JP4251111B2 - 電源制御装置、電源回路の制御方法 - Google Patents

電源制御装置、電源回路の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、電源回路に対して制御を行うための電源制御装置、及びその方法に関するものである。
オーディオ機器において、オーディオ信号を音声としてスピーカから出力させるためには、音声信号を増幅してスピーカを駆動するためのパワーアンプ回路を備えることになる。このパワーアンプ回路は、電源回路から電源供給を受けて増幅動作を行なう。
上記のようなパワーアンプ回路に対しては、過電流保護機能を与えることがしばしば行われる。この過電流保護機能としては、例えば、増幅出力すべき音声の音量が過大となるのに応じて、パワーアンプ回路に許容以上の電流が流れる状態が一定時間以上継続したとされると、増幅動作を停止させるようにされる。これにより、過大電流によってパワーアンプ回路やスピーカが破壊されないように保護されることになる。
また、電源回路についても、自身の回路を保護することを目的として過電流保護機能を与えることが行われている。このような過電流保護機能としては、例えば、電源回路において、その所定部位に流れる負荷電流に対応する電流のレベルを検出するようにされる。そして、この検出電流レベルが所定以上になったとされると、電源回路による負荷への電源供給の動作を停止させる。これにより、過負荷状態に応じた過電流が流れることによって、電源回路を形成する部品素子が破壊されることを防止するようにされる。
このようにして、オーディオ機器においては、パワーアンプ回路と、このパワーアンプ回路に対して電力を供給する電源回路の双方において過電流保護機能が備えられることで、これらパワーアンプ回路と電源回路から成るシステムにおける過電流保護機能をより万全なものとしている。
特開2004−56254公報 特開平6−269159号公報
しかしながら、パワーアンプ回路と電源回路における過電流保護機能は、それぞれが自己の保護を目的として相互に独立して備えられるものであることに依り、例えば次のような不都合を生じる場合がある。
ここで、例としてマルチチャンネルオーディオに対応するパワーアンプ回路のシステムを挙げる。ここでいうマルチチャンネルオーディオとは、例えば5.1chサラウンドなどに代表されるように、従来からの2チャンネルによるL(左),R(右)ステレオ以上のオーディオチャンネル数による音響再生を指す。
上記したようなマルチチャンネルオーディオ対応のパワーアンプ回路のシステムとしては、対応可能な最大チャンネル数に対応する複数のパワーアンプ回路と、これらパワーアンプ回路に対して電力供給を行うための電源回路を備えることになる。
この場合にもパワーアンプ回路側と電源回路側には、上記したような過電流保護機能が与えられるが、電源回路における電力の最大出力容量は、最大出力を考慮して設定される。なお、ここでいう最大出力とは、マルチチャンネルオーディオとして対応可能な全てのチャンネルについて増幅を行っているときの最大出力となる。また、総合出力電力の制限値についても、上記最大出力容量に対して所要のマージンを考慮して設定される。
また、マルチチャンネルオーディオのシステムでは、例えば最大で5.1chサラウンド(全部で6チャンネル)の再生が可能であるとしても、音声ソースなどに応じては、L,Rステレオによる2チャンネルの再生に切り換えることが可能とされている。この場合には、パワーアンプ回路部側としては、6つのパワーアンプ回路のうち、しかるべき2つのパワーアンプ回路のみが増幅動作を行なうことになる。
ここで、上記のようにして、マルチチャンネルオーディオのシステムにおいて、L,Rステレオの2チャンネルによる再生を行っている状態において、スピーカからの出力音量を相当に高くしていったとする。これに応じて、パワーアンプ回路が必要とする電力量も増加するので、電源回路側からの出力電力も上昇していくことになる。このようにして、音量を上げていった場合、パワーアンプ回路側にとっては電源回路側からの電力供給が過大となる可能性がある。
つまり、この場合において、電源回路において設定される総合出力電力の制限値は、前述もしたように、対応可能な最大数のチャンネル構成により音声出力させているときを前提として、この電源回路が破壊されないことを考慮して設定されたものである。
このために、上記のようにしてL,Rステレオの2チャンネルによる増幅動作を行っている状態で音量を上げていくと、パワーアンプ回路側にとっては最大電力の状態に至ったとしても、電源回路側においては、2つのパワーアンプ回路だけに対して電力を供給しているために、出力電力としては、総合出力電力の制限値に対して依然として余裕がある、という状態に至ることになる。
そして、この状態を越えて音量を上げていったとすると、電源回路側では、未だ出力電力に余裕があるのにもかかわらず、上記しているようにパワーアンプ回路側にとっては電源回路からの電力供給が過大となってしまい、パワーアンプ回路に流れる電流(負荷電流)としても過大となってしまう、という状態が生じてしまう。このような状態に至ると、電源回路の過電流保護機能よりも、パワーアンプ回路側の過電流保護機能が先に動作して、例えば大音量で音声再生されているときに、音声出力が停止してしまうこととなる。つまり、この場合には、例えば5.1chなどの多めのチャンネル数による再生のときには大音量が出せるのに、L,Rによる2チャンネルステレオのように少ないチャンネル数による再生のときには、大音量を出そうとすると音が途中で止まってしまう、という、ユーザとしては納得できない動作となってしまう。
このようにして、例えば電源回路側と、この電源回路の電力供給を受ける複数の負荷回路(パワーアンプ回路)側との双方に対して過電流保護機能を与える構成を採った場合においては、各々の回路の過電流保護のみを前提として設計されているために、電源回路側と負荷回路部側とでの過電流保護動作に整合性が得られず、このことが、例えば上記した具体例をはじめとして、何らかの不都合を生じる可能性につながっている、という問題を抱えている。
そこで本願発明は上記した課題を解決するために電源制御装置として次のようにして構成することとした。
つまり、自身のための過電流保護機能を有する電源回路と、それぞれ異なるオーディオチャンネルのオーディオ信号を増幅するもので、上記電源回路からの電力の供給を受けて上記増幅の動作を行い、また、マイクロコンピュータの制御により過電流の検出に応じて自身の動作が停止されるようにされた、複数のパワーアンプ回路と、上記複数のパワーアンプ回路ごとに対して備えられ、上記電源回路から供給される負荷電流レベルを検出する負荷電流検出手段と、上記負荷電流検出手段により検出される負荷電流レベルが過電流になったことを検出して後、過電流の状態に応じた上記マイクロコンピュータの制御によるパワーアンプ回路の停止が行われるまでの時間よりも短い待機時間を経過した時点から、上記電源回路からの出力電力量を制限させるようにして、上記電源回路に対する電力制御を行う制御手段とを備えることとした。
また、自身のための過電流保護機能を有する電源回路と、それぞれ異なるオーディオチャンネルのオーディオ信号を増幅するもので、上記電源回路からの電力の供給を受けて上記増幅の動作を行い、また、マイクロコンピュータの制御により過電流の検出に応じて自身の動作が停止されるようにされた、複数のパワーアンプ回路とから成る電源制御装置における電源制御方法として、上記複数のパワーアンプ回路ごとに対して備えられ、上記電源回路から供給される負荷電流レベルを検出する負荷電流検出手順と、上記負荷電流検出手順により検出される負荷電流レベルが過電流になったことを検出して後、過電流の状態に応じた上記マイクロコンピュータの制御によるパワーアンプ回路の停止が行われるまでの時間よりも短い待機時間を経過した時点から、上記電源回路からの出力電力量を制限させるようにして、上記電源回路に対する電力制御を行う制御手順とを実行することとした。
上記構成によれば、電源回路と、この電源回路からの電力供給を受ける複数のパワーアンプ回路から成る装置において、負荷電流が過大となる過電流状態となることの検出は複数の負荷回路ごとについて行われるようにされる。そして、このパワーアンプ回路ごとの過電流状態の検出出力(検出結果)に基づいて、電源回路からパワーアンプ回路側に対する出力電力量が可変制御されるようになっている。つまり、パワーアンプ回路のそれぞれにおいて検出される負荷電流の状態に応じて電源回路側からの出力電力量のコントロールを行うことで、過電流保護機能として、パワーアンプ回路と電源回路とが連携した動作を得ることとしている。
このようにして、過電流保護動作としてパワーアンプ回路と電源回路とを連携させたことで、パワーアンプ回路と電源回路とでそれぞれ個々に独立した過電流保護機能を与えるのみとしていた従来と比較して、例えば実際のパワーアンプ回路の動作に対応してより適切とされる過電流保護動作を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態という)について説明する。本実施の形態としては、本発明に基づいた電源制御装置を、マルチチャンネルオーディオ対応のパワーアンプ装置に搭載した例を挙げることとする。ここでいうマルチチャネルオーディオは、例えば5.1chサラウンドなどに代表されるもので、これより以前から知られているL(左),R(右)の2チャンネルより多いオーディオチャンネル数によるオーディオチャンネル構成を指す。
なお、一般にマルチチャンネル対応のオーディオ機器は、対応可能な最大数のオーディオチャンネル構成の範囲内で、これより少ないオーディオチャンネル数によるオーディオチャンネル構成に対応した再生も行うことが可能とされる。
例として、対応可能な最大数のオーディオチャンネル構成が、5.1chサラウンドであるとすると、例えばフロントL,R、及びリアL,Rの4チャンネル構成、L,Rステレオ+サブウーファの3チャンネル構成、L,Rステレオの2チャネル構成などによる音響再生に対応可能とされる。
図1は、本実施の形態のパワーアンプ装置の構成例を示している。
この図に示すパワーアンプ装置は、1つの電源回路部1と、この電源回路部1からの電力供給を受けて音声信号を増幅してスピーカから音声として出力させるパワーアンプシステム部2とから成るものとされる。
先ず、電源回路部1から説明する。この図に示される電源回路部1は、スイッチング電源回路とされている。
電源回路部1においては、先ず、入力コネクタCN1から入力直流電圧が入力され、この入力直流電圧は、平滑コンデンサCinの両端電圧として得られるようになっている。
平滑コンデンサCinに対しては、コンバータトランスTR1の一次巻線N1と、スイッチング素子Q10と、電流検出抵抗RD1の直列接続回路が、並列に接続されている。この場合、スイッチング素子Q10には、MOS−FETが採用されている。
スイッチング駆動回路11は、例えばスイッチング駆動用のIC(Integrated Circuit)を備えて成る。
このスイッチング駆動回路11は、一次側直流電源電圧Vccを動作電源として入力し、端子G-OUTから、スイッチング素子Q10のゲートに対して所要の周波数による交番波形の駆動信号(ゲート電圧)を印加するようにされる。これにより、スイッチング素子Q10は、コンバータトランスTR1の一次巻線N1を介して平滑コンデンサCinの両端電圧(直流入力電圧)を入力してオン/オフ動作を行なう。つまり、スイッチング動作を行なって、直流から交流への電力変換を行う。
なお、一次側直流電源電圧Vccは、この場合には、コンバータトランスTR1の一次側に三次巻線N3を巻装するとともに、この三次巻線N3に励起される交番電圧を入力して整流動作を行なう半波整流回路によって得るようにされている。この半波整流回路は、図示するようにして、三次巻線N3に対してダイオードD20とコンデンサC30を接続して形成される。
スイッチング素子Q10がスイッチング動作を行うことに応じては、コンバータトランスTR1の一次巻線N1に交番電圧が得られ、この交番電圧が二次巻線N2に励起されることになる。
二次巻線N2に励起された交番電圧は、この場合には、二次側整流ダイオードDoと二次側平滑コンデンサCoから成る半波整流回路によって整流平滑化されて、二次側平滑コンデンサの両端電圧として二次側直流出力電圧Eoを生成する。この二次側直流出力電圧Eoは、出力コネクタCN2を介して、負荷に対して供給される。ここでの負荷としては、パワーアンプシステム部2となる。後述するようにして、パワーアンプシステム部2は、マルチチャンネルオーディオに対応した構成を採り、入力されたオーディオチャンネルごとのオーディオ信号をそれぞれ増幅して、各オーディオチャンネルに対応するスピーカを駆動する。上記のようにして供給される二次側直流出力電圧Eoは、この増幅動作のための電力となる。
この場合、二次側直流出力電圧Eoは、分岐して電圧制御回路13に対しても入力される。
電圧制御回路13は、抵抗R51,R52,R53,R54、コンデンサC40及びシャントレギュレータQ11を図示するようにして接続して形成される。この電圧制御回路13は、二次側直流出力電圧Eoが一定以上のレベルとなったときに、そのレベル増加分に応じたレベルの電流をフォトカプラPCのフォトダイオードに流すようにされる。
フォトカプラPCのフォトトランジスタでは、フォトダイオードに流れる電流レベル(発光量)に応じたコレクタ電流が流れる。このコレクタ電流は、抵抗R58を介して、スイッチング駆動回路11のフィードバック入力端子FB_INに対して入力される。つまり、フィードバック入力端子FB_INには、フォトトランジスタのコレクタ電流レベルに応じたレベルの電圧がフィードバック信号として入力される。
スイッチング駆動回路11では、フィードバック入力端子FB_INに入力された電圧レベルに応じて、端子G-OUTから出力させる駆動信号の周波数を可変制御する。つまり、スイッチング素子Q10のスイッチング周波数を可変制御する。スイッチング周波数が変化すれば、周知のようにして、一次側から二次側に伝送される電力量は変化することとなって二次側直流出力電圧Eoのレベルも可変される。電圧制御回路13は、シャントレギュレータを備えていることで、二次側直流出力電圧Eoが一定レベル以内では動作せず、一定レベル以上のときに、そのレベル増加分に応じたレベルのフィードバック信号が得られるように動作する。このことから、電圧制御回路13からの出力に応じたフィードバック信号の成分によっては、二次側直流出力電圧Eoのレベルが所定レベルに至ったときには、この所定レベルを越えて上昇させないように抑制する動作が得られることとなる。
なお、フォトカプラPCは、電源回路の一次側と二次側との間で信号を伝送する必要のあるときに、一次側と二次側とについて直流的に絶縁された状態で信号入出力が行われるようにすることを目的として挿入される。
なお、スイッチング素子Q10と直列接続される電流検出抵抗RD1は、電源回路部1自体として独立した過電流保護機能に対応して設けられる。つまり、スイッチング素子Q10に流れる電流が過大となるのに応じて電流検出抵抗RD1の両端電圧値が所定レベル以上となるが、この両端電圧値が、スイッチング駆動回路11の過電流検出端子DT_INに入力されることになる。これに応じて、スイッチング駆動回路11では、例えばスイッチング素子Q10をスイッチング駆動するための駆動信号の出力を停止させる。これにより、電源回路部1におけるスイッチング素子Q10のスイッチング動作を停止させて、電源回路部1におけるスイッチング素子Q10をはじめとした構成部品の保護を図るようにされる。
なお、この過電流保護機能は、例えば負荷短絡のような状態に応じて動作するように設定されるものであり、後述する保護回路12による過電流保護動作が実行されているような通常状態では、動作しないように設定されている。
また、本実施の形態の電源回路では、保護回路12が設けられる。
この保護回路12には、図示するようにして、後述するパワーアンプシステム部2側から、検出信号用コネクタCN3による接点接続を介して、電流検出信号Sdtが入力される。
保護回路12は、入力される電流検出信号Sdtに応じて、過電流保護のためのプロテクト信号Sprt1を、増幅回路14に対して出力するようにされる。なお、保護回路12の内部構成例及びその動作については、後述する。
増幅回路14は、PNPのトランジスタQ12と、抵抗R55,R56,R57を図示するようにして接続して形成される。或る所定レベルのプロテクト信号Sprt1が出力されるのに応じて、トランジスタQ12では、このプロテクト信号Sprt1を増幅して、抵抗R55を介してフォトダイオードに対してコレクタ電流を流すようにされる。これにより、スイッチング駆動回路11のフィードバック入力端子FB_INには、前述した電圧制御回路13からの二次側直流出力電圧Eoレベルに応じたフィードバック信号と、プロテクト信号Sprt1のレベルに応じたフィードバック信号とが合成されるようにして入力されることになる。
スイッチング駆動回路11では、プロテクト信号Sprt1のレベルに応じたフィードバック信号の成分に応答しては、そのレベルに応じて一次側から二次側への伝送電力量が低下されるようにしてスイッチング周波数を可変制御することになる。ここで、一次側から二次側への伝送電力量が変化することは、電源回路部1にとって負荷となるパワーアンプシステム部2側に対して出力する電力量(出力電力量)も変化することを意味する。。
パワーアンプシステム部2は、音声信号を増幅してスピーカから出力させるためのパワーアンプ回路を備えて構成され、この場合には、所定のマルチチャンネル構成に対応するものとされる。そして、マルチチャンネル構成に対応するために、図示するようにして、所定数の第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nを備える。このパワーアンプ部2aの数は、対応可能な最大数のオーディオチャンネル構成に対応している。具体例として、対応可能な最大数のオーディオチャンネル構成が5.1chサラウンドであるとすれば、総チャンネル数としては6つとなるので、第1パワーアンプ部2a−1〜第6パワーアンプ部2a−6までの6つのパワーアンプ部が備えられ、各パワーアンプ部が、フロント左(FL)、フロント右(FR)、センター(C)、サラウンド左(SL)、サラウンド右(SR)、サブウーファ(SW)のチャンネルの音声信号を入力して増幅するようにされる。
この図では、第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nは、同じ内部構成を採るものとして示されている。
これら第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nは、それぞれ、パワーアンプ回路31及び電流検出回路32を備える。パワーアンプ回路31は、出力コネクタCN2を介して供給される、電源回路部1からの二次側直流出力電圧Eoを電力源として入力する。パワーアンプ回路31に対する二次側直流出力電圧Eoの入力は、出力コネクタCN2と接続される正極電源入力ラインL(+DC)と負極電源入力ラインL(-DC)を経由したものとなる。正極電源入力ラインL(+DC)は、上記出力コネクタCN2を経由して二次側直流出力電圧Eoの正極(平滑コンデンサCoの正極端子)と接続され、負極電源入力ラインは、出力コネクタCN2を経由して二次側直流出力電圧Eoの負極(平滑コンデンサCoの負極端子)と接続される。そのうえで、負極ラインL(-DC)側には、後述する電流検出回路32の電流検出抵抗RDが挿入されるようになっている。
また、この場合においては、第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nの正極電源入力ラインL(+DC)及び負極電源入力ラインL(-DC)は、それぞれ、上記のようにして出力コネクタCN2を介して二次側直流出力電圧Eoの正極、負極と接続されている。これは、第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nの電源入力に対して二次側直流出力電圧Eoが並列に接続されているものとしてみることができる。
また、ここでは図示していないが、第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nの各々に対しては、例えばプリアンプ部側から、所定のオーディオチャンネルに対応するオーディオ信号が入力される。また、図示するようにしてスピーカ端子に対して、スピーカ3−1〜3−nが接続されている。なお、これらスピーカ3−1〜3−nの各々には、例えば実際には、対応するオーディオチャンネルの再生周波数帯域などに適合したタイプのものが接続されるようになっている。
第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nの各々は、上記のようにして入力される二次側直流出力電圧Eoを電力源として、入力されたオーディオ信号について増幅を行い、上記スピーカ3−1〜3−nに対してドライブ電流を出力する。これにより、各スピーカ3−1〜3−nからしかるべきオーディオチャンネルの実音声が出力されることになる。
なお、第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nの内部構成としては、ここでは特に限定されるべきものではない。例えば、アナログのオーディオ信号を入力して増幅するアナログアンプとしての構成を採ってもよいし、また、デジタルオーディオ信号(PWM信号)を入力して増幅するデジタルアンプとしての構成を採ってもよい。さらには、アナログアンプ若しくはデジタルアンプとしてどのような方式を採用するのかについても特に限定されるべきでない。また、第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nが全く共通の構成を採るのではなく、例えば対応するオーディオチャンネルの再生周波数帯域や再生音声の種類などに適合させるようにして、それぞれ異なる構成が採られていてもよいものである。
第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nの各々において備えられる電流検出回路32は、各パワーアンプ部のパワーアンプ回路31に対する入力電源の電流状態を検出するために設けられるもので、図示するようにして、電流検出抵抗RD、トランジスタQ20、抵抗R60、コンデンサC60を備える。
電流検出抵抗RDは、負極電源入力ラインL(-DC)に対して直列に挿入される。この場合、負極電源入力ラインL(-DC)が出力コネクタCN2を介して接続されるのは、二次側直流出力電圧Eoの負極(平滑コンデンサCo)の負極であるが、この負極は電源回路1側にて二次側アースと接続されていることからわかるように、本来は、アース電位である。そのうえで、電流検出抵抗RDが図示するようにして挿入されることで、この電流検出抵抗RDの両端には、対応するパワーアンプ回路31が増幅を行うのに必要な電力に応じて流れる電流のレベルに応じた電圧値が発生する。つまり、電源回路部1からみれば負荷であるパワーアンプ部に流す負荷電流のレベルを、電圧値として検出している。
また、電流検出回路32において、PNP型のトランジスタQ20のベースは、ベース抵抗R60//時定数コンデンサC60の並列回路を介して、負極電源入力ラインL(-DC)において、パワーアンプ回路31の入力端子と電流検出抵抗RDとの間となるラインに対して接続される。エミッタは、負極電源入力ラインL(-DC)において、出力コネクタCN2と電流検出抵抗RDとの間となるライン(アース電位)に対して接続される。コレクタは、検出信号用コネクタCN3を介して、電源回路部1が備える保護回路12の電流検出信号Sdtのラインと接続される。この場合、第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nの各トランジスタQ20のコレクタは、全て同じ1つの検出信号用コネクタCN3に接続されている。つまり、この場合の保護回路12が入力する電流検出信号Sdtとしては、第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nの各々において得られるとされるトランジスタQ20のコレクタ出力が合成されたものとなる。
上記のようにして形成される電流検出回路32の動作は次のようになる。
上記もしたように、電流検出抵抗RDでは、電力源(二次側直流出力電圧Eo)からパワーアンプ回路31に入力される電流レベル(負荷電流レベル)がその両端電圧値として検出される。
ここで、電流検出抵抗RDの一端はトランジスタQ20のエミッタと接続されており、他端は、ベース抵抗R60//時定数コンデンサC60の並列接続を介してトランジスタQ20のベースと接続されている。
これにより、例えば負極電源入力ラインL(-DC)に流れる電流が増加傾向で変化するのに応じて電流検出抵抗RDの両端電圧値も増加していったとされると、トランジスタQ20のベース−エミッタ間電圧VBEも上昇することとなって、トランジスタQ20のコレクタ電流も増加することとなる。なお、ベース抵抗R60に対して並列に時定数コンデンサが挿入されていることから、トランジスタQ20のコレクタ電流の変化は、電流検出抵抗RDの両端電圧値の変化に対して遅延されたものとなる。これにより、例えば瞬時の負荷電流レベルの変化などは吸収されることとなって、誤動作が防止される。
上記トランジスタQ20のコレクタ電流は、検出信号用コネクタCN3を介して、電流検出回路32の検出出力である電流検出信号Sdtとして電源回路部1の保護回路12に入力されるのであるが、前述もしたように、第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nの各トランジスタQ20のコレクタは、全て同じ1つの検出信号用コネクタCN3に接続されていることで、保護回路12が入力する電流検出信号Sdtとしては、第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nの各々において得られるとされる検出出力(トランジスタQ20のコレクタ電流)を合成したものとなる。
保護回路12は、このようにして得られる電流検出信号Sdtに基づいて、過電流保護動作を行う。
図2は、保護回路12の内部構成例を示している。この図2は、保護回路12の内部構成例として、第1例となるものであり、保護回路12としてもっとも基本的な構成となる。
図示するようにして、保護回路12は、過電流検出回路20、時定数回路21、及び信号出力回路22を備える。
先ず、過電流検出回路20は、PNPのトランジスタQ30、ベース−エミッタ間抵抗R71、コンデンサC70、ダイオードD1、抵抗R1、電流検出用コンデンサC1を備えて成る。 トランジスタQ30のエミッタは直流電圧Vccと接続され、ベースは、ベース抵抗R70を介して検出信号Sdtのラインと接続される。また、トランジスタQ30のベース−エミッタ間には、抵抗R71//C70の並列回路が接続される。
トランジスタQ30のコレクタは、電流検出用コンデンサC1の一方の端子と接続される。電流検出用コンデンサC1の他方の端子はアースに接続される。また、電流検出用コンデンサC1に対しては、抵抗R2を並列に接続している。
このようにして形成される過電流検出回路20の後段に対して時定数回路21が接続される。時定数回路21は、抵抗R3,R4、ダイオードD3,D4及び時定数コンデンサC2を備えて成る。
この時定数回路21においては、抵抗R3−ダイオードD3の直列接続回路と、抵抗R4−ダイオードD4の直列接続回路が並列に接続されている。この場合、ダイオードD3のアノードが抵抗R3側と接続され、ダイオードD4のカソードが抵抗R4側と接続される。そして、この並列接続回路において抵抗R3と抵抗R4の接続点は、抵抗R2と過電流検出回路20の電流検出用コンデンサC1との接続点に対して接続される。また、ダイオードD3のカソードとダイオードD4のアノードとの接続点は、時定数コンデンサC2の一方の極端子に接続される。時定数コンデンサC2の他極端子は、一次側アースに対して接続される。この接続形態では、ダイオードD3とダイオードD4は、互いに逆方向となるようにして挿入されていることになる。後述するようにして、抵抗R3−ダイオードD3の直列接続回路は、時定数コンデンサC2への充電経路となり、抵抗R4−ダイオードD4の直列接続回路は、時定数コンデンサC2からの放電経路となる。
信号出力回路22は、オペアンプOP1と、分圧抵抗R8,R9、帰還抵抗R10、コンデンサC3、及び抵抗R11から成る。
分圧抵抗R8−R9は、時定数コンデンサC2に対して並列に接続されることで、時定数コンデンサC2の両端電圧V2を分圧する。そして、この分圧抵抗R8−R9の分圧点に対してオペアンプOP1の非反転入力端子が接続される。従って、オペアンプOP1の非反転入力端子には、時定数コンデンサC2の両端電圧V2を分圧して得られるレベルの電圧が入力される。
オペアンプOP1の反転入力端子に対しては、抵抗R11を介して所定レベルの基準電圧Vrefが接続されていることで、オペアンプOP10の反転入力端子には、基準電圧Vrefに対して抵抗R11による電圧降下分が差し引かれたレベルの閾値電圧レベルが入力されることになる。
また、オペアンプOP1の出力端子と反転入力端子間には、帰還抵抗R10とコンデンサC3の並列回路が接続される。
この場合オペアンプOP1は、電源電圧Vccを入力して動作するようになっている。図1では図示を省略しているが、この電源電圧Vccは、例えば図1に示す電源回路の二次側にて生成するようにされる。そして、このオペアンプOP1の出力がプロテクト信号Sprt1となる。後述するようにして、このプロテクト信号Sprt1がHレベルとなる期間に対応して、保護動作として電力伝送量を制限する制御動作が得られる。つまり、Hレベルのプロテクト信号Sprt1を生成することで、電力伝送量の可変制御を実行すべき制御タイミングを設定しているということがいえる。
また、保護回路12の第2例としての構成を、図3に示す。なお、この図において、図2と同一とされる部分については同一符号を付して説明を省略する。
この過電流検出回路20においては、電流検出用コンデンサC4が追加されている。この電流検出用コンデンサC4は、ダイオードD1−抵抗R1の直列接続回路における抵抗R1側の端部と一次側アース間に対して接続される。また、電流検出用コンデンサC4と抵抗R1の接続点には、抵抗R14の一端が接続される。電流検出用コンデンサC1//抵抗R2の並列接続回路は、抵抗R14の他端と一次側アースとの間に接続される。
そしてこの場合には、過電流検出回路20と時定数回路21との間に、オペアンプOP10を備えて成る増幅回路23が備えられる。
この増幅回路23において、オペアンプOP10は、直流電源Vccを入力して動作する。オペアンプOP10の非反転入力端子は、過電流検出回路20の電流検出用コンデンサC1の正極側端子と接続される。反転入力端子は、抵抗R13を介して基準電圧Vrefと接続される。
また、オペアンプOP10の出力と反転入力端子との間には、帰還抵抗R12//コンデンサC5の並列接続回路が接続される。
オペアンプOP10の出力端子は、時定数回路21の抵抗R3と抵抗R4の接続点と接続される。
また、オペアンプOP10の非反転入力端子と一次側アースとの間には、ツェナーダイオードZD1が接続される。電流検出用コンデンサC1の両端電圧V1は、後述するようにして、負荷電流レベルに対応することから、過電流に対応するような状態に対応しては相応に過大なレベルとなる。上記ツェナーダイオードZD1は、オペアンプOP10の非反転入力端子に対して過大レベルが入力されたときに、このレベルをクランプしてオペアンプOP10を保護するために設けられる。
上記図3に示す構成の保護回路12の動作例を、図4のタイミングチャート(波形図)に示す。なお、先に説明した図2に示す構成の保護回路12の動作としても、基本的には、この図4に準じたものとなる。
パワーアンプシステム部2において、第1パワーアンプ部2a−1〜2a−nの各パワーアンプ回路31が、入力された音声信号の増幅動作を行っているとすると、第1パワーアンプ部2a−1〜2a−nの各電流検出回路32は、例えば次のような動作を行うことになる。
ここで、パワーアンプ回路31の増幅動作として、スピーカから出力させるべき音量をより大きくするように増幅率を変化させたとする。これに応じては、パワーアンプ回路31はより多くの電力量を必要とすることになる。そして、より多くの必要な電力量を得るためには、電源回路部1から供給される電力源(二次側直流出力電圧Eo)から、より多くの電流を入力するようにされる。電流検出回路32においては、この電流レベルの増加に応じて電流検出抵抗RDの両端電圧値が上昇し、これに応じてトランジスタQ20のコレクタに流れるコレクタ電流レベルも増加させる。このようにして、トランジスタQ20のコレクタ電流レベルは、パワーアンプ回路31において必要とする電力量(負荷電力)に応じたものとなる。そして、図1に示したように、これらのコレクタ電流を合成したものが、検出信号Sdtとして得られることになる。また、このことから、この場合の検出信号Sdtとしては、電源回路部1にとっては、パワーアンプシステム部2全体を1つの負荷としてみた場合の負荷電力(負荷電流レベル)を示すものとなることが分かる。
上記のようにして、パワーアンプシステム部2の負荷電力に応じたレベルを有する検出信号Sdtは、図3に示す過電流検出回路20において、ベース抵抗R70を介してトランジスタQ30のベースに流れる。これに応じて、トランジスタQ30は増幅動作を行って、検出信号Sdtに応じたレベルのコレクタ電流を流すようにされる。なお、トランジスタQ30のベース−エミッタ間に挿入されるコンデンサC70としても所定の時定数を有することで、瞬時の電流検出信号Sdtに反応したノイズ(誤動作)的なトランジスタQ30のコレクタ出力が生じないようにすることを目的としている。
このトランジスタQ30のコレクタ電流は、先ず、初段の電流検出用コンデンサC4に印加される。これにより、電流検出用コンデンサC4には、トランジスタQ30のコレクタ電流レベルに応じた両端電圧値が得られる。つまり、電流検出信号Sdtのレベルに応じた両端電圧値が得られる。そして、この電流検出用コンデンサC4の両端電圧値は、抵抗R14−抵抗R2により分圧されたうえで、次段の電流検出用コンデンサC1に印加されることになる。この印加電圧による充放電が行われることで、電流検出用コンデンサC1には両端電圧V1が生じる。
ここで、電流検出用コンデンサC1に対する充放電は、電流検出信号Sdtのレベルに応じた電圧値によるものとなる。従って、電流検出用コンデンサC1の両端電圧V1は、そのときにパワーアンプシステム部2側でスピーカを駆動するために必要とする電力量(パワーアンプ回路31に流れる電流量)に応じて変動するものとなる。つまり、電流検出用コンデンサC1の両端電圧V1は、パワーアンプシステム部2における負荷電力(負荷電流)の変化を、直流レベルの変動として示すものとなる。
図3の回路の場合、電流検出用コンデンサC1の両端電圧V1は、増幅回路23に入力される。増幅回路23では、オペアンプOP10により、電流検出用コンデンサC1の両端電圧V1を増幅して出力する。このオペアンプOP10による増幅が行われることで、後段の時定数回路側への検出入力となる電流検出用コンデンサC1の両端電圧V1としての信号のS/N比が改善される。
説明を分かりやすいものとする便宜上、この場合のオペアンプOP10はコンパレータとしての動作を行うものとして考えると、このオペアンプOP10では、非反転入力端子に入力される電圧V1のレベルが、反転入力端子に入力される閾値電圧レベル以下のときにはLレベルを出力するが、閾値電圧レベル以上となったときに所定電位によるによるHレベルを出力する。図4においては、先ず、時点t1に至って、電圧V1のレベルが上昇して閾値電圧レベル以上となった状態がはじまっている。また、電圧V1のレベルが閾値電圧レベル以上の状態とは、例えば、負荷電力としてピークとみなされる状態、つまり、負荷電流が過電流の状態に対応するものとされる。
このような状態は、パワーアンプシステム部2全体の負荷電力状態として、過負荷となる程度に大きな音量をスピーカから出力させる状態に対応するものであり、例えば或る音量設定が行われていた下で、これまでよりも大きな振幅の音声信号が入力された場合や、これまでよりも大きな音量とするように音量調整操作が行われたような場合に生じるものとされる。より具体的には、検出信号Sdtは、各パワーアンプ部2aのパワーアンプ回路3に流れる負荷電流レベルを合成したものに相当するから、ここでの過電流状態とは、1つには、少なくともある1つのオーディオチャンネルに対応するパワーアンプ回路31において、過電流とみなしてよい負荷電力状態となっている場合が含まれることになる。また、複数のオーディオチャンネルに対応する複数のパワーアンプ回路31の負荷電流の合成(合算)値として、パワーアンプシステム部2全体が過電流状態であるとみなされる程度に上昇したときも含まれる。
なお、オペアンプOP10の閾値電圧レベルは、上記のような過電流の状態に対応する電圧V1のレベルに基づいて、基準電圧Vrefのレベルと抵抗R13の抵抗値との関係を決めることで設定することができる。
上記のようにして電圧V1のレベルが閾値電圧レベル以上の状態となったのに応じて、時点t1以降において、オペアンプOP10からのHレベルによる出力が行われることになる。このオペアンプOP10の出力は、時定数回路の抵抗R3→ダイオードD3による充電経路を経由して、時定数コンデンサC2を充電する。つまり、時点t1から、時定数コンデンサC2に対する充電が開始される。
時定数コンデンサC2に対して充電が開始されることで、時定数コンデンサC2の両端電圧V2は、0レベルから上昇していくことになるが、この電圧V2は、図4にも示すようにして、時定数コンデンサC2のキャパシタンスと、抵抗R3とによる時定数に応じた傾きにより上昇していく波形となる。
なお、この時点t1以降として示す、オペアンプOP10からのHレベルの出力により時定数コンデンサC2を充電する動作は、電流検出信号Sdtとして過電流に対応するレベルが得られている状態に対応して継続される。従って、例えば次に説明する時点t2に至る前の時点(つまり待機時間Tw内)で、過電流状態の解消されたことが検出されれば、オペアンプOP10のHレベル出力もこのタイミングで停止され、時定数コンデンサC2に対する充電も停止され、放電動作に移行することになる。この結果、後述するプロテクトオンの状態には移行せず、プロテクトオフの状態を保つ。
時定数コンデンサC2の両端電圧V2は、この場合には、信号出力回路22の分圧抵抗R8−R9により分圧されて、オペアンプOP1の非反転入力端子に入力される。オペアンプOP1では、図4に示すようにして、非反転入力端子に入力される電圧V2のレベルと、非反転入力端子に入力される所定の閾値電圧レベルとを比較するようにされる。なお、図4において、オペアンプOP1の閾値電圧レベルとの比較として電圧V2をみる場合には、分圧抵抗R8−R9により分圧されたレベルとしてみることになる。
そして、この場合のオペアンプOP1としてもコンパレータとして動作するものとしてみると、時定数コンデンサC2の両端電圧V2が、閾値電圧レベル以下である場合にはLレベルを出力するが、閾値電圧レベル以上となると所定電位によるHレベルを出力することになる。図4では、この時定数コンデンサC2の両端電圧V2が上昇を継続して閾値電圧レベル以上となって、オペアンプOP1の出力としてHレベルが立ち上がるタイミングが時点t2として示されている。
このオペアンプOP1からのHレベルの出力が、有効なプロテクト信号Sprt1とされ、増幅回路14−フォトカプラPC−抵抗R58を介するようにして、スイッチング駆動回路11のフィードバック入力端子FB_INに対して入力されることになる。
スイッチング駆動回路11は、このプロテクト信号Sprt1の入力に応じてスイッチング周波数を可変制御して一次側から二次側への電力伝送量を低減させるようにして制御する。このときの伝送電力の低減量は、プロテクト信号Sprt1のレベルに応じたフィードバック入力端子FB_INへの入力レベルによって決まるが、プロテクト信号Sprt1の入力に応じた電力伝送量低減の結果としては、図4の時点t2以降に示すようにして、電流検出用コンデンサC1の両端電圧V1が所定の制限レベルVth以下となるようにして制御されることになる。このことは、伝送電力量について、一定以下となるようにして制御していることを意味するが、制限レベルVth以下の電圧V1に対応する伝送電力量としては、ピークの負荷に要する電力よりも少なく、また、この伝送電力量によって継続的にパワーアンプシステム部が動作したとしても、回路の破壊の無いことが保証されるものとなっている。このような時点t2以降の制御状態が、プロテクト動作が有効なプロテクトオンの状態とされる。
なお、これまでの説明から分かるように、時点t1において過電流の状態が検出されてから、プロテクトオンとなる時点t2までの待機期間Twの時間長は、充電経路の抵抗R3と時定数コンデンサC2の時定数によって決まるものであり、この場合には固定的なものとなる。
前述もしたように、時定数コンデンサC2に対する充電動作は、電流検出信号Sdtが示すレベルとして過電流状態が解消するレベルに低下するまで行われる。従って、図4における期間t2〜t3として示される、上記プロテクトオン状態の時間長としても、時点t2以降における過電流検出の継続時間に応じたものとなる。
また、図4から分かるように、制限レベルVthは、オペアンプOP10の閾値電圧レベルよりも低いレベルが設定されている。このために、プロテクトオンの状態のもとで、負荷電流レベルが或る程度にまで小さくなって(音量が小さく成ることに対応する)、過電流とされる状態が解消されると、オペアンプOP10はLレベルを出力することになる。図4では、このタイミングが時点t3となる。これに応じて、時定数コンデンサC2に対する充電電圧の印加も停止されることになるが、代わりに、時点t3からは、時定数コンデンサC2からの放電が行われる。この放電は、ダイオードD4−抵抗R4の放電経路を介して、オペアンプOP10のLレベル出力に引き込まれるようにして行われる。この際の放電時間は、抵抗R4と時定数コンデンサC2の時定数によって決まるのであるが、ここでは、この放電経路を形成する抵抗R4と、充電経路を形成する抵抗R3の抵抗値について、R3>R43の関係となるようにしてそれぞれ所定値を設定している。これにより、図4に示すようにして、時定数コンデンサC2の両端電圧V2の波形としては、充電時よりも、放電時のほうが大きな傾きとなっている。この結果、プロテクト動作が無効となるプロテクトオフから、プロテクト動作が有効なプロテクトオンの状態に遷移させるときよりも、プロテクトオンからプロテクトオフに遷移させるときのほうを、負荷電流状態に対して高速に反応させるようにしている。これは、時点t3から次に説明する時点t4までの期間が、期間t1〜t2よりも短くなっていることによっても示されている。
上記のようにして時点t3において時定数コンデンサC2からの放電が開始されて両端電圧V2が低下していくことで、時点t4にいたると電圧V2は、オペアンプOP1の閾値電圧レベル以下となる。これにより、時点t4において、オペアンプOP1からはLレベルが出力される。つまり、プロテクト信号Sprt1の出力は停止され、プロテクトオフの状態に遷移する。このときには、スピーカから出力される音量は一定以内となっており、過電流の状態ではなくなっている。
そして、また、時点t5に至って、例えば音声信号として大きな振幅が入力されたり、音量を大きくする操作などが行われるなどして音量が増加し、過電流の状態となったことが検出される、つまり、電流検出用コンデンサC1の両端電圧V1がオペアンプOP10の閾値電圧レベル以上になったとされる。すると、先の時点t1の場合と同様にして、時点t5からは時定数コンデンサC2に対する充電が開始される。そして、この場合にも、時点t5から待機時間Twを経過した時点t6において、時点t2と同様にして時定数コンデンサC2の両端電圧V2がオペアンプOP10の閾値電圧レベル以上にまで上昇してプロテクト信号Sprt1が出力されており、これにより時点t6において、プロテクトオン状態が開始される。
この場合には、時点t6においてプロテクトオン状態となって以降、時点t7において過電流の検出されなくなっている。この時点t7のタイミングは、先の時点t2に対する時点t3よりも早いタイミングとされる。これにより、期間t6〜t7によるプロテクトオンの期間は、先の期間t2〜t3によるプロテクトオンの期間よりも短いものとなっている。
そして、この時点t7からは、時定数コンデンサC2からの放電が開始されることになる。なお、放電時間は、抵抗R4と時定数コンデンサC2の放電時間によって決まるから、時点t7以降における両端電圧V2の下降波形は、時点t3以降と同じとなる。そして、時点t7から或る時間経過した時点t8において、電圧V2のレベルがオペアンプOP1の閾値電圧レベル以下となることで、プロテクト信号Sprt1の出力が停止されて、プロテクトオフの状態に遷移する。時定数コンデンサC2に対する放電が開始される時点t6から、電圧V2のレベルがオペアンプOP1の閾値電圧レベル以下となる時点t7までの時間長は、放電時の時定数によって決まるので、先の時点t3から時点t4までの期間と同じとなる。
なお、図2に示した第1例の構成では、オペアンプOP10を含む増幅回路23を備えてはいないが、過電流検出回路20において過電流を検出した結果として、電流検出用コンデンサC1の両端電圧が所定レベル以上となって、これがトリガとなって、抵抗R3−ダイオードD3を介して、時定数コンデンサC2に対して充電を行うようにされる。このことから、図2に示す保護回路12の動作としても、図4と同様の動作が得られることが理解される。
続いて、図5により保護回路12の第3例としての構成について説明する。なお、図2及び図3と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
先ず、この第3例においては、先ず、増幅回路23のオペアンプOP10の出力端子と非反転入力端子との間に対して、ダイオードD5−抵抗R15の直列接続回路が接続されている。ダイオードD5の挿入方向としては、アノードがオペアンプOP10の出力端子に接続され、カソードが抵抗R15を介して増幅回路23の非反転入力端子に接続されるようになっている。
上記のようにしてダイオードD5−抵抗R15の直列接続回路が接続されることによっては、オペアンプOP10の出力を非反転入力端子に対して帰還する経路が形成されることになる。これにより、オペアンプOP10の非反転入力端子に入力される電圧V1が、非反転入力端子に入力される閾値電圧レベル以上となって、一旦、Hレベルを出力すると、この後において、電圧V1が閾値電圧レベル以下になったとしても、Hレベルの出力が非反転入力端子に帰還されることで、Hレベルの出力が継続される。つまり、この場合のオペアンプOP10の動作としては、トリガとしてHレベルを一旦出力した後は、その後の電圧V1の状態にかかわらず、Hレベルをラッチして出力するようにされる。なお、オペアンプOP10からHレベルの出力が開始された時点からラッチの動作が有効となるまでの遅延時間差は、抵抗R15の時定数により設定できる。
そして、この図5に示す保護回路12では、上記したオペアンプOP10のラッチ出力をリセットするためのリセット回路24が設けられる。
このリセット回路24は、NPNのトランジスタQ1を備える増幅回路として形成される。このトランジスタQ1のコレクタは、抵抗R18を介してオペアンプOP10の非反転入力端子に接続される。また、エミッタは接地される。
このリセット回路24に対しては、時定数コンデンサC2の両端電圧V2を抵抗R16−R17により分圧して得られるレベル電圧が入力される。リセット回路24では、この電圧レベルが所定以上となるのに応じて、トランジスタQ1がオン状態となるように動作する。トランジスタQ1がオンとなれば、オペアンプOP10の非反転入力端子はアース電位となって、オペアンプOP10の出力をLレベルにリセットすることになる。つまり、リセット回路24は、時定数コンデンサC2の両端電圧V2が所定レベル(リセットレベル)以上となるのに応じて、オペアンプOP10をリセットするように動作する。
図6のタイミングチャートは、上記図5に示した第3例の保護回路12の動作例を示している。
この場合においても、時点t1における動作は、図4の時点t1と同様となる。但し、前述もしたように、第3例におけるオペアンプOP10のHレベル出力はラッチされるので、時点t1にて開始されたオペアンプOP10からのHレベル出力は、以降の電流検出用コンデンサC1の両端電圧V1のレベル(つまり過電流検出回路20における検出結果)にかかわらず、リセット回路24によるリセット動作が実行されるまで継続される。
従って、この場合には、例えば時点t2に至る前の待機期間Twの期間内において、例えば、過電流状態が解消されたことが検出されたことで両端電圧V1が一定レベル以下になったとしても、時点t1以降における時定数コンデンサC2に対する充電は継続されて、その両端電圧V2のレベルが、充電時の時定数(R3,C2)に従って上昇していくようにされる。そして、時点t2に至れば、図4の場合と同様にして、電圧V2のレベルがオペアンプOP1の閾値電圧レベルを越えることとなって、プロテクト信号Sprt1が出力され、プロテクトオンの状態となる。
この場合には、時点t2以降においても、オペアンプOP10の出力がHレベルでラッチされることで、時定数コンデンサC2に対する充電動作が継続され、電圧V2は設定された充電時の時定数(R3,C2)に応じて上昇していくことになる。そして、時点t3から或る一定時間後となる時点t3において、電圧V2がリセットレベルに至ると、図5にて説明したようにしてリセット回路24が動作して、オペアンプOP10の出力をLレベルにリセットする。これに応じて、時定数コンデンサC2からの放電が開始されて、電圧V2は放電時の時定数(R4、C2)に従って低下していくことになる。
そして、時点t3から或る一定時間経過した時点t4に至ると、電圧V2はオペアンプOP1の閾値電圧レベル以下となって、プロテクト信号Sprt1の出力は停止されて、プロテクトオフの状態となる。
そして、この場合にも、時点t4以降における時点t5のタイミングで、時点t1と同様にして、電流検出用コンデンサC1の両端電圧V1がオペアンプOP10の閾値電圧レベルを越えた状態になったとする。確認のために述べておくと、時点t5において開始されたオペアンプOP10のHレベル出力は、時点t1における場合と同様にしてリセット回路24によりリセットされるまでラッチされる。これにより、時点t1以降の過電流検出回路20における過電流の検出結果にかかわらず、時点t5から待機期間Twを経過した時点t6において、電圧V2がオペアンプOP1の閾値電圧レベル以上となってプロテクト信号Sprt1が出力され、プロテクトオンの状態となる。また、この時点t6から或る一定時間経過した時点t7において、電圧V2がリセットレベルに至ってリセット回路24がオペアンプOP10をリセットすることで、時定数コンデンサC2の放電が開始されて電圧V2が低下していく。そして、時点t7から一定時間経過した時点t8において、電圧V2がオペアンプOP1の閾値電圧レベル以下となって、プロテクト信号Sprt1の出力が停止され、プロテクトオフの状態に遷移する。
図4により説明した、図3(及び図2)の保護回路12の動作では、過電流の検出状態に応じて、プロテクトオンとなる期間は変化する。また、例えば待機期間Twの期間内において、検出状態として過電流が解消されると、プロテクトオンの状態にはならない。
これに対して、図5に示した保護回路12の構成では、オペアンプOP10の出力がラッチされることにより、一旦、過電流の状態であることが検出されて時定数コンデンサC2に対する充電が開始されると、必ず、プロテクトオンの期間(プロテクト信号Sprt1の出力期間)が得られるようになっている。また、時定数コンデンサC2に対する充放電は、予め設定された時定数(充電時:R3、C2)(充電時:R4、C2)に従って行われるから、充放電動作により得られる両端電圧V2の波形としても同じものとなる。この結果、プロテクトオンの期間(プロテクト信号Sprt1の出力期間)としても毎回、同一となるようにされる。
つまり、図5に示す保護回路12の構成では、過電流検出回路20において、一旦、過電流の状態であることが検出されれば、その都度に、同じ期間(時間)長によるプロテクトオン状態が発生するようになっている。
また、単発のプロテクトオン状態の時間長は、図6に示す期間t2〜t4、又は期間t6〜t8として示される一定時間長となるのであるが、例えば時点t3(時点t7)のリセットレベルに到達した時点においても、過電流の状態が検出されているような状態では、これに応答するようにしてオペアンプOP10からのHレベル出力が継続される。従って、時点t3(時点t7)におけるリセットタイミング後も、電圧V2はオペアンプOP1の閾値電圧レベル以上の状態を維持するので、オペアンプOP1からのプロテクト信号Sprt1の出力が継続される。つまり、プロテクトオンの状態が、時点t4以降も継続される。
ところで、これまでの説明から理解されるように、プロテクト信号Sprt1がHレベルにより出力される期間長(電力伝送量の制御タイミング)は、時定数回路21として設定される時定数(R3(充電時),R4(放電時),C2)により任意に設定できる。つまり、時定数回路21における時定数を変更すれば、過電流検出回路20による過電流状態の検出時点から得られる時定数コンデンサC2の両端電圧V2の波形の傾きを変化させることが出来るからである。
また、この両端電圧V2の波形を固定として考えた場合には、オペアンプOP1における閾値電圧レベルを変更することによっても、プロテクト信号Sprt1がHレベルにより出力される期間長を変化させることができる。そこで、本発明としては、プロテクト信号SprtがHレベルにより出力される期間長(電力伝送量の制御タイミング)を設定するための時定数として、時定数回路21の時定数だけではなく、この信号出力回路22に備えられるプロテクト信号Sprt出力用のオペアンプOPに設定される閾値電圧レベルについても、これを時定数として概念的に含めることとする。この点については、図7により後述するようにして、プロテクト信号Sprt出力用のオペアンプが複数備えられる場合についても同様である。なお、閾値電圧レベルは、例えば元の基準電圧Vrefのレベルと、この基準電圧Vrefとオペアンプの反転入力端子との間の抵抗の値、若しくは、非反転入力端子に対して接続される分圧抵抗の抵抗値(電圧V2に対する分圧比)などにより変更設定できる。
図7は、第4例としての保護回路12の構成例を示している。なお、図2,図3及び図5と同一とされる部分については同一符号を付して説明を省略する。
この図7に示す保護回路12は、先に図5に示した第3例の保護回路12の信号出力回路22に対して、オペアンプOP2を備える増幅回路(コンパレータ)を追加的に設けることとしている。
この場合、オペアンプOP2を備える増幅回路としては、このオペアンプOP2及び基準電圧Vrefに対して、抵抗R19,R20,R21,R22,及びコンデンサC6を図示するようにして接続して形成される。この接続態様は、オペアンプOP1及び基準電圧Vrefに対する、抵抗R8,R9,R10,R11,及びコンデンサC3の接続態様と同様である。つまり、オペアンプOP2を備える増幅回路(コンパレータ)と、オペアンプOP1を備える増幅回路(コンパレータ)とは同じ回路接続態様によって形成される。また、オペアンプOP2側においても、抵抗R19−R20の直列接続回路は、時定数コンデンサC2に対して並列に接続されていることで、非反転入力端子には、抵抗R19−R20により分圧された電圧V2が入力されることになる。このような構成により、オペアンプOP1からは、これまでの例における場合と同様にしてプロテクト信号Sprt1が出力され、さらにこれに加えて、オペアンプOP2からはプロテクト信号Sprt2が出力されることになる。このようにして、第4例では、2つのプロテクト信号が出力可能な構成となっている。
但し、この場合においては、オペアンプOP1,OP2のそれぞれの非反転入力端子とアース間に接続される分圧抵抗である、抵抗R9と抵抗R22の抵抗値について、R9>R22の関係が成立するようにされたうえで、所定値を選定している。つまり、オペアンプOP1,OP2の非反転入力端子のそれぞれに対して、電圧V2について異なる分圧比により分圧した電圧レベルを入力させている。これは、オペアンプOP1側とオペアンプOP2側とで、電圧V2に対する閾値電圧レベルについて、それぞれ異なるレベルを設定していることと等価となる。なお、例えばオペアンプOP1,OP2にそれぞれ接続される、抵抗R9及び抵抗R22以外の上記各素子[R8,R10,R11,C3][R20,R21,R19,C6]の定数、及び基準電圧Vrefのレベルは同じであるとする。
上記図7の第4例に示すようにして、保護回路12として複数のプロテクト信号を生成して出力可能な構成とした場合においては、例えば図8及び図9に示すようにしてこれらのプロテクト信号をフィードバックさせる系を形成することが考えられる。
先ず、図8に示す構成としては、保護回路12から出力されるプロテクト信号Sprt1,Sprt2の各々に対応して、増幅回路14−1,14−2を設けるようにされる。これら増幅回路14−1,14−2は、図1に示した増幅回路14と同じ構成であり、その内部の構成部位についても、図1に示した増幅回路14と同一符号を付している。
そして、増幅回路14−1,14−2におけるトランジスタQ12のコレクタを、共に抵抗R55を介して、フォトカプラPCのフォトダイオードのカソードに対して共通に接続するようにされる。
あるいは、図9に示すようにして、プロテクト信号Sprt1,Sprt2の信号ラインに対して、それぞれダイオードDor1,Dor2を接続し、これらダイオードDor1,Dor2のカソードを共に、増幅回路14に対して入力させる。
これら図8または図9に示す構成を採ることにより、プロテクト信号Sprt1,Sprt2の各信号成分について、フォトカプラPC経由で、スイッチング駆動回路11のフィードバック入力端子FB_INに対して入力させることができる。また、この接続態様に依れば、プロテクト信号Sprt1,Sprt2が同時にHレベルで出力される場合には、これらの信号が合成された状態で、フィードバック入力端子FB_INに入力されることも分かる。
図10のタイミングチャートは、図7に示した第4例としての保護回路12の動作例を示している。
図7の保護回路12における、オペアンプOP1,オペアンプOP2は、先の第3例に対応する図6におけるオペアンプOP1と同様の動作によって、それぞれプロテクト信号Sprt1,Sprt2を出力するようにされる。また、図7のオペアンプOP10についても非反転入力端子に対してオペアンプOP10自身の出力が帰還されており、またリセット回路24を備えることで、プロテクト信号Sprt1,Sprt2のいずれについても、一旦、電流検出回路20において過電流の状態であることが検出されるごとに、毎回、同じ期間(時間)長によりプロテクト信号Sprt1,Sprt2を出力することになる。
ただし、図7において説明したように、オペアンプOP1とオペアンプOP2とでは、電圧V2に対して、互いに異なる閾値電圧レベルを設定している。この場合には、分圧抵抗R9と抵抗R20の値について、R9>R20と設定していることから、図10の電圧V2において示すように、オペアンプOP1の閾値電圧レベルのほうが、オペアンプOP2の閾値電圧レベルに対して低くなる関係により、それぞれ抵抗R9と抵抗R20の抵抗値の実際に応じて所定レベルが設定されることになる。
このために、オペアンプOP1から出力されるプロテクト信号Sprt1としては、時点t1(時点t7)において過電流が検出されたタイミングに応じて、期間t2〜t6(期間t8〜t12)によりHレベルが得られる。ここでは、このプロテクト信号Sprt1がHレベルとなる期間を第1プロテクトオンの状態ということにし、プロテクト信号Sprt1がLレベルとなる期間を第1プロテクトオフの状態ということにする。
また、オペアンプOP2から出力されるプロテクト信号Sprt2としては、同じく時点t1(時点t7)において過電流が検出されたタイミングに応じて、期間t3〜t5(期間t9〜t11)によりHレベルが得られる。ここでは、プロテクト信号Sprt2がHレベルとなる期間を第2プロテクトオンの状態といい、プロテクト信号Sprt2がLレベルとなる期間を第2プロテクトオフの状態という。
つまり、上記したオペアンプOP1とオペアンプOP2とでの電圧V2に対する閾値電圧レベルの違いにより、プロテクト信号Sprt1のHレベル出力期間(第1プロテクトオン期間)は、プロテクト信号Sprt2のHレベル出力期間(第2プロテクトオン期間)を含みながら、このプロテクト信号Sprt2のHレベル出力期間(第2プロテクトオン期間)よりも長い時間長を有するものとなる。
このようにして、2つの段階的なプロテクトオン期間を得るようにした場合の、電源回路に対する電力制御としては次のようになる。なお、ここでの説明においては、プロテクト信号Sprt1,Sprt2は、例えば図8又は図9に示した構成によりフィードバックされることを前提とする。
この場合には、例えば時点t1において過電流検出回路20により過電流の状態が検出されたのに応じて、先ず、時点t1から時点t2までに対応する待機期間Tw1を経て、プロテクト信号Sprt1がHレベルとなるようにされる。このとき、プロテクト信号Sprt2はLレベルのままである。これにより時点t2以降においては、先ず、プロテクト信号Sprt1成分のレベルのみに応じて、スイッチング駆動回路11がスイッチング周波数を可変し、二次側(負荷)への電力伝送量、つまり、電源回路部1から負荷(パワーアンプシステム部2内のパワーアンプ回路31)に出力する電力量(出力電力量)を低減させるように動作する。
また、プロテクト信号Sprt2は、過電流検出回路20により過電流の状態が検出された時点t1から、上記待機期間Tw1よりも長い待機期間Tw2を経た時点t3に至るとHレベルにより出力される。このとき、プロテクト信号Sprt1は、時点t2からのHレベル出力を継続している。これにより、時点t3以降においては、プロテクト信号Sprt1とプロテクト信号Sprt2の各信号成分が合成された信号がフィードバックされることになる。つまり、スイッチング駆動回路11のフィードバック入力端子FB_INに対して入力されるフィードバック信号のレベルが増加することになる。これに応じて、スイッチング駆動回路11では、これまでよりもさらにスイッチング周波数の可変量を多くするように制御するが、これにより、負荷に対する電力伝送量としてもさらに低減されることになる。
また、この後、時点t5に至ると、プロテクト信号Sprt2のHレベル出力が停止されるが、プロテクト信号Sprt1は、時点t5を経過して時点t6までHレベル出力が継続される。従って、期間t5〜t6においては、先の期間t2〜t3と同様にして、プロテクト信号Sprt1成分のみに応じて出力電力量を低減させる動作に戻るようにされる。そして、時点t6を経過すると、プロテクト信号Sprt1の出力も停止されることになる。
つまり、時点t1において過電流の状態が検出されると、先ず、待機期間Tw1を経過した時点t2を開始時点として、時点t1から待機期間Tw2を経た時点t3までの期間(t2〜t3)において、第1プロテクトのみがオンで、第2プロテクトはオフの状態が得られ、このときにはプロテクト信号Sprt1のみの信号レベル成分に応じた低減量による出力電力量の低減が行われる。ここでは、これが第1段階によるプロテクト動作となる。
そして、これに続く時点t3から時点t5までの期間において、第1プロテクトと、第2プロテクトの両者がオンとなる状態が得られ、このときには、プロテクト信号Sprt1,Sprt2の合成された信号レベルに応じた低減量による出力電力量の低減が行われる。この第2段階の低減量は、上記第1段階の低減量よりも大きいものであり、つまり、出力電力量はさらに低減されることになる。ここでは、これが第2段階によるプロテクト動作である。そして、続く期間t5〜t6においては、第1プロテクトのみがオンで、第2プロテクトはオフの状態に遷移することとなって、再度、第1段階によるプロテクト動作が行われる。そして、時点t6以降は、第1プロテクト及び第2プロテクト共にオフとなっている。つまり、プロテクト動作がオフとなる。
なお、時点t7〜時点t12による期間においても、上記期間t1〜t6と同じ動作が得られている。
このようにして、図7に示した第4例の保護回路12の動作としては、第1段階としての所定低減量による電力供給(出力)と、第2段階による、第1段階よりも大きいとされる所定低減量による電力供給(出力)との、2段階による出力電力量の制限動作(つまりプロテクト動作)が得られるようになっている。このようにしてプロテクト動作を段階的なものとすることによっては、例えば、プロテクト動作として、負荷電流のピークの連続状態に対してより的確に反応できるようになる。また、必要に応じて、プロテクト動作を段階的に強力なものとしていくことで、より安全性が確保できることにもなる。
図11,図12,図13は、本実施の形態の保護回路12によるプロテクト動作についての実験結果を示している。なお、これらの図に示す実験結果は、これまでに説明した保護回路12についての第1例〜第4例までの構成について共通な傾向となるものである。これら図11,図12,図13においては、例えば図1に示した電源回路の二次側直流出力電圧Eoのレベルと、この二次側直流出力電圧Eoの負荷に供給される二次側出力電流(負荷電流)のレベルを時間経過に対応させて示している。この場合の負荷は、パワーアンプであるから、負荷電流のレベルは、スピーカ駆動に応じてパワーアンプ側に流れる電流レベルに対応する。これは、スピーカから出力される音量にも対応するものとなる。
先ず、図11においては、保護回路12による保護動作がほとんどはたらいていない状態が示されている。
この図11の場合には、二次側出力電流は、例えば時点t0又は時点t1に示すようにして、或る時間間隔をおいて非常に短時間によりピークに近いレベルが得られている。このような二次側出力電流の状態は、スピーカから出力される音声としては、例えばドラムなどの単発的にレベルの大きい音が、或る程度の時間間隔を経て鳴っているような状態に相当する。
これまでの説明から理解されるようにして、保護回路12内の保護回路12では、過電流検出回路20により過電流を検出した時点から、時定数回路21にて設定される時定数に応じた待機時間Twを経過しないと、プロテクト動作が開始されないようになっている。
このために、図11に示すようにして二次側出力電流がほぼピークレベルに至ったとしても、これが短時間なものであって、上記待機時間Tw内でピーク以下のレベルに戻るような状態では、このピークレベルに対してプロテクト動作はオンとはならない。つまり、電源回路側では、負荷であるパワーアンプに対して電力制限を行わずに、このときの二次側出力電流のピークレベルに応じた電力を供給する。これによりパワーアンプでは、この二次側出力電流のピークレベルに応じたままの音量により、スピーカから音声を出力するようにされる。
このように本実施の形態としては、例えばスピーカから出力される音量が、ほぼ最大負荷に対応するような大きさであるとしても、これが短時間である場合には、特にリミットされることなく出力されることになるので、音量感が損なわれない迫力のある音が得られることになる。例えば、このような短時間の大きな音の代表的なものとしては、上記もしているようにドラムなどの音が挙げられるが、このような音色のレベルにリミットがかけられることなく出力されることを考えれば、聴感の全体的な印象として充分な音量感が得られることは容易に理解される。なお、確認のために述べておくと、ほぼ最大負荷(負荷電流レベルとしてほぼピーク)の状態となるのは、待機期間Tw内に収まる程度の短時間であるから、パワーアンプの回路、スピーカ、及び電源回路の部品などが、これにより破壊されることはない。また、待機期間Twの時間長、つまり時定数回路21についての充電経路の時定数(R3,C2)は、上記のようにして単発的な大音量が抑制されないようにすることだけではなく、このような回路部品の破壊が生じないことが保証されることを考慮しても設定されるべきものとなる。
図12には、上記図11の場合よりも二次側出力電流についてほぼピークとなる状態が短い周期となっており、さらに、より連続的に発生している状態が示されている。
例えば図12における期間t0〜t1においては、二次側出力電流がピークとなる状態が非常に短い周期で連続的に発生している状態となっているが、これに応じた二次側直流出力電圧レベルは、図示するようにして比較的大きな変化量により低下する傾向となっている。つまり、この期間t0〜t1においては、プロテクトオンの状態となっており、これにより、出力電力量が制限されている状態にあることが分かる。
また、期間t2〜t3として示される期間においても、二次側出力電流がピークとなる状態が連続的に発生してはいるが、その周期としては、期間t0〜t1よりも長いものとなっており、発生密度も低くなっている。このような状態では、時定数回路21の時定数により形成される待機期間Twに応じたプロテクトオンまでの遅延時間、及びプロテクトオン解除の時間が有効にはたらくことで、電力供給の制限量が抑えられる結果となる。つまり、二次側出力電圧レベルとしては、期間t0〜t1のときほどの低下を見せない。
つまり、本実施の形態の保護回路12は、期間t0〜t1に示すような、二次側出力電流がピークとなる状態が非常に短い周期で継続して発生して、負荷電力のピーク状態が比較的長時間連続しているとみなされるような状態では、強い電力制限が与えられるようにして、回路の保護が図られるようにしている。これに対して、期間t2〜t3のようにして、二次側出力電流のピークが周期的に発生してはいるものの、単位時間あたりの出現密度が比較的少ない状態では、弱めの電力制限となるようにされており、これにより、音量感が損なわれないようにされている。
また、図13には、二次側出力電流のピークが、長時間にわたって連続的に発生している状態を示している。
この図においては、ほぼ時点t0以降において、二次側出力電流のピークが非常に短い周期で連続している状態となっている。これに応じて、二次側出力電圧のレベルとしても、時点t0以降から低下しはじめて、以降は継続的に低下された状態を維持している。つまり、二次側出力電流のピークが継続した状態となっているのに応じて、電力制限の動作(プロテクト動作)も継続的に実行することで、回路等の保護を図っているものである。
このようにして、本実施の形態の保護回路12による保護動作(プロテクト動作)としては、過電流状態が一時的なものであったり、過電流状態が周期的に発生しているとしても、その周期が或る程度長いものであるような状態のときには、保護動作としての出力電力量の制限が効かない、あるいは弱くはたらくようにされる。これにより、負荷としてパワーアンプが接続されるときには、瞬時的であったり、また、短時間であれば、大音量がリミットされることが無くなるので、音量感のある音声再生状態が得られることになる。
そして、過電流が連続するとされるような状態では、保護動作が有効にはたらくこととなって、電源回路及び負荷(パワーアンプ)の回路などの破壊が防止される。
また、本実施の形態では、電源回路部1側で過電流に応じた電力制御を行っていることで、次のようなメリットも得られる。
例えば、音量感を損なわないように大音量出力に対応できるようにするためには、電源回路について、最大負荷電力(負荷電流のピーク)の状態が継続するような条件に対しても、回路が破壊されないことを保証できるように設計する、という手法を採ることも考えられる。しかしながら、この場合には、コストアップ及び電源回路の実装基板サイズが大型化して重量も増加するという不都合を生じる。特に後段のパワーアンプにデジタルアンプ(D級アンプ)を採用している場合には、その採用理由が主として小型軽量化であることが多いので、特に不利となる。
これに対して、本実施の形態では、一時的なピーク電力に対応できればよいので、電源回路部品についても、これまでと同等の耐電圧、耐電流のものを選定できる。これにより、回路基板サイズの大型化、重量化、及びコストアップが避けられることになる。本実施の形態の場合、保護回路12を付加することになるが、この保護回路12は、図2、図3、図5、図7等に示したようにして、一般的な部品素子を用いて構成されるものである。従って、継続的なピーク負荷電力に対応した電源回路を設計する場合と比較すれば、回路規模の拡大やコストアップはより少ないもので済む。
また、実施の形態において、電源回路部1の負荷となるパワーアンプシステム部2は、自身も独立して過電流に対する保護機能を有しているのが通常である。この保護機能は、一般にパワーアンプシステム部2側に備えられるマイクロコンピュータが、過電流の検出状態に応じてパワーアンプ回路の増幅動作を停止させるように構成される。ちなみに、実施の形態のパワーアンプシステム部2のようにして、マルチチャンネルに対応して複数のパワーアンプ回路31を備える場合においては、過電流の検出に応じては、全てのパワーアンプ回路31の増幅動作を停止させるようにしている。つまり、パワーアンプシステム部2自体としての動作を停止するようにしている。
このような保護機能を有するパワーアンプシステム部2の電源として、例えば、先に述べたようにして、連続するピーク負荷電力に対応可能に設計された電源回路を採用したとすると、実際にピーク負荷電力が連続した状態となったときには、パワーアンプの保護機能がはたらいてしまい、結局、スピーカからの音声出力が止まってしまうことになる。
これに対して、本実施の形態では、電源回路側で電力制限を行っていることから、保護回路12に依る保護動作がはたらいている以上、通常は、パワーアンプシステム部2の保護機能がはたらくことは無い。つまり、相応の音量感が得られる状態を維持しながらも、パワーアンプの保護機能がはたらいてパワーアンプシステム部2の動作が止まってしまうような不都合が生じない。
なお、本実施の形態の保護回路12に依る保護動作は、例えば待機期間Twにおいては保護動作がはたらかずに、ほぼピークレベルの負荷電流が流れることになる。しかしながら、パワーアンプシステム部2の保護機能は、上記しているように、マイクロコンピュータの処理によるもので、マイクロコンピュータの処理能力及び実使用上での都合で、実際に過電流の状態となってから、保護機能がはたらくのには、本実施の形態で設定する待機期間Tw以上の時間差がある。このために、待機期間Twにおいてピークに近い負荷電流が流れているときに、パワーアンプシステム部2側の保護機能がはたらくことはない。
また、マルチチャンネルオーディオシステムとしては、対応可能な最大のオーディオチャンネル構成の範囲内であれば、より少ないオーディオチャンネル構成による音響再生も可能とされている。具体例として、例えば最大で5.1chサラウンドに対応可能であるとして、オーディオソースが、例えばCD(Compact Disc)などのようにL,Rステレオである場合、このオーディオシステムでは、例えばフロント左(FL)及びフロント右(FR)の2つのオーディオチャンネルを使用して、L,Rステレオによる音響再生を行うようにされる。
このことは、例えば図1に示したマルチチャンネル対応のパワーアンプシステム部2においても、必ずしも第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nの全てのパワーアンプ回路31が増幅動作を行うのではなく、オーディオソースによっては、増幅動作を行わないパワーアンプ回路31もある、ということを意味する。
本実施の形態においても、電源回路部1の最大出力容量としては、パワーアンプシステム部2が備える第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nの全てにおけるパワーアンプ回路31により増幅動作を実行させているときの総合的な負荷電力等の条件を考慮して設定される。このために、最大数よりも少ないパワーアンプ回路31が増幅動作を行っているときは、電源回路部1としては、最大出力容量に対して余裕のある電力供給を行っている傾向にあるということがいえる。
従来において、上記のようにして、最大数よりも少ないパワーアンプ回路31が増幅動作を行っている状況において、スピーカから出力させるべき音量を上げていったとすると、これに応じて、増幅動作を行っているパワーアンプ回路31の負荷電力(負荷電流)も増加していくことになる。
この場合において、例えばパワーアンプ回路31における負荷電力状態がほぼ最大であり、回路保護の点などからこれ以上負荷電流を流すべきでない状態に至ったとしても、電源回路部1側における電力供給としては依然として余裕があるということになる。このために、この状態からさらにスピーカから出力させるべき音量を上げていったとしても、電源回路1側では、余裕のある状態で供給電力量を増加させていくことができる。この結果、例えばパワーアンプシステム部2側のマイクロコンピュータ処理による保護機能が先にはたらいて、パワーアンプ回路31の増幅動作が停止されてしまうことになる。このような動作は、例えば、ユーザにとってみれば、音響再生のオーディオチャンネル数を少なくしていくほど、音量を大きくすると保護動作がかかりやすい(音声出力が停止しやすい)と捉えられるので、機器の信頼性を損なうことにつながる。
これに対して、本実施の形態では、上記した電源回路部1側による電力制御は、パワーアンプシステム部2においてマルチチャンネルに対応して備えられる複数のパワーアンプ回路31の負荷電力(負荷電流レベル)に基づいたものとなっている。
このために、たとえ電源回路部1の最大出力容量に対して現在の供給電力量に余裕があるとしても、増幅動作を行っているパワーアンプ回路31の負荷条件が過電流(過負荷)とされる状態になれば、電源回路部1の保護回路12の動作による出力電力量の抑制制御が行われることになり、この結果、パワーアンプシステム部2側のマイクロコンピュータ処理による保護機能が先にはたらくことがないようにされる。
従って、本実施の形態としては、音響再生のオーディオチャンネル数を少なくしていったことに応じて、大音量では保護動作がかかりやすい(音声出力が停止しやすい)という傾向になることは解消され、この点で、信頼性が高まることとなる。また、電力制御としては、上述しているように、瞬時的、一時的な過負荷状態には反応しないようにされているので、音量感が損なわれないことに関しては同様である。
本実施の形態において、例えば上記したような、音響再生のオーディオチャンネル数が少なくなった再生モードにおいても、パワーアンプ回路31に対する出力電力量の制御が適正に行われるのは、この制御系について、パワーアンプ回路31側での負荷電流の検出結果を、電力供給元の電源回路部側に対してフィードバックさせる構成を採っていることに依る。
これにより、パワーアンプ回路側の負荷状態に応じて電源回路部側が出力電力量を制御するという、パワーアンプ回路側と電源回路部側が連携した動作が得られるものであり、結果、従来のようにして電源回路側とパワーアンプ回路側とで相互に独立した過電流保護機能を与える構成とした場合に生じ得る不都合は回避され、また、過電流保護の動作についてより高い信頼性、性能が得られることになる。
続いては、本実施の形態の変形例について、図14及び図15により説明しておくこととする。
先ず、図14に示す変形例は、パワーアンプシステム部2側において各パワーアンプ部2aに備えられる電流検出回路32についてのものとされる。この図においては、電流検出回路部32とともに電源回路部1側の保護回路12の内部構成を示している。この図に示される保護回路12は、先に図5に示した構成を基としている。
また、この図においては、電流検出回路部32は1つのみが示されているが、実際には、この電流検出回路部32は、第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nの各々に対して設けられるものであり、これらの電流検出回路部32が、図14に示す接続態様によって、共通の保護回路12に対して並列的に接続されるようにして設けられる。
なお、この図14において、図5と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図14に示す電流検出回路32においては、先ず、電流検出抵抗RDを負極電源入力ラインL(-DC)において、一端がアースに対して接続されるようにして挿入する。そして、オペアンプOP20の非反転入力端子を、上記電流検出抵抗RDを介してアースに接地される用に接続する。
オペアンプOP20の反転入力端子は、基準電圧Vrefのラインと接続する。また、この基準電圧VrefとオペアンプOP20の反転入力端子との接続点とアースとの間に抵抗R81を挿入する。
また、オペアンプOP20の出力端子と反転入力端子との間には帰還抵抗R80を接続する。さらに、この帰還抵抗R80に対して並列にコンデンサC80を接続する。
また、オペアンプOP20の出力端子は、検出信号用コネクタCN3を介して保護回路12の過電流検出回路12に対して、電流検出信号Sdtの成分として入力される。この場合の過電流検出回路12では、トランジスタQ30、抵抗R70、R71、コンデンサC70から成る増幅回路に代えて、ダイオードD1−抵抗R1の直列接続回路が備えられる。検出信号用コネクタCN3を経由したオペアンプOP20の出力は、ダイオードD1(アノード→カソード)→抵抗R1を介するようにして、コンデンサC4と抵抗R14の接続点に印加される。なお、保護回路12における他の部位は、図5と同様の構成となる。
上記のようにして形成される電流検出回路32は、電流検出抵抗RDの両端電圧レベルに応じてオペアンプOP20がHレベルとLレベルで出力を切り換える、コンパレータとして動作する。
つまり、オペアンプOP20の反転入力に対しては基準電圧Vrefの電圧値と、抵抗R81の抵抗値に応じて設定される所定の閾値電圧レベルが入力される。また、非反転入力端子に対しては、電流検出抵抗RDの両端電圧値が入力される。確認のために述べておくと、電流検出抵抗RDの両端電圧値は、負極電源入力ラインL(-DC)に流れる電流(負荷電流)レベルに応じたものとなる。
例えば、この電流検出回路32を備えるパワーアンプ部2aのパワーアンプ回路31の負荷状態が過負荷未満の状態であるとされる場合においては、負極電源入力ラインL(-DC)に流れる電流レベルも過電流に対応するレベルよりも小さいものとなって、電流検出抵抗RDの両端電圧値としても閾値電圧レベル未満の状態にあるとされる。この場合にはオペアンプOP20の出力端子からはLレベルが出力される。
これに対して、この電流検出回路32を備えるパワーアンプ部2aのパワーアンプ回路31が過負荷の状態に至ったとされると、負極電源入力ラインL(-DC)に流れる電流レベルとしては過電流に対応するレベルとなって、電流検出抵抗RDの両端電圧値も上昇し、閾値電圧レベルを越えることになる。これにより、オペアンプOP20の出力はHレベルとなる。
上記のようにして、個々の電流検出回路32は、対応するパワーアンプ回路31の負荷状態に応じて、電流検出信号Sdtの成分についてH/Lレベルによる出力の切り換えを行うようにされる。
実際において、保護回路12では、上記のようにして得られる電流検出回路32の出力を合成した電流検出信号Sdtの入力に応じて、先に図5及び図6により説明した動作によりプロテクト信号Sprt1を出力するようにされる。つまり、図14に示す構成によっても、電流検出信号Sdtに応じた電源回路部1からパワーアンプシステム部2に対する出力電力量の制御が適正に行われるものである。
続く図15に示す変形例は、パワーアンプ装置(電源回路部1及びパワーアンプシステム部2)全体についてのものとされる。なお、この図において図1と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
この図においては、パワーアンプシステム部2における第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nにそれぞれ対応させるようにして、複数の電源回路部1−1〜1−nを備えることとしている。つまり、この場合には、第1電源回路部1−1〜第n電源回路部1−nと、第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nとが1対1で対応する全体構成を採るようにされる。
なお、この場合においては、電源回路部1−1〜1−nは、共通の入力コネクタCN1に対して並列に接続されていることで、それぞれ、入力コネクタCN1から供給される直流電圧を分岐して入力するようにしている。
また、電源回路部1−1〜1−nの各内部構成としては、図1に示した電源回路部1と同様でよいものとされる。
この構成の場合、第1電源回路部1−1は、第1パワーアンプ部2a−1のパワーアンプ回路31に対してのみ電力供給を行う。また、残る第1電源回路部1−2〜第n電源回路部1−nも、それぞれ、第2パワーアンプ部2a−2〜第nパワーアンプ部2a−nのパワーアンプ回路31に対してのみ電力供給を行う。
また、例えば第1パワーアンプ部2a−1の電流検出回路32から出力される電流検出信号Sdtは、第1電源回路部1−1内にあるとされる保護回路12に入力される。同様にして、残る第nパワーアンプ部2a−2〜第nパワーアンプ部2a−nの各電流検出回路32から出力される電流検出信号Sdtも、それぞれ、第2電源回路部1−2〜第n電源回路部1−n内にあるとされる保護回路12に入力される。
このような全体構成とされることで、例えば、第1電源回路部1−1は、第1パワーアンプ部2a−1のパワーアンプ回路31のみを負荷として電力供給を行うようにされると共に、第1パワーアンプ部2a−1のパワーアンプ回路31の負荷状態のみに応じて、このパワーアンプ回路31に対する出力電力量の制御を行うようにされる。
同様にして、第2電源回路部1−2〜第n電源回路部1−nは、それぞれ、第2パワーアンプ部2a−2〜第nパワーアンプ部2a−nの各パワーアンプ回路31のみを負荷として電力供給を行うようにされる。また、第2電源回路部1−2〜第n電源回路部1−nは、第2パワーアンプ部2a−2〜第nパワーアンプ部2a−nのパワーアンプ回路31の負荷状態のみに応じて、このパワーアンプ回路31に対する出力電力量の制御を行うようにされる。
先の図1に示した構成では、1つの電源回路部1により複数のパワーアンプ部2a−1〜2a−nのパワーアンプ回路31に電力供給を行うようにしており、また、パワーアンプ回路31に対する電力制御は、各パワーアンプ部2a−1〜2a−nからの検出出力を合成して得られる電流検出信号Sdtに基づいたものとなっていた。従って、電源回路部1による出力電力量の制御は、パワーアンプ部2a−1〜2a−n全体を対象としたものとなる。
これに対して、図15に示す構成では、1つのパワーアンプ部2aのパワーアンプ回路31に対する電力制御は、そのパワーアンプ部2aに電力供給をする1つの電源回路部1によってのみ行われる。つまり、各パワーアンプ部2aのパワーアンプ回路31に対する出力電力量の制御は、対応する電源回路部1ごとに独立して行われるものとなる。
これにより、パワーアンプシステム部2においては、第1パワーアンプ部2a−1〜第nパワーアンプ部2a−nのパワーアンプ回路31ごとにおいて、その負荷状態に応じてより適切とされる出力電力量が得られることになる。これは、個々のオーディオチャンネルに対応するパワーアンプ回路31ごとについて、電力供給量がその負荷状態に応じて常に最適となるように制御されているシステムが得られていることを意味する。従って、マルチチャンネル対応のパワーアンプシステムにおける電力量制御としては、図1に示した構成よりもより高い性能を得ているということがいえる。ただし、図1は、必要充分とされる電力量制御の効果を得ながら、電源回路部は1つのみとしていることで、コスト的に有利な構成である。
なお、図15に示す構成において、電流検出回路32としては、図14に示した構成としてもよいものである。
また、これまでにおいては、保護回路12におけるオペアンプOP1,OP2、及びオペアンプOP10については、コンパレータ的に動作するもの、つまり、論理回路(デジタル回路)的に動作するものとして説明している。しかしながら、本実施の形態としては、これらのオペアンプOP1,OP2、及びオペアンプOP10について、入力信号に対する出力応答として、リニアな特性による通常のアナログとしての増幅動作が行われるように構成してもよい。
このような構成とした場合においても、時定数回路21によって時定数が設定されていることで、待機期間Twとしての応答遅延時間が形成されるので、短時間であればピーク電力で出力させるという動作は確実に得られるものである。
また、本発明としては、図7〜図10により説明したようにして、信号出力回路22において、それぞれ異なる閾値電圧レベル(時定数)を設定したオペアンプの増幅回路を備えることで、複数段階により出力電力量の制御が行えるように構成することが出来るが、この段階数としては、2段階以上が設定されてもよいものである。
また、段階的な制御としても、実施の形態として説明したように、出力電力の制限量を段階的に可変することだけに限定されない。例えば、所定数の段階範囲では、電力制御量を変更するようにされるが、この範囲を越えた段階に至ったら保護のために電源回路の動作を停止させる、というように構成することも可能である。
また、本発明に基づく電源回路、及び保護回路12の構成としても、これまで実施の形態として示した構成に限定されるものではなく、適宜変更されて構わない。例えば電源回路としては、スイッチング周波数を制御することで出力電力量の可変制御を行うようにしているが、これ以外の制御方式が採用されて構わない。また、電源回路としても、スイッチング電源回路以外の電源回路とされて構わないものである。
さらに、電源回路の負荷となる回路としては、パワーアンプシステム部2に限定されるものではなく、これ以外の回路として、一時的であれば、最大負荷に応じた電力が供給されることが好ましい、あるいは必要とされるようなものであり、かつ、実際に負荷として扱われる回路が複数設けられるものであればよい。また、これに応じて、複数の負荷回路における負荷電力を検出するための構成としても、これまでに説明した電流検出回路32に限定されるものではなく、他の各種の構成が採られて良い。
本発明の実施の形態のパワーアンプ装置の構成例を示す回路図である。 実施の形態の電源回路に備えられる保護回路の構成(第1例)を示す回路図である。 実施の形態の電源回路に備えられる保護回路の構成(第2例)を示す回路図である。 図3に示す保護回路の動作例を示すタイミングチャートである。 実施の形態の電源回路に備えられる保護回路の構成(第3例)を示す回路図である。 図5に示す保護回路の動作例を示すタイミングチャートである。 実施の形態の電源回路に備えられる保護回路の構成(第4例)を示す回路図である。 図7に示す保護回路の構成に対応した、プロテクト信号のフィードバック系の構成例を示す回路図である。 図7に示す保護回路の構成に対応した、プロテクト信号のフィードバック系の構成例を示す回路図である。 図7に示す保護回路の動作例を示すタイミングチャートである。 実施の形態のパワーアンプ装置のプロテクト動作についての実験結果を示す図である。 実施の形態のパワーアンプ装置のプロテクト動作についての実験結果を示す図である。 実施の形態のパワーアンプ装置のプロテクト動作についての実験結果を示す図である。 実施の形態の電流検出回路についての変形例を示す回路図である。 実施の形態のパワーアンプ装置全体についての変形例を示す回路図である。
符号の説明
1(1−1〜1−n) 電源回路部、2 パワーアンプシステム部、2a−1〜2a−n 第1〜第nパワーアンプ部、11 スイッチング駆動回路、12 保護回路、13 電圧制御回路、14 増幅回路、20 過電流検出回路、21 時定数回路、22 信号出力回路、23 増幅回路、24 リセット回路、31 パワーアンプ回路、32 電流検出回路、TR1 コンバータトランス、N1 一次巻線、N2 二次巻線、Q10 スイッチング素子、Do 二次側整流ダイオード、Co 二次側平滑コンデンサ、C1 電流検出コンデンサ、C2 時定数コンデンサ、R3,R4 (時定数)抵抗、D3,D4ダイオード、R8,R9,R19,R20 (分圧)抵抗、OP1,OP2,OP10,OP20 オペアンプ、RD 電流検出抵抗、Q20,Q30 トランジスタ

Claims (6)

  1. 自身のための過電流保護機能を有する電源回路と、
    それぞれ異なるオーディオチャンネルのオーディオ信号を増幅するもので、上記電源回路からの電力の供給を受けて上記増幅の動作を行い、また、マイクロコンピュータの制御により過電流の検出に応じて自身の動作が停止されるようにされた、複数のパワーアンプ回路と、
    上記複数のパワーアンプ回路ごとに対して備えられ、上記電源回路から供給される負荷電流レベルを検出する負荷電流検出手段と、
    上記負荷電流検出手段により検出される負荷電流レベルが過電流になったことを検出して後、過電流の状態に応じた上記マイクロコンピュータの制御によるパワーアンプ回路の停止が行われるまでの時間よりも短い待機時間を経過した時点から、上記電源回路からの出力電力量を制限させるようにして、上記電源回路に対する電力制御を行う制御手段と、
    を備える電源制御装置。
  2. 上記制御手段は、
    上記負荷電流レベルが過電流になったことの検出をトリガとして、上記待機時間を経過した時点からの一定時間による上記電力制御を実行するようにされ、この電力制御は、上記一定時間内において上記負荷電流レベルが過電流ではなくなったことが検出された場合にも実行するようにされている、
    請求項1に記載の電源制御装置。
  3. 上記制御手段は、
    上記負荷電流検出手段により検出される負荷電流レベルについて、第1〜第nの閾値ごとに対応した第1段階〜第n段階の過電流の状態を検出するようにされ、第1〜第nの過電流の状態が検出された状態ごとに、制限すべき上記出力電力量を可変するようにして電力制御を実行する、
    請求項1又は請求項2に記載の電源制御装置。
  4. 1つの上記電源回路から上記複数のパワーアンプ回路に対して並列的に電源を供給する構成を採るものとされたうえで、
    1つの上記制御手段が、これら複数のパワーアンプ回路ごとに対応する上記負荷電流検出手段の検出出力に応じて、上記1つの電源回路に対する電源制御を行うようにされる、
    請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電源制御装置。
  5. 上記電源回路は、上記複数のパワーアンプ回路ごとに対応して設けられ、これら複数のパワーアンプ回路の各々は、対応する上記電源回路から電源が供給されるようにされたうえで、
    上記制御手段を上記電源回路ごとに対応して設け、上記制御手段の各々は、自身が対応する上記電源回路が電源を供給する上記パワーアンプ回路に対応する上記負荷電流検出手段の検出出力に応じて、自身が対応する上記電源回路を制御するように構成される、
    請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電源制御装置。
  6. 自身のための過電流保護機能を有する電源回路と、それぞれ異なるオーディオチャンネルのオーディオ信号を増幅するもので、上記電源回路からの電力の供給を受けて上記増幅の動作を行い、また、マイクロコンピュータの制御により過電流の検出に応じて自身の動作が停止されるようにされた、複数のパワーアンプ回路とから成る電源制御装置における電源制御方法であって、
    上記複数のパワーアンプ回路ごとに対して備えられ、上記電源回路から供給される負荷電流レベルを検出する負荷電流検出手順と、
    上記負荷電流検出手順により検出される負荷電流レベルが過電流になったことを検出して後、過電流の状態に応じた上記マイクロコンピュータの制御によるパワーアンプ回路の停止が行われるまでの時間よりも短い待機時間を経過した時点から、上記電源回路からの出力電力量を制限させるようにして、上記電源回路に対する電力制御を行う制御手順と、
    を実行する電源制御方法。
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