JP4249547B2 - 内燃機関用吸気装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用吸気装置に関し、特に各気筒の燃焼室に2つの吸気管路を並列接続し、且つ負圧応動アクチュエータで駆動される開閉弁を一方の吸気管路に設けたデュアルポート型吸気マニホルドを含む吸気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の吸気装置として、1つの気筒の燃焼室に対して2つの吸気管路を並列接続し、負圧応動アクチュエータで開閉駆動されるバタフライ弁により、一方の吸気管路を機関の運転状態に応じて開閉するよう構成したものが知られている(実公平3−41056号公報を参照されたい)。
【0003】
【特許文献1】
実公平3−41056号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなデュアルポート型吸気マニホルドを備えた吸気装置においては、2つの吸気管路の連通状態を切り換えるバタフライ弁を開閉駆動するために負圧応動アクチュエータが用いられているが、この負圧応動アクチュエータは、従来、独立した機器として構成され、何らかのブラケットなどを用いてエンジンの適所に固定されることが通例であった。そのため、負圧応動アクチュエータへの負圧の供給を制御するための電磁弁を経て引回される配管が比較的長いものになりがちであり、これに基因して部品点数や組付工数の削減を図ることが困難であった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、部品点数や組付工数を削減すべく構成が簡略化された内燃機関用吸気装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を果たすために、本発明による請求項1においては、複数の気筒の各燃焼室に個々に連結された複数の独立吸気管(25)と、該独立吸気管のそれぞれが連通する共通のサージタンク(24)とを備えた吸気マニホルド体(26)を含む内燃機関用吸気装置であって、前記吸気マニホルド体は、スロットルボディ(22)の連結部(30)と前記サージタンクのエンジン側の壁(24a)とを一体形成された内側ブロック(31)と、前記サージタンクの反エンジン側の壁(24b)と前記独立吸気管の外側半分(25a)を一体形成された外側ブロック(32)と、前記独立吸気管の対シリンダヘッド結合端(25c)と前記独立吸気管の内側半分(25b)を一体形成された中間ブロック(35)とにより3分割構成されており、前記外側ブロックと前記中間ブロックによって構成される前記独立吸気管は、その少なくとも一部に吸気管路長が互いに異なる2つの管路(短管路27・長管路28)を並列に設けられており、前記中間ブロックには前記2つの管路の一方を開閉する弁(29)が組み込まれ、前記弁を駆動する負圧応動アクチュエータ(42)のケーシングのうち大気室を構成する部分(44)が前記中間ブロックと一体形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
このようにすれば、負圧応動アクチュエータを独立機器として取り扱う必要がなくなるので、部品点数および組付工数を削減することができる。
【0008】
また請求項2においては、負圧応動アクチュエータに負圧を供給する通路に設けられる電磁弁(43)の取付部(ステー部55)を、吸気マニホルド体における負圧応動アクチュエータの一部と近接する位置に一体成型するものとした。これにより、負圧応動アクチュエータと電磁弁との間の連結配管を短縮化し得る。
【0009】
さらに請求項3においては、負圧畜圧タンク(負圧チャンバ46)と、サージタンク(24)と、これらの間を連通し且つ逆止弁(負圧チェック弁48)が設けられた負圧連通路(筒状孔47)とを吸気マニホルド体の一部に一体成型するものとした。これにより、吸気管負圧を蓄えるための負圧畜圧タンクと吸気マニホルド体との間の連結配管を皆無にすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0011】
図1並びに図2は、本発明に基づいて構成された船外機のエンジン回りを示している。この船外機1は、スターンブラケット2を介して船尾板3に取り付けられる公知形式のものであり、そのエンジン4は、水平方向のチルト軸5回りで回動自在なようにスターンブラケット2に連結されたスイベルケース6と実質的に一体をなすマウントケース7上に搭載されている。そしてマウントケース7上に搭載されたエンジン4の略全体は、着脱自在なエンジンカバー8で覆われている。
【0012】
マウントケース7は、エクステンションケース9の上端に結合され、スクリューに至る駆動軸10とクランク軸11とがその内側で連結されている。
【0013】
エンジン4は、例えば直列4気筒のバーチカルクランク軸エンジンであり、クランクケース12、シリンダブロック13、及びシリンダヘッド14を有しており、航行時にはクランクケース12側が前方を向くように配置されている。またシリンダヘッド14には、吸気ポート15及び排気ポート16との連通が吸気弁17及び排気弁18で断続される燃焼室19が画成されている(図2)。
【0014】
クランクケース12、シリンダブロック13、及びシリンダヘッド14の一側面には、吸気装置20が対向して配設されている。この吸気装置20は、クランクケース12の進行方向についての前面に対向配置された吸気消音チャンバ21及びスロットルボディ22と、スロットルボディ22の出口に接続されたエルボ部23、エルボ部23から連続的に形成されたサージタンク部24、及びサージタンク部24から分岐されて各気筒の吸気ポート15に個々に連結された独立吸気管部25からなる吸気マニホルド体26とからなっている。この吸気装置20は、サージタンク部24がクランクケース12の側面にボルト止めされると共に、独立吸気管部25の下流側端部がシリンダヘッド14の側面にボルト止めされることでエンジン4に結合されている。
【0015】
シリンダブロック13の側方にシリンダ列方向に並設された独立吸気管部25の各独立管路には、吸気上流側に位置するサージタンク部24との接続部において、エンジンに近い側の短管路27と、エンジンから遠い側の長管路28との2つの管路が並列に設けられている。これらの2つの管路27・28は、その下流側で共通管路Cに連結されてシリンダヘッド14との結合端25cへと延出している。また各短管路27には、同時に同一方向に作動するバタフライ弁29が設けられている。
【0016】
吸気マニホルド体26は、その中間部に短管路27と長管路28とを並列に設けた独立吸気管部25と中空のサージタンク部24とを、基本的に2つ割の合わせ金型を用いて成型するために、図3に示したように、3つのブロックで構成されている。即ちこの吸気マニホルド体26は、図4に併せて示すように、対スロットルボディ結合部30及びサージタンク部24のエンジン側の壁24aを形成する内側ブロック31と、エンジン側に曲率中心をおく適宜な曲率で湾曲した吸気流線に沿う面P1で分割される独立吸気管部25の外周側の半部25a及びサージタンク24の反エンジン側の壁24bの一部を形成する外側ブロック32と、独立吸気管部25の内周側の半部25b、独立吸気管部25の対シリンダヘッド結合端25c、バタフライ弁支持部33、短管路27の上流側開口端34、及びサージタンク24の反エンジン側の壁24bに連続するエルボ部23を形成する中間ブロック35とからなっている。なお、内側ブロック31と中間ブロック35とは、サージタンク部24のエンジン側の壁24aに概ね平行な面P2に沿って分割される。
【0017】
これら3つのブロック31・32・35は、それぞれが合成樹脂材の射出成型によって個々に形成された後、例えば振動溶着法によって一体結合されるが、互いの接合面には、図5に示したように、凹部36と凸部37とが形成されており、凸部37が溶融して凹部36に溶着するように、所定の溶融代38が凸部37に設けられている。
【0018】
4つのバタフライ弁29は、図6に示したように、それぞれ個別に形成された軸ホルダ39a〜39cにより、その両端40a・40b並びに中間部40cが支持された共通の軸40上に設けられている。軸40の一端40bは、これに対応する軸ホルダ39bに形成された弾発片41により、がたがなく、且つ円滑に回動可能なように、径方向についての弾発力が加えられている。また外側ブロック32に一体形成された軸ホルダ39aは、軸40の他端40aに微小な隙間を介して対応し、中間部の3つの軸ホルダ39cは、軸40の中間部40cを極く緩く受容している。
【0019】
バタフライ弁29の軸40の他端40a側(クランク軸方向の上側)には、吸気管負圧で駆動される周知構造のダイヤフラムアクチュエータ42が連結されている。このダイヤフラムアクチュエータ42に対する負圧の供給を別途制御信号でオン/オフ駆動される電磁弁43で断続することにより、4つのバタフライ弁29が同時に開閉駆動されるようになっている。
【0020】
ここでダイヤフラムアクチュエータ42の大気室44は中間ブロック35に一体形成されており、部品点数の削減が図られている(図8)。
【0021】
内側ブロック31におけるサージタンク部24と隣接する位置には、図5に示すように、中間ブロック35におけるバタフライ弁29の近傍に形成された凹所45と共働して負圧チャンバ46を画成する膨出部46aが一体形成されている。つまり負圧チャンバ46は、エンジン側に曲率中心をおいて湾曲した独立吸気管部25の内周側に配置された短管路27のさらに内周側におけるバタフライ弁29の吸気下流側にてバタフライ弁29に隣接する位置に配置されている。そして負圧チャンバ46内の気筒列方向中間部には、サージタンク24内にその底部が連通した筒状孔47が形成されており、筒状孔47には、負圧チェック弁48が装着されている。この負圧チェック弁48は、比較的軟質なキノコ形の弁部材49と、弁部材49を所定範囲に渡って軸方向移動自在に支持し、且つ弁部材49が当接する弁座50を備えた弁支持部材51とからなり、Oリングなどのシール部材52を介して弁支持部材51が筒状孔47に嵌着されている。
【0022】
このようにして、負圧チャンバ46の大部分、サージタンク24の大部分、及びこれらの間を連通し且つ負圧チェック弁48を装着する筒状孔47が、吸気マニホルド体26を構成する中間ブロック35に一体成型されている。これにより、負圧チャンバ46に吸気管負圧を導くための連結配管を別途設ける必要を無くしている。
【0023】
この負圧チェック弁48の作用により、吸気管内の負圧が高まると、弁部材49が吸気管側に吸引されて弁座50から離れ、これによって負圧チャンバ46内が負圧になる。吸気管内の負圧が低下すると、弁部材49が弁座50に押し付けられ、負圧チャンバ46内の負圧が高い状態に保たれる。
【0024】
負圧チャンバ46は、間に電磁弁43を介したゴムチューブ53によってダイヤフラムアクチュエータ42の負圧室54に接続されており、電磁弁43のオン/オフ作動により、負圧チャンバ46とダイヤフラムアクチュエータ42の負圧室54との間の連通が断続されるようになっている。この電磁弁43は、図7に示すように、中間ブロック35の側面におけるダイヤフラムアクチュエータ42の大気室44に隣接する位置に一体形成されたステー部55にねじ手段をもって取り付けられており、負圧チャンバ46がバタフライ弁支持部33に近接配置されていることと相俟って、負圧チャンバ46、電磁弁43、及びダイヤフラムアクチュエータ42の負圧室54間を連結するゴムチューブ53のより一層の短縮化を実現している。
【0025】
上記構成により、ダイヤフラムアクチュエータ42の負圧室54に縮設された圧縮コイルばね56の伸長力でダイヤフラム57が大気室44側に押し出された状態では、バタフライ弁29が開き、バタフライ弁29の直前に位置する開口端34から共通管路Cを経て対シリンダヘッド結合端25cに到る短管路27が、長管路28の吸気上流端部と共に連通する状態(高速・高負荷運転領域)となる。また、ダイヤフラムアクチュエータ42の負圧室54に負圧を導入することによってダイヤフラム57を負圧室54側に引き寄せた状態では、バタフライ弁29が閉じ(図4に2点鎖線で示した状態)、短管路27の開口端34よりも吸気上流側にその開口端28aが位置する長管路28のみが連通する状態(低速・低負荷運転領域)となる。このようにして、エンジン4の運転状態に応じて吸気管路の断面積及び管路長を2段階に切り換えることができるようになっている。
【0026】
長管通路28の最上流部と短管通路27とを隔てる管壁58の下流側端縁と短管通路27のサージタンク24に対する開口34の端縁とは、図4に示したように、同一平面D上に置かれている。この平面Dは、独立吸気管部25の対シリンダヘッド結合端25cの軸線と共に金型のパーティング面に直交しており、これにより、中間ブロック35の型抜きに支障が生じないようにしている。なお、前記した負圧チャンバ46を形成する凹所45の軸線並びに負圧チェック弁48を装着する筒状孔47の軸線も、中間ブロック35の型抜きを考慮して共に金型のパーティング面に直交している。
【0027】
ダイヤフラムアクチュエータ42の大気室44の中心軸Aの向きは、中間ブロック35の型抜き方向、つまり平面Dに平行する方向に対して傾斜しているが(図8参照)、この大気室44は、別のスライド金型61を用いて成型される。なお、大気室44の開口面62を図8における真上に向け、中心軸Aを平面Dに平行させれば、別のスライド金型61を廃止することも可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述した通り本発明の請求項1によれば、各気筒の燃焼室に2つの吸気管路を並列接続し、且つ負圧応動アクチュエータ(ダイアフラムアクチュエータ)で駆動される開閉弁(バタフライ弁)を一方の吸気管路(短管路)に設けたデュアルポート型吸気マニホルドを含む内燃機関用吸気装置において、負圧応動アクチュエータの少なくとも一部、即ち大気室を吸気マニホールド体(中間ブロック)と一体成型するものとしたので、負圧応動アクチュエータを独立機器として取り扱う必要を無くすことができる。即ちこの構成により、部品点数および組付工数を削減する上に大きな効果を奏することができる。
【0029】
また請求項2によれば、負圧応動アクチュエータに負圧を供給する通路に設けられる電磁弁の取付部(ステー部)を、吸気マニホルド体における負圧応動アクチュエータの一部と近接する位置に一体成型するものとしたので、負圧応動アクチュエータと電磁弁との間の連結配管を短縮化し得る。
【0030】
さらに請求項3によれば、負圧畜圧タンク(負圧チャンバ)と、サージタンクと、これらの間を連通し且つ逆止弁(負圧チェック弁)が設けられた負圧連通路(筒状孔)とを吸気マニホルド体に一体成型するものとしたので、吸気管負圧を蓄えるための負圧畜圧タンクと吸気マニホルド体との間の連結配管を皆無にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された船外機の要部側面図
【図2】本発明が適用された船外機の上面図
【図3】本発明による吸気マニホルド体の分解斜視図
【図4】本発明による吸気マニホルド体の水平断面図
【図5】本発明による吸気マニホルド体の要部水平断面図
【図6】本発明による吸気マニホルド体の要部垂直断面図
【図7】本発明による吸気マニホルド体の要部上面図
【図8】本発明による吸気マニホルド体のダイヤフラムアクチュエータの形成部を一部断面にして示す要部上面図
【符号の説明】
19 燃焼室
20 吸気装置
24 サージタンク
26 吸気マニホルド体
27 短管路
28 長管路
29 バタフライ弁
42 ダイアフラムアクチュエータ
43 電磁弁
44 大気室
46 負圧チャンバ
47 筒状孔
48 負圧チェック弁
55 ステー部

Claims (3)

  1. 複数の気筒の各燃焼室に個々に連結された複数の独立吸気管と、該独立吸気管のそれぞれが連通する共通のサージタンクとを備えた吸気マニホルド体を含む内燃機関用吸気装置であって、
    前記吸気マニホルド体は、スロットルボディの連結部と前記サージタンクのエンジン側の壁とを一体形成された内側ブロックと、前記サージタンクの反エンジン側の壁と前記独立吸気管の外側の半分を一体形成された外側ブロックと、前記独立吸気管の対シリンダヘッド結合端と前記独立吸気管の内側の半分を一体形成された中間ブロックとにより3分割構成されており、
    前記外側ブロックと前記中間ブロックによって構成される前記独立吸気管は、その少なくとも一部に吸気管路長が互いに異なる2つの管路を並列に設けられており、
    前記中間ブロックには前記2つの管路の一方を開閉する弁が組み込まれ、
    前記弁を駆動する負圧応動アクチュエータのケーシングのうち大気室を構成する部分が前記中間ブロックと一体形成されていることを特徴とする内燃機関用吸気装置。
  2. 前記負圧応動アクチュエータに負圧を供給する通路に設けられる電磁弁の取付部を、前記吸気マニホルド体における前記負圧応動アクチュエータの一部と近接する位置に一体成型したことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用吸気装置。
  3. 前記吸気マニホルド体は、負圧畜圧タンクと、サージタンクと、これらの間を連通し且つ逆止弁が設けられた負圧連通路とを一体成型してなる部分を含むものであることを特徴とする請求項1若しくは2に記載の内燃機関用吸気装置。
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