒状部と、
    前記筒状部の径外方向に当該筒状部と所定の間隙を隔てて設けられた外筒片とを備え、
    前記リターンスプリングは前記間隙内に挿貫され、
    前記リターンスプリングおよび前記外筒片の軸方向長さは、前記ケーブル巻取部の軸方向長さより長く設定され、
    前記ケーブル巻取部は、前記スロットルグリップ回転角の増加に対する前記ケーブル巻取部によるスロットルワイヤの巻取量の増加割合が、スロットルグリップの回転角増加行程の後半において減少するように構成されていることを特徴とするスロットルグリップ構造。
  2. 前記スロットルグリップが全閉状態にあることを検出するスイッチ手段を具備し、
    前記スロットルグリップが全閉かつ停車状態ではエンジンを停止させ、前記スロットルグリップが全閉以外でエンジンを始動する、ベルト式無段階変速機および遠心クラッチを搭載した車両に適用されることを特徴とする請求項1に記載のスロットルグリップ構造。
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