JP4248657B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路の製造工程、薬品,食品の製造工程、バイオテクノロジー関連の処理工程などに用いられるクリーンルームに循環空気を供給する空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、この種の空気調和装置は、クリーンルームの天井側に設置したファンフィルタユニットのフィルタで循環空気中の塵埃を捕捉除去することにより清浄域を高清浄度に保ち、また、温調器による循環空気の温度調整により清浄域を所望の温度状態に調整するものである。
【0003】
図4は、その一例を示す。
クリーンルーム1は、建物の屋内に形成された清浄空間であって、天井部2に空気導入部3を形成し、多孔板などを敷設したフリーアクセスフロアから成る床部4に空気導出部5を形成している。
このクリーンルーム1の天井部2側には、天井空間6が形成されている。また、床部3側には、床下空間7が形成されている。
【0004】
また、クリーンルーム1の天井部2側には、高性能エアフィルタ9と送風機10とが一体になったファンフィルタユニット8が配置されている。ここで、高性能エアフィルタ9としては、例えば、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタや、HEPA(High Efficiency Particle Air)フィルタがある。また、床下空間7の床下面と天井空間6の天井面との距離Lは、通常6〜7mである(10mの場合もある)。
【0005】
天井空間6と床下空間7は、通路11を介して連絡している。
この通路11には、空調熱負荷除去用の空調機12が設置されている。空調機12には、内部にドライコイル13と送風機14を配置し、下部に空気導入口15を設けるとともに上部に空気導出口16を設けている。
また、空調機12は、適用される空気調和装置の規模によって、例えば、図5に示すように、必要数並べられる。
【0006】
なお、図示しないが、空気調和装置には、外気を処理した空気(フレッシュ空気)が導入されるようになっている。
次に、このように構成された空気調和装置の作用を説明する。
空調機12によって温調された清浄空気は、通路11を介して、天井空間6へ導かれた後、ファンフィルタユニット8を通ってクリーンルーム1内に入る。
【0007】
この際、清浄空気は、高性能エアフィルタ9によって塵埃などが除去される。クリーンルーム1内の清浄空気は、送風機10によって、床部4の空気導出部5から床下空間7に押し出され、リターン空気Rとなって、空調機12から供給される温調された清浄空気とともにファンフィルタユニット8に導入される。
このようにして、クリーンルーム1内は所定のクリーン度が維持される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の空気調和装置では、通常、空調機12の送風機14による吹出速度が7〜10m/secしかないため、空調機12からの吹出冷風と、リターン空気Rとなった循環空気とが混合しないまま、天井空間6に導かれ、ファンフィルタユニット8によってクリーンルーム1内に導入される。
【0009】
その結果、クリーンルーム1内で、温度ムラを生じるおそれがある。
また、空気の循環は、空調機12の送風機14とファンフィルタユニット8の送風機10の動力によって行われているが、空調機12の送風機14による吹出速度が7〜10m/secしかないため、ファンフィルタユニット8の送風機10の押し込み力を軽減することができなかった。
【0010】
その結果、ファンフィルタユニット8の動力を多くする運転が必要となっている。
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、クリーンルーム内の温度ムラを抑制するとともにファンフィルタユニットの動力を低減することが可能な空気調和装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る空気調和装置は、天井部に空気導入部を形成するとともに床部に空気導出部を形成したクリーンルームと、このクリーンルームの天井部側に形成された天井空間と、前記クリーンルームの床部側に形成された床下空間と、前記クリーンルームの天井部側に配設されたファンフィルタユニットと、天井空間と床下空間とを連絡する通路と、この通路に空気導入口と空気導出口を介して連絡する空調機と、この空調機の空気導出口を介して前記クリーンルームと並行に前記通路内に配設されるとともに前記天井空間に向かって開口する複数のノズルを設けた清浄空気吹出器とを備え、前記空調機は、清浄空気吹出器に設けた複数のノズルから循環空気より高速の空気を噴き出すことを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る空気調和装置は、請求項1記載の空気調和装置において、前記清浄空気吹出器の複数のノズルから循環空気が、15〜25m/secで吹き出されることを特徴とする。
【0013】
(作用)
請求項1、2に係る空気調和装置においては、清浄空気吹出器の複数のノズルから循環空気の流速より速い空調空気が吹き出されるので、この高速流によって通路内の循環空気が誘引され、通路において循環空気と空調空気とが混合される。
【0014】
その結果、ファンフィルタユニットを介してクリーンルーム内に導かれる空気は、温度ムラが小さくなる。
また、効率よく誘引することによって、全体循環流の圧力損失を補償し、ファンフィルタユニットの動力を低減することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態により説明する。
【0016】
図1ないし図3は、請求項1、2に係る空気調和装置の一実施形態を示す。
なお、本実施形態において、クリーンルーム、天井空間、床下空間およびファンフィルタユニットの構成は、図4に示す従来例を同様であるので、同じ符号を付し、その詳細説明は省略する。
空調熱負荷除去用の空調機20が、通路11の外側空間(通常は、バックヤード、メンテナンスエリアなどと称される空間)40に設けられている。
【0017】
この空調機20の空気導入口21と空気導出口22が、通路11の壁面11aを介して連絡している。
空調機20の空気導出口22には、清浄空気吹出器23が配設されており、この清浄空気吹出器23は、通路11内に位置する。
この清浄空気吹出器23は、通路11内において、クリーンルーム1と並行に配設されるとともに天井空間6に向かって開口する複数のノズル(本例では、5個)26を設けている。
【0018】
このノズル26からは、15〜25m/sec程度の速度で清浄空気を噴出できるようになっている。
空調機20内には、従来と同様に、ドライコイル24と送風機25が配置されている。
次に、このように構成された本実施形態の作用を説明する。
【0019】
空調機20によって温調された清浄空気は、空気導入口21から清浄空気吹出器23へ導かれ、この清浄空気吹出器23に設けられた5個のノズル26から15〜25m/secの速度で、天井空間6に向かって吹き出される。
この高速流の噴出により、通路11内を流通しているリターン空気(循環空気)Rが誘引され、図1に示すように、天井空間6の近傍において、高速の清浄空気と循環空気とが攪拌混合され、循環空気と清浄空気との温度差が小さくされる。
【0020】
その後、誘引により混合された空気は、通路11を介して、天井空間6へ導かれた後、ファンフィルタユニット8を通ってクリーンルーム1内に入る。
この際、清浄空気は、高性能エアフィルタ9によって塵埃などが除去される。クリーンルーム1内の清浄空気は、送風機10によって、床部4の空気導出部5から床下空間7に押し出され、リターン空気Rとなって、空調機12から供給される温調された清浄空気とともにファンフィルタユニット8に導入される。
【0021】
このようにして、クリーンルーム1内は所定のクリーン度が維持される。
以上のように、本実施形態によれば、通路11において循環空気の流速より高速の清浄空気を清浄空気吹出器23に設けられた5個のノズル26から噴出し、循環空気を誘引し、攪拌混合するので、室内の温度ムラが小さくなり、クリーンルーム1内の温度を所定値に抑えることが可能となる。
【0022】
また、循環空気を誘引により高速化するので、全体循環流の圧力損失を補うことが可能となり、ファンフィルタユニット8の動力を低減することが可能となる。
さらに、空調機20が通路11内に無いため、通路11を小さくすることが可能となる。その結果、イニシャルコストの減少が可能となる。
また、空調機20が通路11内に無いため、通路11側にクリーンルーム1を拡張することが可能となる。
【0023】
さらに、ファンフィルタユニット8は、従来と同様であるから、ファンフィルタユニット8の特性を維持しながら、温度ムラの防止、ファンフィルタユニット8の動力軽減が可能となる。
なお、本実施形態において、ノズル26から噴出される清浄空気の速度を、15〜25m/sec程度としたのは、効率的な誘引を起こさせるためである。
【0024】
ここで、下限値を15m/secとしたのは、通常の空調機の噴出速度が7〜10m/secであるから、この速度の約2倍程度の速度が無いと誘引効果が期待できないからである。
一方、上限値を25m/secとしたのは、ファンフィルタユニット8の上部と天井空間6の天井面との距離Lに基づいて求められた。
【0025】
この距離Lは、通常6〜7mである(10mの場合もある)。一方、誘引効果だけを発揮させる場合には、高速であることが望ましいことは自明である。ところが、25m/secを超える高速流になると、天井空間6の天井6aからの跳ね返り量が多くなり、天井空間6内での乱れが起こり、ファンフィルタユニット8からの効率的な押し込み作用が円滑に行われないという不具合が発生する。
【0026】
その結果、25m/secを超えると、ファンフィルタユニット8の特別な管理を必要とし、単純にファンフィルタユニット8の動力を低減することができなくなる。
また、本実施形態では、従来の空気調和装置と同様に、5個の空調機20を設け、それぞれに清浄空気吹出器23を設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、クリーンルーム1の適用に応じて増減変更を適宜行うことが可能である。
【0027】
さらに、清浄空気吹出器23の高さは、誘引効果を考慮すると、通路11の中間部当たりが望ましい。
また、ノズル26は、丸形に限らず、スリット状でも良い。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、請求項1、2に係る空気調和装置によれば、清浄空気の誘引作用により、循環空気の温度ムラが抑えられる。
【0029】
また、効率的な誘引により、全体循環流の圧力損失を補償し、ファンフィルタユニットの動力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1、2に係る空気調和装置の一実施形態を示す要部断面図である。
【図2】図1の要部を示す上面図である。
【図3】図1の空気調和装置の概念図である。
【図4】従来の空気調和装置を示す説明図である。
【図5】図4の空気調和装置の概念図である。
【符号の説明】
1 クリーンルーム
6 天井空間
7 床下空間
8 ファンフィルタユニット
9 高性能フィルタ
10 送風機
11 通路
20 空調機
21 空気導入口
22 空気導出口
23 清浄空気吹出器
26 ノズル
Claims (2)
- 天井部に空気導入部を形成するとともに床部に空気導出部を形成したクリーンルームと、
このクリーンルームの天井部側に形成された天井空間と、
前記クリーンルームの床部側に形成された床下空間と、
前記クリーンルームの天井部側に配設されたファンフィルタユニットと、
天井空間と床下空間とを連絡する通路と、
この通路に空気導入口と空気導出口を介して連絡する空調機と、
この空調機の空気導出口を介して前記クリーンルームと並行に前記通路内に配設されるとともに前記天井空間に向かって開口する複数のノズルを設けた清浄空気吹出器とを備え、
前記空調機は、清浄空気吹出器に設けた複数のノズルから循環空気より高速の空気を噴き出す
ことを特徴とする空気調和装置。 - 請求項1記載の空気調和装置において、
前記清浄空気吹出器の複数のノズルから循環空気が、15〜25m/secで吹き出される
ことを特徴とする空気調和装置。
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