JP4246851B2 - 等速ジョイント用外輪部材の製造方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、等速ジョイントを構成する等速ジョイント用外輪部材の製造方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば、自動車の動力伝達装置には、駆動されるシャフトの角度に影響されることなく円滑な回転力を得るために、等速ジョイントが採用されている。この種の等速ジョイントとして、ボールベアリングにより回転力を与えるバーフィールドタイプと、少なくとも3個のローラを介して回転力を与えるトリポードタイプとが知られている。
【0003】
この場合、バーフィールドタイプおよびトリポードタイプの等速ジョイントは、それぞれ、軸部と、この軸部の端部から拡径して一体的に設けられるとともに、その内周面に複数本のトラック溝が形成されたカップ部とにより構成される外輪部材を備えている。
【0004】
例えば、バーフィールドタイプの等速ジョイントを構成する外輪部材を製造する際には、所定長に切断された棒状部材(ビレット)に対し、前方押し出し成形を施すことにより軸部を形成し、一方、据え込み成形、後方押し出し成形およびしごき成形等の種々の鍛造成形を施すことにより、前記軸部と一体的にカップ部を形成している。
【0005】
さらに、例えば、特開平5−185147号公報には、外輪部材の軽量化を図るために、厚板材からカップ状に絞り込むプレス加工によってカップ部を成形する技術的思想が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の鍛造成形方法を用いて外輪部材を製造した場合、素材の加工硬化による成形性や被削性を回復させるため、各種の鍛造成形工程の間には、例えば、焼鈍し、ボンデ等の中間処理(潤滑処理)が必要となり、複数の鍛造成形工程では、複数の中間処理が必要となる。このためリードタイムが長くなるという問題がある。
【0007】
また、前記鍛造成形では、鍛造用素材に付与される成形荷重が大きいことから鍛造成形装置が大型化してしまうとともに、成形体の成形面の面圧が極めて高いため、外輪部材の肉厚を薄くすることが難しいという問題がある。
【0008】
さらに、特開平5−185147号公報に開示された技術的思想では、トラック溝の成形に至るまでの製造工程数が多くなり、また、広いダイスペースが必要となるため、プレス装置全体が大型化して製造コストが高騰するという不具合がある。
【0009】
本発明は、前記の不具合を考慮してなされたものであり、装置全体を小型化し且つ製造工程を簡素化するとともに、カップ部の肉厚を薄肉に形成して軽量化を図り、しかも製造コストを低減することが可能な等速ジョイント用外輪部材の製造方法および装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、開口部を有するカップ部と、前記カップ部の一端部に突設して接合される軸部とからなる等速ジョイント用外輪部材を製造するための方法であって、
所定長に切断され、潤滑処理された管状体を金型にセットした後、前記管状体の一端の開口端部を拘束して軸線方向に沿って加圧することにより該管状体に絞り成形を施す工程と、
成形パンチによって絞り成形体の内周側を拘束しながら、半径内方向に沿って変位する複数のカムパンチにより、前記絞り成形体の内壁に複数のトラック溝を形成しつつ該絞り成形体における一端部に該絞り成形体を縮径させたショルダ部を同時に加圧成形する工程と、
前記工程によって得られたカップ部成形体における前記ショルダ部が存在する側の端部に対して軸部を接合する工程と、
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、複数のトラック溝およびショルダ部が略同時に形成されるとともに、潤滑処理が1回ですむため、製造工程が簡素化される。
【0012】
さらに、本発明は、開口部を有するカップ部と、前記カップ部の一端部に突設して接合される軸部とからなる等速ジョイント用外輪部材を製造するための装置であって、
相対的に接近または離間自在に設けられた上型および下型と、
絞り成形体の内周側を拘束する成形パンチと、
前記上型および下型の接近作用下に、半径内方向に向かって変位することにより成形パンチに拘束された絞り成形体の内壁に対して複数のトラック溝を形成しつつ該絞り成形体における一端部に該絞り成形体を縮径させたショルダ部を同時に加圧成形する複数のカムパンチと、
を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、上型および下型の接近作用下に、それぞれ別個独立に構成された複数のカムパンチを半径内方向に向かって変位させることにより、絞り成形体に対して複数のトラック溝およびショルダ部を略同時に成形することができる。この結果、簡素な構造によってトラック溝等を形成することができ、装置全体を小型化して製造コストを低減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る等速ジョイント用外輪部材の製造方法について、これを実施する装置との関連において好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0015】
先ず、本実施の形態に係る等速ジョイント用外輪部材の製造装置によって製造される等速ジョイント用外輪部材について説明する。
【0016】
この等速ジョイント用外輪部材10は、図1に示されるように、カップ部12と軸部14とから構成され、前記カップ部12と軸部14とは溶接等により一体的に結合して形成される。前記カップ部12の一端部には略円形状の開口部16が形成され、前記開口部16の外周面には、ブーツバンド18(図2参照)を装着するための断面略円形状のフランジ部20が形成されている。
【0017】
また、前記カップ部12には、図3に示されるように、周方向に沿って約120度の角度だけ離間し、軸線方向に沿って延在する3つの膨出部22a〜22cが形成され、前記膨出部22a〜22cの内壁面にはトラック溝24a〜24cが形成されている。隣接する膨出部22a〜22cの間には、同心円状からなる円弧部25a〜25cが形成されている。
【0018】
この場合、フランジ部20と膨出部22a〜22cの頂面26は、それぞれ、略同一の曲率半径を有する周面に形成されている。従って、カップ部12の形状を簡素化して小型化することができる。
【0019】
前記カップ部12の他端部は、後述するプレス成形によって絞り込まれることにより、前記膨出部22a〜22cから軸部14側に向かって徐々に縮径するショルダ部28が形成されている(図2参照)。
【0020】
軸部14は略円柱状からなり、その軸線方向に沿った両端面にそれぞれセンタ穴が同軸状に形成され、カップ部12との接合部位には環状段部が形成されている。
【0021】
次に、本発明の実施の形態に係る等速ジョイント用外輪部材の製造装置60について説明する。
【0022】
この製造装置60は、図4乃至図6に示されるように、所定長に切断された管状体36の一端部を縮径させて絞り成形を行う第1工程部62と、絞り成形によって得られた絞り成形体64に対してトラック溝成形およびショルダ部成形を行う第2工程部66とが並設して構成される。
【0023】
前記第1工程部62は下型68および上型70とを備え、前記下型70は、下部シュー72に組み込まれた第1ダイホルダ74を有し、前記第1ダイホルダ74上には、固定プレート76を介して圧入リング78が保持される。前記圧入リング78の貫通する孔部内には、下から順に第2ダイホルダ80、第3ダイホルダ82および成形ダイ84がそれぞれ圧入されて一体的に積層された状態で保持され、前記成形ダイ84は、環状段部86に係合する固定プレート76を介して圧入リング78に係止される。
【0024】
前記成形ダイ84の孔部88内には、マンドレル90の一端部が臨むように設けられ、前記マンドレル90には、ノックアウト用リング92が昇降自在に設けられる。また、前記成形ダイ84には、前記孔部88に連続し且つ下方側に向かって徐々に縮径するテーパ面94が形成されている。
【0025】
上型70は、上部シュー96に図示しない固定手段を介して固定されるホルダ98を有し、前記ホルダ98には成形パンチ100が保持される。前記成形パンチ100には、被成形体である管状体36の一端部を押圧するとともに、位置決めするための環状凹部102が形成されている。
【0026】
前記第2工程部66は、下型104および上型106とを備え、前記下型104は、下部シュー72に組み込まれた第1ダイホルダ74および第2ダイホルダ108を有し、前記第2ホルダ108の孔部内には下部ノックアウト部材110が昇降自在に設けられる。
【0027】
第2ダイホルダ108の上部には、略円板状のカムホルダ112が固定され、前記カムホルダ112の中心部には、後述する成形パンチ152が挿入されるとともに、第1工程部62によって絞り成形された絞り成形体64を保持するための第1孔部116が軸線方向に沿って形成されている。また、前記カムホルダ112には、前記第1孔部116に連通するとともに、半径外方向に向かって略水平に延在する第2乃至第4孔部118、120、122がそれぞれ形成され、前記第2乃至第4孔部118、120、122は、それぞれ周方向に沿って約120度ずつ離間して形成される。
【0028】
前記第2乃至第4孔部118、120、122内には、それぞれ、トラック溝24a〜24cを成形するための第1カムパンチ124a〜124cが半径方向に沿って変位自在に設けられ、前記第1カムパンチ124a〜124cの一端部には、第2乃至第4孔部118、120、122から外部に露呈して所定角度傾斜する傾斜面126が設けられる。
【0029】
この場合、後述する第1カムドライバ128の環状傾斜面130と前記第1カムパンチ124a〜124cの傾斜面126とが係合して、第1カムパンチ124a〜124cを半径内方向に向かって押圧することにより、該第1カムパンチ124a〜124cが中心部に向かって変位し、一方、図示しないばね部材の弾発力の作用下に第1カムパンチ124a〜124cが半径外方向に向かって常時付勢されている。なお、第2ダイホルダ108の上部には、前記第1カムパンチ124a〜124cの半径外方向の変位を規制する環状のストッパ132が固定されている。
【0030】
さらに、図5に示されるように、カムホルダ112において、隣接する第2および第3孔部118、120間、隣接する第3および第4孔部120、122間、隣接する第2および第4孔部118、122間には、前記第1孔部116に連通する第5乃至第7孔部134、136、138がそれぞれ半径方向に沿って形成され、前記第5乃至第7孔部134、136、138は、それぞれ周方向に沿って約120度ずつ離間して形成される。
【0031】
前記第5乃至第7孔部134、136、138内には、それぞれ、縮径するショルダ部28を成形するための第2カムパンチ140a〜140cが半径方向に沿って変位自在に設けられ、前記第2カムパンチ140a〜140cの一端部には、第2乃至第4孔部118、120、122から外部に露呈して所定角度傾斜する傾斜面142が設けられる。
【0032】
この場合、後述する第2カムドライバ144の環状傾斜面146と前記第2カムパンチ140a〜140cの傾斜面142とが係合し、第2カムパンチ140a〜140cを半径内方向に向かって押圧することにより、該第2カムパンチ140a〜140cが中心部に向かって変位し、一方、図示しないばね部材の弾発力の作用下に第2カムパンチ140a〜140cが半径外方向に向かって変位するように設けられている。なお、第2ダイホルダ108の上部には、前記第2カムパンチ140a〜140cの半径外方向の変位を規制する環状のストッパ132が固定されている。
【0033】
上型106は、上部シュー96に図示しない固定手段を介して固定されるホルダ148と、前記ホルダ148に外嵌される略円筒状のアウタリングダイ150とを有し、前記ホルダ148には成形パンチ152が保持される。前記成形パンチ152には、トラック溝24a〜24cおよびショルダ部28に対応する凹凸部が形成されている。
【0034】
前記アウタリングダイ150の内壁面には、第1カムパンチ124a〜124cの傾斜面126に係合する環状傾斜面130を有する環状の第1カムドライバ128と、第2カムパンチ140a〜140cの傾斜面142に係合する環状傾斜面146を有する環状の第2カムドライバ144とがそれぞれ固定される。なお、ホルダ148と成形パンチ152の間には、ホルダ148の孔部に沿って昇降自在な上部ノックアウト部材154が設けられる。
【0035】
第2工程部では、成形パンチ152、第1カムドライバ128および第2カムドライバ144がそれぞれ一体的に昇降自在に設けられており、前記第1カムドライバ128および第2カムドライバ144の環状傾斜面130、146が、それぞれ、第1カムパンチ124a〜124cおよび第2カムパンチ140a〜140cの傾斜面126、142にそれぞれ係合することにより、前記第1カムパンチ124a〜124cおよび第2カムパンチ140a〜140cが略同時に変位するように設けられている。
【0036】
従って、成形パンチ152が降下してさらに上昇する1ストロークにおいて、それぞれ別体で構成された第1カムパンチ124a〜124cおよび第2カムパンチ140a〜140cが略同時に中心部に向かって変位することにより、複数のトラック溝24a〜24cおよび縮径するショルダ部28が一挙に形成される。
【0037】
本実施の形態に係る製造装置60は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に等速ジョイント用外輪部材10の製造工程に基づいて、その動作並びに作用効果について以下説明する。
【0038】
先ず、カップ部12の製造工程について説明する。
【0039】
例えば、パイプ等の管状体36を所定寸法に切断し(図9A参照)、切断された前記管状体36に対して中間処理を施す。すなわち、前記管状体36に対し、焼鈍し処理、ショットブラスト処理およびボンデ処理等の潤滑処理を行う(図9Bおよび図9C参照)。
【0040】
前記中間処理が行われた管状体36に対し、本実施の形態に係る製造装置60の第1工程部62および第2工程部66からなる2工程によってトラック溝24a〜24cおよびショルダ部28をプレス成形する(図9Dおよび図9E参照)。
【0041】
すなわち、中間処理が施された管状体36を第1工程部62の成形ダイ84の孔部88内に挿入し、図示しない昇降手段を介して上部シュー96と一体的に成形パンチ100を下降させ、管状体36の一端部が環状凹部102に位置決めされた状態で前記管状体36は、下方側に向かって加圧成形される。成形パンチ100によって前記管状体36が下方側に向かって押圧されることにより、管状体36の他端部が成形ダイ84のテーパ面94に沿って縮径する絞り成形が施される。
【0042】
なお、前記管状体36の他端部に対して絞り成形が行われる際、マンドレル90の外径によって絞り成形体64の内径寸法、すなわち、軸部14を接合するための穴径が規制される。
【0043】
図示しない昇降手段を介して成形パンチ100を上昇させた後、ノックアウト用リング92を変位させることにより絞り成形体64が成形ダイ84から離間して第1工程部62から取り出され、図示しない移送手段を介して第2工程部66に移送される。
【0044】
第2工程部66では、絞り成形体64をカムホルダ112の第1孔部116内に挿入し(図7参照)、図示しない昇降手段を介して成形パンチ152を下降させる。この場合、前記成形パンチ152は、トラック溝24a〜24cおよびショルダ部28を成形する際にインナ部材として絞り成形体64をサポートする機能を営むため、第1カムパンチ124a〜124cおよび第2カムパンチ140a〜140cとの位相精度が保持されるように設定されている。
【0045】
前記成形パンチ152と一体的に第1カムドライバ128および第2カムドライバ144が下降し、前記第1カムドライバ128の環状傾斜面130がカムホルダ112から外部に露呈する第1カムパンチ124a〜124cの傾斜面126に係合し、前記第1カムパンチ124a〜124cを中心部に向かって押圧する。略同時に、前記第2カムドライバ144の環状傾斜面146がカムホルダ112から外部に露呈する第2カムパンチ140a〜140cの傾斜面142に係合し、前記第2カムパンチ140a〜140cを中心部に向かって押圧する。
【0046】
従って、第1カムパンチ124a〜124cが第2乃至第4孔部118、120、122に沿ってそれぞれ変位することにより絞り成形体64に対して複数のトラック溝24a〜24cが形成され、一方、第2カムパンチ140a〜140cが第5乃至第7孔部134、136、138に沿ってそれぞれ変位することにより絞り成形体64に対してショルダ部28が形成される。
【0047】
換言すると、第2工程部66では、成形パンチ152の1ストロークによって第1カムパンチ124a〜124cおよび第2カムパンチ140a〜140cがそれぞれ略同時に変位することにより、絞り成形体64に対して複数のトラック溝24a〜24cおよびショルダ部28を略同時に形成することができる(図8参照)。なお、前記ショルダ部28は、第1カムパンチ124a〜124cの内周下部と第2カムパンチ140a〜140cとの共働作用下に一体的に環状に加締められて形成される。
【0048】
その際、トラック溝24a〜24cの成形寸法は、第1カムパンチ124a〜124cの変位量によって設定され、第2工程部66によって得られる成形体の高さ寸法は、成形パンチ152の変位量によって設定されるため、後述するシム等の調整手段を介して前記第1カムパンチ124a〜124cおよび成形パンチ152の変位量を微調整する必要がある。
【0049】
第2工程部66においてトラック溝24a〜24cおよびショルダ部28の成形が完了した後、図示しない昇降手段を駆動させて成形パンチ152を上昇させ、下部および上部ノックアウト部材110、154を付勢して成形体が取り出される。
【0050】
このような成形体の両端面にそれぞれレース加工を行うことにより、カップ部12が形成される(図9F参照)。
【0051】
次に、前記カップ部12とは別個に且つ並列的に遂行される軸部14の製造工程について説明する。
【0052】
棒状部材42が所定寸法に切断された円柱体44に対して(図10A参照)、焼鈍し処理、ショットブラスト処理およびボンデ処理等の中間処理を行った後
(図10Bおよび図10C参照)、前記円柱体44に対して2つの工程からなる鍛造成形が施されることにより成形体46、48が得られ(図10Dおよび図10E参照)、さらに、前記成形体48において、カップ部12との接合部位に対してレース加工が行われることにより、軸部14が形成される(図10F参照)。
【0053】
このようにしてそれぞれ別個に且つ並列的に製造されたカップ部12の縮径した一端部に軸部14を圧入し(図11A)、前記カップ部12と軸部14との接合部位を図示しないレーザビーム発生手段から照射されるレーザビーム50によって溶着することにより、カップ部12と軸部14とが一体的に結合される(図11B参照)。続いて、ブーツバンド18を装着するためのバンド溝52のサイジング加工が施された後(図11C参照)、最後に浸炭処理および研磨処理等が行われることにより(図11D)、製品としての等速ジョイント用外輪部材10が完成する。
【0054】
本実施の形態では、第1工程部62および第2工程部66からなる簡素な機構によって構成することにより、装置全体を小型化して製造コストを低減させることができる。すなわち、従来技術のように大型の鍛造成形装置(図示せず)を用いる必要がなく、小型化され且つ簡素な構造からなる製造装置60によって等速ジョイント用外輪部材10を製造することができる。
【0055】
この場合、第1工程部62および第2工程部66を並設するとともに上部シュー96を共通に使用し、2つの成形パンチ100、152を同時に昇降させて第1工程と第2工程とを連続させることにより、生産効率を向上させることができる。
【0056】
また、本実施の形態では、管状体36をプレス成形することによってカップ部12を製造しているため、鍛造成形と比較して成形荷重が抑制され等速ジョイント用外輪部材10の肉厚をより一層薄肉として軽量化を図ることが可能となる。
【0057】
さらに、本実施の形態では、中間処理の回数が1回だけですみ、従来技術と比較して中間処理の回数が削減されるため、製造工程を簡素化することができる。
【0058】
さらにまた、本実施の形態では、所定長に切断された管状体36に対し、第1工程および第2工程からなる2工程のプレス成形を施すことによりカップ部12が形成されるため、従来技術と比較してトラック溝24a〜24cを成形する工程に至るまでの製造工程数を削減し製造コストを低減することができる。
【0059】
次に、製造装置60を構成する第2工程部160の変形例を図12に示す。なお、前述した本実施の形態と同一の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0060】
この変形例に係る第2工程部160は上型162と下型164とを有し、前記下型164は、略円柱状のダイ166と、前記ダイ166の環状段部168を介して保持され、中心部に形成された孔部170に沿って上方に向かって延在する下パンチ172とを備える。前記孔部170の内壁面と下パンチ172の外周面との間には、環状の空間部が形成され、前記空間部に絞り成形体64がセットされる。また、前記ダイ166の上部側には、環状の段部を介して環状の第2カムドライバ174が保持され、前記段部には、上型162に設けられた第2カムパンチ176a〜176cのストローク量を調整するシム178が設けられている。前記第2カムドライバ174には、前記第2カムパンチ176a〜176cの傾斜面180に係合する環状傾斜面182が形成されている。
【0061】
また、前記ダイ166には、周方向に沿って約120度ずつ等角度離間し、且つ半径方向に沿って延在する図示しない第1乃至第3孔部が形成され、前記第1乃至第3孔部には、第1カムパンチ184a〜184cが半径方向に沿って変位自在に設けられる。前記第1カムパンチ184a〜184cの一端部には傾斜面186が形成され、前記傾斜面186は、上型162に設けられた第1カムドライバ188の環状傾斜面190に係合するように設けられている。
【0062】
上型162は、図示しない上部シューに固定されるホルダ192と、前記ホルダ192に保持され、下パンチ172に当接する棒状部材194と、前記ホルダ192と一体的に昇降自在に設けられ、第2カムドライバ174の環状傾斜面182に係合することにより半径方向に沿って変位する第2カムパンチ176a〜176cと、前記ホルダ192に固定され該ホルダ192と一体的に昇降する第1カムドライバ188とを有する。前記第2カムパンチ176a〜176cは、棒状部材194を中心として周方向に沿って約120度ずつ等角度離間するように配設される。
【0063】
この場合、第1カムドライバ188に形成された環状傾斜面190が第1カムパンチ184a〜184cの傾斜面186と係合することにより、第1カムパンチ184a〜184cが中心部に向かって変位し、絞り成形体64が塑性変形することによりトラック溝24a〜24cが形成される。また、第2カムドライバ174に形成された環状傾斜面182が第2カムパンチ176a〜176cの傾斜面180と係合することにより、第2カムパンチ176a〜176cが中心部に向かって変位し、絞り成形体64が塑性変形することによりショルダ部28が形成される。
【0064】
なお、前記トラック溝24a〜24cおよびショルダ部28は、上型162の1ストークの変位によって第1カムパンチ184a〜184cおよび第2カムパンチ176a〜176cが略同時に作動することにより形成され、その他の作用効果は、前述した本実施の形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0066】
すなわち、簡素な構造によってトラック溝およびショルダ部が成形されるため、装置全体を小型化し且つ製造工程を簡略化することができる。
【0067】
また、管状体に対して加圧することによりカップ部を成形しているため、前記カップ部の肉厚を薄肉に形成して軽量化を図り、しかも製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る製造装置によって製造された等速ジョイント用外輪部材の斜視図である。
【図2】前記等速ジョイント用外輪部材の軸線方向に沿った部分断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った横断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る製造装置の縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る製造装置の下型の平面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る製造装置の下型の斜視図である。
【図7】第2工程部において、プレス成形を開始する前の状態を示す縦断面図である。
【図8】カップ部に対してトラック溝およびショルダ部を成形するときの動作説明図である。
【図9】図9A乃至図9Fは、それぞれ、カップ部の製造工程を示す説明図である。
【図10】図10A乃至図10Fは、それぞれ、軸部の製造工程を示す説明図である。
【図11】図11A乃至図11Dは、それぞれ、前記カップ部と前記軸部とを接合して等速ジョイント用外輪部材を製造する工程を示す説明図である。
【図12】製造装置を構成する第2工程部の変形例の縦断面図である。
【符号の説明】
10…等速ジョイント用外輪部材 12…カップ部
14…軸部 16…開口部
18…ブーツバンド 20…フランジ部
22a〜22c…膨出部 24a〜24c…トラック溝
25a〜25c…円弧部 26…頂面
28…ショルダ部 36…管状体
60…製造装置 62…第1工程部
64…絞り成形体 66、160…第2工程部
84…成形ダイ 94…テーパ面
100、152…成形パンチ 112…カムホルダ
124a〜124c、184a〜184c…第1カムパンチ
126、142、180、186…傾斜面
128、188…第1カムドライバ
130、146、182、190…環状傾斜面
140a〜140c、176a〜176c…第2カムパンチ
144、174…第2カムドライバ
Claims (2)
- 開口部を有するカップ部と、前記カップ部の一端部に突設して接合される軸部とからなる等速ジョイント用外輪部材を製造するための方法であって、
所定長に切断され、潤滑処理された管状体を金型にセットした後、前記管状体の一端の開口端部を拘束して軸線方向に沿って加圧することにより該管状体に絞り成形を施す工程と、
成形パンチによって絞り成形体の内周側を拘束しながら、半径内方向に沿って変位する複数のカムパンチにより、前記絞り成形体の内壁に複数のトラック溝を形成しつつ該絞り成形体における一端部に該絞り成形体を縮径させたショルダ部を同時に加圧成形する工程と、
前記工程によって得られたカップ部成形体における前記ショルダ部が存在する側の端部に対して軸部を接合する工程と、
を有することを特徴とする等速ジョイント用外輪部材の製造方法。 - 開口部を有するカップ部と、前記カップ部の一端部に突設して接合される軸部とからなる等速ジョイント用外輪部材を製造するための装置であって、
相対的に接近または離間自在に設けられた上型および下型と、
絞り成形体の内周側を拘束する成形パンチと、
前記上型および下型の接近作用下に、半径内方向に向かって変位することにより成形パンチに拘束された絞り成形体の内壁に対して複数のトラック溝を形成しつつ該絞り成形体における一端部に該絞り成形体を縮径させたショルダ部を同時に加圧成形する複数のカムパンチと、
を備えることを特徴とする等速ジョイント用外輪部材の製造装置。
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