JP4250317B2 - 高効率給湯器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バーナを利用して水を加熱する給湯器に関し、特に熱効率の向上を図った高効率給湯器に関する。
【0002】
【従来の技術】
高効率給湯器は、熱交換器の熱効率を向上させるために燃焼ガスの潜熱を利用したものが知られている。例えば特許第3041976号特許掲載公報においては、ファンによって強制排気される燃焼ガスと水とを間接的に熱交換する間接熱交換器を設ける一方、その燃焼ガスの排気側下流に、燃焼ガス中に水を散布して燃焼ガスと水とを直接的に熱交換させる直接熱交換器と、直接熱交換器の下部にあって散布された湯をためる貯湯器内で湯と水とを間接的に熱交換させる水用熱交換器とを設けて、直接熱交換器で燃焼ガス中の水蒸気の潜熱を回収して水用熱交換器で水を予熱してから、間接熱交換器で燃焼ガスの顕熱で水を加熱する給湯器の発明が開示されている。同様に、特開平59−125350号公報においては、間接熱交換器の排気側下流に、燃焼ガスを水を主成分として設けた液槽内に通過させて潜熱を回収し、液槽内に設けた熱交換パイプで水を予熱する液−液熱交換器を設けた給湯器の発明が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前者の公報の発明は、水の散布による熱交換であるため、熱交換が不十分で効率の良い潜熱回収ができない。又、散布水は全て排水される構成となっているから、無駄水の量が多くなってしまう。
一方、後者の公報の発明においては、液槽を利用した液−液熱交換器によって潜熱回収の効率が良く、無駄水の発生も少なくて済むが、燃焼用空気を供給するファンが間接熱交換器の上流側に位置するいわゆる押し込み式のものであるから、燃焼ガスを液槽内に通過させるために燃焼室の内圧が高くなり、燃焼ガスが漏洩するおそれが生じる。又、潜熱の回収によって液槽からオーバーフローした排出液が排水されることとなるが、この排出液は強酸性のためそのまま下水へ排出できず、条例等で定められた排水基準値内のpH値に中和処理する中和装置が必要となる。
【0004】
そこで、請求項1に記載の発明は、液槽を利用した液−液熱交換器によって効率の良い潜熱回収を維持しつつ、液−液熱交換器を用いても燃焼室の内圧上昇による燃焼ガスの漏洩のおそれを生じさせない高効率給湯器を提供することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、バーナを備えた燃焼室内に、燃焼ガスと水とを間接的に熱交換させる主熱交換器を設け、その主熱交換器の排気側下流に、燃焼ガスを通過させる液槽を有し、その液槽と主熱交換器への給水とを熱交換させる補助熱交換器を設け、燃焼室における補助熱交換器の排気側下流に、燃焼室内にバーナの燃焼用空気を吸引排気するファンを設ける一方、液槽に、液槽内に水を補給する補水管を設けるとともに液槽内の温度を検出する温度検出手段を設け、液槽内の温度が所定値を超えると、液槽内へ水を補給して液槽内の温度を調整するとともに、液槽に、所定水位を超えた液を排水するオーバーフロー管を設け、オーバーフロー管内の排水に、主熱交換器を経て給湯箇所に出湯された排水を混合する高効率給湯器としたものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、液槽からの排出液を確実に中和処理するために、オーバーフロー管に、オーバーフロー管内の排水を中和する中和装置を設けたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の目的に加えて、より高い熱効率を得るために、燃焼室に供給される燃焼用空気の給気口を、ファンの排気側下流に設けられる排気口の近傍に配置して、燃焼室及び排気口を通過する燃焼ガスによって給気経路及び給気口を通過する燃焼用空気を予熱可能としたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、高効率給湯器(以下「給湯器」という。)1の概略図で、燃焼室2内には、バーナユニット(以下「ユニット」という)3,3が備えられる。各ユニット3には、ガス管4から各ユニット3,3へ分岐する分岐管5,5が接続され、各分岐管5ごとに切替電磁弁6が夫々設けられている。7は分岐前のガス管4に設けられた比例弁である。又、燃焼室2内には、燃焼ガスの顕熱回収部となる主熱交換器8と、主熱交換器8の排気側下流で、燃焼ガスの潜熱回収部となる補助熱交換器9との2つの熱交換器が設けられ、補助熱交換器9の排気側下流に、燃焼用空気を燃焼室2内に吸引し、給湯器外部へ排出するファン10が備えられている。11は給湯器1のハウジングに形成された給気口、12は排気口で、ここでは、給気口11が排気口12の近傍に設けられている。よって、給気口11から取り込まれた燃焼用空気は、実線矢印で示すように燃焼室2に隣接する給気経路11aを経由して燃焼室2の下方から燃焼室2内に吸引され、各ユニット3の燃焼に費やされるが、給気口11が排気口12の近傍にあることから、燃焼用空気は燃焼室2の外周を通過する間に燃焼ガスと熱交換(予熱)されることになる。
【0008】
一方、給湯器1へ接続される給水管13は、まず補助熱交換器9と接続される。補助熱交換器9は、水を溜めた液槽14と、液槽14の底面積よりも小さい開口で液槽14内とファン10とを接続する排気通路15と、基端を燃焼室2内に開口させ、複数の小孔を形成した先端部を液槽14内に設置した導入パイプ16と、液槽14内に浸される熱交換パイプ17とからなり、給水管13は熱交換パイプ17に接続されている。又、液槽14には、先端が液槽14の上面近くに位置するオーバーフロー管18が接続され、液槽14の所定水位を超えた水は、オーバーフロー管18を介して給湯器1外部の下水管33へ排水されるようになっている。19は、給水管13から分岐して液槽14へ接続された補水管で、補水バルブ20が設けられている。
そして、補助熱交換器9の熱交換パイプ17は、液槽14の出口で中継管21に接続され、中継管21は主熱交換器8の吸熱管22に接続されている。吸熱管22には、フィン23,23・・が設けられると共に、主熱交換器8の出湯側で出湯管24に接続されて給湯器1の外部へ導かれている。25は、主熱交換器8をバイパスして中継管21と出湯管24とに接続されたバイパス管である。
【0009】
更に、出湯管24は、所定の給湯場所に分岐して、夫々給湯栓26,26・・により開閉される。ここで、各給湯場所の排水管27,27・・は、全てオーバーフロー管18に接続されていることから、各給湯場所の排水は、オーバーフロー管18の排水と混合されて下水管33へ流されることになる。
一方、給水管13には、給水管13内を流れる水量を検出する水量センサ28と、入水温度を検出する入水温サーミスタ29が、出湯管24には、主熱交換器8の内胴出口温度を検出する熱交換器サーミスタ30と、その下流側で出湯温度を検出する出湯温サーミスタ31が夫々設けられている。そして、32はコントローラ(図では「BC」と表示する。)で、水量センサ28による水量検出信号や各サーミスタによる温度検出信号が夫々入力され、コントローラ32は、検出された水量、入水温度、出湯温度から設定温度の出湯に必要な燃焼出力量を演算し、その演算結果に基づいて比例弁7の開度制御と切替電磁弁6,6の開閉による各ユニット3の燃焼制御とを実行すると共に、ファン10の回転数を制御する。
【0010】
以上の如く構成された給湯器1においては、給湯栓26,26・・の何れかが開栓され、給水管13内を水が流れると、その水量を水量センサ28によって検知したコントローラ32がユニット3,3を燃焼させる。ユニット3,3の燃焼により発生した高温の燃焼ガスは、まず主熱交換器8のフィン23,23・・間を通過することで、吸熱管22内の水を加熱する。そして燃焼ガスは、点線矢印で示すように、その下流で補助熱交換器9の導入パイプ16を介して液槽14内に入り、気泡となって液槽14を通過する。このとき燃焼ガスは、液温が露点以下では燃焼ガス中のH2 O蒸気が潜熱を発生して水となり、水中に取り込まれるため、液槽14内の水が加熱される。よって、燃焼ガスは略液温と等しくなって排気通路15からファン10を経て排気口12から外部に排気される。
従って、給水管13から給湯器1内に導かれる水は、補助熱交換器9の熱交換パイプ17を通過する際に、燃焼ガスの潜熱によって加熱された液槽14内の水と熱交換することで、予熱が与えられ、その後、主熱交換器8において高温の燃焼ガスとの熱交換で加熱され、湯として出湯管24から出湯されることになる。
【0011】
尚、液槽14内の温度が高くなると、それだけ熱交換パイプ17内の水への予熱が大きくなるが、液槽14内の温度が高すぎて燃焼ガスの露点を越えると、燃焼ガスの潜熱が回収できなくなるので、コントローラ32は、液槽14に設けられた液槽サーミスタ35から得られる温度検出信号に基づいて、補水バルブ20を開閉制御して液槽14内の水温を調整する。図2は、空気過剰率(λ)と露点との関係を各ガス種ごとに示したグラフで、(A)が給気温度15℃、湿度60%の場合、(B)が給気温度30℃、湿度90%の場合で、例えばプロパン(「P」で示す)やブタン(「B」で示す)では、(A)の条件で空気過剰率1.0では約55℃以下で結露することになる。即ち、液槽14内の水温が燃焼ガスの露点以下となるように、液槽14内の温度調整を行うものである。
【0012】
そして、液槽14で燃焼ガス中のH2 O分が水となって液槽14の水量が増大すると、オーバーフロー管18から排出される。このとき、燃焼ガス中のNOX 、CO2 等が液槽14内に溶けるため、排出液は強酸性(pH3〜5)となるが、オーバーフロー管18には、排水管27が接続されているから、給湯器1の使用時には給湯箇所で使用された湯が全て排水されて混合されることとなり、排出液はpH5以上に薄められ、条例等で定められる排水基準値内のpH値として下水管33へ排出可能となる。
具体的には、ガスインプット30000kcal/hrの給湯器において、13A(天然ガス)では発生するドレンは4.88kg/hrで、pH3程度となるが、給湯器1で5℃の水を60℃にして出湯させる場合、使用水量は545kg/hrとなり、ドレン量の112倍、20℃の水を45℃にして出湯させる場合、使用水量は1200kg/hrとなり、ドレン量の246倍になる。この排水量でドレンを希釈するため、排水のpH値は5以下になることはない。尚、ここでの数値は熱効率100%で算出しているが、一般的には熱効率は95%以下となって潜熱とドレン発生量は小さくなるので、より安全側のpH値となる。
【0013】
このように上記形態の給湯器1によれば、従来の主熱交換器8に加えて、液−液の直接熱交換となる補助熱交換器9を採用したことで、燃焼ガスの顕熱と潜熱とを効果的に回収して熱効率を上昇させることができる。特に、燃焼用空気を取り込むファン10を補助熱交換器9の排気側下流に配置する吸い込み型としたことで、燃焼室2内が負圧となって燃焼ガスが漏洩するおそれはなくなると共に、潜熱回収後の低温の燃焼ガスを排気することとなるので、補助熱交換器9を用いない場合の吸い込み型と比較して、ファン10が小型であっても吸い込みによる強制排気が実現可能となり、給湯器1のコンパクト化やコストダウンが達成できる。
【0014】
又、ここでは、給気口11を排気口12の近傍に設けて、燃焼室2及び排気口12を通過する燃焼ガスによって給気口11及び給気経路11aを通過する燃焼用空気を予熱可能としているから、簡単な構成で一層の熱効率の向上が図られ、給湯器1のケーシングの放熱も少なくなる。特に、給湯器1が屋外に設置される場合、風による逆圧を受けにくくなって給気口11と排気口12とが同圧となるため、ファン10への負担が少なくなり、その分ファン10の一層の小型化が図られるという効果も得られる。
更に、液槽14のオーバーフロー管18から排出される排出液に、給湯箇所で排水される湯を混合して排水させているから、中和装置を用いることなく、簡単な構成で液槽14からの強酸性の排出液を適正なpH値に調整して下水へ排水可能となる。
【0015】
尚、上記形態では、オーバーフロー管18と排水管27との接続により液槽14からの排出液のpH値の調整を図っているが、図1の二点鎖線で示すように、中和剤として粒状炭酸カルシウム等を用いた中和装置34をオーバーフロー管18に設けて、排出液をオーバーフロー管18において中和処理することも可能である。このようにすれば、給湯箇所が浴槽等であって出湯分がそのまま排水されないような場合でも、確実に排出液の中和処理が可能となる。又、補助熱交換器9も、吸い込み型の排気形態で液−液の直接熱交換が可能な形態であれば、排気通路15や導入パイプ16、熱交換パイプ17等の形状は適宜変更可能で、例えば導入パイプの出口は小孔にせず、液槽14内にパンチングメタル等を設けて気泡を分割することもできる。
又、補助熱交換器9を採用せず、主熱交換器8のみを設けた給湯器であっても、上記形態のように給気口11を排気口12の近傍に配置すれば、燃焼ガスの潜熱回収を行わなくても燃焼用空気の予熱によって熱効率の向上を図ることが可能となり、コストダウンに繋がる。
【0016】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、従来の主熱交換器に加えて、液−液の直接熱交換となる補助熱交換器を採用したことで、燃焼ガスの顕熱と潜熱とを効果的に回収して熱効率を上昇させることができる。特に、燃焼用空気を取り込むファンを補助熱交換器の排気側下流に配置する吸い込み型としたことで、燃焼室内が負圧となって燃焼ガスの漏洩のおそれはなくなると共に、潜熱回収後の低温の燃焼ガスを排気することとなるので、ファンが小型であっても吸い込みによる強制排気が実現可能となり、給湯器のコンパクト化やコストダウンが達成できる。
また、請求項1に記載の発明によれば、液槽に、所定水位を超えた液を排水するオーバーフロー管を設け、オーバーフロー管内の排水に、主熱交換器を経て給湯箇所に出湯された排水を混合する構成としたことで、中和装置を用いることなく、簡単な構成で液槽からの排出液を中和処理可能となる。
さらに、請求項1に記載の発明によれば、液槽に、液槽内に水を補給する補水管を設けるとともに液槽内の温度を検出する温度検出手段を設け、液槽内の温度が所定値を超えると、液槽内へ水を補給して液槽内の温度を調整するため、液槽内の温度が高くなりすぎて、燃焼ガスの潜熱が効率良く回収できないといった事態を防止することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、オーバーフロー管に、オーバーフロー管内の排水を中和する中和装置を設けたことで、給湯箇所が浴槽等であって出湯分がそのまま排水されないような場合でも、確実に排出液の中和処理が可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、燃焼室への給気口を排気口の近傍に配置して、燃焼室及び排気口を通過する燃焼ガスによって給気経路及び給気口を通過する燃焼用空気を予熱可能としたことで、簡単な構成で一層の熱効率の向上が図られ、給湯器のケーシングの放熱も少なくなる。又、給湯器が屋外に設置される場合、風による逆圧を受けにくくなって給気口と排気口とが同圧となるため、ファンへの負担が少なくなり、その分ファンの小型化が図られるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】給湯器の概略図である。
【図2】(A)空気過剰率と露点との関係を示すグラフである。
(B)空気過剰率と露点との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・給湯器、2・・燃焼室、8・・主熱交換器、9・・補助熱交換器、10・・ファン、11・・給気口、12・・排気口、13・・給水管、14・・液槽、15・・排気通路、16・・導入パイプ、17・・熱交換パイプ、18・・オーバーフロー管、24・・出湯管、27・・排水管、32・・コントローラ、33・・下水管。
Claims (3)
- バーナを備えた燃焼室内に、燃焼ガスと水とを間接的に熱交換させる主熱交換器を設け、その主熱交換器の排気側下流に、前記燃焼ガスを通過させる液槽を有し、その液槽と前記主熱交換器への給水とを熱交換させる補助熱交換器を設け、前記燃焼室における前記補助熱交換器の排気側下流に、前記燃焼室内に前記バーナの燃焼用空気を吸引排気するファンを設ける一方、
前記液槽に、前記液槽内に水を補給する補水管を設けるとともに前記液槽内の温度を検出する温度検出手段を設け、前記液槽内の温度が所定値を超えると、前記液槽内へ水を補給して前記液槽内の温度を調整するとともに、
前記液槽に、所定水位を超えた液を排水するオーバーフロー管を設け、前記オーバーフロー管内の排水に、主熱交換器を経て給湯箇所に出湯された排水を混合する高効率給湯器。 - オーバーフロー管に、前記オーバーフロー管内の排水を中和する中和装置を設けた請求項1に記載の高効率給湯器。
- 燃焼室に供給される燃焼用空気の給気口を、ファンの排気側下流に設けられる排気口の近傍に配置して、前記燃焼室及び前記排気口を通過する燃焼ガスによって給気経路及び前記給気口を通過する燃焼用空気を予熱可能とした請求項1又は2に記載の高効率給湯器。
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