JP4248759B2 - ディスク駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハードディスクなどのディスク型記録媒体を駆動する装置に関し、より詳細には小型・薄型のディスク駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディスク駆動装置はパーソナルコンピュータを初め種々の機器に搭載されている。これら機器の最近の小型・軽量化に伴い、ディスク駆動装置の小型・軽量化、特に薄型化が強く望まれている。
【0003】
そこで、例えばアルミダイキャスト成形されたベース部材に、プレス加工やさらにはコイニング加工によってステータコイルを収容するための貫通孔およびステータコアを載せるためのステータステップをそれぞれ設けて、ステータコイルの巻線量を確保しながら装置の薄型化を図ることが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、肉厚が0.4mm程度以下といった極薄の部材をダイキャスト成形で成形すると、溶融金属が型内を円滑に流れないため部材内に空洞部分が生じる。このため、このような薄い部材をダイキャスト成形で成形することは困難である。一方、ダイキャスト成形で所定肉厚の部材を成形した後、切削加工して部材の肉厚を薄くする加工も考えられるが、0.4mm以下といった薄さまで切削加工すると部材の変形が不可避的に起こるので、このような加工方法も現実的ではない。
【0005】
また従来は、ステータコイル収容用の貫通孔をシール部材で封止しただけであったのでベース部材の剛性が低下し、磁気誘導などによるステータの振動や、この振動に伴う騒音が発生していた。
【0006】
さらに、プレス加工でステータステップを形成するには、プレス加工自体が難しく、加えて加工費が高く歩留まりも悪い。
【0007】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、これまでのディスク駆動装置よりも小型・薄型であると同時に、優れた加工性と生産性を有し、しかも振動や騒音が生じないディスク駆動装置を提供することをその目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ベース部材と、該ベース部材に対して相対的に回転自在で、ディスクを搭載するロータハブと、該ロータハブに装着されたロータマグネットと、該ロータマグネットに対向して配設された、ステータコアとステータコイルを有するステータとを備えたディスク駆動装置において、前記ベース部材はプレス成形で成形されたものであって、ステータコイルを収容するための貫通孔を有し、ベース部材を金型の間に挟み、必要な機構・機能部品を一回の射出成形で取り付けるアウトサート成形によって、前記貫通孔の底面が封止されるとともに、前記ベース部材にリブが形成されたことを特徴とするディスク駆動装置が提供される。
【0009】
ここで装置の一層の薄型化を図りながらステータコイルの巻線量を確保する観点から、アウトサート成形によってステータステップを前記ベース部材にさらに設けるのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明に係るディスク駆動装置について説明する。図1は、本発明のディスク駆動装置の一実施態様を示す断面図である。図1の駆動装置は、ベースプレート(ベース部材)1と、ベースプレート1に裏面側からネジ13で固定された軸部材2と、軸部材2に所定の間隔をおいて取り付けられた一対の軸受3(3a,3b)と、この一対の軸受3を介して軸部材2に回転可能に支持されたロータハブ4と、ロータハブ4の下端外周に装着された環状のロータマグネット5と、ロータマグネット5に対向して配設されたステータ6とを備える。ベースプレート1には、貫通孔11の底面を樹脂Rで封止された溝Dが形成されており、ステータコイル62の下端がこの溝Dに収容されている。そしてこの図では示していないが、溝と溝との間には樹脂製のリブ15(図2に図示)が形成され、貫通孔11を形成したことによって低下したベースプレート1の剛性を補っている。
【0011】
本発明の特徴部分であるベースプレートからまず説明する。図2に、アウトサート成形前・後のベースプレートの斜視図を示す。アウトサート成形前のベースプレート1には、軸部材2の取付け孔14を中心として放射状に形成された略矩形状の貫通孔11、及び後述するアウトサート成形によってリブ15とステータステップ16を形成するのための孔12,13などが形成されている。装置の薄型化を目的の一つとする本発明のディスク駆動装置では、ベースプレートの厚さを従来のものに比べて格段に薄くしたので(例えば0.3mm程度)、このようなベースプレートをプレス成形によって高い精度で効率よく生産できる。具体的にはプレス成形によって、薄板からベースプレートの外形を打ち抜くと同時に、ベースプレートの所定位置に孔を打ち抜き形成し、そして必要により曲げ加工や絞り加工を行って所望のベースプレートを作製する。この場合、強度や漏洩磁束などの磁気的損失を考慮し、ベースプレート1はSUS316等の非磁性のステンレス材から作製するのが望ましい。また、プレス成形条件としては特に限定はなく従来公知の条件で行える。なお、貫通孔11の形状及び個数は、そこに収容するステータコイル62の形状に合わせて適宜決定すればよい。
【0012】
そして、プレス成形で成形されたこのベースプレート1にさらにアウトサート成形を行って、貫通孔11の底面を封止すると同時に、リブ15及び必要によりステータステップ16をベースプレート1に形成する。ここで、アウトサート成形とは、ベース基板を金型の間に挟み、必要な機構・機能部品を一回の射出成形で取り付ける手法をいう。具体的な形成方法を図3に示す。なお図3は、ベースプレートの軸部材取付孔けを中心とした同心円上の断面図である。
【0013】
まずベースプレート1を上型M1と下型M2の間に装着する(図3(a))。ベースプレート1には貫通孔11およびリブ15を形成するための孔12が形成され、上型M1および下型M2にはベースプレートに形成する貫通孔11の底面およびリブ15となる部分がキャビティとして形成されている。そしてベースプレート1を上型M1と下型M2とで挟み込み、所定温度まで加熱する(同図(b))。そして次に、形成された金型内のキャビティに樹脂Rを流し込む(同図(c))。ここで使用できる樹脂としては熱可塑性のものであれば特に限定はなく、強度を増すために繊維などを混入したものであっても構わない。またステータで生じる振動を吸収させるために、振動を吸収する樹脂を用いることもできる。樹脂挿入ゲート方式としては、多点ピンゲートやサイドゲート、サブマリンゲート、ホットランナなど従来公知の方式を用いることができる。そして、金型M1,M2を冷却して樹脂Rを固化させた後、ベースプレート1を金型から取り外す(同図(d))。樹脂成形物の抜きテーパは通常の成形物と同様でよく、1/4〜1°程度の範囲が好ましい。
【0014】
こうして作製されたベースプレート(図2(イ)、アウトサート成形部分を斜線で示す)には、裏面側に樹脂層(不図示)が一面に形成され、貫通孔11の底面は樹脂Rによって封止され溝Dとなる。溝Dが深いほどステータコイル62の下端を多く収容できる一方、ペースプレート1の剛性は弱くなる。本発明者等が厚さ0.3mmのベースプレートを用いて実験した結果では、ステータコイルの収容量とベースプレートの剛性との調和を図るには溝の深さを0.10〜0.15mm(ベースプレートの厚さの約33%〜50%)程度とするのが好適であった。
【0015】
また図2(イ)においてベースプレート1の溝Dと溝Dとの間には断面台形状のリブ15が形成されている。前記と同様に、厚さ0.3mmのベースプレートを用いた実験では、リブの高さがベースプレート底面から少なくとも1mm程度あればベースプレートの剛性は実用上問題のない程度となることがわかった。また、ステータコイルの巻線量を確保するためにステータステップ16が形成されている。ステータステップ16の高さが高いほど、ステータコイルの巻線量を多くできるが装置厚が厚くなる。したがって、ステータステップ16の高さは要求される巻線量と装置厚との関係から適宜決定すればよい。
【0016】
次に、このようなベースプレートを用いたディスク駆動装置の組立を説明する。図4に、本発明のディスク駆動装置の分解構成図の一例を示す。
【0017】
図4においてステータ6はステータコア61とステータコイル62とからなる。ステータコア61は、環状基部611と、円周方向に等間隔に環状基部から半径方向内方に延出した9本の脚部(不図示)と、脚部の先端に形成された円周方向に広がった突極612とが一体成形された鉄製薄板を積層したものである。そしてこのステータコア61の脚部に、ワイヤが巻き付けられてステータコイル62が形成されている。
【0018】
このようなステータ6を、ベースプレート1に形成された溝Dにステータコイル62の下端部が入るように、ステータコア61の環状基部611をベースプレート1に形成されたステータステップ16上に載せてベースプレート1に装着する。
【0019】
図4のロータハブ4は、例えばSUS400番台などの磁性のステンレス材で形成され、略円筒状をなし、その内周部に一対の軸受3が固定保持されている。この軸受3を介してロータハブ4は軸部材2の外周部に回転自在に支持される。またロータハブ4の外周面はハードディスクなどの記録ディスク(不図示)の内径と実質上等しい外径に形成され、略中央部には記録ディスクを載置するための鍔状部41が形成されている。そして鍔状部41の周側面にロータマグネット5が固定保持されている。
【0020】
そしてロータハブ4に固定保持された軸受3を軸部材2に圧入し、ロータマグネット5がステータコア61と半径方向に所定間隙で内外に相対するようにロータハブ4を軸部材2に固定する。
【0021】
以上、本発明のディスク駆動装置の一実施態様として、軸固定のインナーロータ型の駆動装置について説明したが、本発明はこの実施態様に限定されるものではなく、例えば軸回転のアウターロータ型のものなど本発明の主旨を逸脱しない範囲で設計変更、修正したものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0022】
【発明の効果】
本発明のディスク駆動装置では、ベース部材をプレス成形で成形したので生産性が向上し、またベース部材にステータコイルを収容するための貫通孔を形成したので装置の小型・薄型化が図れた。さらにアウトサート成形によって、前記貫通孔の底面を封止するとともに前記ベース部材にリブを形成したので、装置の小型・薄型化に伴い生じるベース部材の剛性の低下および磁気誘導などによるステータの振動や騒音の発生を防止できた。
【0023】
またアウトサート成形によってステータステップをベース部材にさらに設けると、装置の一層の薄型化を図りながらステータコイルの巻線量を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のディスク駆動装置の一例を示す断面図である。
【図2】 アウトサート成形前・後のベースプレートの斜視図である。
【図3】 アウトサート成形の一例を示す工程図である。
【図4】 本発明のディスク駆動装置の一例を示す分解構成図である。
【符号の説明】
1 ベースプレート(ベース部材)
2 軸部材
3 軸受
4 ロータハブ
5 ロータマグネット
6 ステータ
D 溝
R 樹脂
11 貫通孔
15 リブ
16 ステータステップ
61 ステータコア
62 ステータコイル
Claims (2)
- ベース部材と、該ベース部材に対して相対的に回転自在で、ディスクを搭載するロータハブと、該ロータハブに装着されたロータマグネットと、該ロータマグネットに対向して配設された、ステータコアとステータコイルを有するステータとを備えたディスク駆動装置において、
前記ベース部材はプレス成形で成形されたものであって、ステータコイルを収容するための貫通孔を有し、ベース部材を金型の間に挟み、必要な機構・機能部品を一回の射出成形で取り付けるアウトサート成形によって、前記貫通孔の底面が封止されるとともに、前記ベース部材にリブが形成されたことを特徴とするディスク駆動装置。 - 前記アウトサート成形によって、前記ベース部材にステータステップが形成された請求項1記載のディスク駆動装置。
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