JP4250781B2 - リチウム二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池の特性改良、とくに充放電サイクル寿命特性に関する。
【0002】
【従来の技術】
負極活物質にリチウム金属を用いる電池は、1950年代末の米国において軍事用および宇宙用の新しい高性能電池の開発プロジェクトにおいて初めて検討がなされた。リチウムは標準電極電位が低く電気化学当量が大きいので、負極活物質に使用すると従来の電池、例えば乾電池や鉛蓄電池と比べて高電圧、高エネルギー密度を有する電池が構成できる可能性が示された。1960年代後半には日本においてもリチウム電池に関する研究が開始され、世界で最初のリチウム電池は1970年代初頭に開発された。リチウム金属の化学反応性が極めて高く、安全な電池システムを見つけだすのが困難であったが、電解質に非プロトン性の有機電解液を用いることで安全性の高いリチウム電池が開発された。
【0003】
このリチウム電池は一次電池であり、充放電可能な二次電池が開発されるためには多くの課題が存在している。もっとも大きい課題としては、リチウムイオンがリチウム金属に還元され、基板となるリチウム金属表面上に析出する際に針状や樹枝状の生成物、いわゆるリチウムデンドライトを生成し、正極との間にあるセパレータを貫通してショートをおこし、いろいろな不都合を生じる。この現象は充放電電流密度により異なるが、いずれも電池サイクル寿命が低下するという課題が生じる。電池における充電反応は負極の還元反応に相当し、繰り返し充放電反応を行うリチウム二次電池では重大な課題となっている。
【0004】
前記課題を解決し、安定なリチウム二次電池を開発する手段として、負極活物質にリチウム金属の代わりにリチウムイオンを吸蔵、放出する黒鉛や炭素材料を負極活物質として用いる方法が検討され、1990年には正極にコバルト酸リチウム、負極にリチウムイオンを吸蔵、放出する炭素材料を用いたリチウム二次電池(リチウムイオン二次電池)が発表され、1991年より商品化されている。このリチウム二次電池はリチウム金属を使用していないので、上記リチウムデンドライトを生成せず安全であるとされ、長寿命かつ高エネルギー密度である特長を生かした小型携帯機器の電源として、現在その用途を急速に拡大している。
【0005】
しかし、負極に炭素材料を用いた場合、体積あたりのエネルギー密度はリチウム金属に比べ低いため、電池のエネルギー密度もリチウム金属を負極に用いた場合よりも相対的に低下する。すなわち、リチウム金属の理論容量は3860mAh/gであるが、リチウムイオン二次電池に用いられている黒鉛負極の放電容量は約300mAh/gと金属リチウムの10分の1以下である。電池のサイズによっても異なるが、実際に電池を構成した場合、黒鉛負極を用いたリチウムイオン二次電池は最大でも372Wh/lのエネルギー密度を有するが、リチウム金属を用いた二次電池は約400Wh/lのエネルギー密度が実現できる。よってエネルギー密度を向上させるためには、リチウム金属を負極活物質として使用することが望まれる。
【0006】
リチウムデンドライトが発生する機構については、様々な報告がなされているが、不明な部分が多く確定はされていない。そのうちの1つとして「リチウム析出・溶解過程の解析 大阪工業技術研究所 藤枝卓也著 第24回 電気化学講習会」では、とくにリチウム金属を用いた電池では、リチウムの結晶子間に存在する粒界にデンドライトを生成しやすいと報告している。すなわち粒界部分はエネルギー状態が高く、充電時のリチウム金属の析出反応が集中しやすいためデンドライト状リチウムが生成される。よって粒界のエネルギーを低下させるか、または粒界そのものを消滅させることで、総体的にエネルギー状態が均一なリチウム金属負極が得られ、充電時もリチウム負極上に均一かつ平滑にリチウム金属が析出すると予想される。
【0007】
リチウム金属の粒界を抑制する目的ではいくつかの検討がなされており、負極でのリチウム金属にアルミニウムやホウ素などを添加することにより合金を用いたり、あるいは電池の電解液中に様々な有機または無機物質を添加して均一にリチウム金属を析出させようとする試みがなされている。例えばアルミニウム塩を有機電解液に添加する発明に関しては、特開昭63−257183号公報がある。
【0008】
また、CO2ガスを有機電解液に添加する方法は特開平7−176323号公報があり、これは充電時にリチウムが均一に生成しないLiOHを抑制するためである。またCO2ガス雰囲気下で処理した金属リチウムを負極として電池に使用する方法は、特開平6−124700号公報がある。いずれも金属リチウム表面にLi2CO3皮膜を形成させることを目的としている。このLi2CO3皮膜は電気伝導性が良好であり、また表面のエネルギー状態が均一であるので、充電時のリチウム金属デンドライトの発生が抑制される。
【0009】
【発明が解決しようとしている課題】
前記の既に公に知られている手段により、リチウム金属負極を用いた電池の充放電サイクル特性は確かに向上している。しかし現在のリチウムイオン電池と比べると、必ずしも十分なサイクル特性とは言えない。
【0010】
そこで、本発明はデンドライト状リチウムの発生を抑制することにより、リチウム金属負極を用いて、高エネルギー密度を実現させ、かつ電池の充放電サイクル特性をさらに向上させたリチウム二次電池、リチウムイオンの吸蔵、放出が可能な物質を負極に使用し、急速充電を行っても長寿命なリチウム二次電池を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決し、デンドライト状リチウムの発生を抑制して、サイクル寿命特性を向上させることにより、リチウム金属負極を用いた場合、高エネルギー密度で長寿命のリチウム二次電池を提供するものである。本発明では有機電解液中にCO2ガスを添加することで化学的にリチウム金属表面部にCO2を固定して、Li2CO3皮膜を形成させる。さらに有機電解液中にマグネシウム元素を含有した塩を添加することにより、電池充電時には溶解したマグネシウムイオンがリチウム金属負極上の粒界部でとくに優先的に還元されてマグネシウム金属が生成し、その場でリチウム金属と反応することでその表面層において合金を生成する、つまり表面に傾斜機能をもたせるものである。その結果、Li2CO3皮膜の効果と合金の相乗効果により、単独の方法よりもさらにデンドライト状リチウムの生成が抑制されて平滑に析出し、安全で長寿命かつ高エネルギー密度電池が実現できるものである。
【0012】
また、リチウムイオンを吸蔵したり放出したりする機能がある炭素材料負極を用いた場合において、エネルギー密度は従来と同等で、マグネシウム塩とCO2ガスを添加することで長寿命リチウムイオン二次電池を実現することができる。この理由として、炭素材料を負極に用いた場合にはデンドライト状リチウムの生成は起きないが、特別な場合、すなわち充電電流密度を増加して行う急速充電時においては炭素材料負極がリチウムイオンを吸蔵しにくくなり、その結果デンドライト状リチウムの生成が起こることがある。このため急速充電を行ったリチウムイオン二次電池については、サイクル寿命特性が低下する。よって、有機電解質にマグネシウム塩を添加することで、急速充電を行う場合についても長寿命リチウムイオン二次電池を実現できる。この効果は他のリチウムを吸蔵放出可能なポリマー、合金あるいは金属化合物を負極に用いた場合でも同様に得られるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、各請求項に記載する形態によって実施できるものである。すなわち、請求項1記載に係る発明のように、正極と、リチウム金属の負極と、電池構成時にマグネシウム塩とCO2ガスの両方を含有する有機電解質を構成要素とすることにより実施し得る。そして本発明によれば、少なくとも電池の充電時に、リチウム金属負極においては、有機電解液中に溶存しているCO2ガスがリチウム金属表面部に固定されて、Li2CO3が生成される。またそれと同時に、マグネシウムイオンが選択的にリチウム金属表面の粒界部で還元、析出し、表面層においてリチウムと合金を生成する。そのため以降の充電ではリチウムデンドライトの生成を抑制してサイクル寿命特性を向上させることができる。
【0014】
また、請求項2記載に係る発明のように、負極にリチウム金属を使用しないで、リチウムイオンを吸蔵したり、放出したりすることが可能な物質を負極として使用した場合においても、急速充電してもデンドライト状リチウムが発生しないので長寿命リチウム二次電池を実現することができる。
【0015】
また、請求項1または2記載に係る発明のように、マグネシウム塩は、有機電解質中のリチウムイオン1molに対し0.01〜1mol含有させるようにすれば良好な結果が得られる。
【0016】
すなわち、マグネシウム塩のリチウムイオン1molに対する添加量が0.01mol以下であるとマグネシウム合金が充分に機能しない。また、マグネシウム塩の添加量が1mol以上であると、必要なリチウムの析出よりもマグネシウムの析出が過剰に起こり、リチウムイオンの析出、拡散が阻害されることにより、高率充放電特性、低温充放電特性が低下するので好ましくない。
【0017】
また、請求項1または2記載に係わる発明のように、有機電解質は、有機電解液単独であっても、または有機電解液と高分子電解質の混合物であってもよい。
【0018】
また、請求項1または2記載に係る発明のように、マグネシウム塩は、商業的に入手しやすいMg(ClO4)2,MgSO4,Mg(PO4)2,MgBr2の中から選ぶことが実際的である。
【0019】
また、請求項1または2記載に係る発明のように、CO2ガスは有機電解液1Lに対して、流量2L/分で1〜5分間添加するようにすれば良好な結果が得られる。
【0020】
すなわち、CO2ガスの有機電解液に対する添加量は1分間では2Lであり、これ以下の添加量ではリチウム金属表面にLi2CO3が生成しない。また、添加時間5分間で有機電解液中のCO2ガス濃度が飽和に達するので、これ以上添加しても無駄になるばかりでなく、時間当たりの有機電解液作成量が減少するので好ましくない。
【0021】
また、請求項3に記載に係る発明のように、負極にリチウム金属を使用しないでリチウムイオンを吸蔵したり放出したりすることが可能な物質を使う場合には、その物質として、ポリマー,炭素,黒鉛,金属酸化物あるいは合金の中から選ぶことができる。
【0022】
【実施例】
次に、本発明の具体例を図面とともに説明する。
【0023】
(実施例1)
エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートを等体積量混合した溶媒に、電解質であるLiPF6を1mol/dm3となるように添加して調製した有機電解液を標準とした。前記有機電解液にCO2ガスを1Lに対して、流量2L/分で5分間とMgBr2をリチウムイオン1molに対して1mol添加して有機電解液Aを得た。
【0024】
<電池性能評価>
図1にコイン型電池の構成図を示す。図1において1は電池正極外装缶で電池負極外装缶2との間にガスケット3を介して、内部に正極4、負極5ならびにセパレータに含浸させた有機電解質6を充填しているものである。
【0025】
図1のコイン型電池で、厚み0.3mmで15φのリチウム金属からなる負極5と、厚み0.08mmで15φのLiCoO2からなる正極4を用い、正極4と負極5との間に厚み25μmポリエチレン製セパレータに上記の有機電解液Aを含浸させて有機電解質6として、総高1.6mm、理論容量5mAhのコイン型電池Aを構成した。
【0026】
(比較例)
比較のため、CO2ガスもマグネシウム塩も添加していない標準の有機電解液を用いて、実施例1と同様にして、容量5mAhのコイン型電池Bを構成した。
【0027】
図2にコイン型電池AおよびBのサイクル寿命特性を示す。試験条件は電池電圧が4.2Vになるまで1mAの電流で充電した後に定電圧充電に移行し、4.2Vのまま容量5mAhになるまで充電を行った。また放電は1mAの電流で電池電圧が3.0Vに達するまで行った。充電と放電との間の休止時間は5分間とした。サイクル寿命は理論容量に対して放電容量が60%に達したときとした。試験はすべて20℃で行った。
【0028】
図2より、従来品であるコイン型電池Bは、サイクル寿命が70サイクルとなったが、本発明品であるコイン型電池Aは200サイクルまで向上できた。
【0029】
(実施例2)
エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートを等体積量混合した溶媒に、電解質であるLiPF6を1mol/dm3となるように調製した有機電解液を標準とした。前記有機電解液にCO2ガスを1Lに対して、流量2L/分で5分間含有させ、MgBr2をリチウムイオン1molに対して1mol,0.01mol,10molをそれぞれ添加し、有機電解液A,CおよびDを得た。
【0030】
<電池性能評価>
実施例1と同様にして、厚み0.3mmで15φのリチウム金属からなる負極5と、厚み0.08mmで15φのLiCoO2からなる正極4を用い、正極と負極との間に厚み25μmポリエチレン製セパレータに上記の有機電解液A,CおよびDをそれぞれ含浸させて有機電解質6とし、総高1.6mm、理論容量5mAhのコイン型電池A,CおよびDを構成した。
【0031】
(比較例)
比較のため、CO2ガスもマグネシウム塩も添加しない標準の有機電解液を用いて、実施例2に示した電池A,CおよびDと同じ方法により容量5mAhhのコイン型電池Bを構成した。また標準電解液にCO2ガスを1Lに対して、流量2L/分で5分間含有させ、MgBr2をリチウムイオン1molに対して0.001molおよび2mol添加して有機電解液EおよびFを得て、実施例2に示した電池A,CおよびDと同じ方法により容量5mAhのコイン型電池Eを構成した。
【0032】
図3にこれらコイン型電池のサイクル寿命特性を示す。条件は実施例1と同様とし、電池電圧が4.2Vになるまで1mAの電流で充電した後に定電圧充電に移行して、4.2Vのまま容量5mAhになるまで充電を行った。また放電は1mAの電流で電池電圧が3.0Vに達するまで行った。充電と放電との間の休止時間は5分間とした。サイクル寿命は理論容量に対して放電容量が60%に達したときとした。試験はすべて20℃で行った。
【0033】
図3より、標準品であるコイン型電池Bはサイクル寿命が70サイクルであるのに対して、コイン型電池Cは110サイクルであった。寿命が低下することは防止できたが、本発明品であるコイン型電池Aの200サイクルよりもその効果は小さい。またコイン型電池Dは120サイクルであり、コイン型電池Bと比較して寿命が向上したが、本発明品であるコイン型電池Aよりも効果は小さい。これは合金の生成によりリチウムデンドライトは抑制できたが、必要なリチウムの析出よりもマグネシウムの析出が過剰に起るために、効果が相殺されてサイクル寿命特性の著しい向上が見られないためである。
【0034】
コイン型電池Eは72サイクルであり、コイン型電池Bと同等であることから、コイン型電池Eの添加量0.001molでは効果がないと考えられる。またコイン型電池Fは45サイクルであり、コイン型電池Bよりも低下した。これは添加量が2molと多すぎるためであると考える。
【0035】
(実施例3)
エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートを等体積量混合した溶媒に、電解質であるLiPF6を1mol/dm3となるように調製した有機電解液を標準とした。前記有機電解液にCO2ガスを1Lに対して、流量2L/分で5分間とMgBr2をリチウムイオン1molに対して1mol添加して有機電解液Aを得た。
【0036】
<電池性能評価>
上記の方法で得た有機電解液Aを用いて、厚み0.3mmで15φのリチウム金属からなる負極5と、厚み0.08mmで15φのLiCoO2からなる正極4を用い、正極と負極との間に厚み25μmポリエチレン製セパレータを用いて、総高1.6mm、理論容量5mAhのコイン型電池Aを構成した。
【0037】
(比較例)
比較のため、標準の有機電解液を用いて炭酸ガスを添加した後、MgBr2をリチウムイオン1molに対して1mol添加するのは同じとし、炭酸ガスを有機電解液1Lに対して、流量2L/分で30秒間、30分間それぞれ添加した有機電解液GおよびHを得た。そして実施例1と同様にして、容量5mAhのコイン型電池GおよびHを構成した。
【0038】
図4にこれらコイン型電池のサイクル寿命特性を示す。条件は実施例1と同様とし、電池電圧が4.2Vになるまで1mAの電流で充電した後に定電圧充電に移行して、4.2Vのまま容量5mAhになるまで充電を行った。また放電は1mAの電流で電池電圧が3.0Vに達するまで行った。充電と放電との間の休止時間は5分間とした。サイクル寿命は理論容量に対して放電容量が60%に達したときとした。試験はすべて20℃で行った。
【0039】
図4より、コイン型電池Gはサイクル寿命が72サイクルとなったが、本発明品であるコイン型電池Aは200サイクルまで向上できた。コイン型電池Gについては寿命が低下することは防止できたが、コイン型電池Aよりもその効果は小さい。またコイン型電池Hも220サイクルまで寿命が改善された。しかし電池Aと比較して電池特性では優位性がなく、コイン型電池Hを作成する場合、コイン型電池Aと比較して電解液を作成するのに6倍時間がかかり、量産性の点からは好ましくなく、コイン型電池Aが望ましいといえる。
【0040】
(実施例4)
エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートを等体積量混合した溶媒に、電解質であるLiPF6を1mol/dm3となるように調製した有機電解液を標準とした。前記有機電解液にCO2ガスを1Lに対して、流量2L/分で5分間とMgBr2をリチウムイオン1molに対して1mol添加して有機電解液Aを得た。この有機電解液Aを厚み25μmのポリエチレンオキシドに添加してゲル状高分子電解質Iを得た。
【0041】
<電池性能評価>
上記の方法で得た有機電解液Aを用いて、実施例1と同様にして、厚み0.3mmで15φのリチウム金属からなる負極5と、厚み0.08mmで15φのLiCoO2からなる正極4を用い、正極と負極との間に厚み25μmポリエチレン製セパレータに上記方法で得た有機電解液Aを含浸させ有機電解質とし、総高1.6mm、理論容量5mAhのコイン型電池Aを構成した。
【0042】
また実施例1と同様にして、厚み0.3mmで15φのリチウム金属からなる負極5と、厚み0.08mmで15φのLiCoO2からなる正極4を用い、正極と負極との間に上記の方法で得たゲル状高分子電解質Hを有機電解質とし、総高1.6mm、理論容量5mAhのコイン型電池Iを構成した。
【0043】
(比較例)
比較のため、CO2ガスもマグネシウム塩も添加しない標準の有機電解液を用いて、実施例4に示した電池AおよびIと同じ方法により容量5mAhのコイン型電池Bを構成した。また標準電解液を厚み25μmのポリエチレンオキシドに添加してゲル状高分子電解質Jを得て、実施例4に示した電池AおよびIと同じ方法により容量5mAhのコイン型電池Jを構成した。
【0044】
図5にこれらコイン型電池のサイクル寿命特性を示す。条件は実施例1と同様とし、電池電圧が4.2Vになるまで1mAの電流で充電した後に定電圧充電に移行して、4.2Vのまま容量5mAhになるまで充電を行った。また放電は1mAの電流で電池電圧が3.0Vに達するまで行った。充電と放電との間の休止時間は5分間とした。サイクル寿命は理論容量に対して放電容量が60%に達したときとした。試験はすべて20℃で行った。
【0045】
図5よりコイン型電池Bはサイクル寿命が70サイクルであり、またコイン型電池Jの100サイクルに対して、本発明品であるコイン型電池Iは250サイクルであり、コイン型電池Aの200サイクルと比較してもサイクル寿命特性は向上した。コイン型電池Aと比較してサイクル寿命特性が向上した理由としては、高分子電解質と有機電解質との性質の違いがある。高分子電解質の方が固体状態であるので、デンドライト状リチウムを抑制でき、かつ電解質全面に電流が均一に流れるためにデンドライト状リチウムが発生しにくくなるためである。
【0046】
(実施例5)
エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートを等体積量混合した溶媒に、電解質であるLiPF6を1mol/dm3となるように調製した有機電解液を標準とした。前記有機電解液にCO2ガスを1Lに対して、流量2L/分で5分間とMgBr2をリチウムイオン1molに対して1mol添加して有機電解液Aを得た。
【0047】
<電池性能評価>
実施例1と同様にして、厚み0.3mmで15φのリチウム金属からなる負極5と、厚み0.08mmで15φのLiCoO2からなる正極4を用い、正極と負極との間に厚み25μmポリエチレン製セパレータに上記方法で得た有機電解液Aを含浸させ有機電解質とし、総高1.6mm、理論容量5mAhのコイン型電池Aを構成した。
【0048】
また、同様にして厚み0.3mmで15φの炭素材料からなる負極5と、厚み0.08mmで15φのLiCoO2からなる正極4を用い、正極と負極との間に厚み25μmポリエチレン製セパレータを用いて、総高1.6mm、理論容量5mAhのコイン型電池Lを構成した。この場合、有機電解液Aは使用できないので、プロピレンカーボネートの代りにジエチルカーボネートを使用して、有機電解液Lを作成して用いた。その理由としては、炭素負極とプロピレンカーボネートが反応して、ガス発生を起こし電池を破裂させるためである。
【0049】
(比較例)
比較のため、CO2ガスもマグネシウム塩も添加しない標準の有機電解液Bを用いて、実施例5に示した電池Aと同じ方法により、容量5mAhのコイン型電池Bを構成した。
【0050】
また、標準の有機電解液のうち、プロピレンカーボネートの代りにジエチルカーボネートを使用した有機電解液Mを作製し、その有機電解液Mを用いて、実施例5に示した電池Lと同じ方法により、容量5mAhのコイン型電池Mを構成した。
【0051】
図6にこれら電池のサイクル寿命特性を示す。条件は急速充電するために電池電圧が4.2Vになるまで3mAの電流で充電した後に定電圧充電に移行して、4.2Vのまま容量5mAhになるまで充電を行った。また放電は1mAの電流で電池電圧が3.0Vに達するまで行った。充電と放電との間の休止時間は5分間とした。サイクル寿命は理論容量に対して放電容量が60%に達したときとした。試験はすべて20℃で行った。
【0052】
図6より、コイン型電池Bはサイクル寿命が20サイクルであり、またコイン型電池Mの50サイクルに対して、本発明品であるコイン型電池Lは200サイクルであり、コイン型電池Aの150サイクルと比較してもサイクル寿命特性は向上した。急速充電ではデンドライト状リチウムがより発生しやすくなるので、1mAの電流で充電した場合と比較してサイクル寿命特性は低下する。また負極に炭素材料を用いたリチウムイオン二次電池においてはこのサイズの場合、1mAでの電流では500サイクル以上のサイクル寿命特性を示すが、3mAでの電流ではデンドライト状リチウムが発生するためにサイクル寿命特性が低下する。しかし、本発明品であるマグネシウム塩とCO2ガスを添加することでデンドライト状リチウムの発生を抑制するので、サイクル寿命特性の低下を防止できる。リチウムイオン二次電池については、初充放電において正極から炭素負極中に取り込まれたまま、充放電に関与できないリチウムイオンが発生するので、理論容量よりも実容量は0.5mA低下した。
【0053】
なお、本発明の実施例においては、マグネシウム塩として、MgBr2を用いたが、Mg(ClO4)2やMgSO4やMg(PO4)2などであってもよい。
【0054】
また、電解質塩としてLiPF6を用いたが、LiBF4やLiClO4などを用いてもよい。
【0055】
本発明の実施例においては、有機電解液溶媒にエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネートを用いたが、ジメチルカーボネートやエチルメチルカーボネートなどの他の炭酸エステル溶媒やジメトキシエタンなどのエーテル溶媒などであってもよい。
【0056】
また、本発明の実施例においては、高分子電解質にポリエチレンオキシドを用いたが、ポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル化合物や、ポリアクリロニトリルなどであってもよい。
【0057】
また、本発明の実施例においては、リチウム二次電池正極としてLiCoO2を用いたが、LiNiO2やLiMn2O4やV6O13などであってもよい。
【0058】
また、本発明の実施例においては、リチウム二次電池負極としてリチウム金属と炭素材料を用いたが、他のリチウムを吸蔵放出可能なポリマー、金属化合物、合金などであってもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、リチウム二次電池において、有機電解質にCO2ガスと少なくとも1種類以上のマグネシウム塩の両方を添加することで、サイクル寿命特性が向上し、かつ高エネルギー密度のリチウム二次電池を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明および比較例のコイン型電池の構成断面図
【図2】本発明および比較例のコイン型電池のサイクル充放電特性を示す図
【図3】本発明および比較例のコイン型電池のサイクル充放電特性を示す図
【図4】本発明および比較例のコイン型電池のサイクル充放電特性を示す図
【図5】本発明および比較例のコイン型電池のサイクル充放電特性を示す図
【図6】本発明および比較例のコイン型電池のサイクル充放電特性を示す図
【符号の説明】
1 電池負極外装缶
2 電池正極外装缶
3 ガスケット
4 負極
5 正極
6 有機電解質
A コイン型電池Aのサイクル充放電特性
B コイン型電池Bのサイクル充放電特性
C コイン型電池Cのサイクル充放電特性
D コイン型電池Dのサイクル充放電特性
E コイン型電池Eのサイクル充放電特性
F コイン型電池Fのサイクル充放電特性
G コイン型電池Gのサイクル充放電特性
H コイン型電池Hのサイクル充放電特性
I コイン型電池Iのサイクル充放電特性
J コイン型電池Jのサイクル充放電特性
K コイン型電池Kのサイクル充放電特性
L コイン型電池Lのサイクル充放電特性
M コイン型電池Mのサイクル充放電特性
Claims (3)
- 正極と、リチウム金属の負極と、電池構成時にマグネシウム塩とCO2ガスの両方を含有する有機電解質を構成要素とすることを特徴とするリチウム二次電池であって、前記有機電解質は、有機電解液または有機電解液と高分子電解質との混合物のいずれかからなり、前記マグネシウム塩は、有機電解質中のリチウムイオン1molに対して0.01〜1mol含有されており、かつ前記マグネシウム塩は、Mg(ClO4)2,MgSO4,Mg(PO4)2,MgBr2からなる群から選ばれた少なくとも1つのマグネシウム塩であり、さらに、前記CO2ガスは有機電解液1Lに対して、流量2L/分で1分間ないし5分間添加することで含有されたものであることを特徴とするリチウム二次電池。
- 正極と、リチウムイオンを吸蔵したり放出したりすることが可能な物質からなる負極と、電池構成時にマグネシウム塩とCO2ガスの両方を含有する有機電解質を構成要素とすることを特徴とするリチウム二次電池であって、前記有機電解質は、有機電解液または有機電解液と高分子電解質との混合物のいずれかからなり、前記マグネシウム塩は、有機電解質中のリチウムイオン1molに対して0.01〜1mol含有されており、かつ前記マグネシウム塩は、Mg(ClO4)2,MgSO4,Mg(PO4)2,MgBr2からなる群から選ばれた少なくとも1つのマグネシウム塩であり、さらに、前記CO2ガスは有機電解液1Lに対して、流量2L/分で1分間ないし5分間添加することで含有されたものであることを特徴とするリチウム二次電池。
- リチウムイオンを吸蔵したり放出したりする機能を有する物質は、ポリマー,炭素,黒鉛,金属酸化物および合金よりなる群から選ばれた物質であってリチウムイオンを吸蔵したり放出したりする機能を有する物質であることを特徴とする請求項2記載のリチウム二次電池。
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