JP4251424B2 - イオン発生装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極に高電圧を印加することによってイオンを発生する放電器でなるイオン発生器ならびにそれを用いる画像形成装置に関する。このイオン発生器は、複写機,プリンタ,ファクシミリなどの画像形成装置の感光体帯電器(メインチャージャ),感光体上トナー電位調整用の除電器,転写チャージャ,分離チャージャ,トナー転写後感光体面除電用の除電チャージャ等に用いることができる。みならず、微粒体又は薄シート吸着用あるいは分離用の帯電器あるいは除電器、例えばIC基板の除電、に用いることができる。
【0002】
【従来技術】
感光体を荷電して荷電面に露光により静電潜像を形成しこれをトナーで可視化する電子写真方式の、複写機,プリンタ及びファクシミリ装置等の画像形成装置は、感光体を一様に帯電させる帯電器(メインチャージャ),感光体上に形成されたトナー画像を画像形成媒体に転写する転写器(転写チャージャ)及び、感光体残留電荷を除電する除電器(除電チャージャ)等を備えている。これらは気中放電(コロナ放電)を利用する場合が多いが、この気中放電によって放電生成物が生成される。この放電生成物には、例えば、窒素酸化物がある。
【0003】
放電が発生すると、窒素酸化物が発生することが知られている。窒素酸化物は、現在のところオゾンのように機外排出規制はされていないが、やはり画像形成装置内部の部材にさまざまな悪影響を与える。たとえば窒素酸化物が空気中の水分と反応して硝酸が、また金属などと反応して金属硝酸塩が生成される。これらの生成物は低湿環境下では高抵抗であるが、高湿環境下では空気中の水と反応し低抵抗となる。よって、感光体表面に硝酸または硝酸塩による薄い膜が形成されると、画像が流れたような異常画像が発生する。これは硝酸,硝酸塩が吸湿することで低抵抗となり、感光体表面の静電潜像が壊れてしまうためである。
【0004】
また、窒素酸化物は放電によって生成した後、分解されずに空気中に留まっているため、窒素酸化物から生成された化合物の感光体表面への付着は、帯電を行っていないとき、すなわち、プロセスの休止期間中にも生じている。そして、この化合物は、時間が経過するにつれて、感光体の表面から内部に浸透していく。このため、感光体の劣化を一層加速する。具体的には、しばらくの間休止していたコピー機を使用したとき、休止中に帯電器の真下にあった感光体表面部分において、像流れと呼ばれる現象が発生することがある。感光体表面の付着物は、クリーニング時に感光体を少しずつ削りとることで除去するといった方法が取られている。しかしながら、コスト上昇や経時による劣化問題が起こり、本質的な解決策とはなっていない。
【0005】
特開平5−303244号公報には、定着部の排熱をダクトを通す送気によって感光体に吹き付けて、感光体面上の結露によって窒素酸化物が硝酸塩になるのを防ぐ工夫が開示されている。特開平9−114191号公報には、アルミナ基板上に、感光体の帯電用の電極とは別に沿面グロー放電を起こす電極を備えて、沿面グロー放電により窒素酸化物を分解するという帯電装置が提示されている。特公平8−23715号公報には、触媒を放電器の内側に被覆することで、窒素酸化物を中和し感光体の劣化を防ぐコロナ発生装置が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような従来の画像形成装置や放電生成物低減方法にあっては、窒素酸化物による感光体の劣化を十分に防止できない場合があり、なお改良の余地があった。たとえば、帯電器等から外にも放電生成物が流出してしまう。帯電器等から流出した放電生成物は、画像形成装置内に拡散し、帯電器ケース内の触媒物質と反応する確率が低下し、放電生成物の低減効率が低い。そこで更なる低減が要望されている。
【0007】
本発明は、放電によって発生する放電生成物である窒素酸化物が放電器の休止中に周囲に漏れ出し周囲の部材へ及ぼす悪影響を防止することを第1の目的とする。特に、放電器を用いる画像形成装置において感光体表面に硝酸または硝酸塩による薄い膜が形成され、画像が流れたような異常画像が発生するのを防ぐことを、第2の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)放電生成物である窒素酸化物は、放電終了後も放電器のケース内に残存している。この窒素酸化物は空気中の水分と反応し、硝酸または硝酸塩の化合物(HNO3、NH4NO3など)に変化し、周囲の部材たとえば感光体上に降り積もる。高電圧印加によるイオン発生を行っていないときに、ケースの開口を閉じれば、硝酸または硝酸塩の化合物が、感光体上に降り積もるのを阻止することができる。そこで本発明では、イオン発生装置に開閉装置を設け、コロナ放電を行っていないときに、ケースの開口を閉じることができるようにした。
【0009】
すなわち本発明のイオン発生装置は、
開口(32)がありx方向に長いケース(33),ガイドレールとしてのy方向に延びる張り出し (38) を持ち前記ケースの各端部にあって該ケースと一体の1対のエンドブロック (37) 、および、前記ケースの内部にあってx方向に延び、前記一対のエンドブロックに掛け渡された、高電圧放電によりイオンを生じる電極(36)を含む放電器(13);
前記張り出し (38) でy方向に移動可能に支持され、前記開口(32)を閉じる閉位置から開く退避位置に、またその逆に移動可能な、前記開口(32)を開閉する蓋板(51);
該蓋板を、前記開口を閉位置から退避位置に、またその逆に、y方向に駆動するための電気モータ(55);および、
該電気モータに連結されており、前記蓋板に対してz方向の接近/退避により結合/分離可能であって前記蓋板が結合しているときに該電気モータで回転駆動されると前記蓋板をy方向に駆動する蓋板駆動手段(53);
を備える。
【0010】
なお、理解を容易にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例の対応要素または対応事項の符号を、参考までに付記した。
【0011】
これにより、放電によって発生した放電生成物である窒素酸化物が、放電器の休止中に周囲に漏れだし、周囲の部材へ悪影響を及ぼすのを、防止することができる。特に、画像形成装置に用いた場合は、感光体表面に硝酸または硝酸塩による薄い膜が形成されて画像が流れたような異常画像が発生することが、なくなる。蓋板(51)を遠隔かつ自動で閉位置/退避位置に駆動することができる。すなわち自動開閉ができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(2)前記蓋板駆動手段(53)は、前記蓋板(51)のy方向に分布する複数の穴(52)に嵌り込む歯があるスプロケットホィールである;上記(1)に記載のイオン発生装置。
【0013】
(3)更に、イオンを発生するために前記放電器(13)に高電圧を印加するときには前記電気モータ (55) および蓋板駆動手段(53)を介して前記蓋板(51)を退避位置に駆動し、高電圧の印加を停止しているときは前記蓋板(51)を前記閉位置に駆動しておく制御手段(40)、を備える。これによれば、放電器(13)にイオンを発生させるときに蓋板(51)が自動的に開かれ、イオン発生を終えると自動的に閉じられる。放電器の休止中の、窒素酸化物の周囲への漏れだし防止の信頼性が高い。
【0014】
(4)ケース(33)の開口(32)を閉じた場合、硝酸または硝酸塩の化合物は、蓋板(51)の上に降り積もる。堆積した硝酸または硝酸塩の化合物が感光体(12)上に万が一落下した場合、感光体(12)に付着し、感光体を劣化させてしまう可能性がある。このため、堆積した硝酸または硝酸塩の化合物を、蓋板(51)に強く引き付けておくことが望ましい。そこで、前記蓋板(51)は、多孔質材で構成する。
【0015】
多孔質部材は、実質的な表面積の大きさにより、物質の吸着作用が大きい。多孔質材を蓋板(51)に用いることで、放電生成物である窒素酸化物が蓋板(51)に吸着保持できる。
【0016】
(5)前記蓋板(51)は、活性炭素材である。活性炭素は、窒素酸化物や硝酸または硝酸塩の化合物の吸着作用が非常に大きいので、それらの吸着保持効果が高い。
【0017】
(6)感光体(12),前記開口(32)が該感光体(12)に対向した、上記(1)乃至(5)のいずれかのイオン発生装置(13,51~55,40),前記感光体の、該イオン発生器によって荷電された面に露光により静電潜像を形成する露光手段(11)、および、該静電潜像を可視像に現像する手段(14)、を備える画像形成装置。
【0018】
これによれば、画像形成装置において休止中に感光体表面に硝酸または硝酸塩による薄い膜が形成されるのが防がれ、画像が流れたような異常画像が発生することがなくなる。上記(1)から(5)のいずれかに記載の、その他の作用効果も同様に得られる。
【0019】
本発明の他の目的および特徴は図面を参照した以下の実施例の説明により明らかになろう。
【0020】
【実施例】
図1に、本発明の一実施例のイオン発生器100(13,51〜53)を装備したカラー複写機を示す。この複写機は、原稿読み取りのためのスキャナ1と、スキャナ1が発生する画像信号を画像デ−タ(デジタル画像信号)に変換し更に電気的に処理して記録画像デ−タを生成する画像デ−タ処理装置IPUを含む電気制御システム2と、記録画像デ−タに基づいて可視画像を感光体12上に形成し中間転写ベルト19に転写してから記録紙に転写するプリンタ3とからなっている。スキャナ1は、原稿載置台4上の原稿を走査照明するランプ5、例えばハロゲンランプ、を有する。当該ランプ5で照明した原稿の反射光が、ミラー6,7,8を経て結像レンズ9に入射する。結像レンズ9により、画像光は光電変換器である3ライン(3組)のCCD10上に結像する。CCD10のそれぞれは、レッドR,グリーンG,ブルーBの各色成分の輝度を表わす画像信号を発生し、画像デ−タ処理装置2がこれらをデジタルデ−タすなわち画像デ−タに変換する。
【0021】
画像デ−タ処理装置IPUは、R,G,B画像デ−タを記録色デ−タ(ブラックBk,シアンC,マゼンタM,イエロ−Y)に変換し、その前および又は後で、歪補正処理および色補正処理を行ない、記録色デ−タをプリンタ3に与える。
【0022】
プリンタ3は、レーザ露光装置11,感光体12,帯電用のコロナ放電器13を含むイオン発生器100,現像装置14,中間転写装置15およびクリーニング装置16を備える。現像装置14は、記録色Bk,C,M,Yに応じた各現像器14Bk,14C,14M,14Yを有しており、各現像器はそれぞれ、感光体12上に形成された静電潜像を顕像化する現像位置(図1に示す14Bkの位置)に選択的に位置しうるように、回動可能に支持されている。また、現像された感光体上の像濃度を検知するための濃度センサ17が、現像装置14の下流側に配置され、濃度センサ17からの濃度信号により現像器内へのトナー補給,現像バイアス等の現像条件の変更等が行われ、画像濃度を適正に保つように制御される。
【0023】
中間転写装置15は、駆動ローラ18と従動ローラに支持された中間転写ベルト19,ベルト転写装置20,像同期センサ22,紙転写装置21等からなっている。現像により感光体12上に形成された顕像画像(トナ−像)は、ベルト転写装置20により中間転写ベルト19上に転写され、更に紙転写装置21により記録紙上に転写される。
【0024】
カラー画像形成の場合は各色トナ−像を重ねる必要かあるが、本装置においては、中間転写ベルト19上で色重ねを行う構成をとっている。図1では待機状態でブラック現像器14Bkが現像位置にあり、レーザ露光装置11は、画像デ−タ処理装置2から出力されたBk記録デ−タに従って感光体12上にブラック潜像を形成する。感光体12上のブラック潜像は現像器14Bkによって顕像化され、ベルト転写装置20により中間転写ベルト19上に転写される。この時の画像形成は、像同期センサ22によるベルト上の送り方向位置の検知信号に従って開始される。ブラック画像に関する中間転写ベルト上への転写が終了すると、現像装置14が回転し、例えばシアン現像器14Cが現像位置に移動し、像同期センサ22の検知信号に従ってレーザ露光装置11はシアンの記録情報の形成を開始する。以下同様の動作を各色毎に繰り返し、中間転写ベルト19上に各色を重ねたカラー画像(トナ−像)を形成し、その後、紙転写装置21により記録紙上に転写する。ベルトクリーニング装置23は、カラー画像形成動作中は退避位置に後退しており、ベルト上の画像が記録紙に転写された後に動作位置に移動して、ベルト上に残されたトナーを回収して次の画像動作に備える。
【0025】
記録紙Pは、装置手前側に引き出し補給動作を行うように構成された所謂フロントローディング式の給紙トレイ部24又は手差し給紙部25から供給され、レジストローラ26によって先端を揃えられ、画像形成タイミングを合わせて転写部領域に送られ、紙転写装置21により中間転写ベルト19上のトナー画像が転写される。そして、上面に画像を転写された記録紙Pは用紙搬送装置27によって定着装置28に送られる。定着装置28が記録紙上のトナー画像を加圧加熱して記録紙に固着させる。この定着を終えた記録紙は、排出ローラ29により機外に排出される。
【0026】
図2に、イオン発生器100を示す。図2の(a)は、活性炭素材で作った薄い蓋板51を装着した放電器13の一部分を主に示し、図2の(b)は、図1で見る方向と同じ方向で見た、イオン発生器100の全体を示す。図2において、矢印xが、複写機の前面カバー側から奥側への方向であって、放電器13の放電電極である放電ワイヤ36が伸びる長手方向、zが上方向、yが感光体ドラム12の接線方向、である。図2の(a)には、放電器13を、その手前側をy,z面で破断しかつ奥側を切除して示す。
【0027】
手前側のエンドブロック37と、図示しない奥側のエンドブロックが、金属材のシールドケース33に一体に固着され、両エンドブロック間に、放電ワイヤ36が掛け渡されている。シールドケース33の,側壁34,35の下端は開いている。すなわち、シールドケース33の下端に開口32があり、この開口32の内側に、グリッド電極(図面には網目状に示す)がある。シールドケース33はアルミニウムあるいはステンレス等の金属で形成されており、開口32以外の部分をシールドして放電安定性を向上させている。放電ワイヤ36は、表面をよく研磨したワイヤを用いる。材質としては、タングステンがよい。また、放電ワイヤ36とシールドケース33は、電気的に絶縁が保たれている。このワイヤ36の直径は、50〜80μmくらいがよい。直径が小さすぎると放電による摩耗や機械的な耐久性が無く、断線しやすくなる。逆に、直径が大きすぎると安定したコロナ放電を得るために、放電電極に印加する電圧が高くなってしまう。印加電圧が高いとオゾンが発生しやすくなる,電源コストが上昇する,などの問題を生じる。放電ワイヤ36に高電圧が印加されることにより、コロナ放電を生じイオンが発生する。グリッド電極は感光体12に対向する。図示しない高圧電源から放電ワイヤ36に所定の高電圧を印加するとともに、グリッド電極に図示しないバイアス電源から所定の電圧を印加して、放電ワイヤ36からのコロナ放電のイオン流をグリッド電極で制御して、感光体12に対する放電ムラをなくすとともに、感光体12表面の電位を制御する。
【0028】
図2に示す状態では、上述の電圧は放電器13に印加されておらず、蓋板51は開口32を閉じており、蓋板51の先端は側壁34に当たってy方向と逆方向の移動は側壁34で止められている。手前側のエンドブロック37と図示しない奥側のエンドブロックには、ガイドレールとしてのy方向の張り出し38があり、この張り出し38に、蓋板51の端縁をy方向に移動自在に受け入れた溝39がある。すなわち蓋板51は、手前側のエンドブロック37と図示しない奥側のエンドブロックの張り出し38の溝39でy方向にスライド移動できるように支持されている。シールドケース33の側壁34は、それに対向するもう1つの側壁35よりも、大略で蓋板51の厚み分、下方に長く突出しており、これによって蓋板51の、開口32を閉じてから更にy方向とは逆の方向への移動が阻止される。つまり側壁34は、蓋板51のy方向とは逆の方向への移動を阻止するストッパである。
【0029】
蓋板51の、手前側のエンドブロック37と図示しない奥側のエンドブロックのy方向の張り出し38で支持される端部には、手前側のスプロケットホイール53および図示しない奥側のスプロケットホイールの歯を受け入れる複数のy方向に並んだ穴52があり、そこにスプロケットホイールの歯が嵌り込んでいる。手前側のスプロケットホイール53および図示しない奥側のスプロケットホイールは、手前側から奥側に伸びる連結棒54に固着されている。連結棒54は、ロータリエンコーダ付きのパルスモータ55のロータに固着されており、パルスモータ55によって回転駆動される。パルスモータ55が連結棒54を反時計方向に廻すと、スプロケットホイール53が反時計方向に回って、蓋板51をy矢印方向に駆動する。これにより開口32が開く。パルスモータ55が連結棒54を時計方向に廻すと、スプロケットホイール53が時計方向に回って、蓋板51をy矢印方向とは逆の方向に駆動する。これにより開口32が蓋板51で閉じられる。
【0030】
パルスモータ55のステータは回動アーム56に固着されており、回動アーム56は、x方向に延びるピン57を中心に回動可である。連結棒54を上に持ち上げることにより、スプロケットホイール53が蓋板51の上方に上がり、蓋板51が付いたまま、放電器13を、x矢印方向とは逆の方向すなわち複写機の奥側から手前側に引き出すことができる。このように引き出してから蓋板51をy矢印方向に引き出して、放電器13から取り出すことができる。この逆順で、蓋板51を放電器13に装着し、そして放電器13を複写機に装着することができる。このように蓋板51が着脱可であるので、蓋板51の掃除や交換が容易である。なおこの実施例では、蓋板51の開閉制御を簡単にするために、放電器13を複写機に装着するときには、蓋板51を、その先端がぴったりと側板34に当たるまで、張り出し38の溝39に差し込んでおくことが、放電器13の複写機への取り付け条件となっている。
【0031】
図3に、図1に示す複写機の電気システムの概要を示す。図3はメインコントローラ40を中心に、複写機の制御装置を図示したものである。メインコントローラ40は、複写機全体を制御する。メインコントローラ40には、オペレータに対する表示と、オペレータからの機能設定入力制御を行う操作/表示ボードOPB、エディタ45、スキャナ1およびオプションのADFの制御、原稿画像を画像メモリに書き込む制御、および、画像メモリからの作像を行う制御等を行う、スキャナコントローラ42、プリンタコントローラ46、画像処理ユニットIPU、ならびに、カラープリンタ3内にあって荷電、露光、現像、給紙、転写、定着ならびに転写紙搬送を行う作像エンジンの制御を行うエンジンコントローラ43、等の分散制御装置が接続されている。各分散制御装置とメインコントローラ40は、必要に応じて機械の状態、動作指令のやりとりを行っている。また、紙搬送等に必要なメインモータ、各種クラッチならびにパルスモータ55も、メインコントローラ40内の図示しないドライバに接続されている。
【0032】
カラープリンタ3には、給紙トレイからの給紙をはじめとして、感光体414の荷電、レーザ書込みユニットによる画像露光、現像、転写、定着および排紙を行なう機構要素を駆動する電気回路および制御回路、ならびに各種センサ等がある。
【0033】
プリンタコントローラ46は、パソコンなど外部からの画像及びプリント指示するコマンドを解析し、画像データとして、印刷できる状態にビットマップ展開し、メインコントローラ40を介して、プリンタ3を駆動して画像データをプリントアウトする。画像及びコマンドをLAN及びパラレルI/Fを通じて受信し動作するために、LANコントロール49とパラレルI/F48がある。
【0034】
FAXコントローラ47は、フアクシミリ送信指示があるときには、メインコントローラ40を介してスキャナ1およびIPUを駆動して原稿の画像を読んで、画像データを、通信コントロール50およびPBXを介して、ファクシミリ通信回線に送出する。通信回線からファクシミリの呼びを受け画像データを受信すると、メインコントローラ40を介して、プリンタ3を駆動して画像データをプリントアウトする。
【0035】
図4に、メインコントローラ40の、画像形成制御の概要を示す。電源が投入されるとメインコントローラ40は、内部レジスタ、カウンタ、タイマ等を待機状態の値に設定し、機構ユニットに対する入,出力ポートには、待機時の信号レベルを設定する(ステップ1)。この初期化を終えるとメインコントローラ40は、機構ユニットの状態を読み込み、異常(画像形成を開始しえない状態)の有無をチェックして(ステップ2,3)、異常がある場合それを操作ボードOPBに表示する(ステップ4)。異常がないと、操作表示部にレデイ(画像形成可)を表示し、操作ボードOPBからのオペレータ操作による入力あるいはホストコンピュータからの通信を読み込む(ステップ5)。なお、以下においてレジスタとは、メインコントローラ40の揮発性メモリおよび不揮発性メモリに割り当てているメモリ領域である。
【0036】
オペレータ操作あるいはホストコンピュータからプリントスタート指示が到来するのを待っている間に他の入力が到来したときには、入力対応の処理(ステップ7)を行い、ステップ5の入力読み取りに戻る。プリントスタート指示が到来すると、メインコントローラ40は、蓋板51を開く(ステツプ8)。具体的には、図2の(a)に示すように全閉位置にある蓋板51を、開口32のy方向幅+余裕代=Aなる距離分蓋板51を開駆動するに必要なステップ数Bの分、パルスモータ55を、蓋板51の開駆動方向に回転付勢する。
【0037】
次にメインコントローラ40は、画像を形成する「プリントサイクル」9を実行する。すなわち、画像形成のプロセス制御を行う。ここでの1回の「プリントサイクル」9は、原稿一枚、コピー一枚のコピーのとき、または、パソコンからの1枚のプリントアウトの指示であったときには、1枚の画像を形成するが、原稿が複数枚および又はコピー設定数が複数枚のとき、もしくは、パソコンから複数枚のプリントアウトの指示であったときには、2枚の画像を形成する。
【0038】
次にメインコントローラ40は、「プリントサイクル」9で一枚の画像を形成したときには、レジスタnのデータを1だけ大きい数をあらわすものに更新し、2枚の画像を形成したときには、レジスタnのデータを2だけ大きい数をあらわすものに更新する(ステップ10)。そして、プリントスタート指示とともに与えられたプリント枚数(設定数)の画像形成を終えたかをチエックして(ステップ11)、終わっていないと再度「プリントサイクル」9に進むが、終わっていると、蓋板51を閉じる(ステツプ12)。具体的には、ステップ数Bの分、パルスモータ55を、蓋板51の閉駆動方向に回転付勢する。
【0039】
メインコントローラ40は次にエンドサイクルを設定して(ステップ13)、「入力読取り」5に戻る。なお、その後、何ら入力がなくエンドサイクルが終了すると、メインコントローラ40は、エンドサイクルを停止して、それから所定時間後に、省電力待機モードに進む。
【0040】
メインコントローラ40の上述の、蓋板51の開閉制御により、画像形成を開始する直前に蓋板51が、開口32を全開とする退避位置に駆動され、指定数の画像形成を終えると、蓋板51が、開口32を全閉とする閉位置に駆動される。プリントサイクルに一旦進入してからエンドサイクルが終了するまでは、感光体ドラム12は継続して回転しているので、開口32が開いていても、一部の感光体領域のみが定常的に開口32内の雰囲気にさらされることはない。感光体ドラム12が停止している間は常に、蓋板51が開口32を閉じている。
【0041】
<実験1>
蓋板51が内通常のコロナ放電器を帯電チャージャに使用した複写機(imagio DA325T改造機)を、高温,高湿度環境下に設置した。そして約2,000枚のコピーを行った。作成後、複写機を停止し、高温,高湿度環境下で一晩休止させ、翌朝動作を再開したところ、コピー画像に像流れと言われる現象が観察された。
【0042】
これは、機内の窒素酸化物が空気中の水分と反応し、硝酸または硝酸塩の化合物(HNO3、NH4NO3など)に変化し、感光体上に降り積もったためだと考えられる。この硝酸,硝酸塩の化合物は低湿では絶縁体だが、高湿になると感光体表面の抵抗を低下させる。すなわち、感光体表面に電荷を与えても、感光体表面が電荷をその場所に維持できないため、静電潜像が壊されてしまう。このため像流れが生じると考えられる。
<実験2>
次に、<実験1>と同じく約2、000枚のコピーを行った。作成後、複写機を停止し、コロナ放電器のシールドケースの下端にシート状の活性炭素を貼り付けてシールドケースの開口部全体を閉じて、高温,高湿度環境下で一晩休止させた。翌朝、前日に貼り付けたシート状の活性炭素をはがし、複写動作を再開したところ、コピー画像に像流れと言われる現象は観察されなかった。
【0043】
<実験3>
<実験2>と同じ実験を行った。ただし、シート状の活性炭素をコロナ帯電装置のシールドケースの開口部全体に貼り付ける替わりに、アルミの薄い板を貼り付けた。翌朝、前日に貼り付けたアルミ板をはがし、動作を再開したところ、コピー画像に像流れと言われる現象は観察されなかった。貼り付けていたアルミ板の、放電電極側に対抗していた面を見ると、白い物質が薄く付着していた。この付着物は、手でこすると簡単に剥がれてしまった。<実験2>で用いた活性炭素シートの場合は、表面を手でこすっても、何も剥がれ落ちてこなかった。
【0044】
以上に説明した実施例によれば、非放電時にシールドケース開口部を閉じることにより、硝酸または硝酸塩の化合物が、感光体上に降り積もるのを阻止することができる。これにより、放電生成物が、感光体等に及ぼす悪影響を防止できるとともに、環境への悪影響を抑制することができる。放電生成物の一つである硝酸、硝酸塩による感光体表面への付着が抑制され、これにより帯電ムラ、感光体上での画像流れが防止できる。
【0045】
感光体クリーニングブレードによる感光体表面の削り取りが不要となり、押し当圧低減によってブレード劣化が遅く寿命が長くなる。押し当て圧が強いことによる、トナーの感光体への固着がなくなる。経時による感光体厚さの減少がなくなり、プロセスコントロール負荷の低減,感光体寿命の長期化が可能となる。
【0046】
なお、上述のイオン発生器100は、メインチャージャのみならず、転写チャージャ,紙分離チャージャ,及び感光体除電チャージャにも同様に用いることができる。
【0047】
以上、本発明の好ましい1実施例を図面に示し上述のように説明したが、多くの変形および改良ならびに他の用途への使用が可能である。したがって、本発明の権利は、上述の実施例のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項によって規定された範囲に入る変形および改良ならびに使用態様の全てに及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を装備したカラー複写機の機構の概要を示す縦断面図である。
【図2】 図1に示すイオン発生器100を示す拡大図であり、(a)は一部を破断して示す斜視図、(b)は複写機の手前側から面板を通して見る方向の正面図である。
【図3】 図1に示す複写機の電気システムの構成を示すブロック図である。
【図4】 図3に示すメインコントローラ40の、画像形成制御の概要を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1:スキャナ 2:電気制御システム
3:プリンタ 4:原稿載置台
5:ランプ 6,7,8:ミラー
9:結像レンズ 10:CCD
11:レーザ露光装置 12:感光体ドラム
13:コロナ放電器 14:現像装置
15:中間転写装置 16:クリーニング装置
17:濃度センサ 18:駆動ローラ
19:中間転写ベルト 20:ベルト転写装置
21:紙転写装置 22:像同期センサ
23:ベルトクリーニング装置
24:給紙トレイ部 25:手差し給紙部
26:レジストローラ 27:用紙搬送装置
28:定着装置 29:排出ローラ
32:開口 33:シールドケース
34,35:側壁 36:放電ワイヤ
37:エンドブロック 38:張り出し
39:溝 51:蓋板
52:穴 53:スプロケットホイール
54:連結棒 55:パルスモータ
56:回動アーム 57:ピン
100:イオン発生器
Claims (6)
- 開口がありx方向に長いケース,ガイドレールとしてのy方向に延びる張り出しを持ち前記ケースの各端部にあって該ケースと一体の1対のエンドブロック、および、前記ケースの内部にあってx方向に延び、前記一対のエンドブロックに掛け渡された、高電圧放電によりイオンを生じる電極を含む放電器;
前記張り出しでy方向に移動可能に支持され、前記開口を閉じる閉位置から開く退避位置に、またその逆に移動可能な、前記開口を開閉する蓋板;
該蓋板を、前記開口を閉位置から退避位置に、またその逆に、y方向に駆動するための電気モータ;および、
該電気モータに連結されており、前記蓋板に対してz方向の接近/退避により結合/分離可能であって前記蓋板が結合しているときに該電気モータで回転駆動されると前記蓋板をy方向に駆動する蓋板駆動手段;
を備えるイオン発生装置。 - 前記蓋板駆動手段は、前記蓋板のy方向に分布する複数の穴に嵌り込む歯があるスプロケットホィールである;請求項1記載のイオン発生装置。
- 更に、イオンを発生するために前記放電器に高電圧を印加するときには前記電気モータおよび蓋板駆動手段を介して前記蓋板を退避位置に駆動し、高電圧の印加を停止しているときは前記蓋板を前記閉位置に駆動しておく制御手段;を備える請求項1又は2に記載のイオン発生装置。
- 前記蓋板は、多孔質材である請求項1乃至3のいずれか1つに記載のイオン発生装置。
- 前記蓋板は、活性炭素材である請求項1乃至3のいずれか1つに記載のイオン発生装置。
- 感光体;前記開口が該感光体に対向した、請求項1乃至5のいずれかのイオン発生装置;前記感光体の、該イオン発生器によって荷電された面に露光により静電潜像を形成する露光手段;および、該静電潜像を可視像に現像する手段;を備える画像形成装置。
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