JP4968907B2 - 動圧軸受装置、モータ及び記録媒体駆動装置並びに軸受スリーブの製造方法 - Google Patents

動圧軸受装置、モータ及び記録媒体駆動装置並びに軸受スリーブの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、流体の動圧作用を利用する動圧軸受装置、該動圧軸受装置を有するモータ及び該モータを有する記録媒体駆動装置、並びに、動圧軸受装置を構成する軸受スリーブの製造方法に関するものである。
ハードディスク等の記録媒体を駆動するモータは、様々なものが知られているが、これらモータには回転時の安定性の向上化、高速化、低コスト化、低騒音化等が要求されている。これら各種の要求を満たすために、様々な対策が考えられているが、その1つとして
オイル等の流体を利用した動圧軸受装置(FDB:Fluid Dynamic Bearing)を利用する方法が知られている。
この動圧軸受装置は、軸線回りに回転する軸体と、流体の動圧作用を利用して軸体を回転可能に支持する軸受スリーブとを備えたものである。一般的に軸体の外周面或いは軸受スリーブの内周面には、ラジアル用の動圧溝が形成されている。これにより、軸体が回転した際に動圧溝に沿って流体が流れて圧力が高まり、ラジアル方向の力が支持されるようになっている。また、軸受スリーブの端面或いは軸体の端面には、スラスト用の動圧溝が形成されている。これにより、軸体が回転した際に動圧溝に沿って流体が流れて圧力が高まり、スラスト方向の力が支持されるようになっている。その結果、流体を介して軸体を支持することができ、該軸体を滑らかに回転させることができるようになっている。
ところで、上述した軸体及び軸受スリーブは、通常ステンレス等の金属材料によって高精度に加工されている。これは、回転ムラや振動、異音等を極力なくして滑らかな回転を実現するためである。特に近年のモータの小型化に応じて動圧軸受装置自体も非常に小型化が進んでいる。そのため、上述した不具合を防止するため、動圧軸受装置を高精度に製造することが求められている。従って、外形精度だけでなく、動圧溝に関してもやはり高精度に形成することが重要である。
ここで、動圧溝を形成する場合には、通常、転造による塑性加工を行っている。ところが、この転造を利用した加工では、微小なサイズの動圧溝を形成することが困難であり、小型になるにつれて精度が悪くなってしまっていた。また、塑性加工であるので動圧溝を形成した後、動圧溝の周囲にどうしても盛り上がりが発生してしまうものであった。そのため、その部分を平坦化加工する手間が必要であった。よって、製造工数が増えてしまい、高コスト化に繋がってしまうものであった。
また、転造ではなく、エッチング加工を利用して動圧溝を形成する方法も知られている。ところが、このエッチング加工は、手間のかかる作業であり、やはり同様に製造工数がかかってしまい、高コスト化に繋がってしまうものであった。また、動圧溝の深さのばらつきが大きいものであった。
そこで、図12に示すように、円筒状に形成された金属材31に樹脂材32をインサート成型することで軸体30を構成し、樹脂材32の部分にスラスト用の図示しない動圧溝を形成する方法が知られている(特許文献1参照)。具体的にこの動圧溝は、樹脂材32を射出成型したフランジ部32aの両端面32bにそれぞれ形成されている。この方法によれば、樹脂材32を射出成型するだけで動圧溝を形成できるので、上述した平坦化加工等が不要である。よって、手間がかからず余計な製造工数を削減でき、低コスト化を図ることができる。
特開2005−98315号公報
しかしながら、金属材31に樹脂材32をインサート成型する従来の方法では、まだ以下の課題が残されている。
即ち、樹脂材32は、金属材31にインサート成型されているが、フランジ部32aとなる部分が金属材31の一端側から外側に完全に露出した状態となっている。つまり軸体30は、フランジ部32aとなっている一端側が全て樹脂材32でのみ形成されている。そのため、このフランジ部32aは、樹脂材32を成型する際の金型の成型精度に依存してしまうものであった。ところが、金型の成型精度は、もともとばらつき大きく、使用頻度にも影響されるので高い精度を要求できない。上述したように、動圧軸受装置を構成する軸体30及び軸受スリーブはそれぞれ高い寸法精度が要求されるが、金型の成型精度に影響されてしまうフランジ部32aにその高い精度を求めることは困難である。そのため、フランジ部32aの端面32bと金属材31の外周面とが直角になり難く、高い直角度を得ることができなかった。また、フランジ部32aの厚み精度や平行度に関しても同様に高い精度を期待することができなかった。その結果、軸体30が回転した際に、回転ムラ、振動や異音等が発生する恐れがあった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、工数をかけずに製造されて低コスト化を図ることができると共に、回転時の安定性が向上して高品質化及び信頼性の向上化を図ることができる動圧軸受装置、該動圧軸受装置を有するモータ、該モータを有する記録媒体駆動装置、並びに、動圧軸受装置を構成する軸受スリーブの製造方法を提供することである。
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る動圧軸受装置は、軸線回りに回転する軸体と、流体を間に介在させて前記軸体を流体の動圧作用を利用して回転可能に支持する軸受スリーブと、を備える動圧軸受装置であって、前記軸受スリーブは、金属材料により前記軸体を内部に挿入させるように円筒状に形成され、半径方向外方に張り出したフランジ部を一端側に有するスリーブ本体と、前記フランジ部の端面に、該フランジ部の外縁から一定距離の領域を開けて形成された環状の凹部と、成型材料により前記凹部を埋めるように該凹部内だけに成型され、その表面が前記端面に対して面一とされた成型部と、該成型部と同一のタイミングで成型部の表面に成型加工され、前記軸体の回転時に軸体との間で流体動圧を発生させる動圧溝と、を有していることを特徴とするものである。
この発明に係る動圧軸受装置においては、軸体が回転すると、軸体と軸受スリーブとの間に介在されている流体が動圧溝に沿って流れ、動圧作用により圧力が高まる。即ち、流体動圧が発生する。これにより、回転時に生じるスラスト方向の力を支持することができ、軸受スリーブによって軸体を非接触状態で軸支することができる。
ところで軸受スリーブは、ステンレス等の金属材料により形成されたスリーブ本体と、各種の成型材料(例えば、樹脂や焼結金属)により、成型材料の種類に適した成型加工によって成型された成型部とで構成されている。特に、従来の転造加工やエッチング加工とは異なり、成型加工するだけで動圧溝が形成された成型部を容易に得ることができる。よって、転造加工で必要であった平坦化加工が不要であり、また、エッチング加工のように手間がかかることがない。従って、工数をかけずに製造することができ、低コスト化を図ることができる。
しかも、成型部はフランジ部の端面に形成された凹部内だけに成型されている。つまり、フランジ部自体が樹脂材で成型されていた従来のものとは異なり、フランジ部を含むスリーブ本体は、金属材料によって一体的に形成されている。よって、スリーブ本体の内周面とフランジ部の端面との直角度は、成型精度等に何ら影響されず、金属部品であるスリーブ本体の加工精度に依存する。従って、フランジ部を樹脂材で成型する場合に比べて、高い直角度を確保することができる。また、フランジ部の端面と該端面に対向する背面との平行度に関しても、フランジ部を樹脂材で成型する場合に比べて高い平行度を確保することができる。更に、成型部の表面は、フランジ部の端面に対して面一に成型されているので、この成型部の表面とスリーブ本体の内周面との直角度に関しても高い直角度を確保することができる。
これらのことから、軸体が回転した際に、回転ムラ、振動や異音等が発生することを極力防止することができる。よって、回転特性が向上し、安定性を高めることができる。従って、品質及び信頼性を向上することができる。
また、本発明に係る動圧軸受装置は、上記本発明の動圧軸受装置において、前記端面に対向する前記フランジ部の背面側にも、前記凹部、前記成型部及び前記動圧溝がそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。
この発明に係る動圧軸受装置においては、フランジ部の端面だけでなく端面に対向する背面側にも動圧溝が設けられているので、フランジ部の両面に流体動圧を発生させて、フランジ部を間に挟んだ2箇所でスラスト方向の力を支持することができる。従って、軸体をより安定した状態で軸支することができる。
また、本発明に係る動圧軸受装置は、上記本発明の動圧軸受装置において、前記凹部の底面には、複数の溝部が形成され、前記成型部が、前記複数の溝部内に入り込んだ状態で成型されていることを特徴とするものである。
この発明に係る動圧軸受装置においては、成形時に、成型材料が複数の溝部内に入り込むので、スリーブ本体と成型材料との接触面積を増大させて密着度を高めることができる。しかも、これら複数の溝部に入り込んだ状態で成型材料が成型されるので、成型部をより強固に保持することができる。従って、軸体の回転動作による影響や、衝撃等の影響や、温度変化等の影響を受けたとしても、成型部の剥離やずれ等が生じ難い。その結果、耐衝撃性や温度特性等を向上することができ、信頼性をより向上することができる。
また、本発明に係る動圧軸受装置は、上記本発明の動圧軸受装置において、前記溝部が、深くなるにつれて開口幅が漸次大きくなるように形成されていることを特徴とするものである。
この発明に係る動圧軸受装置においては、深くなるにつれて漸次開口幅が大きくなるように複数の溝部が形成されているので、成型部はアンカー効果によりこれら溝部から抜け難くなる。従って、成型部をさらに強固に保持することができる。
また、本発明に係る動圧軸受装置は、上記本発明のいずれかの動圧軸受装置において、前記成型材料が、金属ガラスであることを特徴とするものである。
この発明に係る動圧軸受装置においては、成型部が非晶質(アモルファス)な金属ガラスにより成型されているので、成型部の機械的強度をより向上させることができる。即ち、金属ガラスは、液体状態のように結晶構造を持たずに原子配列がランダムに詰まった形で固体化する特性を有しているので、結晶合金等に存在する特定の滑り面が無い。従って、機械的強度をより向上することができる。また、金属ガラスは、構造、組成が均質であり粒界も無いため、耐食性に優れている。これらのことから、成型部の耐久性をより向上することができる。
更に、金属ガラスは、転写性に優れているうえ、過冷却液体領域があるため成形時の収縮を考慮する必要がない。そのため、動圧溝をより高精度に成型することができる。従って、軸体をさらに安定に回転させることができ、さらなる高品質化及び信頼性の向上化を図ることができる。
また、本発明に係るモータは、上記本発明のいずれかの動圧軸受装置と、前記軸体に保持された環状の永久磁石と、該永久磁石の周囲を囲むように配され、永久磁石の外周面に対向する歯極部を周方向に複数有するステータコアと、複数の歯極部の周囲に巻回されたコイルとを有するステータと、を備えていることを特徴とするものである。
この発明に係るモータにおいては、コイルに電流を流すと歯極部(ティース)が励磁されて磁界が発生する。この磁界により、永久磁石は軸体と共に軸線回りに回転する。特に、回転時の安定性及び回転特性に優れ、品質及び信頼性が向上した動圧軸受装置を備えているので、モータ自体の品質及び信頼性を向上することができる。また、低コスト化された動圧軸受装置でもあるので、モータ自体の低コスト化を図ることができる。
また、本発明に係る記録媒体駆動装置は、上記本発明のモータと、前記軸体に設けられ、各種情報を記録可能な記録媒体を保持する保持部と、を備えていることを特徴とするものである。
この発明に係る記録媒体駆動装置においては、品質及び信頼性が向上したモータを備えているので、記録媒体を安定且つ滑らかに回転させることができ、同様に装置全体の品質及び信頼性を向上することができる。また、低コスト化も図ることができる。
また、本発明に係る軸受スリーブの製造方法は、流体を間に介在させて、軸線回りに回転する軸体を流体の動圧作用を利用して回転可能に支持する軸受スリーブを製造する方法であって、金属材料により前記軸体を内部に挿入させるように円筒状に形成され、半径方向外方に張り出したフランジ部を一端側に有するスリーブ本体を用意した後、前記フランジ部の端面に、該フランジ部の外縁から一定距離の領域を開けて環状の凹部を形成する凹部形成工程と、平坦面を有する第1の金型と、該第1の金型に対して接近離間可能に配された第2の金型とを用意した後、平坦面に動圧溝の形状に沿ってパターニングした凸部を形成する凸部形成工程と、成型材料を間に介在させた状態で、前記端面を前記平坦面側に向けて前記スリーブ本体を前記第1の金型上に載置するセット工程と、セットされた前記スリーブ本体を前記第2の金型で前記第1の金型に押し付けながら前記成型材料を成型加工すると共に前記凸部を成型材料に転写させて、前記凹部内だけを埋めた状態でその表面が前記端面に対して面一とされた成型部と、該成型部の表面に形成されて前記軸体の回転時に軸体との間で流体動圧を発生させる動圧溝とを、それぞれ同一タイミングで成型する成型工程と、を行うことを特徴とするものである。







この発明に係る軸受スリーブの製造方法においては、凹部形成工程、凸部形成工程、セット工程、成型工程を行うことで、動圧軸受装置を構成する軸受スリーブを製造することができる。
まず、ステンレス等の金属材料により形成されたスリーブ本体を用意する。この際、フランジ部自体が樹脂材で成型されていた従来のものとは異なり、フランジ部を含むスリーブ本体自体が金属材料によって一体的に形成されているものを用意する。そして、フランジ部の端面に凹部を形成する。
この凹部形成工程と同時或いは前後のタイミングで、研磨された平坦面を有する第1の金型と、該第1の金型に対して接近離間可能な第2の金型とを用意する。そして、第1の金型の平坦面に、動圧溝の形状に沿ってパターニングした凸部を形成する。
この凸部形成工程と上述した凹部形成工程とが終了した後、スリーブ本体を第1の金型と第2の金型との間にセットするセット工程を行う。即ち、フランジ部の端面を凸部が形成された平坦面に向けた状態で、スリーブ本体を第1の金型上に載置する。この際、スリーブ本体と第1の金型との間に成型材料を介在させておく。これにより、凹部と凸部との間に成型材料が介在された状態となる。
このセット工程後、セットされたスリーブ本体を第2の金型で第1の金型に押し付けながら成型材料を成型加工すると共に、凸部を成型材料に転写させる成型工程を行う。この成型工程を行うことで、凹部を埋めた状態で成型材料を成型することができ、成型部を得ることができる。しかも、スリーブ本体を押し付けているので、フランジ部の端面は研磨された平坦面に接触している。そのため、成型部の表面をフランジ部の端面に対して確実に面一にすることができると共に、表面粗さを良好にすることができる。更には、成形時に凸部が転写されるので、成型部の表面に動圧溝を高精度に成型することができる。
そして最後に、第1の金型と第2の金型とを離間させることで、スリーブ本体の凹部内に動圧溝を有する成型部が成型された軸受スリーブを製造することができる。
特に、従来の転造加工やエッチング加工とは異なり、成型材料を成型加工するだけで動圧溝が形成された成型部を得ることができる。よって、転造加工で必要であった平坦化加工が不要であり、また、エッチング加工のように手間がかかることがない。従って、工数をかけずに製造することができ、低コスト化を図ることができる。
しかも、成型部はフランジ部の端面に形成された凹部内だけに成型されている。つまり、フランジ部自体が樹脂材で成型されていた従来のものとは異なり、フランジ部を含むスリーブ本体は、金属材料によって一体的に形成されている。よって、スリーブ本体の内周面とフランジ部の端面との直角度は、成型精度等に何ら影響されず、金属部品であるスリーブ本体の加工精度に依存する。従って、フランジ部を樹脂材で成型する場合に比べて、高い直角度を確保することができる。
また、フランジ部の端面と該端面に対向する背面との平行度に関しても、フランジ部を樹脂材で成型する場合に比べて高い平行度を確保することができる。更に、成型部の表面は、フランジ部の端面と面一に成型されているので、この成型部の表面とスリーブ本体の内周面との直角度に関しても高い直角度を確保することができる。
これらのことから、上述した製造方法で製造された軸受スリーブを利用することで、軸体が回転した際に、回転ムラ、振動や異音等が発生することを極力防止することができる。よって、軸体の回転特性を向上することができると共に安定性を高めることができる。
また、本発明に係る軸受スリーブの製造方法は、上記本発明の軸受スリーブの製造方法において、前記凹部形成工程の際に、前記端面に対向する前記フランジ部の背面側にも前記凹部を形成し、前記凸部形成工程の際に、前記第2の金型の表面に前記凸部を形成し、前記セット工程の際に、前記スリーブ本体と前記第2の金型との間に前記成型材料を介在させることで、前記フランジ部の背面側に形成された凹部内に前記動圧溝が形成された前記成型部を、前記成型工程時に同一タイミングで成型することを特徴とするものである。
この発明に係る軸受スリーブの製造方法においては、凹部形成工程の際に、フランジ部の端面だけでなく、端面に対向するフランジ部の背面側にも凹部を形成しておく。また、凸部形成工程の際に、第1の金型の平坦面だけでなく、フランジ部の背面に接触する第2の金型にも、動圧溝の形状に沿ってパターニングした凸部を形成しておく。そして、セット工程の際に、スリーブ本体と第2の金型との間にも成型材料を介在させておく。
そして、第2の金型でスリーブ本体を押し付ける成型工程を行うことで、背面側に形成された凹部内に、動圧溝を有する成型部を成型することができる。
このように製造された軸受スリーブによれば、フランジ部の端面だけでなく端面に対向する背面側にも動圧溝が設けられているので、フランジ部の両面に流体動圧を発生させて、フランジ部を間に挟んだ2箇所でスラスト方向の力を支持することができる。従って、軸体をより安定させた状態で軸支することができる。
また、本発明に係る軸受スリーブの製造方法は、上記本発明の軸受スリーブの製造方法において、前記凹部形成工程の際に、前記凹部の底面に前記成型材料が入り込む複数の溝を形成する溝部形成工程を行うことを特徴とするものである。
この発明に係る軸受スリーブの製造方法においては、凹部を形成する際に、溝部形成工程を行って凹部の底面に複数の溝部を形成しておく。こうすることで、成型工程時に、成型材料が複数の溝部内に入り込むので、スリーブ本体と成型材料との接触面積を増大させて密着度を高めることができる。しかも、これら複数の溝部に入り込んだ状態で成型材料が成型されるので、成型部をより強固に保持することができる。従って、軸体の回転動作による影響や、衝撃等の影響や、温度変化等の影響を受けたとしても、成型部の剥離やずれ等が生じ難い。その結果、耐衝撃性や温度特性等を向上することができ、信頼性をより向上することができる。
また、本発明に係る軸受スリーブの製造方法は、上記本発明の軸受スリーブの製造方法において、前記溝部形成工程の際に、深くなるにつれて開口幅が漸次大きくなるように前記溝部を形成することを特徴とするものである。
この発明に係る軸受スリーブの製造方法においては、深くなるにつれて漸次開口幅が大きくなるように複数の溝部を形成するので、成型部はアンカー効果によりこれら溝部から抜け難くなる。従って、成型部をさらに強固に保持することができる。
また、本発明に係る軸受スリーブの製造方法は、上記本発明のいずれかの軸受スリーブの製造方法において、前記成型材料として、金属ガラスを用いることを特徴とするものである。
この発明に係る軸受スリーブの製造方法においては、成型部が非晶質(アモルファス)な金属ガラスにより成型されているので、成型部の機械的強度をより向上させることができる。即ち、金属ガラスは、液体状態のように結晶構造を持たずに原子配列がランダムに詰まった形で固体化する特性を有しているので、結晶合金等に存在する特定の滑り面が無い。従って、機械的強度をより向上することができる。また、金属ガラスは、構造、組成が均質であり粒界も無いため、耐食性に優れている。これらのことから、成型部の耐久性をより向上することができる。
更に、金属ガラスは、転写性に優れているうえ、過冷却液体領域があるため成形時の収縮を考慮する必要がない。そのため、動圧溝をより高精度に成型することができる。従って、軸体をさらに安定に回転させることができ、さらなる高品質化及び信頼性の向上化を図ることができる。
本発明に係る動圧軸受装置によれば、製造工数をかけずに製造されて低コスト化を図ることができる。また、回転時の振動や異音等の発生をなくすことができると共に、回転の安定性を向上して高品質化及び信頼性の向上化を図ることができる。
また、本発明に係るモータ及び記録媒体駆動装置によれば、上述した動圧軸受装置を備えているので、品質及び信頼性を向上することができると共に、低コスト化を図ることができる。
また、本発明に係る軸受スリーブの製造方法によれば、製造工数をかけずに低コストで製造することができる。よって、動圧軸受装置の低コスト化を図ることができる。しかも、軸体が回転した際に、回転ムラ、振動や異音等が発生することを極力防止することができる。よって、軸体の回転特性を向上させて、安定性を高めることができ、動圧軸受装置の品質及び信頼性を向上することができる。
以下、本発明に係る動圧軸受装置、モータ及び記録媒体駆動装置、軸受スリーブの一実施形態を、図1から図11を参照して説明する。
本実施形態の記録媒体駆動装置1は、図1に示すように、動圧軸受装置2を有し、各種情報を記録可能なハードディスク(記録媒体)Dを軸線L回りに回転駆動するスピンドルモータ(モータ)3と、後述するハブ(軸体)10に設けられ、ハードディスクDを嵌合保持する嵌合部(保持部)10cと備えている。なお、図1は、記録媒体駆動装置1の断面図である。また、図1においては、図を見易くするため、後述する凹部17や動圧溝18の図示を省略している。
上記スピンドルモータ3は、動圧軸受装置2のハブ10に保持された環状の永久磁石5と、固定子となるステータ6とを備えている。なお、ハブ10及び永久磁石5が回転子となる。永久磁石5は、後述するハブ10のフランジ部10bによって保持されている。また、本実施形態の永久磁石5は、半径方向に沿った断面が矩形状になるように形成されており、その外周面が軸線Lに平行な面となっている。
上記ステータ6は、永久磁石5の周囲を囲むように配されており、ステータコア7とコイル8とから構成されている。
ステータコア7は、プレス等により打ち抜かれた磁性体(珪素鋼板等)が積層(例えば、2層に積層)されて表面が図示しない絶縁膜でコーティングされたものであり、図2及び図3に示すように、環状に形成されたコアバック7aと、ティース(歯極部)7bとを有している。なお、図2はステータコア7及びコイル8の上面図であり、図3は図2に示す断面矢視A−A図である。ティース7bは、コアバック7aに基端側が固定されると共に、永久磁石5側に向かう半径方向に延出するように形成され、軸線Lを中心として所定角度毎に複数設けられている。また、これら複数のティース7bは、先端が永久磁石5の外周面に対向する対向部7cとなっている。
このように構成されたステータコア7は、図1に示すように、コアバック7aの下面がベース9の段部9a上に載置された状態で固定されている。
なお、本実施形態では、ティース7bが3の倍数である9個(軸線L回りに40度毎に形成)形成されているステータコア7を例に挙げて説明する。即ち、スロット数が9スロットの場合を例に挙げて説明する。
上記コイル8は、図2及び図3に示すように、複数のティース7bの周囲にそれぞれ巻回されている。この際、3相(U相、V相、W相)となるように、3つおきに(間を2つ空けて)巻回されている。
上記動圧軸受装置2は、図1に示すように、軸線L回りに回転するハブ10と、オイル(流体)Wを間に介在させてハブ10をオイルWの動圧作用を利用して回転可能に支持する軸受スリーブ11とを備えている。
ハブ10は、軸線Lを中心として略円柱状に形成されたシャフト部10aと、該シャフト部10aの外周面から半径方向外方に延びて形成され、後述する軸受スリーブ11のフランジ部15bを上下から挟み込むように形成されたフランジ部10bとを備えている。また、ハブ10の上端は、ハードディスクDの中心孔に挿通されて、該ハードディスクDを嵌合保持する上記嵌合部10cとなっている。なお、このハブ10は、ステンレス等の金属材料により形成されている。
上記軸受スリーブ11は、後述するフランジ部15をハブ10のフランジ部10b側に向けた状態でベース9上に固定されている。この軸受スリーブ11とハブ10との間には、微小な隙間が空くように設計されており、その微小な隙間にオイルWが供給されている。なお、このオイルWは、図示しないシールによって、永久磁石5側に漏れないようになっている。
この軸受スリーブ11は、図4及び図5に示すように、金属材料により形成されたスリーブ本体15と、成型材料Sで成型加工された成型部16とで構成されている。なお、図4は軸受スリーブ11の断面図であり、図5は軸受スリーブ11をフランジ部15bの端面15c側から見た図である。
スリーブ本体15は、ハブ10のシャフト部10aを内部に挿入させるように円筒状に形成された円筒部15aと、円筒部15aの一端側で半径方向外方に張り出したフランジ部15bとで一体的に構成されている。また、フランジ部15bの端面15cには、環状の凹部17が形成されている。
この際、凹部17は、図6及び図7に示すように、フランジ部15bの外縁から一定距離Xの領域を残すように形成されている。なお、図6はスリーブ本体15の断面図であり、図7はスリーブ本体15をフランジ部15bの端面15c側から見た図である。また、凹部17の底面には、複数の溝部17aがさらに形成されている。本実施形態では、環状に形成された溝部17aが所定距離を空けて半径方向に3つ並んでいる場合を例にしている。但し、この場合に限られず、自由に溝部17aを形成して構わない。
また、これら複数の溝部17aは、図6に示すように、深くなるにつれて開口幅Hが漸次大きくなるように形成されている。具体的には、一方の側面がフランジ部15bの端面15cに直交する線L1に対して角度θだけ傾いた斜面となっており、断面テーパ状の溝部17aとなっている。
上記成型部16は、図4及び図5に示すように、上述した複数の溝部17a内に入り込んだ状態で凹部17を埋めるように成型されており、表面がフランジ部15bの端面15cに対して面一になっている。また、成型部16の表面の一部には、ハブ10が回転した際にハブ10との間で流体動圧を発生させるスラスト用の動圧溝18が形成されている。これにより、スラスト方向に働く力を支持することができるようになっている。なお、この動圧溝18は、成型材料Sを成型加工して成型部16とするときと同一のタイミングで表面に成型加工されたものである。これについては、後に詳細に説明する。
また、本実施形態のハブ10には、円筒部15aの内周面に対向するシャフト部10aの外周面に、上述した動圧溝18と同じ図示しないラジアル用の動圧溝が形成されている。これにより、ラジアル方向に働く力を支持することができるようになっている。
次に、上述した動圧軸受装置2を構成する軸受スリーブ11の製造方法について、図8を参照しながら以下に説明する。なお、図8は、成型加工を行う直前の状態を示す図である。
本実施形態の製造方法は、一対の金型、即ち、下金型(第1の金型)20及び上金型(第2の金型)21を利用しながら、凹部形成工程、凸部形成工程、セット工程、成型工程を行って製造する方法である。なお、本実施形態では、成型材料Sとして予め環状に焼結された焼結金属を用いた場合を例に挙げて説明する。
まず、ステンレス等の金属材料を機械的に加工して、円筒部15a及びフランジ部15bが一体的に形成されたスリーブ本体15を用意する。そして、フランジ部15bの端面15cに旋盤加工等により凹部17を形成する。また、この凹部形成工程の際に、凹部17の底面に成型材料Sが入り込む複数の溝部17aを形成する溝部形成工程を行う。この際、上述したように一方の側面がフランジ部15bの端面15cに直交する線L1に対して角度θだけ傾くように溝部17aを形成する。これにより溝部17aは、深くなるにつれて開口幅Hが漸次大きくなって、断面テーパ状となる。
次いで、上記凹部形成工程と同時或いは前後のタイミングで、研磨された平坦面20aを有する下金型20と、この下金型20に対して接近離間可能な上金型21とを用意する。下金型20には、平坦面20aの略中心に円柱部20bが取り付けられている。この円柱部20bは、平坦面20aに直交する方向に延びており、成型材料S、スリーブ本体15及び上金型21のガイド孔21aにそれぞれ挿通されて、これらをガイドするガイド軸である。この円柱部20bによって、下金型20、成型材料S、スリーブ本体15及び上金型21を、互いに高精度に重ね合わせることができるようになっている。
なお、この円柱部20bは、一体的に形成されていても構わないが、取り外し可能に構成して必要時に平坦面20aに取り付けるようにすることが好ましい。このようにすることで、平坦面20aの研磨加工と、次に行う凸部22の形成工程とを容易に行うことができる。
そして、下金型20と上金型21とを用意した後、下金型20の平坦面20aに、動圧溝18の形状に沿ってパターニングした凸部22を形成する。この凸部22の形成方法としては、例えば、フォトリソグラフィ技術により平坦面20aに保護膜をパターニングした後、該保護膜をマスクとして電鋳法等によりメッキを成長させることで形成すれば良い。但し、この方法に限定されるものではない。
この凸部形成工程と、上述した凹部形成工程とが終了した後、スリーブ本体15を下金型20と上金型21との間にセットするセット工程を行う。即ち、フランジ部15bの端面15cを凸部22が形成された平坦面20aに向けた状態で、スリーブ本体15を下金型20に載置する。またこの際、スリーブ本体15と下金型20との間に成型材料S、即ち、環状に焼結された焼結金属を介在させておく。これにより、凹部17と凸部22との間に成型材料Sが介在された状態となる。
このセット工程後、セットされたスリーブ本体15を上金型21で下金型20に押し付けながら成型材料Sを成型加工すると共に、凸部22を成型材料Sに転写させる成型工程を行う。本実施形態では、成型材料Sとして焼結金属を用いているので、成型材料Sを加熱しながら所定の力でスリーブ本体15を押し付けて、加熱、加圧成型する。
この成型工程を行うことで、複数の溝部17aに入り込みながら凹部17を埋めた状態で成型材料Sを成型することができ、成型部16を得ることができる。しかも、スリーブ本体15を押し付けているので、フランジ部15bの端面15cは研磨された平坦面20aに接触している。そのため、成型部16の表面をフランジ部15bの端面15cに対して確実に面一にすることができると共に、表面粗さも良好になる。更には、成形時に凸部22が転写されるので、成型部16の表面にスラスト用の動圧溝18を高精度に成型することができる。
そして最後に、下金型20と上金型21とを離間させることで、スリーブ本体15の凹部17内に動圧溝18を有する成型部16が成型された軸受スリーブ11を製造することができる。
特に、本実施形態の製造方法によれば、従来の転造加工やエッチング加工とは異なり、成型材料Sを成型加工するだけで動圧溝18が形成された成型部16を得ることができる。よって、転造加工で必要であった平坦化加工が不要であり、また、エッチング加工のように手間がかかることがない。従って、工数をかけずに製造することができ、低コスト化を図ることができる。よって、動圧軸受装置2自体の低コスト化を図ることができる。
また、成型部16は、フランジ部15bの端面15cに形成された凹部17内だけに成型されている。つまり、フランジ部15b自体が樹脂材で成型されていた従来のものとは異なり、フランジ部15bを含むスリーブ本体15は、金属材料によって一体的に形成されている。よって、円筒部15aの内周面とフランジ部15bの端面15cとの直角度は、成型精度等に何ら影響されず、金属部品であるスリーブ本体15の加工精度に依存する。従って、フランジ部15bを樹脂材で成型する場合に比べて、高い直角度を確保することができる。
また、フランジ部15bの端面15cと該端面15cに対向する背面15dとの平行度に関しても、フランジ部15bを樹脂材で成型する場合と比べて高い平行度を確保することができる。更に、成型部16の表面は、フランジ部15bの端面15cと面一に成型されているので、この成型部16の表面とスリーブ本体15の内周面との直角度に関しても高い直角度を確保することができる。
次に、上述した記録媒体駆動装置1によりハードディスクDを回転させる場合について、以下に説明する。
まず、コイル8に三相交流電流を供給する。すると、ティース7bが励磁されて磁界が発生する。この磁界により、永久磁石5はハブ10と共に軸線L回りに回転する。この際、ステータコア7は、永久磁石5の外周面に対向する対向部7cをティース7bの先端に有しているので、ステータコア7と永久磁石5との間の磁束の受け渡しが密になる。従って、ハブ10を効率良く回転させることができる。その結果、嵌合部10cによってハブ10に固定されているハードディスクDを軸線L回りに回転させることができる。
また、ハブ10の回転に伴って、ハブ10と軸受スリーブ11との間に供給されているオイルWがスラスト用の動圧溝18及びラジアル用の動圧溝に沿って流れ、動圧作用により圧力が高まる。即ち、流体動圧が発生する。これにより、回転時に生じるスラスト方向及びラジアル方向の力が支持されるので、ハブ10が滑らかに回転すると共に軸受スリーブ11によってハブ10を非接触状態で軸支することができる。
特に、動圧軸受装置2は、上述した各種の利点を有する軸受スリーブ11を備えているので、ハブ10が回転した際に、回転ムラ、振動や異音等が発生することを極力防止することができる。よって、ハブ10の回転特性を向上することができ、回転時の安定性を高めることができる。従って、品質及び信頼性を向上することができる。
また、軸受スリーブ11を製造する際に、凹部17の底面に複数の溝部17aを形成している。そのため、成型材料Sとスリーブ本体15との接触面積を増大させて密着度を高めることができる。また、これら複数の溝部17a内に入り込んだ状態で成型材料Sが成型されるので、成型部16を強固に保持することができる。しかも、複数の溝部17aは、深くなるにつれて漸次開口が大きくなるように形成されているので、成型部16はアンカー効果により溝部17aから容易に抜けない状態となっている。この点においても、成型部16を強固に固定することができる。
従って、ハブ10の回転動作による影響や、衝撃等の影響や、温度変化等の影響を受けたとしても、成型部16の剥離やずれ等が生じ難い。その結果、動圧軸受装置2の耐衝撃性や温度特性等を向上することができ、信頼性をより向上することができる。
また、本実施形態のスピンドルモータ3によれば、回転時の安定性及び回転特性に優れ、品質及び信頼性が向上した動圧軸受装置2を備えているので、スピンドルモータ3自体の品質及び信頼性を向上することができる。また、低コストで製造できる動圧軸受装置2を有しているので、スピンドルモータ3自体の低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態の記録媒体駆動装置1によれば、上述した利点を有するスピンドルモータ3を備えているので、ハードディスクDを安定且つ滑らかに回転させることができ、同様に装置全体の品質及び信頼性を向上することができる。また、低コスト化も図ることができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、成型材料Sとして予め環状に形成された焼結金属を用いたが、この場合に限られるものではなく、各種の成型材料Sを用いることが可能である。また、使用した成型材料Sに応じて、成型加工をすれば構わない。他の成型材料Sの一例としては、樹脂、金属ガラス、低融点ガラス等が考えられる。また、樹脂を用いた場合には、成型加工の際、射出成型すれば良い。また、金属ガラスや低融点ガラスを用いた場合には、焼結金属と同様に、加熱、加圧成型すれば良い。
特に、成型材料Sとして金属ガラスを用いた場合には、以下の利点を得ることができるので、より好ましい。
即ち、金属ガラスは、非晶質(アモルファス)なので、液体状態のように結晶構造を持たずに原子配列がランダムに詰まった形で固体化する特性を有している。そのため、結晶合金等に存在する特定の滑り面が無い。従って、機械的強度をより向上することができる。また、金属ガラスは、構造、組成が均質であり粒界も無いため、耐食性に優れている。これらのことから、成型部16の耐食性をより向上することができる。また、酸化処理を行うことで、耐摩耗性を向上させることも可能である。
更に、金属ガラスは、転写性に優れているうえ、過冷却液体領域があるため成形時の収縮を考慮する必要がない。そのため、動圧溝18をより高精度に成型することができる。従って、ハブ10をさらに安定に回転させることができ、動圧軸受装置2のさらなる高品質化及び信頼性の向上化を図ることができる。
ここで、金属ガラスを用いた際の成型条件の一例を述べる。例えば、Pt基金属ガラスを用いる場合には、ガラス転移点の温度が約230℃、結晶化温度が約310℃であり、その間の温度が過冷却液体状態を維持できる温度である。そのため、270℃前後の温度で成型を行えば良い。
また、上記実施形態では、凹部17の底面に複数の溝部17aを形成した場合を例に挙げたが、溝部17aを形成せず、単に凹部17を形成しても構わない。
また、上記実施形態では、フランジ部15bの端面15cだけに凹部17を形成して、端面15c側に動圧溝18を有する成型部16を成型したが、図9及び図10に示すように、端面15cに対向するフランジ部15bの背面15d側にも凹部17を形成して、動圧溝18を有する成型部16を成型しても構わない。なお、図9は軸受スリーブ11の断面図であり、図10は軸受スリーブ11を背面15d側から見た図である。
軸受スリーブ11をこのように構成することで、フランジ部15bの両面(上下面)に流体動圧を発生させて、フランジ部15bを間に挟んだ2箇所でスラスト方向の力を支持することができる。従って、ハブ10をより安定させた状態で軸支することができる。
この場合の軸受スリーブ11を製造する場合には、凹部形成工程の際にフランジ部15bの端面15cだけでなく、背面15d側にも凹部17を形成しておく。また、凸部形成工程の際に、図11に示すように、下金型20だけでなくフランジ部15bの背面15dに接触する上金型21にも凸部22を形成しておく。なお、図11は、成型加工を行う直前の状態を示す図である。また、セット工程の際に、スリーブ本体15と上金型21との間にも成型材料Sを介在させておく。そして、上金型21でスリーブ本体15を押し付ける成型工程を行うことで、背面15d側に形成された凹部17内に、動圧溝18を有する成型部16を成型することができる。
本発明に係る動圧軸受装置及びモータを有する記録媒体駆動装置の一実施形態を示す断面図である。 図1に示ステータの上面図である。 図2に示す断面矢視A−A図である。 図1に示す軸受スリーブの断面図である。 図4に示す軸受スリーブをフランジ部の端面側から見た図である。 図4に示すスリーブ本体の断面図である。 図6に示すスリーブ本体をフランジ部の端面側から見た図である。 図4に示す軸受スリーブを製造する際の一工程図であって、下金型と上金型との間にスリーブ本体及び成型材料をセットした後、成型加工を行う直前の状態を示す図である。 本発明に係る動圧軸受装置を構成する軸受スリーブの変形例を示す図であって、フランジ部の端面側及び背面側に動圧溝を有する成型部が成型された軸受スリーブの断面図である。 図9に示す軸受スリーブをフランジ部の背面側から見た図である。 図9に示す軸受スリーブを製造する際の一工程図であって、下金型と上金型との間にスリーブ本体及び2つの成型材料をセットした後、成型加工を行う直前の状態を示す図である。 従来の動圧軸受装置を構成する軸体の側面図(一部断面図)である。
符号の説明
D ハードディスク(記録媒体)
L 軸線
H 溝部の開口幅
S 成型材料
W オイル(流体)
1 記録媒体駆動装置
2 動圧軸受装置
3 スピンドルモータ(モータ)
5 永久磁石
6 ステータ
7 ステータコア
7b ティース(歯極部)
8 コイル
10 ハブ(軸体)
10c 嵌合部(保持部)
11 軸受スリーブ
15 スリーブ本体
15b フランジ部
15c フランジ部の端面
15d フランジ部の背面
16 成型部
17 凹部
17a 溝部
18 動圧溝
20 下金型(第1の金型)
20a 第1の金型の平坦面
21 上金型(第2の金型)
22 凸部

Claims (12)

  1. 軸線回りに回転する軸体と、
    流体を間に介在させて前記軸体を流体の動圧作用を利用して回転可能に支持する軸受スリーブと、を備える動圧軸受装置であって、
    前記軸受スリーブは、
    金属材料により前記軸体を内部に挿入させるように円筒状に形成され、半径方向外方に張り出したフランジ部を一端側に有するスリーブ本体と、
    前記フランジ部の端面に、該フランジ部の外縁から一定距離の領域を開けて形成された環状の凹部と、
    成型材料により前記凹部を埋めるように該凹部内だけに成型され、その表面が前記端面に対して面一とされた成型部と、
    該成型部と同一のタイミングで成型部の表面に成型加工され、前記軸体の回転時に軸体との間で流体動圧を発生させる動圧溝と、を有していることを特徴とする動圧軸受装置。
  2. 請求項1に記載の動圧軸受装置において、
    前記端面に対向する前記フランジ部の背面側にも、前記凹部、前記成型部及び前記動圧溝がそれぞれ設けられていることを特徴とする動圧軸受装置。
  3. 請求項1又は2に記載の動圧軸受装置において、
    前記凹部の底面には、複数の溝部が形成され、
    前記成型部は、前記複数の溝部内に入り込んだ状態で成型されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  4. 請求項3に記載の動圧軸受装置において、
    前記溝部は、深くなるにつれて開口幅が漸次大きくなるように形成されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の動圧軸受装置において、
    前記成型材料は、金属ガラスであることを特徴とする動圧軸受装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の動圧軸受装置と、
    前記軸体に保持された環状の永久磁石と、
    該永久磁石の周囲を囲むように配され、永久磁石の外周面に対向する歯極部を周方向に複数有するステータコアと、複数の歯極部の周囲に巻回されたコイルとを有するステータと、を備えていることを特徴とするモータ。
  7. 請求項6に記載のモータと、
    前記軸体に設けられ、各種情報を記録可能な記録媒体を保持する保持部と、を備えていることを特徴とする記録媒体駆動装置。
  8. 流体を間に介在させて、軸線回りに回転する軸体を流体の動圧作用を利用して回転可能に支持する軸受スリーブを製造する方法であって、
    金属材料により前記軸体を内部に挿入させるように円筒状に形成され、半径方向外方に張り出したフランジ部を一端側に有するスリーブ本体を用意した後、前記フランジ部の端面に、該フランジ部の外縁から一定距離の領域を開けて環状の凹部を形成する凹部形成工程と、
    平坦面を有する第1の金型と、該第1の金型に対して接近離間可能に配された第2の金型とを用意した後、平坦面に動圧溝の形状に沿ってパターニングした凸部を形成する凸部形成工程と、
    成型材料を間に介在させた状態で、前記端面を前記平坦面側に向けて前記スリーブ本体を前記第1の金型上に載置するセット工程と、
    セットされた前記スリーブ本体を前記第2の金型で前記第1の金型に押し付けながら前記成型材料を成型加工すると共に前記凸部を成型材料に転写させて、前記凹部内だけを埋めた状態でその表面が前記端面に対して面一とされた成型部と、該成型部の表面に形成されて前記軸体の回転時に軸体との間で流体動圧を発生させる動圧溝とを、それぞれ同一タイミングで成型する成型工程と、を行うことを特徴とする軸受スリーブの製造方法。
  9. 請求項8に記載の軸受スリーブの製造方法において、
    前記凹部形成工程の際に、前記端面に対向する前記フランジ部の背面側にも前記凹部を形成し、
    前記凸部形成工程の際に、前記第2の金型の表面に前記凸部を形成し、
    前記セット工程の際に、前記スリーブ本体と前記第2の金型との間に前記成型材料を介在させることで、前記フランジ部の背面側に形成された凹部内に前記動圧溝が形成された前記成型部を、前記成型工程時に同一タイミングで成型することを特徴とする軸受スリーブの製造方法。
  10. 請求項8又は9に記載の軸受スリーブの製造方法において、
    前記凹部形成工程の際に、前記凹部の底面に前記成型材料が入り込む複数の溝を形成する溝部形成工程を行うことを特徴とする軸受スリーブの製造方法。
  11. 請求項10に記載の軸受スリーブの製造方法において、
    前記溝部形成工程の際に、深くなるにつれて開口幅が漸次大きくなるように前記溝部を形成することを特徴とする軸受スリーブの製造方法。
  12. 請求項8から11のいずれか1項に記載の軸受スリーブの製造方法において、
    前記成型材料として、金属ガラスを用いることを特徴とする軸受スリーブの製造方法。
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